2008年05月31日

U.N.G vol.5

 気になるユナイテッドのニュースを並べてみる不定期コーナー、U.N.G。ざっくりさっぱりがモットーなので、全訳することもなけりゃ、バリバリ意訳するし、個人解釈もモリモリです。


「オシェイ、悔しがる」
(元記事:O'Shea Ferguson Is The Best - Yahoo! Eurosport UK)

 先日御大が「70までには引退するよ」の爆弾カミングアウト。これには耳を疑った人も多いはず。「そんなのヤだよ、もっと続けて」という声がそこら中から聞こえてくる中、オシェイも続投を願ううちの一人。

「ファーガソンは常に飢えてる人だからね。ユナイテッドはこれからも進化していって、ユナイテッドの歴史に新しいページをどんどん加えていけると確信しているだろう。勝利への飢えが監督にやる気を与えている。だからあと3年で辞めるかもしれないと言ってたけど、僕はその発言を撤回する可能性も十分あると思ってる」

 そんなオシェイは御大の下では基本的にベンチ要員、と言えば聞こえは悪いが、ディフェンシブハーフ、サイドバック、センターバックと守備的ポジション全てをそつなくこなすユーティリティの高さがご自慢の、ハードスケジュールをいかにこなすか頭を悩ませる御大の貴重な選択肢。オシェイはそんな自分の立ち位置をどう思っているのだろう。

「レギュラーで使ってくれるチームを探そうという考えは正直何度も頭をよぎった。でもそのたび『こんな素晴らしいチームを出て一体自分はどこでプレーすればいんんだろう』って思うんだ。これは意外と大きな問題だよ。明確な答えはなさそうだから、当分ユナイテッドでプレーしているだろう」

 モスクワ決戦では残念ながらオシェイはピッチに立てなかったが、その裏には意外なドラマが。

「決勝の舞台に立てていたら、素晴らしい経験になっただろうね。でもプレミアリーグを制覇したチームでプレーし、チャンピオンズでも必要な時にチームを支えることが出来た。それだけで十分誇らしいよ」
「でも実は決勝でも本当は最後僕が出るはずだったんだ。延長後半残り1分になったところで、監督が僕に向かって『準備しとけ!』って叫んだんだ。ブラウンと代えるつもりだったようだけど、でも急遽僕じゃなくアンデルソンが出ることになった。多分誰かが監督に進言したんだろうね。それが誰なのか今調べてるところだけど、まだ分かってないんだ。徐々に犯人は絞られつつあるけどね(笑)」

 結局試合に出れぬままユナイテッドが優勝する姿を眺めることになったわけだが、実は9年前のあのときもオシェイはカンプ・ノウで優勝の瞬間を拝んでいる。

「実はユナイテッドはあの時リザーブチームやユースチーム、食堂のスタッフまでもカンプ・ノウに連れて行っていたんだ。その日はバルセロナのきれいな海岸沿いでランチを食べた。あそこで飲んだオレンジジュースはおいしかった(笑)その後6時半にバスでカンプ・ノウに向かう予定になってたんだけど、事故のせいでバスが来れなくなったんだ。だから僕たちは大勢でユナイテッドのブレザーを来て電車でいかなきゃいけなくなったんだ(笑)中にはユナイテッドのファンもいてね。あれは良い思い出だけど、あの時のメンバーで今もユナイテッドに残ってるのは僕だけになってしまったよ」



 ファーガソンの引退については自分は薄々「そう遠くないんじゃないかな」って思ってた。きっかけは去年夏の補強。霹靂のナニ、アンデルソン加入。しかも値段はそれぞれ30億超と半端無い。どちらも中盤とウイングというチームの要となる選手。この補強が成功するかどうかが今後のユナイテッドの大きなターニングポイントになる。その二人がポルトガル語を話せるっていうのが単なる偶然とは思えなかった、ってのが根拠。とはいえまだ3年もある。翻意するには十分な時間だ。以前も撤回してたりするし。まあ健康的な問題もあるけど、体が許すならば出来るだけ長く監督をしていてほしいものだ。自分は正直御大に辞められるのがとても怖い。
 最後の最後でアンデルソンを投入させることになった誰かの提言。こういうのを天啓って言うんだろうか。オシェイには悪いけど、アンデルソン投入は結果的には絶妙な判断になった。あのPKはマジで凄かった。ファーガソン、フロント、選手、スタッフ、そして世界中の何百万というユナイテッドファンの悲願であるチャンピオンズリーグの優勝がかかったPK、しかもサドンデスというただでさえ外せば絶望的な状況。そこでど真ん中蹴れる胆力を持った選手を他に知らない。んなもん出来るのは狂人かただのバカだ。ってのは半分冗談半分本気。プレースタイルはいたってマジメなんだけど。あのキックにアンデルソンがかつてロナウジーニョ2世と呼ばれていた所以を垣間見た。やっぱりホントはもっとファンタジックな選手じゃないのかなぁ。来シーズンは別のアンデルソンの顔も期待してみたい今日この頃。





ルーニー「早くテベスを俺にくれ」
(元記事:Rooney calls for United to sign-up striker - Wigan Today)

 今シーズンのユナイテッドの快進撃を支えたテベ公だが、契約上はまだ期限付き加入選手。もちろんユナイテッドは現在完全移籍に向けて交渉中だが、待ちきれない男がここに一人。

「テベスが完全移籍してくれれば重要な補強になる。まあ上手くいくだろうとは思ってるけど。カルロスはユナイテッドで気持ちよくフットボールをしているから。特に問題はないだろう」
「ウェストハムにいたときから、凄いプレーヤーだということは分かっていた。チームのために走ることを厭わない。共存が可能かと当時物議を醸し出したけど、俺は全然出来ると思ってた。練習してすぐにどれだけの選手か分かったよ。だからあの頃試合でプレーするのが待ちきれなかった。シーズンも差し迫る頃には一緒にプレーする機会も少なくなっていったけど、一緒にピッチに立ったときは正直凄かった」
「カルロスはホントに凄い選手だ。彼は闘士だ。今シーズン19ゴール決めてるし、ホント凄いよ」



 テベ公にご執心なのは何も御大だけじゃなかった。一緒にプレーしているルーニーもテベ公の魅力にはまっているようで。ドイツW杯の時は典型的な我が我が選手だと思ってたけど、今のテベ公はホントチームプレーヤーだからな。とはいってもチームプレーヤーはそこらへんにに山ほどいる。テベ公が稀有なのはルーニーとクリ坊の超ハイスピードな攻撃の中でも一緒にやってけるほどの瞬発的判断力とボール操る技術があるから。これだけでも珍しく、しかもそんな選手いたとしても先に書いたようにエゴイスティックな選手がほとんどなのに、テベ公はチームのためにも働ける。そりゃルーニーが夢中になるのも無理はないか。

posted by myrowka |02:45 | U.N.G | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月29日

ケイタ・ザ・サラブレッド

さてさて。


 先日バルサが今オフ第一号となる補強として、セイドゥ・ケイタを獲得したそうですが。ごひいきのチームのフットボールしか見ないので、他チームの選手にはとんと疎い。ということでケイタがどんな選手かがさっぱり分からない。そこで「エル・ムンド・デポルティーボ」のこの記事の力を借り、勉強することにしよう。


 ここで唐突に質問。ケイタといういかにも日本チックなお名前を聞いてあなたは一体誰のことを真っ先に思い浮かべますか?
 鈴木啓太を思い浮かべたあなたはただのレッズファン。リヨンのカデル・ケイタを思い浮かべた人はヨーロッパの知識が豊かなようで。今回バルサが獲得したセイドゥ・ケイタを思い浮かべたあなたはどちらかというとリーガ好き。そのセイドゥ・ケイタの叔父であるサリフ・ケイタの名前を思い浮かべたあなたは相当年季の入ったバレンシアファンか、もしくは重度のバレンシア中毒です。
 そう、実はケイタの叔父も昔はプロフットボーラーだった。サンテ・ティエンヌやマルセイユなどでプレーした後実力を買われバレンシアと契約し、リーガの土を踏んでいる。一見なんてこと無い経歴のように思えるが、時代背景を考えるとただ事じゃない。
 時代は1970年代中盤。フランコの力が弱まりはじめていたとはいえ、まだまだ閉鎖的排他的な感覚、習慣が残っていた頃、ブラック・アフリカンのサリフ・ケイタが選手としてやっていくのは想像以上に大変なことだったろう。実際当時リーガにアフリカ人はほとんどいなかったという。そんな状況下でも何とか活躍し、あのオランダのレジェンド、レップとコンビを組んで、3シーズンで19ゴールを挙げている。その後あのエル・マタドールがやってきたため残念ながら御役御免。しかしアフリカ人としてプレーしたこの間の功績は認められ、アフリカ人でもヨーロッパで活躍できると証明したパイオニアとして祖国では崇められ、晩年マリフットボール協会の会長も務めている。ケイタの名はそんな偉大な叔父の血が流れている証でもあるのだ。
 サリフ・ケイタの血が流れているプロ・フットボーラーは何もセイドゥだけじゃない。あのリバポーのシソッコもサリフの甥。リヨンでプレーしているカデル・ケイタはセイドゥの従兄弟に当たる。まさにサラブレッド一族。
 そんなセイドゥはマルセイユ、ロリアン、ランスとフランスリーグで活躍した後セビージャに移籍と、叔父と似た道のりを歩んできた。そして今年叔父でも成し遂げられなかった偉業バルサ入団を果たした今、一族の中で一番高みでプレーする選手に。ケイタの名にかけて恥ずかしいプレーは出来んでよ。


 年齢は28歳と予想以上に高め。そりゃ当然で、なんと小野や高原が台頭した大会として名高い1999年U-20ワールドユースの最優秀選手に輝いている。その後マルセイユに移籍するものの、若手にありがちな伸び悩みで苦しみ、フランスリーグの中堅クラブで細々とプレー。しかし徐々にその力は認められ、今ではバルサの一員と、実はリトル・ブッダも顔負けの復活劇を果たした選手でもある。
 デコの抜けた穴を埋めるため連れてこられたわけだが、「エル・ムンド・デポルティーボ」によると、デコよりも守備的で運動量が豊富な献身的なプレーヤーであるとか。一方そのガタイを生かし、ヘディングでゴールを奪うことも出来れば、ロングシュートも強いという。むむむ。なんかすごいトゥーレとかぶってる気がするが、おそらく気のせいだろう。とまあこんな具合。


