2010年07月01日

壁  【日本 vs パラグアイ】

 南アフリカW杯 決勝トーナメント1回戦 日本 vs パラグアイ


 悔しい。悔しいなぁ。あぁ悔しい。すっごい悔しい。もう悔しくて悔しくて仕方ない。こんなに悔しいかってぐらい悔しい。ずっと悔しい。悔しくて悔しくてもう悔しい。あぁ悔しい。悔しい。
 日本が負けた。負けた。負けてしまった。負けだと思う。あれは負けだと思う。0-0だけど。パラグアイに1点も入れられてないけど。でも負けだった。あれは日本の負けだったと悔しいながらも確かに思う。
 パラグアイに1点も入れられなかったけど、日本も1点も入れられなかった。惜しいチャンスはいくつかあったけど決められなかったし、カウンターのチャンスを日本は自らの拙攻で何度も台無しにしていた。結局簡潔に理由をまとめると、付け焼き刃の堅守速攻の限界ということになるんだろう。堅守速攻へ切り替わったのが5月30日のイングランド戦。そこからのごく短期間で日本持ち前の忍耐力活かし世界を驚かせるディフェンスを身につけることは出来た。でも、さすがにオフェンスまで世界と戦えるまでレベルアップさせることは出来なかった、と。今思うと、2年以上積み上げてきたものをあっさりと捨て去り、たった2週間で作り直した急造チームでベスト8まで昇りつめようなんてムシのいい話だ。そしてW杯はそんなにムシのいい大会ではなかった、とただそれだけのことのように思う。

 日本の攻撃を難なく抑え、日本よりも多くのチャンスを作ったパラグアイ。とはいえ日本もパラグアイの攻撃を120分にわたり抑えこみ、PK戦までもつれこませた。ただそれでも眼前に横たわるはパラグアイがベスト8に進み、日本がベスト16で散ったという厳然たる事実。
 思えばこれまで日本はとんでもない敵と戦い、激闘を繰り広げてきた。カメルーンに辛勝し、オランダには惜敗し、デンマークには完勝、そしてパラグアイ相手にドロー。日本が世界の名だたる強豪と互角にやり合い、勝利もあげている。すっかり日本も世界の中堅国の仲間入りだ。つい1ヶ月前までは信じがたい話。世界は意外や日本の手の届くところにあった。
 ただそれでもベスト8にはたどり着けない。もうすぐのような気がするんだけど、あと一歩のところまできているように見えるんだけど、でもどれだけ進んでも全然たどり着けない。そして最後カルドーソのPKが決まり日本の敗北が決まった瞬間、日本の目の前にぶ厚い壁がドン!と現れた。
 「なんだこの壁?」と一瞬混乱するが、冷静になってふと気づく。壁はこれまでそこになかったわけじゃない。確かにずっと日本の目の前にあったはず。なのに世界の強豪と互角に渡り合えたことで舞い上がった日本の目にはそれが映らなかった。日本は壁があるのにそれを乗り越えようとせず、ただまっすぐ進んで壁にガンガンぶつかっていたわけだ。それじゃベスト8にたどり着けるはずもないし、まっすぐ進んでさえいればベスト8にたどり着けると思っていたことを少し恥ずかしくも感じる。

 ただそれでも悔しい。すっごい悔しい。世界との壁は確かにあると分かっているのに、それでも心の底から無尽蔵にわき上がってくるこの悔しさ。惜しかったとか、もうちょっとだったとか、そういうことではなく、無力からくる悔しさ。世界を相手に結果を残すぐらい強くはなれたけど、それでもまだまだ先はある。日本はまだまだだ。まだまだだ。
 悔しい。何してたんだ、俺たち。ドイツW杯からの4年間。夢見るみたいにポゼッション・フットボールして。アジア相手に、キリンカップに来る2軍相手に無邪気にパス繋げて、勝って喜んで。でもそれも結構早く限界が来て。オランダにボロ負けして。ガーナにディフェンスボロボロにされて。南アフリカ相手の親善試合では何も出来なくて。イエメン相手に3-2と苦戦して。東アジア選手権では中国にまで引き分けて3位になって。セルビアの3軍相手にボコボコにされて。韓国にもボコボコにされて。それでようやく目が覚めて。ホント何やってたんだ、この4年。というか岡田監督が監督になってからの2年5ヶ月。
 最初から現実に立ち返り、アジア相手に満足せず、世界相手に勝つために、ベスト4になるために、上にしがみついてもっとボロボロになってやるべきことは山ほどあったはずじゃないか。それなのに、ホントもう何してたんだ、俺たち。あぁ、悔しい。すっげえ悔しい。
 やるべきことをやっていれば、日本はもっと強くなれた。それこそ本気でベスト4も狙えた。今後この勢いで鍛え、戦い続ければ、W杯優勝だってそう夢でもない。今回のW杯で日本の選手達が根性出して血ヘド吐きながら勝利にすがりついて戦う熱い姿を見て、自分は心からそう思った。ただだからこそなんでやってこなかったのかと、やらせてやれなかったのかと、そこがもう悔しくて悔しくて仕方ない。死力出し尽くして勝てなかったことも悔しいけど、もうそれ以上に悔しいことがいっぱいある。あぁ悔しい。悔しい。


