2009年10月28日
シーズン優勝のファイターズがCSも制してから2日後。まだ試合の余韻も残る26日、佐藤吉宏外野手がひっそりと現役引退を発表しました。今年1回彼を球場で見ました。その観戦記で、このブログにちらっと(最後の方にちょこっとだけ)登場したことがあります。(→観戦記)
まだ26歳ですが、もう少し年上にも見えます。1軍での出場は17試合。通算安打数は4本。
去年の4月、佐藤は札幌ドームで初めて1軍の試合に出場しました。入団7年目での初出場でした。その最初の打席で、彼は見事に初安打を放ちます。初出場初打席初安打は、しかもなんと初ホームランでした。で、おまけにその初ホームランはチームの勝利を呼んで、初ヒーローインタビューってことになり、彼はとまどいながら、お立ち台にあがったのです。
そして、去年の彼の安打は、結局この1本だけに終わりました。
ファイターズ公式サイトに、彼の引退のコメントが出ています。
「…特に札幌ドームで受けた歓声は生涯忘れられません。…」というくだりは、きっと上記のヒーローインタビューのこと。このときのインタビューは、喜びをかみしめる表情と言葉に、真面目で朴訥な彼の人柄が表れて、本当に感動的でした。最初で最後のお立ち台。でも、たった1回のインタビューだけど、彼の耳にファンの歓声が残るように、ファンの目には彼の姿が焼きついたような気がします。
実は去年、彼のこのインタビューについてブログに書きました。なぜか同じ時期に、同じように下積みの長かった苦労人の選手たちが続けて活躍したので、何人か一緒にとりあげたんです。みんな、ほんとに地味です。パの「月見草」遺伝子だなあ…と思って、タイトルにしました。
去年のブログ→「月見草DNA選手とヒーローインタビューの出来」
(記事中のヤフー動画は今は見られません)
自分の書いた最後の一文を読み返して、佐藤についてはなんとなく予感がしたんだろうなあという感じもあります。そうそう、彼と同期生の江尻ンは、やっぱり彼のことをブログに書いていて、引退を決意した佐藤の心情を伝えてくれています。江尻ンもとうとう同期のチームメイトがいなくなっちゃったんですねえ…。(→江尻ンブログ)
たった1年半前にお立ち台にあがった月見草系選手たち。彼らの “それから” を追ってみると…。
球団職員として残るという佐藤は、真面目そうだし誠実そうだし、きっといい仕事をするでしょう。
佐藤より少し前、ファイターズの小田選手も引退しました。レギュラーを張ったこともある小田選手は引退セレモニーもあり、最終打席は見事なヒットで締めくくれたし、ケガに泣かされたとはいえ、恵まれた選手生活だった方かもしれません。進路は未発表です。
同じくファイターズの星野投手は10月に戦力外通告を受けました。まだ進路のニュースは伝わってきません。
ホークスの小椋選手は、お立ち台後、後半戦に2軍に落ちて、今年は1軍登板がありませんでした。今年7月に足の手術をして、やっと実戦練習まで回復したという10月のニュースがあります。来年が勝負でしょう。
マリーンズの角中選手は、今年もぼちぼち一軍出場しました。しかし打率は1割台。彼はまだまだ若いので、可能性を秘めてはいますが、やはり来年あたりはそこそこの力を見せないと、新体制のチームで存在感を示すことが難しくなっていくでしょう。
本当にプロの世界は厳しいです。
佐藤の引退のニュースを聞いて、彼のお立ち台のような、筋金入りの月見草選手が輝きを放った一瞬に、1回でも多く遭遇できるといいなあ、と、思ったのでした。
posted by スタジエンヌ・裕子 |22:57 |
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2009年10月26日
クライマックスシリーズ、第2ステージが終わりました。今年も良かったですねえ…。試合内容も良かった。試合後も良かった…。精一杯頑張ったイーグルスの選手たちの悔し涙が良かった。
