2008年06月30日
スペイン24年ぶりの決勝戦。ドイツW杯でフランスに敗れベスト16に留まったチームの若い力が所属クラブで経験を積み、成長を遂げた姿が今の代表。選手の力の底上げは期待できたが、監督は大会前頑なにラウール招集を拒み「理屈の通らないところは相変わらずだ」と考え、スペインは同じ過ちを繰り返すと考えていたのだけれど。それは結果的に変に選択肢を増やして頭を混乱させるのを防ぐという絶妙の判断だということになった。うーん、分からんもんだなぁ、ホントフットボールは。
フォーメーションは両方4-5-1。スペインはGKカシージャス。ディフェンスライン右からセルヒオ・ラモス、プジョル、マルチェナ、カプテビジャ。中盤はセナとシャビのダブルボランチ、前に右からイニエスタ、セスク、シルバ。1トップはトーレス。こちらは予想通りのフォーメーション。結局アラゴネスはドイツW杯で見せたラウールトップ下みたいな奇策は今大会ではしなかったことになる。学んだか、おじい。侮ってたよ。
ドイツはGKレーマン。ディフェンスラインは右からフリードリヒ、メルテザッカー、メツェルダー、ラーム。中盤はフリンクス、ヒツルスベルガーのダブルボランチ。前に右からシュバインシュタイガー、バラック、ポドルスキー。1トップはクローゼ。やはりバラックは来た。それでこそ男。そもそもバラックいないドイツ倒し優勝したって、タイトルの輝きは鈍る。どうせならピッカピカの優勝カップ持ち帰りたかったこっちにも好都合。
立ち上がりはドイツハイテンション。狙いは明確。スペインのパスフットボールをつぶせ。前線から激しくプレッシャーをかけ、パスを出す余裕を与えない。自陣には絶えず人を置き、スペースも与えない。いきなり攻め手を欠き、最終ラインでボールを回し、あげくロングボールに助けを求めドイツの壁に跳ね返される展開。やっぱりドイツは甘くない。まあでもこれはあらかじめ予想された対応。これをどう崩すかが腕の見せ所だ。
序盤はスペインのパスを封じ込めたドイツが押し込む。スペインもドイツ同様高い位置からプレスはかけるのだが、サイドを上手く使われ、最終ラインまで攻め込まれる。中心となるのはバラック。怪我の情報がブラフかと思わせるほどのハリキリっぷり。日韓以来の決勝の舞台が気持ちを高揚させ、痛みをも麻痺させるのか。ホントバラックは男だよ。
押し込まれたスペインはならばとトーレスの前への突破力活かしたカウンター。うんうん、無理してポゼッション回復するよりはこっちの方がトーレス活かせるし断然良い。前半14分にはサイドからエリア内に飛び出したイニエスタにシャビがナイススルーを通してビッグチャンス。惜しくもこのチャンスは活かせなかったが早速準決ロシア戦で見せたバルサコンビの息の良さを披露。今日も両者は調子が良い。やっぱり何かが起きるのはここかしら。
このチャンスから徐々にイニエスタがエンジンをかけ始める。パスがダメならとドリブルで勝負を仕掛け相手を崩し、時にはファールをもらって良い位置でフリーキック。守備意欲も旺盛高い位置でボールを奪いカウンターにつなげる場面も。ドイツの序盤のプレスも勢いが落ち始め中央はさすがに無理でもサイドからなら崩せるようになった。そして前半22分決定的なチャンス。セルヒオ・ラモスのクロスをトーレスが競り勝ちヘディングシュート。しかしボールはポストに嫌われゴールならず。いやはや単なる放り込みクロスも弾けないようじゃドイツさんのディフェンスも大したことおまへんなぁ。そもそも今大会のドイツはディフェンスの堅さで勝ち抜いてきたわけじゃなかったか。
これで20分ちょっとでスペインに決定的なチャンスが2度もあったことになる。が、これは同時に嫌な予感を頭に過ぎらせた。チャンスは作れてもゴールにつなげない。トーレスのダメダメパターンじゃないか。向こうにはバラックさんがいる。バラックさんはそんなに甘かない。チャンスは作れるんだから、早い内に決めとかないと致命的。
その後は両者一進一退の攻防に。試合も20分が過ぎ、温まってきた選手達に持ち味いかした大胆なプレーや早いパス回しが見られ始め、また早い攻守の切り替えに両チームのディフェンスがついていけず、あちこちに守備の綻びが。そしてまた質の良いプレーヤー達がその隙を確実についてくる。前半27分クローゼのスルーパスに抜け出したポドルスキー。同じく前半27分エリア近くで勝負仕掛けたイニエスタ。前半29分ラームのサイドから中央に切り込むドリブル突破。前半30分シルバのスルーパスに抜け出し1対1になるトーレス。前半31分のセスクのミドルシュート。ざっとあげるだけでもこれだけエリア近くでのゴールに繋がりうる駆け引きがあった。ゴールが入るならまさにこの時間帯だったのだろう。
そしてそのゴールを奪ったのはスペインだった。前半33分シャビのスルーパスに抜け出したトーレスがボールがレーマンに届くよりほんの一瞬先に触れ、見事ゴール。決めるべき男が決めるべき時間帯に決めたゴール。イングランドのワンダーボーイはもう10年以上もワンダーボーイのままだけど、スペインのエル・ニーニョは違います。もうニーニョなんて呼んじゃいけないね。バルサのキラーパスとリバポーの速攻が見事に絡み合ったスーパーゴールでした。ありがとう。
今大会では先制点が非常に大きな意味を握る。今大会では先制点を取られたチームはトルコ(と消化試合ではあったがスペイン)以外勝ってない。このブログでいうところの広義のパターン08。パターン08にはまった試合は大別すると2つに分けることが出来て、1つは同点を狙うために前に出たところをカウンター突かれて逆に失点し敗北。もうひとつは引かれた相手の守備を最後まで崩せず敗北。このパターンに当てはめればスペインはこのまま勝つはずだ。
だがさすがにドイツは一筋縄ではいかない。まずドイツは同点弾を急がなかった。90分までに失点を抑えながら1点を返せばいいのだと冷静な判断。他のチームのように無理に前に出て後ろにスペースを作る真似はしない。またドイツはスペインが器用に守りきれるチームではないことも分かっていたのだろう。スペインは先制点を奪っても、急に態度を翻し守りきる様子は微塵も見せず、これまで通りのフットボールをしている。これならドイツが逆にカウンターを狙うことも出来る。先制されても浮き足立つことのないドイツ。なんという腰の据わり様。これだからドイツは恐ろしい。
後半開始からドイツはラインを高くしだした。裏を狙いたいトーレスには絶好の展開。ただドイツは守備の人数は減らさない。攻めるドイツ、カウンターを狙うスペインという構図が出来上がるが、スペインは効果的に攻めることが出来ない。トーレスとの走りあいにも、メツェルダーはなんとかついてった。
カウンターでトドメを刺せないスペインを尻目にドイツは怒濤の攻撃を仕掛ける。後半13分にはヒツルスベルガーに代え、クラニィを入れてきた。ここが勝負の仕掛けどころ。パターン08に陥るリスクはどこかで負わなければならない。その時は今という覚悟が窺い知られる采配。ここで決めればドイツの勝ち。決めれなければドイツの負けだ。
2トップになったことから分かるようにドイツはハッキリとサイドを突破してクロス放り込み作戦。しかしこの分かりやすい攻撃は決して上背があるとは言えないスペインディフェンスに脅威を与え続けた。明らかに動揺するスペインディフェンスはレーブの覚悟に触発されたか燃えるシュバインシュタイガーを止めることが出来ず面白いようにサイドを突破される。後半17分、18分と立て続けに危ないチャンスを作られた。だがシュバインシュタイガーはやっぱり若い。18分のチャンスの場面では中央フリーでポドルスキーがいたのに無理してシュート。うーん、ポドルスキーはいつでもシュバインシュタイガーをチェックしてアシストしてきたのに、逆はないのか。傍若無人な夫シュバインシュタイガーとそれを支える妻ポドルスキー。昭和の風景をドイツに見るとは。
このドイツの猛攻をなんとか防ぎきったスペイン。ピンチの後には当然チャンスが。後半23分左コーナーキックからサインプレーでエリア内に走り込んだイニエスタがパスを受けてシュート。だがドイツDFに弾かれて。1分も立たないうちに今度は右サイドからカソルラのスルーパスを受けてイニエスタエリア内でパスを受けてシュート。が、レーマンの真正面でこのチャンスも潰れた。後半31分のシャビのスルーパスも自ら打たずにトーレスに流して失敗。うーん、確かに難しくはあったが、でもここでトドメを刺せてこそのエース。イニエスタはまだ瀕死の敵の喉を掻き切る冷酷さは持ってない。バラックなら迷うことなく殺ってるのに。もう少し先だったか、イニエスタがあの域に到達するのは。
後半10分を切ったところからスペインはあからさまにトドメを刺すより逃げ切ることに重きを置き始めた。吹っ切れたのか後半開始直後は浮き足立ってたディフェンスもこの頃には地に足をつけ冷静に守れている。スペインが誇るべきパサー達も落ち着いてボールを回し、時間を確実につぶしていく。ドイツは勝負に出た時間帯で決めれなかったのが大きく響いた。しかしそれはスペインディフェンスの勝利とも言えよう。クローゼを代えてマリオ・ゴメツを入れてもとりわけ変化のないドイツに為す術はなし。スペイン1-0の勝利。44年ぶりの優勝。
最後の数分間は正直呼吸困難に陥りそうだった。実際上手く呼吸が出来てなかった。オーストリアの女性サポーターが呼吸困難で命を落としているから本当にちょっとビビッてたりして。でも笛が鳴った瞬間全てが報われた。失礼ながら生きている内にスペインが優勝する姿を見るとは・・・実はちょっと考えていた。何度でも言うけどイニエスタという選手にはそれだけの価値があると思ってる。でも今大会のイニエスタは想定の範囲内のイニエスタだった。もっと特別なことが出来るはずなのに。まだ大舞台でそれを発揮する術は持ってないということだろう。まだスペインにはワールドカップ戴冠という大仕事が残ってる。その時に本物のイニエスタが見れることを期待しておこう。
こう大会が終わってスペインの優勝を想っていると結構あっけない気がしていたりする。あれだけ待ちわびたビッグタイトルだったのに。なぜだろう。ユーロ制覇という偉業はルイス・スアレスをはじめ先達に成し遂げられてるからかしら。今後数日かけて考えてみようと思う。でもあれか。やっぱりまだスペイン代表の陳列棚にポッカリ穴が空いてるからか。
最後にもう一度ルイス・アラゴネスにあやまっておこう。最後まであなたの腕を疑い続けて本当にごめんなさい。今回の優勝でドイツW杯の時に味あわされた失望は幾許か晴れました。
このアラゴネスが作ってくれたチームを元にスペイン代表は新たな目標向かって突き進む。次は何やらデル・ボスケだそうで。たまにはスペイン人の中でもビクトル・フェルナンデスやファンデ・ラモスみたいな特に攻撃的フットボールの信奉者の監督が率いる代表見たいんだけど。スペインの代表監督ってカマーチョだったりサエスだったりアラゴネスだったりどうも攻撃的なリーガ・エスパニョーラというイメージにそぐわないマイルドな人が多いんだよなぁ。
posted by myrowka |08:47 |
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2008年06月27日
まず最初に謝らなくちゃいけない。セニョール・アラゴネス、ロシエント。ペルドネメ、ポルファボール。
このゲームは最初の10分で決まると思った。ポゼッション気にしてちんたらぽんたら横パスばっかしてたらロシアのカウンター食らってスペインの負け。選手が前に移動しながら縦にパスをつなげていければスペインの勝ち。中盤でボール回されてるだけじゃディフェンスは何も怖くない。逆にパスカット狙って速攻カウンター決めてやろうと意気を上げてしまうぐらいだ。しかし後ろに空くスペースというリスクを恐れず、前に移動することでマークをつきづらくしながらパスを回し早い段階でボールをロシアのディフェンスラインにまで送ることが出来れば、敵は常にプレッシャーにさいなまれることになり、ミスも期待できる。カウンターもかけにくくなる。スウェーデン戦とイタリア戦は前者のフットボールですんごい苦労した。ロシア戦は後者のフットボールで4-1の快勝を見せた。勝つならあのフットボールを再び見せるしかない。
結論から言えば自分の予想は良い方向に外れた。中盤でボールを持つと選手達が前に走り始めて前のめりに攻撃を仕掛ける。スペインらしからぬ実に早いボール展開。これだよ、これを待ってたんだよ。思わずガッツポーズ。勝てる。これなら勝てる。
が!出足が好調なスペインだったが前半33分思わぬトラブル。ビジャがまさかの負傷退場。豹のように狡猾にゴールだけを狙い続けるあのビジャが・・・。スペインの中で最もゴールが期待できる選手だっただけにスペインの勝利を望む人全てに嫌な予感がよぎったに違いない。だがやっぱりフットボールって分からないもので。この交代が思いがけない好影響を2つもたらした。
まずはセスクの出場。セスクが入ったことで中盤のボールの流れがより流動的になり、またセスクも空気読んでドンドンポジション上げていくんで、中盤でボールが停滞することもない。前に進みながらボールをつなげるフットボールをするためにはやっぱりセスクは絶妙の選手だ。
そしてもう一つの好影響は1トップになったことで生まれた。トップが1人になったということはこれまで以上に中盤の選手の攻撃力が必要になるということ。特にサイドハーフはクロス上げるだけじゃなくドリブルで切り込むなどウイング的役割も望まれる。また1人前線が少なくなったということは中盤、特にサイドの選手の前にスペースが生まれるということでもある。「ん!この感覚!!覚えがある!!!」と俄然生き生きしだす選手が一人。アンドレス・イニエスタ。
イニエスタのポジションといえばセンターハーフというイメージが強いが、ロナウジーニョがスランプに入った今季はよくウイングの位置も任せられた。でもイニエスタはこのウイングも難なくこなす。というより自分はイニエスタが最も活きるポジションはウイングだと思っているぐらいだ。イニエスタはパスだけでなくドリブルでも相手を崩せるからスペシャル。ひ弱な外見とは裏腹にウイングの位置でボールを持つとガンガン勝負を仕掛け、そして勝利しゴールを演出する。自分がイニエスタを世界最高の10番だと思う所以だ。
ビジャの退場で1トップになったことでバルサでのウイングと似たポジションでプレーすることになったイニエスタ。ペナルティエリアの角っこでボールを持つイニエスタはやっぱりひと味違う。「自分がやらねば誰がやる!」という気持ちに燃え、プレーしている様も何だか楽しそう。今大会では不調に陥り目立った活躍が出来なかったイニエスタだったが、ようやく本来の実力が発揮されはじめた。そういや調子が良かったユーロ予選はトーレスの1トップで戦ってることが多かった。そうか、1トップがイニエスタを輝かせるのか。
そして後半5分そのイニエスタがすべからく試合を決める活躍を見せる。シャビのスルーパスをもらいペナルティエリア隅でボールを持つイニエスタ。これまでバルサで決定的な仕事を幾度となく行ってきたお得意の位置。イニエスタはさすがここで勝負を仕掛ける。が、ロシアのディフェンスは簡単に振られない。攻め手に詰まるイニエスタだが中央のぽっかり空いたスペースに猪突猛進走り込むシャビ兄貴。「合点承知!」と右足ふわっと上げたボールをシャビがそのままゴールにたたき込み、スペイン先制!!!