 ということで。少しはケイタのことが理解できた気がする。それにしてもフットボール・エリートだったとは。そういう見方で見れば、またケイタに抱く印象も変わってくるだろう。とは言っても結局はフットボーラーなんだからピッチで結果を残せば何でも良し。正直今バルサ困ってます。結果が欲しいです。そんなバルセロニスタからの過大なプレッシャーを背負いながら戦うのはえらく大変だろうが、しかしブラウグラーナのユニフォームを着るとはそういうことだ。しっかり頼んますよ。

posted by myrowka |20:51 | FC Barcelona | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月29日

一言言いたい vol.2 「ロナウド騒動」

 一言じゃ決して済まないわけですが、それはそれとして。

 昨今の執拗なレアルのロナウド(以下クリ坊)獲得報道について、とうとうファーガソン(以下御大)が「FIFAに訴えるぞ」とブチ切れた。
 今や移籍市場の風物詩となったレアル、バルサのメディアを使った波状攻撃。もちろんこのクリ坊に始まったことじゃなく、ここ1、2年ミランはカカを狙われて困ってるし、去年はバルサもクリ坊を狙って執拗に獲得報道を流し続けた。この戦法の一番タチの悪いところはそこそこ成功してしまうところ。このやり方でレアルはロッベンを手に入れたし、バルサはアンリを手に入れた。そりゃ図にも乗る。

 他のクラブがこういうやり方を全くしないというわけではないが、しかしレアルとバルサはあまりにも酷すぎる。でもそれには原因もあって。先日の記事でイギリスのスポーツ報道とスペインのスポーツ報道には違いがあると書いたが、両国のスポーツ報道の最も大きな違いはイギリスの新聞は分別持ってある程度中立的に各クラブのニュースを報道するが、スペインの新聞は地元のチームのことばかり報道する点。マドリーに籍を置くスポーツ紙「マルカ」「アス」はレアルの記事ばっかだし、バルセロナに籍を置くスポーツ紙「スポルト」「エル・ムンド・デポルティーボ」はバルサの記事ばっか。早い話スペインのスポーツ紙は事実上地元のクラブの機関誌と化しているのだ。

 では、なぜスペインのスポーツ紙は地元のクラブのことばかり取り上げるのか。それはマルカやスポルトを「スペインのスポーツ紙」と一緒くたにしてしまっているからそう感じるだけで、スペインをスペインととらえず、マドリードはマドリード、バルセロナはバルセロナと別々の国だと考えれば、あら不思議、自然と当然のことのように思えてくる。マルカにしてみればなぜ隣国のことなぞ取り上げなきゃならんのか、ってことになるし、それはスポルトにしてみても同じこと。しかもマドリードとバルセロナが友好国なら話もそんなに複雑にならずに済んだのに、見事なまでの敵対国と来たもんだから、もうグッチャグチャ。

 少し話がそれてしまったので元に戻して。これでなぜレアルとバルサにメディアを使った強引な選手獲得の動きが目立つのかが説明できる。クラブがメディアを思い通りに操作できるのだから、レアルがクリ坊が欲しいなら、例えばマルカに「クリ坊移籍間近?」って記事を書かせればいいし、バルサがフレブ欲しいなら、例えばスポルトに「週末にも合意か」って記事を書かせればいい。そしてこの記事を源泉として他の新聞が乗っかって大きな流れとなり、選手、クラブに襲いかかる。狙われる側としちゃこれほどタチの悪い話もない。ヤカラですよ、ヤカラ。

 そもそもこんな横暴がまかりとおっている状況がおかしかった。一石を投じる意味でも御大の怒りは意義がある。脅すだけじゃ不十分。実際に訴えてしまった方がいい。そしてFIFAもこの状況を改善するために、実際何らかの措置を執るべきだろう。今回ババを引いたのはレアルだったが、レアルに制裁が与えられると、バルサも自ずと腰を引かざるを得ない。良い薬になるはずだ。

 最後に御大の脅しを受けた元弁護士で現レアル会長カルデロンの弁。

「私たちはそんなことをしていない。レアル・マドリードは今回の件とは全くの無関係だ。ユナイテッドとの関係は素晴らしいものだし、良き友であるユナイテッドの意志に反することはしようとも思わない。やられて嫌なことはしてはいけない」

posted by myrowka |03:46 | 一言言いたい | コメント(5) | トラックバック(0)
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2008年05月28日

一言言いたい vol.1 「売れぬチケット」

 一言じゃ決して済まないわけですが、それはそれとして。 

 日本代表のチケットが全然売れてないらしい。実際スタジアムはガラガラだった。昔はダチと一緒に発売開始前から電話の前で時が来るのを待ち構え、来たと同時に繋がるのを祈りつつ電話のボタンプッシュしまくったもんだけど。

  原因は色々とあるのだろう。そもそも岡田JAPANを好きじゃないとか、今の代表にどうしても好きになれない選手、応援したくない選手がいるとか、昔のヒデのように良くも悪くも客寄せパンダ的スター選手がいなくなったとか。敵さんのチームにも主力選手呼んできてもらえるよう努力せにゃならん。プラスアルファ金払ってもいいから。コートジボワールにドログバがいないでどうする。パラグアイにサンタクルスがいないでどうする。ドログバが来れなかったのにはそれ相応の理由があるわけだが、客呼びたいならそういう事情察して初めからコートジボワールなどと試合は組まない、などなど。 

 これに加え、もう一つ大きな理由があると思う。関東で試合しすぎ。代表試合があるとその8割(あくまで自分の実感数値)は関東で行われてるような気がする。埼玉であったり国立であったり横浜であったり。関西、中京はそのおこぼれ的試合しかちょうだい出来ない。地方ならなおさらだ。 
 一番最近関西で行われたフル代表の試合と言えば2007年10月の親善試合エジプト代表。ちなみにこの時も一番の目玉であろうミドやジダンは来てなかった。 じゃあ2008年はどうなのか。そうですよ。今のところゼロですよ。予定もありませんよ。8月と10月に親善試合があるそうですが、それも不透明ですよ。そもそも関西でやるのは全部が全部親善試合で、W杯予選のような大事な試合は絶対にやってくれませんよ。
 一方その頃関東では1月に親善試合2試合やって、2月にW杯予選1試合やって、5月に親善試合1試合やって、6月にW杯予選2試合やって、半年で6試合も行われるそうです。なんだよこれ。

 そりゃ人口の比率から考えて関東に偏るのは致し方あるまい。しかしこれはあまりにも行き過ぎ。そりゃね、関東の人も代表飽きるわ。一方関東以外の地域では、代表来ぬかと飢えに飢え。素晴らしきまでのアンバラーンス!お見事ですぞ♪川淵キャプテン。

 ぶっちゃけた話言うとただの関西人のひがみですけどね。でもこの考えも一理あると思う。代表のチケットが売れなくなってる原因の一つは、関東におけるそのプレミア度の低さじゃないのかな。1ヶ月に1度ペースだもん。そりゃ売れんわ。岡ちゃんの人気がどうこうとか、選手の人気がどうこうとか、そういうのも良いけど、興行的な面からもアプローチしてみてはいかが?

posted by myrowka |21:56 | 一言言いたい | コメント(10) | トラックバック(0)
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2008年05月27日

相も変わらずアラゴネス

さてさて。


 気が向いたので今日はスペイン代表の話。結論から言うと今大会もスペイン代表はダメだと思う。
 自分はスペイン代表が好きだ。特にこれといった理由はない。フランス代表が勝ったってふーんと思うし、イタリア代表が勝ったってふーんと思うし、オランダ代表が勝ったってふーんと思う。でもスペイン代表が勝ったらなぜかホッとするのだ。実はイングランド代表も同じぐらい好きなのだが、ユーロにすら出れないのでここはツンと冷たく放っておく。話を元に戻して。まあとにかく昔からスペイン代表が気になって仕方なかった。もしかしたらバルサの選手が多くプレーしているからかもしれないし、もしかしたら赤いからかもしれない。
 だから大きな大会があるごとにスペイン代表を優勝候補と予想してきた。ユーロ00、日韓W杯、ユーロ04、ドイツW杯と過去4度。そしてその度恥ずかしい目にあっている。ユーロ04なんて予選リーグが終わったらもう蚊帳の外。ドイツW杯もラウールメディアプンタというアラゴネスの珍采配の下、あっさり砕け散った。
 一応その都度スペイン代表が優勝できる根拠みたいなものを考える。ドイツW杯の時はこれまでと違ってセスクやルイス・ガルシアみたいに海外で経験積んだ選手がいるので彼らが違いを見せるとか、これまでは予選で調子が良く本戦でダメというパターンが多かったが、今回は予選で苦労しているので本戦では調子を取り戻すとかなんとか。でもそれは客観的な角度から見た客観的な予想ではなく、スペイン代表を優勝候補にするために無理矢理作り上げた希望的観測なんだ、と苦節6年ようやく気づく。予想と応援は別もんなんだ。


 こんな当たり前のことにようやく気づき迎える初の大きな大会、ユーロ08。あくまで客観的な目線から見て今回のスペイン代表はどうか。ダメだ。絶対にダメだ。こんなスペイン代表が48年ぶりのビッグタイトルを獲れるはずがない。なぜダメか。ちゃんとした根拠がある。胸を張って答えよう。アラゴネスが監督だからだ。
 とはいっても1週間ほど前まではまだスペイン代表にも可能性はあると思っていた。かなり低くはあるが、しかしそれでも可能性は確かにあると考えていた。その可能性が軽くひねつぶされた瞬間。代表発表。そのリストにラウールの名前は無かった。多くの国民が望み続けた名前は最後までそこに列なることはなかった。代表を目指し、やり残したことをやり遂げるため、国内リーグで奮闘し続け、18ゴールという結果を残した男の努力は最後まで報われることはなかった。
 このとき思った。アラゴネスは何も変わっちゃいない。シーズンで5ゴールしか挙げられなかった男を予選リーグならまだしも、負けたら終わりの決勝トーナメント、しかもフランス相手にぶっつけ本番で試してくる不可解采配。しかもポジションはトップ下だ。国内リーグですら結果の残せない男を、あろうことか一番大事な試合で一番大事なポジションで使ってくる。かと思いきや今度は国内リーグで結果を残した男をまるで無視。あの時の戦犯は俺じゃない、お前なんだと言うかのように。違うよ。あんたのせいだよアラゴネス。


