2008年12月27日
プレミアリーグ08/09 第18週 ストーク vs ユナイテッド
GKはエドさん。ディフェンスは右から兄ちゃん、エヴァ、ビダ、オシェイ。中盤は右からクリ坊、スコールズ、フレッチェル、ギグシー。トップはルーニーとテベ公。今シーズンは4-2-4-0や4-2-3-1など新フォーメーションを試している御大だが、今日は見たところオーソドックスなフォーフォーツーらしい。
騒いで緊張してまた騒いで笑ったりした21日からかれこれもう5日。ユナイテッドの選手達はまた飛行機で何時間も揺られながら英国へ。長時間のフライトや大はしゃぎする日本メディアへの対応、4日間で2試合もこなすハードスケジュールからユナイテッドの選手達は帰国の際、笑顔でサヨナラとは言えず疲れの色を隠すことすら出来ていなかったようだが、残念ながらこの試合ではその疲れの後がよく見て取れた。
大抵プレミアでは12月26日ボクシングデーという休日から始まる10日間で4試合ほどこなす過密日程が風物詩ともなっているのだが、今シーズンは26日に試合した後2,3日後という非常に近い間に試合が組まれていることは組まれているが、なぜかしらそれが終わるとあとはゆっくり1月10,11日までお休みと比較的緩やかな日程が組まれている。が、ユナイテッドはというと13日に試合した後15日来日して18日、21日と立て続けに試合をこなし翌22日には早速帰国、そして26日にストーク戦、29日にはボロ戦とよくまあそんなにフットボールをするもんだと感心するしかないほどの過密日程。そりゃ疲れもするわけだ。
この日は必要不可欠のルーニー、クリ坊の他にテベ公、エドさん、ビダ以外の6人がCWC決勝でスタメンでは無かった選手だった。それでもスコールズ、フレッチ、ギグシー、オシェイ、兄ちゃんとメンバーが落ちている気が全くしないのがユナイテッドの層の厚さを雄弁に物語る。本当はベルビー使ってクリ坊かルーニー休ませたいんだけど、ベルビーに感染したウイルスとやらは本当に空気が読めないやつだ。
ということでやっぱりクリ坊の調子が悪い。小気味良いテクニックをところどころお見舞いしてみせるが、それが前を向いていないというかゴールに直結するようなプレーではなく、よっていつものような破壊的オーラをクリ坊からは感じない。今日はここにはあまり期待しない方がいいのかも。テベ公も球離れ悪いし、ルーニーも思ったように前向けないしと、あらあら、どうやらユナイテッドは案の定困ったモードに突入したご様子。
そんなことを考えた自分の後ろをニターッと嫌な笑みを浮かべた人物がふと横切った気がしたが、あれは果たして本当に気のせいだったんだろうか。いやいや、違う、やっぱりいたんだと時間が経つにつれ悟り始める。不敵な笑みを浮かべる男、その名はトニー・プリス。ホームでは5勝2分2敗と抜群の成績を誇るストークの将が「今こそ勝機!」と弱り目のユナイテッドの首根っこ狙って猪突猛進追いかかってきた!その先頭を切るのは魔のロングスローを放るデラップだ。
この前の試合ではクリ坊のフリーキックで早々に相手の出鼻を挫き、その後も王子やベルビーのゴールで要所要所ゴールを重ね軽くいなした相手だったが、ホームではやはりその本性を表すのか、ガンガンロングスローを放ってユナイテッドゴールに襲いかかる。怖い怖いと聞いてはいたが、まさかこんなに怖いものだとは思っていなかった。角度が急だから競ろうと思っても競れない。めいっぱいジャンプしてもすっと頭を抜けられ、後ろを振り返ると同じぐらいの高さしかジャンプしてないはずの選手にピタッと合わさる。なんとかクリアしたと思ってもコーナーキックでさらなるピンチが。確かにこれはタチが悪い。
でも自分はそんなストークになぜだか不思議な懐かしさを覚えていた。次々とエリア内に放り込まれるハイボール。それをフォワードやディフェンダーのみならずキーパーまでもが果敢に飛び出して競り合うスリリングな空中戦。あぁ、これはいつぞやみたあのプレミアリーグの古き良き原風景じゃないか。いつからかグラウンドでのパス回しに取って代わられ今となっては久しく見ぬあの風景が今ここに。
なんだ、そういうことか。なら話は早い、この空中戦に勝ったものが勝者、負けたものが敗者だ。こんなに分かりやすい話はない。そしてこういう時我らが守護神エドさんほど頼もしい男はいない。危ない場面も水際でガンガン防いで下さる。ビダも空中戦では頼れる男だ。うーん、なのになぜここにリオ様がいなかったんだろう。こんな勝負はヨダレが出るほど好きそうなのに。それだけがホントに悔しかった。
この勝負を買ってでたか、御大も64分オシェイに代わってベルビーを投入する。これでユナイテッドの攻撃の選択肢にもハイボールが加わった。いつもは中盤に下がりたがるベルビーもこの日ばかりはエリア内でボールを待つ場面が多い。そりゃそうだ。これは御大が真正面から買ったケンカ。苦手とか言ってられず今日はセンターフォワードやってもらうしかない。
この日は調子の悪かったクリ坊。相手にタックルをくらってはファウルをとろうと地味に頑張り続けていたが、この日の審判クリス・フォイさんとはすこぶる相性が悪かったようだ。オオカミ少年よろしくいくらこけても信じてもらえない。でも今日のクリ坊は諦めなかったからえらかった。そのしつこさはこの日一枚カードをもらっているストークDFウィルキンソンの苛立ちを誘い、ウィルキンソンは思わず後ろからタックル。こればかりは笛を吹かざるを得なかった審判はこの日2枚目のイエローカードを提示し、ユナイテッドが数的有利に立った。
ディフェンスの選手が欠けたわけだから当然そこのケアをしなければならない。プリスはカードをきってくる。デラップに代えてDFのデイヴィス。デラップに代えてDFのデイヴィス。デラップに代えてDFのデイヴィス。
デラップに代えてDFのデイヴィス!!!???
なんだ、その臆病な采配は。最大の武器であるロングスローを自ら捨てるだと!?元はといえばあんたが売ってきたケンカだろう。なのになぜそのあんたが及び腰になってるんだ。残り時間20分を切り確実に勝ち点が欲しくなったか。そりゃ、ないぜ、興ざめにも程がある。
その後はユナイテッドが案の定優位に試合を進める。ストークも隙を突いてカウンターを仕掛けるが、立ちはだかるはビダだ。リオがいない中少々頼りない後輩エヴァを引き連れそれでも最後の最後相手との勝負に読み勝ち、ボールを奪ってみせる姿は本当にリーダーのそれをカンジさせた。上手い強いだけじゃなく、ユナイテッドを守るものとしてのオーラをこうヒシヒシと感じる。これはリオや兄ちゃんには感じられるもので、まだオシェイやブラウンからは感じたことのないものだ。ほんっとビダは大きくなった。リオにビダ、これなら今後5年はユナイテッドディフェンスは安泰だろう。
エドさん、ビダをはじめ守備陣が頑張ってくれてるんだから、あとは攻撃陣が仕事をするだけ。83分兄ちゃんのクロスを走りながら受けたベルビーがなにがどうなっているか分からないほど優しくソフトなトラップでディフェンダーを振り切ると、体勢を崩しながらそれでも勢いよくそれでいて丁寧に中に折り返し、合わせたテベ公がゴール。うーん、困ったときのテベ様ゴールは昨シーズンはよく見られたものの、今シーズンは初めてでないかな。ここに来て勝負強さを発揮してくれるとは何ともありがたい。地味に今シーズンポジション争いを繰り広げるベルビーとテベ公のコンビネーションゴール。どっちも間違いなくユナイテッドに必要な選手なんだから、上手いことプレー合わせて共存していってくれるとこんなにありがたいことはないのだけれど。
ということで、ユナイテッドはこの虎の子の1点を守りきり勝利。ホントデラップの交代は残念だった。勝ち気を崩さないためにも絶対してはいけない交代だったと思う。対するユナイテッドも1-0と薄氷の勝利ではあるが、ここは得点力不足を嘆くのではなく、守備陣の頼もしさを誇ろう。決して盤石といったわけではなく、結構危ない場面も作られているのだが、それでも守護神エドさんを中心に最後の最後で守りきる強さは昨シーズンのそれだ。昨シーズンは序盤戦1-0が多く、中盤あたりからゴール増えていって大量得点の試合が増えてそのままの勢いでゴール、優勝と相成ったわけだが、今シーズンもこれからそんな流れになっていってくれればいいんだけど。鍵はやっぱりベルビーか。クリ坊ももうちょっと良くなる余地があるだけにそこにも期待しておこう。
posted by myrowka |02:01 |
MU 08/09レビュー |
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2008年12月26日
さてさて。
期間限定ではあるけれどミラニスタはミラニスタ。ミランのことをよく知りよく学ぶためウディネーゼ戦を観戦することに。ということで。
08/09レガ・カルチョ・セリエA 第17節 ACミラン vs ウディネーゼ
GKはアッビアティ。ディフェンスは右からアントニーニ、カラーゼ、マルディーニ、ファヴァッリ。中盤は右からセードルフ、ピルロ、ヤンクロフスキ。トップはパト、カカ、ジーニョ。
個人的にはファヴァッリがまだまだ現役していて驚く。ラツィオを追いかけていたのは2002年頃までだったか、その頃にはもう既に壮年に入りかかってたと思っていただけに。プレースタイルも年老いたからといって最終ラインにへばりついているわけでなく、隙あらばガンガン上がってサイドアタックに参加する。まだまだ現役バリバリだ。うーん、少し感慨深い。もしかしてパンカロも!?と思ったが、さすがにそれはなかったか。
今回ミランを見る上で気にしていたのはカカとジーニョの共存問題。カカがジーニョとのプレーに不満を持っていると発言したことに端を発した問題だが、確かにカカとジーニョはお互いなんだかやりにくそう。縦への速いボール回しから相手ゴールに攻め込みたいカカに対し、ジーニョはというとどうしても一度足下でボールを止めてじっくり攻めたがる。だからカカがボールを持つと前へ前への速い攻撃にジーニョはついていけず絡めないし、ジーニョがボール持つと一旦そこで流れが止まり、前へ前へのカカはリズムを崩されぐずぐずになってしまう。それでいてお互いどちらかに合わせようとはしないのだ。2人とも半ば意地になっているかのようだった。先のニュースリンクを見ていただければ分かるが、ガッリアーニ副会長も不満を漏らしたカカに「ミランはカカのチーム」とフォローしているし、カカはあれで結構難しい性格をしているのかもしれない。
カロリーナさんと結婚するまでお互い純潔を守り抜いたというカカと夜遊び大好きのジーニョ、そもそも性格からして真逆といってもいい2人。性格の不一致が必ずしもプレー相性の不一致につながるとは限らないのだが、それでもなんだかちぐはぐな2人を見ていると、そうした性格での違いが2人の融和を妨げているようなそんな印象を受けた。
この両極端のスーパースターに囲まれてプレーするのが18歳のパトくんだ。「おい、お前はどっちの味方なんだ」という2人のキツ~い視線に参っている、かどうかは定かではないが、この試合を見た限りではパトくんはカカの味方。若さを漲らせピッチを疾走するパトくんのスタイルはやはり動きながら攻撃したいカカに合うんだろう。ミランで最もゴールを予感させたのはパトとカカのコンビネーションによるカウンターだった。この日の2点目なんかはまさにそう。右サイドでディフェンダーを抜いたパト君はエリア内に猛烈に駆け込み、これまたエリア内に走り込んでいるカカにDF2人とGKの間を突くラブリーパスを通して見事ゴールを演出、やや遅れてやってきたジーニョの目の前でかくもお熱いラブラブぶりを見せつけてくれた。
パトくんは1点目の時もエリア内で上手くマークを外しファバッリのクロスを押し込んでみせたし、3点目の時もアントニーニの折り返しパスにすっと反応してすっとゴールを決めてみせたりと、想像以上にゴールを奪うのが「上手い」。個人的にはロビーニョのような足下でこねくり回す選手を予想していたが、これならロマーリオの方がタイプは近い。顔に似合わず「点取り屋」という言葉が似合うパトくんだ。ピッポから上手い具合に技術を盗んだかな。なんにせよエリア内での勝負に長けた選手がいるというのはベッカムにとっても朗報だろう。
ジーニョはというと左サイドでボールをキープしこまっしゃくれたテクニックで時折観客を「オー」とは言わせるものの、結局は安全なパスに逃げることが多く、また少々無理してキラーパスを狙っても、それはことごとく相手DFに止められていた。うーん、これはどこをどうみてもあのバルサでダメダメオーラを放っていた時のジーニョだ。バルセロニスタに神格視されていたころのジーニョはもっと果敢に自らエリア内に攻め込んでいたし、またそのボールも取られることはほとんどなかった。昔のような自信と勇気を取り戻さないとここミランでも厳しい戦いが待っているんだろうな、と思った今日この頃。