勝負を挑める技術と度胸を持ったイニエスタがウイングの位置から勝負を仕掛け、そこで作り出したチャンスをバルサの選手が決める。スペイン代表に一瞬だけ顔を見せたバルサイズム。やべぇ、なんか泣ける。
このイニエスタのゴールの後はグループ第1戦のリプレイを見ているよう。ゴールを奪うため前に出ざるを得なくなったロシアの裏の大きなスペースをスペインが効果的に効率よく突いて追加点を積み重ね、終わってみれば3-0。パターンはオランダがイタリアとフランスに圧勝したのと全く同じ。ただスペイン代表はセットプレーじゃなく、流れの中でディフェンスを崩して先制点取ったけどね。フフフフフ。
がっかりしたのはロシア。バカみたいに攻撃的だったギリシャ戦からアルシャービンが復帰し、攻守のバランスが良くなるなど試合ごとに成長していったロシアだったが、成長しきった先にいたのはただの凡チームだった。この胸をトキメかせたのはそんなロシアじゃないのよ。サイドバック、守備的ハーフまでがガンガンエリアに入り込み、動き回って敵ディフェンスをかき回し、出来た隙を突いてゴールを奪い勝ってきたのに、この試合では攻守のバランスを考えるあまり後ろの選手があまり攻撃参加してこず、またエリア内での運動量も乏しい。勝ち進んでいくうちに負けることを恐れ、そして大事なものを失ったロシア。五つ神童、十で天才、二十過ぎればただの人 という言葉があるが、今回のロシアがまさにそうだったように思う。
ということで。よくよく気づけばスペイン代表国際大会史上2度目の決勝進出。イニエスタ(24)以降トーレス(24)、セスク(21)、シルバ(22)、セルヒオ・ラモス(22)と若いタレントが台頭し始め、その若者達を支えるビジャ(27)やシャビ(28)、カシージャス(26)らの選手達も脂がのりはじめて非常にバランスがよろしい。行っちゃうんじゃないかなぁ。イニエスタはそれに見合うタレントであると思う。で、このチームがより熟成されて、またボージャンやらデラレやらグラネロやらまだ見ぬ選手やらさらなる若手が加わって2年後ワールドカップに挑むんだから、狙うならマジでもうここしかない。
でもあれだ。やっぱりスペインを褒めるのは止めておこう。期待するのは止めておこう。どうせ決勝ではドイツの勝負強さに負けるさ。期待させるだけさせておいて結局はがっかり。そうに決まってる、とこういうスタンスでいた方が結果良いような気がする。試合前に書いた心配も単なる杞憂だったし。そもそも自分が良い予想をしてその通りにいったためしがない。優勝予想のオランダはベスト8,準優勝予想のスイスがグループリーグで敗退。それが自分の実力。それならそれで別にいいのさ。
posted by myrowka |14:01 |
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2008年06月27日
さてさて。
スペイン対ロシアの時間が徐々に近づいてきてるわけですが。考えれば考えるほどロシアに勝てる気がしないから嫌だ。そもそもは「スペインは24年ぶりのベスト4とは言ってるが、果たして近年のスペイン代表とどう違ってるんだろう」というのを何の気なしに自問自答したことから始まる。今回のスペインはこれまでのスペインとどう違うのか。
・・・・・・・
特に違ってないかも。これまでのスペインはボールキープするものの横パスばかりで、決定的なチャンスを作るまでには至らず、結局点を取られるかPK戦にもつれ込むかで負けてきた。じゃあ今回のスペインはどうか。第1戦のロシア相手には縦に早いフットボールで効率よく点を奪い、これまでのスペインから脱却したかに見えたが、どうしたことかスウェーデン戦ではこれまでと同じく横パスに終始し、結局ゴールは変則セットプレーからトーレスの個人技で奪ったゴールと終了間際スウェーデンの裏をついたビジャのゴールのみ。オランダと同じく引いた相手を崩して奪ったゴールはない。あのビジャのゴールがなければと思うとぞっとする。イタリア戦はそもそもゴールを奪えてない。これまでと違って一人で勝負決めれるタレントを累積警告で欠いてしまったイタリアとカシージャス神のおかげでなんとか勝てた。ぶっちゃけて言えば運が味方した部分もある。
と、このように。これまでのスペインになかった新しい力を持って躍進を続けている、というわけではない。勝負を分けたのはビジャの土壇場でのスーパーゴールとPK戦での運。相手を上回ったチーム力で勝利をもぎとってるんじゃないんだから、そりゃ楽観視も出来やしないさ。トーレスさんはロシア戦以外とりわけスペシャルな活躍出来てるわけじゃないし、セスクは基本途中出場だし、イニエスタは全然本来の力出してないし。まだはまるべきピースがしっかりはまってない。そんな中とうとう準決勝まで来てしまった。そんな印象。
こんなんでロシア戦に突入してしまったらどうなるだろう。横パスを回して、でも崩せずプレスに負けてボールを奪われて、カウンターでアルシャービン様の個人技にちんちんにされてグッズグズ。そんなスペインしか浮かんでこない。なぜあの縦に早いフットボールを第1戦のロシア戦以降捨ててしまったのか。出来ないわけじゃ無かったと思う。縦に急ごうと思えば急げた場面は多々あった。でもそれでもちんたら横パスを回すスペインの選手達。そうじゃないだろ。第1戦のフットボールにトキメいた気持ちをを返しておくれ。
ネガティブな考えしか出てこない情けないスペイン代表ファンだが、それでも脳みそ振り絞ってスペインが勝つシナリオ考えるとやっぱり初戦の縦に早いフットボールの復活しかない。イタリアとは違ってロシアなら後ろにスペースは絶対生まれる。そりゃ日々成長を続けるヒディング・ロシア様ですから第1戦のようにガッラガラというわけには行くまいが、だがそれでもスペースは少なくないだろう。そこをトーレスとビジャのランニングでライン乱しながら、生まれた隙にイニエスタなり、シルバなり、シャビなり、セスクなりがパスを通す。これが徹底できればロシア・ディフェンスは崩せる。絶対に崩せる。問題はそれが出来るかだ。ぐわー、どうなんだろうな。ここはこれまでのアラゴネス信じて出来ないと断じておこう。結局は横パスグダグダのフットボールで自滅する。歴史ではそうなってる。
スタメンだろうなぁ。スタメンシャビじゃなくセスクで来るなら信じても良い。縦に早いフットボールしたいなら絶対プレミアで鍛えられたセスクだ。スペインのフットボールしか知らないシャビじゃ物足りない。ここら辺で新しい血は必要。イニエスタのとこカソルラにしたらただ普通に嫌いになる。
posted by myrowka |01:44 |
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2008年06月27日
とうとう準決勝。31試合あったはずのユーロも残る3戦。とは言っても別に早いとは思わず。今回のユーロは特にドラマティックな試合が多く身が濃かったからもうこの時点で結構お腹パンパンだったりする。このテンションを決勝まで維持できるかが心配なほど。そんな中これまで3度奇跡を起こしてきたトルコが決して堅くはないドイツに挑んだこの試合。うーん、やっぱり今回のユーロには何かがあるなぁ。
序盤はまずドイツが情けない。ポルトガル戦と同じく自分の方から何かをしでかそうという気はなく、少人数省エネルギーで攻撃を仕掛けようとするドイツ。なんてネガティブ。なんてパッシブ。フットボールは見られるスポーツなんだから、そんな頼りない姿勢見せられる側の気持ちにもなってよ。
一方トルコは対照的に率先して何かを起こしてやろうという気が感じられるから気持ちいい。主力選手を多く欠くのだが、それを感じさせない力強さにほれぼれする。左サイドのウール・ボラルなんてまさにそう。ドリブルで勝負しかけられて決定力もあるアルダの離脱はとりわけ痛いと感じたけど、ボラルがその穴を全く感じさせないほどのファイトっぷり。スピードもあるし、勝負挑む気概もあるし、なにより「やってやろう!俺やってやろう!」ってにじみ出る闘志が好きだ。控えにもこれほどの選手がいるたぁ今後ヨーロッパで再びトルコフィーバーが巻き起こるのは必然か。フェネルバフチェがベスト8になったのはただのフラックではなかったんだと今初めて知った。
一方右サイドのカズムもボラルに負けじとやってやる気満々なわけだが、こちらはそのやる気が裏目に出てプレーがひどくエゴイスティックで空回り。闘志以上に若さゆえのしょっぱさがにじみ出ている。一昔前のクリスティアーノ・ロナウドを見ているようで、こっちまで痛くなってくる。彼はその後一皮むけたが、カズムはどうか。でもこのしょっぱさがカズムの良さでもありそうだし、一皮むけて欲しいのかむけて欲しくないのか微妙な気持ち。
このやったる気満々のサイドアタッカーに加え、今日はトップ下に入ったアルティントップも単なるパス回しにとどまらず工夫こらして攻撃仕切ってるし、アイハン、アウレリオ等もこれでもか!というほど走り回る。序盤から余裕たっぷり様子見かますドイツ様の鼻を明かそうと、主力抜けてもトルコは元気。
そんなトルコのエネルギーが試合を動かした。前半22分トルコの選手があげたクロスをカズムがファンタスティック低空オーバーヘッドループシュート。このミラクルシュートがレーマンの頭上を越えゴールに向かうが無念ポスト直撃。しかし詰めてるウール・ボラル。レーマンの真正面に蹴ってしまうもののボールはあたふたレーマンの股下抜けてゴール。うわぁ、ここで出るのか、レーマンのちょんぼ。ということでトルコ先制。でも当然のゴールだったと思う。序盤消極的に出たドイツと積極的にゴール狙いにいったトルコ。これでドイツにゴールが入ったらウソだ。
このゴールでようやくスイッチを入れるドイツ。そりゃ曲がりなりにもベスト4にまで上がってきたチームだ。やろうと思えば出来ないことはない。ただ惜しむらくはなぜそれが最初から出来ないのか。まあドイツが本気を出し始めて加速度増して試合がスピーディーになり面白くなってきた。
そしてサクッとゴール決めてみせるからドイツは凄いなぁって思わせる。端的に言えば抜け目がない。ポルトガル相手にはセットプレーでの弱さ、トルコ相手にはマークの緩さ、的確に相手の弱点を突き効率的にゴールを奪う。強い!というより強か!って印象。うーん、これがタイトルが取れる国と取れない国の違いなのか。
ということでポドルスキーのクロスにシュバインシュタイガーが詰めてゴール。ポルトガル戦と同じ形で先制点。自分よりポドルスキーに近い位置にいたクローゼには目もくれず、ポドルスキーがクロスを送りたいところへまっしぐらに突っ込みサッとゴールを奪う姿に少し感動を覚えた。同い年の2人。20歳ぐらいの頃から代表でコンビを組み、2年前からは同じチームでプレーするこの2人。なんかちょっと萌えてしまった。来シーズンバイエルンが見たくなった。どこか放映を。
ここから試合は均衡状態に。トルコはエリア内に入り込んだバラックをドフリーにするなど相も変わらずのディフェンスだ。これでベスト4まで来れるんだから本当にフットボールって分からない。だが後半開始直後ぐらいから序盤情けなかったドイツに変わり今度はトルコが情けなくなる。目に見えて運動量が落ちる選手達。ウォィ、ウォィ、ウォィ。そりゃあれだけの死闘を繰り広げてきたんだからもうヘトヘトなのは分かるけど、でもトルコが走らなくて一体どうやって勝てるというのさ・・・。気がつけばドイツがラインをハーフラインまで上げている。
するとやっぱりやられた後半34分。ラームが何事も無く上げたクロスを普通にクローゼに競り勝たれドイツ勝ち越し。覇気のないDFを前に危機感を覚えたリュシュトゥが飛び出すものの少し届かなかった。
まあでもよくよく考えればこの試合はここでようやく始まったと言っていいのかも知れない。みんな誰もトルコが勝ち越して逃げ切る展開なんて期待しちゃいなかった。3度あるこた4度ある。見せてよ、あの奇跡をもう一度。そして期待にお応えしようと再び動き出すトルコ。蘇る運動量。湧き出るアイデア。迸る勝負魂。うんうん、やっぱりトルコにゃ崖っぷちがよく似合う。
そんなトルコが7分後に同点に追いついてもさして驚きはなかった。トルコの逆転劇は偶然じゃなく必然だということはクロアチア戦で痛いほど良く学んだもの。後半41分サブリが右サイドライン際でボールをもらった場面。時間も少ない。ボールは大切にしたい。普通の選手なら無理矢理クロス放つか、DFに当ててスローインをもらう。でもサブリは「それじゃぁ生ぬるい」とここで戦う。リスクを背負って勝負を挑む。普通のプレーで終わらない、一つひねって敵の裏突き、チャンスを作る。この姿勢こそテリム・トルコ。あぁ、かっこいい。今後追いかけなきゃな。そのサブリのクロスにセミフが詰めてゴール。この劇的同点弾にもとりわけ喜んでる様子でもないセミフ。まだまだ
同点。これからもっとおいしいゴールが待っている。喜びを爆発させるのはその時だ。俺たちはミラクル・トルコ。その自信があふれていた。
ミラクル・トルコの凄さを肌で感じたドイツ。戸惑いながらも試合を進めるしかない。もうドイツに余裕は無かったはずだ。このトルコの勢いに飲まれないよう踏ん張るのに精一杯だったはず。だが残り時間も少ないところボールを回していると、トルコにも隙が生まれた。元々隙がないどころか、そこかしこに隙があるトルコ。冷静に攻めれば崩せるところはあったはず。トルコの弱みはマークの緩さ。ラームは落ち着いてその隙を突いた。中央のヒツルスベルガーにボールを捌くと一心不乱にエリア内に切り込む。するとやはりトルコのマークはやってこない。気づいたのすらヒツルスベルガーがボールを返す一瞬前だ。トルコ時すでに遅し。ラームはヒツルスベルガーの強いパスを右死でキレイにトラップ。その後ラームはリュシュトゥの横を突き、まさかのドイツ勝ち越し。
でもこれでもまだ不思議とドイツの勝利を確信できない。トルコがロス・タイムにゴールを入れるところはもう2度も見た。土壇場で勝利をつかむところをもう3度見た。なんでこの試合でそれが起きないと言える。なんでこの試合だけそれが起きない。起きるでしょ。起きるんじゃないの?と漠然とだがかすかにトルコの逆転劇が見える。するとロスタイム残り30秒の時点でおあつらえ向きに30mからのフリーキック。何やら直接狙ってくる様子。キッカーは誰?アルティントップ?分かんない!あ!誰か蹴った!外れた!普通に外れた。惜しくも何ともない。終わった。普通に終わった。何というあっけない幕切れ。振るだけ振っといてあんなオチ。これもまた意外性のテリリズムってことか!?うわー、すんげえ釈然としない。