 ということで。悔しすぎてあれだけ楽しみにしていたスペイン対ポルトガルも見る気が起きなかったのは自分でも驚いた。悔しいけど悔しいけど、この悔しさをバネに4年後ブラジルでリベンジを果たそう!なんて綺麗事でまとめて納得出来ないほど悔しい。あぁ悔しい。もうホント悔しいけど、でも日本の選手はよく戦ってくれた。日本に眠っていた新たな力を発掘してくれた。世界と戦える自身を与えてくれた。ジュール・リメをホントにすごく遠くの方ではあるけれど、チラッと見せてくれた。心から感謝しているし、すごく誇らしい。このことを考えると、悔しさもちょぴっとだけだけど晴れる。本当にありがとう。





 あと最後に駒野。泣かないでくれ。あんたに泣かれるとこっちまで泣いてしまう。なんで泣くんだよ。泣くことないだろ。あんたじゃないじゃん。日本の負けじゃないか。なのになんであんたは自分に責任があるかのように泣いてるんだ。そうじゃないじゃん。だから泣かないでくれ、お願いだから。
 ただそうはいっても泣いてしまうんだろう。どれだけ選手が、監督が、スタッフが、サポーターが励ましても、泣いてしまうんだろう。そういうもんなんだろう。じゃあもう泣くしかないか。泣こう。心ゆくまで泣こう。それこそ涙枯れ果てるまで。松井に酒飲みにつれていかれて、ゴンとかからも熱い言葉かけられて、数え切れないほどの多くの人の気持ちに触れて、その度泣いて泣いて、泣き止んだ先に見えた世界。それをJリーグや今後の代表で見せて欲しい。いや、良い経験をしたな、駒野は。うらやましい。うらやましいよ、ホント。

posted by myrowka |02:03 | 岡田JAPAN | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年06月25日

世界がひっくり返る1勝  【日本 vs デンマーク】

 南アフリカW杯 グループE 日本 vs デンマーク


 本田だ。もう本田だ。誰が何と言おうと本田だ。本田だ。本田だった。本田スゴイ。本田スゴイ。本田は日本を変える男になると1年前から思っていたが、もうか。もう変えたか。スゴイ。スゴイな、本田。いやスゴイ。ホントにスゴイ。 
 自分が本田に惚れたのは1年前、長居にチリ戦を観に行った時だった。正直、試合前は北京五輪時反町監督に反発した生意気な男というイメージしか持ってなかった。そんなやつを呼ぶなんて岡田監督も必死だな、ぐらいにしか思ってなかった。
 が、それも試合を見る前までの話。とんでもないフィジカルとキープ力、強烈なシュート力、常にゴールを狙う姿勢、そして何より人を惹きつけるカリスマ性。本田は試合前「今日は俺がゴール決めるんで大丈夫です」と豪語していた。「若造が何を」と歯牙にもかけてなかったのだが、後半のロスタイムに有言実行、豪快なシュートを決めて見せた時には、もう自分は頭の先からつま先まで本田色に染まっていた。

