幕下相撲の知られざる世界

天覧相撲の警備の対応に、深く感銘を受ける。

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初場所の当日券の行列は、寒い。

最高気温は9度、最低気温は2度だ。寒いに決まっている。だが、仕事の関係でチケットが取れなかった私に残された現地観戦の手段は、当日席しかない。身体を揺り動かしながら寒さに2時間耐え、めでたく自由席のチケットを確保した。嬉しいよりも寒いが先に立つが、まずは館内に入場する。が、今日は少し様子が変だ。

もぎりを抜けると、手荷物検査。 そして、金属探知機と思われるゲートまで有る。 そうか。 今日は天覧相撲だった。

4か月ぶりの大相撲観戦。かなり好きだったたこ焼き屋が無くなり、「雷電」と名の付く2店舗が出店することに軽いショックを受けながらも最近私の中で重要度が増している序ノ口の取組が始まるのを待つ。

天皇陛下のご来場はまだまだこの先だ。だが、館内にはスーツ姿の警備がかなり居る。陛下の席の周辺だけでなく、くまなく配備されている。この時間は観客もまばらなので、警備の物々しさが際立つ。

すると、私の近くで外国人の方が片言の日本語で警備の方に尋ねた。 自由席はどこですか?と。

完全に聞く相手を間違えている。 その人は天皇陛下の警備の方だ。 だが、彼はそのようなことを知らない。 席を立ち、一声かけようとする私。

だが、ここで私は驚いた。天皇陛下の警備の方が、自由席の位置を完璧に案内しているのである。

「自由席は最上段です。ただし、少し座席が少ないところも有りますので、14列目を目印に探してください。」

笑顔でお礼をする外国人。 私の出る幕は、無かった。

ご存知無い方のために補足すると、当日券については会場に来られている方でも知らない方は知らない。存在自体を知らない方も大勢いる。故に私は一度当日券に関する記事を書いたことが有るくらいだ。

更には、当日券のことを知っていても、自由席の位置を正しく言える方はそれほど多くない。長年ファンをやっていても案外知らないことが有るのが大相撲の世界だ。当日券に関する情報も、その中の一つと言えるだろう。会場のルールの中でも立ち入った情報の部類に入ることなので、この状況にはっとしたのである。

何だか嬉しくなった私は、席を立ったことも有ったのでこの警備の方に一声掛けた。

「凄いですね。陛下の警備の方なのに、自由席のことまでご存知なんて。」

すると彼は事も無げに笑いながらこう答えた。

「あはは。去年もやってますからね。」

勝ち誇るでもなく、不愛想でもなく。 こういう方が天皇陛下を護っているのかと思った。

更には、こう続けた。

「今日は通し券でお越しなんですか?」

そこまで知っているのか。ちなみに今場所の通し券といえばイスB席のものが存在するので、今までのそれとは少し異なるのだが、これもまた、知らないファンは知らないことである。

天覧相撲。

天皇陛下が相撲をご覧になる。 時間にすると1時間程度の観戦だ。

だがその陰では多くの方が関わり、このイベントを成功に結びつけようと最大限の努力をしている。その努力は、恐らく天覧相撲だけのことではないと思う。だとすれば、彼らはどれだけの労力を警備以外に充てているのだろうか。

天覧相撲とはどれだけ重い意味を持つイベントなのだろうか。自由席のルールを理解し、通し券のことまでリサーチする。全ては、天皇陛下と天覧相撲のために。

この素晴らしき方達が支える天覧相撲。 自由席の一角で噛み締めようと思う。

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相撲以外
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自由席
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天覧相撲の警備の対応に、深く感銘を受ける。

天覧相撲の警備員のインタビューを初めて拝見しました。
陛下は幕内後半戦から観戦されるので、御前掛=力士が全員正面を向く土俵入りが見られないのが残念、と思っていたのですが、警備員の苦労を思うと後半戦からがベストなんでしょう。

あるいは今上天皇の最後の天覧相撲になるかもしれない。トラブルなく無事に終わることを祈ります。

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