 とは言ってもこれだけじゃあまりに一方的。実際監督の手腕はこういう短期決戦のトーナメントでは殊の外重要で、これだけでもある程度事足りてるとは思うけど。ここだと思ったら思い切ってグン!とアクセル踏めるような監督じゃなきゃ勝ち抜けない。フランス戦、1点取らなきゃ勝てない場面でシャビに代えてセナ入れて交代枠使い果たすような監督は、ダメ。
 スペインの不安な点はまだある。崩しの場面でどう出るかだ。今のスペインは基本トーレスをトップに置いた4-5-1。中盤は突破に優れる選手を置くではなく、イニエスタ、シルバ、シャビ、セスクなどボールキープやパス能力に優れた選手が配置される。この4人以外にも中盤で招集されているのは、シャビ・アロンソ、デ・ラ・レッド、セナと中央の選手ばかり。生粋のサイドハーフと呼べるのはビジャレアルのカソルラだけだ。
 これだけでどんなフットボールになるかだいたい予想がつく。中盤でボールを回しながら、相手を崩していくって寸法だろう。だがそういう回りくどくバカ正直な攻撃が果たして守備的フットボール全盛のこの時代、しかもフランスやイタリア相手に通用するのだろうか。サイドバックの上がりを生かした攻めもあるだろうが、しかしクロスを入れても中央にいるFWはトーレスのみ、中盤の選手も175cmのセスク、172cmのシルバ、170cmのシャビ、169cmのイニエスタとスペインきっての小兵揃いという状況では効果的な攻撃にもなりづらい。頼みの綱はイニエスタの突破ぐらいだろう。イニエスタにどれだけ楽に前に向かせられるかが鍵となるが、それもカウンターで虚を突かない限り難しい。


 これまでネガティブな部分ばかり書いてきたが。もちろんポジティブな面もある。最たるものはトーレスの覚醒。リーガ以外で活躍したスペインのFWなんて史上初なんじゃないのかな。しかも舞台は世界最高と名高いプレミアリーグ。ベニテスにたたき込まれたカウンターでササッとゴールを奪う術。アラゴネスの貴重な貴重なもらいもの。セスクも海外で活躍した数少ない例の一つだが、しかしアンリと同じくガナーズでしか発揮できないとの評判なので頼りにしていいかは眉唾物。イニエスタも2年前のドイツとは比べものにならないぐらい成長してる。ここらへんが上手くかみ合えばスペインは確かに怖い。


 でもたとえスペイン代表がどれだけ良い選手を擁し、どれだけ良いフットボールが出来たとしても、アラゴネスの思いつき如何で一気に破綻する可能性をはらんでいる。これがある限りやっぱりスペインはダメだと思うのだ。応援はしよう。めちゃくちゃ頑張って欲しい。スペイン代表はこれまで国民をずっとずっと裏切り続けてきた。その国民に報いなければいけない義務がある。でも。それでもやっぱり難しいものは難しい。そもそも大会開幕前からラウール招集という期待が裏切られた。2年前にズバッと首を切っておけば。後悔は先に立たない。

posted by myrowka |22:17 | ユーロ08 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月27日

myrowka的ユーロの楽しみ方

さてさて。


 ユーロが近づいて参りました。友人や先輩後輩と優勝予想対決をしている人も少なくないだろう。かくいう私もその一人。しかし人とは少々違う楽しみ方をしている。今日はそれをご紹介。


 と、その前に。発端は4年前だった。自分の優勝予想国はスペイン。結果を覚えている人はもうオチがおわかりだろう。あろうことか予選リーグ敗退。決勝トーナメントに進出することすらままならなかった。その後はもうつまらないのなんの。オランダが勝っただの、ポルトガルが勝っただの、チェコが負けただの、フランスが負けただの、盛り上がる他の人を横目にただただ自分は傍観者。なんだよこれ。全然おもしろくねえ。やだ。こんなのやだ。なんで4年に1度しかない大会をこんな寂しい思いで過ごさにゃならん。次のドイツこそは!次のドイツこそはおもいっきり楽しんでやろう!と思いついた予想対決方法。


 まずはチームを2つか3つ選ぶ(W杯の時は国数が多かったから3つにしたが、ユーロは少ないので2チームでいいかもしれない)。そしてベスト8、ベスト4、準優勝、優勝ごとにポイントを決め、合計ポイントが多かった人の勝利。ただこれだけじゃ面白みに欠けるので、得点王やMVP、ダークホースも予想し、それぞれにボーナスポイントを設定しておくと楽しみ方が増える。ちなみに今回自分たちは

選択国数 2

優勝   7点
準優勝  4点
ベスト4 2点
ベスト8 1点

得点王  4点
MVP  5点
ダークホース ポイント2倍

にした。もちろんこれは対戦する人らと相談して好きに決めて良し。ダークホースはダークホースに当たる国を事前に決めておく必要あり。自分たちはグループAはトルコ、グループBはポーランド、グループCはルーマニア、グループDはロシアにした。グループDはロシアにするかギリシャにするか意見が割れたが、一応ディフェンディング・チャンピオンを尊重する形に。ちなみにルーマニアだけはポイント3倍の設定にする特別ルールも採用。などなど色々カスタマイズしてもよし。


 これなら一つのチームが早々に敗退しても、もう一つのチームがあるので、そこでおしまいなんてこともなくなる。得点王やMVP次第では予想国が敗退した後でも希望が残せるという出来るだけ長くユーロを楽しめる設計。
 ユーロ04の失望から2年。これならW杯は思う存分楽しめる!と挑んだが、自分の予想したスペインはベスト16,イングランドとアルゼンチンはベスト8で敗退。保険でこの3国以外から選んでいた得点王アドリアーノ、MVPロナウジーニョという予想もブラジルがベスト8で敗退したため、なんの役にも立たず。その日から自分の予想は悪魔の予想と呼ばれるようになった。ちなみに決勝のイタリア対フランスの結果は予想的中。だってフランスが勝つと思ったから、逆を選べば良かったのだ。


 まあそんな自分のどうでもいい過去は置いといて、興味を持った人はぜひお試しあれ。

posted by myrowka |22:15 | ユーロ08 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年05月27日

スコールズという男

さてさて。


 ここ最近ユナイテッドの記事が続いていますが。何もバルサに飽きてきたわけじゃあない。イングランドのニュースサイトとスペインのニュースサイトを行ったり来たりしていると、両国のスポーツ報道の違いに色々と気がつくが、大きな違いの一つとして、オフシーズン時の移籍市場の記事の量が挙げられるだろう。別にイングランドのニュースサイトが移籍の話題を取り上げないというわけではないが、それにしてもスペインのニュースサイトの移籍関連の記事の膨大さには閉口する。やれケイタだの、やれカヌーテだの、やれベンゼマだの、やれアデバヨールだの、やれシルバだの。別に加入する選手の話ばかりでない。アンリは去らないだの、いややっぱり去るだの、エトーがトッテナム行くだのミラン行くだの、ザンブロッタも一緒だだの、ジーニョは見捨てられただの、もううんざり。いちいち相手にしてちゃキリないし、そもそもおもしろくもなんともない。というわけで、バルサのニュースはこんなのばっかりなので、取り上げようにも取り上げるべくものがないわけだ。それなら数日前に見つけたスコールズに関する記事でも引っ張り出そう。ということで、今日はスコールズの話。




・シャイボーイ

 U,N,Gで御大がスコールズのシャイな性格について語っているが、スコールズのシャイさ加減はそんじょそこらにあるもんではなく、かなりの筋金入り。クラブ側からどうしてもと言われない限りインタビューは一切受けないし、フットボール以外のことで公の場に出てくることも滅多にない。だがそうは言っても稀有な例はある。2003年の8月オールド・トラッフォードで行われた全国ぜんそくキャンペーン(National Asthma Campaign)にはスーツ姿で、なんと奥さんのクレアさんと一緒に現れている。ちなみにクレアさんとの2ショット写真はこちら。もう少し清楚な感じをイメージしていただけに意外・・・。それ以上に奥さんと違ってカメラ目線出来ないスコールズがかわいすぎる。とまあそんなことは置いといて。そのキャンペーンでのスコールズの姿をファギー・ベイブスをユースで育てた名コーチ、エリック・ハリソンが語っている。

「私の妻と同じくスコールズもぜんそくを煩っていてね。それでこのキャンペーンに参加してもらったんだが、誘ったときは断られると思ってたよ。なんせあの性格だからね。でもすんなりOKをくれた。その時奥さんと一緒に来てはどうだと言ったんだ。このキャンペーンに力を貸すこと自体は問題ないようだったが、やっぱり人が大勢いる場所は苦手なようだね(笑)。スコールズは会場に来たとき『なんで僕はここにいなきゃいけないんだい?別にみんなの前で挨拶をするわけでもないし』って言ってきたんだ。それで私は『君が今日の主役だよ』と言ったんたが、『まさか!なんで僕が!』って驚いてたね。『ただいくつかの質問に答えればいいだけだよ』って何とか説得して納得してもらった。スコールズはよくやってくれたよ。彼らのおかげで2万2千ポンドの寄付金が集まった。会の後も彼は私に何も文句を言ってこなかったよ」

 意図的かどうかはともかく、ぜんそくの人たちを救うためと断るに断り切れない頼みでスコールズを表舞台に引きずり出したエリック・ハリソン、グッドジョブ。スコールズのシャイさ加減といいひとっぷりが出たナイスなエピソード。

 スコールズのシャイ度をあらわすもう一つのエピソード。それはナイキとのシューズ契約。スコールズは契約の中に「キャンペーンなどで公の場に出る義務は負わない」という条項を盛り込ませているそうだ。それに対しナイキ側は「契約が結べるだけで十分だ。といっても世界中でもこんな条件申し出てくるのは彼ぐらいだろうけどね(笑)。でもそれでいいじゃないか」と半分感心半分呆れ顔。



・移籍先はオールダム?