 その頃自分には一つ心配していたことがあった。中田引退後日本にはずっとスターがいない。キング・カズからヒデへと受け継がれていたスターの系譜が2006年でプッツリ途切れていた。俊輔じゃ力不足。スターがいないとチームに芯がなくてどこか頼りない。特に日本のような地味なチームは、一人で決定的な仕事を出来、背中で引っ張っていけるようなスペシャルな存在がいないと平々凡々なチームに落ち着いてしまう。どっかからヒデを超えるようなカリスマ溢れるスターが現れてくれないかな、とずっと願っていた。
 平山は少し年をとりすぎた。現実的な路線で行くと香川かな?なんて色々とスターになりうる選手を探していたんだけど、2009年5月、長居でようやく発見。変わる。本田のおかげで日本は変わる。試合後確信めいた予感があった。そのスタートラインとなるべき歴史的な試合に立ち会った。いち観客にそう感じさせられるほどの何かが本田のプレーにはあった。

 そして1年後、W杯であの日の予感が正しかったことを思い知る。カメルーン戦では自国開催以外のW杯での初勝利をもたらすゴールを決めた。そしてデンマーク戦でのあの活躍。いや、スゴイ。本当にスゴイ。
 1点目。FKのチャンス。エリア内の選手にいろいろと注意している本田が憎らしい。こんなおいしい距離で素直に本田がクロスあげるわけないじゃないか。しかし本田という人間を知らない人は騙されもするだろう。もちろん本田は得意の無回転シュートで直接狙う。セーレンセンは意表を突かれて反応しきれず完敗。まずは1敗目。
 2点目。絶好の位置でのFK。蹴る気満々の本田。2度同じ手を食うわけにいかないセーレンセン。これでも世界一厳しいと言われるプレミアで何年も正GK張ってんだ。ロナウドとかのもっとスゴイFKを何本も止めてきた。次こそは絶対に止めてやる!でもその気負いこそ本田のワナ。本田がやけにボールの前でマジメくさった顔をしている。「あ、こいつやる気だ」と思った人は本田博士。悪ガキがマジメな顔をしている時は絶対裏で何かを企んでる。しかし本田という人間を知らない人は騙されもするだろう。あんなに雰囲気出してるのにまさか蹴らないとは思いも寄らないセーレンセンは遠藤に逆を突かれて、また完敗。本田のくさい演技にやられて2敗目。
 3点目。スローインからのチャンス。大久保のスルーパスに抜け出した本田はとんでもない切り返しでロンメダールを抜き去る。GKと1対1。日本としては何としても追加点が欲しい場面。当然狙ってくると思う。セーレンセンもそう思ったから飛び込んだ。岡崎も本田が撃つと思ったとコメントしている。しかし本田は落ち着いていた。ここで岡崎に横パス。飛び込み倒れたセーレンセンは反応しきれずまたまた完敗。プレミア屈指のGKが日本の一介FWに屈辱の3連敗。セーレンセンは歯噛みして悔しがり眠れない夜が続くだろう。しかしそう遠くない将来、俺はとんでもない男にやられたんだと本田自身が証明してくれるはずだ。

 試合後の本田のコメントの中で印象深いものがあった。「特別なゴールは決勝Tでとります」。もしかして3点目の岡崎へのアシストは「決勝Tのおいしいとこは俺がいただくから、これで勘弁してくれな」という詫びの品?これ以外にも本田のコメントは先を見据えた厳しいものが多かった。ベスト16は通過点。目標は優勝とずっと言ってきたから。「思ってた以上には喜べなかった」とまで言ってのけた。
 ただ半分はウソだと思うけど。抑えようとも抑えきれずに笑みがこぼれ出ている。ここで満足してはいけないと自分を律しようとしてるんだろうけど、それでもやっぱり喜びの方が時々勝ってた。それだけ本田が背負ってたものが大きかったということだろう。勝ったんだから、ゴール決めた時みたいに喜びを爆発させてもいいものなのに、常に上を目指し続けるため、自らに重荷を課し続ける本田。おそらく本田が心の底から喜べるのは優勝した時しかないんだろう。この強さこそが本田を特別たらしめる所以。スゴイ。本当にスゴイ男だ。


