2008年12月27日

空中戦を制するものは勝負を制する

プレミアリーグ08/09 第18週 ストーク vs ユナイテッド


 GKはエドさん。ディフェンスは右から兄ちゃん、エヴァ、ビダ、オシェイ。中盤は右からクリ坊、スコールズ、フレッチェル、ギグシー。トップはルーニーとテベ公。今シーズンは4-2-4-0や4-2-3-1など新フォーメーションを試している御大だが、今日は見たところオーソドックスなフォーフォーツーらしい。


 騒いで緊張してまた騒いで笑ったりした21日からかれこれもう5日。ユナイテッドの選手達はまた飛行機で何時間も揺られながら英国へ。長時間のフライトや大はしゃぎする日本メディアへの対応、4日間で2試合もこなすハードスケジュールからユナイテッドの選手達は帰国の際、笑顔でサヨナラとは言えず疲れの色を隠すことすら出来ていなかったようだが、残念ながらこの試合ではその疲れの後がよく見て取れた。
 大抵プレミアでは12月26日ボクシングデーという休日から始まる10日間で4試合ほどこなす過密日程が風物詩ともなっているのだが、今シーズンは26日に試合した後2,3日後という非常に近い間に試合が組まれていることは組まれているが、なぜかしらそれが終わるとあとはゆっくり1月10,11日までお休みと比較的緩やかな日程が組まれている。が、ユナイテッドはというと13日に試合した後15日来日して18日、21日と立て続けに試合をこなし翌22日には早速帰国、そして26日にストーク戦、29日にはボロ戦とよくまあそんなにフットボールをするもんだと感心するしかないほどの過密日程。そりゃ疲れもするわけだ。


 この日は必要不可欠のルーニー、クリ坊の他にテベ公、エドさん、ビダ以外の6人がCWC決勝でスタメンでは無かった選手だった。それでもスコールズ、フレッチ、ギグシー、オシェイ、兄ちゃんとメンバーが落ちている気が全くしないのがユナイテッドの層の厚さを雄弁に物語る。本当はベルビー使ってクリ坊かルーニー休ませたいんだけど、ベルビーに感染したウイルスとやらは本当に空気が読めないやつだ。
 ということでやっぱりクリ坊の調子が悪い。小気味良いテクニックをところどころお見舞いしてみせるが、それが前を向いていないというかゴールに直結するようなプレーではなく、よっていつものような破壊的オーラをクリ坊からは感じない。今日はここにはあまり期待しない方がいいのかも。テベ公も球離れ悪いし、ルーニーも思ったように前向けないしと、あらあら、どうやらユナイテッドは案の定困ったモードに突入したご様子。
 そんなことを考えた自分の後ろをニターッと嫌な笑みを浮かべた人物がふと横切った気がしたが、あれは果たして本当に気のせいだったんだろうか。いやいや、違う、やっぱりいたんだと時間が経つにつれ悟り始める。不敵な笑みを浮かべる男、その名はトニー・プリス。ホームでは5勝2分2敗と抜群の成績を誇るストークの将が「今こそ勝機!」と弱り目のユナイテッドの首根っこ狙って猪突猛進追いかかってきた!その先頭を切るのは魔のロングスローを放るデラップだ。
 この前の試合ではクリ坊のフリーキックで早々に相手の出鼻を挫き、その後も王子やベルビーのゴールで要所要所ゴールを重ね軽くいなした相手だったが、ホームではやはりその本性を表すのか、ガンガンロングスローを放ってユナイテッドゴールに襲いかかる。怖い怖いと聞いてはいたが、まさかこんなに怖いものだとは思っていなかった。角度が急だから競ろうと思っても競れない。めいっぱいジャンプしてもすっと頭を抜けられ、後ろを振り返ると同じぐらいの高さしかジャンプしてないはずの選手にピタッと合わさる。なんとかクリアしたと思ってもコーナーキックでさらなるピンチが。確かにこれはタチが悪い。
 でも自分はそんなストークになぜだか不思議な懐かしさを覚えていた。次々とエリア内に放り込まれるハイボール。それをフォワードやディフェンダーのみならずキーパーまでもが果敢に飛び出して競り合うスリリングな空中戦。あぁ、これはいつぞやみたあのプレミアリーグの古き良き原風景じゃないか。いつからかグラウンドでのパス回しに取って代わられ今となっては久しく見ぬあの風景が今ここに。
 なんだ、そういうことか。なら話は早い、この空中戦に勝ったものが勝者、負けたものが敗者だ。こんなに分かりやすい話はない。そしてこういう時我らが守護神エドさんほど頼もしい男はいない。危ない場面も水際でガンガン防いで下さる。ビダも空中戦では頼れる男だ。うーん、なのになぜここにリオ様がいなかったんだろう。こんな勝負はヨダレが出るほど好きそうなのに。それだけがホントに悔しかった。