 スコールズの出身はマンチェスターの隣のサルフォード。小さい頃好きだったクラブはユナイテッドでもシティでもなく、家の近くにあったオールダムというクラブだったという。スコールズをユナイテッドに推薦したマイク・コフィーは当時の彼をこう語る。

「スコールズのヒーローはオールダム・アスレティックのストライカーだったフランキー・バンだった。スコールズは熱狂的なオールダムファンでね。スコールズがユナイテッドを辞めたあとオールダムでプレーしてても私は何も驚かないよ」
「スコールズはフットボールバカでね。正直言って勉強はあまり出来なかった(笑)。私は彼が小学1年生のチームにいる頃から注目していた。当時から社交的な性格じゃなかったが、ボールとチームメイトを与えてやると豹変するんだ」

 その後スコールズはオールダムのジュニア・チームに加入。そこにはネビル兄弟やバットもいたそうな。そこで先のエリック・ハリソンのアシスタントをしていたブライアン・キッドにコフィーがスコールズ達を推薦。すぐにオッケーが出たそうだが、スコールズはオールダムを出るのを渋ったらしく、数日間説得してなんとかユナイテッドに入ってもらったらしい。こうして晴れてユナイテッドのユースチームにやってきたスコールズ。その時の印象を再びエリック・ハリソンが語る。

「彼は本当に小さかった。ベッカムも当時は彼と同じぐらい小さかったが、でもスコールズは昔と身長がほぼ変わってない。でも身長なんてスコールズにとって何の問題でもないんだ。体も強くなかったが、頭が良かったし、足も速かった。他のクリエイティビティーあふれる選手のように彼はパスも出来、ゴールも奪えるが、彼が特別だったのは空中戦やロングシュートでもゴール出来た点だ。土曜日に試合があったんだが、当時のチームはドリームチームと呼ばれていた。観客はそのプレーに酔いしれていた。その中でも一番の人気はスコールズだった。あのダンカン・エドワーズらを見てきた目の肥えたファンに認められてたんだからね。ファーガソンももうその頃には目をつけていただろう」



 お恥ずかしながらスコールズがユナイテッドに来る前のチームでネビル兄弟やバットとチームメイトだったのは初耳。よくよく考えてみると当時のオールダムってのはとんでもないチームだ。こういう話は夢があって素敵。まあでもこのオールダムのメンツをはじめユナイテッドのユースチームにこれだけ才能のあふれる選手達が集まるってのは何十年に一度という奇跡の話なんだろう。今後またユースチーム・フィーバーが来るなんてことがあるんだろうか。でも当時と違ってユナイテッドはすっかり買うチームになっちゃったから。難しいんだろうなぁ。

posted by myrowka |00:31 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
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2008年05月26日

U.N.G vol.4

 気になるユナイテッドのニュースを並べてみる不定期コーナー、U.N.G。ざっくりさっぱりがモットーなので、全訳することもなけりゃ、バリバリ意訳するし、個人解釈もモリモリです。



「オーレ、9年前を振り返る」
(元記事:Winner takes it all, says Ole - Manchester Evening News
I knew I was going to score, says Solskjaer  Football  The Guardian

 スーパーサブとしてユナイテッドの歴史に名を残すオーレ。その始まりとなったのはやはりカンプ・ノウの奇跡でのあのゴールだろう。今でも街行く人にこう声をかけられるそうだ。「あの日は人生最高の夜をありがとう」。そしてこうオチをつける。「今の、嫁には内緒だぜ」。あのオーレの人生を変えたゴールから実に9年。再びユナイテッドが同じ舞台に立ったということで、オーレが当時を振り返る。

「あのゴールを決めたときは、その意味をよく理解できていなかった。あの日僕はいつも通りプレーをして、そして勝った。それだけだと思ってたんだ。しかし日が経つにつれ、周りの人の反応を知る度にあのゴールがどれだけ大きな意味を持っていたかを痛感していった。」
「あの時優勝できたのは他の選手達が頑張ったおかげなんだ。僕がプレーしたのは数分間でしかない。でもみんな思い出すのはあのゴールシーンなんだ。誰も僕が準々決勝のインテル戦や準決勝のユベントス戦ではプレーしてないことなんて覚えていない。あの月はプレミアリーグでも1試合しか先発出場していなかったんだ。でもみんなトレブルを達成できたのは僕のおかげだって言ってくるんだよ(笑)それ自体は非常に誇らしいことだと思ってる。ユナイテッドの歴史に名前を刻めたんだからね。でも優勝できたのは僕のおかげじゃない。僕はたまたまあそこにいただけなんだ」
「実はあの日ゴールを決める予感がしていたんだ。前の夜スタムのいびきがうるさくて眠れなくて(笑)DVDを見ていたんだ。で、その後この予感を誰かに話したくて看護師の友達に電話したんだ。その友達は夜勤だから見れないって言ってたけど『見ないと損だ!この予感は絶対なんだから!』って説得したんだ。本当に不思議な感覚だったんだから。ポジティブ・シンキングなんかじゃない。シックスセンスとでもいうんだろうか。その友達は他の人と勤務を代わってもらい、そしてあの奇跡の夜を見たというわけさ。僕は普段こんなことを言うキャラクターじゃないんだけど、その夜だけは本当に特別だった」
「だから出場できないことが本当に心配だった。出場したくてうずうずしてたよ。ハーフタイムに監督はテディの方に向かっていって、『準備しとけ』って言ってた。僕の方にも来るようにずっと願ってたけど、でもハーフタイムには来てくれなかった。だからもうチャンスはここしかない!と後半にものすごくウォーミングアップして、監督にアピールしたんだ。むかついていたわけじゃないけど『なんで俺を使わないんだ!』ってずっと思ってたね。呼ばれたときは体がバネのようだった。これは良い兆候なんだよ。ピッチに入る瞬間にもまだゴールを決めれる予感はしてた。テディがゴールを決めたとき、みんな彼の下に駆けつけたけど僕だけは一目散にハーフラインまで戻って、こう考えていた。『よし、これで延長戦だ。そこでプレーを楽しもう』って。でも延長戦に入ることはなかったね(笑)」

 この後オーレは長く膝の怪我に悩まされることになり、実際それがオーレの引退を早める致命傷となったわけだが、それはゴールを決めて喜びを表現する際、膝から滑り込んで痛めたものが原因だ、なんて都市伝説がある。

「根拠のない噂だよ。確かに内側靱帯を怪我してしまったけど、それがずっと続くなんてことはあり得ない。あの怪我自体は3週間で治ったし、あのゴールを決めたとき膝で滑ったら怪我するかも知れないし危ないとか、そんな深いことを考えれるはずもない。決めたときはもう嬉しすぎて何を考えていたかなんて今でも思い出せないよ」



 9年経った今でもユナイテッドサポーターの心からあのゴールは消えていない。それもおもしろいかおもしろくないかは別としてオチまでついて語り継がれる始末。あのゴールがなくてもあの才能さえあればレジェンドにはなっていたと思うけど。まあでもたとえばマラドーナの神の手や5人抜きのように、その選手の代名詞として語り継がれるようなゴールってのは存在して。これもまたフットボールが持つドラマ性の一つ。そういうゴールが生まれるのは近いうちで言えばやっぱりユーロだろう。楽しみだ。
 ゴールの予感を察知し、実はエスパーだったことを明かしたオーレ。まあなんとなく不思議ちゃん的オーラが流れている気がしなくもないけれど。この感覚があのオーレの天才的なポジショニングを可能にしていたんだったりして。磨けば監督業にも転用できるのかな。シックスセンスによる采配、選手の発掘。まあ結果が出れば何でもアリさ。





ギグシー「ターニングポイントは3年前」
(元記事:Giggs 2005 was turning point - Manchester Evening News)

 プレミアとチャンピオンズ2連覇。昨シーズンもプレミアで優勝し、チャンピオンズでもベスト4の好成績。でもこの好成績の裏側には3年前の苦労があったとギグシーは語る。

「ここ最近は結果を残しているが、しかし2シーズン前にはベンフィカに敗れ、チャンピオンズリーグではグループリーグで敗退しているんだ。当時は方々から『一時代の終わりだ』なんて言われたもんだ。でも俺は絶対違うって分かってた。そういう挫折は時に人を前進させる。特に若造のクリスティアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニーにとっちゃ良い経験になっただろう。俺も若い頃同じような体験をしたことがある。リーズに負けてタイトルを逃してしまった時だ。挫折の後は余計プレッシャーがのしかかる。でもその時俺は思った。『二度とこんな目にあってたまるか!』って。ファンも来シーズンは大丈夫かって聞いてくる。その度怖くなったもんだけど、でも勝つって覚悟しなけりゃいけない」

 ユナイテッドでプレーして早17年。もちろんその間色々なところからそれはそれは魅力的なオファーがありました。しかしそれをことごとく蹴り飛ばしてきたギグシー。その裏にはギグシーの先見の明があったとか。

「俺はユナイテッドに居続けて正解だったと思っている。俺が一軍に昇格したときはセリエA全盛の時代だった。名選手はみんなセリエAに集まった。でも今は多くの名選手はプレミアリーグでプレーしている。クリスティアーノ・ロナウドはここ2年ヨーロッパ最高の選手だ。その前はアンリがそうだった。2人ともプレミアだ。世界最高のGKであるファン・デル・サールとチェフもプレミアだ。ロナウジーニョやカカもいつかプレミアリーグでプレーしてみたいって言ってる。15年前は考えられなかったことだ。俺はプレミアリーグが世界で最高のリーグになるっていう確信があった。それは2年続けて準決勝に3チーム、プレミアのチームが進出したことで証明されたし、これからも証明され続けていくだろう」



