2007年08月01日
アジアカップに見る、オシムサッカーとは?(個人的総括のようなもの) 後編その2
(さて、長くなりましたが、総括です)
今回アジアカップで日本代表が得た結果は4位というものでした。これは果たして、オシム監督にとってはどうだったのでしょうか?(サッカー協会としては勿論、アジアカップ3連覇が欲しかったのでしょうが)
オシム監督は今回のアジアカップで何度も「エレガントなサッカー」「いいサッカー」をしていたと、その発言の中で言っていました。勿論、フィニッシュの精度がよければ、もっと良い結果だったというのも確かでしょう。
高温多湿の環境の中、当初言われた「人もボールもよく動くサッカー」は実践出来そうにない事は明白でした(ただでさえ運動量が必要なのに、とても90分通して動き続けられる環境では無かったでしょうし)。なら、今回は「人も」の部分を除いて「ボールがよく動くサッカー」がなされたのかも知れません。確かにボールはよく動いていましたね(その結果としての支配率60%超ですし)。
そういう意味では結果は伴わなかったにしても、目的の幾らかは達成出来たのではないでしょうか。
また今回見たように、4バックというより2バックに近い形で、両SBが高いポジションを取っていたのが特徴的ですが、世界的に見てもサイド攻撃の重要性が言われ、サイドでどれだけ優位に立てるかを考えた場合、どうしてもSBの位置は高く設定せざるを得ないと思います(また、その事が世界的なSBの不足を招いているとも言えますが……役割の変化で負担が増えたという事ですね)。中盤の4人(ないしは5人)にSBまで加えた人数でパス回しをして中盤を制圧する。
ミスパスもあって、そこからカウンタで失点などもありましたが、それでも中盤でパスを回しながら前線まで組み立てる、その前段階までは出来ていたように思いました(ただ、最後のフィニッシュの前のひと工夫が足りなかったと思います)。
次のカメルーン戦では、そのひと工夫を付け加える新戦力なりが発掘されるのかどうか。どんな選手が選ばれるかで、この先の方向性が見えてくるのではないかと個人的に期待しています。
オシム監督の考えている「日本化」というのが、また「日本的サッカー」というものがどういうものなのかは、まだ分かりません。けれど、このアジアカップを通して、日本は「何が得意」で「何が不得意」なのか、選手自身、また、サポータ含めたサッカー関係者も、おぼろげながらに見えてきた部分があるのではないでしょうか?
少なくとも、日本は「ボールを支配出来る」。
けれど、「フィニッシュ精度は高くない」。
また「シュート意識が低い」。
それに「個人で仕掛ける選手が少ない」。
それから「厳しい環境でもそれなりにやり続けられる体力がある」。
他にも色々と言える事はあるでしょうが、今挙げるのは取敢えずこのくらいにしておきます(勿論、選ばれた選手のタイプによって表現されるサッカーは異なるとは思いますが、あえてオシム監督が選出しスタメンに起用した選手たちが表現したサッカーを基本として、ここでは考えてみます)。
特に「シュート意識の低さ」みたいな部分については、専門家も素人も関係無く言っている人が多いと思います。でも、意識的な部分の改革はそんなに直ぐ変更出来るものではないと思います(技術的なものに比べると、より大変だと思っています)。
シュート技術、精度、意識……個の仕掛け。そういった部分を全て「個」が成長するのを待つのか。
確かにまだ次のW杯までは3年あります(でも予選はそれまでに始まってしまいますが、当然ながら。そして、まだ日本が出場する事すら既決事項ではありません)。
その3年の内に選手も成長するだろうし、それなりに個性を際立たせた選手も見つかるでしょう。また何度か行われる代表合宿や親善試合などを通して、選手にヒントを与える事も出来るとは思います。
けれど、そこまで驚異的に変化するものでしょうか?(勿論、世界で活躍出来る強烈な個が登場するのは、心待ちなのですけれども)
それは「神のみぞ知る」でしょう。
だからといって「神頼み」する訳にもいきません。
そこで「日本化」という事を、改めて考えてみる必要があるでしょう。
今回のアジアカップでオシム監督はあえて基準となるメンバを殆ど変えませんでした。相手に対して、特別に守備戦術や攻撃戦術を考えたのが見えたのも、あのオーストラリア戦ぐらいなものでしょう。あとはそれほど大差ない、相手によってやり方を変えるといったような事はしなかったように見えました。それは何故でしょうか? 勝負よりも内容を重視したからではないでしょうか?(勝負を重視した「現実的」な戦い方も採れたと思います)
なら、その内容とは?
