日本はバルサを超えられる

戦術的ピリオダイゼーション哲学の概要

このエントリーをはてなブックマークに追加

全然自信がありませんが、戦術的ピリオダイゼーション哲学(PTP)の概要を一度書き出してみようと思います。私自身もまだPTPを完璧に理解しているわけではないので、もしかしたら誤っている部分もあるかもしれませんがご了承下さい。また、ここに書くことは全て私自身のフィルターを通した解釈なので、多少私のカラーが出ると思いますが、その点も合わせて予めご了承下さい。(※誤りを発見した場合は直ちに訂正させていただきますね)



【ピリオダイゼーションとは?】
スポーツ界における「ピリオダイゼーション」という単語の定義は、簡単に言うと「トレーニングの内容や負荷を時期や期間に応じて変えていくこと」です。(※定義の詳細はこちらを参照にして下さい)

【ピリオダイゼーションはフィジカルの負荷が基準】
そして「ピリオダイゼーション」のコンセプトに則って「トレーニングの内容や負荷を時期や期間に応じて変えていく」ための基準として考えられているのは、フィジカルの負荷です。例えば、プレシーズンの初期において“(どのスポーツでも必要とされる)基礎的体力”の向上を目指し、そのあとに“(特定のスポーツで求められる)専門的体力”の向上を目指すという流れは、まさに「ピリオダイゼーション」がフィジカル面をベースに考えられている証拠です。

【例:試合期の1週間の流れ】
もうひとつ例を挙げるとすれば、試合期の1週間の流れでしょう。プロチームの多くは、試合の翌日には体力回復のための軽いトレーニングを行い、その次の日に休日を置くチームが多いと思います。また、試合前日にはフィジカルの負荷が少ない軽いトレーニングを行うというのも定番化されています。これも「ピリオダイゼーション」がフィジカル面を中心に考えられている証拠です。

【ピリオダイゼーションはフィジカルコンディションの用語】
このように、スポーツ界においては「ピリオダイゼーション」という単語は「いかにして理想的なフィジカルコンディションで試合に臨むか」という視点を最重要視しています。そして、フィジカルコンディションをベースに考えながら、その枠内でテクニックや戦術のトレーニングを行いましょう、という流れでトレーニングメニューが組まれて行きます。

【これに“戦術的”という単語が付くと?】
そもそもがフィジカル面をメインにしている「ピリオダイゼーション」という単語に「戦術的」という単語がくっつくと、いったいどういう意味になるのでしょうか? フィジカルと戦術という別世界のモノがくっついたわけですから、少し理解に苦しみます。

【戦術をメインに考えたピリオダイゼーション】
簡単に言ってしまえば、“戦術的ピリオダイゼーション”とは「時期や期間に応じて戦術的負荷を変更しトレーニングメニューをプログラムして行く」ということです。

【戦術的負荷??】
さて、突然飛び出した“戦術的負荷”というのはいったい何なのでしょう? この言葉こそが“戦術的ピリオダイゼーション”の最も重要なキーワードなので、この言葉の意味を正確に理解しないとこの哲学の本質自体を誤解してしまう危険性がありますので、細心の注意が必要です。ですから、この“戦術的負荷”という単語を正確に理解するために、“戦術的ピリオダイゼーション”の他の側面を覗く小旅行に少し出ることにしましょう。

【フッボールはフッボール】
まず大前提として“戦術的ピリオダイゼーション”にとって『フッボールはあくまでもフッボール』です。決して「フッボール=テクニック+戦術+体力+精神力」という形でフッボールを分割して考えたりしません。よって、トレーニング自体も『フッボールはフッボールをトレーニングすることによってのみ上達する』というコンセプトのもとオーガナイズされます。

【フッボールは戦術】
“戦術的ピリオダイゼーション”を正確に理解するためには、この哲学におけるフッボールの捉え方をしっかり理解しなければいけません。例えば『フッボールは戦術』という考え方を“戦術的ピリオダイゼーション”はしています。