 本田だけじゃない。みんなスゴかった。特に守備の粘り強さは感動して涙を禁じ得なかった。闘莉王があれだけチョンボなしに90分守り続けられるなんて数年前には考えられなかった。中澤、阿部はデンマークの高さにまけずガンガンハイボールを弾き続けた。自陣でボールを持たれると常に誰かがプレスをかけ、楽にプレーをさせない。 前半トマソンにつかれた守備の穴もすぐに修正した。ブブゼラで監督の指示が聞こえない中、デンマークのパワープレイにも自ら考え対処した。まさにみんなで守りきった90分間。日本の武器は守備にこそあったのかと、2010年、ようやく気づく。
 日本の守備を爆発させたのは岡田監督だ。5月の韓国戦までのような高いディフェンスライン、ハイプレスではとてもじゃないがW杯では持ち堪えられなかっただろう。カウンターを食らった際、スピードがない中澤らはよくFWに縦にぶっちぎられて危ない場面を多々迎えていた。批判も散々浴びていた。しかし一転守備ブロックを敷き、引いて守る今の形に変えてからは縦の突破に弱い守備陣の弱点は消え去り、高さに強い彼らの長所がグッと引き出された。日本の堅守速攻への転換はそれしか強豪相手に戦う術がなかったというだけではなく、日本の武器である守備を最大限に有効活用する手段でもあったわけだ。
 守りを固めたせいで手薄になった攻撃の欠点も、セットプレーを活かすという原点に立ち戻って克服した。
 なんだ、岡田監督って名将じゃないか。もっと早く教えてくれれば良かったのに。無理にポゼッション・フットボールや俊輔にこだわったりしてたからみんな勘違いしちゃったじゃないか。だから自分も含め多くのフットボールファンやライター、ジャーナリストも恥をかいちゃったし。もう。次からはもったいぶらないで下さいね。


 ということで。デンマーク戦の勝利、自国開催以外のW杯での決勝T進出はスゴイ、本当にスゴイ前進だ。4年前ドイツで感じた世界との距離、これがグッと近づいた。
 GLの組み合わせが決まった時、諦めを覚えた日本人は少なくないだろう。カメルーンに勝てるわけがない。デンマークに勝てるわけがない。オランダなんて論外だ。そして日本人は勝てない理由を探し始める。
 まずはカメルーン。エトーがスゴイ。カメルーンの監督はリヨンの黄金期を築いたル・グエン。アーセナルのA・ソングもいる。他にもヨーロッパの強豪クラブで活躍している選手が勢揃い。こりゃ無理だ。勝てっこない。
 お次はデンマーク。ポルトガルとスウェーデンと同じ予選グループに入り、1位で勝ち抜いたチーム。統率力がある。守備が強い。上背もある。アーセナルのベントナーの高さは脅威。ユベントスのポウルセンが中盤を支配。守備の要はあのリバプールのアッゲルだ。トドメはミランでも活躍したトマソン。こりゃダメだ。勝てっこない。3連敗は決まったも同然だ。
 こう思うのも無理はない。日本のフットボールの歴史は浅い。フランスW杯、ドイツW杯では世界の力にとっちめられた。世界との距離を肌で体験させられている。世界は遠い。日本はまだまだだ。
 それがどうだ。岡田監督をはじめ日本の選手達は自らの力で、世界は遠くない、手の届くところにある、と教えてくれた。たとえ個の力では劣ろうとも、みんなで力をあわせて戦えば世界にも勝てると、フットボールはチームスポーツだと、勝負の世界は何が起こるか分からないと、だからみんなで一緒に戦おうと、教えてくれた。
 この勝利で日本はひっくり返る。世界に勝てると知ったから。これから日本人は強敵と当たっても勝っているところを探すだろう。負けているところがあったとしても、それをどう克服するかを考えるだろう。勝利へ前向きになる日本。ありがとう、岡田ジャパン。日本が世界に近づいた、本当に大きな1勝だった。


 最後に一つ。色んなことを教えられた90分だったが、フットボールのおもしろさという根本的なことも改めて思い知らされた。長くフットボールを見てきたけれど、こんなに濃密な90分を過ごしたことはない。あれほどゴールが恋しく、あれほどゴールが恐ろしく感じたことはこれまでなかった。1点がこんなに重いスポーツは他にあるだろうか。この重みこそがフットボールが人々を惹きつける所以なんだと、フットボールを愛し始めて11年、デンマーク戦の勝利にて初めて気づかされる。フットボールって面白い、最高だ。まさか試合前こんなことを思うなんて予想だにしてなかった。本当にフットボールは何が起こるか分からない。

posted by myrowka |16:34 | 岡田JAPAN | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年06月20日

