2009年12月09日

早く家に帰りたい  ◇日本シリーズの梨田監督◇

日シリが終わったとたん、すっかり気が抜けてしまいました。
いや、いつも抜けてるんですけどネ…。
師走に入ってしまいましたが、ぼちぼちと今年を振り返りつつ記事を書いていきたいと思います。オフシーズンの努力目標は、今、へたすると1本8時間くらいかかっている書き上げ時間をもうちょい縮めて、書き込み回数を増やしたい…なあ…。あくまで目標ですけれど。

さて、もはやなんだか去年のことのようですが、あらためて日シリで感じたことなどを。

日シリ。結局あのままファイターズが負けました。もうひと盛り上がりを待っていたけれど、ダルビッシュにあれ以上投げさせたくなかった野球の神様からドクターストップがかかりました。

前回記事では、言葉の魔法にすがってしまったのですが…。んなもなあ、やっぱり気のせいでした。勝負事には、そう都合よく魔法なんてかかりはしないのです、もちろん。

けれど、都合よくいってくれないくせに、しばしば魔法みたいなできごとが実際に起きるのも野球。例えば…。パのCS第2ステージ第1試合。ファイターズサイドから見ると、ありゃあ、開いた口がふさがらないほど魔法チックなゲームでした。

でもって、あの試合からなんです。ベンチで戦況を見つめる梨田監督のまなざしが、なんだか、今目の前のグラウンドよりもちょっとだけ遠くを見ているような気がしてきたのは。

去年のライオンズ・ナベQ監督は、グラウンド上しか見えていないような目をしていました。超リアリストのまなざしだ、と思いました。今年の梨田監督は、ちょっぴりロマンティストのまなざしっぽい。そんな感じがしました。

あのスレッジの逆転満塁サヨナラホームランを見たあと、梨田監督のコメントには、ちょくちょく「近鉄」という言葉が出てくるようになりました。2001年、梨田監督が率いた近鉄バファローズ。その後球団消滅の道を辿るチームの、最後のリーグ優勝を決めたのが、北川の代打満塁逆転サヨナラホームラン。よく似たフィナーレに、脳裏に記憶が甦るのも無理からぬことではあります。

さらにスレッジの一発は、「過去の魔法」の記憶にプラスして、「ホームグラウンドの魔法」のイメージまで、強烈に焼き付けてしまったようです。もともとホーム意識は強いチームだけれど、あの一発で、梨田さんの中で、ほとんど強迫観念となってしまったんじゃなかろうか、とさえ思うのです。

「THE 魔法の一発」の後、梨田監督が「札幌に戻って」「札幌に戻れば」「札幌に…」などなどと口にするたび、私の頭に、ポール・サイモンのあの名曲のメロディーが流れました。

「早く家に帰りたい」

ポールが下積み時代、クラブ回りの旅先で家を想う心境を歌った曲だそうです。
CDのサイト(→コチラ)でちょっとだけ試聴できます。

   ・・・・・・・・・・・・
 
  ホーム そこは僕のより所
   ホーム 僕の音楽が流れ
   ホーム 僕のために静かに待ち続けてくれる場所  
  
   ・・・・・・・・・・・・

サビの歌詞が、ダブるんです、監督の言葉と…。
  
「札幌に帰ればきっと…」という気持ちの中身は、「球場が広くてホームランを打たれにくい」「DHが使える」「後攻めである」等の戦略的・現実的な計算が、いつのまにか、「圧倒的な数の温かいファンの熱烈な応援」の中でなら「たぶん…ナニかが起きる…」「きっと…奇跡だって起こる」といった、魔法を信じたい願望にメタモルフォーゼしていたのではあるまいか…。

そしてまた、ついでにこんなことも思ったのです。

もし、「過去の魔法の記憶」とか「ホームグラウンドの魔法のイメージ」が無かったなら、梨田監督があんなに東京ドームを毛嫌いすることもなかったんじゃないかなあ、と。
もうちょっとは、球場の女神様が自分たちの味方についてくれる可能性を信じられたのではなかろうか、と。

でも、「近鉄」が脳裏で甦ってしまった彼にはもう、東京ドームは敵地でしかなく、欠点しか目に映らないし、心は札幌に飛んでしまう。

どうも、この梨田監督の微妙な深層心理あたりが勝負のアヤだったような気がするんですよねえ。東京ドームの女神様に、ヘソ曲げられちゃったなあ、って気がしてしょうがないわけです。

だって、いくら東京ドームのビジターで連敗が続いていたとはいえですね。そんなに苦手意識もたなくたってよかったのに、と思うわけです。仮にもファイターズにとってはかつての本拠地で、今でも年間何試合かは主催をする球場なんすから。シリーズでも、札幌ドームの読売ファンの数より、ずっと大勢のファイターズファンが3塁側を埋めてたんすから。
心の底では「やだなあ」と思っていても、少しはお世辞のひとつも言って「ここも我々にとっては、“ホーム”」っちゅうムードにしていたら、少しは東京ドームの女神様もニッコリしてくれたかもしれないのに…。

それをですよ。

「狭くて何が起きるかわからない球場」とかね、ネガなイメージばかり口にしたた上、「札幌なら」「札幌に帰れば」の繰り返し。

東京ドームの女神様にしてみたら、タマったもんじゃあございませんよ、あーた。

なんつーか、「これからも、いい関係でいようネ」って言って別れたのに、いざとなったら、会うたびに、やれお前は足が短いの、背が低いの、やれ気まぐれで手に負えんのとチクチクけなされるみたいなもんでございます。そのあげく、「今の彼女はスタイル良くて優しくて」と自慢され、「彼女と一緒なら何でもできるんだ、オレ…」って、遠い目をしてウットリされちゃったよーなもんですよ。

そら、東京ドームの女神様、意地悪のひとつもしたくなりますわね。同じ立場なら、私だってしますわ、きっと。

てなわけで、アレですよ。…シリーズ第5戦、久の4球…。

女神様、渾身の意趣返し…。

…。

…ハァ~…。

やれやれ、妄想が全開、プチ暴走しました。すみません。

まとまらぬ乱文の口直しに、「早く家に帰りたい」、のフルコーラスを。
ポール・サイモンが2年前に歌った録音のようです。若い頃とはまた違った枯れた歌声で、いい味です。08.29.2007.の記事下三角矢印をクリックしてください。

(→ポール・サイモンウェブ

posted by スタジエンヌ・裕子 |19:57 | 観戦記 | コメント(6) |
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