【フッボールは状況判断】
『フッボールは戦術』というコンセプトとほとんど同意語ですが『フッボールは状況判断』という考え方も“戦術的ピリオダイゼーション”にはあります。ですから、練習メニューを作成する場合にも常に『状況判断が含まれているか?』ということを考慮します。

【戦術の基本はチーム戦術】
また、“戦術的ピリオダイゼーション”は『戦術の基本はチーム戦術』という考えも持っており、そのチーム戦術をより詳しく理解するためにグループ戦術や個人戦術が存在すると考えています。つまり、戦術とは「大まかな全体から細かな全体へ」という形で構成されており、決して「細かな部分から細かな全体へ」という構成ではないということです。(※参考資料はこちら【フッボールは大理石の彫刻】
前述のような「大まかな全体から細かな全体へ」という解釈の仕方は、決して戦術のみのことではなく、“戦術的ピリオダイゼーション”のフッボール全体の解釈の仕方でもあるといえるでしょう。ですから、“戦術ピリオダイゼーション”の世界では例えば「テクニックと個人戦術を身に付けた後にグループ戦術に進む」というような「基礎から応用へ順々に進む」という考え方はありません。その全く逆で、“戦術的ピリオダイゼーション”はフッボールを『大まかな全体から細かな全体へ』と解釈しているので、言葉を変えると『フッボールは大理石の彫刻』と解釈しているということになります。

【フッボールはフッボールをトレーニングすることによってのみ上達する】
この『大まかな全体から細かな全体へ』や『フッボールは大理石の彫刻』という考え方は(これまた)前述の『フッボールはフッボールをトレーニングすることによってのみ上達する』という考えと密接につながっています。なぜならば、大理石の彫刻を彫る場合にもある部位を独立して考えることはせずに、常に全体のバランスを考えながら各部位を少しずつ彫って行くからです。ですから“戦術的ピリオダイゼーション”の世界では、テクニックだけの反復練習や、戦術のみのトレーニングや、体力だけのトレーニングというものは存在しません。

【フッボールは攻守の切り替え】
“戦術的ピリオダイゼーション”では攻守の切り替えをとても重要視しています。『フッボールは攻守の切り替え』と解釈していると言っても過言ではありません。そのため“戦術的ピリオダイゼーション”では攻守の切り替えのないトレーニングメニューを極力嫌います。

【トレーニングはチームプレーの改善の為のみに存在する】
“戦術的ピリオダイゼーション”において「個を育てる」というコンセプトはありません。あくまでも『トレーニングはチームプレーの改善のために存在する』というコンセプトのもとトレーニングが行われます。なぜならば、フッボールは戦術であり、戦術の基本はチーム戦術だからです。

【チームが成長する過程でのみ選手は育つ】
では“戦術的ピリオダイゼーション”では「個の成長」をおろそかにしているかというと決してそうではありません。“戦術的ピリオダイゼーション”では『フッボールチームが成長する過程でこそフッボール選手個人が伸びる。なぜならば、フッボールはチームスポーツであり戦術だからだ。このような特徴を持ったフッボールの世界で活躍できる優秀なフッボール選手は、チームが成長する過程でのみ成長する』と考えているのです。

【トレーニング理論ではなくフッボール哲学】
ここまでお読みいただければ、だいたい“戦術的ピリオダイゼーション”のフッボール観がお分かりいただけたかと思います。と同時に“戦術的ピリオダイゼーション”が単なるトレーニング理論ではなく、ひとつの“フッボール哲学”であることがお分かりいただけたと思います。

さて、話を『戦術的負荷』に戻す前に“戦術的ピリオダイゼーション”の具体的なトレーニング特徴をいくつかご紹介したいと思います。これらをご覧頂ければ『戦術的負荷』を容易に理解できるようになると思います。


【フィジカルトレーナーは必要ない】
まず特筆すべき点は“戦術的ピリオダイゼーション”ではフィジカル面を独立してトレーニングするというコンセプトを持っていないため、フィジカルコーチを必要としていないという点です。事実、同理論を率先して取り入れているモウリーニョはフィジカルコーチを帯同していません。