横綱相撲  【日本 vs オランダ】

 南アフリカW杯 グループE 日本 vs オランダ


 大きい。やっぱりオランダは大きかった。
 前半日本はよく戦えていたように見えた。オランダにボールを持たせ、支配率は譲るものの、最後の最後ゴールラインは割らせない。日本は前半0-0で守りきり、思惑通りの展開で試合の半分を終えることが出来た。ただやけに大人しいオランダが不気味ではあったが。
 すると後半やはりオランダは牙をむく。ギアを上げたオランダはサイドで積極的に勝負を仕掛け、クロス等で日本の最終ラインにプレッシャーをかけてきた。狙い通り慌ててしまう日本。すると後半8分、クリアボールをペルシ、スナイデルとつながれ、ミドルシュートで軽く先制されてしまった。
 いとも簡単に先制点を奪ったオランダ。もう前に出る必要はない。ギアを戻して流しムード。これからは逆に日本が前に出てきてくれる。その裏をカウンターでつき追加点を狙えばいい。高速ドリブラーのエリアを投入しよう。そうだ、良い機会だし若手にも経験を積ませよう、と大黒柱であるはずのスナイデルまで下げ、アフェライを投入してくる余裕。
 日本は敵陣でボールを持てるようになるものの、持たせるオランダ、持たされる日本、と前半の構図が逆になっただけ。しかしオランダは1点リード、逃げ切れば勝ち点3と前半の日本とは全く違う状況だ。オランダに引かれては日本はノーチャンス。
 闘莉王&岡崎の熱血プレーで1度惜しいチャンスは作り出したものの、結局それも決められず。当たり前のように日本は寄り切られ、負けた。点差は最少、1-0。しかしそのスコア以上に両者の力の差を感じさせられた試合だった。
 日本は全力で走ってたのに、向こうはただのウォーミングアップ。W杯で優勝を狙うチームが、グループリーグの対戦相手を当然のように軽くいなす様を肌で体験。これが横綱相撲か。これまでは外側から観ているだけだったけど、当事者となるとこんなに悔しいものなのか。後半開始直後から1点を入れられるまでたった10分ほどしかオランダを殺る気にさせられなかった。あぁ悔しい。すっげえ悔しい。


 オランダのディフェンスを完璧に崩せた場面が一度もなかったのも悔しい。シュートの場面は何度かあったが、どれもDFが前にいた。世界が驚くようなスッゴイコンビネーションでオランダを一度で良いから崩してみせたかったのに。
 日本は狙っている0トップを使った効果的な崩しを、カメルーン戦から180分間見せれていない。負けるとそれだけでグループリーグ敗退が濃厚になるカメルーン戦は勝利を焦りすぎるあまり、ボールが繋げず、はじき返す場面が多かった。それは心情的に仕方ないといえる。ただこのオランダ戦は負けても次があった。もう少しボールを落ちついて繋げたはず。それでも一度もオランダディフェンスを崩してからのチャンスがなかった。これは問題だ。
 本田をトップで使っているのはポストプレーが有用というだけでなく、一番ゴールに近い位置でプレーさせたいという意図がある。本田のシュート力は日本の大きな武器だ。しかしその本田に良い位置でシュートを撃たせてやれてない。本田が引き立て役になり、大久保がシュートという場面はいくつか見られたが、それではあまり怖くない。大久保のシュートは3本とも危なげなく防がれていた。
 イングランド戦を境に堅守速攻型へ切り替わった岡田ジャパンの経験値は非常に低い。だがそれは裏を返せばW杯期間中にも進化する余地が十分にあるということだ。カメルーン戦は何が何でも勝利を得なければいけなかったので、そんなことを考えてる余裕はなかった。だから少し余裕の出来たオランダ戦では、敗戦の中でもせめてデンマーク戦に繋がるような良い形を発見して欲しかったのだが、見つからなかった。


 それでもオランダ戦での中から強いて収穫をあげるとすると、俊輔が使えないことが今度こそ本当の本当、ハッキリ分かったということだろう。俊輔には正確なキックがあることは認めている。だから途中出場から一つは見せ場が作れるだろうと思っていたが、自分は本当に愚かだったということを思い知らされた。闘莉王が競り合ってボールを落とした際、引いて受けようとしてボールを奪われた俊輔に激高したが、彼はまさに日本サポーターの良き代弁者だ。プレー云々以前に俊輔だけ、闘う気持ちがまだ出来ていない。頭の中が「無難」「逃げ」といった消極的な気持ちで充ち満ちている。W杯はもう始まっているのに。負けている状況で投入されたのに。本当にこの人はダメだ。ダメだ。

posted by myrowka |00:22 | 岡田JAPAN | コメント(3) | トラックバック(0)
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2010年06月16日

モウリーニョさんのおかげでした?