 この勝負を買ってでたか、御大も64分オシェイに代わってベルビーを投入する。これでユナイテッドの攻撃の選択肢にもハイボールが加わった。いつもは中盤に下がりたがるベルビーもこの日ばかりはエリア内でボールを待つ場面が多い。そりゃそうだ。これは御大が真正面から買ったケンカ。苦手とか言ってられず今日はセンターフォワードやってもらうしかない。
 この日は調子の悪かったクリ坊。相手にタックルをくらってはファウルをとろうと地味に頑張り続けていたが、この日の審判クリス・フォイさんとはすこぶる相性が悪かったようだ。オオカミ少年よろしくいくらこけても信じてもらえない。でも今日のクリ坊は諦めなかったからえらかった。そのしつこさはこの日一枚カードをもらっているストークDFウィルキンソンの苛立ちを誘い、ウィルキンソンは思わず後ろからタックル。こればかりは笛を吹かざるを得なかった審判はこの日2枚目のイエローカードを提示し、ユナイテッドが数的有利に立った。
 ディフェンスの選手が欠けたわけだから当然そこのケアをしなければならない。プリスはカードをきってくる。デラップに代えてDFのデイヴィス。デラップに代えてDFのデイヴィス。デラップに代えてDFのデイヴィス。

デラップに代えてDFのデイヴィス!!!???

 なんだ、その臆病な采配は。最大の武器であるロングスローを自ら捨てるだと!?元はといえばあんたが売ってきたケンカだろう。なのになぜそのあんたが及び腰になってるんだ。残り時間20分を切り確実に勝ち点が欲しくなったか。そりゃ、ないぜ、興ざめにも程がある。
 その後はユナイテッドが案の定優位に試合を進める。ストークも隙を突いてカウンターを仕掛けるが、立ちはだかるはビダだ。リオがいない中少々頼りない後輩エヴァを引き連れそれでも最後の最後相手との勝負に読み勝ち、ボールを奪ってみせる姿は本当にリーダーのそれをカンジさせた。上手い強いだけじゃなく、ユナイテッドを守るものとしてのオーラをこうヒシヒシと感じる。これはリオや兄ちゃんには感じられるもので、まだオシェイやブラウンからは感じたことのないものだ。ほんっとビダは大きくなった。リオにビダ、これなら今後5年はユナイテッドディフェンスは安泰だろう。
 エドさん、ビダをはじめ守備陣が頑張ってくれてるんだから、あとは攻撃陣が仕事をするだけ。83分兄ちゃんのクロスを走りながら受けたベルビーがなにがどうなっているか分からないほど優しくソフトなトラップでディフェンダーを振り切ると、体勢を崩しながらそれでも勢いよくそれでいて丁寧に中に折り返し、合わせたテベ公がゴール。うーん、困ったときのテベ様ゴールは昨シーズンはよく見られたものの、今シーズンは初めてでないかな。ここに来て勝負強さを発揮してくれるとは何ともありがたい。地味に今シーズンポジション争いを繰り広げるベルビーとテベ公のコンビネーションゴール。どっちも間違いなくユナイテッドに必要な選手なんだから、上手いことプレー合わせて共存していってくれるとこんなにありがたいことはないのだけれど。



 ということで、ユナイテッドはこの虎の子の1点を守りきり勝利。ホントデラップの交代は残念だった。勝ち気を崩さないためにも絶対してはいけない交代だったと思う。対するユナイテッドも1-0と薄氷の勝利ではあるが、ここは得点力不足を嘆くのではなく、守備陣の頼もしさを誇ろう。決して盤石といったわけではなく、結構危ない場面も作られているのだが、それでも守護神エドさんを中心に最後の最後で守りきる強さは昨シーズンのそれだ。昨シーズンは序盤戦1-0が多く、中盤あたりからゴール増えていって大量得点の試合が増えてそのままの勢いでゴール、優勝と相成ったわけだが、今シーズンもこれからそんな流れになっていってくれればいいんだけど。鍵はやっぱりベルビーか。クリ坊ももうちょっと良くなる余地があるだけにそこにも期待しておこう。