【プレシーズンにフィジカルトレーニングをしない】
通常、プロチームのプレシーズンはフィジカルコンディションを基礎から作り上げていくために「基礎体力 → 専門体力 → ゲーム形式」という流れで構成されていますが、“戦術的ピリオダイゼーション”ではそのような考え方は全くありません。なぜならば、“戦術的ピリオダイゼーション”におけるトレーニングの負荷基準は決して「体力的負荷」ではなく「戦術的負荷」だからです。例えば、モウリーニョはプレシーズンの3日からまるでシーズン真っ只中のような実戦に即したトレーニングを行うようです。

【敵のいない状態でのテクニックの反復練習はNG】
“戦術的ピリオダイゼーション”にとって『フッボールはフッボール』ですから、敵のいない状況でのトレーニングを嫌います。それは、プロだけでなく育成年代でも同様です。例えば、敵のいない状況でのテクニックの反復練習を嫌います。なぜならば、そのような練習では「敵のいない状態でのテクニックが上手くなるだけ」だからです。つまり“戦術的ピリオダイゼーション”には「まずは敵のいない状態でテクニックの基礎を身に付け、その後に敵のいる状態でそのテクニックを応用してみよう」という考えは存在しないのです。

【コーンを並べてのジグザグドリブルもNG】
ですから、コーンを並べてのジグザグドリブルの練習も“戦術的ピリオダイゼーション”としてはNGです。対象が小学生でも同様です。なぜならば、この練習では試合中に使えるドリブルが上達するのではなく「コーンを並べてのジグザグドリブルが上手くなるだけ」だからです。

【攻守の切り替えのない2対1の攻防もNG】
よくありがちな攻撃側が2名で守備側が1名の、ボールを取られたらその場でプレーが止まるという、な攻守の切り替えのない2対1の攻防の練習もNGです。ぜならば、この練習で上達する能力は「攻守の切り替えのない状態での2対1の能力」だからです。

【10回ボールを奪ったら攻守交替のボール回しもNG】
例えば「6対3のボール回し。ディフェンスが10回ボールを奪ったらディフェンス交代」という練習もNGです。なぜならば攻守の切り替えがないからです。この練習で伸びる能力は「10回奪ったらディフェンス交代」という能力だからです。


【戦術的負荷とは?】
さて、これだけ“戦術的ピリオダイゼーション”に関する予備知識を知れば『戦術的負荷』についても容易に理解できると思います。それでは“戦術的ピリオダイゼーション”のキーワードのひとつである『戦術的負荷』について考えてみたいと思います。
決して『戦術的負荷』だけを独立した形で理解しようとはしないで下さい。くれぐれもここまで書いてきた“戦術的ピリオダイゼーション”の多種多様なコンセプトを加味した形で『戦術的負荷』を理解して下さいね。それでは、いくつか『戦術的負荷』のコンセプトを書き出してみたいと思います。

・『戦術的負荷』とは戦術的難易度のこと
・『戦術的負荷』とは頭脳的難易度のこと
・『戦術的負荷』とは状況判断的難易度のこと
・ 状況判断がない状況は『戦術的負荷』がゼロということ
・ 人数が増えれば『戦術的負荷』は高まる
・ スペースが狭まれば『戦術的負荷』は高まる
・ 扱う戦術コンセプトが増えれば『戦術的負荷』は高まる
・ プレーが継続すれば『戦術的負荷』は高まる
・ 脳や神経が疲労している時は『戦術的負荷』を下げた方がいい
・ 脳や神経が疲労していないのであれば『戦術的負荷』を上げてもいい

“戦術的ピリオダイゼーション”においては、このような『戦術的負荷』を基準にして練習負荷を設定し練習メニューを作って行きます。


【まとめ】
全くもってまとまりがありませんが、これだけ書き出せば“戦術的ピリオダイゼーション”の概要はお分かりいただけたのではないでしょうか。なお、ここでは理論的な説明を省いているため“戦術的ピリオダイゼーション”が単なる架空の理論のように思われるかもしれませんが、真の“戦術的ピリオダイゼーション”は脳内科や神経内科の知識や学習学(!?)や学習心理学の理論をベースに明確に理論的に構築された理論であり哲学です。