まあでもカルチョの世界には「ファンタジスタは89分間消えていても、たった一度だけ輝けばそれでいい」みたいな格言があると聞くし、ジーニョも時折ギアをいれてはゴールを予感させるプレーを見せていた。ここはバルサじゃないんだし、こういう生き方もミランではありなのかもしれない。
中盤ではやっぱりピルロが王様していた。長年働き続けてきた疲労から昨季は不調に陥っていたと聞くが、怪我での長期離脱が良い方向に働いたのか、中盤で上手い具合にボールを捌いては時折度肝抜くような超絶スルーパスでゴールを演出。特に3点目のゴールを呼び込んだスルーパスは圧巻だった。うーん、やっぱりピルロのプレーは見ていてうなる。
ただそれならキャリックも負けてないんだけどなぁ、キャリックはなんでこうあんまり世間の評価がついてこないんだろう、と思っていたら「これだよ、これ」と言わんばかりに速くて美しいFKを蹴ってみせてくれた。惜しくもポストに嫌われるもののセードルフがつめて4点目につながるプレーとなった。FKのみがピルロとキャリックの評価の差を生み出しているわけではないと思うが、やっぱりピルロのこの武器は強い。これではジーニョもFK蹴らせてもらえないはずだし、ベッカムが蹴らせてもらえるかも怪しくなってきた。まあそこかしこからの圧力の結果アンチェロッティは「仲良く2人で蹴り分けてよ」と指示せざるを得なくなるとは思うのだが。
ミランの中盤のサイドの選手は多くの4-3-2-1、もしくは4-3-1-2のそれと同じく、ウイングやサイドハーフというよりもセンターハーフ的意味合いが大きい。サイド突破はサイドハーフのドリブルなどで単独で行うのではなく、サイドバックやパトやジーニョ等サイドに位置したアタッカーとのコンビネーションで行う。なのでサイドハーフはサイドアタックのキーマンというわけではなく、どちらかというとアタッキングの調整役と言った方が正しいだろう。そのためパス精度はもちろんパスを出す判断の速さ、またポジショニングが重要となってくる。となると自然ベッカムにも活躍の芽は出てくるわけで、アンチェロッティがベッカムを欲した理由もなんとなく分かった気がした。
ということで、あくまでこの試合を見てのみの感想となるが、ミランはそう言われているほど悪いチームではなかったし、ピルロの復帰、ベッカム加入などでこれから調子が上がっていくチームだろう、と感じた。ベッカムもなんだか普通にプレーできそうだし、個人的な事情ではあるが今季のインテルにはどうしても優勝してほしくなかったりする。せっかく仲良くなったよしみだし、狙うは頂点、スクデット目指して頑張っていきませう。
posted by myrowka |23:19 |
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2008年12月25日
さてさて。
ということで、なんとも急な宣言ではありますが私、2009年1月から3ヶ月間ミラニスタになろうと心に決めた次第であります。なぜかは『BOY MEETS BECKHAM』という記事をお読みになっていただければ詳らかになるでしょう。タイミングも空気も何も考えず先の記事をアップしたのはそのため。早い話、私はベッカムが大好きなのです。
じゃあこれまではLAギャラクシスタだったのか、と問われると答えはNO。
自分はベッカムはまだ世界トップクラスの実力を備えていると思う。プレーしようと思えばヨーロッパのビッグクラブでもプレーできたはず。でもヨーロッパのハイレベルなフットボール蹴ってまでアメリカのサッカーの世界に乗り込んでいったベッカム。それが悔しかった。早い話、「サッカー」をやるベッカムなんて見たかねえ!わけです。「サッカー」を選んだ理由もアメリカのサッカー普及のためとかいう崇高なものではなく、5年約300億円とまで言われた契約からも分かるように「金」のため、またアメリカではまだ広く認知されていないベッカムという名を広める「芸能活動」のため、と推測せざるをえないし。
と、同時にベッカムという選手への熱も急激に冷めていった。なんだ、やっぱりそういう男だったのか、信じてたんだけどな・・・と。ベッカムがアメリカの世界に渡ってから代表復帰、代表100試合とベッカムに関する話題は定期的に供給されていたが、全く興味は沸かなかった。もはやフットボーラーでもなくなったベッカムに何が出来る!と半ば意地になっていたことも認めなければいけない。
そんなベッカムがまたヨーロッパのフットボールの世界に帰ってくる!しかも今度はフットボールやフットボルではなくまた未知なる領域「カルチョ」の世界へ!というニュースを聞いたとき、正直自分の心は弾んだ。アメリカ行きを聞かされ一度は絶望し失望し幻滅した相手ではあるのだけれど、やっぱり最後の最後まで嫌いになることは出来なかった。観念しよう。やっぱり自分はベッカムのプレーが見たい。
と、まあさきの「3ヶ月限定ミラニスタ宣言」の裏ではこんな具合にプチ愛憎劇が繰り広げられていたわけだ。
肝心の出場機会に関して残念な話あまりポジティブなことが自分の耳には届いてこない。今のミランのスタイルにベッカムはあわないとか、所詮3ヶ月の応急手当的補強なんだからベッカムに重要な役割を任せるはずがないとか、ピルロが復帰した今用なしとか、大体そんなカンジ。ミランの試合を少なからず見てきている人がそういうからにはおそらくそういうことなんだろう。
でも自分はそう悪い方にもいかないんじゃないだろうか、と考えている。そのネームバリューにばかり目がいきがちのベッカムだが、マジメに練習に臨む真摯な態度はカペッロやラウール等多くの選手や監督が物語る通りだし、試合に出れば着実に仕事をこなすプロフェッショナブルぶりはマドリ監督就任直後「ベッカムなんて必要ない」と切り捨てたカペッロの頑固頭すら崩すほど。アンチェロッティが普通にベッカムを評価しているという話も聞く。中盤なら大体どこのポジションでもプレーできるし、チャンスさえ与えられればしっかりと仕事をしてくれるだろう、とその点あまり心配はしていない。
背番号は「32」。ユナイテッドの7からマドリ、LAギャラクシーの23、そして今回の32と年齢と共に背番号もレベルアップを続けていくベッカム。ベッカム獲得に経済効果への期待もあるんなら絶対7番あげた方がいいのになぁ、とは思うがジーニョが80番、カカが22番、シェバが76番をつけているミランにとってそこんところは大した問題じゃないんだろう。っていつからミランは世界一背番号が似合わない選手が集まるクラブになったんだ。
とまあそんなこんなありまして3ヶ月間と短い間ではありますが、ミランとよろしくやっていくことになりました。若輩者ではありますが、どうぞよろしくお願いします。
あと全く関係ないけど新たに記事書くほどでもないと思ったのでここに殴り書き。
http://en.akinator.com/#ってサイトが凄かった。次々と出される質問に答えていくだけで自分の頭に描いた人間(サッカー選手でも漫画のキャラクターでも大体OK)が当てられるってサイトなんだけど、ベッカムやクリ坊は当然としてイニエスタもフレッチェルもデコも当てられた時はさすがにド肝抜かれた。チャドウィックはやっぱり無理だったけど・・・。サイトは英語だけれど文章は平易だし、たまに出てくる難しい単語も調べれば無問題なので、興味がある人はぜひお試しあれ。
posted by myrowka |14:08 |
ACミラン |
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2008年12月25日
※前ブログからの転載改
「あなたが一番好きな選手は誰ですか?」
と聞かれれば、一体ここをご覧のみなさんは誰と答えるだろうか。自分はかなり悩む。ルーニーにメッシー、イニエスタ。渋いところを突くとフレッチェル、アルテタ、チャドウィックなんかもなんだかんだで記憶にずっと残ってる。そういや自分がフレッチェル好きなのはチャドウィックの顔となんか通ずるものがあるかもしれない。などなど、あまりにも魅力的な質問だけに、いろんな選択肢が浮かんでは消え、浮かんでは消えていくのだが、結局のところ自分はこう答えざるを得ないのである。
「デイビッド・ベッカム」だと。
自分の部屋の一番目立つところにドカンと飾られているポスターがなによりの証拠だ。胸には大きなシャープのマーク。ユニフォームはあの時はまだアンブロ製だった。個人的に一番気に入ってるチャックのついたタイプの赤い悪魔のユニフォームに身を包んだブロンドの髪をなびかせハツラツとプレーをしていた頃のベッカムのポスターは自分の宝物である。
ベッカムがユナイテッドを去り、ルーニーというベッカムに代わるスーパースターが現れても、自分の中ではベッカムを超えることはない。一生ないのだろう。それは別にルーニーがベッカムより劣っているとかそういうことではない。ベッカムが自分をかくも奥深いフットボールの世界へと引きずり込んだ張本人だからなのだ。
1999年中学生の頃、自分はフットボールのことなんかまだ何にも分からないペーペーだった。夏休みの体育の宿題(なんでもいいからアマチュアの試合を実際に見に行きそのレポートを提出しろというもの)をずっとサボり続けていた自分は突如12月、体育教師に呼び出される。
「もう2学期も終わりだ。それなのにお前はこのままずっと宿題を出さないつもりなのか。許してほしければテレビでもいいからなにかの試合を見て、そのレポートを書け」
その声に並々ならぬ怒りが込められていたのを敏感に察した自分は、命が惜しければなによりも優先してこの課題を成し遂げなければいけない、と理解した。
さて、スポーツとはいっても日本で一番人気のある野球はとうにシーズンを終えている。何を見て書こうかと悩んでいたところ、「トヨタカップ」という大会があるというのを耳にした。なにやらフットボールでヨーロッパ一強いチームと南米一強いチームが戦う試合らしい。この時期になんと課題にピッタリな大会が行われるのだろう。まるで自分のために開催されるかのようだ。これを見ない手はない、ということで早々とテーマは決まる。試合を見てそのままその内容を書くというのもいいのだが、なにせ4ヶ月もサボり続けた課題だ。少しでもいい内容のものをと考え、試合前にやっていた明石家さんまさんが司会の特別番組を見ることにした。その番組ではいかにしてユナイテッドがヨーロッパチャンピオンまで昇りつめたのか、その過程を映像を交え詳しく放映していた。そこで自分は初めて世界のフットボールのレベルを目の当たりにする。
当時は右からベッカム、キーン、スコールズ、ギグスの黄金の中盤に加え、前線にはアンディ・コールとヨークのいわゆるホットセットが並んでいた。ギグスの超絶ドリブルに、スコールズのミドルシュート等、数々のスーパープレーが飛び交う中、自分の目を一番引いたのはベッカムのアーリークロスだった。最初見たときは、もうなにがなんだか分からなかった。
ボールというのはこんなにも早く飛ぶものなのか。ボールというのはこんなにも鋭く曲がるものなのか。ボールというのはこんなにも正確に蹴れるものなのか。
なにもかもが自分の常識を超越していた。そんなとてつもないボールを放っているのが金髪をなびかせるハリウッド俳優顔負けのイケメンとなれば、フットボールを知らない人間でも夢中になるのは無理もない。肝心のトヨタカップではあまり目立った活躍が出来ず、逆に敵のアスプリージャのスピードに驚かされたがそんなことはどうでもよかった。ヨーロッパには自分の知らないとてつもない世界が広がっている。それを知った自分は加速度的にフットボールの世界に引き込まれていった。こうやって自分はこんなにもフットボールが好きになっていったのだ。
それからいろんな選手を好きになった。それこそ数えあげればキリがない。でもベッカムが自分に初めてフットボールの面白さを教えてくれた選手である以上、先の質問に対する自分の答えは一つなのである。たとえユナイテッドを去って自分の大嫌いなチームへ行こうとも。
posted by myrowka |12:26 |
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2008年12月24日
08/09リーガ・エスパニョーラ 第16節 ビジャレアル vs バルサ
GKはバルテス。ディフェンスは右からアウベス、ピケ、プジョル、アビダル。中盤は底にブスケッツ、前にチャビとケイタ。トップはメッシ、エトー、アンリの3人。
