長田渚左の「考え中」

高橋大輔選手の15カ月の大勝負――医療ネットワークの奮闘

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バンクーバーオリンピックが終わって1カ月が過ぎた。何を皆さんは心に残しているだろうか。
数センチで金を逃したスピードスケートの女子団体追い抜き、あるいはフィギュアスケート・ペアで国籍変更した川口悠子とアレクサンドル・スミルノフ組が、大ワザ回避でメダルを逃した……など、再び心に浮かぶ。
今大会でも男女ともにフィギュアスケートは、歴史的な大活躍だった。



振り返ると、銅メダルを獲得した高橋大輔選手は、去年の今ごろは、ようやく氷上トレーニングに入ったばかりだったのだ。

2008年10月、練習中に前十字靱帯断裂及び半月板損傷という大ケガに見舞われた。
ひと昔前ならば、選手生命を絶たれるほどの大ケガだった。
手術をするか否かの二者択一。手術をしない選択もあるにはあったが、その日の状態を気遣いながらの練習ではバンクーバーに向かえないと、陣営は手術を選んだ。
膝にメスを入れるのはいかがなものか? 否定的な意見が飛びかう中で、高橋選手は賭けに出た。
完治すれば100%で練習ができる……。
バンクーバー五輪への戦闘意識が手術に向かわせた。
それは登山に例えれば、蛇行や回り道がいっさい無い、壁を直登するようなルートだったように思う。
手術は彼にとってスタートだった。その後、筆舌に尽くしがたいリハビリの日々が続いた。
そして手術から15カ月でバンクーバー五輪で銅メダルを獲得した。
そこには最新の医療サポートの大きな力と技が発揮されたことは言うまでもない。
見逃せないのは、ケガをして2日後には最適な医療ネットワークとめぐり合い、迷いなく15カ月を進むことができたことだ。
最良最適な医療ネットを掴んでいた、ブライト・ボディ・アクティブ・ヘルス研究所代表でトレーナーの中田佳和氏、トレーナーの渡部文緒(のりお)氏の迅速な対応。
そして手術を担当した社会保険京都病院人の原邦夫医師、リハビリは京都地域医療学際研究所付属病院の理学療法士、吉田昌平氏。
ちなみにケガをして2日後、日曜日にもかかわらずMRI撮影をしてくれたのは、また別の病院だった。
病院という枠を越えて、スペシャリストたちが手を握って、好結果を導いた。

しかし振り返れば、フィギュアスケートで前十字靱帯を断裂させる人はいなかった。高橋選手のケガはトリブルアクセル(3回転半)の着氷の際だったが、普通ならば着氷をすればころぶ確率が高い。
コケるからケガをしないですむともいえる。では高橋選手は、なぜころばなかったのか。
いや、ころべなかったのか。なぜ大ケガをするほど、踏んばったのか。
’08年10月31日の大ケガの後、たくさん疑問があったが、お話をききたい方々は、バンクーバー五輪の終了まで取材に応じていただけなかった。
バンクーバー五輪で男子のフィギュアの日本人で初めて欧州の壁を破った高橋大輔選手のたくさんのなぜ? を読んでいただきたい。

※この調査・研究は、財団法人上月スポーツ・教育財団の協力を得ています。

  **********

間もなく発行予定の『スポーツゴジラ』12号の連載「ケガに克つ」では、バンクーバーオリンピックで見事銀メダルを獲得した男子フィギュアスケートの高橋大輔選手と、彼のケガからの復活を支えた人々を取り上げました。4月中旬から都営地下鉄の各駅で配布します。また送料を添えてお申し込みくだされば、お分けいたします。

●あて先
 〒352-0011
 埼玉県新座市野火止8-16-32
 朋信図書『スポーツゴジラ』係

250円分の切手をお送りいただければ、20冊までお送りいたしますので、必要な冊数を明記してください。バックナンバーは、スポーツネットワークジャパンのホームページでご覧いただけます。

  **********

〈お知らせ〉
来たる4月24日(土)に日本スポーツ学会総会が開催されることになりました。
この日は、日本スポーツ学会大賞の授賞式と受賞者による記念スピーチが行われます。
どなたでもご参加いただけますので、ぜひお越しください。

 日時: 4月24日(土)14:00~
 場所: 早稲田大学国際会議場(早稲田キャンパス18号館 Map>>)
 参加料:1,000円

受賞者は、日本が誇る生中継“不可能といわれた箱根駅伝を成功させた男たち”、伝説のテレビマン坂田信久氏(元日本テレビプロデューサー、元東京ヴェルディ1969社長)グループです。

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長田渚左(おさだ・なぎさ)
ノンフィクション作家。女性スポーツジャーナリストの草分け的存在であり、現在も旺盛な取材活動を続けている。
NPO法人スポーツネットワークジャパンおよび日本スポーツ学会代表理事。
スポーツ総合誌『スポーツゴジラ』編集長。
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(07月19日現在)

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