岩隈の涙も、山崎の涙も、マー君の涙も良かった。でも、「こいつぅ…」って一番ヤラレちゃったのは、後半戦、出れば四球か被打かってなぐらいダメダメ状態で、このシリーズでもやっぱりグダグダになっちゃった有銘の涙の写真かも。頑張ってるんだけど、どうも頼りにならないアリメ。それでも、オールスターでぼこぼこに打たれてベンチで正座していたときのように、いつもどこかユーモラスな味があるアリメ。そんな、1流になりきれない、どうしても3枚目になっちゃう彼の涙の切なさが、なんだか胸にしみました。
そして、ノムさんの胴上げ。きっとあるだろうとは思っていたけれど、とても自然に、素直に、教え子だった選手たちの気持ちが表れた、ステキな胴上げでした。
試合中マウンドに行く時よりも、ずいぶん早足で駆け寄っていった吉井コーチ。近鉄バファローズ最後の指揮官として、「本当のラスト」の万感を噛みしめた経験を持つ梨田監督のハグと拍手。いつも通りの明るく世話見の良いお兄ちゃん笑顔で、仲間を胴上げの輪に手招きした稲葉…。ファイターズの面々の、スマートで心こもった対応もまた爽やか。
去就問題やら終盤に来てあれこれ揉めて、周囲も「…やれやれ手の焼けるじっちゃんだなあ……f(´・・ `)…」と感じているような、度し難さ全開ムードだったノムさん。でも、最後の最後で、「もう、あれもこれも、そんな小さいこたあどうでもいいよ」とぜーんぶ水に流れたラストシーン。
で、その胴上げの写真が翌日のサンスポとニッカンスポーツ一面を飾っていたのですが、それを見てもう一回じ~んと来てしまいました。
紙面一杯に広がる、胴上げの写真。イーグルスとファイターズ、両チームの選手が思い切り手を上に伸ばし、ノムさんを投げ上げている。その中で、山崎の両手が、他の選手とちょっと違う形だったんです。彼の両手は、さりげなくノムさんを支えていました。こんな場面でも、彼はノムさんへのいたわりを忘れず、大事に大事に扱っていたんです。大の男の優しさと、師匠を慕う気持ちのいじらしさとがにじみ出た写真に、またちょっと泣けました。
いいクライマックスでした。
posted by スタジエンヌ・裕子 |21:13 |
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2009年10月14日
今週末から、いよいよクライマックスシリーズが始まります。が、イーグルスがすったもんだしています。リンデン、前回記事でホメたそばから、何してくれるねん…(- -;)。
まあ、大事な試合を前にしてのゴタゴタグダグダに悲憤慷慨、てな状況を鼻で笑えるようになってこそ、真のパ・リーグファン(?)。どこのチームもみんな乗り越えて来たんだぜい…がんばれ、イーグルス!!めげるな、イーグルスファン!!
というわけで、シーズンも一段落したので、のんびり記事を続けます。
前回、山崎とこさっちのほのぼのインタビューを紹介しました。このときの様子もそうですが、山崎という選手は根っからの親分肌で、その上、骨の髄からの「情の人」なんだろなあ、と感じます。そして、選手としては晩年にさしかかった彼がイーグルスで再び輝いたのは、イーグルスが、彼の本質である「情」の篤さを思いっ切り発揮できるチームだったから、という気がしてしょうがありません。
ドラゴンズやブルーウェーブ時代の経歴では、良い成績をあげてもどうも評価が低かったり、フロントや監督とぶつかったエピソードが多い山崎。打撃センスはバツグンだけど傲岸不遜でへそ曲がり。そのくせ傷つきやすいデリケートさが同居している彼は、たぶん、上にとってはかなり扱いにくい選手だったんでしょう。
長年ドラゴンズファンの野球好き仲間に聞いてみたことがあります。
「山崎は、なんでイーグルスでこんなに活躍できたの?」
ずーっと山崎を見てきた彼の答えはこうでした。
「たぶん、オレはほんとにみんなに頼りにされてんだ、って思えたのが良かったの」