マルケスが今日はお休み。底にもこれまでとは違いジャジャではなく、久々にブスケッツが入っている。開幕当初はリーガでは底にブスケッツが定番と化しつつあったが、シーズンが進むにつれスケジュールもハードなものになり、また上位陣との戦いも続いたので、若さというリスクを負っていた4番ブスケッツは一時封印していたペップ。セビージャ、バレンシア、マドリと3連続で叩けたおかげでようやくその封印を解放する余裕が出てきたということだろう。2月の終わりチャンピオンズ決勝トーナメント1回戦再び始まる激闘に向け、それまでの間は色んなこと試しながら徐々にチームとしての完成度をもっと高めていきたいところ。
この日は今日も今日とていつものバルサ。相手が引いているときはショートパスで、相手があがっている時は縦に早い高速カウンターで。これまでと少し違う点と言えばエトーが左サイドに流れることが多いということだろうか。右サイドに流れるシーンはよく見られたものだが、エトーとアンリがポジションチェンジをする場面が頻繁に見られたのはペップ・バルサ史上初めてのような気がする。アンリの調子が上がったことで自然とこの2人のコンビネーションも良くなったのか、それともエトーが「俺もメッシみたくサイドから切り込んでシュート撃ちてえ」と急に新境地を開きたくなったのかは定かではないが、バルサのアタッキングパターンも増えることになるし、アンリの中央でプレーしたいという願いもかなうことになるし、何よりである。
そんなバルサはチャビと中央でプレーすることの多くなったメッシのショートパスを中心にポンポーンと軽快にボールを繋げながらビジャレアルゴールに迫る。日々右エストレーモと化しつつあるアウベスの攻撃参加やアンリのドリブルがそのバルサの攻撃に箔をつける。うーん、やっぱりバルサは見ていて気持ちが良い。
が。
時間が経つにつれ胸に広がっていくこのモヤモヤはなんだろう。「うお!すごい!速い!そこでそう来る!?あ、くそ、止められた!」などバルサのハイレベルなプレーの前に一喜一憂する自分は相も変わらずだが、しかし何かこうずっと物足りない感覚に襲われていた。それが何かは前半終了時画面に映し出された文字で判明する。0-0、スコアレス。そうだ、ゴールが足りない。
メッシやエトー、アンリらの速いパス回しで敵を一応崩せはする。しかし相手も相手でバカではない。バルサの攻撃力は百も承知。一枚の壁で防げないなら、一枚もう一枚と壁を重ねていけばいい。フットボールとは要はいくら壁をぶち破られようと、最後の砦ゴールさえ割らせなければいいのだ。この非常にシンプルかつ真理をついた守備でバルサの攻撃を最後の最後で守りきるビジャレアル。
バルサの選手もそれならそうで、壁をひょいと跳び越すだとか壁と壁の相手を通すような大砲ぶっ放すとか色々な工夫を見せていけばいいのに、バカ正直に一個一個丁寧に壁を崩してからゴールをいただこうとする。以前どこかでアーセナルはキレイにゴールを決めたがるきらいがあるという批判を見た記憶がある。実際アーセナルのフットボールをキチンと見たことはないので詳しくは分からないが、バルサの前半の攻撃にはこの批判がまさしく当てはまるだろう。バルサの攻撃の目的がいつの間にやらゴールではなくなり、いかに相手をキレイに崩すかにシフトしてしまっている、そんな印象を受けた。
その中心にいる人物はメッシだ。メッシは今シーズンペップから「どこでも好きな位置でプレーしろ」という白紙委任状を受けた。元々トップ下でのプレーが好きだったというメッシは水を得た魚のように主戦場を右サイドから中央に変える、これまでは右サイドからドリブルで敵を崩しチャンスメイクすることが多かったメッシが、今シーズンはトップの位置でボールを受けて楔となりラストパスで味方のゴールを演出するのが目立つのはそのためだ。世間の自己中心的な選手という評価もなくなりつつある。メッシが中央に寄ればアウベスの上がるスペースも確保出来るし、一見このメッシのポジションチェンジはいいことづくめのように思える。
しかしだ。このブログでは何遍も書いていることだが、今シーズンのバルサに遅攻からのゴールは少ない。バルサのゴールの多くは速攻によるもので、最近は特にその傾向は顕著だと言える。今シーズンメッシが好んでやっている自らがポストとなって速いショートパスの交換から相手を崩すパターンでゴールを奪った試しはほとんどない。そしてそれはこの試合にも当てはまるというのは上にも書いた通り。
そうしてボールをキープしこねくり回すことは出来ても肝心要のゴールは奪えないという、いつかそう遠くない昔どこかで見たことのあるバルサを前にビジャレアルは後半3分、ロッシのスルーパスに抜け出したカニがふっとバルテスの頭の上を超えるループシュートで軽々とゴールを奪ってみせた。0-1。バルサはビハインド。
正直言って自分はこのビジャレアルのゴールは嬉しかった。そう、たとえ5人抜きから決めようと、神の手で決めようと、1本のスルーパスで抜け出して決めようと、オウンゴールで決めようと、ゴールはゴール、1点は1点。半ばゴールを奪うのを躊躇してるんじゃないかと思うほどゴールにぐずぐずしていたバルサにとってこのゴールは良い薬になるだろう。ゴールはこうもシンプルに奪うことが出来る。そしてまた勝つためにはあと45分ほどでそのゴールを最低2つも奪わなきゃいけない。この逆境を前にバルサの選手達はどうでるか。ここで燃えなきゃうそだ。
このビジャレアルのゴールを境にバルサのアタッキングは前半よりかはシンプルになった。早い話がシュートが増えた。単純にクロスを放り空中戦に持ち込む場面も多くなった。もしかするとビジャレアルにゴールを入れられる前にペップがハーフタイムに修正をかけていたのかもしれない。
そして後半9分バルサに「シンプル」なゴールが生まれる。右サイド猛烈にかけあがったアウベスが決死のクロスを放る。良い具合にスワーブのかかった高さのあるクロスに中盤からエリア内にするするっと入ってきたケイタが合わせてゴール。バルサが同点に追いついた。メッシやアンリの個人技もなんも関係ない、クロスに合わせただけのゴール。でもそれでもこれはゴールなのだ。
その後もバルサの攻撃はやむことがなく、後半21分ドリブルで右サイドを突破したチャビがこれまたクロスを放ち、アンリがこれまたそのクロスに合わせバルサ2点目。前半のハイレベルではありつつもゴールはなぜか遠かった内容と違い、かくもシンプルなアタッキングで18分の短い間に逆転を決めてしまった。こうした弱点を即座に修正できる立て直しの早さもペップ・バルサの強みだろう。
後半29分ピケが2枚目のイエローカードで退場し、バルサは一転窮地に陥るが、ビジャレアルの拙攻にも助けられ、なんとか逃げ切りセビージャ、バレンシア、マドリ、ビジャレアル地獄の4連戦を4連勝で飾ったバルサ。冬のカンペオン通り越してもう普通にカンペオンにでもなってしまった気すらしてくる。が、ここは気を緩めず勝って兜の緒を締めておこう。
この勝利を心の底から喜べないのはメッシだろう。クロスに合わせてゴールを奪って勝利出来る。ともするとこれはメッシという選手を否定しかねないからだ。もちろんそんなことは全くなく、メッシの才能、プレースタイルはバルサにとって絶対必要不可欠なものなのだが、しかしその自分のプレーで直接バルサを勝利に導けなかったことに一抹の悔しさは覚えているに違いない。思えばクラシコでもゴールを一番カンジさせたのは積極的にシュートを放っていったエトーだった。遅攻において、という限定的な話ではあるが、メッシのゴールに対する存在感はそう大きくないと感じている。
なにもメッシにクロスを放てといっているんじゃない。メッシにショートパスで相手を崩そうとするな、といっているんじゃない。トップ下でパスを繋げるのが好きならそれで構わない。ドリブルで相手を抜くのが好きならそれでも構わない。だが決してその先に「ゴール」があることを忘れちゃいけない。パスもドリブルも全てはゴールを奪うためにあるんだから。
posted by myrowka |07:55 |
FCB 08/09レビュー |
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2008年12月22日
さてさて。
ということで。行って参りましたよ、クラブ・ワールドカップ。大阪から3時間かけて横浜の田舎くんだりまで。わざわざ3万もするチケットまで買って。それもこれも全ては我らがユナイテッドのため。ヨーロッパではさんざ無視され誰も興味を示さないちっぽけな大会ではあるらしいけど、ジンガイさんがどう思おうがんなもん全く関係なくて。ルーニーの、クリ坊の、フレッチの、キャリックの、ユナイテッドの選手達のプレーをこの目でここ日本で拝む頃が出来る。それが全てじゃありませんか。そのためなら少々懐が痛もうがどうということはない。
ぶっちゃけた話を言うと試合の流れがどうこうというのはあんまり分からなかった。試合の大半を腕つらせながらそれでもオペラグラスを必死に掲げ、選手ばかり追っかけていたならそれも無理はない。そのおかげでルーニーの笑顔もクリ坊のこける姿もキャリック(以下王子)のパス出す優雅な姿もエドさんのスーパーセービング姿もしっかり目に焼き付けることが出来た。幸せ・・・。この一言に尽きる。
自分が最初にこの目で確認したのはクシュチャクと日本来る直前に指を怪我したフォスターに代わって呼ばれたエーモスだ。フォスター君には少なからずユナイテッドでの未来を期待しているだけに残念ではあるのだが仕方ない。その後エドさんが登場。こっちに向かって拍手をくれたのでこちらも拍手でお返しする。うーん、やっぱりでかいなぁ、エドさんは。その後先の2人に加わって練習開始。
そして数分後他のユナイテッドの選手達が大挙して登場し、ランニングを開始。どの選手から見ていいかあたふたするもののまずはざっと一通りの選手の顔確認しおわると、自然に目は端っこの方で仲良く談笑をしながら走るルーニー&クリ坊へ。うわぁ、本当にルーニーとクリ坊だよ・・・。でも最初は興奮の頂点にいた自分もそのほのぼのした雰囲気に徐々に落ち着きを取り戻し始める。
その後は各グループに分かれボールを触った練習を開始。スコールズやギグシー、リオ、ベルビー、ルーニーらは鳥かご。ボールに触った触ってないだので揉めだした選手達をいさめるギグシーにしびれ倒し失禁寸前の自分。このシーン見れただけでもう元は取れたといっても過言じゃない。クリ坊はというとラファエルとアンデルソン3人でボールを蹴っている。やっぱりポルトガル語つながりでここは仲が良いんだろうな。
そんな練習の最中に両チームのスタメン発表。やっぱりネビ兄は今日はお休み。代わりにラファエルが入っている。うーん、期待のニューフェイスもいいけど、やっぱり兄ちゃんが見たかったよわたしゃ・・・。あとフレッチェルが入ってないのも寂しい。あぁ、俺のフレッチェルが・・・。まあでも途中出場でチャンスもあるだろうからとなんとかここは気を取り戻す。落ち込んでいる暇なんてないのだ。今はただ一分でも目に愛するラッド達を焼き付けなければ。
その後練習も一通り終わり選手達はひとまず引き上げ。12月の寒さとも相俟って(あいまるという動詞が辞書にはないことに驚いた)なんとも寒々しい時間が流れるが、そんな中果敢にもスタジアムに躍り出て場違いにも歌を披露するゴスペラーズとスキマスイッチの一人。「あんたたちの歌を聴きに来たんじゃねえ」とベタヤジでも入れたくなるが、聞いてみるとなかなかどうして耳に残る結構良い歌。今度CDでも借りてみよう。
でもそれは所詮幕間劇。聞き慣れた入場曲と共に登場する選手達を眺めているとボルテージが自然に高まる。が、整列の後キャプテンのリオがブラッターファミリーに選手紹介しようとするも、タイミングを誤り一歩足を前に踏み出し固まる姿に激萌え。やっぱりリオにゃ天然属性があるなぁ。反則ものだよ、ホント。
そうしてようやく試合開始。今日はゴールゲッターのルーニーがゴールくれくれと言わんばかりにトップに入っていたので「こりゃ安心」と胸をなで下ろしていたが、実際はそうも上手くいかなかった。ミーハーな日本人サポーター達に対し、クリ坊はこれでもか!というぐらいに足をくるくるくるくるくるくるくるくる回してサービスして下さって実にありがたいのだが、噂通りキトは守備的なチームでサイドに守備をかならず2人置く用意周到ぶりで、1人抜いてはもう1人、それを抜いてもまた1人と選手が沸いて出てきてクリ坊に楽にプレーをさせない。自然敵陣地には選手が密集してエヴラの攻めあがるスペースもない。
