2011年12月11日
11/12リーガ・エスパニョーラ 第16節 レアル vs バルサ
スタメン
GK:バルデス
DF:アウベス、プジョル、ピケ、アビダル
MF:ブスケッツ、チャビ、セスク
FW:メッシ、サンチェス、イニエスタ
試合のレビューを書く時は、システムが分かりやすいようにスタメンと一緒にポジションも書くようにしている。例えば上は4-3-3だ。ただここ最近のバルサの試合を見てると、自分でも「意味のないことやってるなぁ」と思う。確かに開始時のバルサのフォーメーションは4-3-3と表現できるけど、試合の中である時はアウベスとアビダルがラインを上げ、ブスケッツが最終ラインにはいり3-4-3、ある時はアウベスが上がり、ブスケッツとイニエスタが下がって4-4-2と、刻一刻と変化するからだ。これを4-1-2-3や4-4-1-1-のように更に詳しく書こうとするともう泥沼。
バルサというチームを表現するのは従来のシステム論ではもはや不可能、というか無意味なんじゃないだろうか、更に言うならバルサはシステムという概念を過去のものにしてしまったんじゃないだろうか、とかなり痛いことを恥ずかしげもなくニヤニヤしながら考える自分は、生粋のバルセロニスタだなぁとつくづく思う。
舌戦が大好きなはずのモウさんの異常な沈黙で始まった今回のクラシコ。選手にも沈黙を強要する徹底ぶり。景気づけにチャビでもいじってやろうかと息巻いていたはずのラモスは思わぬとこから肩すかしを喰らってしまった。そんなモウさんがようやく口を開いたと思ったら「我々は自信に満ちている」とひどく普通の発言。バルサへの煽りはとうとう出てこなかった。
このモウさんの変化の裏にあるもの、それはやはり自らの口で語った通り「自信」だろう。自らの目つぶし&侮辱行為でミソをつけてしまったとはいえ、開幕前のスーペルコパでは互角の戦い、というよりむしろ内容ではバルサを上回ることが出来た。シーズンが始まっても好調で、ここ最近は15連勝、試合数が多いバルサに勝ち点3差をつけて首位でクラシコを迎えることが出来た。「2年目のモウリーニョ」というありがたいのかありがたくないのかよく分からない異名に違わぬ成績。また彼は9年間ホーム無敗という記録を達成した御仁でもある。今回のクラシコはサンチャゴ・ベルナベウ。そら自信にも満ちあふれるわけだ。変にバルサを刺激することはない。このスペシャル・ワンたる私に向かってくるライバルを、約8万のサポーターを湛えるベルナベウで堂々と待ち構えていればいいのだ。
そんなモウさんに願ってもない幸運。試合開始まもなくバルデスが信じられないパスミス。ここから生まれたチャンスをベンゼマがものにして、まさかの開始1分1-0。やっぱり俺だ、俺なんだ。流れは俺に向いてるんだ。さすがスペシャル・ワンの異名は伊達じゃない。
しかし。モウさんの笑顔はここまでだった。試合内容は残酷なまでに正直で事実。2年目のモウリーニョ、9年間ホーム無敗記録、15連勝、どんな実績、データも、目の前で繰り広げらるゲームに何の影響も及ぼさない。ボールを支配するバルサに次第に試合も支配されはじめ、30分にはメッシとサンチェスに中央をぶち抜かれて同点、53分にはチャビにミドルで2点目を決められ、試合開始後のアドバンテージを全く活かせず、あっさりバルサに逆転を許した。
圧倒的にボールを支配してくるはずのバルサ相手に、フットボール界有数の戦術家であるモウさんが講じた策は一体何だったのか。世界一の負けず嫌いでもあるモウさんは、世界一負けたくないバルサ戦を前に、普通の人なら生きるのが嫌になるほどさんざシミュレーションを繰り返してきたはず。なのにそれが試合を通して全く伝わってこない。
お得意のアンチフットボールよろしく11人守備を披露するわけでもなく、バルサのお株を奪うボール回しを見せるでもない。バルサはたやすくボールを回し、カウンターもディ・マリア、ロナウドが簡単にボールを失って決定的なチャンスを作れない。モウさんにしてはあまりにも無策。もしかしてもうモウさんにはバルサ相手に出せる策が思い浮かばないんじゃなかろうか。
