2007年04月25日
子供にコーチがたくさん指示を出すことは悪いことですか?
昨日のブログ 「小学生からもっとチーム戦術を教えてみませんか?」 に対して 丸めがねさんから以下のようなコメントをいただきました。
↓ここからが丸めがねさんのコメント >少年サッカーのコーチをしていますが、よく伸びる子供は、例えばストリート >サッカーのようによくサッカー遊びをしている子です。 >自然と様々なことを自発的に学ぶので、試合の時には自ずといいプレーが出来ます。 > >ある子供に先日聞かれました。 >「コーチってサッカー習ってたの?」 >私はこう言いました。 >「習ってなかったけどやってたよ」 >今の多くの子供たちにとってサッカーは「習い事」になってしまっているように >思います。どうしたらいいプレーができるのか、どうしたら試合に勝てるのか? >自分の頭で考えるより先に大人に聞いてしまう。言われたことは出来る、 >じゃこれから先のサッカー以外の人生でも困っちゃうわけです。 >日本の子供は学校生活、塾など「習う」という事に慣れすぎてしまっているのが >自分で局面を打開する能力を発揮できない大きな理由だと思います。 >日韓ワールドカップの時もドイツの時も、日本が得点できたのは、個人が >予想外のプレーで局面を打開した時から生まれている、ということを >確認したいです。戦術も大事ですが、戦術だけじゃ勝てない。 > >で、少なくても低学年では戦術を教える必要は無いと思います。理由は >まだ様々な事を理解する能力が不十分だからです。焦る必要は全く無いのに >無理矢理「形」で教え込む。「こうしなくちゃいけない」という枠組みに >はめられた子供たちは不幸です。 >低学年で、バックラインでボールをまわしたり、一方的に勝ってる試合なのに >4人のバックがセンターライン上にぴたりと横一直線に並んで、めったに >来ないボールを待っている、そんなシーンを見るにつけ、 >「子供はコーチの道具じゃない」と可愛そうになります。 > >マラドーナやメッシとまでは言わなくても、個人の能力を出来るだけ引き >上げてあげるのが指導者の役目だと感じます。小さいうちは戦術一つ学ぶより >ひとり抜くほうが大事、という考えもありますよね。 >勿論、バランスは大事と思います。 ↑ここまでが丸めがねさんのコメント 丸めがねさん、コメントありがとうございます。 今回は丸めがねさんの「子供はコーチの道具じゃない」というコメントの部分に注目し、 それに関連するとても面白いエピソードをご紹介します。 ~~~~~~~~~ 私が以前指導していた某クラブの同僚キケは カマーチョのような熱血監督です。 とは言っても、教え子に抱擁することを忘れないような とても人情味のある人間でもあるため、子供や父兄からの 信頼は絶大です。 キケは試合中、常に怒鳴り続けています。 「右!左!トラップ!パス!シュート!走れ!」と命令口調で 子供たちに指示を出し続けています。 日本の指導者が見たら「ああいう指導は最悪だ」と言うのでは ないでしょうか。 そんなキケが指揮するチーム(9歳?)がホームで試合をしていたので 私は他のコーチ仲間とベンチの近くで試合を観戦していました。 そして、事件(!?)は試合が白熱してきた後半の真っ只中に起きました。 キケのいるベンチの目の前で味方選手がボールを持っているとき すかさずキケはとんでもないデカイ声で「縦にパスだ!」と いつも通りに叫びました。 そして、その選手がキケの指示に従うかのように縦にパスを出した時 そのパスを「待ってました!」とばかりに敵にカットされてしまいました。 そしてその瞬間、キケがすかさず真顔で怒鳴り出したのです。 「俺が“縦にパス!”と叫ぶから、敵も“あっ、縦にパスが来るな”と思うんだろうに!そんなときに素直に縦にパスを出すヤツがどこにいる!そこは内にドリブルだろうに!」 監督の指示通りに縦パスを出したのですから、褒められることがあるにせよ 怒られることはないはずだと誰もが思った瞬間、罵声が飛んできたのですから たまりません。 一見、お笑いのネタかと思われるようなキケのこの切り返しですが 本人は至って真剣です。 そして、パスミスをした選手も多少ふて腐れつつも「了解、了解」という ジェスチャーをしながら次のポジションへと移動して行きました。 他人から見たら「右!左!ドリブルだ!パスだ!」と 直接的な指示を出し続けているキケは教え過ぎているのかもしれません。 あるいは、選手をロボットのように操ろうとしている極悪コーチなのかも しれません。 しかし、キケの指導の本質は違います。 彼の指導の中には常に「最終的な判断を下すのは選手。 そのための判断材料をより多く提供するのが監督の仕事」 というコンセプトが存在します。 つまり、キケの罵声はあくまでもアドバイスであって命令ではないのです。 だからこそ、前述のようなエピソードが生まれてくるのです。 