 調子が良くても、それに浮かれず過去の失敗を思い出し、闘志を奮い立たせる。なんという渋さだ、ギグシー様よ。しびれ倒しました。
 フットボールを見ていると、ここ最近の結果だけでそのチームを判断してしまいがちだが(特に良いチーム)、ギグシーの言う通り冷静に過去を振り返ってみると、実はそうではないことがある。ユナイテッドもここ2シーズンはチャンピオンズリーグベスト4だが、その前はグループリーグ敗退してるし、それまでも3年連続決勝トーナメント1回戦負け。今じゃチェルシーもプレミアリーグ二強の一角となってはいるが、アブラモビッチが来るまではリバポーと同じくパッとしない中堅よりちょい抜き出てるチームだったし、古くはバルサも今やリーガ2大巨頭の一つだが、1961年から1991年までの31年間で3回しかリーグ優勝してなかったりするし。ギグシーのように長い目でフットボールを眺めれるようになれたらなぁ。

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2008年05月25日

U.N.G vol.3

 気になるユナイテッドのニュースを並べてみる不定期コーナー、U.N.G。ざっくりさっぱりがモットーなので、全訳することもなけりゃ、バリバリ意訳するし、個人解釈もモリモリです。



「チャンピオンズリーグ後のコメント」
(元記事:Fergie hails Utd heroes - Manchester Evening News
Euro glory What the players said - Manchester Evening News)

 クリ坊のとか御大のとか日本のニュースサイトでも流れちゃってるんで目新しさはないけれど、一応気になったものだけを。

御大

「私たちには野望があるからね。野望を持ったチームと戦うのは難しいんだよ。といっても、今回は運命が結果を大きく左右したと思う。テリーが足を滑らせて私たちにチャンスが生まれた。正直その時に『勝てる!』と感じたんだ」
「(スコールズについて)もう99年の失望は消え去っただろう。スコールズが決勝の舞台に立てたことをすごく嬉しく思う。本当に良いやつなんだ。スコールズやギグス、ギャリー・ネビルといった選手はユナイテッドの存在意義を十分に承知している。優勝に値する選手達だ。もう歳から考えて毎試合プレーするというわけにはいかないが、今後もユナイテッドを支え続けていってくれるはずだよ」
「監督が何かを成し遂げようとした時、選手達の眼をしっかり見なければいけない。そこにまだ野心があるかを確かめるんだ。ユナイテッドの次なる野心、それはこのタイトルを守ることだ。このチームはまだまだ進化するぞ」
「実は大舞台のPK戦で勝ったのはこれが初めてなんだ。チャリティー・シールドでは勝ったことがあるんだが。アバディーン時代に3度、ここで3度負けている。今回が7度目にして初めての勝利なんだ」

テベ公

「子供の頃は自分が優勝カップを掲げる姿なんて想像してもいなかった。でも夢ってかなうもんなんだ。今は本当に幸せだ。これまで2度決勝というものに出場したことがあるがどれも負けてきた。コパ・アメリカではブラジルに負け、リベルタドーレスではオンセ・カルダスに負けた。決勝で勝ったのは実はこれが初めてなんだ」
「ファーガソンはいつも俺に自信を与えてくれる。ファーガソンが何を考えているか、何を俺に求めているか、もう分かるようになった。ファーガソンは上から命令を押しつけてくるタイプじゃない。下した決定についていつも説明してくれて、話し合いもしてくれるんだ。ファーガソンはいつも俺を支えてくれている。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ」



 御大は他のコメントでも運命という言葉を多用していた。まあホントにドラマみたいだったからねぇ。チェルシーのキープレーヤーがシュートを外していく。思えば9年前のバイエルン戦でもそうだった。あの時はバスビーの誕生日。今回はミュンヘンの悲劇から50年目の年。ピッチ外から見ても運命がユナイテッドを勝たせてくれたようなそんな気がした。ピッチの上に立ってる御大はなおさらだったんだろう。
 もう3人になってしまったファギー・ベイブス。付き合いはもう10年以上になる。彼らに対する感謝の気持ちも比例して大きなものに。時を重ねなきゃ築かれんものもあるでなぁ。彼らの跡をリオ、ブラウン、キャリック、ハーグリーブス、ルーニー達が着々と進んでいってくれればいいんだけど。フレッチもっと頑張れよ。余所者にポジション取られてる場合じゃない。
 20年近く続いてきたファーガソン帝国だが、その長期政権の秘訣はまだ飢えぬ御大の姿勢にある。もう燃えるものがなくなった、なんて辞任理由を聞いたりするが、御大に限ってはそれがない。おっそろしいお人だ。そしてそれは何も自分に限ったことではない。その渇望は選手にも求められる。じーっと目を見てその火が消えてたらそれでサヨナラ。おい!クリ坊!聞いてるか。

 トーナメント戦で優勝がないというテベ公だが、まあでも24歳でチャンピオンズリーグ制覇は十分すぎる結果。テベ公に関してはコリンチャンスのキャリアが本当に無駄だったと感じるなぁ。もうちょい欧州挑戦が早かったらまた話も違っていただろうに。そんなテベ公は面倒を見てくれる御大に感謝しっぱなし。この御大の態度にもテベ公に対する期待が見え隠れする。獲得当初はんんん?と思ってたんだけど、最初っからぞっこんだったわけだ。





「オーレ、リザーブチームの監督に」
(元記事:Ole Gunnar Solskjaer to boss Man United's reserves - Mirror.co.uk)

 今シーズン早々の引退表明後ユナイテッドのFWコーチに就任していたオーレだが、その功績が早くも認められ、来期からリザーブチームの監督になる予定とのこと。コーチとしてのオーレに対し御大がこう語っている。

「オーレが監督の資格を取ったら、しかるべきポジションを与えるつもりだ。コーチとしてもよくやってるし、オーレの仕事に対しとても満足している。人に教えるのに向いているみたいだな。コーチや監督をするにあたって大事なものがある。それは忍耐力だ。その点でオーレは非常に優れている」
「今後オーレにこのままコーチとして続けていたいか、リザーブチームの監督になりたいか確認する必要がある。でもどちらの選択をしても私はオーレを尊重するよ」



 なにやらオーレは監督の資格を取るための勉強中だったようで、その間の仕事としてユナイテッドがFWコーチの職を与えていたらしい。そして資格を取れたなら監督としての第一歩としてユナイテッドのリザーブチームを率いてはどうか、とこういうことらしい。そうか。ということはつまりそう遠くない未来オーレは別のチームの監督としてユナイテッドを去っちゃうってことだ。むむむ。悲しいけれど、でもオーレほどの人がずっとコーチのままじゃもったいないってことだろう。受け入れなきゃいけない。
 それにしてもオーレが忍耐強いってのはひどく説得力がある。そうでもなけりゃスーパーサブなんて役柄ずっと務まるもんじゃない。自分の出番が来るまでベンチで耐えて耐えて、出番がやって来たらチャンスが来るまで耐えて耐えて、耐えて耐えての選手人生。しかも耐えてるときもただ待つだけでなく、チームのために自分が何できるが常に考え常に動き回る。そりゃ監督に向いてないわきゃなかった。でも御大が監督論語るってことは自然と自己分析もしてるということで。御大は忍耐力に自信かあるんだなぁ。





「ビダ、いざこざを振り返る」
(元記事:Goal.com - Champions League - Now Vidic Says 'Cheat' Drogba's Red Card Was Deserved)

 過去に何があったか知らないけれど、ビダはドログバがあまりお気に召さないようで。試合前にも挑発していたらしいし、この試合でもいざこざいざこざ。そのいざこざを冷静になった今ビダが振り返る。優勝の喜びのコメントもどうぞ。

「水曜日彼はかっとなって正気を失った。まあプレッシャーも凄かったからそれも仕方のないことなのかもしれないけれど。でもレフェリーは近くで見ていたから、その判断は正しかったはずだ」
「チェフが味方選手が足をつっていたからボールを外に出した。だからこっちもスローインでボールを返したんだ。でもテベスが押されてるのが見えたから、すぐにテベスを守るために駆け寄った。で、チェルシーの選手にスローインでボールを返すことの何が悪いんだって聞いたんだ。テベスが何か悪いことをしたとは思えなかったから。でもいざこざは続いてドログバが僕に触れてきたんだ」
「でも僕は彼を責めてるわけじゃない。決勝だったし、とても重要な試合だったから、気持ちをコントロール出来なくても当然のことだ。ああいう状況に飛び込んだ自分の行動も今思えば軽率だった」
「もう全ては過去の出来事。大事なことは僕たちが優勝したってことさ」

「誰が今僕が世界最高のチームでプレーしていることに疑問の余地を挟むだろう。モスクワでの優勝は私の人生の中で最も素晴らしい経験になった。まだ興奮しているよ。でも水曜日は疲れてたから誰も夜のクラブに出て騒ごうとはしなかった。ホテルで一時間ぐらい祝賀パーティーしたぐらいであとはベッドに一直線だった。でも疲れてたけど興奮の方がすごくて眠れなかったんだ(笑)」
「ルジニキスタジアムにはたくさんのサポーターが来てくれたおかげでスパルタク・モスクワ時代(04年から06年までプレー)よりも気持ちよくプレーできた。モスクワの友達ともあったけど、スパルタクのファンはみんなユナイテッドを応援してくれると言ってたよ」



 あのプレーで何が問題だったのか良く分かんなかったんだけど、何やらチェフの方に返してやるのが暗黙の了解だったようで、それをテベスが普通にスローインにしたからチェルシーの選手が文句を言ったんだとか。それをバラックが火をつけ、ざわざわざわざわ。それでまあドログバはつい手が出ちゃったわけだけども、ビダも仕方ないことだと思ってる様子。裁きは受けなきゃいかんけどね。これですんなり収まってくれれば良いのだけれど。でもドログバが移籍すれば自然と終わる話か、なんて。
 試合が終わったのが確か2時頃だったかな?祝賀セレモニー諸々終わったのが早く見積もっても1時間としてスタジアム出たのが3時過ぎ。ホテルでの祝賀会やらなにやらで4時5時と過ぎりゃナイトクラブもへったくりもなかった気もするけれど。そんなに疲れてても夜遅くても眠れないのが優勝の興奮というものなのか。