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2008年12月26日

三角関係

さてさて。


 期間限定ではあるけれどミラニスタはミラニスタ。ミランのことをよく知りよく学ぶためウディネーゼ戦を観戦することに。ということで。


08/09レガ・カルチョ・セリエA 第17節 ACミラン vs ウディネーゼ


 GKはアッビアティ。ディフェンスは右からアントニーニ、カラーゼ、マルディーニ、ファヴァッリ。中盤は右からセードルフ、ピルロ、ヤンクロフスキ。トップはパト、カカ、ジーニョ。
 個人的にはファヴァッリがまだまだ現役していて驚く。ラツィオを追いかけていたのは2002年頃までだったか、その頃にはもう既に壮年に入りかかってたと思っていただけに。プレースタイルも年老いたからといって最終ラインにへばりついているわけでなく、隙あらばガンガン上がってサイドアタックに参加する。まだまだ現役バリバリだ。うーん、少し感慨深い。もしかしてパンカロも!?と思ったが、さすがにそれはなかったか。


 今回ミランを見る上で気にしていたのはカカとジーニョの共存問題。カカがジーニョとのプレーに不満を持っていると発言したことに端を発した問題だが、確かにカカとジーニョはお互いなんだかやりにくそう。縦への速いボール回しから相手ゴールに攻め込みたいカカに対し、ジーニョはというとどうしても一度足下でボールを止めてじっくり攻めたがる。だからカカがボールを持つと前へ前への速い攻撃にジーニョはついていけず絡めないし、ジーニョがボール持つと一旦そこで流れが止まり、前へ前へのカカはリズムを崩されぐずぐずになってしまう。それでいてお互いどちらかに合わせようとはしないのだ。2人とも半ば意地になっているかのようだった。先のニュースリンクを見ていただければ分かるが、ガッリアーニ副会長も不満を漏らしたカカに「ミランはカカのチーム」とフォローしているし、カカはあれで結構難しい性格をしているのかもしれない。
 カロリーナさんと結婚するまでお互い純潔を守り抜いたというカカと夜遊び大好きのジーニョ、そもそも性格からして真逆といってもいい2人。性格の不一致が必ずしもプレー相性の不一致につながるとは限らないのだが、それでもなんだかちぐはぐな2人を見ていると、そうした性格での違いが2人の融和を妨げているようなそんな印象を受けた。
 この両極端のスーパースターに囲まれてプレーするのが18歳のパトくんだ。「おい、お前はどっちの味方なんだ」という2人のキツ~い視線に参っている、かどうかは定かではないが、この試合を見た限りではパトくんはカカの味方。若さを漲らせピッチを疾走するパトくんのスタイルはやはり動きながら攻撃したいカカに合うんだろう。ミランで最もゴールを予感させたのはパトとカカのコンビネーションによるカウンターだった。この日の2点目なんかはまさにそう。右サイドでディフェンダーを抜いたパト君はエリア内に猛烈に駆け込み、これまたエリア内に走り込んでいるカカにDF2人とGKの間を突くラブリーパスを通して見事ゴールを演出、やや遅れてやってきたジーニョの目の前でかくもお熱いラブラブぶりを見せつけてくれた。
 パトくんは1点目の時もエリア内で上手くマークを外しファバッリのクロスを押し込んでみせたし、3点目の時もアントニーニの折り返しパスにすっと反応してすっとゴールを決めてみせたりと、想像以上にゴールを奪うのが「上手い」。個人的にはロビーニョのような足下でこねくり回す選手を予想していたが、これならロマーリオの方がタイプは近い。顔に似合わず「点取り屋」という言葉が似合うパトくんだ。ピッポから上手い具合に技術を盗んだかな。なんにせよエリア内での勝負に長けた選手がいるというのはベッカムにとっても朗報だろう。
 ジーニョはというと左サイドでボールをキープしこまっしゃくれたテクニックで時折観客を「オー」とは言わせるものの、結局は安全なパスに逃げることが多く、また少々無理してキラーパスを狙っても、それはことごとく相手DFに止められていた。うーん、これはどこをどうみてもあのバルサでダメダメオーラを放っていた時のジーニョだ。バルセロニスタに神格視されていたころのジーニョはもっと果敢に自らエリア内に攻め込んでいたし、またそのボールも取られることはほとんどなかった。昔のような自信と勇気を取り戻さないとここミランでも厳しい戦いが待っているんだろうな、と思った今日この頃。
 まあでもカルチョの世界には「ファンタジスタは89分間消えていても、たった一度だけ輝けばそれでいい」みたいな格言があると聞くし、ジーニョも時折ギアをいれてはゴールを予感させるプレーを見せていた。ここはバルサじゃないんだし、こういう生き方もミランではありなのかもしれない。


