2008年09月01日
[野球] ジャイロボールとは?
野球ファンなら、「ジャイロボール」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、具体的にそれが何なのかという話になると、ほとんど誰も正確に答えられません。 ネットで調べてみてもまとまった情報がなく、素人が知ったかぶりをしているとしか思えないようなものや、選手が経験上語っているものしか見当たらず、情報がかなり錯綜しています。 もっと科学的な根拠に基づいたものはないないものかと探してみたら、ありました。空気力学の専門家である姫野龍太郎博士が、インタビュー記事で非常にわかりやすく説明してくれています。 http://www.athome-academy.jp/archive/mathematics_physics/0000000232_all.html 本当にきれいにまとめて説明してくれていますのでリンク先の記事を読めば十分なのですが、ここではさらに簡略化して書いてみます。 ジャイロボールとは、ボールの回転軸が進行方向にむいている〝変化球〟のことで、トレーナーの手塚氏が最初に命名したといわれています。 よくわからないという方は、回転するコマをイメージしてください。それを投げたとき、その軸が飛んでいく方に向いているということです。ちょうどドリルが対象をえぐるような感じですね。 しかしこのジャイロボール、実は二種類あります。「対称型」と「非対称型」です。 何についての対称・非対称かというと、進行方向から見たときのボールの縫い目です。これが左右対称だと「対称型」に、非対称だと「非対称型」になります(画像を参照)。どちらも、空気の抵抗が小さくなるのでボールの速度が落ちないという特徴があり、これが魔球のきっかけになります。対称型の場合は、さらに抵抗が少ないため、速球以上のスピードで飛び、しかも急激に下へ向かって変化します(フォーク並み)。 一方の非対称型は、また少し異なります。縫い目が左右非対称に回転すると、対称型に比べて空気の抵抗が大きくなって速度はやや下がる(それでも速球並み)のですが、その分、下へさらに大きく落ちることになります。 ここまで読んで、ピンと来た方もいると思います。そうです、これは野球ファンにはお馴染みの、縦に変化する高速スライダー、いわゆる「縦スラ」のことです。 "私の見たところ、西武ライオンズの松坂投手が非対称ジャイロボールを投げています。まだ一般に「ジャイロ」という言葉が広まっていないので、解説者は「落ちるスライダー」といっていますが、あれはジャイロです。" 私自身、以前野球中継でスローのリプレイを見たとき、縦スラの回転がきれいなジャイロになっていたので、これがそうじゃないのかと思っていたのですが、やはり当たっていました。 ただし、「ストレートより速い」縦スラも、「フォークより落ちる」縦スラも、ほとんどお目にかかったことがありません。ということは、完璧なジャイロボールを投げることは相当に難しいのかもしれません。 ジャイロボールに関する情報が錯綜していたのは、正確な資料が少なかったことだけが原因なのではなく、おそらく「実は二種類あった」ということも影響していたのでしょう。また速球系の変化球であることも、ストレートの一種だとする誤解を招いたのだと思います。 これでやっとスッキリしました。ジャイロボールとは、二種類のパターンがある速球系の変化球だということです。名称自体が曖昧模糊としたところがあっていかにも魔球という雰囲気でしたが、わかってみると意外にシンプルでしたね。
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posted by narukami |12:15 |
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