さて、いかがでしょう?
皆さんの感想をお聞かせ下さい。

1ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
戦術的ピリオダイゼーション理論とは?
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

あいはらさん、コメントありがとうございます

相原健志さん、コメントありがとうございます。

いつでもご連絡ください。僕のメールアドレスは、同ブログの「はじめに」のカテゴリーに書いてあります。

戦術的ピリオダイゼーション哲学の概要

はじめまして。

とても興味深く読ませて頂きました。サッカークリニックでの貴連載も今日まさに目を通し、非常に面白く感じました。

いま僕は大学院で研究をしておりまして、サッカーからいかに哲学的なことを言えるのか、というとても大きな問題意識を抱えています。
専門はスポーツ科学や実地のトレーニング・指導・コーチングではなく(プレーヤーとしても平凡すぎるほど平凡です)、こてこての人文科学(哲学と文学をこれまで勉強してきました)を現段階ではやっています。
ですが、昔からやはりサッカーが狂いそうなくらい大好きで、何かサッカーから哲学的なことを引き出して語ってみたい。世に問うてみたい思いを抱えながら悶々としていました。

ぜひ一度お話を伺ってみたいです。
ポルトガル語、スペイン語は読めるので(メキシコ留学経験があります)、一度勉強したいのですが…
本気でいまサッカー「からの」哲学を構想しているので、一度本当にお話を伺わせて頂きたいのですが、可能でしょうか。

ぶしつけで申し訳ないのですが…

よろしくお願い致します。

戦術的ピリオダイゼーション哲学の概要

すばやい反応ありがとうございます。
ポルトガル語ですね。
とりあえずジュンク堂にでも行って「初級ポルトガル語」的な本をあさってみます。

セーゴルフさん、コメントありがとうございます

セーゴルフさん、コメントありがとうございます。

是非PTPを研究対象にしてください。期待しています。

そのためには、まずはポルトガル語の勉強をお勧めします。PTPの資料や本は、ほとんどがポルトガル語ですからね。スペイン語でも少ないですから、、、。

期待しています!

こんな記事も読みたい

ブロガープロフィール

profile-iconnaoto

【Facebook】
https://www.facebook.com/naoto.muramatsu.7

【今年の三つの抱負】
・速読の習得
・ビデオ編集の習得
・英語の継続的な学習

【最近の好きな言葉】
・ドウスルジブンガスキデスカ?
・If people don't laugh at your dream,the dream is not big enough.
・Be Water My Friend
・More is Different

【指導の三本柱】
・戦術的ピリオダイゼーション理論
・Be Water My Friend
・速読術&脳トレ

【メールアドレス】
cruyffista+blog@gmail.com
  • 昨日のページビュー:297
  • 累計のページビュー:4251682

(11月16日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. バルサスクールの定番練習メニュー (6歳からポセッションゲーム)
  2. ミニハードルとラダートレーニングはサッカーに不向き?
  3. ブラジル体操は体幹の可動域を回復するためだった!
  4. 戦術的ピリオダイゼーション哲学の概要
  5. 古武術の『膝の抜き』の秘密はハムストリングの伸張反射!?
  6. 一本歯下駄が面白い
  7. 「相手を騙す」ことをトレーニングしていますか!?
  8. 骨盤前傾が大切な理由は大腰筋の伸張反射!?
  9. 最近のお気に入り練習メニュー Part, 2
  10. moltenのTR430(大きさは3号球、重さは5号球のボール)の実験

月別アーカイブ

2013
09
08
07
03
2012
07
06
05
02
01
2011
12
11
10
09
08
07
06
04
03
02
01
2010
12
11
07
06
05
04
03
02
01
2009
12
11
10
09
08
07
06
05
03
02
01
2008
12
11
10
09
08
07
06
05
04
03
02
01
2007
12
11
10
09
08
07
06
05
04

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年11月16日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss