2006年11月11日
W杯アジア地区最終予選を間近に控え、壮行試合として先週4日に「オーストラリア首相XV」戦、昨日10日には強化試合として「クイーンズランド・レッズ」戦が行われました。
結果はみなさんご存知のとおり、「19対61」「22対29」。敗れはしたものの、内容的には見るべきとこもあり、課題の明確になったという意味で、新生日本代表の「スターティング・ポイント」として、いい経験・強化につながる2試合だったと思います。
4日の試合は、前半20分までにワールドクラス個々の強さ、圧力に全く対応できないまま4連続トライをとられたのが響いて大敗となりましたが、前半28分のSH後藤-LO赤塚隆-WTB小野澤とつないだトライや、後半23分にスクラムでプレッシャーをかけ、SH後藤-WTB大畑とつないでとったトライなどは、「日本はこうやって攻めるんだ」という意志が見られ、点差のわりには、見ていて気持ちがいい試合でした。
そして迎えたあの「スーパー14」のレッズ戦。日本は課題となっていた「個々のタックル」「前に出るディフェンス」で進歩を見せます。ブレイクダウンの攻防でも、南半球の強者相手に見劣りしないファイトを見せ、最後は7点差に追い詰め、「勝てるんじゃないか」という期待を感じさせてくれた試合でした(少なくとも会場には期待感が充満していました)。
この2試合を見て、春のイタリア戦などと比べて「変わったな」と感じたことは、課題は残る反面、チームとして「こう戦っていくんだ」という意志が見られるようになったのではないかということです。
もちろん、「個々の強さで勝る相手に対して序盤に対応できないままトライを奪われてしまうこと」「(永遠の課題とも言える)ラインアウトの精度」など、ずっと解決できていないポイントもありますが、カーワン氏や大畑主将をはじめ、チーム全体が課題を共有できていることは、今後の戦いを見据える上でプラスに働くのではないか(プラスに働いてほしい!)と思います。
日本代表は、エリサルド時代に1年の時間を無駄にしてしまいました。終わったことをどうこう言っても始まりませんが、目標は予選突破ではなく、「W杯2勝」ということを考えるともう時間が1年もありません。この2試合でディフェンスに進歩が見られましたが、アタックのスタイルをどのように構築していくのか。明確になった課題に対してどのような優先順位をつけて解決をしていくのか。まずは「予選突破」ですが、中期的な視点での強化に期待しています。
posted by namaketaro |15:06 |
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2006年10月16日
前回書き損ねた部分も含め、「サントリーの決定力」について、もう少し書いておきたい。
サントリーFWの圧力とオフロード・パスのことを書いたが、この一戦でサントリーが奪ったトライはパントを使ったものが多かった。前半10分のニコラス、後半5分の平、後半20分の有賀のトライは、三洋ディフェンスの裏をついたパントに走り込んだものだった。
これらは一見「オフロード」などの立ってつなぐ攻撃とは関係がないように見えるが、なぜ三洋はあれほど必死に前に出ていかざるをえなかったのだろうか。三洋のバックスリーは単にキック処理をミスしたのだろうか。それともキック処理が彼らの弱点だったのだろうか。いや、そこには一つの仮説が浮かび上がるような気がしている。
この日の小野澤は一人で止めるのはほぼ不可能というくらい切れた走りでゲインラインを突破し続けた。その小野澤率いるサントリーのバックス陣は、ニコラス、平、藤原、有賀としなやかで力強いランナーが揃っていた。彼らが戦略的にオフロードを狙ってきたらいかに厄介かを三洋は知っていたのではないか。サントリーの戦略がわかっていたからこそ、三洋はそこを徹底的にマークしようとしたのではないか。
しかし、サイン・プレーに表と裏があるように、サントリーはランとキックを巧みに使い分けた。ラック連取型のチームに対しては、あえて球を出させて防御の人数を余らすこともできるが、サントリーはラックをつくらずにつないでくる恐れがあるから、防御側に余裕がない。そして、必死に前に出ようとすれば、パントで裏をとられる。三洋はそういう意味でなすすべもなく完敗した。
見えてきたのは、自分たちの強みを効果的に使うサントリー、いや清宮の戦略が形になってきたこと。上位チームとの対戦がますます楽しみになってきた。
posted by namaketaro |22:57 |
トップリーグ |
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2006年10月16日
トップリーグ前半戦のヤマと見られていた10月15日に前橋・敷島公園で行われたサントリー対三洋電機の一戦。絶対的な司令塔トニー・ブラウンが前節から復帰し調子を上げ、地元群馬での開催で士気が高かった三洋がなすすべもなく清宮サントリーに41-16で撃沈された。
清宮監督が自身のブログで「ゲームを支配していましたが、スクラム、ラインアウト、モールでフォワードの圧力が充分あって、そこから結果を出してくれたと思っています」と語るように、この日のサントリーFWは、強く大きい三洋FW相手にスクラム、ラインアウト、ブレイクダウンとも優位に立ち、ほとんど仕事をさせなかった。ラインアウトは18回中10回しか成功させず、スクラムでも後半10分の自陣5mのピンチでの三洋ボールのスクラムを絶妙なコントロールで回し、ことごとくリズムを断ち切った。
攻撃では、オフロード・パスとディフェンスの背面へ落とすパントキックを効果的に使い、いとも簡単にトライを連取。後半5分の平のトライで、三洋はそれまでのPG狙いからトライ狙いに攻撃のペースを変更せざるを得ず、プレッシャー、圧力の中の無理な攻撃からカウンターの餌食になるケースが繰り返され、終わって見ればサントリーが6トライを奪う快勝だった。
勝負を分けたポイントは何だったのか。その一つが前出のFWの圧力の差だったのは言うまでもない。しかし、この日、生で観戦して感じたのは「サントリーはなぜあんなに簡単にトライをとれるのだろうか?」ということだ。現代ラグビーのディフェンスの発達を考えると、力が拮抗している相手からトライを奪うことは容易ではない。だが、この日のサントリーはそれを見事にやってのけた。その理由は何なのか。
清宮率いる新生サントリーのポイントは大きく2つあると思う。1つは「強いスクラム」。もう1つは、オフロードに代表される「立ってつなぐ技術」。サントリーの第3列にブレイクダウン攻防での職人的なフランカーではなく、篠塚、上村あたりを起用しているのはこのあたりにあると見ている。前半15分に平が決めたトライはニコラスからのオフロードを受けてのものだったし、サントリーがゲインラインを大きく破るシーンがいくつかあったが、それらの多くはオフロードが決まったケースが多くだったように思う。
このオフロード、わかっていても決められるとなかなか止められない。しかし、海外の有力チームではよく見られるものの、日本のトップクラスで戦略的に、しかも成功率高く使われるのは(知らなかったらごめんなさいですが)個人的には記憶がない。日本ラグビー界がサインプレーを多く使うことともしかしたら関係があるかもしれない。それともちろん、その戦略を実行できる選手たちに恵まれないと不可能なことである。
観戦していて、この日のサントリーは出来すぎだと思った。しかし、そこには確実に清宮が描く勝つための戦略があり、そのイメージが選手たちに浸透し、完成形に一歩一歩着実に近づいているのが見てとれた。試合後の清宮監督の笑顔が一番それを物語っていると思う。
posted by namaketaro |01:03 |
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