日本はバルサを超えられる

長期コーチ留学の新たな形 「Give&Takeなコーチ留学」

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最近私は“Be Water My friendの人体実験”のことで頭がいっぱいなのですが、その最中にふと「スペインへのコーチ留学のコンセプトの根本的な見直し」という実験とは全く関係ないテーマに思考が飛んで行ったので、その内容を忘れないうちに書くことにします。

以下、本題に入ります。



【Take&Takeはズルくないか?】
私は大学を卒業してすぐに指導の勉強のためにバルセロナに来たのですが、その際私の頭の中は「スペインで多くの事を学びたい」という願望に満ち溢れていました。言ってみれば、自分が受け取るばかりの「Take&Take」です。「学ぼうという気持ちのどこが悪い?」と言われてしまえばそれまでですが、23歳の大の大人が受け取るばかりというのは何だか少しズルイのではないでしょうか?

【スペインは日本より進んでいる?】
そもそも「スペインで多くの事を学びたい」という私の思考の基盤には、「サッカーの面でスペインは日本よりずっと進んでいる」という“大前提”があったような気がします。もちろん、大学在学中に4年間既に指導には携わっていましたし、体育学部でスポーツ科学を勉強した者としては、ある程度の自信は持ち合わせていたのですが、「サッカーの面でスペインは日本よりずっと進んでいる」という自分が勝手に作り出した“大前提”は持っていたような気がします。

【日本はスペインより進んでいる?】
そんな謙虚(!?)な考えを持っていた私ですが、バルセロナにやって来て実際に指導現場に立ちスペイン人に指導してみると、以外に自分の指導がスペイン人にもきちんと通用することに気付きました。日本で身に付けたサッカーの戦術知識も、大学で学んだスポーツ科学の知識も、自分が得意としている練習メニューも、全てスペインでもしっかりと通用しましたし、スペイン人にもきちんと評価されていたと思います。

【足を引っ張る語学】
ただ、全てが順調だったわけではありません。最大のネックは語学でした。語学がしっかりしていなければ、自分が知っている知識を選手にしっかり伝えられません。語学がしっかりしていていなければ、選手の言っている事(罵声を含む)が理解出来ません。語学がしっかりしていなければ、練習をしっかりとオーガナイズで来ません。語学がしっかりしていなければ、発する言葉に感情を込める事が出来ず、大根役者のような棒読みになってしまいます。語学がしっかりしていなければ、自信を失い消極的な行動が増えてきてしまいます。語学がしっかりしていなければ、反論できません。語学がしっかりしていなければ「お前は本当に分かっているのか?」と疑われてしまいます。語学がしっかりしていなければ、試合のハーフタイムに的確な戦術的な指示が出せません。語学がしっかりしていなければ、選手にナメられます。結局のところ、語学がしっかりしていなければ、たとえ頭の中に色々詰まっていたとしても現場でいい指導は出来ません【語学に自信を持てたのは4年目?】
自信を持って感情を込めてスペイン語で指導ができるようになったのは、バルセロナに来てから4年目以降だったと思います。それまでに様々な屈辱を味わいましたが、それは語学のレベルが低い自分のせいだったと思います。事実、この4年間に自分の指導力が飛躍的に伸びたわけではなく、日本で学んだ事をスペイン語で表現できるようになっただけなのにもかかわらず、4年目以降はスペイン人に自分の指導を褒められる事が極端に増えたような気がします。結局は、語学力が足かせになっていたのだと思います。

【語学は日本でやるべし】
スペイン人に指導するという経験はスペインに来なければ出来ません。スペインのフッボールに生に触れて色々と学ぶことも、スペインに来なければ出来ません。しかし、スペイン語の勉強は日本在住中でも出来ます。それならば、日本でも出来る語学は日本にいる間にやっておいた方が、実際にスペインに降り立った後に直ぐにスペインでしか出来ないことに集中できるので、とても効率的だと思います。誰にも(語学を何も勉強せずにスペインに来てしまった)私の失敗を繰り返して欲しくありませんから「語学は日本でやるべし」ということを私は強く勧めします。

【脱線】
すいません、話が脱線してしまいました。話を「Take&Take」まで戻すことにします。

【Give&Takeのススメ】
「Take&Take」という単なる一方通行の関係を期待してスペインにコーチ留学するというのは、やはり少し寂しい気がするのは私だけでしょうか。どうにかして「Give&Take」の形にして「Win&Win」の関係をスペインフッボール界と構築した方が“素敵”な気がするのは私だけでしょうか。それに、「Take&Take」よりも「Give&Take」の関係を築いた方が、相手もより多くのモノをGiveしてくれるのではないでしょうか?