かくしてお得意の高速カウンターは封じられ、しかたなく中央狭いところ細かいパス通しながらの突破を迫られたユナイテッド。そのおかげでルーニーとテベスの華麗なワンツーからルーニーパクチーへのナイススルーパスなんていう妙技も拝むことが出来たのだが、これは生憎相手キーパーに止められた。その後も王子の超絶スーパーフライングスルーパスに抜け出したクリ坊がルーニーに折り返し、ルーニーシュート!などなどすんげえプレーの連続に頭はポッカポカ体震えっぱなしだったのだが、気がついてみるととゴールはない。ルーニーらのプレー見れただけで頭に花の咲いてる自分とは違って冷静にこの状況を分析していただろうルーニーなんかはトップからポジションを頻繁に変えるようになり、なんとかチャンスを作ろうとするが、経験上これは泥沼の証。テペッちゃんが足下でボール受けるでなくもっと裏へ抜け出す等ゴールに直接繋がる動きを貪欲に狙ってってくれるといいんだけどなぁ、なんて思いながら前半はスコアレスのまま終了。
うーん、幸か不幸かキトは確かにグッドチームだわ。強敵と与する際の戦い方を知っている。これがリベルタドーレスの王者か。
後半開始してからもゴールは遠く、流れを変えるためにフレッチェル?このままの状況が続けばベルビー投入もあるだろ、なんて色々と思慮を巡らしていたら、ビダが一発レッド。この時ボールを持ってたルーニー追いかけてたため何が起こったか分からないが、なんてことをしてくれだんだバカ野郎め。これでユナイテッドの新司令塔拝む可能性ほぼ無くなっちまったじゃねえか。密かに楽しみにしてたのに。もうマジかよ、ホントへこむわ、と当時の失望感は筆舌に尽くしがたい。
しかも気づいてみればこれはピンチじゃあるまいか。前線一枚減らしてエヴァ投入すればいいだけの話だから、守備面でさしたる影響はないのだが、ただでさえキトディフェンスを崩せないってのにその上1人欠くだと?あまり考えたくはなかったが、ここまで来ると嫌でも最悪のシナリオが頭の中にちらつく。
さらにこの嫌な想像をくすぐるのがキトの21番だ。テクニックあるから全然ボールとれないし、視野は広くて長短のパスガンガン通すし、隙あらばミドルシュートでゴールも狙う。あれは何者だ、一体。普通にビッグクラブでプレーできそうな逸材がこんなところで21番なんて良い意味で分不相応の背番号しょってプレーしてらっしゃった。おいおい、もうこうなったら削れ。マジでしゃれになんない、あの21番。
試合開始前は2試合連続ゴールラッシュなんてしてくれれば嬉しいなぁ、なんて可哀想なぐらい楽観的な考え方しかしてなかった自分の目の前で繰り広げられる欧州王者と南米王者の1点を争うプライドをかけたしのぎあい。そういえばクラシコもこんなだった。ペップに勝負は何が起きるか分からないと釘を刺されていたはずなのに。バカだ、俺は本当にバカだと猛省する。
手にギシリと握られたオペラグラスが汗ばみはじめた79分、突如その場面は訪れた。中盤でボールを持った王子がクリ坊に縦パス。難しいコースだったためパスが通ったことに最初は驚き気味だったクリ坊もすぐに正気を取り戻し、左でフリーになっていたルーニーにパス。そのルーニーが左足一閃、ボールがネットに突き刺さった。
入った!うおっしゃーーー!!!と立ち上がり雄叫びを上げる俺。うおおおーーーー!!!!ルーニーーーー!!!!と叫び続けていたが、ふと気づくと結構自分が浮いている存在だということに気づく。そういや周り見渡しても立ち上がっている人は少ない方だった。こちとら隣の知らない人とハイタッチでもするつもりでいたのに、なんだかそんな雰囲気ではない。ようやく入った先制点、ユナイテッドの勝利をグッと引き寄せるゴールなのに、なんかこう盛り上がりが例えば代表戦の時と比べて今ひとつ。まぁ、最初から薄々感づいてはいたが、結局のところこういうことなんだよなぁ、と再認識する。やっぱりいつかはオールド・トラッフォードへ行かなくては。
この後はマンソ(キトの21番。誰かが口にしてくれたおかげでようやく名前が分かった)対マンチェスター・ユナイテッド。マンソにボールが渡ると何かが起きる。それはキトの選手もユナイテッドの選手も分かっていた。それでもマンソからはボールを奪えない。もらった!と思いきや全盛期のロナウジーニョばりのボールコントロールでひょいとかわされ、前線の選手に軽々とボールを通す。この時には寒気すら覚えるようになっていた。まんそこわい、まんそこわい。
試合後御大は「キトには遠藤がいなかった」と日本メディアにリップサービスしてくれたらしいが、本音を言うと「山崎がいなかった」といったところだろう。マンソは凄くてもマンソのパスをゴールに繋げる選手がキトにはいなかった。だからマンソは自らもゴールを狙いにいくのだが、ゴールマウスに立ちはだかるはエドさん。やっぱりエドさんの壁は厚い!試合終了の笛、倒れ込むクリ坊。ユナイテッド地球一。
それにしても地球~位という言葉を考え出したおそらく日テレの誰かさんには感服いたす。世界1位より地球1位の方がなんか知らないけど凄い感じがするものね。
試合後は表彰式へ。表彰式といえどもユナイテッドファンが無駄に出来る時間は一秒足りとてない。兄ちゃんとギグシー、スコールズのベテラン3人組は固まって何やら楽しそうに話をしている。「9年前はこんな厳かに表彰式やらなかったよな」「ブラッターもクラブをFIFAにかかわらせようと必死だな」なんて語ってたのかしら。表彰式の待ち時間というのにリオと御大は何やら難しい顔で話し合っている。「今日はワシに最初に優勝カップ掲げさせろ」「いやいや、これはキャプテンの仕事ですから」「なんだと・・・」的妄想話を膨らませ終始ニヤケ顔。個人的にはテベ公&エヴラペアに驚いた。少々離れた場所で肘でつつき合ったり、しまいには抱き合ったりしている。まあ当然テベ公が攻めだろな。パクチーは少し離れてガンバの一人と話をしている。終始後ろ向きだったので誰か分からなかったがやっぱりサンガつながりで遠藤かしら。ルーニーとクリ坊はというとそれからまた少し離れた位置で二人きりで談笑。この2人が仲良く話してる姿はもうそれだけでユナイテッドのネガティブなもん全部吹き飛ばせてしまえそうなパワーを秘めていた。ちなみに2人だけ他のチームメイトと大きく離れた位置にいるのは個人賞の授賞式があったから。この後ルーニーはクリ坊から遅れること1ヶ月ようやくバロンドールを受け取り、チーム表彰へ。
クラブ・ワールドカップが唯一チャンピオンズリーグにひけをとっていないのが表彰式の豪華さだ。大量の花火と火薬を使ってドンパチドンパチ豪勢にやらかせば、しまいには空から大量の紙吹雪。この努力にはFIFAに感嘆&感謝せざるを得ない。雰囲気に呑まれ選手や御大も本当に嬉しそう。今年5月テレビで見た光景とほとんど違わずみんなが体を揺らしながら喜んでいる姿を見て本当に来て良かったと幸せを噛みしめた。
ということで。スコアは9年前と同じ1-0。なんだかんだでトヨタカップは一筋縄ではいかないもんだと肌で感じた試合だった。スコールズ&ギグシー&ネビ兄ら9年前のトヨタカップを経験したベテラン勢らが決勝へ繋ぎ、ラファエル、アンデルソンらユナイテッドの未来を担う若手が優勝を決めるとなんとも象徴的な流れに見ようとすれば見えなくもないが、やっぱりユナイテッドファンとしては準決勝のメンツの方が見たかった気がどうしてもするわけで、でもしかし結局どっちもユナイテッドが詰まった試合だったのだから、とどのつまり両方とも見にいきゃ良かったのだ!と詮無いことを考えてしまうが、まあそれでもルーニーのゴールもキャリックの度肝抜くようなスーパースルーパスもエドさんの数々のファインプレーも見れたし、贅沢を言えばバチがあたりそうなのでここらへんでやめとく。本当にキトのマンソには感謝をしなければいけない。マンソの好プレーがなければエドさんのファインプレーも拝めなかった。ホント、神だね、あのお方は。クリ坊のゴールを見ることは出来なかったが、それはそれで貴重という考え方も出来る。ルーニーに負けじとさんざゴールを狙うも結局は決められず、得意のフリーキックも大フカシ、と覚醒前のクリ坊を彷彿させる姿は今となっては拝む方が難しいだろう。
個人的にはフレッチェルのプレーをほとんど見れなかったのがホント残念だ。試合後半からは「監督!俺がいます!」とゴール裏で走りまくり準備万端をアピールしていたフレッチェルだったが、監督に呼ばれたのは残り10分を切った頃、その後も「やっぱり兄ちゃん入れたほうがいいななぁ」と逡巡しまくる御大を前にフレッチェルが投入されたのは時計が87分を回ってからだった。もぅ!俺のフレッチェルなのに!御大のじらし作戦に身も心も削られまくり、やっぱり御大には一生かかってもかないそうにないと痛感する。
あぁ、やっぱり楽しいなぁ。日本でこれだけだからな。やっぱりヨーロッパにいかなくてはいけないってことだろうな。そうだろうな、そういうことだろうな・・・。
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2008年12月19日
クラブ・ワールドカップ08/09 準決勝 ガンバ大阪 vs ユナイテッド
GKはエドウィン・ファン・デルサール(以下エドさん)。ディフェンスは右からギャリー・ネビル(以下兄ちゃん)、リオ、ヴィディッチ(以下ビダ)、エブラ。センターハーフはアンデルソン&スコールズ。アタッカーはクリスティアーノ・ロナウド(以下クリ坊)、テベス(以下テベ公)、ナニ、ギグス(以下ギグシー)。
このスタメンを見て抱く懸念は一つ。ゴールゲッターのルーニーがいないということ。
今シーズンユナイテッドは例えばファン・ニステルローイやエトーのような明確なトップを置かない「4-6-0」、「4-2-4-0」とでもいうべき新スタイルの攻撃を編み出した。ルーニー、クリ坊、テベス、ベルバトフ(以下ベルビー)、パクチー、ナニらアタッカーに配置された選手たちが時にエリア内に入ってゴールを狙い、時にサイドに流れてドリブルでディフェンスを崩し、時にトップ下に入ってラストパスを供給する。相手ディフェンスに的を絞らせない変幻自在な攻撃が狙いだ。
しかしサー・アレックス・ファーガソン(以下御大)の目論見は外れることになる。「誰でもゴールが奪える」攻撃を目指したのだが、実際は「誰がゴールを奪うべきかハッキリしない」状況に陥ったのだ。
これは各選手のプレースタイルに起因する。ゴールを量産すべきフォワードとして加入したベルビーは実はフォワードというよりも司令塔のような選手(「司令塔」ベルビー参照)で、エリア内でゴールを狙うよりも、トップ下のポジションでラストパスを出したがる。
テベ公は加入当初はゴールを貪欲に狙う野獣という面も見られたが、組織力の高いユナイテッドの水に慣れ始めると、次第にチームプレーの気持ちよさを覚え、前線から積極的にプレスをかけるプレミア屈指の献身的な選手へと変身し、次第にプレースタイルもトップでガンガンゴールを狙うストライカー型から、トップより一歩下がった位置からドリブルやパスで味方にゴールを演出するセカンド・ストライカー型に変化していった。
クリ坊もトップでボールをもらってゴールを狙うというタイプではなく、一歩引いた位置からドリブルで相手を崩しゴールを狙いに行くタイプだし、パクチー、ナニもサイドでアクションを起こしディフェンスを崩していくタイプのプレーヤー。唯一トップでのプレーも得意とするルーニーだが、彼も今や昔と違って貪欲に「俺が俺が」とゴールを狙いに行く小僧じゃなくなり、「チームのためならゴールよりも勝利の方が大事なんだ」とさわやかな顔で語れる大人に成ったわけである。
ということで、前線に配置された4人のアタッカーが臨機応変にトップに入りゴールを狙わなくてはいけないのに、みながみなゴールよりもチャンスメイクを好んだことで「4-2-4-0」は文字通り点を取るべきフォワードがいないゼロトップの状態になってしまった。10月25日のエヴァートン戦あたりからユナイテッドらしからぬ1点や0点というロースコアが目立ち始めたのもそのためだ。
この状況を憂えた御大は早速策を講じる。なんてことはない、トップがいないならトップを固定してやればいいだけだ。ということで11月25日に行われたビジャレアル戦あたりからルーニーをトップに固定し、その下に3人のアタッカーを並べた4-2-3-1システムを採用し始める。するとユナイテッドの攻撃はルーニーという焦点を得たことで圧力が集中されて、破壊力が増大した。きっかけとなったビジャレアル戦ではビジャレアルの堅守もありゴールを奪うことは出来なかったものの、マンチェスター・シティ戦ではルーニーのゴールで1-0と勝利をあげ、ユナイテッドは上昇の兆しを見せたわけである。このガンバ大阪戦の直前、ルーニーが怪我で出られなかったスパーズ戦が0-0のスコアレスドローで終わったということも、この文脈で考えれば説明がつく。
ということでほぼA4用紙一枚分を前フリに使ってしまったが、ルーニーがいないことが懸念になるのはこういった事情があるからなのだ。またこれを踏まえてガンバ戦を見ていけば試合の流れも良く分かる。