そういえば、山崎は、火事の現場に通りがかった際に子どもを救出して表彰されたことがあるそうです。それも、飛び降りたのを受け止めたとかじゃなくて、燃えている家に入っていって助け出したのだとか。その一件についてテレビで話したのがこちら。
→ 『ジャンクSPORTS・トークダイジェスト』
子どものお母さんに「助けて」とすがりつかれ、「え?オレ無理…」と思っているのに、結局炎と煙の中に飛び込んじゃう山崎。このエピソード、身近にいる人に頼りにされると、自分で考えている以上のことをやってしまう彼の気性がよ~く表れています。(ついでに言うなら、楽しみにしてくれる人のために、球団ショップで社員割引のホームラン人形を自腹で買ってる山崎ってのも、なんだか妙にかわいい)
「オレがなんとかしてやらにゃあ!」という思いにかられた瞬間、彼は俄然パワーアップしてしまうのに違いない。でもって彼、イーグルスに入ったとたん、「なんとかしてあげたい魂」を揺さぶるものに囲まれちゃったんです、きっと。
突然チームが消滅し、不用品のような扱いでイーグルスに移った元近鉄の選手たちを始め、プロとしては呆れられるほどの弱さと必死で格闘していたチームメイト。彼らを「なんとかしてあげたい!」。激弱チームを一生懸命に応援してくれるファンも「なんとかしてあげたい!」。そして、とどめが監督ノムさん。
思うに、もし野村監督がもう少し若く、指揮官として脂の乗り切った年代だったなら、山崎が今のように素直に心酔し、監督の言葉に耳を傾けてていたかどうかは、甚だアヤシイ気がします。小言を繰り返されたり、頭ごなしに叱り飛ばされたりして、他の監督たちの時と同様、結局衝突していたんじゃありますまいか。そんなことになっていたら、イーグルスの低迷も、もう少し長引いてしまったことでしょう。でも、山崎の前に現れた野村監督は、十分お年を召していたのです。
野球が好きで好きで、ただそれだけで、単身赴任のホテル暮らしをしながらキツイ仕事をこなしているご老体。その姿に山崎のタマシイは揺さぶられまくっちゃったと思われるわけです。こうして、一番ネックだった監督も、すんなり「なんとかしてあげたい!」対象にリストイン。
スタンドを見上げても、ベンチを振り返っても、彼を奮いたたせるものばかり。ただのトラブルメーカーではない、暴れん坊だけど心根の優しさを秘めていた山崎に、野球の神様は、最後に彼のパワーを引き出す舞台を用意してあげたようです。
ヒーローインタビューのたびに「ガハハ!」と豪快に笑っている、がさつなようでいて実は繊細な気遣いの親分。浮き沈みを繰り返して仙台に辿り着いた「情の人」山崎は、ちょっとぐらい打てない時があったって、やっぱり快進撃イーグルスを支えた大黒柱で間違いない、と、そう思うのです。
<続く>
posted by スタジエンヌ・裕子 |23:12 |
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2009年10月05日
イーグルスの初Aクラス、クライマックスシリーズ進出が決まりました。いや~…よかったですねえ~。球団が誕生して5年。最初の頃の、予想をはるかに超越した弱さを思い出すと感無量ですね~。でも、長年のパ・ファンの中には、「あら、たった5年でこんなに強くなっちゃうの~?」と、恵まれた(?)イーグルスファンが羨ましい方も少なくはない(かく言う私も…)と思ったりもしますが(笑)。ま、それは冗談として、この終盤のイーグルスは本当に、戦国パ・リーグのCSに名乗りをあげるにふさわしい、たくましいチームでした。
後半戦の快進撃については、ホームゲームの使用球がオールスター後に飛距離の出るものに変わったことは、結構影響があったかなと思います。前半戦では、コツコツコツコツ単打を地道に重ねる選手が多かったはずなのに、後半戦になったらいきなり長打が飛び出すようになっちゃったもんで、他チームが対策を立てきれなかったように見えます。
もちろん、この打線爆発も、選球眼やミート力など、選手に地力がついていたからこそ。すべては積み重ねた努力の結果。ですが、個々の選手の積み重ねた力が、いっせいに爆発するときというのは、さまざまな要因が重なるものです。