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2008年05月22日

全ては神の御心のまま

UEFAチャンピオンズリーグ07/08 決勝 ユナイテッド vs チェルシー


 ユナイテッドの布陣はGKエドさん。DFラインは右からブラウン、リオ、ビダ、エブラといつも通り盤石。中盤はこれまでチャンピオンズで重用してきたパクチーを外し、ハーグリーブスを右サイドハーフ起用。ということで右からハーグリーブス、キャリック、スコールズ、クリ坊、前線はルーニーとテベ公の4-4-2という些か珍しい布陣。献身度ではほぼ同じのパクチーとハーグリーブス。御大は後者を選んだ。守備的ポジションの経験度での決断ととっておこう。これによりスタメン11人中6人がイングランド人という英国の匂いただようメンバー。これがプレミアリーグの王者です。


 ユナイテッド対チェルシー。蘇るはあのスタンフォード・ブリッジで味わった何とも言えない敗北感。やむを得ない事情はあったものの「これぞ王者だ!」とその力を顕示すること能わず、チェルシーのその力強さに飲み込まれただけだった。王者たるものあんな情けないフットボール二度とやっちゃいけない。それだけが不安だった。だが。その不安は開始数分で吹き飛ぶ。スコールズ、キャリックとご自慢のセンターハーフコンビで小気味よくボールを回し、エブラとクリ坊が左サイドを疾走し、中央ではルーニーとテベ公が素早い判断と少ないタッチでチャンスメークする。これだよ、これ。これがユナイテッドのフットボールだよ。これが王者のフットボールだよ。縁起は悪いがこのフットボールでなら負けても後悔はない。対するチェルシーはカウンターで浮き球のボールを多用しDFの裏をついてくる。そうさ、リアクション・フットボールなんてチェルシーにやらせておけばいい。


 ユナイテッドはどうやらサイドでの突破からクロスを入れてくる作戦のようだ。テリー、カルバーリョという中央の分厚い壁をぶち破るより、その方が効果的だと見たか。確かにクロスでなら2人を飛ばして攻撃出来る。サイドにいるのは小兵アシュリーと空中戦が得意というわけでもないエッシェン。上背があるわけではないユナイテッドのオフェンス陣でもこれならば張り合える。そしてこのクロス大作戦は早くに実を結んだ。前半25分にブラウンがあげたクロス。クリ坊を抑え込むことを任されたはずのエッシェンがなぜかクリ坊を見失っている。今シーズンのクリ坊にあれほどの余裕を与えたのなら決めるのは容易いことだ。決めるべき舞台で決めるべき人が決める。今シーズンのユナイテッドを象徴するかのようなゴールだった。
 クリ坊にとってもこのゴールは喉から手が出るほど欲しかったゴール。後に紹介することになると思うが、先日行われたインタビューでクリ坊は自らが大舞台で弱いと言われてることを結構気にしていた。加えチェルシーはクリ坊がプレミアリーグの中で唯一ゴールを決めたことのない相手。クリ坊に欠けていた唯一のもの。それは大舞台でチェルシーを相手に決めるゴール。そう、まさにこの試合でのゴールだ。だからこそ何が何でも決めなければならなかった。それを決めた。凄まじい。恐ろしいほど凄まじい。これでもう誰に何を言わせることもない。クリ坊が正真正銘のホンモノになった瞬間だった。


 しかしこのゴールで再び不安が訪れる。バルサ戦のようにこのリードを機にイタリアユナイテッドに移行してしまうんじゃないだろうか。だがそれも杞憂に終わった。1点リードした後もボールを支配し、試合の主導権を握る。そうだ、それでいい。
 クリ坊のゴールから8分後、ユナイテッドご自慢のとんでもトリオがとんでも高速カウンターでチェルシーゴールに襲いかかる。自陣からドリブルで持ち上がったルーニーが前線を駆けるクリ坊に見事すぎるロングフィード。これをクリ坊がキープし、この日絶好のカモとなっていたエッシェンの隙を突き、中央に折り返し。テベ公がそこへ走り込むが、なぜかテリーはマーク付くのに遅れている。虚を突いたどフリーでのシュート。でもなぁ。これを止めちゃうのがチェフって男なんだよなぁ。こぼれ球に詰めたキャリックのミドルシュートも右腕一本で止めてみせる。チェルシーの堅守の神髄を味あわされた。
 前半終了間際のペナルティエリアギリギリからのバラックのシュートも外れ、1-0でハーフタイムと思いきや。あんだねぇ、こういうことが。まあ仕方ない。1-0での勝利も癪だと思ってたところだ。これから2点目、3点目と取って胸張って勝利してやろうか、と悔し紛れの言葉を吐きつつ前半終了。


 後半に入ってもユナイテッドがボールをキープし、チェルシーがカウンターを狙うという大まかな構図は変わらない。もちろん両者とも守備が堅いからそう決定的なチャンスも生まれない。でも徐々に増していくチェルシーの勢いをユナイテッド側は気づきつつあった。試合も3分の2を終わろうとしているのに、チェルシーのプレスはここに来て厳しさを増す。全くタチが悪いセヨ。ユナイテッドはボールを持つも思うようにキープ出来ない。チェルシーはボールを奪うやいなやカウンターを仕掛け、着実にシュートかコーナーキックで終わらせる。気づけば時間の大半はユナイテッドの自陣で過ぎていた。やばいぞやばいぞ。この感覚は覚えがある。これは後半に恐ろしいほどの勝負強さを見せたあの強いときのチェルシーだ。今シーズンは逆にユナイテッドが後半に強く、チェルシーは弱いと言われていたし、実際そうだったが、でもこの日はなんだか趣が違う。チェルシーが逆転弾を決めようと雪崩のようにユナイテッドに襲いかかってくる。なんだよこれ!やだよ!この流れ!
 と思いきや。ユナイテッドにこの日一度目の僥倖が。ロシアの寒さにやられたかリオが足をつる。これにより試合は一時中断。チェルシー押せ押せの流れがここで途切れた。一旦落ち着きたかったユナイテッドにとっては思いがけないインターバル。
 水を差されたチェルシーだったが、それでも取り戻した勢いは緩まない。勝負所ってもんを知ってんなぁ。うん、強いよチェルシーは。そんな77分、ユナイテッドにとって2度目の僥倖。ペナルティエリア付近でボールを持ったドログバが地が沈まんばかりに軸足ふんばり助走なしのキャノンシュート。ユナイテッドサポーターの顔から血がさっーと引いたがボールは幸運にもゴールポストに。にゃー。もう心臓に悪いったらありゃしない。


 気づけば時間は85分。ここまで両者とも交代選手はいない。それだけどちらも完成したフットボールをしているということだ。しかしユナイテッドにはしなければいけないことがある。流れを変えるためにもここで一つ変化が欲しいところだった。スコールズに代わってギグシー登場。キャリックじゃなくてスコールズ?と思ったが、どうやらスコールズの鼻は骨折していたらしい。ハーフタイムには意識が朦朧として痛み止めの薬を飲まなければいけないほどだったとか。後半変わらずユナイテッドのゲームをコントロールしていたと思っていたのに、裏ではそんな戦いがあったとは。スコールズもまた凄まじい男だ。
 しかしギグス投入後も目立ったチャンスはなく後半終了。延長戦突入。


 延長戦に突入するとさすがにチェルシーの選手達にも体力が残っていなかったか勢いは弱まり、再び均衡状態に。ユナイテッドがチャンスを作れば、チェルシーが作り返す一進一退の攻防。延長前半1分ハーグリーブスの強いパスをギグシーがやわらかトラップワンタッチパスで俺たちをしびれさす。そのパスを狭いところでかろうじて受けたテベ公はルーニーにパスするものの、折り返しがチェルシーの壁に阻まれる。ルーちゃんはあそこで強引にシュートに持ってくぐらいのアグレッシブさを持ってもいいのに。周りを生かすのもいいけど、だからこそ今強引に行けば敵の虚を突き効果倍増って寸法よ。
 お次はチェルシーのターン。そしてユナイテッド3度目の僥倖。アシュリーに左サイドを破られ、折り返しのパスをバラックがランパードにナイスパス。そのランパードが仰天ルーレットでマークを交わしシュートを放つもまたポスト!ユナイテッド・サポーターの心臓が止まったのはこの試合で2度目。チェルシーのパンチはピッチ外で多大な被害を巻き起こしています。
 その後クリ坊がサイドを突破してクロスを入れれば、ジョー・コールがドリブルで中央を切り裂き、エッシェンが右サイドを猪突猛進力尽くで突き抜ければ、今度はエブラが同じような形でチェルシーの左サイドをぶち抜いていく。エリア内に進入したエブラ。しかしエブラはエッシェンより落ち着いていた。中にいるフリーのギグシーへ絶妙なパス。ギグシー見事にインパクト。ボールは確実に枠内。入った!決まった!決まらない!テリーーー!!!ウィガン戦を彷彿とさせるスーパーサブ・ギグシーのストライク。ユナイテッドの魂たるギグシー渾身のストライク。それを挫いたテリーの頭。ど根性ど頭。ウウェイ。こんな根性見せられたら外れても仕方ないと諦めざるを得ないじゃないか。その後も抜ければ一点もののカルーの突破をビダが負けじと体で止めてみせる。ウウェイウウェイ、見てるこっちまでもうおかしくなってきた。あつい。あつすぎる。


 延長後半はこの熱さが良からぬ方向に。テベ公がなにやらチェルシーを挑発。堪えるほどの理性もすり減らしていたと言うことだろう。まずはバラックが悪ノリして事態を悪化。その横でビダとテリーがなにやらいざこざ。試合前に汚いやつだとビダに挑発を受けていたドログバ。またお前かとつっかかる。かけた手を振り払われると思わずビンタ。あーあー。それだけはやっちゃいかん、と端からは軽く言えるけど。まあでもドログバの中にも爆発させざるをえなかったものがあったんだろう。でもルールの中で生きるものとして報いは受けなければいけない。一発退場。それにしても退場する際ビダに詰めかかるドログバはチンピラにしか見えんかったなぁ。
 高まっていた熱狂もこれで水を差されて一気に消沈。決着はPKでつけましょうやと暗黙の了解があったかのごとく延長後半も終了。PK戦に突入。


 まず何かが起きたのはユナイテッドだった。あれほどゴールを決め、あれほどユナイテッドを引っ張ってきたクリ坊が完璧にチェフにコースを読まれ、まさかの失敗。ここで出るのか、クリの若さが。その後は貫禄を見せつけるかのようにランパードがゲット。その後もハーグリーブス、アシュリー、ナニがコースを読まれつつも着々とゴールを決めてゆく。クリ坊以外外したものはいぬまま、チェルシーは5人目のキッカー、ジョン・テリー。
 正直な話、ないと思ってた。もうないと思ってた。2度あることは3度ある。が。4度あるほど世の中甘くもないだろう。しかし。ここでくるのか、4度目が。テリー、足を滑らせ失敗。ユナイテッドが4度僥倖に救われた。もうここで自分は腰が砕けた。だってそりゃ絶望するものあの状況じゃ。もうその後はギャーギャー騒いでた記憶しかない。アンデルソンが決めれば絶叫して飛び上がり、カルーが決めればまだあるまだあると落ち着くはずもないのに無理に自分を落ち着かせ、ギグシーが決めりゃ、もうギグシーの渋さに小便もらしかけ、アネルカが外したときは「あ、やっぱりか」とは思うものの、嬉しさが圧倒的に上回り倒れ込んだ。
 勝った。勝った。本当に勝った。信じられない。この一言が自分の気持ちを説明しうる。本当に勝ったのか?本当に勝ったのか。本当に勝ったんだ。うん、マジで勝ったんだ。勝った!勝った!勝った!
 