そう思えるほど試合はバルサペースで進む。チャビ、イニエスタ、セスク、メッシのカンテラーノスからは全然ボールを奪えないし、アウェイだってのにガンガン中央突破を仕掛けてくる。かといってこの4人にかまけてたら右ではアウベスが張ってボールを待ってるし。マルセロではてんで相手にならないこの人は、またクロスの質が抜群に良いときた。で、そのクロスに合わせてさっきの4人+サンチェスがエリア内に怒濤に突っ込んでくる。一体どう止めりゃいいのよ。
かといって守備がおろそかかと言えばそうでもない。前線中盤の選手はかいがいしく走ってくれるし、典型的な「4番」だったブスケッツも、今や立派なCBに成長した。一時期に比べ批判的な声も聞かれるようになったが、こういう大一番ではプジョルはやっぱり頼りになる。いやぁ、ホント良いチームだわ、バルサ。
なんてマドリディスタの心の声も聞こえて来そうな今回のクラシコ。試合自体は、その後アウベスのクロスをセスクがバチコン決めて3-1で勝負あり。内容でもレアルを軽く上回り、新戦力のサンチェスとセスクがベルナベウでゴールと、毅然な態度でコメントすべき会長も「楽勝だったね♪」と振り返るほど上出来すぎる結果となった。
結局、試合を通してついぞスペシャル・ワンらしさを発揮できなかったモウさん。収穫と言えば、またつつきたい衝動をなんとか抑えきりビラノバと和解の握手を交わしてスーペルコパでの汚名をほんの少し濯ぐことが出来たことぐらいかな?
そんなモウさんが試合後「バルサは我々より強かった」と発言したという。んなもん試合を見りゃ分かる、というのは簡単。しかしこの発言主があの世界一の負けず嫌いのモウさんだってんだからただ事じゃない。そうとうショックは大きいようだ。
ただモウさんはそうは認めつつも、一言余計なものを足さずにはいられない人。スポナビさんの記事を借りると、こんなことを言ったそうだ。
「サッカーの試合では、時にささいな事柄が勝敗を分けるものだ。運が味方することは重要な要素でもある。われわれが1-0でリードしていた時に迎えたチャ ンスでは、通常ならばクリスティアーノ・ロナウドが決めて2-0となっていたはずだ。だが、規格外の選手である彼のシュートが珍しく決まらず、その後われ われは1-1に追い付かれた。あそこでゴールが決まっていれば、試合はまったく異なる結果になっていたはずだ。前半は拮抗(きっこう)していたが、後半に 入り、こちらのミスでも相手の技術とも呼べない単なる幸運によりゴールを奪われてしまった。一方、2-2になるためのゴールが決まったかに見えたが、 シュートは枠をそれていた。確かに、その後は心理的に優位に立ったバルセロナに好きなようにボールを回されて1-3とされてしまった。とはいえ、こちらが 2-3にするチャンスでの相手GKのセーブは技術ではなく偶然にすぎない。単なる幸運が試合の流れを分けたのだ」
スペシャル・ワンが単なるラッキーマンと成り下がった瞬間。その幸運を知略で己に引き寄せ勝利を掴み取ってきたからこそ、あなたは今の地位があったんでしょうに。
ただまあ当然本気で言ったわけでもないだろう。さんざ言ってるように世界一の負けず嫌いだ。今回は審判のせいに出来そうもない、じゃあもう今回は運のせいにしちゃえと。そうだ、運が悪かったんだと、運が悪いから負けたんだと、運が良ければ勝ってたと、やっぱり俺はスペシャル・ワンなんだと、そう自分に言い聞かせているのだろう。これまでの勝利の価値を危ういものにしてまでも。
それを会見でやっちゃうのはとても恥ずかしいことで、とても情けのないことだけれど、でもそんな判断がつかないほど3-1の結果はモウさんに重くのしかかっているということの裏返し。
冒頭で書いたように、絶対の自信を持って今回のクラシコに臨んだだけに、比例してショックも計り知れない。やっぱりバルサには真っ向勝負では適わないと、8万人のサポーターの前で示してしまった。
この絶望的な現実を前にモウさんが次に取る手段はどのようなものだろう。記憶に新しいのは去年の11月バルサがホームでレアルを5-0で破ったクラシコ。普通のやり方ではこのバルサには勝てないと悟ったモウさんがその後しきりに「バルサの対戦相手にはレッドカードが良く出るねぇ!」と大声で叫び始めただけに、バルセロニスタとして悪い意味で良い予感がしない。