【はじめの一歩】
前述の通り、私が日本で学んできた戦術理論やスポーツ科学の知識はスペインでも通用しましたから、あなたがこの部分を日本で勉強してからスペインに渡れば、この部分をあなたはスペインフッボール界に対して「Give」できるということになります。(お、なんだか「Give&Take」に一歩近づきましたね)

【スポーツ科学は世界中どこででも学べる】
ただ、悲しいことかな、国際化が進んでいる現代社会において一般的なスポーツ科学というのは世界中どこでも学べるのです。そのため、例えばスポーツ生理学の速筋・遅筋だとか、ミドルパワーだとか、プライオメトリックスという知識も、スポーツ心理学のイメージトレーニングの知識も、既にスペインのコーチングスクールでも取り上げられています。(当然ですよね)そのため、あなたが日本で学んできたこれらの知識を「Give」しようとしても、予備知識のないスペイン人指導者であれば「おっ!」と驚いてくれるかもしれませんが、ある程度勉強熱心なスペイン人指導者には「そんなの俺らも知っているよ」と言われる可能性が高いです。(あら、なんだか「Give&Take」から少し離れてしまいましたかね、、、)

【スポーツ科学なども日本で学ぶべし】
では、「Give」にならないのであればスポーツ科学などを日本で勉強する意味はないかというと、そんなことはないと思います。語学と同様に、日本でできることは全て日本で学んできた方がいいと私は思います。何故ならば、その方が留学先でより効率的に時間が使え、かつより充実した留学生活が過ごせると思うからです。それに、スポーツ科学に関する予備知識がゼロの状態でスペインのコーチングスクールに通いスポーツ生理学やスポーツ医学などをスペイン語経由でゼロから学ぼうとするのは、とても困難です。それならば、母国語である日本語経由で学んだ方がどう考えても効率的です。

【戦術理論も日本で学ぶべし】
戦術理論についてもスポーツ科学と同様です。情報伝達手段が驚異的に発達した現代社会においては、世界中どこにいてもバルサやチェルシーやACミランの最新の戦術知識を得る事が出来ます。また、日本には戦術トレーニングに関する本も多数出ていますし、指導者向けの雑誌も多数ありますから、それらを読んで学ぶことも日本でできます。例えば、私が先日読んだ「図解 オシムの練習」という本の内容はスペイン人のコーチ仲間にも好評でした。
こう考えていくと、語学やスポーツ科学と同様に、戦術に関しても日本にいる間に勉強できる部分がたくさんあるということになります。

【再度脱線】
また脱線してきていますね。改めて話を「Give&Take」まで戻すことにします。

【日本人独特の“Give”を考えてみる】
日本を出発する前に語学もスポーツ科学も戦術もある程度学んだと仮定しましょう。その上で、スペインに到着した際に「Take&Take」という一方通行の関係ではなく「Give&Take」という理想的な相互関係をスペインフッボール界と築くことは出来ないでしょうか?
私は出来ると思います。しかも、「Give」するための“武器”が日本にはたくさん隠されていると思います。それは、日本発の新しいトレーニング理論たちです。

【バルサは日本の理論を必要としている?】
例えば、バルサのトップチームはここ数シーズン常に筋肉系の怪我に悩まされており、今シーズンも既にトゥーレ・ヤヤ、サンブロッタ、ミリート、プジョール、ロナウジーニョなどが肉離れなどの筋肉系の怪我に苦しんでいます。マスコミも大々的に取り上げ「バルサの怪我予防対策は改革を必要としている」と警笛を鳴らしています。
私はバルサのトップチームがどのような怪我予防対策を行っているかは分かりませんが、間違いなくそのレベルは世界トップクラスのはずです。しかし、筋肉系の怪我に悩まされ“続けている”というのもまた事実です。
そんな中、筋肉系の怪我の予防に効果があるとされている日本発の理論が存在します。キネシオテープや初動負荷トレーニングなどです。私はこれらの理論に詳しくないため、バルサにプレゼンテーションをする事が出来ませんが、もし詳しかったら今すぐにでもプレゼンテーションしていると思います。そして、これらの日本発の理論にバルサの(筋肉系の怪我に苦しんでいる)トップチームが興味を示す可能性はゼロではないと思います。(※キネシオテープはスペインでも知られつつありますが、まだメジャーではありません)

【日本人が“Give”できる日本発の理論たち】
キネシオテープや初動負荷トレーニング以外にも、加圧トレーニング、古武術、ゆる体操、股関節活性化ドリル、4スタンス理論、レッシュ理論(今見つけました)、体幹内操法、二軸動作など、日本発の興味深い理論がたくさんあります。日本にはこれらの理論の日本語の情報(本やDVD)が溢れていますが、スペイン語にはほとんど訳されていませんので、スペイン人がこれらの理論を“直接”知る術は今のところ存在しません。また、日本在住者であれば実際にそれぞれの理論の講習会に参加することも可能ですから、これらの理論の中からあなた自身が「これだ!」と思える理論を見つけ出すことも簡単ですが、スペイン在住のスペイン人にとっては不可能です。つまり、日本発の新しい理論に関しては、日本在住のあなたの方がスペイン人よりも明らかに有利な立場に立っているのです。