前半ルーニーを温存したユナイテッドは「4-2-4-0」で戦っていた。クリ坊、テベ公、ナニらの個人技で決定的なチャンスは作り、ヨーロッパ最強のクラブの力を目の前で見た日本のファン(うらやましい!)を沸かせはするものの、一向にゴールが奪えない展開に少し疑問を覚えていた人も少なくはなかったんじゃないだろうか。前半ユナイテッドが奪ったゴールはどちらもコーナーキックから。流れの中からゴールを奪うところは見せてもらってないのに、あっさりとセットプレーで2ゴールを奪って前半だけで勝負がほとんど決まってしまった展開に自分も失望を覚えたうちの一人。
また悔しくもあった。ユナイテッドはこんなもんじゃないんだぞ、と。やろうと思えばもっと出来るんだぞ、と。セットプレーでつまらなくゴールを奪ってあとは残り時間を上手くつかって飄々とした顔で勝利を持ち去る、そんなせこいチームじゃないんだぞ、と。そんな自分の前に颯爽と現れた一人の男、ウェイン・ルーニー。
ユナイテッドのミスをついてゴールを奪ってくれたガンバの山崎という選手には返す返すありがとうといいたい。投入された直後にゴールを決められ、ルーニー中で燃え上がった炎は小さくなかっただろう。本気を出す大義名分がこれで出来た。山崎のゴールの直後、放送クルーが大会で日本クラブ初のゴールを大いに盛り上げようとしていたその矢先フレッチャー(以下フレッチェル)のスルーパスに抜け出したルーニーがひょいとガンバ大阪DF中澤をかわし、キーパーの横を抜いて確実にゴールを奪った。アナウンサーがつい口にしてしまったが、ガンバファン並びに日本代表のチームを応援していた人たちに浴びせかけられたホント冷や水のようなゴールだった。すんでの所でカメラをピッチ上に切り替えルーニーのゴールの瞬間を逃さなかったカメラマンはホッと胸をなでおろしたことだろう。
このゴールでルーニーとはどういう男か、日本の人に少なからず分かってもらえたと思う。それが一番嬉しかった。だから俺たちはルーニーにしびれつくす。ルーニーがプレーするユナイテッドにしびれつくす。どうですか、あなたも一緒に、ユナイテッド。
日本の人たちに見てもらえてよかったと思うのは何もルーニーだけじゃない。そのルーニーのアシストをしたフレッチェル。自分が2年後にはジェラードやランパードと肩を並べると信じて疑わない男フレッチェルは後半33分には自ら攻めあがってゴールも決めてみせた。あぁ、ルーニーのゴールも、フレッチェルのゴールも見れただなんてこの日横浜に足を運んだ人たちはなんて幸せなんだろう。彼らは今年ルーニーのゴールを見たと自慢し、2年後には自分はそういえばフレッチェルのゴールも見たことがあるんだぞ、と自慢することだろう。
その後はギグシー様のグレイトビューティフォーダイレクトスルーパスからルーニーがこの日2点目のゴールを決めれば、遠藤は世界のエドサル相手にPKを決めて本当に盛りだくさんの90分。エドさんの届かないところにガッチリ決めていった遠藤のPKは世界レベルだと胸張っていい。というか遠藤自身証明しなくてもそれは自覚していることだと思うけど。それほど遠藤のPKスキルがえげつないと感じた。
ということで。「4-2-4-0」では焦点が上手く定まらず、チャンスは作るものの流れの中でゴールを奪えない相変わらずの展開。しかしトップにルーニーを固定してからは破壊力が抜群に増しゴール、とこれまでのユナイテッドを象徴する内容になった。ディフェンス陣は時差ボケや疲れ、油断から凡ミスでピンチを招く場面が目立ったが、なんとか決勝までには修正しておいてほしいところ。
それにしても決勝か。決勝ではパスの王子様ことキャリックも出てくるだろうし、フレッチェルも先発だといいな。右サイドバックは兄ちゃんを休ませてラファエルと言われているのががっかりだ。ぜひともこの目でザ・スキッパーのプレーを拝んでみたかっただけに、ちょっとというかかなり残念。ルーニーは先発してくるだろう。だから最初からユナイテッドもフルスロットルだ。今日のようなゴールラッシュが拝めますように。2年前のバルサのような1-0みたいなざんない結果だけはぜひともご勘弁。
posted by myrowka |06:55 |
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2008年12月19日
プレミアリーグ08/09 第14週 シティ vs ユナイテッド
GKはエドさん。ディフェンスは右からラファ、リオ、ビダ、エブラ。センターハーフはもはやおなじみキャリック&フレッチェルコンビ。その前に右からパクチー、ベルビー、クリ坊を並べ、トップはルーニー。
以前、現在のユナイテッドの攻撃スタイルは4人の攻撃的選手が時にトップ、時にウイング、時にトップ下と臨機応変にポジションチェンジする「4-6-0」、「4-2-4-0」とでも言えるもので、従って選手紹介するときはユナイテッド伝統の4-4-2にならってこれまでのように中盤に4人、トップに2人というよりも、センターハーフ2人、アタッカー4人とした方がしっくりくる、と書いた(文字通りの「ゼロトップ」参照)。実際そうした方がいいと思った試合はそうしてきたのだけれど、この試合では選手のポジショニングをある程度固定したようで、パクチーは右サイド、ベルビーはトップ下、クリ坊は左サイド、ルーニーはトップの位置からあまり動く事がない。よってこの試合では従来通りの書き方になっている。
4人のアタッカーに攻撃を自由に任せて選手の動きを流動的にしてみたら、ゴールを奪うための軸が安定せず、誰がゴールを奪うのかハッキリとしない、結果得点力不足という問題を引き起こしてしまった。ならばと選手の位置を固定してみたこの試合。結果は上々といったところ。クリ坊やパクチーのサイドからの崩し、ベルビーのパスでの崩し、常にその先にいるのはルーニー。やっぱり「ゴールを奪うのはルーニー!」と決めてしまった方が焦点が一点に絞られ攻撃の鋭さが増して、良い。
またベルビーは中央に固定されたことでその良さがより出た。これまではフォワード登録してるくせしてトップでプレーするのが嫌なんじゃと思うぐらい、中盤の位置から動かなかったりサイドに流れたりしたベルビーだったが、御大がベルビーを中央に釘付けしたため、機会があれば「仕方ないか・・・」とエリア内にも顔を出すようになった。そうするとゴールに近い場所でボールをもらう回数も増え、上背のあるベルビーのことだから誰かがクロスを放ったときは良いターゲットになる。目に見えてゴールチャンスが増えたベルビー。スパーズ時代2シーズンで27ゴールを奪ったゴールゲッターとしての力を発揮する日もそう遠くないのかな、と一応期待するだけしておく。
でもホントゴールへの執念というかがっつき感がまるでない選手だからなぁ。本当にセンターフォワードとして食ってきたのかと本気で疑ってしまう。どう見たってベルビーのそれは司令塔のそれだもの。
試合はボールの支配権を握るユナイテッドが優位に進めた。かつてユナイテッドのために苦労してくれた人に随分酷な事をいうことになるが、シティを買収したADUGが真っ先に取り組むべき補強はやっぱり監督だろう。結果が真っ先に欲しいならなおさら。アストン・ヴィラを買収したランディ・ラーナーのように一人の監督の下じっくりチーム熟成させられるほどの忍耐力があればまた別だけども。
話を元に戻して。先制点は順当に試合の主導権を握ったユナイテッドの方に入った。前半42分エリア内に放り込まれたボールをベルビーが高さを活かして折り返す。その先にいたパクチーがルーニーとのコンビネーションで突破しようとするものの、シティディフェンスに阻まれる。が、こぼれ球の先にいたのはキャリック。そのキャリックが丁寧なボールコントロールでゴール右隅を突くものの、キーパーが好反応を見せてセービング。が、その先にはゴールゲッター、ルーニー。ユナイテッドにとっては実に約220分ぶりとなるゴールだ。
ベルビーの高さ、ルーニーのストライカーたる嗅覚と、はまるべきものがキッチリはまって生まれたゴールらしいゴール。こういう自分に課せられた役割をキッチリ果たしたゴールってのを今後もっと増やせていけるといい。
その後もイケイケドンドンのユナイテッドだが、68分にクリ坊がコーナーキックの際手でボールを弾いてしまい2度目のイエローカードで退場してしまった時から流れが徐々にシティに傾き始める。神の手のように相手や審判を騙してゴールを決めようとしたものじゃなく、悪質なハンドではなかったが、それでもじゃあなんでクリ坊はハンドしたのかと考えても全く分からないハンドだった。急にボールが怖くなった?ぼうっとしてた?来日する日が近づいて少しでもキレイな顔でいたいと思った?うーん、ホント分からない。
一人退場して逆にチームが良くなるパターンがあるが、それはえてして不利なチームに起こりうるもので。調子が良かったチームが一人退場してさらに良くなったというパターンは生憎目にした事がない。クリ坊の退場を境にシティが息を吹き返したかのように反撃を始める。押し込まれる展開になったがそこは試合巧者の御大だ。昨季はスパレッティから「イタリアのどのチームよりもイタリアらしいフットボールをする」という『褒め言葉』をいただいた御大。こうして引いて守る戦い方も実はお手の物。ということで相手に攻めさせはするものの最後の最後ゴールマウスはガッチリ固めてシティにゴールを許さない。
またシティが前に出るということはシティの裏のスペースがあきカウンターを仕掛けやすくなるということでもある。生憎高速カウンターの急先鋒であるクリ坊は既にいないがルーニー、ベルビーのニュー・コンビで果敢に追加点も狙いに行く。
ルーニーがボールを持ってかけあがり、空いたスペースに走り込むベルビーにボールを通すというカウンターのパターンが多かったが、やっぱりボールの出し役はベルビーの方が良い。ベルビーはスピードもそんなにないし、1枚や2枚のディフェンスなら自力でこじ開けてドン!が出来るほどのテクニックやゴールへのパッションもないからだ。だからホントボールキープやラストパスで生きていきたい選手なんだろう。
ということで追加点を奪うことはできなかったが、相手にゴールを許すこともせず1-0。こうやって勝ちきれる姿に昨シーズンのような勝負強さは衰えていないと頼もしさを覚える一方、もうちょっと楽な勝ち方が増やせないかと高望みもしてしまう。が、なんだかんだいってまだ許した負けは2つなわけだから、これはこれで順調なのかもしれない。今年はどうやらボクシング・デーがないようで。勝負はクラブ・ワールドカップの疲れじっくり落としていざ挑むチェルシー戦からだろうな。
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2008年12月19日
08/09 UEFACL GS Gourp E 第5節 ビジャレアル vs ユナイテッド
GKはクシュチャク兄さん。ディフェンスは右からオシェイ、リオ、エヴァ、エヴラ。センターハーフはキャリック&フレッチェル。アタッカーはルーニー、クリ坊、ナニ、アンデルソン。
スペイン人実況がえらくフレッチの名前を連呼したがる。おそらくダレンをスペイン語読みするとレのところが巻き舌になるから、その響きが気に入ったんだろう。ことあるごとにダ~ルェン・フレッチェル、ダ~ルェン・フレッチェルと叫んだせいで頭にこびりついてしまった。
まあそんなどうでもいいことは置いといて。ヴィラ戦に引き続きこの試合もスコアレスドロー。うーん、ユナイテッドの試合で2試合連続でノーゴールなんて正直いくら遡っても記憶にない。
事情はある。ベルビーを絡めた攻撃がようやく固まりつつあったところでベルビーが抜けてしまったのがまず痛かった。ストーク戦では5ゴールも奪えてただけにその勢いに乗りたかったのだが。
またスコアレスドローとなった相手、ヴィラ、ビジャレアルは共にリーグ戦で上位争いをしている強豪チームでもある。両方ともアウェーの試合だったし、ビジャレアルはホームというのに守りを固めてカウンターを狙うという手堅い戦法をとってきた。事実守りは堅く、サイドバックは余程のことがない限り、上がりすぎない。ユナイテッドがカウンターを仕掛けようとしても常にディフェンスラインはキチンと4枚揃っていて、また他の選手の戻りも早い。ユナイテッドの攻撃が上手く機能しなかったというよりはビジャレアルがしっかりユナイテッド対策をしてきたといった方が正確だろう。