 カメルーン戦後、ずっと気になっていることがある。岡田監督の変心のきっかけだ。


 代表監督就任後、岡田監督にはパスで崩すフットボールや俊輔のサイド起用、遠藤&長谷部のダブルボランチ、内田の右SBなど、ずっとこだわりつづけた形があった。オランダに完敗しても、東アジア選手権で3位になっても、2軍のセルビア代表にボロ負けしても、「自分たちのやってきたことを信じる」と、頑なに自説をを曲げることはなかった。3-0で負けたセルビア戦、引いて守る相手にパスを繋いで満足げ、カウンターのチャンスでもちんたら横パス出してる岡田ジャパンを長居で直にこの目で見て、唖然とした覚えがある。
 そんな岡田監督が5月の韓国戦で負けた後、急に態度を翻し、それまでこつこつ鍛え上げてきたパスフットボールをポーン!とどこかへ投げ捨てた。そして急遽、堅守速攻型のチームの作成に着手し、わずか2週間で完成させ、あれよあれよとW杯アウェーでの初勝利をもぎとってしまったのだ。
 「我がとこの代表監督は欧州、アフリカの強豪相手にパスフットボールで勝ついう夢物語を信じとる・・・」と絶望していた人の中には、この指揮官の急な心変わりに呆気にとられた人も少なくないだろう。
 岡田監督の頑固な意志をひっくり返したものは一体なんだったのか。もちろん韓国戦での完敗が相当ショックだった、というのはあるだろう。ただオランダ戦での完敗をはじめ、岡田監督のやり方は世界では通用しないことを示す結果は他にも少なからずあった。にもかかわらず「積み上げて来たものを崩すのは怖い」とそれを拒み続けてきた彼が、なぜあのタイミングで急にひっくり返すことが出来たのか。これがずっと気になっていた。


 ある時ふと、岡田監督がCL決勝のビデオを見たとかいうニュースを思い出した。調べてみると確かにあった。スポニチのこの記事だ。CL決勝があったのが5月22日。韓国戦は24日。23日の時点で岡田監督はCL決勝を見ていない(ここを参照)。韓国戦まで1日と迫った状況で岡田監督がわざわざ関係ない試合を見るとは考えにくい。ということは岡田監督がCL決勝を見たのは、おそらく韓国戦での完敗後だ。
 「欧州組が帰ってくればなんとかなるはず」という最後の望みも断たれ、途方に暮れていた岡田監督の目に、ロッベンをはじめバイエルンご自慢の攻撃力を完璧に封じるモウリーニョさんの堅守速攻はさぞかし輝いて映ったろう・・・。


 ということで。岡田監督にそれまでのパスフットボールを捨てさせ、堅守速攻型へ移行させたのは、他でもないあのモウリーニョさんだった!!!というのはあくまで自分の予測でしかないわけだけど、案外ない話でもないんじゃないか、と思ってたりする。岡田監督はヨーロッパのフットボールをチェックし、良いものは取り込もうとするところがあるし。
 昨年5月憲剛をトップ下に据えた時、岡田監督は「ジェラードになれ」と憲剛にジェラードのプレーをまとめたDVDを見せたそうだ。彼が憲剛のどこにジェラードとの共通点を見いだしたのかはさっぱり分からないが、このエピソードから、岡田監督が一流のマネごとは結構簡単に出来ると思ってる楽天家であることは分かる。モウリーニョのマネごともやろうと思って出来ないことはないと岡田監督が考えていたとしても、なんら不思議はないわけだ。ああ見えて意外とファンシーな一面があるのかもしれない。

posted by myrowka |05:39 | 岡田JAPAN | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年06月15日

"1勝"1分5敗  【日本 vs カメルーン】

 南アW杯 グループE 日本 vs カメルーン


 いや、よかった。本当に良かった。おめでとう。ありがとう。頑張った。よく頑張った。本当に嬉しい時は月並みな言葉しか出てこない。いや、よかった。本当に良かった。おめでとう。ありがとう。本当にありがとう。