 中盤ではやっぱりピルロが王様していた。長年働き続けてきた疲労から昨季は不調に陥っていたと聞くが、怪我での長期離脱が良い方向に働いたのか、中盤で上手い具合にボールを捌いては時折度肝抜くような超絶スルーパスでゴールを演出。特に3点目のゴールを呼び込んだスルーパスは圧巻だった。うーん、やっぱりピルロのプレーは見ていてうなる。
 ただそれならキャリックも負けてないんだけどなぁ、キャリックはなんでこうあんまり世間の評価がついてこないんだろう、と思っていたら「これだよ、これ」と言わんばかりに速くて美しいFKを蹴ってみせてくれた。惜しくもポストに嫌われるもののセードルフがつめて4点目につながるプレーとなった。FKのみがピルロとキャリックの評価の差を生み出しているわけではないと思うが、やっぱりピルロのこの武器は強い。これではジーニョもFK蹴らせてもらえないはずだし、ベッカムが蹴らせてもらえるかも怪しくなってきた。まあそこかしこからの圧力の結果アンチェロッティは「仲良く2人で蹴り分けてよ」と指示せざるを得なくなるとは思うのだが。
 ミランの中盤のサイドの選手は多くの4-3-2-1、もしくは4-3-1-2のそれと同じく、ウイングやサイドハーフというよりもセンターハーフ的意味合いが大きい。サイド突破はサイドハーフのドリブルなどで単独で行うのではなく、サイドバックやパトやジーニョ等サイドに位置したアタッカーとのコンビネーションで行う。なのでサイドハーフはサイドアタックのキーマンというわけではなく、どちらかというとアタッキングの調整役と言った方が正しいだろう。そのためパス精度はもちろんパスを出す判断の速さ、またポジショニングが重要となってくる。となると自然ベッカムにも活躍の芽は出てくるわけで、アンチェロッティがベッカムを欲した理由もなんとなく分かった気がした。




 ということで、あくまでこの試合を見てのみの感想となるが、ミランはそう言われているほど悪いチームではなかったし、ピルロの復帰、ベッカム加入などでこれから調子が上がっていくチームだろう、と感じた。ベッカムもなんだか普通にプレーできそうだし、個人的な事情ではあるが今季のインテルにはどうしても優勝してほしくなかったりする。せっかく仲良くなったよしみだし、狙うは頂点、スクデット目指して頑張っていきませう。

posted by myrowka |23:19 | コメント(8) | トラックバック(0)
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2008年12月25日

3ヶ月限定ミラニスタ宣言

さてさて。


 ということで、なんとも急な宣言ではありますが私、2009年1月から3ヶ月間ミラニスタになろうと心に決めた次第であります。なぜかは『BOY MEETS BECKHAM』という記事をお読みになっていただければ詳らかになるでしょう。タイミングも空気も何も考えず先の記事をアップしたのはそのため。早い話、私はベッカムが大好きなのです。


