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【読売引退遊戯】鈴木尚広「巨人最後のジョーカー」

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代打高橋由伸がヒットを放ち、すかさずベンチから代走鈴木尚広が出てくる。 東京ドームで見る、あの光景は最高だった。

って、すでに過去形なのが泣けるぜ…。 通算228盗塁、歴代トップの盗塁成功率82.9%を誇った希代の走り屋が現役引退。 「あいつらしいよね。まだできるのに」 同学年の阿部慎之助のコメントが最も、らしかった。 12年連続二桁盗塁中。まだできるのにって言うか、多くのファンが「まだ食えるのに」みたいなスズキ腹八分での引退発表。 96年ドラフト4位入団。1軍初出場はなんと6年目の02年4月の中日戦だ。 相馬高からやってきたヤングルーザーは故障に苦しみ、常にクビ寸前。 そこから自分だけの最強の武器を見つけ、一時は外野レギュラーを掴み、代走職人としてオールスターにも出て、入れ替わりの激しいプロの世界で20年間生き延びた。

ただ、監督も代わり、今シーズンは出番が減っていたのも事実だ。 出場44試合というのは、背番号12にとってこの10年で最も少ない試合数。 そして、DeNAとのCS第3戦では9回裏に痛恨の牽制死。 由伸監督の現役時代晩年は尚広とロッカーが隣同士の間柄。 お互い4月生まれということで誕生日にはプレゼント交換までしていたという。 「去年は僕がカバンをプレゼントして、タカヒロからサイフをもらいました」って付き合いたての高校生カップルじゃないんだから。 そこまで仲良かった同僚が、ある日突然、監督と選手の関係性になった。 そら戸惑うよ。この間まで酒飲みながら、一緒に上司をディスってた先輩がいきなりボスになるんだもの。 皮肉なもので、原監督時代は阿吽の呼吸が完成されていた起用タイミングに生じる微妙なズレ。 引退会見の「体力的、技術的には僕の中では上がっているが心が離れていった」という台詞の通り、ほんの僅かなズレなんだと思う。 阿部の言葉を借りれば、一切の妥協を許さない「完璧主義者」の走り屋らしい引き際だった。

来季のベンチに鈴木がいなくなるのは、戦力的にはもちろん痛い。 それ以上に巨人から「登場しただけで球場の雰囲気を変えられる選手」がいなくなるのは残念だ。 「代走スズキ」がコールされ、登場曲のザ・ブルーハーツ『TRAIN-TRAIN』が大音量で鳴り響く。 球場から、劇場へ。 あの瞬間、東京ドームのテンションが一気に上がる。

見せ場を作るのは、阿部や坂本だけじゃない。 ベンチには切り札と呼ばれる仕事人達がスタンバイ。 そりゃあ強いっすよ。 いわば、毎年のように優勝していた頃の巨人はそういう選手の集合体だったわけだ。 でも時が経ち、燃える闘魂矢野謙次やゴッド石井義人はすでにチームを去り、天才高橋由伸は突然の監督就任。 そして、最後のジョーカー鈴木尚広もついに現役引退。

やっぱそろそろ、強くて楽しくて最高で最強だった原巨人とはお別れだ。 さらば、背番号12。 これからどんなに俊足の選手が現れようと、鈴木2世は出現しないと思う。 なぜなら、彼はただの「代走職人」ではなかった。 プロ野球界に「鈴木尚広」というひとつのジャンルを作ったのである。 そういう特別な選手をリアルタイムで体験できて良かったよ。

今思えば、本当に幸せな時間だった。 走れ!タカヒロ! たぶん俺は爆発的な歓声の中で見た、あの跳ねるような美しいスライディングを一生忘れないだろう。

See you baseball freak・・・



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【読売引退遊戯】鈴木尚広「巨人最後のジョーカー」

昨年の由伸、井端に続き、「まだ出来るだろ」選手がまたひとり去るわけか。
そして、困った時のカトケンまで退団とは。
こういう意味での一新を望んでいたわけじゃないんだけどなあ。

でも、くすぶっているヤングルーザー達にとっては大チャンス到来。
まだまだ不安の方が大きい来季だけれど、まずは秋季キャンプで存分にアピれ。

【読売引退遊戯】鈴木尚広「巨人最後のジョーカー」

鈴木に続いて、カトケンも…。
これで90年代生え抜き入団選手は誰もいなくなってしまいましたね。
昨日、映画コラムで浅野忠信の90年代中盤の作品について書いていて、ふと思ったのは「あぁこれから20年近く経ったのか」と。
もう90年代が完全にひと昔前になりつつある。

まあ鈴木尚広の引退は寂しいけど、巨人若手にとっては「無条件で固定されていた1軍枠がひとつ空く」という大チャンス到来。
立岡はもちろん、そろそろヤバいかもと誰もが覚悟した松本哲也の存在感は増すし、橋本や重信あたりも来季1軍に定着できるかもしれない。
そしてもう終わったと思われていた藤村も使いようによっては生き返る可能性がある(重信の二塁兼用で厳しいけど)。
もしくは片岡が勝負どころの代走・クルーズの守備固め要員・ピンチバンターで存在感を発揮するかも。

気持ちの整理をつけて、ぼちぼち「鈴木のあとの世界」を語っていきたいですね。

お疲れさまです

後半の原采配は個々のパフォーマンスが落ちる中で采配の妙で戦っていましたからね
最後のコマを使うに至らなかった由伸巨人
安定しないリリーフ陣と力ない代打陣
一芸を活かす選手層と采配あってこその選手でしたが一芸しかない選手の性とも思えます
原采配の一つの象徴でしたね
お疲れさまでした

「【読売引退遊戯】鈴木尚広「巨人最後のジョーカー」」へのコメント

ジャイアンツで以前
打者が打った瞬間一目散に落下点に……振り向くと打球が落ちて来た……
それが30センチずれるようになったから……と引退された守備の名手がいらっしゃいました。
尚広の引退の弁はまさに同じレベルのように感じます。

盗塁の極意は投手といかにシンクロするか
そのような趣旨の発言をされていましたよね?
今季は盗塁のサインが出てないんじゃなくて、シンクロするのに苦労しているように見えました。
その典型的なシーンがアレ……
タナケンのモーションに全くシンクロできなかった……

もしかしたらトレーニング理論を究める道に進むんじゃないかな?
近未来、指導者としてジャイアンツユニに身を包む尚広が観れる事を期待しています。

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