posted by myrowka |13:20 |
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2010年07月08日
さてさて。
世界中がワールドカップに夢中になっている中、クラブものんきに自国の代表を応援しているワケでは当然なくて。ユナイテッドにはメキシコ代表でも活躍した“チチャリート”ことエルナンデスとフルハムのスモーリングが加入してたり、マドリーはディ・マリア獲ってたり、チェルシーにはベナユンが入ってたりと、衆目が南アフリカに集中する中どのクラブもしっかり仕事をしている。もちろんバルサだって同じ。同じどころかバルサにはクラブを揺るがす最大級の変革が起きている。会長選挙だ。6月に行われ、これまでの会長であるラポルタとは犬猿の中だったサンドロ・ルセーが新会長に決定した。
地獄の中を生きたような悲惨な記憶しかない前々会長ガスパール政権の後を継ぎながら、03年に会長に就任してからの7年間でバルサに4度のリーガと2度のビッグイヤーをもたらした辣腕会長ラポルタ。ただ任期が切れる2010年で会長の職を退く決意は結構前からしていたらしい。バルサの会長選挙には再選制限なんてないはずで(ヌニェスは20年以上やってたもんねぇ)、何で今回の会長選挙にラポルタが立候補しなかったのかは勉強不足で分からないんだけれども、ただ別に立候補してたとしても再々選なんてすることはなかったろう。
数多くの栄光を築いてきたラポルタだけれども、「私に反対するものはみな抵抗勢力!」というどこぞの元総理のような乱暴なやり方は敵も多く作り、ソシオの反感も買った。2年前には会長不信任投票まで行われ、60%ちょっとの不信任票をゲットしている。ちなみにバルサの不信任ラインは有効投票数の3分の2という激アマ仕様で、この時は何とか首の皮一枚で会長の座に留まった。そして今回の会長選挙でもラポルタ公認候補はぶっちぎりの最下位という体たらく。あれだけ結果を残しときながら、最終的にバルセロニスタに嫌われて会長職を去ったラポルタの後ろ姿はなにか涙を誘うものがある。個人的には好きな会長だったんだけど。えてしてサポーターというのは強欲で不義理なもんだ。
ラポルタの後を継ぎ新会長になったのが、ラポルタ政権初期に副会長としてロナウジーニョやデコの獲得などに尽力しバルサの第一次黄金期の礎を築いたものの、次第に会長と反発して豪快にクラブを辞めていったルセーだってんだからバルサは面白い。まさにリアル権力闘争ドラマだ。もちろんルセーはそれだけの男ではなく、元ナイキの敏腕ビジネスマンで、当時セレソンやバルサとのユニフォーム契約などビッグプロジェクトを数々成功させてきた手腕の持ち主。当然コネも豊富。バルサみたいな大きなクラブの会長やるには純粋にフットボールへの造詣だけでなく、経営面でも深いノウハウや経験を持っていなければダメだ。そういう意味ではさすがはバルセロニスタ、目が肥えている。個人的にもラポルタに一切こびず、真正面からぶつかっていったその姿勢には共感をもっていたし、今後のルセーの活躍には期待してきたいところ。
そんなルセーが早速仕事をしている。ラポルタ政権時の余剰戦力の粛正だ。
粛正と聞くとビクッ!としてしまうのは、なにも自分が尊王攘夷派だからじゃない。新会長の粛正といえば、どうしてもラポルタが会長就任当初に行ったベテラン選手orガスパールの息がかかった選手の大追放劇を思い出してしまう。クライファート、ルイス・ガルシア、カレスマ、ライツィハー、コクー、エンリケ、ロッチェンバック、メンディエタ、フランク・デ・ブール、クリスタンヴァル、リケルメ、ソリンなどなど、それまでのバルサを支えていた選手をラポルタは無情にも次々と切っていった。勝負の世界だから結果が出せなければ、クビも当然。それは分かっちゃいるけども、それでも浅からぬ恩がある思い出深い選手達がゾロゾロと大群を成してバルサを去っていく姿を見るのは正直辛いものがあった。