ルーニーの動きはヴィラ戦よりは良くなっている。ヴィラ戦では「俺が点獲る!」というニオイ滾らせた選手がいないことが無得点に繋がったが、この日はルーニーがキッチリそのニオイを出せていたから好印象。頻繁にトップのポジションに位置しては裏を狙う動きが徹底できていて、ルーニーのところからは確かにゴールの臭いがしていた。このゴール臭は最近ユナイテッドではあまり嗅げなくなっていただけに、なんとも頼もしいことである。この日はベルビーやテベスなどトップとして活躍した経験のある選手じゃなく、アンデルソン、ナニといったミッドフィルダーの色濃い選手がアタッカー陣に入っていたから、より自分がゴールに近い位置にいなければいけないという意識も普段より強く持っていたということもあるだろう。今後もこの調子でゴールゲッター・ルーニーを目指してくれるとありがたい。
そうそう、この日はアンデルソンがアタッカーに入っていた。これまでアンデルソンといえばずっとキャリックやフレッチのようにセンターハーフとして起用されていただけに、御大のこの決断には素直に驚いた。ロナウジーニョ2世という評判を背負いユナイテッドにやってきたアンデルソン。1年目はそういうブラジル人らしい側面はひた隠し、ひたすら御大の要望にだけ応えて、前に出過ぎず守備もしっかりこなし、センターハーフの位置で攻守のバランスを一生懸命とっていた。だからアンデルソンからはブラジル人らしいニオイは一切しなかった。トゲが無い、いたって普通の選手。普通こそアンデルソンの個性なんだとそうとらえていた一年前。
が、シーズンも終わりに近づいてくると徐々にユナイテッドにも慣れてきたのか自分の色を出し始める。守備の裏をつく危険なパスや積極的なドリブルを狙うようになった。チャンピオンズの決勝ではPK戦ではチェフを前にど真ん中に蹴る始末。今シーズンに入ってもそんなアンデルソンの姿勢は変わらず、それが功を奏してか、ようやくこの日アタッカーとしてスタメン起用。
やっぱりアンデルソンはこの位置のプレーヤーなんだろうなぁ、と感じる。ドリブルで相手を崩せるし、シュートも強烈。プレーがイキイキしているし、このポジションでひと仕事してやろうという心意気も気に入った。
ただそれでも気になるところがないわけではない。アンデルソンはやはりアタッカーの中でもトップ下、ドリブラー属性の強い選手。で、そんなアタッカーは今のユナイテッドには山ほどいる。ベルビー、テベス、パクチー、ナニ。今ユナイテッドに欠けているのはアタッカーの中でもストライカー属性の強い選手。ただでさえ似たような選手がいっぱいいて困ったなぁ、という話をしているのに、そこの層を厚くされてもユナイテッドとしてはあまりありがたくないわけだ。ベルビーやテベスには出来ない何かをアンデルソンは持っているか。ここが今後アンデルソンにとってアタッカー・サバイバルの鍵となるだろう。
アタッカー・サバイバルで破れポジションを一つ下げても、そこではキャリック、フレッチェル、ハーグリーブス、スコールズ、ギグシーら一筋縄ではいかない強烈なキャラクター達が血で血を洗うセンターハーフ・サバイバルを繰り広げている。本に厳しいところだ、ユナイテッドは。
ということで。2試合連続スコアレスは何とも不安になる結果だが、アウェーでドローという結果自体は悪くない。ヴィラ戦同様決定的チャンスも少なくなかったし、不運と思えなくもないので、そういうことにしておこう。
posted by myrowka |04:51 |
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2008年12月19日
プレミアリーグ08/09 第13週 ヴィラ vs ユナイテッド
GKはエドさん。ディフェンスは右からオシェイ、リオ、ビダ、エヴラ。センターハーフにキャリックとギグシー。アタッカーはクリ坊、ルーニー、テベ公、パクチー。
結論から書いてしまうと、この日はスコアレスドロー。アタッカー4人がポジションを固定せず、トップ下、ウイング、トップと常時ポジションを替えながら変幻自在な攻撃を見せる「4-2-4-0」とでもいうべき布陣。別にこの戦い方が空回りしていて上手く機能しなかったというわけではないのだが、ゴールを奪う事は出来なかった。決定的なチャンスも少なくなかったし、「たまたまゴールが決まらなかっただけ」と断じてしまうことも出来ると思う。
でも個人的にはなんだかそれも違う気がする。なんというかこの日はこの戦い方に「押し」がなかった気がする。例えば数年前のニステルのようなゴールを奪うための柱を固定せず、それを色んな選手が担うという柔軟な戦い方の弱い面がこの日は出た。エトーやニステルといったゴールへの情熱を滾らせた選手はおらず、どの選手も良くも悪くも「ゴールは奪えなくても、チームが勝てばそれでいい」と本気で考えられる。流れの中でエリアから遠ざかるようなことがあろうとも、それを誰もいやがらない。
それはそれでとても素晴らしいことなのだが、だがしかし、この日のように誰もゴールが奪えないまま時間がドンドン過ぎていき、残り時間が少なくなったときでさえ、「俺が決めてやる!」という臭いが選手からあまり感じられなかった時はさすがに「うーん・・・」と思った。
昨季まではそれはクリ坊の役割だった。今季別に目に見えてクリ坊の勢いが落ちているというわけでもなく、この日も個人技でチャンスを少なからず作っていた。要するに「クリ坊でも試合を決められないことはある」というだけの話。ただそれは前々から分かっていた事なので、クリ坊が決められないときにどうするか、それが今季の課題だったはずなのに、その解答をこの試合では見せられなかった。
思い返してみればストーク戦だってクリ坊のフリーキックなどでゴールは入ったものの、トップがいないという懸念は十分に感じられたのに。それを修正できないままこの日も90分を過ごしてしまった、という印象。
うーん。
個人的にはすっかりチームプレーヤーと化してしまったテベ公のことをありがたいと思うと同時に心のどこかで寂しく思っている。昨季はゴールが欲しいところでゴールを奪うポイントゲッターとしての活躍も少なくなかったが、近頃はチームプレーに身を削り、ゴールが二の次になってしまっているのが寂しい。もっともっと野獣的面を見せていってほしいし、見せていくべきだろう。そうでないとこの日のように試合途中でナニに代えられるようなことになってしまう。
パクチーは時折エリア内に入る良い動きで決定的なチャンスを作った。そういったアイデアがユナイテッドの攻撃をより多彩に、より破壊力あるものにする。パクチーももうちょっと積極性を出していって良い。
これはアタッカーの4人に共通していることだが、ゴール近くでボールを持ちすぎる傾向があるのもよくない。ある選手がサイドでボールを持つと、機を見てエリア内に入っている選手達が一斉に動き出す。しかしボールを持った選手はシンプルにボールを放り込まず、ドリブルを挟んだりする。そのせいでエリア内の選手達はタイミングを外され動きが止まり、ちょうど動きが止まったときにようやくボールが供給される、というシーンがこの日何度もみられた。変にボールをこねくりまわさず、シンプルにボールを繋げる意識も大事だろう。
また「4-2-4-0」のシステムを活かすためにはセンターハーフもキャリックとギグシーと、良くも悪くも中盤にドカンと腰を据えて攻撃を指揮するタイプのプレーヤーを並べるよりもフレッチやアンデルソンといった運動量が多く、積極的にゴールに絡んでいけるタイプの選手と組み合わせた方がいい。
うーん、かなり説教くさくなってしまった。まだまだユナイテッドの戦い方も未完成ということだろう。未完成という事は完成形があるわけで。そのことを思うとこんな試合も軽く乗り越えられる。完成するためには越えるべきハードルはまだまだあるが、御大の事だから心配はいらないだろう。
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2008年12月19日
プレミアリーグ08/09 第12週 ユナイテッド vs ストーク
GKはエドさん。ディフェンダーは右からオシェイ、ビダ、エヴァ、エブラ。中盤は右からクリ坊、キャリック(以下王子)、フレッチ、パクチー。トップはベルビーとテベ公。
一応レビューの開始にフォーメーションを書いてはいるが、最近のユナイテッドを見ているとこれまでの中盤4人、トップ2人とするフォーメーションの書き方は違うなんじゃないかと感じるようになった。クリ坊、パクチー、ベルビー、テベ公、この4人は絶えずポジションチェンジを繰り返し、10分と同じポジションに留まっている事はない。いわゆる「4-2-4-0」の形。だからユナイテッドのスタメンを従来のFWやMFで分類する事は無意味になりつつある。ユナイテッドの布陣をより正確にあらわすなら、
GKはエドさん。ディフェンダーは右からオシェイ、ビダ、エヴァ、エブラ。センターハーフにキャリックとフレッチ。アタッカーはクリ坊、パクチー、ベルビー、テベ公の4人
とした方がいいだろう。今後はそういう方向で。
ということで今日も今日とて「4-2-4-0」のユナイテッドだが、この試合ではそれは上手く機能しなかった。頻繁にポジションチェンジを繰り返しながら、めまぐるしく変わるアタッキングのパターン。それをスムーズに行うためには判断の瞬発力とそれを実行可能とする高度なテクニック、そして何よりお互いの意思疎通が必要なのだが、テベ公、ベルビーと今季あまりプレー機会のない2人が組んだため、意思疎通の部分をこの日は欠いた。案の定連携不足が露呈し、攻撃がちぐはぐで効果的に相手ゴールに迫れない。
テベ公とベルビーはお互いにやりたいことが似通っていた。2人ともFW登録ではあるが、ベルビーは実は隠れ司令塔であるし(「司令塔」ベルビー参照)、テベ公もユナイテッドに来てからというもの貪欲にゴールを狙う野獣という色は褪せ、最前線より少し引いた位置でのプレーを好むようになった。本当はもっと積極的にゴールを狙っていってほしいのに、2人ともゴールの一歩手前、チャンスメイクに関わりたがる。
それならそれでいいのだが、じゃあ一体ゴールは誰が奪うのか?これまではその役をルーニーが買っていたのだが、今日そのルーニーはいない。クリ坊はトップでボールを受け取ってゴール、というタイプじゃないし、パクチーもポストプレーが出来ない事はないが、あくまでそれはオプションであり、やはりサイドからゴールへの崩しに関わってこそ生きる選手だ。アタッカー4人が時にトップ、時にハーフ、時にウイングと化す変幻自在な「4-2-4-0」だが、今日はみんながみんなハーフやウイングをやりたがり、文字通りトップがいない状況になってしまった。まだまだ「4-2-4-0」も完成途中なんだと再認識すると同時に、これまではルーニーがその核になっていたんだと痛感する。
システムはあまり機能しなかったユナイテッドだが、前半4分クリ坊が見事なフリーキックをたたき込んでくれたおかげで、試合自体はかなり楽なものになった。テベ公、ベルビーが頻繁にサイドに流れる事で空虚な場所と化していたエリア内も次第にフレッチと王子が空気を読んで攻め上がってくれたおかげで、なんとか賑やかになってきた。そして前半ロスタイム、ストーク守備陣がクリ坊のドリブルに引きつられている間に王子がスーッとエリア内に侵入。クリ坊からのパスが通った時点で誰もマークについてない。王子はここぞとばかりに左足一閃、追加点を決めてみせた。
王子のスパーズ時代のゴール数は2年間でたったの「2」。「もっと自分をレベルアップさせたい!」と活躍の場を移したユナイテッドでは2年と少しでそのゴール数は7にまで増えた。ユナイテッドに来た当初はパスにしか興味がないある種良くも悪くもダダっ子のような存在だったが、すっかりレッドデビルズのユニフォームが似合う今となっては当初の望みであったレベルアップは着実に成し遂げられているようだ。いやはや、なんとも頼もしい。
王子はゴールで目立ったが、久々に王子とタッグを組んだフレッチも負けちゃいない。パスセンスで王子にかなわないなら、機動力でそれを補えばいい。ゲームメイクの際にはスペース求めて走りまくりボールを繋げば、アタッキングの際はするするとポジションを上げて味方の選択肢を増やしてあげて、守備の際は危ない場面キッチリとプレスをかけて相手の自由を奪う。「フレッチ覚醒か!?」という思いは日に日に膨れあがるばかり。王子とフレッチのコンビを楽しめるユナイテッドファンは本当に幸せ者。
後半開始直後テベ公からのクロスをベルビーがエリアの狭いところで華麗にトラップ&シュートで3点目。おー、ベルビーのFW然たるプレーは本当に久しぶりに見た気がする。プレーの幅広げるためにこういうプレーも実はドンドン見せていった方がいい。司令塔したい気持ちも十分に汲むけど、ユナイテッドのためにもう少し積極的なプレーもお願いします、ベルビーさん。