 試合後倉敷さんが宮内さんに投げかけた質問が自分の頭の中にずっと残っていた。「ユナイテッドの勝因はなんでしょうか」。ユナイテッドの勝因。ユナイテッドの勝因。ユナイテッドの勝因。
 ユナイテッドの敗因ならすぐに答えられただろう。あそこでPKを外すという甘さを見せたクリ坊。テリーが決めていたなら、ユナイテッドの敗因はそれだった。クリ坊が外してユナイテッドは負けパターンに突入した。あのままなら普通に負けていた。テリーが決めてそれで負けだった。でもテリーは外した。外れた。で、ユナイテッドが勝った。
 だから勝因と聞かれて自分の中で答えはすぐには出てこなかった。なぜユナイテッドは勝ったんだろう。なぜチェルシーは負けたのだろう。気になってもう一度試合を一から見直してみた。再び試合を見てみて一つの感想を抱いた。「チェルシーが負けるよう運命づけられているような試合だな」。もちろん結果論ではあるけれども。これまでチェルシーを引っ張ってきた大黒柱のドログバ、ランパード、テリーの3人。そのドログバとランパードのシュートはポストをたたき、テリーはPKを外した(そういやユナイテッドの勝利が決まった後の倉敷さんの「テリーが決めれば優勝というシーンで外すというのも慚愧に堪えない」ってどういうことだろう)。この人たちが決めれないなら勝てなくても仕方ない。そういう人たちがミスをしている。ではなぜ彼らはそういう運命をたどらなければいけなかったのだろうか。自分なりの答えはあるけど、それを書くとまた面倒なことになりそうだから自粛しておく。一応ヒントらしきものを置いておくと「始まりは3年前」、そして「贖罪」だ。でもあれですよ、ホント観念的で独善的な結論ですよ。


 チェルシーはユナイテッドに勝るとも劣らない。それはこの試合で証明されたと思う。でもプレミアリーグではユナイテッドが優勝し、チャンピオンズリーグもユナイテッドが頂いた。両者を分けたのは本当にわずかの差。それは何だったのか。御大は試合後に「運命が私達に味方した」という。ミュンヘンの悲劇から50年目。ユナイテッドは勝つべき運命にあったのかもしれんね。先の倉敷さんの質問に対する答えらしきものはこれぐらいしか浮かんでこない。またユナイテッドが勝つべき運命にあったのなら、チェルシーは負けるべき運命にあったという思いも強くなる。テリー、ランパード、ドログバが外したってのはそれだけ象徴的な事実に見える。でもこのフットボール至高の舞台の一つで味わった絶望で贖罪はなされたと考えたい。そうじゃなきゃかわいそすぎるよ。

 最後はなんか運命論になってしまったけれど。それほど両者に差と呼べる差はなかった。本当におもしろい試合だった。ユナイテッドのみんなもチェルシーのみんなも本当にありがとう。そしてユナイテッドのみんな優勝おめでとう。そしてありがとう。こんなに誇らしいことはありません。12月、日本で待ってます。

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2008年05月19日

U.N.G vol.2

 気になるユナイテッドのニュースを並べてみる不定期コーナー、U.N.G。ざっくりさっぱりがモットーなので、全訳することもなけりゃ、バリバリ意訳するし、個人解釈もモリモリです。



「オーレ、ロナウドを語る」
(元記事:Ronaldo can be match winner for United in Moscow, insists 1999 Champions League hero Solskjaer  the Daily Mail)

 去年の夏に長年痛め続けた膝をまたやっちまい、とうとう引退を決意したオーレ。そんなオーレは今ユナイテッドのFWコーチとして新しい人生を邁進中。オーレは今もまだユナイテッドと共に戦っているのだ。そんなオーレの現在の目標はもちろんモスクワ決戦での勝利。あのカンプ・ノウで決めた伝説的ゴールの秘訣を若者どもにたたき込んでやって欲しい今日この頃。オーレがクリ坊について語った。

「今シーズンはロナウドにとって真の意味で名誉となるシーズンになったね。5年前ユナイテッドにやってきたばかりの彼をまだ覚えているが、ひょろっとしててまだ少年だった。当時からテクニックと才能は抜群にあったけど。それが今ではチームプレーも出来るようになり、リーダー的存在にまで成長した。コーチとしてそういうロナウドの成長を見るのは嬉しいよ」

「もう技術的な面でロナウドに教えるものはない。だからもう少しエゴイスティックなプレーは避けようとか、もっとリーダーとしてのプレーを考えようとか、そういうアドバイスしかロナウドにしてやれることはない。しかもそのアドバイスを全部やってのけちゃうからね」

「彼は他の偉大なプレーヤーと同じく『聞く耳』を持っている。ベストな選手になるために知識に貪欲で、細かいところにまで手を抜かないんだ」

「シーズン41ゴールというロナウドの記録はホントすごいね。私の記録となんて比ぶべくもないよ。記録の面で言えばニステルローイがシーズン44ゴール決めてるけど、でもロナウドはウイングとしてプレーしての記録だからね。でも彼はまだまだこの数字じゃ満足はしないようだ。今も日々努力を怠らずにいるよ」



 クリ坊に関して驚くべきはピッチ外でのストイックな姿勢。そりゃ過去におイタしたこともありました。今でもアンデルソンらと羽目を外すなんてことがあるみたいだけど、でも締めるとこはガチーッと締めて、貪欲に上を目指し続けてる。見た目はちゃらけてそうなのにねぇ。昨シーズンの中盤頃からホントクリ坊は変わった。その変わり様の裏にはオーレの述べてる常に上を目指し続けてる姿勢がある。いつだったかワールドサッカーダイジェストでギグシーがクリ坊の精神的落ち着きについても驚いていた。これで23だってんだからホント怪物だよなぁ。あとはモスクワでゴールを決めるだけだ。




「サハ、憂う」
(元記事:Shadow man Saha fears painful parting from United  Football  The Guardian
Louis Saha Champions League final could be my last Man Utd game - Mirror.co.uk

 今シーズンも怪我でチームを抜けることの多かったサハ。いくら力を持っていてもそれを発揮できないんじゃ意味はない。新戦力テベスの台頭もあった。居場所がどんどん狭まっていくのを自らの肌で感じたサハの吐露。

「モスクワ決戦がユナイテッドのプレーヤーとしての最後かもしれないことは自分でもよく分かっている。監督が他のストライカーを求めても、それは仕方のないことだろう。もしそうなったら辛いし、そんなことは考えるのも嫌だ。ユナイテッドを愛してしまったからね。でも監督が下した決断なら、たとえそれがいくら自分にとって辛い決断であろうとも、私は受け入れる。ファーガソンは私にとって本当に特別な存在だから。彼はいつも私のためを思ってくれていた。決勝で恩返しが出来ると良いね」

「ユナイテッドは世界で最大最強のクラブだ。だからチャンスの数も当然限られる。怪我をした時は本当に惨めな気持ちで、気分が悪くて仕方なかった。私のプレーしたいという気持ち、プレーして何かを勝ち取りたいという気持ち、それをよく分かってくれている家族にも心配をかけてしまった。怪我をしたときはホントどうしていいか分からないんだ。ろくに動けないんだから。ずっとずっと同じ場所にいなければいけないんだ」

「ユナイテッドは巨大なクラブだ。常に前進し続けなければいけない。レベルを保つために常に戦力を維持し続けなければいけない。自分のクラブの選手リストを眺めたとする。それが信じられないようなラインナップであったとしよう。でも激しい競争は止まることを許してくれないんだ」

「モスクワではベンチに座っていたいね。今は怪我のことじゃなく勝利のことだけを考え続けられる。この一週間モスクワでプレーするレベルにあると証明するため必死に練習してきた。もし試合に出れて、あのオーレのゴールが再現できたら最高だろうね。あの決勝のビデオは見るたびえも言われぬ気持ちになって、私に刺激を与えてくれる」



 怪我で今シーズンも思うようにプレー出来なかったサハ。その歯がゆさが痛いぐらいに伝わってくる。サハのことを考えるたび本当に複雑な気持ちになる。怪我をした選手自体には全くとは言わないが、ほとんど非がなかったとして。でも怪我で抜けることは色んな人に迷惑をかける。それを支えていくのがチームというものなのだけれど。でもたまにサハのように怪我が常態化する選手がいる。使いたい。でも使えない。こういう選手をどう扱えばいいのか。長いリハビリ生活の中、サハはどんな決断でも受け入れる覚悟が出来ているようだ。サハの言うとおり常にユナイテッドは上を目指さなきゃいかん。辛い。しかしこれが勝負の世界。

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2008年05月17日

U.N.G

さてさて。


 マンチェスターのいろんなニュースを探していたら、ちょくちょくおもしろいものに出くわす。そんな中からいくつかの記事をピックアップし、ざっくりさっぱり伝えていく不定期コーナー、U.N,G。何の略かはこんなブログに立ち寄るほどのフットボールファンなら分かってくれるはず。ざっくりさっぱりがこのコーナーのモットーなんで全訳することもなけりゃ、バリバリ意訳するし、個人解釈もモリモリです。



「ギグシー、スーパーサブに目覚める?」
(元記事:I can be Man United's supersub, says Ryan Giggs.)