新会長は前会長の残り香を嫌う傾向にあるのだろうか。そういえばマドリーのペレスも前会長カルデロンが連れてきたロッベンやスナイデルをやけにあっさりポンポンと手放したっけ。まあ新しく会長になったんだから、自分の色を出すために昔の色を早く消してしまいたいというのは当たり前といえばその通りなんだけれども。
そしてルセーも先達と同じように前会長の残した余剰戦力を整理している。まずはアンリがクラブを去った。契約解除だから移籍金収入はなし。でもアンリにとって新しい就職先を探しやすい環境を作ってやれたんだから、バルサはきっと良いことをしたんだろう。そして次にヤヤ・トゥーレがシティに去った。移籍金は約2800万ポンド(約37億円)と言われている。ホントシティはこの不景気なご時世ありがたいクラブだ。お次はチグリンスキ。移籍金は1500万ユーロ。2500万ユーロで獲得したと言われているから、ぜいたくな買い物になってしまった。そしてこれからも放出は続くそうで、フレブ、ケイリソン、エンリケ、カセレス、マルケスなどが候補に挙がっている。
・・・・・・。ただ、こうしてみると粛正と大げさな言葉を使ったものの、新会長が行う人員整理という作業に個人的なトラウマが呼び起こされただけで、ルセーは至極真っ当な仕事をしているように見える。ケイリソン、エンリケなんて何の為に獲ったのかよく分からなかったし。フレブももうとっくにバルサの選手じゃなかったし。ただ個人的にMFもウイングも高レベルでこなせるフレブはバルサに残って欲しかったけど、ベンチ生活が嫌だから去ったフレブにバルサ復帰という選択肢はなかったろう。カセレスも同じく。
でもやはりマルケスは去るとなると胸に来るものがある。地味に第一次黄金期、2005-06シーズンCLを獲ったメンバーの中でカンテラ出身の選手を除き唯一の生き残りだったマルケス。当時のスタメンを並べるとGKバルテス、DFは左からジオ、プジョル、マルケス、オレゲール、MFはエジミウソン、ファン・ボメル、デコ、FWは右からジュリ、エトー、ロナウジーニョ。メッシ、シャビは怪我、イニエスタは戦術的な理由からベンチだった。まだまだ記憶に新しいサンドニでの戴冠、ベレッチのスーパーゴール。今ではそれを知る外様選手もマルケス一人になってしまった。彼の退団は一つの時代の終わりとして象徴的なものになるだろう。悲しいけど、でもこれもいつかは踏まなければいけないステップか。
ということで。ラポルタと比較すると小規模になりそうなルセーの粛正。それも当然と言えば当然で、ラポルタの時は色々とひどくて手をつけるべきところがいっぱいあったけど、今のチームはリーガ2連覇中で、ヨーロッパでも好成績を残している。その好調なチームの中でダブついてる箇所だけを的確に処置している印象のルセー。チグリンスキの件なんか対応も早かった。今のところなかなかの好印象だ。
先日バルサの給与未払い問題が発表されたが、これもラポルタ政権を不透明不透明と糾弾してきたルセーの新たなカラーの表れかもしれない。恥ずかしい隠すべきことでも臆せずさらけだして、その上で真摯に着実に対応していきまっせ、というメッセージ。そういう意味ではルセー・バルサは結構お金にシビアなクラブになるかもしれない。そうなると相応のオファーがあればイブラは1年限り、なんてことも十分ありえそう。個人的にはメッシ、イブラ、ビジャのトリデンテは是非とも見たかったんだけど、まあまだ先のことは考えないでおこう。
ただそうなるとルセーとペップの相性は抜群だ。カンテラーノをガンガン起用するペップ。トゥーレとアンリがいなくなっても、ブスケッツとペドロがその穴を難なく埋める。イブラがいなくなったとしても、「我々にはボージャンがいるじゃないか」なんて言ってくれたら失禁しそうな程しびれるんだけどなぁ。ジョナタンとも契約延長したそうだし、お財布に優しいバルサのカンテラは、ルセーの下でもっと輝くことになるかもしれない。
posted by myrowka |02:53 |
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2009年05月09日
さてさて。
いつぶりだと最新記事を見てみたら1月5日だって。アドリアーノのことなんてこれっぽっちも叩けないやる気のなさ。