そう、今年のイーグルスには、連鎖反応を起こさせる要因がたっぷりありました。
当然ながら、筆頭は野村監督の退陣。
それから、もちろん選手たち。起爆剤として大きかったのは途中から入った戦力の活躍。打では助っ人リンデン。本人の打棒が好調なのと同時に、見るからにアツいヤンキー兄ちゃんは他の選手にもゲキをとばしたりしていたようで、おとなしい選手が多いイーグルスベンチを、そのファイトで盛り上げました。投では出戻りの福盛。大リーグ目指している間は本気で練習していたと見え、イーグルスに戻ると以前とはうって変わった安定感。守護神役をちゃっかり…もとい、きっちり果たし、崩れかかっていたリリーフ陣を支えました。これがものすごく効きましたよね~。しかも、競争意識からか、ポカが多かった小山投手までしっかり抑えるようになるという副作用…もとい、もとい…相乗効果まで表れました。
とにかく、チームが強くなるときは、いろいろなタイプの選手がそろって活躍するもの。クセ者が活躍するチームは楽しいし、何より見ていて面白い。他にも鉄平、草野、高須の雑草系強打者連など、エトセトラ、etc.状態…。
ですが、全ての中心になったのは、二人の超ベテラン。2年連続ホームランキングを狙う、恐怖の不惑スラッガー山崎と、今年やっと帰ってきたパの恋人こさっち(小坂)だったような気がするのです。
彼らが大活躍して、揃ってお立ち台に上がったのが8月16日のマリーンズ戦。2点差を追う9回裏に山崎が2ランで同点。延長12回裏、今度は小坂が(バッティングは非力なのに)満塁でヒットを打ち、劇的なサヨナラ勝ちとなりました。
その試合後のヒーローインタビュー。二人の味のあるやりとりが忘れられません。
のしのしと先に歩く山崎が、振り返り振り返りしては、「早よ、来い!」と手招きし、こさっちをお立ち台へとうながします。なんだかすまなそうに身を縮めながらインタビューに答えるこさっち。みんなに水をかけられてびしょ濡れの髪は、昭和ノスタルジーな七三分けの刈り上げ(マンガ「かりあげクン」ご参照)。銀ぶちメガネが光る、小柄なとっつぁん坊や。誰が見ても、クソまじめな公務員か銀行の出納係の風情。
そんなこさっちが、「今のお気持ちは?」とインタビュアーに聞かれての第一声は、 「…正直、本来であれば…」 。ありえましょうか?プロ野球のヒロインの第一声が、「本来であれば…」って…。で、そのあと、彼はこう続けました。 「武司さん(山崎)がインタビューを先に受けるはずなんですけど、僕が受けてしまって、申し訳ございません」 …。
受けねらいでもジョークでもないんです。“ 律儀 ” がユニを来て立っているようなこさっち、本気で恐縮しております。それを横で聞いていた山崎。「いやいやいや」と言いながらこさっちの肩をたたき、細い目がさらに細くなって、「小坂め、うい(愛い)ヤツ」感いっぱいのニコニコ顔。
お~い、なんだか、会社の宴会で挨拶する気の小さい課長代理と後ろでそっくり返ってる本部長みたいだぞ~
と、思わず突っ込みたくなるようなオープニング。でも、とにかく謙虚すぎるこさっちと、そんな彼を盛り立てたくってしょうがない山崎の様子がなんとも言えずほほえましい、ほのぼのとしたヒロインでした。
(イーグルスのホームページにこのインタビューのテキストがアップされています。また、会員登録が必要ですがニコニコ動画の楽天イーグルスチャンネルに動画もあります。動画は他にも「小坂 ヒーローインタビュー」で探してもたぶん見つかります。よかったら、ぜひ見てみてください)
プレースタイルもキャラも、まるで正反対の山崎とこさっち。でも、共通するのは一本気なところ。そのまっすぐさが、チームの精神的な支柱になったのだと、そんなふうに思うのです。
<続く>
posted by スタジエンヌ・裕子 |01:01 |
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