2007年09月10日
スペインの中小フットボールクラブの運営方法
ご意見箱に仙太郎さんからご質問が届きましたので、テーマごとに分けてご返答させていただきたいと思います。 まずは、以下の部分にご返答させていただきます。
【仙太郎さんのご質問1】 >日本フッボール界の根本的な問題 (日本の想い出 vol 10)に関しまして、とても興味深く、そして共感して読ませていただきました。 >一つ質問があるのですがスペインではスポーツクラブの運営はどのようになっているのでしょうか。 >日本では、欧州型のスポーツクラブを運営しようとすると固定資産税の問題などがあり、採算ベースに乗せることが難しいのが現状です。 >国や地方自治体からは何らかの税控除や補助などがあるのでしょうか。 【スペインにはプロクラブは少ない】 欧州の他国のことは知りませんが、スペインに限って言えば、プロクラブは極端に少ないです。例えば、バルセロナ近辺にあるプロクラブはFCバルセロナとエスパニョールだけで、他の中小クラブは全てアマチュアです。つまり、9割9分のクラブ運営はボランティア、あるいはパートタイマーによって運営されています。 【プロクラブの定義】 では、何をもってプロクラブと呼ぶのでしょうか? 私はクラブ運営に詳しくないので、何をもって「プロクラブ」と呼ぶのか分かりません。ただ、今回のブログを書くに当たっては「クラブ運営に携わることによって生活費がまかなえるだけの月収を得ている人が複数名いる」ということをプロクラブの定義としたいと思います。 【地域クラブは全てアマチュア運営】 バルセロナでは前述の2つのプロクラブを除いて、他のクラブは(ほぼ)全てアマチュア運営です。つまり、中小クラブの運営に携わることによって生活費を稼いでいる人はほとんどいません。フッボールクラブの活動は通常は夕方から夜にかけて行われますから、その運営には、フッボール好きの(昼間は別の仕事(=本職)をしている)人々がボランティア、あるいは交通費程度のお金をもらいながら携わっています。 仙太郎さんはおそらく、「スペインではクラブ運営に携わることによって多くの人々が生活費を稼いでいる」と想像しながら、今回のご質問をされているのではないでしょうか? もしそうであれば、その時点で大きな誤解がありますね。 【指導者もほとんどはアマチュア】 クラブ運営に携わる人だけでなく、指導者もほとんど全てがアマチュア(=副業)です。それは、バルサスクールでもバルサのカンテラ(下部組織)でも同様です。バルサスクールには、バルサスクールでの指導だけで生計を立てている人間は皆無です。また、バルサのカンテラでも8割以上の指導者が副業としてカンテラでの指導に携わっています。 仙太郎さんはおそらく、「スペインでは多くの指導者が指導することによって生活費を稼いでいる」と想像しているのではないでしょうか? もしそうだとしたら、大きな勘違いです。バルサでもほとんどの指導者にとって指導は副業です。 【グラウンドは公共施設】 バルセロナの中小クラブが使用しているグラウンドはほぼ全て公共施設です。つまり、地域のスポーツ普及のために州や市が箱(ハード)を提供し、その箱(ハード)の中でサービス(ソフト)を提供することを委託されているのが中小クラブという構造です。 【みんなで楽しくクラブ運営】 中小クラブと言っても、例えば私が以前指導していた中堅クラブチームは子供から大人まで合わせると約700人の選手を抱えていましたから、その運営が十分複雑であることは容易に想像できると思います。 しかし、前述した通り、中小クラブの運営はボランティア、あるいは副業者で行われています。 では、どうやって運営をしているかというと、頭数を増やす、という単純な戦略です。例えば、前述の700名のクラブを運営するために携わっていた大人の数は、指導者を含めると70人以上だったはずです。 【全グラウンドが照明付き】 忘れてはならないのは、バルセロナの近郊にあるグラウンドには全て照明が付いているという点です。 フッボールが行われる時間帯というのは、スペインも日本とほぼ同じで、平日の夕方から夜にかけてと土・日の終日です。そして、日の長いスペインと言えども、冬の日没は夕方18時前後ですから、日没時刻を気にせずに平日の夕方から夜にかけて年中みんながフッボールを楽しむためには、照明が必要不可欠になってきます。そして、この点をスペインではしっかりと考慮し、全グラウンドに照明が付いており、平日の夕方から夜にかけても日没を気にせずにグラウンドが使用されています。 ちなみに、一般的なスケジュールとしては、小学生年代の練習は18時前後にスタートし、中学生年代は19時前後に、そして高校生や大人のチームは21時前後に練習がスタートします。 【税制面の問題?】 前述の通りグラウンドは公共施設ですから、固定資産税にクラブが苦しめられることはありません。また、ほとんど全ての人がボランティアで中小クラブの運営に携わっていますから、「採算ベースに乗せる」必要性もありません。 【日本を羨ましがるスペイン人指導者たち】 少し話しが飛びますが、「小さなクラブチームを運営することによって生活費を稼いでいる指導者が日本には結構いるんだよ」ということをスペイン人コーチ仲間に話しをすると、みんながみんな羨ましがります。「いいな!俺もできればフッボールだけで生活したい!日本に連れて行け!」とみんなが羨ましがります。 これが、スペインの現状です。 どんなに素晴らしい指導をしているバルサのカンテラの指導者でさえ、そのほとんどはフッボールとは関係ない本職で安定した生活費を稼ぎつつ、夕方以降に副業としてフッボールの指導に携わっているのです。 以上です。 解答になっていますでしょうか?
