長田渚左の「考え中」

愛すべきシューマッハー、再び限界を超えて!

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 2013年も残り2日となった年の瀬の12月30日、元F1ドライバーのミハエル・シューマッハー氏が、スキー中の転倒事故で意識不明の重体に陥ったというニュースが飛び込んできた。
 2012年に引退するまで、F1最多の7度総合優勝という偉大な記録を残し、日本でも毎年、日本GPで非凡なドライビングテクニックを見せつけ、ファンを魅了してきた。
 その偉大なレーサーがフランスの高級リゾート地メリベルでスキーを楽しんでいるときに、岩に激突して頭部に重傷を負った。
 すぐにヘリコプターでグルノーブルに移送して、2度の手術が行われたが、医師の1人が「現時点で彼の未来について語ることはできない。もしヘルメットをかぶっていなかったら、ここ(病院)にくることもなかった」と語るほど、危険な状態が続いている。

 10年ほど前、「シューマッハ F1、プライベートのすべてを語る」(サビーネ・ケーム編著)という単行本が刊行された。母国のドイツでベストセラーになった本の中で、シューマッハー氏は自らが〝トレーニングマニア〟であると語っている。
 スポーツマンとしての体調管理についてはもちろん、休息と再生についても細かく持論を展開している。
 彼の主治医も「彼は私が知りうる誰よりもトレーニングを徹底している。自分をいじめては、さらにいじめる。自分の才能の限界を引き出すんだ。その、個性に合った配慮が、しばし一流のスポーツマンの破滅のもとになる負担のかけすぎから、彼を守っている」と述べている。

 スキーの腕前についても、コリーナ夫人がこう語っている。
 「何か新しいものに出会ったとき、彼はそれをじっと観察して、理解しようとするの。(中略)すると、なぜかいきなりうまくいってしまうの。例えばスキー。私の方が上手だったのよ。子どもの頃からやっていたから。なのにどうなったと思う? 1年経ったら、彼ときたら私の前をびゅんびゅん滑っているのよ」

 ベルギーの難易度の高い高速コーナーが連続するサーキット「スパ・フランコルシャン」について、彼が楽しそうに語っていたことも印象的だった。
 「スパのカーブに130度のやつがあって、1度、僕は時速306㌔で曲がりきったことがある。(中略)S字カーブはリズミカルに宙を飛んでいる感じでいくんだ」

 2010年からチームはメルセデスだったが、赤いヘルメット、赤いレーシングスーツ、赤いシューズ、赤いマシンのフェラーリ時代の印象が強い。〝愛すべきレッドマン〟と呼ばれ、はにかむ表情が思い出される。鈴鹿サーキットでのインタビューでは気乗りしないと気難しい様子もかいま見えたが、子どもや家族の話題になったときに、少しほおが赤らんで和らいだ表情になったことも忘れがたい。

 生涯収入8億㌦(約840億円)を稼いだといわれる。44歳で天国のサーキットへ召されるのはまだまだ早い。
 シューマッハー氏の誕生日は1月3日。今はただ彼の生命力を信じたい。



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 皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。
                                編集長 長田渚左

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長田渚左(おさだ・なぎさ)
ノンフィクション作家。女性スポーツジャーナリストの草分け的存在であり、現在も旺盛な取材活動を続けている。
NPO法人スポーツネットワークジャパンおよび日本スポーツ学会代表理事。
スポーツ総合誌『スポーツゴジラ』編集長。
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(05月27日現在)

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