そして、(ここが最も大切なのですが)キケのコンセプトはしっかり選手たちにも伝わっている為、キケの選手たちはロボットのようにプレーしたりしません。キケの(罵声のような!)アドバイスの嵐を浴びながらも(浴びているからこそ)彼の選手たちはしっかりと各自で判断しながらプレーしています。 子供たちに指示を出し過ぎることは悪いことなのでしょうか? 子供たちに戦術的なアドバイスをすることは、子供たちから考える能力を 奪ってしまうことに繋がるのでしょうか? あるいは、指導の仕方によっては(例えばキケのような指導方法であれば) サッカーの戦術的な指導をすることによって、子供たちの考える能力を 更に伸ばせるのではないでしょうか? キケの指導を見ながらそんなことを考えさせられました。 ちなみに、このキケのエピソードを目撃した時、私とコーチ仲間は 真顔のキケがいるベンチの横で大爆笑していました。 そして、ベンチにいた控えの選手たちは監督が真顔なだけに 笑ってはいけない状況だと理解し、必至に笑いをこらえていました。 キケ監督、最高です。
【同ブログ内の関連記事】
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posted by 村松尚登 |17:23 |
バルサを越える為のヒント集 |
コメント(8) |
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Re:子供にコーチがたくさん指示を出すことは悪いことですか?
コメント投稿者ID :
>「最終的な判断を下すのは選手。そのための判断材料をより多く提供するのが監督の仕事」
教育論という観点からも全面的に賛成いたします。
posted by 西久保 | 2007-04-25 19:22
コメントありがとうございます
コメント投稿者ID :
西久保さん、コメントありがとうございます。
西久保さんのそのお言葉、キケに伝えておきます。
posted by 村松尚登 | 2007-04-26 07:04
Re:子供にコーチがたくさん指示を出すことは悪いことですか?
コメント投稿者ID :
また、コメントさせて頂きます。
キケの哲学(?)には感心しますね。
普通は自分が指示を出して、それがダメだったときは指示を出した大人が凹む人が多いと思うのですが、そこを自信を持って『違うだろ?』と言える事これは簡単な事ではない気がします。
まず、『絶大な信頼』を得てるから言えるのでしょうね?誰でも同じ指導方法を取れるという技じゃないと思います。
下手をするとコーチ自身のの信頼をなくしかねませんから。
あと、前の話(戦術を・・・)ですが、経験が浅いから判断できないという方も結構いますが、それをいっぱい経験できる環境をまず日本にも作ってあげないとダメですね。
私自身も小学校時代の経験が少なく、高校サッカーの戦術理解が低かった、と自分で感じてるので・・・
その点では、俺の中学時代(15年くらい前)の戦術理解より、息子(5歳)の戦術理解度の方が高いような気がします。
それは、Jリーグがあるおかげだと思っています。
海外サッカーも視聴はできますが、テレビだと戦術の理解は不可能に近いと思っています。
あと、日本(関西?)だと小学校3年生以下の大会やチームが少ない感じがします。
なので、他を知らずに息子が『井の中の蛙』に成る事が一番怖いと思っているのですが、人によっては「小さいうちは天狗で良い!」と言ってる方もいたのですが、年長になった今年に小学校スクール(1年生~3年生)にも参加させて貰ってます。
怪我のリスクとかもコーチと話をしましたが、息子自身も小学校スクールが楽しい!と言っているので参加させています。
何か、話がそれてきました・・・
いっぱい書きたい事や聞きたい事があるのですが、余計に話題がそれていきそうなので、このへんにしときます。
posted by 御影工55 | 2007-04-26 18:11
御影工55さんへ
コメント投稿者ID :
御影工55さん、コメントありがとうございます。
キケは試合中や練習中は誰よりも真剣ですが、いったんスイッチがオフになると冗談ばっかり言っているふざけた奴で、それは選手の前でも同じです。そのため、試合中にいっくらキケが怒鳴っても、選手たちはキケの怒鳴り声には恐怖心を抱いたとしても、キケ自身には全く恐怖心を抱かないんですよね。「絶大な信頼」が成せる技なのだと思います。
ところで、年上の練習に参加することはいい事だと思いますよ。想像するに、年上の子供が気を使ってくれると思いますから、怪我をさせることはあっても、怪我をさせられることはないと思いますよ。
気兼ねなくガンガン書き込んで下さい。その方が僕も書き甲斐がありますから。
今後ともよろしくお願い致します。
posted by 村松尚登 | 2007-04-26 23:00
Re:子供にコーチがたくさん指示を出すことは悪いことですか?