ということで。ひっそりと復活。この4ヶ月ちょっとの間にいろいろあって我らがバルサとユナイテッドは共にリーガとプレミアで首位に立ち、チャンピオンズリーグでも決勝まで進ませていただいている。ミランも最近調子が良い。もうウッハウッハな今日この頃。
そんなことはさておき。恐ろしいほどの遅筆ではあるけれど、今更ながらクラシコについて書いてみる。
開始直後、自分はマドリの守備ラインの高さを見て、歓喜にむせいだ。マドリーの事を日々憎んでいる身ながら、バルサ相手に勇猛果敢にラインを上げてくるマドリーに、不本意ながら心から感謝した。「ありがとう、マドリー」。粉微塵の他意もない俺のまっすぐな気持ち。
ここ最近、1-4で負けたボロバルサ等の例は除いて、「強い」バルサを本気で倒そうとするチームは決まって引いてきた。引いて守ってカウンター。モウリーニョのチェルシー、ファーガソンのユナイテッド、就任直後ファンデ・ラモスのマドリー。名前だけ聞けばヨダレが出るようなクラブとのビッグゲーム。しかし中身は全部が全部バルサが攻めて相手が守るデジャブ展開。ヒディンクのチェルシーなんて言わずもがなだ。
良い悪いの話じゃない。ただ自分がどことなくもの足りないと感じているだけの話だ。それ以上でも以下でもない。でも本音を包み隠さずぶっちゃけて言えば「もうこんな展開見飽きたんだよ!!!」、とまあこういう風に感じていて。
でもこれが仕方のない話だということもよく理解している。世界最高の攻撃力を誇るバルサを止めるためにはそうする他ないんだから。そう思えば何となく気も晴れる。
のだけれども、やっぱりぶっちゃけて言えば「どっかこんなバルサと真っ向からやり合ってくれるやんちゃなチームいねぇかなぁああああ!!!」とずっとずっと思っていたわけだ。
そんな中迎えた先のクラシコ。実を言うとちょっぴり期待はしていた。「私どもはあなた様より目下です」と宣言せんばかりのドン引きカウンターを、敵地カンプ・ノウでならまだしも、まさか数万のマドリディスタの前では出来ないだろう。かといって数日前ヒディンクが示したようにそうでもしない限り今のバルサを抑えることも出来ないわけだ。ファンデ・ラモスはどちらを選ぶか期待と不安を胸に待ちわびたキックオフ。結果は冒頭に書いた通りだ。
マドリーが自らのホームで挑んできたガチンコ勝負。バルサの選手達が超絶キープ&パスで相手を翻弄すれば、マドリーも負けじとロッベンらの個人技で真っ向勝負。こんなに楽しいクラシコは本当に久しぶり!技術だけじゃなく意地をこれでもか!とぶつけ合うクラシコらしいクラシコ!
ファーガソンが今回のクラシコについてこう語ってた。「私は自らの立場を忘れて、試合に熱中してしまったよ」。決勝でのライバルとなるかもしれない相手を観察しなければいけないのに、その仕事すら忘れさせるほどフットボールの魅力がふんだんに詰まった試合。あぁ、ホントに幸せだ、わたしゃ。これだからフットボールはやめられない。
そうだよなぁ。フットボールってこうでなくちゃいかんよなぁ。今回のクラシコを見ていてすごく懐かしい気持ちになった。まだ子供で親に頼み込んでやっとこさケーブルテレビをつないで見た試合、雑誌でしか見ることのなかった選手達のあんなプレーやこんなプレーを毎週わくわくしながら見ていたあの頃。当時はプレミアリーグのCMで流れるゴール集ですらかじりついてみていた。そんな昔感じたトキメキを思い出させてくれたクラシコ。フットボール好きになった原点がそこにあった。
あれからもうかれこれ10年ぐらい経つ。10年も経ちゃほんの少しはフットボールの見る目もつくというもので。ホームでライバル相手に「負けるものか!」と真正面から挑んできた相手に感謝した。間違いない今季1番楽しい試合。マドリーよ、本当にありがとう。
しかしそれと同時にこうも思う自分もいた。「バカだなぁ」。今のバルサ相手に後ろあれだけスペース空けてただで済むわけないじゃないか。メッシやアンリが舌なめずりしている姿がまざまざ目に浮かぶ。これならもうバルサの大勝は約束されたも同然だ。
