猫に小判

ポゼッションという名の天使と悪魔/大榎克己と名波浩の出した回答と風間革命の真意

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「サッカーは勝つか、負けるか、引き分けるかです。当たり前ですが、そのどれかの結果が出るわけです。しかし、強いチーム、良いプレーをしたチームが必ず勝てるわけではありません。強いチームが負ける率でいえば、バスケットボールなどほかの球技よりはるかに高いのでしょう。とはいえ、それでも良いプレーをしたほうが、やはり勝つ確率が高いのは確かです」 レシャックの”講義”は、最も基本的なところから始まった。それはサッカーとは何か、どうプレーするべきかという哲学に関わる話だ。 「私は、ボールポゼッションがカギだと考えています。ボールをより長く支配することだ、ゲームを支配できるからです。自分たちはより多くの攻撃、より多くのチャンスを作り、反対に相手にはより近いチャンスしか与えない。体力的にも、ボールと相手を走らせることで相対的に有利になることが多い。7割方ボールを支配できていれば、それだけ勝ちに近い位置にいられます。そうすると、だいたい8割方は試合に勝てるのです」
サッカーバルセロナ戦術アナライズ 最強チームのセオリーを読み解く 著者西部謙司 発行KANZEN 143項より引用

サッカーは強いチームが勝てるとは限らない。ポゼッションしていればチャンスを何回も作ることができる。バルセロナがポゼッションする理由は、「観ていて楽しいサッカー」という愚かな考えではなく、ポゼッションこそが勝利に近いという哲学を信じているからだ。 しかし勘違いだけはしてはいけない。ポゼッションするということは攻める権利を手にしているということだ。要するに守備のことを考えているわけではない。相手からしたら「相手のポゼッション=自軍のカウンターチャンス」と捉えることができる。

モウリーニョにとってプレスとは、相手からボールを奪うための集団的な動きであり、守備的ではあるが、時と場所を選べば攻撃的にもなり得るものだった。プレスの革新者としてモウリーニョは講演を何度もこなしている。彼はポゼッション自体には何も価値はないどころか、上手く使わないと危険なものになり得ると、選手たちに強調していた。手ごわい相手であるほど中盤でのボール回しには注意を払わねばならない、が持論で、「中盤でボールを回すほど、相手にボールを取られる確率が高くなる」とよく選手の前で口にしていた。この警句は裏から読むとこうだ。中盤で相手がボールを持てば持つほど、過信するようになり、よく組織されたプレスの前に弱みをさらすことになる。
モウリーニョvsレアル・マドリー「3年戦争」 明かされなかったロッカールームの証言 著者ディエゴ・トーレス 訳木村浩嗣 発行ソル・メディア 98項より引用

何度も言うが、ボールポゼッションはあくまで手段だ。目的ではない。もし、ボールポゼッションを第1に考えるのならば、リスクマネジメントはしっかりしなくてはならない。それは当然のことだ。ポゼッションするということは攻める権利を手にしていながら、相手にカウンターをしやすくする環境を与えるというコインの表裏のようなことを頭に入れておかなくてはならない。だからポゼッションに固執するということは危険なことだ。裏に広大なスペースを空ければ、一気に失点する確率が高まる。

ポゼッションとは、タバコと同じで高濃度な中毒物質なのだ。


■風間革命の本質 川崎フロンターレのサッカーはポゼッションスタイルなのか。風間八宏の考えを理解するには、まずこの考え方を捨てる必要がある。バルセロナがポゼッションをしている理由が勝つためであれば、フロンターレがポゼッションしている理由も同じ。バルセロナのスタイルは「ポゼッション」や「パスサッカー」と勘違いしている人が多い。バルセロナこそ勝利至上主義のサッカーであり、結果的にポゼッションスタイルになっているだけだ。フロンターレも同じ。ポゼッションという固定概念で風間革命は語れない。

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