幕下相撲の知られざる世界

稽古総見は、大相撲を10倍楽しく見るためのイベントである。

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5月3日。 稽古総見。

6時に列に並ぶも、既に多くのファンが駆けつけていた。私は昨年の11月から両国に住んでいるので、この時間に到着することはさほど難しいことではない。少しばかり頑張って起きれば良いだけの話だ。

しかし、両国に住んでいないとなるとどうやってこの時間に来るというのか。始発でこの時間に国技館に到着できる圏内に住んでいる人はかなり限られている。それは川崎に住んでいた頃、この時間に間に合わなかった私だからこそ分かる。

後で聞いて知ったのだが、行列の中にはこの日のために前泊して準備した方も少なからず居たのだと言う。なるほど、そうすれば始発勢よりも良い位置を確保することが可能だ。

稽古総見は、巡業とも本場所とも位置付けが異なる。横綱審議委員会の諸先生方に日頃の稽古の成果をお見せする場であると、文書にも記載されている。お金を取って見せるイベントではない。ましてや公式戦でもない。そして、それほど大々的に告知されているものでもない。

そのようなイベントに、人がこれほど大挙している。 開場前に並んだ方の数は、実に2000人を超えていたという。そして、最終的に会場に足を運んだ方の数は、およそ8000人。

自ら情報を掴まねば知り得ないこの稽古総見というイベントに、人は情熱を注ぎ、眠い目を擦って駆け付ける。何をしているかと言えば、稽古だ。単なる練習に、それほどの価値があるのだろうか。無料で、誰でも早起きすれば人気力士が見られることがそれほど魅力的なのだろうか。ニュースで稽古総見の映像をご覧になった方はそう疑問に思われたのではないだろうか。

この問いに対して、私は答える。 確実にその価値が有る、と。

まず稽古総見は、ほぼ全ての関取が参加しているからだ。

稽古総見は基本的に全ての力士が参加するイベントだ。白鵬も、日馬富士も、今回は欠席したが稀勢の里も本来であれば参加している。稽古を見たければ相撲部屋に予約すれば良い。だが見られるのはその部屋の力士と、出稽古に来た力士だけだ。これほどバラエティに富んだ面々が集まる稽古が見られる機会はそう無い。

そして、番付発表後だということだ。

おおくの関取が集まって稽古するということであれば、巡業もそれに該当する。だが、巡業の場合は本場所後ということもあり、状態はそれほど上がっている訳ではない。むしろ、本場所の消耗を調整するという意味合いもあるため、軽い稽古に終始する力士も多い。

稽古総見は、本場所まで2週間を切った段階で行われる。この段階になると、力士達は本場所を見据えてギアを入れて臨むようになる。要は、申し合いが非常に激しいものになるのだ。

例えば、今回好調が目立った力士として豪栄道が挙げられる。カド番の豪栄道には後が無いので初日に照準を合わせて調整しているのだろうか、横綱大関との申し合いでも立合で優位に立つ機会が多く見られた。照ノ富士はほぼ豪栄道の攻めを受ける展開になっていたし、鶴竜も攻める豪栄道をどう対処するか、という内容になっていた。

調整の段階ではこういう内容にはならない。調整が最終段階に入りつつあるからこそ見られる相撲が、稽古総見にはあるのだ。

そして、稽古の中に明確な意図が見られるということだ。

最終調整をする力士も居れば、本番前に何かを試す力士も居る。よく申し合いの結果が何勝何敗だった、という趣旨の記事が新聞紙上に踊っているが、それは調子のバロメーターには必ずしもならない。何故なら稽古場は本場所とは異なり、勝ち負けには拘らずにテーマを持って臨んでいることもあるからだ。そしてそれを試している力士が、稽古総見の場にも少なからず居るのである。

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記事カテゴリ:
稽古見学
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大相撲を10倍楽しく見る方法
大事なのは、内容なのだ
最終調整
稽古総見

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稽古総見は、大相撲を10倍楽しく見るためのイベントである。

マスコミの報道は、総見の内容よりも、稀勢の里無断欠席→春日野親方激怒→田子ノ浦親方の連絡ミスだった、の一連のニュースのほうが遥かに多かった。
とにかく2017年5月の大相撲は稀勢の里中心に回っていることはわかった。同時に、総見の内容は国技館に行かないとわからないということも。

ひとつ引っかかるのは、稀勢の里は田子ノ浦親方に総見欠席を連絡していたのか?田子ノ浦親方が稀勢の里のミスを庇って、冤罪を引き受けた疑惑があるのだが、とにかく夏場所初日までに稀勢の里がどの程度体調を戻してくるか。「北斗の拳」の化粧回しが大きなニュースになっているのだから、夏場所休場はないと思いたい。

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