ということで、なんとも不完全燃焼なフリーキックと共にこうしてミラクル・トルコの冒険はあっけなく終わった。
せめてゴール前の群衆内に放り込んでいてくれれば残りの選手も全部ぶつけれたのに。とまあ過ぎたことを悔やんでも仕方ないか。
これまではトルコと消化試合を除いて先制したチームが負けることは無かった。その法則に当てはまらず先制されても逆転勝ちしてきたのがトルコだったのだけれど、その逆法則とでもいうべき現象はこの試合でも発生。先制されれば勝つけど、先制したら負ける。トルコは最後までアブノーマルだった。
トルコが期待を持たせるのは若いチームだという点。カズムカズムやアルダを始めこれから伸びる選手がたくさん。
個人が熟成すればこのチームはホントとんでもないことになる。攻撃面では特に問題ないというかこれ以上いじって欲しくない。あとはディフェンス面をしっかり修正すればワールドカップでも普通に優勝狙えたりすると半分冗談半分本気で思う今日この頃。
一方ドイツは過去2大会で1勝も出来なかったにも関わらず、今大会は決勝進出。ある意味意外な活躍と言えるかもしれない。少し前まではドイツと言えば他の強豪国と比べタレントが小粒で物足りない印象だったのに、ポドルスキ、シュバインシュタイガーを始め地味に地道に地力をつけてきた。その努力が実を結ぶかもしれないのが自国W杯から2年後というのも歯がゆいところではあるが。行っちゃうのかなぁ、このまま。行きそうな気がするなぁ。
posted by myrowka |00:45 |
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2008年06月24日
さてさて。
88年ぶりにイタリアを破り、スペインはこの大会ベスト4に進出したわけだが、スペイン中がこの偉業に沸き返っているのが色んなスペインのニュースサイト回っているだけで伝わってくる。そりゃそうだ。スペイン代表が国際大会で準決勝に進むところなどそう拝めるものではない。強豪といわれる国がワールドカップの最高成績がベスト4だなんて冗談でも笑えないのに、リーガ・エスパニョーラという世界最高クラスのリーグを誇るスペインはそれを地でいってるのだから。ユーロでは40年前に一度優勝、20年前には準優勝とワールドカップほどひどくはないものの前回大会ではグループリーグで散るなど、ユーロでの成績もスペイン代表負の歴史を払拭しうるものでもない。
そんな負け犬根性は国民にも染みついていて、それはスペイン人と代表のことについて話してみればすぐ分かる。今度こそは優勝出来るかって?ダメダメ、絶対無理。結局今大会もよくてベスト8止まりさ、とひどく冷めた答え。日本でもスペインでは代表よりクラブチームの方が人気があるという事実が広く知れ渡っている。地元のチームに熱狂的で、国際大会でろくな成績が残せない代表には無関心のスペイン人。
だがしかし一概にそう言えるわけでもなさそうだ。スペイン各紙が面白い数字を報じている。それは視聴率。セスクがPKを決めた瞬間の視聴率はなんと79.9%で、1992年から視聴率調査を始めたスペインのテレビ史上最高の視聴率をマークしたそうだ。ちなみにそれまでの1位はロサというスペインを代表する歌手がユーロビジョン・ソング・コンテストという歌のコンテストに出たときの視聴率だったらしい。
前後半合わせての視聴率は68.8%で、延長戦に入ってからは72.1%にまで上がり、PK戦に突入してから77.5%にまで達したそうだ。
興味ない、興味ないと口では言いつつも結局気になって代表の試合見てしまうスペイン人がなんとも健気。なんだかんだ言ってスペイン人は代表に勝ってほしいのだ。それはドイツW杯の時に肌で感じた。大会前まではスペインダメダメと言ってたアトレティコファンの爺さんがいざスペインが負けるとひどく悲しげな顔をしていた。よく考えてみれば当然のことなのかも知れない。誰だって自国のユニフォーム着て戦うチームの情けない姿なんか見たいはずがないのだ。
国民の代表への無関心はもしかしたら期待を裏切られ傷つくことを恐れるが故に編み出した自己防衛策なのかも知れない。心の底ではみんなスペイン代表が勇ましく勝つ姿を、優勝カップを掲げる姿を望み続けている。そんな密かな国民の期待にいつかは応えなければいけない。そんな国民の健気な姿勢にいつかは報いなければいけない。国民にいつまでもこんな悲しい寂しい真似をさせ続けるわけにはいかない。もういいだろう。もう潮時だ。88年の敗北の歴史に終止符を打ち、6月22日の呪縛も打ち破った。機は熟した。今だ。今しかない。2年後にまたチャンスがやってくるさなど微塵も考えるな。行け。勢いにのるロシアの鼻を挫き、ドイツであれトルコであれこれまでためてきた鬱憤を悔しさを全てぶつけ倒して頂点に立つんだ。
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2008年06月23日
重たい。すごく重たい。あまりにも重たいセスクのPKだった。セスクはその意識さえ保つことの難しい重さを堪え「こなくそが!」とふんじばってボールを蹴っただろうか。それとも若さ故の無自覚からその重みをあまり意識することなく飄々とあのボールを蹴っただろうか。張り裂けそうな思いであのPKを見守っていた自分にはそれが判断出来ない。あのPKが決まったとき悲鳴にも似た雄叫びを上げてしまった。重たかった。あまりにも重たかったイタリア戦88年の敗北の歴史。そんなに長い間スペインを縛り付けてきたものは一体何だったんだろう。そのスペインをずっとずっと縛り続けてきた鎖をちぎり破った力の源は一体何だったんだろう。トーニを始めイタリアの攻撃を執念で守り続けたカシージャス、プジョル、マルチェナ、ラモス、カプテビジャ、セナたち本当にありがとう。PKを決めたビジャ、カソルラ、セナ、セスク本当にありがとう。トーレス、グイサ、シャビ、イニエスタ、シルバたち。まだ大会は終わってない。今度はユーロ44年の敗北の歴史を打ち破るための試合があと2つ残ってる。力に微塵も疑いの余地はない。だからこそ決めてよ、今度こそ。
この試合はまるで88年の敗北の歴史の縮図そのものだ。スペインはパスはつなげるものの、最後のところでイタリアの堅い守備は崩せない。ブッフォン、キエッリーニはまさにカテナチオの権化。何だよ、カンナバーロとマテラッティいなかったらあとは楽できるはずじゃなかったの?特に何、あのキエッリーニってすげえ守備の人。あんな人がいるなんて聞いてない。パヌッチもトーレスによくやられるもののそれはサイドに寄せたときの話で、エリア内では抑えるところ抑えてるし、その他の選手もスペインのパスで崩す戦法をしっかり研究していて、パスを出せるスペースをつくらず、パスが出てきても選手にきっちりついてきて、それでも空く隙はブッフォンがカバーリングとパーフェクト。
おまけにスペインは辛酸をなめ続けてきた最大の天敵イタリアに対しDNAに染みついた苦手意識が抜けきらず萎縮している。周りが見えてないからサイドに開く選手に気づかない。パスの判断も遅い。勝負を仕掛けなければいけないところで仕掛けない。いつもは違いを生み出すバルサご自慢のちびっこイニエスタだが、この日はただのラ・マンチャの男だ。それでも時折シルバ等が勇気振り絞って前につっかかるが、先も言ったとおりイタリアの守備はパーフェクト。こんなんじゃゴールが入るはずもない。あーあー、そりゃイタリア相手に88年勝ちがないのもうなずける。
ただイタリアがこれまでのイタリアと違っていた。一人で勝負を決めれる選手がいない。大体それは10番を背負ったいわゆるファンタジスタが担うのだが、今大会の10番はそういうタイプの選手じゃないようだし。良かった良かったと思ったらピルロという化け物級のキラーパサーが出てきたのだけれど、そんなピルロもこの試合では欠場。それでもピルロに変わる選手が現れるんじゃないかと心配だったが、幸い杞憂だったようだ。そんなスゴイ選手そうそう出てこないか。
攻撃の核を欠いたイタリアはそれでもサイドアタックからトーニの高さ活かした攻撃を繰り返すが、ことごとく失敗する。スペインは大会後トーニに金一封を贈っておいた方が良い。イタリアの9番は例えばビエリだったり例えばピッポだったり少ないチャンスを活かす力強く抜け目ない選手を思い出すが、トーニに至ってはそんな心配をする必要がない。ゴールを望めないトーニをそれでもポストプレーで活かすためのペッロッタだったが、そのペッロッタもトーニとの連携はイマイチ。
もちろんカシージャスを始めディフェンス陣も頑張った。この試合はさながらディフェンスの見本市。特にマルチェナはこれまでは心配させるような守備ばかりしていたのに、この試合では驚くほど集中して守っている。嬉しい誤算がここで来るか。ゴールを決めれる気配は全くしないが、ゴールを決められる気配も全くしないぞ。
ということでまるで出来レースのようにPK戦突入。ユーロ84年準決勝のデンマーク戦からPK戦での勝利はなし。6月22日のPK戦は日韓W杯の時の韓国戦を始め嫌な思い出が少なからずあるそうだ。嫌だなぁ。ただでさえキーパーはブッフォンなのに。いや、こっちにだってカシージャスがいるけども・・・、となんかもう鼻から諦めモード。
ただ最初のキッカーの2人を見て、おやおや?と思った。スペインはビジャ。自チームが誇る最高のストライカーがプレッシャーのかかる最初のPKを蹴る。あぁ、なんと頼もしや。そのビジャが振り切って右隅にドン!くぅ~!しびれる!一方のイタリアのキッカーはグロッソ。んん?そうか、グロッソなのか。イタリアで最初のPKを担うのはサイドバックのグロッソなのね。ここに違和感というか、両者の違いを感じ取った。グロッソは思い切ってボールを決める。その後何やら意味ありげにトーニを映すカメラマン。ガッツポーズして喜んでいるトーニ。なるほどそうか。カメラマンさんありがとう。そうか、スペインとイタリアの一番の違いはここなのか。
2本目のキッカーはカソルラ。正直言うと外すと思った。まだヨーロッパを知らない若者にブッフォンはあまりに大きすぎる。だけど落ち着いてブッフォンの逆をつき右隅に決めた。うわぁ、やっぱり若さって分からん。怖い。よくあれを決めれたな、ホント。これでスペインは大きく一歩前に出た。対するイタリアのキッカーはデ・ロッシ。思い出すユナイテッド対ローマ戦。その時デ・ロッシはオールド・トラッフォードのプレッシャーに押しつぶされPKをふかした。奇しくも今回もゴール裏には敵様の応援団。外せ。止めろ。外した。やった。来た。これは来た。カシージャスはやっぱりスゴイ。神様だ。
3本目はベテランの登場。セナとカモラネージが危なげなく見える。カソルラとセナ。ビジャレアルのリーガ2位躍進を支えた選手達はやっぱり伊達じゃない。
4本目グイサ。ここもカソルラに続いて嫌な予感。プレーを見ててもなんか他の選手達よりもスケールが一回り小さいようなそんな印象を抱いていた。ここでは嫌な予感が当たる。失敗。3-2。次のPKを決められればイーブンという場面。カメラは外したグイサやそれを慰める選手は抜かずカシージャスを抜いた。過去ではなく未来を映したカメラマン。何だこの人、センスがあるにもほどがある。そのカシージャスの表情には失望が映っているようにも覚悟が映っているようにも見えた。おそらくは両方だったのだろう。覚悟を決めたカシージャスはディ・ナターレのPKを止めた。
そしてセスクが次のPKを決め、歴史は変わった。何も有り余るほどの強い力で強引に変えたのではない。歴史の重さに腰が引けながらも、それでも何とか踏ん張って耐えて堪えて前に進み、相手の弱さにも助けられながらかすかに入ったヒビを何とかこじ開けて変えた歴史。胸張って自慢するほどのものではないが、しかし誇るべき勝利。良かったよ。俺スペイン応援し続けて良かったよ。
今ものすごく言いたいことがあるが、あまりにもスペインに縁起が悪すぎることなので、それがベスト4なのか準優勝なのか、それとも優勝なのかは分からないが、スペインの大会が終わるまで取っておこう。
こうして88年の敗北の歴史にピリオドを打ったスペイン代表だが、その中心選手がビジャだったり、セナだったり、カソルラだったり、マルチェナだったり、バレンシア州勢が目立ったのはバルセロニスタとしては何とも情けないところ。まあプジョルは頑張ってたけどそれだけじゃ何ともね。ただ先にも書いたように大会は続く。次はロシア。10日ほど前に4-1で勝利した相手。だた10日前とは比べものにならないほど強くなっている。アルシャービンっていうとんでもない選手も現れた。ただスペインも今日のような萎縮したスペインではないだろう。何より天敵イタリアを倒したことで自信をつけた。イタリア戦とは違ってロシアは後ろにスペースが空く。スペインご自慢のパス主体のフットボールもより活きるだろう。結果はさっぱり検討がつかないが、よりアクティブな試合になることは間違いない。
そんなスペインとロシアの違いを分けるのがイニエスタであれば。ユーロ予選では大活躍で決定的な仕事を何度もしてきたイニエスタだが、この大会では何か自信なさげに一歩引いてプレーしている。そうじゃないでしょ。バルサでしているようにもっと伸び伸びと自信を持ってプレーして。そうすればイニエスタを止めれる選手はこの世にいない。そう本気で信じてる。行け、イニエスタ。ラ・マンチャの男からエル・サルバドールヘ。美白のその素顔の裏にはさらに輝く黄金があることを、バルセロニスタだけでなく全世界に見せつけるのだ。
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2008年06月22日
いやいやいやいやいやいやいやいや。今回のユーロはフットボールの持つドラマ性が最大限に表われている。スゴイ。毎日がジェットコースター。戦力や経歴を元にした予想なんて全く何の意味もなさなくなった。スゴイぞ、フットボール。
これまでの試合から考えれば、攻撃的に攻めるロシアの裏をオランダが鋭いカウンターで巧みに突く展開は容易に予想できた。だからこそヒディングのカウンター対策がこの試合の鍵を握る。ヒディングもさすがに百戦錬磨。これまでのように「攻撃こそ最大の防御!」なんてすっちゃかめっちゃか選手上がらせて攻撃参加をさせない。ジルコフ、アニュコフがカイト、スナイデルを見ながら守備のバランスを取っている。半ば無邪気さまで感じさせた前までのロシアとはひと味違って今日はちょっと大人びたフットボール。攻撃力をある程度犠牲にし、その分安定した守備力を手に入れたロシア。本当にこのチームは日に日に成長するなぁ。なぜかH2Oが頭の中でループしている。