結果から考えてみると「パスを繋ぎながら、自分たちが主導権を握って、ゲイムを支配する」サッカーでしょうか(これに更に相手を崩すなり、最後の詰めの一手が加われば、結果もついてくるでしょうね)。
勿論、今回はアジアレベルです(そのアジアのレベルも年々上がっているようですが)。世界レベル相手に通用するかどうかは分かりません。そういった場合にオシム監督はどうしようというのかも分かりません。
でも、今回は就任から1年の節目であり、「何らかのオシム監督が考えるサッカーの形」みたいなものを披露する場でもあった筈だと思います(それに更に結果がついてくれば良かったのでしょうが)。
今回披露された「支配率60%のサッカー」を、今後はもっと突き詰めてゆくのか……。つまり、ミドルシュートや個人でのドリブルによる仕掛けで相手を崩すという事よりも、パス+フリーランだけで相手を崩してしまうのを基本とするようなサッカーとでも言えばいいのでしょうか?(つまりミドルやドリブルでの個の仕掛けはオプションです。無謀なシュートも含めて、全てオプションのサッカー)
オシム監督がどのように「日本」を捉えているのか、それははっきりとは伝わってきません。おそらく、日本人が考える「日本」とは異なっているでしょう。けれど、内輪の人間よりも外野の人間の方がより「見える」ものもあると思います。
今回の中盤構成。
中村俊輔、遠藤、中村憲剛+鈴木
パサー、パサー、パサー+潰し屋
(怪我が無くティームでの状況が良ければ小野が選ばれたかも知れませんね、中村憲剛の代わりに)
(ここからは、全く個人的な「日本化」への憶測です) 日本人は細かい作業が得意と言われます(世界に誇る技術力を持っていますし)。また、勤勉で教科書通り、マニュアル通りに動く事が出来ますし、結構好きなんじゃないかと思います。綺麗に整えられているものが好きで、遠慮深い。 より可能性の高い方を選択したい、という気持も強いでしょう。 シュートの数が少ない状況で、結果を出すには……質の向上しかないと思います。でも、その質も高いとは言えない。なら、シュートに繋がる状況をより良いものを創り出すしかありません。日本人でもシュートが打ち易い、綺麗な状況を。 その為のパス+フリーラン。 個人的には南米ならアルゼンチン、欧州ならチェコのような細かいパスの繋ぎが見られれば面白い事になるんじゃないかと思います(勿論、それには個人個人の正確なパス&トラップ技術が必要でしょうが)。 今後は攻撃面の整備か、守備面の整備か、どちらかを中心に行われるでしょう(すぐに結果が欲しいなら守備面の整備をすれば結果に繋がるような気がします)。 オシム監督は、日本サッカーを「南米化」でも「欧州化」でも「メキシコ化」でも無く「日本化」すると言いました。多くの人はブラジル、アルゼンチン、メキシコ、イタリア、ドイツ、スペイン、オランダ、ポルトガル……etc。あんなサッカーが見たい、こういうサッカーが見たいという「既に目にした事のあるサッカー」を、望んでいるのかも知れません。 けれど、そこをわざわざ「日本化」と言ったオシム監督。 その目指すものがどんな「日本化」、「日本的サッカー」なのか、まだ暫くは見守ってゆきたいと思います。
posted by なぎすけ |23:47 |
サッカー(日本) |
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この記事に対するコメント一覧
Re:アジアカップに見る、オシムサッカーとは?(個人的総括のようなもの) 後編その2
毎回、楽しみに読ませて頂いてます。
アジアカップをここまで分析しているブログは、そう無いんじゃないかと思います。
個人的には、まずまずの結果だったんではないかな、と思うのですが、
闘莉王や他の海外組、U-22などメンバーが少し変わってたらどうなっていたんだろう…
などと想像してしまいます。
posted by アカシ | 2007-08-04 02:58
Re:アジアカップに見る、オシムサッカーとは?(個人的総括のようなもの) 後編その2
諸事情でPCが触れず遅れましたが、コメントありがとうございます。
★アカシ さん
まだまだ未熟なので、素人なりに丁寧にやってみようと心掛けております。
闘莉王が加わっていたら、もう少し「精神論」の部分は、多くの人の評価が変わっていたかも知れませんね。
若い世代はなかなか元気があったり、ふてぶてしい輩もおりますので、そこら辺の融合が今後どう進んでゆくかは、楽しみなところです。
今後も一つ一つ出来る限り丁寧にやってゆこうと思っています。宜しくお願いします。
posted by なぎすけ | 2007-08-05 22:00