先制点をとって「お、これは引いてくるかな」と思いきや、マドリーは攻める気を失わない。純粋に楽しいフットボールを望む自分は「史上稀にみる熱い展開に水を差さないでくれでありがとう」と感謝をするけど、しかし一方で冷静にフットボールを観戦する自分も自分の中には少しいて、そいつは「でもこのままじゃやられるに決まってんのにホント何考えてんだろ、ファンデ・ラモスは」とえらく冷めた目で試合を眺めてる。結果はご存じの通り、6-2でやっぱりバルサの圧勝だった。
バルサ相手に無謀とも言えるほどディフェンスラインを高くして攻撃的に戦ったマドリー。結果無残にもあんな形で散ることになったわけだが、あんな暴挙に出た理由を個人的には「プライド」と考えていた。バルサに勝つためには引いて守る他ないが、かといって永遠のライバルをホームに迎えてそんな恥ずかしい真似は出来ない。バルサが攻めてくるんだから、俺たちも攻める。そんな気概がマドリーのディフェンスラインをあれだけ高くさせたのだと考えていた。
のだけれど、ファンデ・ラモスのコメントを聞いてみるとどうやらそういうことでもないらしい。「カンプ・ノウでは引いて敗れた。今回は前から行ってもダメだった」。そんな単純な理由!?実よりも誇りを選んだマドリーにちょっぴり感動すらしていたのに。
そうだとして、じゃあ引いて守っていれば満足する結果が得られていたかと言えば、それはどうか分からない。が、マドリディスタはマドリーが90分間ホームでバルサの攻撃を耐え忍ぶ姿を見続けるという最大の屈辱恥辱から逃れることは出来たことは確かだ。アンリが4点目を決めるまで、特に前半はクラシコらしい本当に良い勝負が見れた。結果はあんなんだが、マドリーは前を向いて倒れたと思う。このクラシコでマドリーが唯一誇れる点だ。
今回マドリーはバルサに真正面からぶつかりそして砕け散った。引いて守っていたとしても結果は同じく粉々だったと思う。要は実力が足りなかったのだ。思えばそこはバルサが1年前1-4で敗れた場所。マドリーが1年前4-1で勝った場所。1年でチームとはこうも変われる。会長選等でいろいろごったごたするようだけれど、バルサは来年も曲がることなくまっすぐ勝負挑むから、そちらさんも真っ向勝負でバルサと渡り合える実力つけてきてくださいね、という話。
posted by myrowka |03:36 |
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2008年08月23日
さてさて。
出場国全選手のデータが載っていたので、普段は買わない週刊サッカーダイジェスト(No.962)まで買ってオリンピックフットボール観戦に準備を整えていたんだけれど、いざ放送予定を調べてみたら決勝戦しか放送しないという不遇ぶり。そりゃグループリーグの放送がないことぐらいは覚悟していたけれど、決勝トーナメントすらないとは。CSもっとしっかりしてよ。延々とレイルウェイズカップやアムステルダムトーナメント放送してる場合じゃあない。が、なんだかんだ言って一番悪いのは下調べもせずそんな本衝動買いしてしまった自分ってことも重々承知。
買って得た貴重な情報もある。ナイジェリア代表監督・サムソン・シアシアのインタビューだ。このインタビューを見て、日本の負けを早々に悟った。
日本と戦えてラッキー。金メダル以外は考えていない。結果が全て。代表のユニフォームを着ることに誇りを持てない選手(ミケル)など必要ない、などなど。
インタビューを読むと、シアシアの代表を指揮することへの誇りと自らの実力への自信をひしと感じることが出来る。そして国のために「戦う」ことではなく「勝つ」ことを義務とするその姿勢に、日本とナイジェリアの間にはとても埋められそうにない溝が存在することを知った。そりゃ反町ジャパンが勝てるはずはなかったし、バカにされるのも当然というものだ。ナイジェリアが不遜なのではない。自らの作り上げてきたものに対する誇りがそうさせるのだ。
悔しい。悔しいが、それが現実だった。