そんなロシア相手にオランダはパスを繋ぎながらも決定的なチャンスは作れない。ロシアの裏をカウンターで突く作戦はヒディングの対応により早くも頓挫した。かといってこのチーム最大の課題である遅攻からのゴールはやっぱり苦手。2軍はルーマニア相手に奪えたが、1軍が奪う姿はまだ拝見しておりませぬぞ。でも遅攻がダメでもこのチームはセットプレーが上手いから今ここにいる。前半29分ファン・デル・ファールトのFKからニステルが合わせようとした場面を始め、ゴールのニオイがしてくるのはセットプレーからだ。「遅攻が無理ならセットプレーからゴール奪っても別にいいじゃん」と半ば開き直っているかのようだが、しかしそれもまた真理。そうよ。セットプレーからでも奪えばゴールはゴール。
だがこの日のオランダはイタリア戦、フランス戦のようになぜかしらセットプレーからゴールを奪えない。でもまあそんな日もある。そうポンポンセットプレーからゴールが入るなら誰も苦労はしないわけで。だがちんたらぽんたらしているとロシアも黙っちゃいないぜよ。元々オランダは守備が盤石というわけでもないんだ。イタリア戦とフランス戦では相手の拙さに助けられた部分も大きかった。
するとやられた後半11分。左サイドからセマクがあげたクロス。エリア内には外に逃げると見せかけて中央の空いたスペースに猛ダッシュで走り込むパブリュチェンコ。この動きで1本アリ。マタイセンはつききれない。フリーでシュート。ロシア先制。
ホントロシアのクロス入れる際に一工夫入れる姿勢には感心する。このユーロではただ放り込んだクロスはほとんどゴールに繋がらない。それをロシアは理解している。そんなにフットボールは甘くない。元々2トップでもない。中でただボーッと突っ立って待ち構えさせてもらえるような特別なFWはうちにはいない。だから走る。だからひねる。走ってひねってなんとかゴールにつなげよう。その真摯なロシアの姿勢がちゃんと結果に表れてる。
ここからはまさしくパターン08の展開。先制されたオランダが色々と工夫するものの、ゴールには届かない。1点リードされてカウンターがあまり望めないと見て、中央の攻撃を厚くしようとロッベンではなくアフェライを入れた判断は良かったと思う。だがそれでもゴールは遠い。スナイデルやペルシーが果敢にゴールを狙っていくが、枠にすら入らないボール。あぁ、こんな展開このユーロでもう何度も見てきたよ。遅攻からのゴールが奪えるのか、という不安も的中してしまった。
パターン08通りハマってこのままゴールを奪えずに試合終了かな、と諦めが頭によぎり始めたとき、どこからともなく聞こえる「ヒヒーン!」という馬の鳴き声。そうだ、まだオランダにはニステルさんがいる。このニステルさんの一鳴きで「遅攻がダメでもセットプレーがあるじゃない」の真理を思い出すオランダ一行。後半41分スナイデルのフリーキックに体ごと突っ込みボールをゴールに押し込むニステルさん。オランダ同点
そうなんだ、オランダにはニステルさんがいるんだ。オランダを優勝予想に挙げた一つの要因でもあるニステルさんの異常なまでの決定力がここで炸裂。ニステルさんのいるところにゴールあり。まさにゴールの権化。これが決定力だよ、明智君。
ニステルさんのゴールで息を吹き返すオランダ。勝ちパターンから一気に逆転負けパターンに入るロシア。しかし何とか後半終了まで持ちこたえた。延長戦開始までのインターバルの間に智将ヒディングは選手達にどんなことを吹き込んだだろう。一見すれば土壇場で望みを繋いだ勢いに乗るオランダに分があるように見える。でも自分はそうは思えなかった。だってロシア。予選だってイングランドの自滅に助けられ何とか突破したロシア。グループリーグ敗退してても何もおかしくないロシア。決勝トーナメントまで進めただけで御の字のロシア。ここで負けても健闘を称えられるだろう。失う物は何もないのだ。一方のオランダは違う。イタリア、フランスに圧勝し、一気に優勝候補とまで賞賛されるほどになった。そんなオランダが準々決勝敗退、しかもロシア相手に敗退なんて絶対に許されない。ポジティブなロシア、ネガティブなオランダ。この立場の差が延長戦でもろに出た。
攻めども攻めども遅攻でゴールを奪えないオランダ。一方失う物のないロシアは(敬意を込めてこう呼ぼう)ロシアのマラドーナことアルシャービンの個人技を中心に足の止まったオランダディフェンスを真正面から叩き潰しにいく。延長前半9分アルシャービンがドリブルでエリア内に切り込みトルピンスキーにパス。しかしトルピンスキーのシュートはこの日まさに孤軍奮闘のファン・デル・サールがなんとかセーブ。延長後半2分ジルコフがエリア内にドリブルで切り込んで倒れるものの、これはPKをもらえない。延長後半4分ジルコフがビリャレトジノフとのワンツーからオランダエリア内に切り込みクロスを放つもこれは中の選手に合わない。あと少しのところでゴールには届かないのだが、しかし今のオランダにロシアの勢いを止める術がないことは誰の目にも明らかだった。
そしてすべからく入る勝ち越し点。延長後半7分アルシャービンがドリブルでエリア奥深くまで切り込んであげたクロスはファン・デル・サールの頭を越え、ポスト恐れず猛烈ダッシュで飛び込んだトルピンスキーの勇気で1点。ロシア勝ち越し、オランダ1点ビハインド。そして延長後半11分スローインからアルシャービンが抜け出してファン・デル・サールの股を抜いて勝負あり。それにしてもエドさんでも股抜かれることあるんだぁねぇ。
今大会はミラクルトルコにヒディングマジックとホントにもう良い意味で期待裏切るチーム多すぎて嬉しくなる。オランダ優勝予想してたけど、こんなフットボールされちゃ文句も出んわ。ロシアスゴイ。ヒディングスゴイ。アルシャービンスゴイ。
今大会はモドリッチの大会になるなんて言われてたらしいけど、今やその名声は全部アルシャービンがかっさらった。しかもたった2試合で。こんな短期間で英雄になれるのもフットボールの持つ魅力ならではといったところか。オランダにもスナイデルやファン・デル・ファールト、ペルシー、アフェライといった名手がいるはずなのにねぇ
このロシアにはトルコと違って計算できる強さがある。日々大人の階段を上るロシア。今ならスペインが来ても以前のようなスコアにはならないだろうし、イタリアが来ても十分番狂わせはあるだろう。いやはや、ホントここまで来るとマジでトルコとロシアを戦わせたい。
一方オランダは最後まで1軍で遅攻から点を奪うことは出来なかった。イタリアとフランスに圧勝したのは出来すぎで楽観視はしちゃいけないと分かっちゃいたが、それでもあんなにポンポンと奪えてたゴールが展開次第でこうも取れないとは、いやはやフットボールって分かんないし、だからこそスンゴイ恐ろしい。
今回のオランダはこれまでのオランダとは違うと言われていた。それはファン・バステンの影響だろう。攻撃的なスタイルを貫く必要はない。守るべき時は守る。そしてボールを奪ったら速攻カウンターというこれまでのオランダとは違った実にカップ戦向きの現実的な戦い方。だがしかし。それでもオランダは勝てなかった。それでも国民の期待には応えられなかった。それでもオランダは変わりきれなかった。しかも負けたのがオランダを彷彿とさせる攻撃的で面白いフットボールしてくるヒディング・ロシアという皮肉。にゃー怖い。フットボールってやっぱり怖い。
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2008年06月21日
いやいやいやいや、あるの?こんなことって。劇的な勝利と言えば思い出すのはやっぱりカンプノウの奇跡だが、それに続くほどの奇跡だと言えるんじゃないかしら。だってないでしょ、こんな展開。どれだけ安っぽいドラマ書く脚本家でも、これは避ける。現実だからこそ許されるドラマ。最後は開いた口がふさがらなかった。
試合は後半20分頃まではひどく静かなものだった。普通試合って一方のチームが攻める時間帯があればもう一方のチームが攻める時間帯があったり二転三転するものだが、この試合はトルコはパスを繋ぎながら攻め、クロアチアは引いて守ってカウンターという構図が一向に変わる様子がない。何の変化もない池をただずっと眺めているような試合。
チェコ戦では試合の入り方を間違い、攻められっぱなしだったトルコ。テリムは勝ったのに前半の内容の出来の悪さからメディアにこっぴどく叩かれたらしい。そんな偉そうなメディアを黙らせる必要がある。この試合では中盤を厚くし、いつもよりもショートパスで繋ぐフットボールを意識していた。
トップ下でボールキープするトゥンジャイの働きが思ったよりもいい。サイドで勝負するタイプの選手だと思っていたが、高いキープ力でパスの預けところとなれば、ドリブルでも切り込んで良い感じ。そんなトゥンジャイを中心にクロアチアのプレスをかいくぐりながら、ショートパスでゲームをコントロール。これならばメディアも文句はあるまい。
一方のクロアチアは守勢に回るがそれもある程度計算で、ボール回しは許すものの奥深くまでは行かさないぜ、と守備に人数を割き、スペースらしいスペースも作らないほど集中して守って、トルコ前に出したところでカウンター。そう大量得点を狙える選手層じゃないと自覚しているのだろう。身の丈にあった実に現実的なフットボールだ。
幸いトルコの守備はそう完成されているものでもないのでミスも散見され、チャンスらしいチャンスはクロアチアに多い。前半19分スルナのスルーパスに抜け出したモドリッチがサイドを駆けてトップスピードで入れたクロスにオリッチが合わせた場面なんて入ってても何もおかしくなかった。トルコは相も変わらず綱渡り。
それにしてもモドリッチはあんなスピードからキーパーとディフェンダーの間を縫ってしかも巻いたクロスを放れるなんてえげつない。前々からそこそこスゴイ選手だなとは思ってたが、このクロス見てヤバイぐらいにスゴイんだなということをようやく理解できた。
しかし決定的な場面と言えるのは本当にこれぐらいなもんでトルコ、クロアチア共にリスクを冒さず、撫で合うようなフットボール。こんな展開がずっと続いた。ヤバイぐらいに退屈。だが両者とも0-0をヨシとするはずもない。これは来るべき時が来るまでの前フリ。ビリッチが後半20分にクラニツァールに代え、ペトリッチを入れた頃から試合が徐々に動き始める。これまで押さえつけられてきた鬱憤を晴らすかのように前に出るクロアチア。だがそれは同時に守備が手薄になるということで、それまではボールは回しつつも一切チャンスらしいチャンスを与えてもらえなかったしょんぼりトルコもカウンターで「んん!?」と身を乗り出すようなチャンスを作り始める。待ってたのよ。こんな展開を見るために最初のあの退屈な内容にも耐えたのよ。
後半39分スルナのフリーキックを一旦逆突かれるもののジャンプ一番片手で止めてみせるトルコ第2GKリュシュトゥ。大会前ボルカンにポジションを奪われた男が巡ってきたチャンスを活かし責任果たす意地のセービング。アッツイ。すんげえアッツイ。
後半45分モドリッチのクロスにオリッチが合わせるもののリュシュトゥの真ん前。うーん、オリッチ。前線からプレスを惜しまないクロアチアが誇るべき偉大な労働者オリッチ。最前線を任されたゴールを決めるべきオリッチ。そのオリッチがゴールを決めれない。日本人としてなぜか親近感を感じると共に、気持ちが分かるゆえのシンパシーも覚える。
延長前半5分中央でボールを受けたトゥンジャイがサイドにボールを散らすかと思いきや、思い切ってドリブルで中央突破。意表を突かれたクロアチアディフェンスは最後まで破られるものの最後のドリブルが大きかったためにクロスの精度が悪くなりフイ。
トルコはこのチャンス以外にも普通ならサイドに逃げて落ち着きたいところを果敢に中央突破する場面が目立った。型にはまってないところは何も次々と変わる選手起用だけじゃなく、素敵。
延長に入ってからはトルコペース。序盤から中盤にかけては守りに徹し、終盤ゴールを取りに行ったものの試合を決められなかったクロアチアは疲れ切っていた。しかしそれでも負けてられるかと踏ん張り倒し、走り続ける選手達。なんかもうそんな姿見てるだけで来るものがある。それはトルコにしたって同じ。両者互角。この試合で優劣なんかつかなかった。しかしそれでも勝者を決めなければいけないからトーナメントは残酷。
両チームへとへとの中、それでも違いを見せるのはやっぱり天才なのか。ここに来てアクセルを踏めるのがモドリッチ。延長後半8分右サイドでボールをもらうが、天才と呼ばれる選手はここで安易にクロスを放らない。俺がやらなきゃ誰がやるとドリブルでエリア内に切り込む。が、ここはトルコディフェンスが根性見せて跳ね返してみせた。そりゃあんたここにきて若造一人にやられるわけにもいかんめぇ。
だがだからといってモドリッチもここで引かない。延長後半14分クロスのこぼれ球をリュシュトゥが拾いに出た。だが若干距離がある。リュシュトゥのコースを防ぐかのようにボールに走り込んだモドリッチ。間に合った。無人のゴール。焦らず中のクラスニッチを確認して丁寧にあげたクロスをクラスニッチがジャンプ一番ねじ込んで先制。クロアチア先制。
延長戦終了間際に決定的な仕事をしたモドリッチ。勝負を決めるにふさわしい活躍。天才モドリッチの偉業を語る上でこのトルコ戦は重要な試合になるだろう。若干出来過ぎな気もするが、しかしそれはモドリッチの頑張りを無下にする下世話な考え方か。クラスニッチの手術後復帰してから2度目の決勝ゴールでもある。いや、素晴らしい。おめでとうモドリッチ、おめでとうクラスニッチ。おめでとうビリッチ。おめでとうクロアチア。
なんて言葉でブログを締めようかな、てなことを考えながら試合を見る癖がユーロ中についてしまった。だが心のどこかでその後何かを期待してたのも事実。だって相手はあのトルコなんだから。ただそれでも本当にあるかないか分からないようなホント虫眼鏡でやっとこさ見えるかすかな期待だった。世の中そんなに甘くはあるまい。
そしてそんな小さい期待は延長後半ロスタイム43秒ラキティッチがボールを奪った時点で完全に消え去った。もうここで笛が鳴ってもおかしくない。ラキティッチもそれが分かってたんだろう。キープ出来るところを前にボールを出して時間を使おうとした。これはオフサイド。トルコボール。審判はまだ笛を吹かない。かろうじて首はつながった。だがそれでもいつ笛が鳴ってもおかしくない。リュシュトゥ蹴る。審判待って。ほんの少しだけ待って。このボールの行方だけは見届けさせて。トルコに大会最後の思い出としてこのワンプレーだけは許してあげて、本当に。