【日本人にしか出来ない“Give&Take”なコーチ留学のススメ】
もちろん、理論だけを学んで頭でっかちになっただけでは何の意味もありません。しかし、これらの理論をフッボールの現場に応用できるレベルまであなたが習得したとしたら、あなたは間違いなくスペインフッボール界と高次元の「Give&Take」の関係を築く事が出来るでしょう。何故ならば、これらの日本発の理論は彼らにとって全く新しい理論だからです。

スペインへの長期コーチ留学を考えている皆さん、単なる一方通行の「Take&Take」ではないちょっと捻った「Give&Take」なコーチ留学をしてみませんか。特に、日本独特の日本発の理論を利用しての「日本人にしか出来ない“Give&Take”なコーチ留学」はお勧めです。きっと高次元の充実した留学生活が過ごせると思いますよ。


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この記事へのコメントコメント一覧

pandianiさん、コメントありがとうございます

pandianiさん、コメントありがとうございます。
こうして過去の記事にコメントをいただくととても嬉しいです。

 > ちなみに、アメリカ国務省の調査(アメリカ人学生に集中的にいろいろな外国語を学ばせた)によると、それなりのレベルに達するまでに最も時間のかかった言葉の一つは日本語らしいです(88週)。それに対し英語に近いスペイン語やイタリア語は22週しかかかっていません。少し古いデータで、個人差もあるのでなんとも言えませんが、日本人にとって英語は大変な言語であるということが推測できます。英語がんばりましょう。

とても面白いデータですね。日本語がどれだけ特殊な言語かが垣間見れるデータだと思います。


 > ところで、こっちにきてからプレミアリーグをよく見るんですが、よく試合後の分析で、失点が誰の責だったかを名指しで明白にしています。Jリーグでは見たことはありません。スペインリーグもこうなんでしょうか?

ん~ん、そういう意識でスペインリーグの解説を見たことがないので記憶にありません。しかし、それほど気ならなかったってことは、それほど気になるほど名指しで指摘していなかったということのような気もします。

どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、教えてください。m(_ _)m

今更ながら

たまたまこの記事を見つけ、語学についての記述に非常に共感しました。私は英語教師を目指している者です。この記事は僕の未来の生徒に読ませたいです!今、留学中で日々英語と格闘しています(一生終わることはない)。この留学の前に一度短期で留学していて、まさに日本でできることの多さを実感しました。ちなみに、アメリカ国務省の調査(アメリカ人学生に集中的にいろいろな外国語を学ばせた)によると、それなりのレベルに達するまでに最も時間のかかった言葉の一つは日本語らしいです(88週)。それに対し英語に近いスペイン語やイタリア語は22週しかかかっていません。少し古いデータで、個人差もあるのでなんとも言えませんが、日本人にとって英語は大変な言語であるということが推測できます。英語がんばりましょう。
ところで、こっちにきてからプレミアリーグをよく見るんですが、よく試合後の分析で、失点が誰の責だったかを名指しで明白にしています。Jリーグでは見たことはありません。スペインリーグもこうなんでしょうか?

龍君、コメントありがとうございます

龍君、コメントありがとうございます。

素晴らしい環境にいるのですね! うらやましい限りです。

その年齢で海外に行けるのであれば、Give&Takeなんて深く考えずに、選手として精一杯留学先でサッカーを満喫してきて欲しいです。そのためにも、留学先ですぐにプレーするためのクラブを探し、直ちに選手登録を行い、なるべく早く公式戦に(毎週末!)出場して欲しいです。

選手としてのその経験は、きっと将来指導者としてそして人間として龍君に大きな好影響を与えてくれることでしょう。

陰ながら龍君のことを応援しています!頑張れ!

長期コーチ留学の新たな形 「Give&Takeなコーチ留学」

初めまして。
私は今高校2年でサッカー部に所属しています。
現在私の所属するサッカー部の顧問はサッカー未経験者であるため、練習メニューなどは自分達で考えています。

私は将来的には出来ればヨーロッパで、もしくは高校でサッカーを指導する立場になりたいと思っており、上記のような自分達で考えたメニューを実践できる、なかなか経験できない将来的に財産にもなりそうな環境にあります。
また、村松さんの著書も読み、練習メニューや指導に関する知識を勉強しながら、サッカーの勉強も兼ね、留学も考えています。

早ければ来年にも、もしかしたらフランスへ留学できるかもしれまんせ(語学留学としてですが...)
もし、行けるならば出来る限り語学の勉強をして、サッカーをしたいと思っていますし、同時にあちらの練習方法なども話せるだけのそれまでに勉強したフランス語、英語を使ってでも指導者の方に質問などをしたいと思っていますが、私のような学生でも、行った国で何かGIVEとして役立つことはあるのでしょうか・・・><


PS.あまり関係ないことも書いてしまっている気がしませんが申し訳ありません。。。

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