 じゃあこれまではLAギャラクシスタだったのか、と問われると答えはNO。
 自分はベッカムはまだ世界トップクラスの実力を備えていると思う。プレーしようと思えばヨーロッパのビッグクラブでもプレーできたはず。でもヨーロッパのハイレベルなフットボール蹴ってまでアメリカのサッカーの世界に乗り込んでいったベッカム。それが悔しかった。早い話、「サッカー」をやるベッカムなんて見たかねえ!わけです。「サッカー」を選んだ理由もアメリカのサッカー普及のためとかいう崇高なものではなく、5年約300億円とまで言われた契約からも分かるように「金」のため、またアメリカではまだ広く認知されていないベッカムという名を広める「芸能活動」のため、と推測せざるをえないし。
 と、同時にベッカムという選手への熱も急激に冷めていった。なんだ、やっぱりそういう男だったのか、信じてたんだけどな・・・と。ベッカムがアメリカの世界に渡ってから代表復帰、代表100試合とベッカムに関する話題は定期的に供給されていたが、全く興味は沸かなかった。もはやフットボーラーでもなくなったベッカムに何が出来る!と半ば意地になっていたことも認めなければいけない。
 そんなベッカムがまたヨーロッパのフットボールの世界に帰ってくる!しかも今度はフットボールやフットボルではなくまた未知なる領域「カルチョ」の世界へ!というニュースを聞いたとき、正直自分の心は弾んだ。アメリカ行きを聞かされ一度は絶望し失望し幻滅した相手ではあるのだけれど、やっぱり最後の最後まで嫌いになることは出来なかった。観念しよう。やっぱり自分はベッカムのプレーが見たい。


 と、まあさきの「3ヶ月限定ミラニスタ宣言」の裏ではこんな具合にプチ愛憎劇が繰り広げられていたわけだ。
 肝心の出場機会に関して残念な話あまりポジティブなことが自分の耳には届いてこない。今のミランのスタイルにベッカムはあわないとか、所詮3ヶ月の応急手当的補強なんだからベッカムに重要な役割を任せるはずがないとか、ピルロが復帰した今用なしとか、大体そんなカンジ。ミランの試合を少なからず見てきている人がそういうからにはおそらくそういうことなんだろう。
 でも自分はそう悪い方にもいかないんじゃないだろうか、と考えている。そのネームバリューにばかり目がいきがちのベッカムだが、マジメに練習に臨む真摯な態度はカペッロやラウール等多くの選手や監督が物語る通りだし、試合に出れば着実に仕事をこなすプロフェッショナブルぶりはマドリ監督就任直後「ベッカムなんて必要ない」と切り捨てたカペッロの頑固頭すら崩すほど。アンチェロッティが普通にベッカムを評価しているという話も聞く。中盤なら大体どこのポジションでもプレーできるし、チャンスさえ与えられればしっかりと仕事をしてくれるだろう、とその点あまり心配はしていない。
 背番号は「32」。ユナイテッドの7からマドリ、LAギャラクシーの23、そして今回の32と年齢と共に背番号もレベルアップを続けていくベッカム。ベッカム獲得に経済効果への期待もあるんなら絶対7番あげた方がいいのになぁ、とは思うがジーニョが80番、カカが22番、シェバが76番をつけているミランにとってそこんところは大した問題じゃないんだろう。っていつからミランは世界一背番号が似合わない選手が集まるクラブになったんだ。




 とまあそんなこんなありまして3ヶ月間と短い間ではありますが、ミランとよろしくやっていくことになりました。若輩者ではありますが、どうぞよろしくお願いします。



 あと全く関係ないけど新たに記事書くほどでもないと思ったのでここに殴り書き。
http://en.akinator.com/#ってサイトが凄かった。次々と出される質問に答えていくだけで自分の頭に描いた人間(サッカー選手でも漫画のキャラクターでも大体OK)が当てられるってサイトなんだけど、ベッカムやクリ坊は当然としてイニエスタもフレッチェルもデコも当てられた時はさすがにド肝抜かれた。チャドウィックはやっぱり無理だったけど・・・。サイトは英語だけれど文章は平易だし、たまに出てくる難しい単語も調べれば無問題なので、興味がある人はぜひお試しあれ。

posted by myrowka |14:08 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2008年12月25日

BOY MEETS BECKHAM

※前ブログからの転載改


「あなたが一番好きな選手は誰ですか?」


 と聞かれれば、一体ここをご覧のみなさんは誰と答えるだろうか。自分はかなり悩む。ルーニーにメッシー、イニエスタ。渋いところを突くとフレッチェル、アルテタ、チャドウィックなんかもなんだかんだで記憶にずっと残ってる。そういや自分がフレッチェル好きなのはチャドウィックの顔となんか通ずるものがあるかもしれない。などなど、あまりにも魅力的な質問だけに、いろんな選択肢が浮かんでは消え、浮かんでは消えていくのだが、結局のところ自分はこう答えざるを得ないのである。