願いは通じた。笛は鳴らない。ボールはクロアチアディフェンスの中に吸い込まれる。その時なぜか前線にいたエムレ・アシュクが飛び込んだ。クリア出来ないクロアチアディフェンス。ボールはセミフの下に。振り抜くセミフ。ゴールに吸い込まれるボール。
ハハハハハ。もう笑いしか起きなかった。あんのかね、こんなことが。あっていいのかね、こんなことが。こんな奇跡が3度も続いた。ミラクルトルコは伊達じゃない。2度ならまだ偶然で済まされるが、3度目ともなるとトルコの奇跡が必然性を帯びているようにまで感じる。
もちろんこれで終わりではない。まだ同点だ。PK戦がまだ残ってる。でもクロアチアに立ち上がる気力は残ってなかった。ノックアウトしたと思った相手。カウントは9。勝利を確信した途端、その相手がぴょんと跳ね上がってその勢いでアゴを粉砕されたのだからそれも当然。PK戦では次々と外し自滅したクロアチア。勝ったトルコ。負けたクロアチア。んーーーーー、こんなことが許されるのか、勝負の世界は。なんて非情。なんてむごい。
PKを外し勝利の立役者から一転悲劇のヒーローとなるモドリッチ。最後の最後で大ポカやらかした大戦犯から一転PK戦で勝利をもたらしたさすがのベテラン大キーパーになるリュシュトゥ。数分で反転する運命。これだからフットボールは恐ろしい。
それにしてもクロアチアはたまったもんじゃない。自分はクラスニッチのゴールが決まって喜ぶクロアチアの選手や監督、スタッフの姿を見てぶっちゃけ泣いてた。あの涙は本物。でもまだ試合は終わってなかったんだから、それは早かったということですか。甘かったということですか。厳しいぜ。厳しすぎるぜ、勝負の世界。
一方トルコにはここまで来たならもう行けるところまで行っちゃえよ、という気持ち。このチームには常識が通用せん。守備は統率されてるわけじゃない。2列目から上がってきた選手には全然つけないし、事後対応でつこうとしたら本来守るべき選手のマーク外してしまう安易な場面も目立った。そんなトルコ相手に決めるべきところで決めれなかったクロアチアも甘いといえば甘い。でも最後にはクラスニッチのゴールで振り切った。だからいいじゃんと思った。でも残り2分で真価を見せるのがトルコ。もうトルコに勝つにはロスタイムギリギリで先制点を奪うしかないんじゃなかろうか。
とは言いつつもトルコが逆転勝利をかました相手はスイス、チェコ、クロアチアとどれも中堅国。ドイツのような強豪国に通用するか。しない。さすがにそこまで甘くない。と普通は思う。でもこの大会はそんな一般的な考え方がことごとく裏切られてきた。行け。常識をことごとく突き破って行けトルコ。スイスの、チェコの、クロアチアの無念を背負って。スイスが負けたのは欧州王者。こんな出来すぎたシナリオもこのユーロなら許される。
posted by myrowka |15:49 |
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2008年06月20日
準々決勝第1戦、グループAで早々2連勝を飾り難なく勝ち抜けを決めスイス戦ではバカンスを決め込んだ余裕たっぷりのポルトガルとグループBでクロアチアに競り負けオーストリア戦ではバラックのFKからのゴールでギリギリの勝利を収めた満身創痍のドイツの対決はなんと効果的にポンポンゴールを積み重ねたドイツがそれでも何とか食い下がるポルトガルを振り切り3-2の勝利。ウェイウェイウェイウェイ。これだからフットボールってやってみなくちゃ分かんない。
序盤は両者とも様子を見ながらのプレー。リスクは負わず守備に人数をかけ、パスを回しながらところどころ個人技で突破を仕掛けるぐらいの内容。誰もまだギアをトップに入れていない。クリ坊も積極的に動き回るのでなく、基本左にベッタリだ。そんな中で多人数の守備vs少人数の攻撃が繰り広げられる。当然のことながらゴールのニオイは全然しない。
徐々にギアを入れ始めたのはポルトガル。ボシングワが積極的に駆け上がり、ポルトガルが人数をかけながら攻撃しはじめた。前半20分ボシングワからモウチーニョに低くDFが届かないよう絶妙なスワーブの掛かったクロスが供給されるも、モウチーニョが判断を誤り、ボールをふかしてしまう。だがポルトガルの勢いを感じさせるチャンスだった。お?お?これからかな?これから来るかな?待ちに待ったポルトガル・タイム。デコかな?クリスティアーノ・ロナウド(以下クリ坊)かな?そんな矢先にドイツ先制。
左サイドバラックとのワンツーでボシングワ振り切ったポドルスキーがクロスを放ち、右サイドから最高速で走り込んできたシュバインシュタイガーが上手く合わせてゴール。あのスピードでようもまああのボールをGKのいないところへコントロールしながらシュート出来たな。先制点を奪ったのはポルトガルの7番じゃなく、ドイツの7番。シュバインシュタイガーのことだから「ほら見たことか!!!」とでも思ってるだろうか。いやはや、スゴイ。そうだ、あなたも天才でした。
それにしてもポドルスキとシュバインシュタイガーのコンビにはドイツの未来を感じる。代表でコンビを組み始めた頃05年のコンフェデで初めて見て、その頃からスピードと若さと勢いがあるコンビだったが、その2人が順調に成長して今やドイツの大黒柱。これでまだ2人とも24かそこいらだもんなぁ。いいよ、すごくいい。シュバインシュタイガーはスタメンから外されることも少なくなかったが、ポドルスキとのコンビネーション考えたら、おそらく両者は同時起用した方がより活きるだろう。
先制点を許したポルトガル。前のめりにあって戦いはじめるだろう。おそらくクリ坊もフルスロットルでプレーし出す頃だ。殺すなら今。さすがのドイツはタマの取り方を知っている。先制点からわずか3分後ペチが焦ってエリア近くで与えてしまったFKをクローゼがお得意のヘディングで決めて、ポルトガルの急所にグサリと刺さる追加点。キッカーはドイツの7番シュバインシュタイガー。再びクリ坊のお株を奪う活躍。世界中から聞こえてくる悲鳴。「もうクリスティアーノのプレーは見れないの!?」だがそんな叫びもシュバインシュタイガーの耳には心地よく聞こえるに違いない。
だがこの2点目を食らっても踏ん張って1点差に追いついたのはポルトガルの底力と言えるのだろう。このまますんなりと終わるタマじゃなかった。さすがは強者。デコ、ボシングワの崩しで引いたドイツからチャンスを何とか作り出す。そして前半40分、シモンのパスを受けたクリ坊が1トラップでDF振り切りシュートを放つ。これはレーマンに抑えられるものの、詰めてたゴメスがねじ込んで試合は分からない1点差へ。
それにしても決めるべき1対1で外すとはまだクリ坊も甘いとこがあるもんだ。だがそんな甘えん坊クリ坊のケツも誰かが拭いてやれば問題なし。地味な選手だがだからこそそういう役がゴメスにはよく似合う。
失望から一気に立ち上がるポルトガル。もうこうなりゃドラマの筋書きはクリ坊の活躍でポルトガル大逆転!!!だ。何?この大会は先制されたチームはトルコと消化試合を除いて勝ってないだって?バカ野郎。ポルトガルには稀代の脚本家デコ様がいる。トルコ対スイスばりのシナリオぐらい書ききってみせるだろう。案の定中盤で圧倒的な存在感。パスでゲーム作るだけじゃなく、出しどころがなければドリブルで突っかけ隙を生み出す。後半12分にはCK、ニアに位置し頭で絶妙にボールを後ろに逸らしビッグチャンス。しかしその先にいたのはぺぺ。違う違う、そうじゃない。決めるべきはその後ろにいたお人。ぺぺは結局このチャンスを活かせずヘディングはポストの上へ飛んでった。
そうしてちんたらしてるポルトガルを尻目に虎視眈々と裏を狙う男が2人。このポルトガルのビッグチャンスから3分後クローゼがもらったFKをシュバインシュタイガーがエリアに蹴り込み、決めたのはバラック。
2点目クローゼのヘディングで殺ったはずなのにしぶとく立ち上がり勝利を目指すポルトガル相手に、ならばともう一度急所にナイフを突き立ててグリグリと。怖いです。俺、バラック怖いです。絶対に敵に回したくない、この人だけは。オランダ、スペインはグループC、Dでホント良かった。
さすがのポルトガル、さすがのクリ坊もこの劣勢を跳ね返すだけの力はなかった。何とか立ち上がる。何とかパンチを繰り出す。何とかタックルをかましてみせる。何とか背負い投げを試みる。だがやはりドイツの壁は厚かった。いくら攻撃を繰り出そうとも、ドイツの腰は崩れない。それでも後半42分ナニのクロスからポスティガのヘディングで奪った2点は紛れもなくポルトガル強者の証。しかしそれも最後の意地。勝ったのはドイツ。負けたのはポルトガル。
いやぁ、予選の戦いぶりを見るにポルトガル有利と感じた人も少なくなかっただろう。かくいう自分がその一人だ。チェフから奪った2点目を見て、デコとクリ坊に壊せないものは無いと確信した。しかしふたを開けてみればドイツがポルトガルになく自分たちにはあるとっても分かりやすい武器「高さ」を活かし、的確な時間に的確にゴールを決めてまるで横綱相撲。半信半疑だったけどドイツは本当に凄かった。ポルトガルの勢いになんか動じない。やっぱり分からん。本当にやってみなくちゃ何が起こるか分からん。
それにしたって世の中ホント上手くいかない。一体誰が目にも止まらぬ高速ドリブル、破壊力抜群のヘディング、シュート、フリーキック、そして稀代のイケメン顔を持つ今をときめくポルトガルの7番じゃなく、暴力行為で退場するような見た目も性格もまさに悪童突っ走るドイツの7番を望んだだろう。しかし結果は前者がノーゴール、ノーアシストで後者は1ゴール2アシスト。憎まれっ子世にはばかる。本当にヒールがよく似合う男だ。
posted by myrowka |07:48 |
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2008年06月19日
グループD最終戦。大会前は6戦でたった2ゴールしか決められなかったダメダメオフェンス陣を一人で喝!し復活させたラーション率いるスウェーデンと、スペインにボロ負けするもギリシャには執念勝ちしなんとか踏ん張ったヒディング率いるロシアの対決はブリザードのごとく猛烈にスウェーデンに襲いかかったロシアが勢いそのまま2-0で勝利。地力で勝るチームを勢いのあるチームが飲み込んでしまうことがフットボールにゃよくあるが、この試合はまさにその典型例。
この試合では本当にロシアン旋風が吹きすさんだ。後ろからバカみたいに(最上級の褒め言葉)選手達が上がってきて攻撃に加わる。1トップ、サイドハーフはウイングと呼べるほど位置が高くない。にもかかわらず恐ろしいほどに攻撃的。その攻撃的姿勢は間違いなくこのユーロNo.1。
しかしロシアは何もこの試合でいきなり爆発したわけじゃない。左のカテゴリからこれまでのロシア戦のレビューを見てもらえると分かると思うが、ロシアは初戦からラインを高く上げて攻撃的だった。だがしかしすごく惜しいチームだとも感じた。スペイン戦では攻撃的に出過ぎたためにその裏をスペインに突かれてポンポンと失点。ギリシャ戦では引いて守るギリシャ相手に嵩にかかって攻めたてるが、いかんせんサイドアタックからのクロス一辺倒でどうにもその縦への攻撃力が活かせない。その荒削りな姿に惹かれたが、一方でもう少し洗練されていれば・・・と惜しむ気持ちも確かにあった。
だがロシアスゴイ。ヒディングスゴイ。アルシャービンスゴイ。このスウェーデン戦でいきなりこれまでのロシアに足りてなかったものを補完してみせ、完成度の高いフットボールを披露してくれた。
サイドアタックに偏っていたフットボールはアルシャービンが復帰し、10番を背負いトップ下にドン!と構えたことで改善された。アルシャービンがエリア近くでボールをキープし、自ら切り込んだり、サイドにパスを流したりして多彩な攻撃を生み出している。そしてこれは以前からの特長だったがロシアはクロスの使い方が上手い。前線に張っている選手にボールを当てるのではなく、中盤やディフェンスラインから選手がドンドンエリア内に入ってくるため、相手DFはマークにつきにくく、結果フリーでボールを受けやすくなる。
ロシアのゴールは両方ともこの形から生まれた。1点目は右サイドバックのアニュコフがエリア内に入ってきたためスウェーデンは誰もマークにつくことが出来ず簡単にパスを受けることが出来、またそのアニュコフをカバーするためDFが一人つられ、そのおかげでフリーになったパヴリュチェンコが流し込んで決めた。
2点目は速攻から奪ったゴールだったが、起点となったのはピッチど真ん中から猛スピードで中央を駆け抜けた左サイドバックのジルコフ。もちろんマークは誰も付いていない。スウェーデンディフェンスはつられ、空いたスペースにアルシャービンが走り込んでジルコフの出したパスを流し込んでのゴールだった。ゴールシーンのみならず、ロシアがクロスを入れる際はこの動きが徹底されていた。ゾーンで守るチームが多いだけに、これからもこの戦術はロシアの大きな武器になるだろう。
ロシアが改善してきたのは攻撃だけじゃない。崩されやすい守備もヒディングは修正してきた。とってもシンプルかつしんどいやり方で。走る。とにかく走る。攻撃の際上がった選手もすぐ戻らせ、高い位置から激しくなくてもいいからプレスをかけて、楽にプレーをさせない。スウェーデンが前線の2人にロングボールを当てるという分かりやすく守りやすいフットボールをしてきたことにも助けられ、ピンチらしいピンチはイブラヒモビッチの高さぐらいから許さなかった。
前半の終盤多少守備が乱れたが、それは仕方のないことだろう。このフットボールはとてもしんどいと思う。想像を絶するほどにしんどいと思う。特にサイドバックとボランチの運動量が半端じゃない。嫌っちゅうほどジルコフやセムショフは走ってた。こっちが「もういいよ・・・」と思えるほどに。ただそれでも負けるよりかはいくらかマシということだろう。ロシアの選手は大事な物が何かよく分かってる。
一方スウェーデンのフットボールは何だか頼りなかった。ぶっちゃけていうと何だか情けなさすら感じた。それは走って走って攻めて攻めるロシアと相対的に比べてしまうからでもあるのだろう。中盤の選手に特別な選手がいるわけでもないので、結局攻撃はイブラとラーションのポストプレー頼み。それがロシアの選手に守備を楽にさせてしまった。縦に早くサイドをザクザク切り裂ける選手がいたら違ったのだろうけれど。どういう選手か知らないが初戦で怪我したウィルヘルムションがいたら良かったのかな?