コメント投稿者ID :
丸めがねです。
村松様、面白いエピソード、ありがとうございます。コーチをしている人は案外、似たような経験している人多いと思います(笑)。
私自身も実はけっこうベンチからたくさん声を出すタイプですが、熱くなりやすいもので、チームの流れが悪い時は特に出てしまいます。子供たちと一緒になって走っているような感じとでも言いましょうか(笑)。
前回の私のコメントはちょっと誤解を生みやすいものだったかも。眠気と戦いながら打ち込んでたので、読み返しもせずに投稿してしまいました(汗)。
戦術の件に関してもう少し説明させてください。
全く私の説明不足ですが、低学年に戦術は教えなくて良いというのは、細かいフォーメーションやチームとしての体系的な戦術、ということを表現したかったのです。個人の戦術は個人個人のレベルに合った内容を伝えてゆくべきだと勿論思っています。
更に具体的に言えば、3年生くらいから徐々にチーム戦術を提示してゆけばいいと、私の個人的な経験からは判断しています。
ただ、これはお国やチームの違いによっても変わってくるのでしょう。
子供たちが皆、御影工55さんのお子さんのように早いうちから高い理解があれば、コーチング内容も変わるでしょうし。そういう子達は勝手に大人のようなサッカーをしますから、「こう言う手もあるよ」とか言ってやってます。そういった子たちから少しずつまわりに波紋のように影響が与えられてゆき、気がついた子が真似をする。大人はヒントを与えてあげる。
村松さんの仰るように「遊び」感覚で学んでゆけばいいと思います。
私の経験しているチームは多分、日本の平均的な少年サッカークラブで、運動音痴の子もいれば、親にいわれて来ているような子もいます。ちょっと田舎なのでゆったり系の子も都会の子と比べて多いですね。
関東では1年から各学年単位での大会があるところが多いようですよ。
キケさんの話でわかるように、指導方法は千差万別当たり前ですよね。日本人は画一的になりがちなので、サッカー協会のことばかり信じないで、人がこやるんだったらこっちはこう、くらいでいいんじゃないでしょうか。
posted by 丸めがね | 2007-04-26 23:25
Re:子供にコーチがたくさん指示を出すことは悪いことですか?
コメント投稿者ID :
>子供たちが皆、御影工55さんのお子さんのように早いうちから高い理解があれば、
>コーチング内容も変わるでしょうし。
というコーチの目線での一言にピンときました。小学校スクールでの活動をOKしてもらった時に「今まで通り幼稚園スクールにも参加して欲しい」と言うお願いもされました。
私的には、『ドリブルで人を抜く感覚を覚えるのに良いかな?』くらいにしか思ってなかったのですが
最近になって『手本として続けて欲しい』という事も言われたので丸めがねさんのおっしゃってる事と一致してすごい納得しております。
村松様
これからもドンドン書き込まして頂きます。
教えるより、プレーする方がまだまだ好きな自分ですが、宜しくお願いします。
posted by 御影工55 | 2007-04-27 08:43
御影工55さんへ
コメント投稿者ID :
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
posted by 村松尚登 | 2007-04-27 19:50
丸めがねさんへ
コメント投稿者ID :
丸めがねさん、コメントありがとうございます。
確かに、前回の丸めがねさんのコメントは誤解を生んでいましたね。今回のコメントによってその誤解が晴れたので、めでたしめでたしです。
スペインの環境の素晴らしい点は、各選手が各自のレベルにあったチームを選択できることです。そのため、ひとつのチームに極端にレベルの違う選手が共存することはなかなかありませんので、指導者としても練習や試合をオーガナイズし易いです。
それにしても、日本サッカー協会の影響力は大きいですよね。何故でしょう? ちなみに、スペインでは大会運営などでは協会はもちろん力を持っていますが、指導方法などについては全くもって影響力を持っていません。クラブチームの方がよっぽど影響力を持っていますね。
posted by 村松尚登 | 2007-04-27 19:58
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