「デイビッド・ベッカム」だと。

 自分の部屋の一番目立つところにドカンと飾られているポスターがなによりの証拠だ。胸には大きなシャープのマーク。ユニフォームはあの時はまだアンブロ製だった。個人的に一番気に入ってるチャックのついたタイプの赤い悪魔のユニフォームに身を包んだブロンドの髪をなびかせハツラツとプレーをしていた頃のベッカムのポスターは自分の宝物である。
 ベッカムがユナイテッドを去り、ルーニーというベッカムに代わるスーパースターが現れても、自分の中ではベッカムを超えることはない。一生ないのだろう。それは別にルーニーがベッカムより劣っているとかそういうことではない。ベッカムが自分をかくも奥深いフットボールの世界へと引きずり込んだ張本人だからなのだ。


 1999年中学生の頃、自分はフットボールのことなんかまだ何にも分からないペーペーだった。夏休みの体育の宿題(なんでもいいからアマチュアの試合を実際に見に行きそのレポートを提出しろというもの)をずっとサボり続けていた自分は突如12月、体育教師に呼び出される。

「もう2学期も終わりだ。それなのにお前はこのままずっと宿題を出さないつもりなのか。許してほしければテレビでもいいからなにかの試合を見て、そのレポートを書け」

 その声に並々ならぬ怒りが込められていたのを敏感に察した自分は、命が惜しければなによりも優先してこの課題を成し遂げなければいけない、と理解した。
 さて、スポーツとはいっても日本で一番人気のある野球はとうにシーズンを終えている。何を見て書こうかと悩んでいたところ、「トヨタカップ」という大会があるというのを耳にした。なにやらフットボールでヨーロッパ一強いチームと南米一強いチームが戦う試合らしい。この時期になんと課題にピッタリな大会が行われるのだろう。まるで自分のために開催されるかのようだ。これを見ない手はない、ということで早々とテーマは決まる。試合を見てそのままその内容を書くというのもいいのだが、なにせ4ヶ月もサボり続けた課題だ。少しでもいい内容のものをと考え、試合前にやっていた明石家さんまさんが司会の特別番組を見ることにした。その番組ではいかにしてユナイテッドがヨーロッパチャンピオンまで昇りつめたのか、その過程を映像を交え詳しく放映していた。そこで自分は初めて世界のフットボールのレベルを目の当たりにする。


 当時は右からベッカム、キーン、スコールズ、ギグスの黄金の中盤に加え、前線にはアンディ・コールとヨークのいわゆるホットセットが並んでいた。ギグスの超絶ドリブルに、スコールズのミドルシュート等、数々のスーパープレーが飛び交う中、自分の目を一番引いたのはベッカムのアーリークロスだった。最初見たときは、もうなにがなんだか分からなかった。

 ボールというのはこんなにも早く飛ぶものなのか。ボールというのはこんなにも鋭く曲がるものなのか。ボールというのはこんなにも正確に蹴れるものなのか。
 
 なにもかもが自分の常識を超越していた。そんなとてつもないボールを放っているのが金髪をなびかせるハリウッド俳優顔負けのイケメンとなれば、フットボールを知らない人間でも夢中になるのは無理もない。肝心のトヨタカップではあまり目立った活躍が出来ず、逆に敵のアスプリージャのスピードに驚かされたがそんなことはどうでもよかった。ヨーロッパには自分の知らないとてつもない世界が広がっている。それを知った自分は加速度的にフットボールの世界に引き込まれていった。こうやって自分はこんなにもフットボールが好きになっていったのだ。




 それからいろんな選手を好きになった。それこそ数えあげればキリがない。でもベッカムが自分に初めてフットボールの面白さを教えてくれた選手である以上、先の質問に対する自分の答えは一つなのである。たとえユナイテッドを去って自分の大嫌いなチームへ行こうとも。

posted by myrowka |12:26 | マンチェスター・ユナイテッド | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年12月24日