イブラとラーション頼みのフットボールが悪いというのではない。事実ギリシャ戦ではそのフットボールに魅力を感じた。そのフットボールでスペインを試合終了まで封じてみせた。ただそれ以上のフットボールをする相手を前にすれば少し小さく見えてしまう、とそういう話。フットボールは相対的なスポーツなんだと改めて思った。
あとロシアとスウェーデンのクロス戦術の違いに思ったが、この大会ではクロスを単にエリア内で待ってる選手に当てる攻撃が恐ろしいほど決まらない。セットプレーを除いたら今はトルコ対チェコのコラーのゴールしか思い浮かばない。
この試合も結局先制された側が最後までゴールを奪えないパターン08なのだが、ユーロでパターン08が多いのはこれが原因の一つだと考えている。先制した側は引く。守備ラインはガッチリ。先制された側は次第に焦り、クロスを放り込むだけの攻撃が多くなる。ガッチリ引いた守備に取っちゃそう怖くない。結果チャンスをつぶし、時間をつぶし、試合終了。クロス好きの自分にとってはこのワンパターンの展開に多少飽き飽きしている。みんなロシアみたいにもっと工夫を。
ということで。ロシアとスウェーデンの一番の違い。それは勝ちたい気持ちだとこの試合を見て素直に思った。勝ちたい気持ちがロシアの選手をあそこまで前のめりにし、あそこまで走らせたのだと思う。一方スウェーデンの選手からはあまり勝ちたい気持ちが伝わってこなかった。2点目を入れられてからはさすがに必死さを感じたが、その必死さはロシアが開始直後から持っていたもの。あそこでようやくスウェーデンはスタートラインに立ったのかも知れない。
両者の勝ちたい気持ちがこれほどまで明確に違っていた原因は何か。両者の置かれていた立場というのもあるだろう。ロシアは勝たなければ勝ち抜けはなかったが、スウェーデンは引き分けるだけで良かった。この立場の違いがスウェーデンに余裕、または消極的な気持ちを与えてしまったのかも知れない。ただ実況解説を聞いていて全く違う別の理由があるかもしれないことを知った。詳しい話は覚えちゃいないが、何でもロシアの選手達はあるところまで勝ち進むと一人5千万円ぐらいもらえるんですって?そりゃ走れるわ、とまあ野暮は話はこれぐらいにして。
ロシアの次の相手はオランダ。ヒディングにとってはまさに奇しくもといったところか。一見攻撃的なロシア対攻撃的なオランダという構図に見えるが、実質的には攻撃的なロシアvs現実的なオランダと見た方が正しいだろう。自分はオランダらしさを今のロシアの方に感じる。ちょっと複雑な気持ちだ。
相性的にはオランダ断然有利と見る。オランダはイタリアとフランス相手にまずセットプレーで点を奪い、前掛かりになったところをカウンターでガツンドカンと沈めたが、ロシアは何もしないでも前掛かりになって攻撃を仕掛けてくれる。ロッベン、スナイデル、ペルシーのいい餌食だ。これまでロシアは縦に早い選手がいるチームと戦ってこなかった。智将ヒディングは何か策を講じてくるのか、来るならばそれは果たしてどんな策か。ロシアのカウンター対策が次の試合の鍵を握るだろう。もし失敗すれば再びオランダの独擅場だ。
posted by myrowka |21:51 |
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2008年06月18日
死のグループ最終戦、イタリア対フランス。まさかこんな状況で迎えることになるとは。イタリア、フランス共に2連勝で突破を決めて半ば消化試合になるんじゃないか、と危惧していた人も少なくないだろう。そりゃそうだ。だってドイツW杯の優勝国と準優勝国。グループリーグ突破なんてわけないやい。ところが。両国オランダにはボロ負けして、ルーマニアには守備を壊せず引き分けて。オランダ対ルーマニアの結果次第では両国ともグループリーグ敗退もあり得るという。ホントわっかんないな、フットボールは。
ドナドーニ、ドメネク共にこれまでスベってきたわけだから当然布陣は変えてくる。イタリアはトーニとカッサーノの2トップ。中盤はペッロッタトップ下、下にデ・ロッシ、ガットゥーゾ、ピルロ。最終ラインは右からザンブ、パヌッチ、キエッリーニ、グロッソの4-3-1-2。フランスはマルダを下げベンゼマを入れ2トップにしたぐらいで中盤から上は同じ。ディフェンスは右からクレルク、アビダル、ギャラス、エブラの4-4-2。
布陣とこれまでの戦いぶりから見てなんとなく中盤を厚くしたイタリアがボールをキープしながら試合を進め、フランスはこれまで通りカウンターかな、と予想していたが、実際はサイドバックに上がりを許したドメネク・ル・ブルーが個人技でサイドを攻略しゲームを支配した。後ろから選手を上げるだけで良い形は作れるんだよなぁ。なぜ先の2戦は最初からこれが出来なかった。3戦目にしてようやく気づいたドメネク。
一方イタリアはフランスに押されてボールをキープ出来ず守勢に。まあしかしそれはそれでイタリアにとっちゃお得意の展開でもある。相手が前に出てきたところをカウンターパンチ食らわしてやるだけだ。だが縦に早い選手を入れてないのでこうサイドをズバズバーッ!といくカウンターは望めない。出来ることと言えばピルロやデ・ロッシのロングボールで前線のトーニに当てるぐらいだ。だがそれでも前半3分アビダルがトーニをつかまえそこねロングボールからトーニとブッフォン1対1決定的なチャンスを作る。だがこれはトーニが当たり前のように外す。
もう悪者になる覚悟は出来た。バシッと言う。トーニ決めろよ。もう見飽きたよ、あんたがチャンス外すとこ。オランダ戦でもルーマニア戦でも外しまくってた。イタリアは何も決定的なチャンスを何一つ作れないままオランダに負け、ルーマニアに引き分けたわけじゃない。もういい加減そろそろ決めた方が良い。
トーニの決定力のなさに助けられたフランスだが、数分後その何百倍もの不運に襲われる。リベリ負傷。まさかの交代。ただでさえ堅いイタリアの守備をそれでもその腕力だけでぶち抜ける数少ないフランスのタレントが、ここで消えた。痛い。ズキズキ来る痛さ。画面からもフランスの悲痛の叫びが伝わる。ナスリ?ジダン2世?聞き飽きたよ、そういうの。肩書きに一体何の意味がある。んなもんはバーで未来を楽しく妄想するときにだけ使え。ピッチ上で真剣勝負している選手にとって必要なのは実力だけだ。しかも相手はイタリア。腐ってもイタリア。生半可な実力じゃ足蹴にされるのみ。事実現実は非情だった。リベリはボール持つ度ワクワクさせたが、ナスリはボールを持つことすらままならない。
そんなフランスに2度目の悲劇。守りは堅いが攻撃ではピルロのパスぐらいでしか惜しいチャンスを作れてないイタリア。しかもそのピルロのパスを受けるのはトーニ。万が一1対1になられたとしてそんなに怖いものでもない。
だが想像の斜め上を行くのが今回のユーロ。ピルロのロングスルーから1対1になったトーニをアビダルが倒してしまい、ペナルティ。放っておけばいいものを、とは思うがあの状況でそんな余裕を求めるのはさすがに酷か。それまで信頼していたベテラン・テュラムをオランダ戦の敗戦で見限り、アビダルを信用したドメネクの判断も結局は失敗だったことになる。しかもアビダルは質の悪いことにレッドカードだ。キッカーはピルロ。クペじゃ話にならなかった。0-1。10人対11人。
それにしてもピルロは本当に一人で決めてしまった。イタリアの効果的な攻め手はピルロからのパスのみ。だがそれで十分と言わんばかりの破壊力。実際一本のパスでPKを誘い、そのPKを自ら決めた。
イタリア伝統のカテナチオ。その本質は「鍵」と呼ばれる堅い守備でなく、守備的なフットボールでもその個人技だけで点を決めてしまえる10番、ファンタジスタの存在、彼に頼るヒロイズムにあると個人的には思っている。今回イタリアでは10番を誰に与えるかもめたそうだ。今の代表には10番を与えるべき選手がいないと。結局消去法でデ・ロッシに与えられたそうだが、いるじゃないか。ここにいるじゃないか。そりゃこれまでのファンタジスタの系譜とは明らかに違いかなり低い位置でプレーしているが、しかし一人でも優雅に華麗に決定的な仕事をしてしまう様はまさに本物のファンタジスタ。うーん、やばすぎる。しびれた。
一方フランスには厳しすぎる現実だ。初戦ルーマニア相手に見せた守備的なフットボールから徐々に脱却し、サイドバックは上がりをみせ、攻撃的とは言わないまでも積極的なフットボールに移行しつつある。9番のベンゼマは前線でゴール狙うだけの突貫小僧じゃなく、中盤に下がって楔となれたりと若いながらに完成されたフォワードだ。アンリもまあまあ普通のプレーをしている。実際序盤フランスに良いフットボールを予感した。それだけに、ああそれだけにこのフットボールはいくらか報われてほしかったのに。リベリを怪我で失い、ピルロ一人に自慢のディフェンスラインつぶされ、おまけにディフェンダーも一人持ってかれた。酷だ。なんて酷なんだ。
1人少ないとはいえ1点ビハインドの場合でもここで選手をそのままにしておくのではなく、攻撃を1枚減らしちゃんと守備を入れてくるところが良い意味でさすがのドメネクといったところだろう。代えたのはさっき入ったばかりのナスリ。2年後にまた逢おう。
一人減ったとはいえ、基本守備に人を割き、少ない人数でカウンターを仕掛けるという戦術にはそれほど影響はない。守備の人に攻撃の際いつもよりかなりではあるが多めに走ってもらえれば済むだけの話だ。実際フランスはリベリの離脱、アビダルの退場を感じさせない健闘を見せている。前に急いでボールを送るではなく、サイドバック、ボランチが落ち着いてボールを運ぶ。前線ではベンゼマが人一倍働いてボールを受けて、ゴブやアンリ、エブラとの連携でチャンスを狙っていく。うーん、ベンゼマはスゴイなぁ。頑張るなぁ。エトーがなにやら本格的に戦力外通告を受けたようなのでここは本気で狙ってみるか。
後半になっても頑張るフランス、抑えるイタリアといった構図は変わらない。イタリアは一人多い状況でも焦らず、攻めず、じっくり守る姿はホントさすが。しかも後半10分にはピルロを代えてアンブロジーニを入れてきた。ピルロ2枚目のカードを恐れたというのもあるだろうが、やはりドナドーニは本格的に逃げる気だろう。となるとこの試合で期待できるのはもうフランスだけ。今回のイタリアのやり方はあまり好きじゃない。決めてしまえ、やってしまえと徐々にフランスに傾く自分。
しかし神様はイタリアに微笑んだ。FKからデ・ロッシが思い切って足振り抜いて蹴ったボールがアンリの足にあたってコースが変わり、イタリア2点目。リベリに続きまたも不運フランス。ドメネクはよほどフットボールの神様に嫌われているのだろう。まあルーマニア戦の戦いかた見りゃ気持ちは分かるが、それにしたって今日は頑張ってたのに、ごむたいな。
その後イタリアが急遽ボールキープを始める。1点差なら引いて守り、2点差なら時間つぶしにボールキープとはため息が出るほどヤらしい。それでも後半28分ベンゼマの放ったポストギリギリジャストミートのシュートを放つが、世界一のGKはチェフじゃないぜ、俺なんだぜと言わんばかりブッフォンが横っ飛び神業パンチング見せて止められた。2点目の後フランスのチャンスらしいチャンスと言えばこれぐらい。ルーマニアがオランダに敗れたため、イタリア勝ち抜き、フランス終了。死のグループで血ヘド吐きながら戦いつつも無念散り、谷底に落とされたのはフランスとルーマニアだった。
思い返せばこの試合もパターン08。先制されたチームが最後までゴールを奪えない。展開がトルコ対チェコに似てたので再現を期待はしたが、まあそんなに日常的に大逆転が起こっていてもありがたみがなくなるか。
この試合はあのピルロのパスとPKにつきるだろう。トーニをはじめそれ以外がてんでダメでもピルロさえいればなんとかなる。そういやドイツもバラック一人でがけっぷちから踏みとどまった。個人一人の力で試合が決まってくのは良いことなのか悪いことなのか判断しかねるが、まあそういう強さもあるだろう。
だが次の試合ピルロは累積欠場で出られない。次戦の相手はスペイン。さすがのイタリアもここで終わりか!?と普通なら思うが、予想だにしないことが立て続けに起こってきたこのユーロ。ピルロに続くヒーロー参上って可能性を捨て去るのは尚早だろう。果たしてそれはセリエA得点王のデル・ピエロなのか、はたまたあのカッサーノなのか、それとも他の誰かなのか、そもそもそんなやついないのか。それにしたってピルロとガットゥーゾ欠場というスペイン絶対有利の状況でもイタリアに新たなヒーロー登場のシナリオが思う浮かんでしまうあまりにも悲しすぎる癖。
最後ドメネクを褒めて終わろうと思ってたのに、なんか今さっき見たニュースに敗戦直後にカメラ使って彼女にプロポーズとあったのでやっぱり止めた。フランス国民が不憫でならない。
posted by myrowka |19:54 |
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2008年06月17日
さてさて。
これまでは見たユーロの試合に関しては必ず感想を書いてきたけど、ポルトガル対スイス戦は消化試合だったためあまり書く気が起きず、クロアチア対ポーランドはドイツ対オーストリア戦を視聴中に結果を知ってしまったため書く気が起きず、ここはおんどりゃー!とスローアウトすることに。消化試合なら消化試合で控え選手のスタメンを目指す奮闘とか見所もあるにはあるんだろうけれど、やっぱりこれまで死闘を見続けた目にとっちゃちょっと退屈で。結果を知ってしまってはフットボールの持つドラマ性を楽しむことが出来なくなるし。特に後者は放映局側でなんとか対処出来たはず。WOWOWさん、もうちょっと考えてよね。