 ウィガン戦で途中出場し、ユナイテッドの優勝を確実なものにする2点目を挙げたギグシー。どうやらその味が大層格別だったらしく、「オーレの穴は俺が埋めてやんべ?」と思っているとかいないとか。チャンピオンズ決勝でチャールトンの記録を更新することが確実視されているギグシー。スタメンで出るか途中出場するかは分からないが、途中出場した暁には、あのテディとオーレのおいしすぎるゴールを真似してやりたいと思っているかも。以下ギグシーの起用論。ギグシーの記録更新に対する考えとあのゴールを決めた時の心境もあったのでそれも添えて。

「そりゃ俺も歳だし、ナニやパクチーもいるから全試合スタメンで出れるなんて思っちゃいない。仕方のないことなんだ。ベンチを受け入れる覚悟も現代フットボールを生き抜くためにゃ必要なんよ。そういう時はすねてないで、途中から入って、ガツーンとかまして、監督に『あいつをスタメンで起用するべきだった!』と後悔させてやるのが一番なのさ」

「チャールトンの記録に並べたのは嬉しいけど、でもタイトルを獲れたことの方がより嬉しい。まだ記録云々を考える段階じゃないだろ実際」

「長い間ゴールを決めてないんで、どう喜びを表現すりゃいいか忘れちまってた。でもあの日は雨が降ってて滑りやすかったからダイビングすることにした。そしてその先には俺たちのファン。もう最高」



 インタビューを読んでいると、スーパーサブを気に入っているわけではなく、あくまで「スーパーサブの仕事でも文句なくやりまっせ」ということらしい。あくまでも仕方なくベンチ入りを受け入れ、途中出場したときは次はスタメンに選ばれるよう全力を尽くすという姿勢はまだまだギグシーの中で向上心が消えていない証拠。ホント頼れる兄貴だ。チャンピオンズは任せましたよ。




「御大、BBCを未だ許さず」
(元記事:Ferguson will never talk to the BBC again.)

 BBCが作った御大とその息子のドキュメンタリー番組を見てブチぎれたことのある御大。息子が御大の名声と地位をむさぼってる的な内容だったらしい。その番組を見たわけではないから、こちとらどうともいえないけれど。以下"An Audience With...”という番組で御大が語ったBBCに対する感想。

「BBCの記者は傲慢すぎる。そんなにBBCが偉いのか。やつらは謝るってことを知らん。おっきな会社だし、世間的信用もそれなりにあるからそうなってしまうんだろうがね。あまりにおっきいから自分たちが訴えられないとでも思ってるんだよ。もう私は二度とBBCのインタビューに答えてやらん」

 BBCの不遜な態度に切れているのは何も御大だけじゃないそうで。去年選手の移籍金をピンハネしてるか何かの疑いをかけられたサム・アラダイスとハリー・レドナップもBBCのインタビューは拒否しているらしい。


 これは実は前フリで。この番組で御大はかなり饒舌だったらしく、いろんなことを語ってくれている。これがなかなかにおもしろい。一部切り抜き。

ベッカムについて

「結婚がベッカムを変えてしまった。結婚するまでは何の問題もない良い選手だったのに。夜まで練習する好青年だったんだ。それが結婚して一躍メディアの対象となってしまった。いわゆるセレブになってしまったんだな。その時からもう昔には戻れなくなってしまった。彼に対するフットボールの割合が相対的に小さくなってしまったんだよ」

スコールズについて

''「スコールズはかなりシャイなんだ。ピッチ外で目立つのを嫌う。そんなポールをからかうのが大好きでね。スコールズに近寄ってこう言ってやるんだ。『おい、スカイがインタビューしたいそうだぞ』。するとスコールズの顔からさーっと血が引いていくんだ(笑)。もしスコールズがもう少し目立ちたがりだったなら、今ほどの選手になっているか疑問だな」

スタムについて

「スタムを放出したときはアキレス腱の怪我から復帰してきたばかりで、もう全盛期の頃の働きは難しいと考えてたんだ。そんな時ラツィオから巨額のオファーが来た。当時断るにはあまりにもったいないオファーだった。でも正直言って当時の考えは間違いだったと思ってる。今でもアヤックスで良いレベルを保ってるのがその証拠だ」

W杯でのルーニーとクリ坊のいざこざについて

「ワールドカップの決勝が終わった後ウェインが私に電話をしてきたんだ。『監督、良いアイデアがあります。クリスティアーノと僕とが会談して、2人の関係は全然良好だとアピールするんです』って。私はそれはやりすぎだと思った。代わりに私と最高責任者のジルとでポルトガルに向かい、ロナウドと話をしたんだ。彼は納得してくれて、別に今後もユナイテッドでプレーすることに不安はないと言っていた。一応イングランドの彼の家に警備は増しておいたけど」

自身が認める監督について

「チャールトンのパーデューは持ってるものがある。若くて良い監督だ。ロイ・キーンには良い時期に良いチャンスが巡ってきた。ロイもまた気力のある監督だ。古株で言えばアラダイスは影響力のある監督だ。アラダイスのマネージングはとても変わっていて、スポーツ科学を多分に取り込んでいる。ボルトン時代、確かあらゆる方面のスタッフを16人も抱えていたはずだ。そうして彼はボルトンを弱小チームから今のようなチームにレベルアップさせてみせた」



 やっぱりまだベッカム、というかビクトリアを許してないんだなぁと再確認。御大からベッカムを奪った女。嫉妬深い性格なのか、やはり歯に衣着せぬ言い方になっている。まあでもあのルックスならビクトリアと出会わなくても、いずれはセレブになっていたとは思うけど。個人的にはベッカムが個人として下した決断なんだから、もうちょっと理解してあげてもいいとは思う。
 そんなベッカムへの当てつけかのように、メディアに出たがらないスコールズをべた褒めする御大。やっぱり指導者としてはこういった選手の方が好きなんだろう。ギグシーもスコールズと同じでメディアに出るのを嫌う男。ファーガソン帝国で長期間地位を維持するには実力の他にも必要なものがある。
 その必要なものを持っていなかったスタム。あの2人の性格を考えれば別れは必然だったような気がするけれども。でも御大にはスタムを放出したせいでセンターバック不足に陥った苦い過去が。その過ちを素直に認めるところに御大の懐の深さも垣間見る。
 御大の認める監督には元教え子マーク・ヒューズやスティーブ・ブルースの名前が出てくるかと思いきや、そんなに甘いお人ではなかったか。そんな御大が認めるのはアラダイス。ユナイテッド以外のチーム事情にはとんと疎いもんで、アラダイスがそんな監督だったとはつゆ知らず。頑固親父っぽい風貌からもっと精神論をかざす監督と勝手なイメージを持ってたが、今時のプレミアはんなもんで生き残れるようなリーグではもうないか。

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2008年05月13日

長い間

プレミアリーグ07/08 第35週 ウィガン vs ユナイテッド


 ユナイテッドの布陣はGKエドさん。DFラインは右からブラウン、リオ、ビダ、エブラと最強。中盤はギグシーが外れて、右からクリ坊、キャリック、スコールズ、パクチー。ギグシーを外してきたのが意外だったが、御大的にも情をとるか、実を取るかかなり難しい判断だったろう。FWはルーニーとテベ公。まあここで手を抜いても意味はなし。当然全力でぶつかっていく。


 勝てば優勝。引き分ければ追い抜かれると思って間違いない。こんな展開はトレブル以来9ぶり。すなわちユナイテッドの選手のほとんどが味わったことのない未知の境地。一番恐れるべきは失点だが、かといって点を入れないと勝つことも出来ない。相手が攻めてきてくれればお得意のイタリアモードで高速カウンターを炸裂させることも出来るのだけれど、ウィガンにそんなことを望むべくもない。攻めるべきか、守るべきか。どっちつかずのユナイテッド。思い切りのいい攻撃が出来ない。崩しの場面でミスが目立つ。それも当然といえば当然。今日は100%勝たなければいけない。どんなことがあっても何があっても絶対に。いつもの試合とは訳が違うのだ。そんなユナイテッドの緊張が画面を通してからでもヒシヒシと伝わる。スタジアムもやけに静かだ。この90分の間に何が起きるのか、それをただただ見守っていた。


 そんなユナイテッドの相手がウィガンだったのは幸運だったと個人的には思う。ウィガンは明らかにユナイテッドを「リスペクト」していた。ユナイテッドにとってこの試合がどれだけ重要な意味を持つかを、ウィガンの選手、そして監督がよくよく理解していてくれてたと個人的には思う。これがもしマグパイズやアストン・ヴィラなどだと話が違っていただろう。ウィガンの監督スティーブ・ブルース。1980年代後期から1990年代中期にかけ王者ユナイテッドを復活させ、現在の王者たるユナイテッドの基盤を築いた男の一人。こんな時に歴史が物を言うのだ。チェルシーにはないユナイテッドの強み。
 そんなブルース率いるウィガンの選手がエリア内でルーニーを倒しPK獲得。出来た話じゃないか。それでもまだ終わったわけじゃない。これを決めて初めて1点。蹴るのはもちろん記録がかかったクリ坊その人。ユナイテッドファンの頭によぎるカンプ・ノウのあの悪夢。ここJJBスタジアムでも恐ろしいほどのブーイングがクリ坊に向かって飛んでくる。だがしかし。「カンプ・ノウはこんなもんじゃなかったぜ」と言わんばかり、右隅へドン。決まった。マジで決まった。ホントに決まった。ユナイテッド待ちに待った先制点。崩れ落ちた人も少なくなかっただろう。かくいう私もその一人。もうこういう時は声が出ないね。
 それにしてもクリ坊は本当にすごい男だ。ここで決めるとは本当に伊達じゃない。すごい。本当にすごい。すごいとしか言い様がない。すごい。クリ坊は本当にすごい。この試合ではただただクリ坊のすごさを痛感した。


 ユナイテッドが恵まれたのは対戦相手だけではなかった。この日の主審、スティーブ・バネット。彼もまたユナイテッドをリスペクトしていた男の一人だと個人