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posted by naoto |21:08 |
バルサを越える為のヒント集 |
コメント(9) |
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Re:スペインの中小フッボールクラブの運営方法
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私も仙太郎さんと同じ勘違いをしていたのでとても参考になりました。
ところで村松さんもバルサスクールのコーチ以外に仕事をなさっているのですか?
posted by 北沢 | 2007-09-11 00:47
Re:スペインの中小フッボールクラブの運営方法
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村松さん、こんにちは。
仙太郎です。
お忙しい中、丁寧なご回答ありがとうございます。
ヨーロッパには夢のような、環境があると思っていましたが、それは大きな誤解だったようです。
結局は地域の方々の、サッカーにかける情熱がクラブ運営を支えているのですね。
大変参考になりました。
ありがとうございます。
これからも、ご活躍をお祈りしています。
posted by 仙太郎 仙太郎 | 2007-09-11 09:22
Re:スペインの中小フッボールクラブの運営方法
コメント投稿者ID :
どーもです。
ちなみに、村松氏が指導されていた中堅クラブの場合は会費はいくらくらいでしょうか?
また、小学生年代のサッカーの練習は週何回くらい行われていたのでしょうか?
週末のリーグ登録費等も教えてもらえるとありがたいです!
posted by セルベ セルベ | 2007-09-11 16:23
コメントありがとうございます
コメント投稿者ID :
【北沢さんへ】
もちろんです。
【仙太郎さんへ】
やはり誤解されていたのですね。
しかし、多くのフッボールを愛する仲間と共に地域クラブを運営するというのは、ある意味「夢のような環境」だと思いますよ。
【セルベさんへ】
バルセロナにある中堅クラブの平均的な会費は、毎月35ユーロ前後です。(約5,500円)
練習回数は、小学生が週2から3、中学生が3、高校生は3から4です。
協会への選手登録費は、年齢などによって色々とバリエーションがあるので一概には言えないのですが、小学生や中学生は確か選手ひとりあたり年間50ユーロ前後(約8,000円)だったと思います。そして、協会はこのお金で“みんなのためのリーグ戦”をオーガナイズしています。ちなみに、通常クラブはこの選手登録費を各選手が払うクラブ会費の中から捻出していますから、選手側が会費とは別に負担しているわけではありません。
posted by 村松尚登 | 2007-09-11 17:47
夕方から夜にかけて
コメント投稿者ID :
こんばんは。
フッボール(というかスポーツ)が生活の一部になっていて素晴らしいですね。フッボールのクラグだけの話ではないですよね。
で、バルセロナだから、やっぱり日が高いのでしょうか?
posted by 大腹 | 2007-09-11 23:19
コメントありがとうございます
コメント投稿者ID :
【大腹さんへ】
ご想像の通り、バルセロナの日没は日本に比べて遅いですよ。
で、日没時刻とフッボールにいったいどんな関係があるのでしょう?
posted by 村松尚登 | 2007-09-12 04:23
ありがとうございます
コメント投稿者ID :
こんばんは、
言葉が足らずすみません。
以前、テレビでスペインは夜の9時くらいまで明るいと放送していたので(この時点で既に勘違いしてるかもしれませんが...)
それなら、仕事が終わってからでも練習できるなぁと思ってたのですが、
http://blogs.yahoo.co.jp/fb_is_my_life/archive/2007/8/22
↑
く、暗いですね~~
まだまだ私にはフッボールに対する愛情が足りません ;
posted by 大腹 | 2007-09-12 22:20
全グラウンドが照明付き
コメント投稿者ID :
【大腹さんへ】
やっと、大腹さんの思考回路が読めてきました。(苦笑)
おそらく大腹さんは「グラウンドには照明がないもの」と考えていらっしゃるんですよね?
残念でした。私が知る限り、バルセロナの市内・市外にあるフッボールグラウンドには全て照明が付いています。もちろん、照明が暗いグラウンドも多々ありますが、照明がないグラウンドは見たことがありません。つまり「夜も使う」ということを前提にグラウンドが作られ、そして照明が付いているのです。
ですので、日没時刻に関係なく、バルセロナにあるどのフッボールグラウンドでも夕方17時頃から23時頃までフッボールが行われています。
ちなみに、バルセロナの日没時刻は、夏ですと21時過ぎですが、冬は18時前ですので、照明なしではグラウンドの稼働率は極端に下がってしまうでしょうね。と言いますか、照明抜きでスペインのフッボールを語ることはできません。
posted by 村松尚登 | 2007-09-12 23:27
追記
コメント投稿者ID :
大腹さんからのご質問に明確にご返答するために、ブログ内に【全グラウンドが照明付き】という部分を追記いたしました。
posted by 村松尚登 | 2007-09-12 23:44
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