とまあそんなことは置いといて。今日はバルサから届いたある手紙の話。
先日我が家にバルサから一通の封筒が届いた。何も特別なことじゃあない。こちとら立派にソシオやってるんだから、そりゃバルサから届け物ぐらい来る。ただ少々珍しいことではあった。バルサからの届け物、特に封筒なんて1月~2月頃にソシオカードと明細書入ったのが来るだけで、封筒以外では2ヶ月おきに会報が来るぐらいなもんだ。
なぜこの時期にバルサから封筒が?と思って開けてみるとまあ下の画像にある通りのものが入ってたわけだ。
ものすごく重要そうな部分が文字化けしているところにバルサ日本事務所の手抜きっぷりがしかと窺えるわけだが、まあ内容から察するに「ソシオ」が入るのだろう。ということでなんとまあ幸運なことに私ソシオ代表選挙人になりました。
よく知らないという人のために言っておくと、バルサはソシオ制という運営制度を取っていて、早い話が年会費を払ってソシオになった人たちでクラブを運営していこうという制度。とはいってもソシオ全てがクラブ運営に関わっていてはもうすっちゃかめっちゃかで何が何だか分からなくなる。そこでソシオの直接選挙で会長を選んで、その会長に実際にクラブを運営してもらおう、とまあこういうことだ。だが裏を返せばソシオがクラブ運営に関われると言ってもそれを実際に行使出来る場は基本的には会長選挙ぐらいしかない、ということでもある。ソシオが会長を決めれるってだけでも他に例をみないすんごいことではあるのだけれど。
ただソシオに与えられた権利がそれだけってのもあれなので、年に一度開かれるアセンブレア(株主総会みたいなもの)において、クラブ運営に関わる重大な事案もソシオの投票によって是か非か決めている。でもそういうことにもいちいち何万人ものソシオが投票していては日も暮れいつまで経っても終わらない、ということでソシオ代表選挙人というのを毎回選んで、アセンブレアではその人に投票してもらう間接民主制を敷いているわけだ。詳しくはこの素晴らしいバルセロニスタサイトを参考してもらうとして。その代表選挙人に今回選ばれたというわけだ。
重要事案決定の投票権を得たとは言っても、実際アセンブレアでも日本の株主総会のように流れのまま、なあなあでトントンと決められていくようだけれど。実際どれぐらいの人が選ばれてるのかしら?どうせ日本からアセンブレアに来る物好きなんてそうはいないべ!?と高をくくって結構ばらまいてるのかもしれない。まあ実際そうだわなぁ。総会の時期はどうやらシーズンの終わりなようで、6月の末とかになるらしい。当然その時期に行くとリーガは見れないわけで。普通のファンなら総会じゃなく、カンプ・ノウにフットボール見に行くわなぁ。
ということで結局使う機会はなさそうだが、一応記念品としてこの手紙は大切に保管でもしておこう。
ちなみに。バルサに加え、レアルもソシオ制を敷いているためもしかするとスペインのクラブは基本ソシオ制と思われてるかもしれないが、実際は全くそうじゃなくて、バルサ、レアル、ビルバオ、オサスナの4クラブを除いて他のクラブはみんな大まかにくくれば株式会社。なぜかというとスペインのフットボール協会がプロリーグ(1部リーグと2部リーグA)に所属するクラブに株式会社化を義務づけているから。だから細々とソシオ制で頑張っている小さいクラブでも2部リーグAに昇格すると、株式会社化しなくちゃいけない。
なんでもリーグ所属のための供託金と最低限の運営資金を確保するための措置だそうで。株式会社化したクラブは協会が定める最低資本金を確保しないとプロリーグには参加させてもらえない。なのでクラブ側は株を売ろうともう必死。熱心なファンが多数いるクラブはファンに買ってもらうだけでまかなえるし、そうじゃないチームはパトロンを必死で探さなければいけない。
この制度が実際に施行されたのが確か1992年だったかな?当時はやっぱり色々大変だったようで、その中でも特に苦しんだチームの一つがベティスだったらしい。借金まみれだったベティスは期限ぎりぎりまで最低資本金の半分も集めることが出来ず、2部リーグB降格は目前と思われた矢先、白馬に乗ったパトロンがやってきてベティスの窮地を救ったらしい。そのクラブの危機を救ったのがあのマヌエル・ルイス・デ・ロペラってんだから、下手にわらにすがるのも考え物、という話。
posted by myrowka |21:58 |
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2008年06月17日
グループBの最終日クロアチアの底力に寄り切られ1勝1敗と地味に後がないドイツとポーランド戦最後の最後で審判から思わぬプレゼントをもらい命を最後まで繋ぎとめたオーストリアの対戦。うーん、最後まで結局オーストリアはオーストリアだったなぁ。
背水の陣を敷くオーストリアはこれまでの4-4-2を捨てセンターバックを1人増やし、ウイングバックを存分に走らせ守備の時は5バック、攻めの時は3バックと3-4-3のような形を取る。運動量が半端じゃなく、並大抵の覚悟じゃ出来ないが、しかし自国で行われる大会の最終日となるやもしれない試合ということでオーストリアはその覚悟を決めた。
このオーストリアの覚悟があのドイツを押し込んでいる。開始直後にクロスからドフリーでシュートを打ったゴメスがまさか外すラッキーに救われたものの、それ以降は自陣にガッツリ引いてドイツのパスを呼び込み、出たところをガツンとやってボールを奪い、奪ったら人数をかけて攻め上がり、サイドアタックを中心にゴールを狙う。この作戦がキッチリできていた。20分にはドイツディフェンスの裏を突いてFWホッファーがフリーになるビッグチャンスを作り出す。このチャンスはホッファーがトラップを誤りチャンスを逸してしまうものの、なかなか良い形は生み出せているぞ。やっぱりコルクマツはいい。今大会では中小国にコルクマツやアルダ、カズム・カズム、シオンコといった良いウイングの掘り出し物を発見できた。特に前者3人はみな若い。これからの活躍が楽しみな選手達だ。
そんなオーストリアの勢いにさすがのドイツも物怖じしているようにも見える。ドイツはFWの改善を怠ったツケも出ていた。レーブは相変わらず調子の良くないクローゼとマリオ・ゴメツを使い続けている。頑固なのか臆病なのか。自分は後者だと考える。良い監督というのは采配一つで流れを変える術を持っているものだが、レーブには采配面での才能を全くと言っていいほど感じない。ドイツ厳しいんじゃないのかなぁ。頼れるのはポドルスキぐらいだった。しかしオーストリアもポドルスキ1人ぐらいは何とか止めてみせ、前半0-0。後半に望みをつなげる結果ではある。だけどこの時点からなんとなく、なーんとなくいやーな予感はしていた。この感覚、覚えがある!
後半になっても勢いのあるオーストリアをドイツが効果的に攻め崩せないという展開は続く。ここはオーストリアを褒めるべきなのかもしれない が、いかんせんちとドイツも情けない。だが。やっぱり地力の差は出た。オーストリア相手に負けちゃいらんめぇ。こっちにもプライドってもんがある。フリーキックの場面。キッカーはドイツをしょって立つバラック。これまで溜めに溜めたフラストレーションをボールにぶちこめば、その威力はゴールのみならずスタジアムに詰めかけたオーストリアのファンの希望全てをぶっ壊し、ドイツ先制。強豪国にはこれがあるから中小国はやってられない。どれだけ肉体的にも精神的にも力を出し尽くしドイツ押さえたって、一人の男の力で全てをひっくり返されかねない。事実ひっくり返された。それまでは1点取れれば奇跡が起きえた。しかし今はもう2点。バラック。バラック。バラック・・・、とオーストリアの声にならない悲痛が聞こえる。
それ以降は守りに入ったドイツをオーストリアはセンターバック一人減らし、ほぼ全員攻撃で攻めたてる。カウンターなんて知ったことか。こちとら2点取らなきゃ後はないんだよ!その吹っ切れた感は良い。でも仰るとおり2点取らなきゃいけないのよ。オーストリアに果たしてそれが出来るのか。
出来ない。全然出来ない。なにをどうしたってゴールは入らない。サイドからいくらクロス放り込もうとも、中央を早いパス交換で貫こうとも一向にゴールは入らない。攻める。攻める。攻めまくる。でも!でも!でもでもでも!!!全然、ホントにゴールが驚くぐらい入らない。
そうか、さっきのデジャブにも似た感覚はこれだったのだ。よくよく思い返してみればオーストリアの試合展開は3試合とも全て同じだ。モドリッチに、ロジェール・ゲレイロに、バラックに先制されて、その後めいっぱいゴールに手を伸ばすものの、実力不足はあまりに非情で幸運すらオーストリアに味方することはなく、結局流れの中でゴールを奪えないまま試合終了。唯一のゴールは審判の温情からもらったPKのみ。こういう展開が270分間も続いたのだ。自国のファンはさぞ辛かろう。
ドイツは何とかグループリーグ突破を決めたが、うーん予想以上に良くないな。オーストリアの異常なほどの決定力の無さに助けられたが、守備は何度も崩されていた。次の相手はポルトガル。時代の寵児クリスティアーノ・ロナウドが相手だ。傍らには不敵に笑うデコ参謀。どう考えたってオーストリアの百倍は怖い。
ドイツにもちらほら光はある。ポドルスキは一人この試合でも輝いていたし、この試合でも決定的な仕事をしたバラック、世界最高クラスのサイドバックという評価もうなずけるラーム。彼らが力を発揮できればポルトガル打破も全然あり得ないことではない。だがこういう良い選手がいるにも関わらずイマイチパットしないというのは結局FWという問題に収斂される。バラックがいくら前線に良いパスを供給しようとも、ラームが攻撃参加からいくら良いクロス供給しようとも、それをFWがゴールにねじ込めなければ全ては水の泡。レーブ。ここは決断を。
posted by myrowka |08:30 |
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2008年06月16日
2戦目で早くも開催国を散らせるという何とも空気を読まない所業をやらかしたトルコと、世界最高のGKと名高いチェフを擁しポルトガルと好勝負を繰り広げるも、敢えなくみんなのヒーロー、クリスティアーノ・ロナウドのかませ犬と化し、一転後が無くなったチェコの対戦。もう何度でも言おう。毎日毎日死闘が楽しめるなんて、俺たちゃなんて幸せもんだ。
序盤攻勢に出たのはチェコだった。やっぱりブルックナーは分かりやすくて良い。今日はコラーだ。コラーの高さで試合を制する、とそう決めたのだ。誰が何と言おうとコラーなのだ。あっからさまにコラーにボールをぶつけてくるチェコ。この思い切りの良さもチェコの強み。
一方トルコだって黙っちゃいない。そっちがコラーで来るならこっちはセルベト。コラーには及ばぬものの、191センチのガタイを活かし闘志むき出して敵をつぶすクラッシャー。今大会屈指の渋さ丸出しいぶし銀対決。男の戦い。だがやはり闘志だけでは超えられないものがある。いくら気合いを入れたって人は空を飛べやしない。
コラーのポストプレーで次々とチャンスを作っていくチェコ。11分フリーキックに合わせて自らシュートをすれば、17分セルベドの安易なクリアでペナルティアーク付近に高く上がったボールをポストで落としマテヨフスキーのシュートを誘い、ゴール前での決定的チャンスにも関わっていく。トルコの注意がコラーに向けば自ずと他の選手のマークも甘くなる。クロスの場面ではコラーを飛び越えてフリーになったシオンコがシュートを放つというパターンも目立った。ファン・ハールじゃないが、まさに「コラーこそ戦術」。うーん、シンプルがゆえの魅力を持ったすんばらしい攻撃だ。
そしてすべからくコラー戦術は実を結ぶ。34分グリゲラのクロスに合わせてコラーがシュートという、シンプルなコラー戦術が持つ最もシンプルなやり方でゴールを奪ったチェコ。トルコはこの時セルベトではなくエムレ・ギュンギョルが競り合ったのも良くなかった。もしもセルベトだったなら。そもそもその前に中盤で攻守のバランス取るべきメフメト・トパルとメフメト・アウレリオのメフメトコンビが両方攻め上がってたってのもよく考えりゃあり得ない。いや、トルコのそういうやんちゃなとこ好きだけど。
トルコは攻撃だって良くなかった。チェコの守備に苦しめられたというのもあるが、誰で崩すのか、どこで崩すのかがハッキリしない。良い攻撃はカウンターの時しか生まれない。うーん、ポルトガル戦のカズム・カズムとかスイス戦のアルダとか個人技でサイド突破出来る選手活かしたサイドアタック見せて良いときはスゴイ良いのに、ダメなときはこうもダメか。ホント波のあるチームだこと。これは後半何とかして修正しなけりゃいけない。
するとテリム後半開始直後から手を打ってきた。2トップの一角セミフを下げ、右サイドバックも右サイドハーフも出来る突破力のあるサブリを投入。するとこの采配がピタリ的中。右のサブリ、左のアルダの突破でチャンスを作る!と吹っ切れたトルコがチェコのサイドをバッサバサ。後半5分、6分ハカン・バルタとアルダが良いクロスをあげれば、後半8分にはFKからトゥンジャがナイスヘディング。こうしてトルコの攻撃が加速度を増して強烈になっていく。