クロスとショートパスの狭間で

08/09リーガ・エスパニョーラ 第16節 ビジャレアル vs バルサ


 GKはバルテス。ディフェンスは右からアウベス、ピケ、プジョル、アビダル。中盤は底にブスケッツ、前にチャビとケイタ。トップはメッシ、エトー、アンリの3人。
 マルケスが今日はお休み。底にもこれまでとは違いジャジャではなく、久々にブスケッツが入っている。開幕当初はリーガでは底にブスケッツが定番と化しつつあったが、シーズンが進むにつれスケジュールもハードなものになり、また上位陣との戦いも続いたので、若さというリスクを負っていた4番ブスケッツは一時封印していたペップ。セビージャ、バレンシア、マドリと3連続で叩けたおかげでようやくその封印を解放する余裕が出てきたということだろう。2月の終わりチャンピオンズ決勝トーナメント1回戦再び始まる激闘に向け、それまでの間は色んなこと試しながら徐々にチームとしての完成度をもっと高めていきたいところ。


 この日は今日も今日とていつものバルサ。相手が引いているときはショートパスで、相手があがっている時は縦に早い高速カウンターで。これまでと少し違う点と言えばエトーが左サイドに流れることが多いということだろうか。右サイドに流れるシーンはよく見られたものだが、エトーとアンリがポジションチェンジをする場面が頻繁に見られたのはペップ・バルサ史上初めてのような気がする。アンリの調子が上がったことで自然とこの2人のコンビネーションも良くなったのか、それともエトーが「俺もメッシみたくサイドから切り込んでシュート撃ちてえ」と急に新境地を開きたくなったのかは定かではないが、バルサのアタッキングパターンも増えることになるし、アンリの中央でプレーしたいという願いもかなうことになるし、何よりである。
 そんなバルサはチャビと中央でプレーすることの多くなったメッシのショートパスを中心にポンポーンと軽快にボールを繋げながらビジャレアルゴールに迫る。日々右エストレーモと化しつつあるアウベスの攻撃参加やアンリのドリブルがそのバルサの攻撃に箔をつける。うーん、やっぱりバルサは見ていて気持ちが良い。


が。


時間が経つにつれ胸に広がっていくこのモヤモヤはなんだろう。「うお!すごい!速い!そこでそう来る!?あ、くそ、止められた!」などバルサのハイレベルなプレーの前に一喜一憂する自分は相も変わらずだが、しかし何かこうずっと物足りない感覚に襲われていた。それが何かは前半終了時画面に映し出された文字で判明する。0-0、スコアレス。そうだ、ゴールが足りない。
 メッシやエトー、アンリらの速いパス回しで敵を一応崩せはする。しかし相手も相手でバカではない。バルサの攻撃力は百も承知。一枚の壁で防げないなら、一枚もう一枚と壁を重ねていけばいい。フットボールとは要はいくら壁をぶち破られようと、最後の砦ゴールさえ割らせなければいいのだ。この非常にシンプルかつ真理をついた守備でバルサの攻撃を最後の最後で守りきるビジャレアル。
 バルサの選手もそれならそうで、壁をひょいと跳び越すだとか壁と壁の相手を通すような大砲ぶっ放すとか色々な工夫を見せていけばいいのに、バカ正直に一個一個丁寧に壁を崩してからゴールをいただこうとする。以前どこかでアーセナルはキレイにゴールを決めたがるきらいがあるという批判を見た記憶がある。実際アーセナルのフットボールをキチンと見たことはないので詳しくは分からないが、バルサの前半の攻撃にはこの批判がまさしく当てはまるだろう。バルサの攻撃の目的がいつの間にやらゴールではなくなり、いかに相手をキレイに崩すかにシフトしてしまっている、そんな印象を受けた。
 その中心にいる人物はメッシだ。メッシは今シーズンペップから「どこでも好きな位置でプレーしろ」という白紙委任状を受けた。元々トップ下でのプレーが好きだったというメッシは水を得た魚のように主戦場を右サイドから中央に変える、これまでは右サイドからドリブルで敵を崩しチャンスメイクすることが多かったメッシが、今シーズンはトップの位置でボールを受けて楔となりラストパスで味方のゴールを演出するのが目立つのはそのためだ。世間の自己中心的な選手という評価もなくなりつつある。メッシが中央に寄ればアウベスの上がるスペースも確保出来るし、一見このメッシのポジションチェンジはいいことづくめのように思える。