これで楽勝ムードのユナイテッドはウェルベック、ギブソン、マヌショとアカデミー商品を次々と披露。中でもウェルベックは強烈なミドルシュートを決めて、かなりの得点を稼ぐ。なかなか面白そうな若手がいるじゃんと期待を抱く一方で、しかし昨シーズンもイーグルスだってゴール決めてたし、キャンベルだって確か決めてた。しかし2人とも今はユナイテッドにはいない。ただでさえあまりにハイレベルな選手達がワンタッチ、ツータッチと目にもとまらぬ速さでポンポンとボールを繋げていくアタッキングに、そもそも中途半端な戦力が入る余地はない、ユナイテッドはそんなに甘かない。この競争に敗れて次々とユナイテッドを後にするニュー・スターをそれこそ星の数だけ見てきただけに、あまり過度な期待は抱けなくなっているのも事実。ユースの重要性でメッシがよく例に出されるけど、メッシって本当に超例外的な選手なんだよ。
ということで、後半89分にはクリ坊がとどめにこの日フリーキック2発目を決めて試合終了。ストークのGKソーレンセンは1度決められてからクリ坊のフリーキックの度にびびりまくっていたから、2ゴール奪えても不思議はなかった。2ゴールを決めたものの、あくまで貪欲なクリ坊は内心「ハットトリック狙えた!」と悔しがっているに違いない。
昇格組ながらも調子がよかったハル、ストークを両方ともハイスコアで撃破。プレミアの厳しさを体で教えてあげる姿に王者としての貫禄を見てしまう。うーん、渋いぜ御大、渋いぜユナイテッド。
posted by myrowka |04:24 |
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2008年12月19日
プレミアリーグ08/09 第10週 ユナイテッド vs ハル
GKはエドさん。ディフェンスは右からネビ兄、リオ、ビダ、エブラ。中盤は右からクリ坊、キャリック(以下王子)、アンデルソン、ナニ。トップはベルビー、ルーニー。
キャリックが怪我から空けて初の先発出場。うーん、人(というか俺)呼んでパスの王子様ことキャリックはやっぱり違う。フレッチやスコールズのシンプルなパスを労働的と表するならば、キャリックのパスは芸術的。見ていてこううっとりする。パスを出す際のもの構えが違うんだなぁ。軸足におもいっきり体重を乗せ、半ばふんぞりかえっているかのようにどっしりとパスを出す。その半ば不遜すらカンジさせる一連の流れが王子たる所以だ。ブランクを微塵もカンジさせず、次々とキラーパスを放っていくキャリックを見ていると、フレッチのライバルがいかに大きいかを痛感する。フレッチにキャリック、贅沢な悩みだ。
試合は開始3分、ベルビーが放ったクロスをクリ坊が近距離で何事もなかったようにトラップ。そして振り向き様にシュートを放てば、虚を突かれたハル守備陣は対応が一歩遅れユナイテッドがまずは先制。その後フリーキックから失点を許すものの、29分、ルーニーのパスを受けカウンターで持ち上がったベルビーが、珍しくゴールへ駆け上がったキャリックへパス、これを受け取ったキャリックはそこしかないという絶妙に狭いコースに見事ボールを通しユナイテッド勝ち越し。パスの王子様はシュートもどこかパスライク。その後前半終了間際にクリ坊がナニの蹴ったコーナーニックにあわせ3点目。ハルは調子が良いとはいえ、所詮は昇格組。御大がこれでもか!と言わんばかりにプレミアの厳しさをお見舞いする。
前半2アシストのベルビー。これまでもしかしたらそうじゃないかなぁと疑いを抱いてはいたが、この試合を見て確信する。やはりベルビーという選手に対する考え方を根本から覆さなくてはいけないようだ。長身のセンターフォワードと聞いていたのでこれまではずっとそういう見方で見てきたが、ユナイテッドでのプレーを見ているとどうもそういうイメージとそぐわない。中盤にサイド、敵陣ならどこにでも顔を出したがるし、よくよく思い返してみればベルビーがエリア内で勝負する姿や強引にシュートに持ち込むを見た記憶がほとんどない。というかエリア内でのプレーは嫌いなんじゃないと思うほどポジションを下げてくる。味方がクロスを放る際もポジショニングはニアの位置、足下でボールを受けたがる。ファーで構え長身を活かし相手に競り勝ってゴールを奪う、という発想がベルビーには基本的にない。
ボールを受ける位置は主にトップ下。若さを漲らせながら元気いっぱい走り回るクリ坊やルーニー、ナニ達に、「自分はもうそんなに若くないから・・・」と一歩引いた位置からパスを出し、ゴールを演出。うん、ベルビーは「ラストパスも出せるセンターフォワード」というより「ゴールも奪える司令塔」と言った方が正しいだろう。昨季はルーニーが行っていた黒子役を今季はベルビーが担う事が多い。ルーニーが積極的にゴールを狙えるのは後ろにベルビーがいるからか。
守備の厳しい中央でも司令塔たるプレーが出来るのは、アフリカ人を彷彿とさせる体躯を活かしながらも柔らなテクニック使ったボールキープのおかげ。長身を活かしながらボールキープし、パスをガンガン出していく姿はまさしく司令「塔」だ。近年フットボール界では絶滅の危機に瀕していたトップ下の司令塔はこんなところに隠れていた。
テベスは守備も献身的に行う謙虚な野生児だったし、アンデルソンはロナウジーニョ2世なんかじゃなく、至極真っ当なセンターハーフだったし、近頃ユナイテッドにやってくるのはイメージとは違う選手ばかり。まあ結果良い方向に働いてるんで、全然問題ないというか面白くて歓迎なんだけど。
その「司令塔」ベルビーは後半もバリバリ、自分を追い越してエリア内にガンガン入ってくるルーニー、クリ坊たちにポンポンとラストパスを出していく。まだこの若者達と息がピッタリというわけではないのだが、パスの距離、速さ、タイミングなどは徐々に合ってきている。完成途中でこれなんだから、完成したら一体どれほどの破壊力になあるんだろう。うーん、楽しみだ。
後半ベルビーのパスからゴールが生まれることは残念ながらなかったが、ビダがコーナーキックから得意の空中戦で久々ゴール。これで4-1としたユナイテッドはハルの追撃を受けるものの、最後はキッチリと寄り切って勝利。いただけない失点も目立ったが、それでも勝ちきる。これもまた横綱相撲。
posted by myrowka |04:16 |
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2008年12月19日
プレミアリーグ08/09 第9週 エヴァートン vs ユナイテッド
GKはエドさん。ディフェンスは右からブラウン、リオ、ビダ、エブラ。中盤は右からクリ坊、フレッチ、ギグシー、パクチー。トップはベルビー、ルーニー。
先週のWBA戦と違うのは右サイドバックのブラウンのみ。ラファエル、ネビ兄、ブラウンと三種三様の右サイドバックを抱えるユナイテッド。ユナイテッドで最も弱いポジションと呼ばれた時期もあっただけに、今の豊かさにおもわず顔が緩む。
この日はギグシーに尽きる。ギグシー!ギグシー!ギグシー!ここ最近は縦への突破もひっそり陰を潜め、ポジションも中央に移してゲームの組み立てを主な仕事とし、すっかり縁の下の力持ちキャラとなっていたギグシーだが、今日は確変発生。中盤を精力的に走り回って、チャンスメイクを狙っていく。パスセンスは相変わらず良いし、ドリブルで敵を抜く事は少なくなっても、そのボールキープ力は落ちてはおらず、敵のマークをかいくぐりボールを絶妙に保ちながらキラーパスを狙っていく。ギグスが昔のドリブラー・ギグスでなくなってからもう2~3年ぐらい経つかしら、それ以降年に数回こんな試合がある。こんな日はルーニーもクリ坊も脇役だ。試合も20分を超えたぐらいからはもうギグシーしか見えなくなっていた。2008年10月25日はギグスの日。この試合はぜひともDVDに残しておこう。
ギグスの日では「ギグスを感じられた」選手にもれなくご褒美としてゴールがプレゼントされる。その栄誉に与ったのフレッチ。22分、ゴールから30メートル付近でボールを持ったギグシーから「誰かあの前の空いてるスペースに走り込め!」という念が発せらる。この念を敏感に感じ取ったのがオフェンス陣で最もギグシーとプレー歴のあるフレッチだった。命令通り忠実に空いたスペースに走り込んだフレッチにギグシーからラブリーボールが通り、フレッチはワントラップでディフェンダーを振り切り、そのままシュート。ギグシー様からいただいたパスをまさか外すわけにはいかないフレッチは気合いでハワードの股を通し、なんとかゴールにしてみせた。
このパス以降もギグスの勢いは止まらない。パスでは飽き足らなくなった御仁はみずからシュートを狙っていく積極性も見せ、またエヴァートンの選手たちはなにをどうしたってギグシーからボールを奪う事が出来ない。こんなプレーがまだ出来るんだから本当に舌を巻く。何度思ったことか知らないが、ギグシー様はホントフットボールの申し子だ。願わくばこのギグシーが横浜でも見れますように。
しかしせっかくのギグシーの日だったのに水を差した選手が一人。リオ・ファーディナンド。ギグシーが確変を起こす試合は年に数試合あるが、リオが壊れてしまう試合もこれまた年に幾度かある。なぜこの年に数度しかない珍しいことが一度に起こってしまわねばいけなかったのか。ギグシーによる至福の時をずっと享受していたかったのに、リオがバックパスをし損ねるという大ちょんぼをはじめとし、数々の凡ミスでユナイテッドにピンチを招く。夢は徐々に醒めていき、目の前の現実に気づきはじめる。そうだ、これはギグス・ショウじゃなかった。今はフットボールの真っ最中だった。
ギグスの魔法で見えづらくなっていたが、このエヴァートンなかなか厳しい相手。サハ、ネビ弟、ハワードと元ユナイテッドの選手を複数抱えれば、ヤクブ、アルテタと各ポジションにプレミアリーグでも最高レベルの選手を抱える。ヤクブとサハの2トップなんて、考えてみれば恐ろしいコンビ。
そして実際恐ろしいのだ。ヤクブの空中戦、ポストプレー、サハの裏に抜けるスピード。この2人にパスを供給する隠れバルサ・カンテラーノ、アルテタもやっぱり良い。バルサカンテラ名物「4番」の選手の中でも一番優雅なんじゃないだろうか。良くも悪くも。風格に気品がある。見た目が渋面っていうのも多分あるだろうけれど。そんな彼はバスク人。ペップといいチャビといいカタルーニャ人のカンテラーノは顔が渋いというよりただ濃いだけだからなぁ。と関係ない話は置いといて。
アルテタ以外に目立っていたのがフェライニ。目立った要因にそのアフロライクなヘアが寄与する部分は大きいが、194センチという体躯、雑ながらも力強いプレーなど、見所がないわけでもない。それに繰り返しになるが何より「目立つ」。根拠はないが、大物になる予感。
そして実際このフェライニに決められた。攻めざるを得ないユナイテッドはしかしその裏をエヴァートンに上手くつかれ、てんてこ舞い。そしてコーナーキックの場面、ビダがフェライニに競り負け1-1。ヤバイ、ユナイテッドが久々にピンチだ。
ギグシーの破壊力が落ちたわけではなかったが、しかし時間が経つに連れ加速度を増して勢いに乗るエヴァートンを前に相対的に存在感は落ちる。なんとか流れを変えようと御大はパクチーに代えアンデルソン、頭に血がのぼりつつあったルーニーに代えナニを投入する。一時期はろくにボールを落ち着かせられなかったユナイテッドも徐々に流れを取り戻しはじめるが、しかしゴールは遠いままだった。こんな時に必ず何かをしてくれたのが昨季のクリ坊だったが、やはり今季はそう上手くはいかないようで。そんなときのためにとったベルビーもまだものにはなっておらず、結局ゴールは奪えないまま試合終了。
ユナイテッドは5試合ぶりの引き分け。まあ過渡期にこれだけ良い相手とぶつかったのなら、こういう結果もあり得るだろう。悔しいが、受け入れなければならない引き分けだ。
それにしてもフェライニか。面白い選手だったのでウィキペディアでちょっくら調べてみる。この試合の時点で21歳。ベルギーの選手だそうで。1850万ユーロも費やして獲得された超期待の星らしい。1850万ユーロがどれだけスゴイかは、例えばデコがチェルシーに来たときの移籍金が1000万ユーロだと言えば分かってもらえるだろう。ふーん、もう現時点でかなり注目されてるのか。あのゴールは期待されてた選手が期待通りの活躍をしたゴールだったわけだ。ユナイテッド相手に引き分けに持ち込めたのなら、それだけで巨額の投資をいくらか回収できたことだろう。
posted by myrowka |03:55 |
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2008年12月19日
08/09 UEFACL GS Gourp E 第3節 ユナイテッド vs セルティック
