2006年10月16日

清宮の思考が現実化しつつあるサントリーの決定力

 トップリーグ前半戦のヤマと見られていた10月15日に前橋・敷島公園で行われたサントリー対三洋電機の一戦。絶対的な司令塔トニー・ブラウンが前節から復帰し調子を上げ、地元群馬での開催で士気が高かった三洋がなすすべもなく清宮サントリーに41-16で撃沈された。

 清宮監督が自身のブログで「ゲームを支配していましたが、スクラム、ラインアウト、モールでフォワードの圧力が充分あって、そこから結果を出してくれたと思っています」と語るように、この日のサントリーFWは、強く大きい三洋FW相手にスクラム、ラインアウト、ブレイクダウンとも優位に立ち、ほとんど仕事をさせなかった。ラインアウトは18回中10回しか成功させず、スクラムでも後半10分の自陣5mのピンチでの三洋ボールのスクラムを絶妙なコントロールで回し、ことごとくリズムを断ち切った。

 攻撃では、オフロード・パスとディフェンスの背面へ落とすパントキックを効果的に使い、いとも簡単にトライを連取。後半5分の平のトライで、三洋はそれまでのPG狙いからトライ狙いに攻撃のペースを変更せざるを得ず、プレッシャー、圧力の中の無理な攻撃からカウンターの餌食になるケースが繰り返され、終わって見ればサントリーが6トライを奪う快勝だった。

 勝負を分けたポイントは何だったのか。その一つが前出のFWの圧力の差だったのは言うまでもない。しかし、この日、生で観戦して感じたのは「サントリーはなぜあんなに簡単にトライをとれるのだろうか?」ということだ。現代ラグビーのディフェンスの発達を考えると、力が拮抗している相手からトライを奪うことは容易ではない。だが、この日のサントリーはそれを見事にやってのけた。その理由は何なのか。

 清宮率いる新生サントリーのポイントは大きく2つあると思う。1つは「強いスクラム」。もう1つは、オフロードに代表される「立ってつなぐ技術」。サントリーの第3列にブレイクダウン攻防での職人的なフランカーではなく、篠塚、上村あたりを起用しているのはこのあたりにあると見ている。前半15分に平が決めたトライはニコラスからのオフロードを受けてのものだったし、サントリーがゲインラインを大きく破るシーンがいくつかあったが、それらの多くはオフロードが決まったケースが多くだったように思う。

 このオフロード、わかっていても決められるとなかなか止められない。しかし、海外の有力チームではよく見られるものの、日本のトップクラスで戦略的に、しかも成功率高く使われるのは(知らなかったらごめんなさいですが)個人的には記憶がない。日本ラグビー界がサインプレーを多く使うことともしかしたら関係があるかもしれない。それともちろん、その戦略を実行できる選手たちに恵まれないと不可能なことである。

 観戦していて、この日のサントリーは出来すぎだと思った。しかし、そこには確実に清宮が描く勝つための戦略があり、そのイメージが選手たちに浸透し、完成形に一歩一歩着実に近づいているのが見てとれた。試合後の清宮監督の笑顔が一番それを物語っていると思う。

  • 共通ジャンル:

posted by namaketaro |01:03 | トップリーグ | コメント(3) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/namaketaro/tb_ping/1
この記事に対するコメント一覧
(事務局では、サービス全体の雰囲気醸成の為、全コメントをフィルター/目視チェックし、削除等しております。見逃し等も有りますので、ご不快な思いをされた場合は、事務局宛 support@plus-blog.sportsnavi.com にご意見頂けると幸いです。)
Re:清宮の思考が現実化しつつあるサントリーの決定力

コメント投稿者ID :

大変興味深く拝見しました。ラグビーそれなりには理解しているのですが、「オフロード」って、どんな戦術なんでしょうか?

posted by 大変興味深く | 2006-10-16 09:51

Re:清宮の思考が現実化しつつあるサントリーの決定力

コメント投稿者ID :

コメントありがとうございます。

「オフロード・パス」というのは、タックルを受けながら、簡単には倒れずに我慢しながら、ディフェンスの背後にパスを通す技術、戦術のことです。

例えば、タックルを受けた後、ラックをつくるとすると、スクラム・ハーフが球を出すまでに、いい球出しでも「1・2・3」くらいのテンポだと思いますが、オフロードはラックをつくらずに「1・2」くらいのテンポでつなぐので、ディフェンス・ラインを整備する間もなく、次のランナーにボールが渡ります。

攻撃側からすると、タックルで倒れるタイミング(どこまで我慢できるか)を計算じづらいのですが、防御側から見ると入ってくる選手を臨機応変に瞬時にマークしなければならず、相当厄介です。

決まると簡単にラインの後ろへボールを運ぶことができるので一見簡単に見えますが、なかなかどうして戦略的に使うためには強くて走れる選手がたくさん必要になりますね。

posted by namaketaro | 2006-10-16 12:31

Re:清宮の思考が現実化しつつあるサントリーの決定力

コメント投稿者ID :

ご丁寧に有難うございます。なるほど、それで攻めればは、スピードも上がり効果的ですね。ラックが昔と違って、出ない場合、相手ボールと判定されるルールなので、早めにつないだ方が効果的ですね。体格に劣る日本人的にもそうなのかな。

posted by なるほど | 2006-10-16 23:59

コメントする

「他サービスID/メールアドレス」で投稿する場合は、そのID/メールアドレスは表示されず、当サービス専用の固定のコメント投稿者ID「英数+連番」に変換され表示します。

※コメント投稿手順
(1)上記リストから希望のIDを選択する。
  例: Yahoo! JAPAN IDでコメント投稿
(2)Yahoo! JAPAN上の本人確認画面でIDとパスワードを入力する。
(3)スポーツナビ+blog側のコメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」

※コメント投稿手順
(1)上記リストからログイン/メールアドレスのどちらかを選択する。
  例: ログインしてコメント投稿
(2)plus-blogのアカウントとパスワード/メールアドレスを入力する。
(3)コメント入力画面が表示される。
(4)コメント本文を記入し、投稿ボタンをクリックする。
(5)コメント投稿者IDとコメントが表示される。

詳しくは以下2ページをご覧下さい
【仕様変更】PCからのコメント投稿について
ブログ利用マニュアル「コメント投稿方法」