そのナイジェリアと決勝で対するは案の定ブラジルを下したアルゼンチン。ドゥンガは批判を避けられないだろう。何よりロナウジーニョを招集したことを。バルセロナでは終始不調で最後は怪我をし公式戦から何ヶ月も離れていたロナウジーニョ。コンディション不良の上に怪我にまで悩まされた選手を初戦からフル出場させ、チームの核を託した理由は勝利以外では説明不可能だった。
代表監督就任当初ロナウジーニョから背番号10を奪い去り物議を醸したドゥンガだが、なぜここに来て態度を翻しロナウジーニョを特別扱いしだしたんだろう。オリンピックだということで少しなめてかかったか、それとも代表での成績不振が路線変更を余儀なくさせたのか。素人監督が辿りうる最悪のパターンを地でいくドゥンガ。フットボール王国も監督問題に四苦八苦してるんだねぇ、と少しばかり親近感。
そんなナイジェリアとアルゼンチンの対決。個人的にはメッシーのオリンピック参加を応援していたので、ハツラツとプレーしているメッシーが見られて嬉しい。このチームでは白紙委任状を渡されているので、バルサよりも自由にプレーしている。が、前を向くとディフェンダーが何人いようとお構いなしに勝負を仕掛ける姿勢に変わりはない。小っちゃいなぁ。なのに全然倒れない。中盤に下ることも多く、よってパスの機会も多くなるわけだけれども、そのパスが全然キレイ。惚れ惚れする。いつの間にかプレーの幅が広がってるメッシー。ホント底がないなぁ。
同じく中央でプレーするリケルメ。王様タイプの選手であり、メッシーとプレーエリアが重なる部分も多いので共存出来るか心配だったが、それは杞憂に終わった。天才同士通じるところがあるんだろう。両者とも抜群のバランス感覚で間隔を保ちつつ、またコンビネーションプレーも素晴らしく美しい。リケルメちょっと丸くなったかな?トップとボランチの間からガンガンキラーパス通しつつ、時折自らも持ち込むキレッぷり。
スピードとダイナミズムを持つディ・マリアが左サイドから2人の攻撃に花を添え、マスチェラーノとガゴの2人が陰で彼らをしっかりサポートの万全体制。23歳以下の若さとオーバーエイジの老獪さが絶妙に融合したすんばらしい攻撃を披露してくれた。それだけにアグエロがもう少しチームに順応していれば、という思いも強くなる。アグエロが関わるとリズムが微妙に狂い、チャンスを生かしきれない場面が目立ったのが惜しかった。
ただ攻撃は良かったものの、守備は緩くナイジェリアのスピードとテクニックに崩される場面が多く見られた。メッシーとリケルメのインスピレーション全開の攻撃とナイジェリアのカウンター。4-3の乱戦になってもおかしくないような展開だったが、最後の最後で決め手に欠け、最小得点差で勝負が決まったのはこれが23歳以下の大会だったからだろう。殺れる時に殺れない若さが両者に見られた。一見パーフェクトに見れるメッシーもこと得点力という点に関してはそれほどでもない。試合はディ・マリアがカウンターから奪った1点をロメロ等の頑張りで何とか最後まで守りきったアルゼンチンの勝利。
なぜだろう、他人事だからか金メダルがかかった勝負なはずなのに終了間際は別としてあまり両者から切羽詰まった感は感じられず、見ていてとても楽しい試合だった。
メッシーは悲願の金メダル活躍。最後にはちゃんと譲ったんだから五輪出場ごねたバルサを嫌わないでね。ロナウジーニョから継いだ10番を誇りに今季こそはスペイン最強の座を奪い返してやりましょう。
posted by myrowka |19:30 |
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2008年07月18日
さてさて。
ひっそりとブログ復活。もう少し早く復帰し、ユーロ総括をしようと考えていたけれど、アイデアがまとまらなくて断念。ニハトさん、本当にごめんなさい。
今回キーボードの前に座ったのは数日前バルサから以下の手紙が来たからだ。
早い話が、バルサ会長ラポルタの不信任投票にお越し下さい、ということ。内容から察するにソシオ代表選挙人だけでなく、ソシオ全員に来た手紙だろう。
もうここでバルサについて少し詳しい人ならピンと来たことだろう。この手紙が来たのが7月の中旬頃。そしてラポルタの不信任投票が行われたのは7月6日。1週間強の時間差。到着遅いぞ!何やってんの!