GKはエドさん。ディフェンスは右からネビ兄、ビダ、エヴァ、オシェイ。中盤は右からクリ坊、アンデルソン、フレッチ、ナニ。トップはルーニーとベルビー。愛弟子ストラカン率いるセルティックが相手だが、その弟子を全力で受け止めるでなく、リオ、エブラ等主力をキッチリ休ませるビジネスライクな御大。スコットランドでは絶対的な2強の一角も、欧州王者にとっては一休みできる中小クラブでしかない。うーん、もうちょっと気張ろう、セルティック。
試合は戦力は落としてみたものの由緒あるセルティックに一応の敬意を払ったのかどうかは知らないが、近頃のユナイテッドでは珍しくクロスを積極的に入れていく良くも悪くもブリティッシュスタイル。こういうイングランド風フットボールの生き字引であるネビ兄がスタメンに入ったことも大きく影響しているだろう。いつもはいろんなところに顔出してゴールに絡みたがるクリ坊もこの日はサイドに張る事が多く、昔のユナイテッドみたくシンプルなパス回しでテンポ良くサイドをトントーンと攻略し、トントーンとクロスを放っていく。が、いかんせんルーニーは上背がないし、せっかくの高身長を活かしたいベルビーもポジション取りが上手くいかず、そのクロスを上手くゴールに繋げられない。うーん、ベルビーよ、足下で勝負していきたい気持ちもよく分かるが、せっかくルーニーやクリ坊も持っていない武器持ってるんだから、それを活かした攻撃も見せていかなくては。足下でトントンとボール繋げてくフットボールならテベ公でも出来るんだから。
ハイボールに関してセルティックに一日の長があったということもある。サイド攻撃からは上手く攻略できないだろうなぁ、なんて感じ始めたちょうどそのとき、コーナーキックからのこぼれ球をベルビーがちょんと押し込み、ユナイテッド棚ぼたの先制点。
ユナイテッドに押し込まれ、攻撃面では全く良いところがないセルティックが勝機のためになんとしてでも許したくない先制点だったが、不運にもこんなにあっさりに奪われて、もう正直打つ手がない。この日はナカムーラも冴えない。というかナカムーラ活かすなら2トップにした方がいいのに、この日はトップが一人だけ。攻撃の層が薄く、リオがいないはずのユナイテッドディフェンスなのに全く手こずってる感がない。
そうこうしてる間にユナイテッドに追加点を奪われた。50分絶好の位置からのフリーキックをクリ坊が力一杯蹴りはなちキーパー手前で落ちるドライブシュート。キーパーは弾くしか無くこぼれ球に詰めていたベルビーが難なく押し込んで、ベルビー2点目。両方ともセットプレーから、両方ともごっつぁんゴール。ちなみにいえばこの前のWBA戦のゴールもごっつぁんゴールだった。ベルビーにごっつぁん属性があったとは何とも嬉しい誤算。これまでユナイテッドのごっつぁんゴーラーの座はパクチーのものだったが、どうやらそれも今シーズン中にはベルビーのものになりそうな予感。つってもこんなゴールのために3800万ユーロも払ったわけじゃない。流れの中からのゴールはまだほとんど見ていません。期待してますよ。
この後ルーニーが一度はゴールを決めるものの、オフサイドで取り消されるシーンがあった。この前のベルビーのゴールがオフサイドだったため、審判がバランス取るためやむなし判定だろう。おあいこになった今ルーニーのゴールを邪魔するものはもういない。76分ベルビーに代わって入ったテベ公が右サイドから猛烈にアタックを仕掛けると中央に位置していたルーニーにパス。このボールをルーニーがDF2人の間を強引に突き破って、3点目をたたき込んだ。うーん、やっぱり周りの空気読みながらパスを出す大人ルーニーもいいことはいいが、若さ故の力あふれる強引なルーニーの方が見ていてこう体がゾクゾクしてきて気持ちが良い。まだ御年23歳。まだまだやんちゃも許される。ケツは後ろのお兄さん達が拭いてあげるから、変にその10番を気負わず、もっとやりたいようにフットボールしていいよ。
それにしてもやっぱりテベ公の動きが良い。ベルビーに期待してるからこそ敢えて厳しい書き方をするが、ベルビーよりテベ公が入った方がまだユナイテッドの攻撃は速くスムーズで、そして強力だ。テベ公の方が先輩なので、それは当然といえば当然のことでもあるのだけれど。
美男と野獣、見た目こそ対照的な2人だが、トップ、中盤、サイドどこへでも顔を出してプレーでき、足下で勝負する等そのスタイルには共通点も多い。だが2人を同じ土俵に並べると運動量、ボールへの執念といったパッション的な面でテベ公に軍配が上がってしまう。今日のテベ公を見てやはりベルビーにはベルビーにしかない武器が欲しいな、と感じた。ただそれでも御大はテベ公ではなくベルビーを起用し続けているということは、御大がベルビーのいるユナイテッドを完成させる方がテベスのいるユナイテッドよりも良いと考えているということなんだろう。
ユナイテッドはまだテベ公の完全移籍を決断していない。40億円超とも言われる移籍金がネックで、それならテベ公よりも半額以下で買い戻せるロッシの方が良いのでは、という思惑も絡んでいることだろう。ベルビーもテベ公もロッシも誰も彼も見てみたいユナイテッドファンにとって何とも複雑な話なのだが。うーん、勝負の世界はホントに厳しい。
テベ公と同じく激しいポジション争いの最中にいるアンデルソンだが、テベスよりもまだ若く、プレー機会を求めて焦る必要はまだない。焦るどころか、より自分らしいプレーをお見舞いしてやろうという余裕すらカンジさせる。昨季はチーム全体のバランスを考えて無茶なプレーは決してせず、献身的に守備をし、シンプルなプレーを心がけていたが、近頃はユナイテッドの水にも慣れたのか、ロナウジーニョ2世と呼ばれたころのような無駄にテクニカルなプレーも散見されるようになった。
この良くも悪くもブラジルライクなプレーが果たしてアンデルソン、そしてユナイテッドにとってプラスになるのかどうかが今のところ定かではないというのがなんとももどかしい。が、スコールズ、フレッチ、キャリック、ハーグリーブスとオールラウンドで完成度の高いライバルがひしめく中、「4-2-4-0」という新たな境地を開きつつあるユナイテッドにおいて、攻撃参加でひと味違うところを見せれる「クセ」のあるハーフを目指した方が生き残る可能性はまだ高い、という柄にもなく高度な計算の結果なのかもしれない。
ということで、ユナイテッドはセルティック相手に確実に勝利。初戦ビジャレアル相手にオールド・トラッフォードで勝ち点を2逃しているので、実はユナイテッドにはそれほど余裕はなかったのだが、それでも戦力を落としてつつも手堅く勝利を収める御大の強かさに完敗、といった試合でありました。
posted by myrowka |03:43 |
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2008年12月19日
プレミアリーグ08-09 第8週 ユナイテッド vs WBA
GKはエドさん。ディフェンスは右からラファエル、リオ、ビダ、エブラ。中盤は右からパクチー、フレッチ、ギグシー、クリ坊。トップにルーニーとベルビー。
今季リバポー戦でデビューを果たしたベルビー。これまでユナイテッドにいなかった長身のFWということでてっきり体躯活かしたポストプレーで勝負するタイプと思いきや、その予想は大きく外れ、ルーニーやクリ坊のように足下で勝負するタイプの選手だった。御大にとってもちょっと予想外だったんじゃないのかな。そんなベルビーのポジションはリバポー戦から徐々に下がり、今では中盤でボールをもらうことも珍しくなくなった。ルーニー、クリ坊、ベルビー、パクチーらが縦横無尽にピッチを走り回りながらも、戦力が一方に偏らないようバランスを保ちプレーしている。ベルビーは新人ということもあってか、イマイチこの流れに乗れておらず、自分らしさはまだ出せてはいないものの、これは時間が解決していく問題でもあるのだろう。解決に必要な技術と判断の瞬発力はベルビーにはちゃんとあるのであまり心配はしていない。
話を少し横道に逸らす。このユナイテッドのスタイルを『Number vol.718』は「4-6-0」と表していたが、上手い表現だと感じた。「ゼロトップ」という表現と似たり寄ったりではあるのだが、個人的に「ゼロトップ」は、センターフォワードの位置にウイング、もくしはセカンドトップの選手を配置する、という意味合いだと捉えている。トッティがセンターフォワードの位置でプレーしたスパレッティ・ローマや、メッシが中央でプレーする場合のペップ・バルサを想定してもらえれば話が早い。
しかしそれでは今のユナイテッドをゼロトップと表現してしまうと、少しニュアンスが違ってしまう。トッティのようにトップの位置に固定されてる選手は今のユナイテッドにはいない。みなが中盤でのボール回しに参加し、行けると思った選手が前に出てゴールに絡むのだ。トップの位置に入るのはクリ坊かもしれないし、ルーニーかもしれないし、ベルビーかもしれないし、パクチーかもしれないし、時にはフレッチやギグシーだってトップに入る。だから「4-6-0」なのだ。こういう上手い表現が出来るようになりたいなぁ、と少し悔しさを覚えたほど。
ただもう少し正確を期するなら「4-2-4-0」だろう。2枚のセンターハーフの前に何でも出来るアタッカーが4人いるとした方がしっくり来る。
『Number vol.718』はルーニーとメッシの豪華インタビューも入ったユナイテッドとバルサの特集に加え、アウベス、ラファエルと両チームに共通する攻撃的サイドバックにスポットを当てた記事や、今やフットボールの潮流となりつつある「コレクティブ・カウンター」(なんのことか分からない人はそれこそNumberをぜひチェック!)に関する分析記事など、フットボールに関する記事が盛りだくさん。これさえ読めば「最近のフットボール良く分かんない」というあなたも、欧州フットボールの最先端に触れれられます。と、こんな安っぽい宣伝でもやってしまおうと思うほど、今回のNumberは良かった、ためになった、競争心をあおられた。ぜひ一読あれ。
ということで話を元に戻して。「4-2-4-0」の4人のアタッカーがあっちこっち走りまくって敵を攪乱する。が、その奔放な動きにこちらまでかき回されてしまっては意味がない。4人の位置を広い視野で的確に把握しながら中盤からボールを供給し、ユナイテッドの攻撃のタクトをふるうのはあのフレッチだ。頼もしいのは縦パスが多いこと。これまではボールを失わないように無難に横パスを出すことが多いフレッチだったが、この試合ではスコールズのような崩しの起点となる縦パスも積極的に入れていく。そしてそれを当たり前のように通していく姿にフレッチのレベルアップを感じた。
これが待ちに待った「フレッチ覚醒」の始まりなのか。おいおい、考えるだけで体がぞくぞくしてくる。こちとら今シーズン、中堅のままその選手人生を終えていくとばかり思っていたチャビの覚醒を見たばかり。フレッチにも同様の進化が起きているのかも、否応なしに期待に胸は膨らむ。エヴァートン行きの話を蹴っただけのことはあった。御大様、到底不可能と思われるチャビの獲得を無理に狙っていくよりは、フレッチの覚醒を待った方が良いのでは。バルセロニスタとして、そしてユナイテッドファンとしても願います。
試合自体は前半はボールのつながりは良いものの、上手いフィニッシュの形は作れずノーゴールのまま。これで火がついたか後半からはクリ坊、ルーニー両巨頭の目が分かりやすいようにぎらつきだした。こうなるともう何も心配はいらない。クリ坊とルーニーの個人技で後半早々にゴールを奪うと、あとは勢いそのままにあれよあれよと4ゴール。今シーズンに入ってからのルーニーのゴールを貪欲に求める姿は見ていてこっちまで熱くさせられる。そこかしこで「クリスティアーノ一人に頼りすぎ」と批判された昨シーズン。ルーニーの胸中にも「このままではいけない」という気持ちがあるんだろう。そうだそうだ、その調子。やっぱりルーニーには暴れてもらわなくては。
ということで、前半のイマイチパッとしない内容に「過渡期だなぁ」という考えを強くするものの、後半個人技で勝負を決める力強さにホッともする。今は個人技で勝っていっても全然構わない。というか過渡期でも個人技で勝てる強さがあるからこそユナイテッドは王者なのだ。これがないとアーセナルみたくなる。序盤は少し後方から上位のチームを窺いながら、後半戦完成に近づいたチームの底力で最後差しきり、優勝をいただくというのがユナイテッドの常套手段。うんうん、この調子だ。
posted by myrowka |03:28 |
MU 08/09レビュー |
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