が、一方でそれに比例して存在感を増していく選手がいた。ペトル・チェフ。トルコが良い攻撃を見せれば見せるほど、的確なポジショニングと安定したセービングでピンチを防ぐチェフ番長の壁の分厚さを痛感させられる。先のトゥンジャイのヘディングもゴールからかなり近い位置からのものだったのに、チェフはボールを見てから何事も無かったかのように超速反応、あろうことかキャッチングまでしてみせた。そうだった。このチームにはチェフがいた。ある意味コラーより何倍もやっかいなチェフが。
だがそれでもスイス相手に泥臭い逆転劇見せたトルコならその泥臭さでチェフを泥まみれに出来るかもしれない。その期待はサブリ、アルダがサイドを突破してチャンスを作り続ける度に増していく。あるな、これはあるな。そう予感させるトルコの勢い。
しかしフットボールの神様はそんな期待も軽く我々から奪い去った。後半15分エムレ・ギュンギョルが怪我で交代。トルコは素早く代わりの選手を入れようとするもなぜか認められず、1人少ないトルコをチェコは容赦なく攻めたてる。後半17分シオンコのクロスをプラシルが押し込んで2点目。決定的なゴール。
ダメだ。もうダメだ。先制点を取ったチームが有利なこの大会。そんな中唯一逆転勝利を収めたトルコだが、それも1点差だった時の話。しかも相手はあのチェフ。そりゃレーマンならまだ希望もある。だがチェフだ。チェフだ。無理だ。1点ならまだしも2点は無理だ。んなこたチェフのプレー知ってる人なら誰だって分かる。終わった。トルコのユーロは終わった。
なんとまあトルコはついていなかったろう。もし早い段階でエムレ・アシュクの投入が認められていたなら、あのゴールも防げていたかもしれない。逆転に向けてノリにノリ始め、勢いはピークにさしかかっていた頃の失点だ。だからこそ精神的ダメージも大きい。こんな風に試合が決まってしまうのもまたフットボールの持つ残酷な一面。うーん、もう一度ドラマが見たかったのに。この試合もまたパターン08の通りに決まってしまった・・・
・・・・・・
はずだった。誰もがそう思っていたはず。トルコの選手たちもチェコの守備の堅さ、とりわけチェフの堅さは身に染みて分かっていただろう。心に諦めがよぎらなかったはずはない。だがそれでも試合は最後まで行わなければいけない。途中リタイアはフットボールにゃ許されていないのだ。当然トルコの攻撃も以前のような勢いはなかった。気持ち的な問題もあったろうし、途中で入ったカズム・カズムがトルコのリズムをさらに狂わす。ポルトガル戦では大車輪の活躍だったカズムだがこの日はどうも良くない。右サイドにサブリとカズムという2人の選択肢を作ったことで、どちらにしようか迷ってしまい、結果グズグズ。それでも後半23分アルダのクロスにトゥンジャイが合わせて決定的チャンスを作るが、チェフがこれまた難なくキャッチング。そうなんだよ、どれだけ攻めようともチェフがいる限り結局このパターンなんだよ。
だがそれでも1点は入った。後半30分アルティントップがディフェンスラインからワンツーで一気にエリアまで駆け上がる。折り返したクロスはエリアの外側でフリーで待ち構えていたアルダに渡り、アルダはコースを狙ってシュート。チェフはこのボールにもキチンと反応しボールに触るが、ほんの数ミリ足らずコースを変えてもボールはゴールに吸い込まれた。トルコやっとこさ奪った執念の1点目。
でも1点は入るのだ。チェフにだってやられるときはある。問題は2点目だ。そりゃクリスティアーノ・ロナウドなんて別格のモンスター相手なら話は別だが、特別な例外を除いてまさかは2度ない。それがチェフ。事実後半33分カズムの強烈なクロスも的確にパンチング。やはり1点奪われたからといってチェフに動揺はない。まだ俺たちは1点リード。その自信がチェフならびにチェコディフェンスにはあったはず。
だが・・・・・・
そうか。あるのか。まさかってあるのか。ないと思ってた。ないからまさかなんだと思ってた。少なくとも記憶を辿ってみても、これほどまさかと思った記憶はない。やんだなぁ。チェフでもやんだなぁ。アルティントップのクロスをチェフがまさかのキャッチングミス。ボールはクロスに合わせようとしていたニハトの足下にこぼれ落ち、ニハト落ち着いて同点弾。もうこれだけで素晴らしき同点劇。おなかいっぱい大満足。
でも欲張りトルコは満足しない。PKにまでもつれ込まそうなんて考えは微塵もなかった。44分アルティントップのスルーパスに抜け出したニハトは恐ろしいほど冷静で、ここでまさかの巻くシュート。こんなに冷静にこんなにコースを狙い澄まされてはさすがのチェフもどうにも出来ない。トルコ、まさかの3点目。まさかまさかの大逆転。
あー、もー、すげえわ。すごすぎるわとしか言い様がない。起きるのか本当にこんなことが。起きるのか?起きたのか?起きたのか。起きたんだな?そうなのか。起きたのか。ホントに?ホントに起きた?うん、起きた。ホントに起きた。
いやぁ、ホントにすごいものを見てしまったというのが正直な気持ち。あの2点目の時点で普通に諦めた。なんだ、結局グループAはポルトガルとチェコっていう順当な結果か、ってそう思った。誰だってそう思う、普通なら。でも起きた。本当に起きた。
ユーロらしくない異国情緒漂う雰囲気、そして開幕前ウルグアイに2-3で負けて、フィンランドに2-0で勝っているという情報を見て、何か面白いこと起きるならこのトルコのところだろうな、なんて何となく思ってはいて、個人的にはスイス戦の逆転だけで満足してたんだけど、いやこんなことまでしでかしてしまうとは予想だにしていなかった。先制したチームが負けないというのが今回のユーロのパターン、名付けてパターン08だったわけだが、半ユーロ半アジアのトルコにはこのパターンは当てはまらない、ということか。
チェフのミスもあり得なかったが、個人的にはあの3点目もとてつもないことだったと思う。あの場面であんなシュート決めれる人他にいますか。そりゃチェフの横抜くシュートなら誰だって思いつくが、その分チェフに反応される可能性は高い。だからってチェフのどうにも届かないところを蹴ってやろうとあの場面、あの瞬間で思いついて、そして思いっきり足振り抜くなんて他に誰が出来るもんか。なんという心力。もうわたしゃニハトの虜。なぜ御大はあの昔ニハトを力尽くで取ってくれなかったのか。今からでも遅くはない。ロッシやったじゃん、ってオドシつけて強奪しちゃえ。あと地味にアルティントップが3点に絡んでる。勝負を分けたのは結局強豪クラブでしのぎを削る選手達だった。
でもやっぱりこの試合はあのチェフのミスに尽きる。あのチェフがポルトガル戦ではクリスティアーノ・ロナウドのかませ犬となり、この試合ではミラクルトルコの引き立て役となって予選で姿を消したわけだ。一体こんな結末誰が予想しただろう。
もう何度でも言うよ。あきれるぐらいに言い続ける。フットボールって何が起こるか分からない。いやぁ~、フットボールって本当いいもんですね。
posted by myrowka |22:27 |
ユーロ08 |
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2008年06月16日
負けて後が無くなったディフェンディングチャンピオン・ギリシャにカップ戦での戦い方には並々ならぬ自信を持つヒディングが挑む一戦。毎日毎日こんな死闘が楽しめるなんてどれだけ幸せなことなんだ。
ギリシャが是が非でも欲しい物、先制点。先制点を相手にやりさえしなければ相手は勝つため自然と前がかりになる。そして空いたボディーに鋭いカウンター決めてアゴを粉砕。これが得意なチームだ。これをものすごくしたいチームだ。だがそれは一方でこれが出来なければかなり苦しいチームということでもある。キツイ言い方をすればこれが出来なければ勝てないチームということだ。
スウェーデン戦では相手に先制点を与えてしまった。逆に前掛かりになるギリシャ。そして裏を取られて追加点で勝負あり。自分たちのしたいことをそのままやり返されてしまったギリシャ。先制点を相手に与えるということは相手が前掛かりになる必要がなくなるということ。相手が前掛かりになったところを攻略することだけを集中的にやってきたギリシャは当然先制されると打つ手が無くなる。
そんなギリシャの特性を百戦錬磨のヒディングが承知していないはずもなかった。この試合勝負を分けるのは先制点。世の守備的な風潮を影響してラインを上げるチームが少ない中、ヒディングはスペイン戦でも見せたようにこの試合でも果敢にラインを上げて先制点を狙いに行く。カウンターに長けるギリシャにとっては願ってもない話だが、先制点の価値を熟知しているヒディングはリスクを顧みない。ヒディングはああ見えて守備をキチッとしてから攻撃、というタイプの監督だと思っていただけに少しこれは意外で印象を変えなければいけないかもしれない。今大会では守備的とは言わないまでもこういう攻撃的な監督はテリムしか知らなかっただけに、本当にありがたいことだ。感謝しなくちゃ。
ロシアの基本戦術はサイドハーフと高い位置をキープするサイドバックを活かしてのサイドアタック。中に切り込める時は切り込むが基本的にはセンタリングだ。だがそのセンタリングも中に待ってる選手に合わせるだけの単純なものではない。1トップにして中盤を厚くしているロシアはクロスに合わせて2列目から選手がなだれ込むようにして入ってくる。そのため堅守のギリシャでもマークにつききれず、これは!と思わせるチャンスが続く。クロス好きの自分にとってはなんともよだれのでる展開。
それにしたってロシアの攻撃の際の押し上げはスゴイ。バランスなんてお構いなしにガンガン後ろから選手が突っ込んでくる。その裏を突いて突いて4年前ヨーロッパを制したギリシャが相手と分かっているにも関わらず、だ。その姿勢は勇敢なのか無謀なのか定かではないが、だがしかしその圧力にギリシャが押されているのも事実。17分セマクのクロスをエリア内のスペースに走り込んだロシアの選手がパブリュチェンコに逸らしてシュート。18分ジルコフのクロスにトルピンスキが飛び込んでシュート。前者はオフサイドを取られ、後者は失敗し、惜しくもチャンスを逃したが、しかしこれを継続していけば決してゴールは遠くないだろう。
そして来ました33分、ビリャレトジノフのふわっとあげたクロスをギリシャGKニコポリティスがふわふわ追いかけるも届かず、ボールに走り込んでいたセマクがオーバーヘッドでふわっと折り返し、最後ジリャノフがズドン!
で先制。ロシアだ。鍵を握る先制点を奪ったのはロシアだ。
スウェーデン戦と同じく先制点を許してしまったギリシャ。不得手ではあるが、しかし前に出ないことにはどうしようもない。人数をかけながら戦い始める。幸い相手はお世辞にも守備が安定しているとは言いづらいロシア。ギリシャのプレッシャーに押されたか高かったラインが低くなり始めている。しかしチームとしての決まり事としてラインを下げているのではないんだろう。最終ラインと守備的ハーフの間に広大なスペースが出来ている。そこを巧みに突くギリシャ。一方ロシアは前掛かりになったギリシャ相手に高速カウンターを仕掛けていく。オランダ対イタリアのようにこの試合でもカラーが逆に。見ている方としてはフットボールの趣深さを感じないわけでもないのだが、しかし得意な方のフットボールの形を拝んでみたいよ、という気もして少々複雑。
するとやはりその不安は当たって。ギリシャは引く相手を崩す術が身についていない。速攻の時と同じくクロスを前線に当てることぐらいしか出来ない。それでも人数をかけてエリア内に3、4人入った時のクロスはんん!?と思わせるものはあるが、でもそれだけで点が入るほどフットボールは甘くは無かった。タイムアップ、試合終了、1-0。
この試合もそうだが、今大会は一方のチームが勝ち越し、もう一方のチームは追いつこうと猛攻を仕掛けるも逃げ切られて終わり、という展開が多いように思う。開幕戦のスイス対チェコをはじめ、ポルトガル対トルコ、オーストリア対クロアチア、スウェーデン対ギリシャ、ドイツ対クロアチア、そしてこのギリシャ対ロシア。オランダ対イタリア、フランスやドイツ対ポーランド、ポルトガル対チェコは若干趣が違うが、基本先制したチームは負けてない。唯一の例外はスイス対トルコだけ。なんとなーくこのユーロのパターンが見えてきた気がする。見ている側としてはやっぱりもっと逆転劇を見てみたいけど。
負ければ敗退という瀬戸際の中でそれでもなんとか踏ん張り堪えて命をつないだのはフース・ヒディング。やっぱりこの人は何か持ってるのかなぁ。次はこれまたスウェーデンと勝ち抜きを賭けた死闘。ラーションの復帰、イブラの復活で勢いを増すスウェーデンだが、果たしてどうなるか。ロシアに隙はある。順当に考えればスウェーデンだろう。だがこの大会では本当に何が起こってもおかしくない。パブリュチェンコはテクニックや大胆さもあって良い選手だし、次はエース・アルシャービンも帰ってくる。よく考えたらスペインに負けて、ギリシャに勝ったならこのエースの不在も結果的にあまり影響は無かったということだ。エースという大きな駒を取り戻し、策士ヒディングの頭の中には数え切れないほどの戦略が渦巻いていることだろう。スウェーデン倒してこそのダークホース。ここまで来たらもう行っちまえ。
一方ギリシャは得意の形を出せぬまま敗退が決定。多少の改良点は見られたものの、やはり玉座の上であぐらをかいていた印象は拭えない。時代は流れているのだ。先制された場合の対策を怠ったという時点でギリシャのユーロ08がこんな結果になるのは必然だったのかもしれない。さよなら、ギリシャ。さよなら、元欧州王者。
posted by myrowka |06:10 |
ユーロ08 |
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