 しかしだ。このブログでは何遍も書いていることだが、今シーズンのバルサに遅攻からのゴールは少ない。バルサのゴールの多くは速攻によるもので、最近は特にその傾向は顕著だと言える。今シーズンメッシが好んでやっている自らがポストとなって速いショートパスの交換から相手を崩すパターンでゴールを奪った試しはほとんどない。そしてそれはこの試合にも当てはまるというのは上にも書いた通り。
 そうしてボールをキープしこねくり回すことは出来ても肝心要のゴールは奪えないという、いつかそう遠くない昔どこかで見たことのあるバルサを前にビジャレアルは後半3分、ロッシのスルーパスに抜け出したカニがふっとバルテスの頭の上を超えるループシュートで軽々とゴールを奪ってみせた。0-1。バルサはビハインド。
 正直言って自分はこのビジャレアルのゴールは嬉しかった。そう、たとえ5人抜きから決めようと、神の手で決めようと、1本のスルーパスで抜け出して決めようと、オウンゴールで決めようと、ゴールはゴール、1点は1点。半ばゴールを奪うのを躊躇してるんじゃないかと思うほどゴールにぐずぐずしていたバルサにとってこのゴールは良い薬になるだろう。ゴールはこうもシンプルに奪うことが出来る。そしてまた勝つためにはあと45分ほどでそのゴールを最低2つも奪わなきゃいけない。この逆境を前にバルサの選手達はどうでるか。ここで燃えなきゃうそだ。
 このビジャレアルのゴールを境にバルサのアタッキングは前半よりかはシンプルになった。早い話がシュートが増えた。単純にクロスを放り空中戦に持ち込む場面も多くなった。もしかするとビジャレアルにゴールを入れられる前にペップがハーフタイムに修正をかけていたのかもしれない。
 そして後半9分バルサに「シンプル」なゴールが生まれる。右サイド猛烈にかけあがったアウベスが決死のクロスを放る。良い具合にスワーブのかかった高さのあるクロスに中盤からエリア内にするするっと入ってきたケイタが合わせてゴール。バルサが同点に追いついた。メッシやアンリの個人技もなんも関係ない、クロスに合わせただけのゴール。でもそれでもこれはゴールなのだ。
 その後もバルサの攻撃はやむことがなく、後半21分ドリブルで右サイドを突破したチャビがこれまたクロスを放ち、アンリがこれまたそのクロスに合わせバルサ2点目。前半のハイレベルではありつつもゴールはなぜか遠かった内容と違い、かくもシンプルなアタッキングで18分の短い間に逆転を決めてしまった。こうした弱点を即座に修正できる立て直しの早さもペップ・バルサの強みだろう。
 後半29分ピケが2枚目のイエローカードで退場し、バルサは一転窮地に陥るが、ビジャレアルの拙攻にも助けられ、なんとか逃げ切りセビージャ、バレンシア、マドリ、ビジャレアル地獄の4連戦を4連勝で飾ったバルサ。冬のカンペオン通り越してもう普通にカンペオンにでもなってしまった気すらしてくる。が、ここは気を緩めず勝って兜の緒を締めておこう。




 この勝利を心の底から喜べないのはメッシだろう。クロスに合わせてゴールを奪って勝利出来る。ともするとこれはメッシという選手を否定しかねないからだ。もちろんそんなことは全くなく、メッシの才能、プレースタイルはバルサにとって絶対必要不可欠なものなのだが、しかしその自分のプレーで直接バルサを勝利に導けなかったことに一抹の悔しさは覚えているに違いない。思えばクラシコでもゴールを一番カンジさせたのは積極的にシュートを放っていったエトーだった。遅攻において、という限定的な話ではあるが、メッシのゴールに対する存在感はそう大きくないと感じている。
 なにもメッシにクロスを放てといっているんじゃない。メッシにショートパスで相手を崩そうとするな、といっているんじゃない。トップ下でパスを繋げるのが好きならそれで構わない。ドリブルで相手を抜くのが好きならそれでも構わない。だが決してその先に「ゴール」があることを忘れちゃいけない。パスもドリブルも全てはゴールを奪うためにあるんだから。

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