文面を見ると案の定2008年6月とある。本来ならもっと早くに届いているはずの手紙なのだ。しかし極東の数少ないソシオにもソシオとして当然の権利たる不信任投票の投票権行使の機会を伝えるために、長い手間と時間をかけて大西洋だか太平洋だかをインド洋だかをどんぶらこっこ、どんぶらこっこ何週間も漂って日本にたどり着いたわけである。テレビを眺めているだけでは想像もつかないほどの距離がバルサと日本の間にはあるということを改めて思い知らされる。
なんてのは考えすぎで今回手紙到着が遅れたのは単にバルサ側の手抜かりだろう。大航海時代じゃあるまいし、今の時代飛行機を使えばたとえ地球の裏からでも2日かからず郵便物ぐらい届けれる。相手が何とも不真面目なソシオである自分だったからいいものの、中にはこの不手際に本気で怒っているソシオの人もいるかもしれない。それもバルサを愛するが故だ。それに会費も払ってる。もう少し襟を正すべきなんじゃないの?とチクリ。
その不信任投票は不信任約60%、信任38%でラポルタが続投決定したそうだ。ハ!?と思う人もいるかもしれないが、バルサのクラブ規約では不信任は有効投票数の66.6%を越えない限り可決されないのだ。まあそれでもラポルタが首の皮一枚で繋がった事実は揺るがないのだけれども。
こういうのを見ると自分は「ソシオ制度も何だかなぁ」と思う。つい前まではバルサに14年ぶりのビッグイヤーをもたらした稀代の辣腕会長としてもてはやされていたのに、今では無冠の戦犯として叩かれ、あげく不信任投票まで行われ、60%の「会長失格」票を集めるほどにまで落ちぶれるわけである。その間たった2年。短い。あまりにも短い。
こんなんじゃろくに腰を据えて経営できやしない。これまでラポルタは色んな政策を推し進めてきた。カンプ・ノウやパラウ・ブラウグラーナ(バルサ所有の体育館。バルサのバスケットチームやハンドボールチームが試合を行う会場)の改修、ミニ・エスタディの売却などなど。1ヶ月や2ヶ月で終えられるプロジェクトじゃない。バルセロナ市や売却先企業など「他人」との兼ね合いが大切な話でもある。そうした他人の方々は2年間クラブの成績が芳しくなかっただけでトップの首が挿げ替えられない不安定なクラブと膝をつき合わせて話し合ってくれるだろうか?
バルサはクラブ以上の存在である。この耳にたこが出来るぐらい聞いた表現はダ・カレーラスという会長が1968年その職に就く際最初に発言したとされる。当時はフランコの圧政が徐々に弱まり、バルセロナ内でナショナリズムが活発化していった時代であり、ダ・カレーラスはあくまでバルサは「カタルーニャ人にとって」クラブ以上の存在だという意味合いでこの言葉を使っただろう。
時が経つに連れ、その意味は広義化している。ユニセフへの協力などまさに好例だ。スポーツ面でも、文化面でもバルサは確かにクラブ以上の存在だ。そして今やビジネス面でもバルサはクラブ以上の存在である。バルサのソシオである以上、私情に流されすぎず、そういうことも念頭に入れて活動すべきだと個人的には考える。
でもまあ無理だろうってことは百も承知だけれど。ファンってそういうもんだしねぇ。ファンとソシオはもちろん違う存在なのだけれど、だがそれを踏まえているソシオは多くないだろう。ファンってそういうもんだから。
まあでも実際性質上バルサはソシオの機嫌如何で左右されすぎる危険性は備えているのだが、かといって歴史を振り返ってみれば、そこまでポンポンと会長が変わっているわけではない。フランコ死去以後ソシオにより会長の自由選挙が認められて以降、1978年その初の自由選挙で選ばれたヌニェスは色々なトラブルに巻き込まれながらも結局22年間会長の座を降ろされることは無かった。とはいえその後ガスパールは3年で解任されている。ヌニェスのようになんだかんだ文句言いつつ長い間会長を務めてもらうのがバルサ流なのか、それともガスパールのようにダメだったらさっぱりと首を切られるのがバルサ流なのか。バルサの未来を窺う上でもラポルタの去就には長い目で見守る必要があるみたい。
posted by myrowka |00:50 |
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