 
 岡田監督を見限ったのは最終登録メンバー発表の時だった。石川の名前が入っていなかったから。岡田監督は本気で中村を右サイドにしてW杯を戦うつもりだと分かったから。そんなんで勝てるわけがない。だから見限った。
 流れが変わり始めたのは日本で最後のテストマッチ、韓国戦。岡田監督は当然のように右サイドに中村を先発させる。が、やっぱり使えない。フィジカルが弱く、ボールがキープ出来ない。1対1で勝てない、そもそも勝負を仕掛けない。ただ右サイドでボールが来るのを待ち、ボールが来てもはたくだけ。こんなんでW杯で勝てるかよ。
 ただこれまでと違うことが一つ起きた。岡田監督は俊輔を早々に交代させる。ん?もしかして気づいたのか?多くの人たちが何ヶ月も前から気づいていた事実にやっと・・・。完全に消えていた日本の希望の光が、再びほんの少しだけ、輝き始めた瞬間だった。

 韓国戦でのプレーの不出来を怪我のせいとした俊輔&岡田監督。彼を外してプレー出来るなら、理由はなんだっていい。俊輔抜きでイングランドに挑むことになった日本代表。
 この試合では俊輔外しと共に、もう一つターニングポイントとなる変更があった。堅守速攻型チームへの転換。そう、ウソみたいな話だが、この時まで日本はカメルーン、オランダ、デンマーク相手にポゼッションフットボールで挑もうとしていた。しかし韓国戦での完敗で、ようやく無茶だと気づいた岡田監督。遅い。遅すぎる。だがいくら遅すぎても過ちに気づけたなら、それに越したことはない。日本は2-1で敗れるものの、イングランド相手に善戦する。日本が何かを掴んだ一戦だった。

 堅守速攻型への転換と俊輔外しは相関する。岡田監督が堅守速攻に用いた布陣は4-1-2-3。ディフェンス、中盤の7人と前線のサイド2人、最大計9人で守備ブロックを作る。ボールを奪ったら速攻、前線の3人はその先頭を切って攻撃を仕掛けなければならない。これまでの遅攻路線なら岡田監督の頭の中にゲームメーカー型のウイング、つまり俊輔の居場所はあった。しかし速攻を狙うとなると、どうしてもウイングはアタッカータイプの選手でなければならない。ここで夢にまで見た俊輔外しが成立する。奇跡的に怪我が治ったと主張する俊輔だったが、コートジボワール戦の先発に彼の名前はなかった。

 コートジボワール戦でも1-0で勝てなかった日本だったが、急造戦術が抱える問題点を着実に発見し、改善するために予定外の練習試合を組むなど、したたかさを見せた。裏に抜ける岡崎よりもポストプレーでタメが作れる本田のトップ起用、それに伴い空いた右サイドには左であぶれていた松井を使い、長谷部のトップ下は諦め、再び阿部をアンカーに置くなど、試合を見る機会はなかったものの、有用な発見は多かったようだ。
 そしてその結果が、カメルーン戦の勝利である。


 NHKの実況はこの勝利は4年間積み上げてきた結果といっていたが、違う。4年間必死で積み上げてきたものは世界では通用しないと韓国戦で悟り、それを一旦ガラガラと崩して、ジンバブエ戦も含めて3戦で急遽積み直した結果が、これだ。
 途方もない紆余曲折を経て、最後の最後ギリギリのところで答えにたどり着いた岡田監督には本当におめでとうといいたい。全盛期の頃とは違い俊輔はもはや使い物にならなくなっていることや、日本の活路はカウンターにしかないことぐらい、もっと早く気づいてくれよ、と不満はあるけど。
 オシム氏から代表監督の仕事を継いだ後、自ら積み上げてきたものを崩すことを頑なに嫌った岡田監督。その堅固な意志は俊輔や遠藤、長谷部のダブルボランチに異常にこだわった姿勢や、サプライズがなかった最終登録メンバーに如実に表れている。その石頭が5月の韓国戦での敗北後、急に柔らかくなった。その原因は一体何だったのか、ものすごく知りたい。


 ということで。この1勝は本当に大きい。日韓W杯で勝利を収めたことはあったものの、やっぱりホスト国、勝って当然みたいなところはある。FIFAにも組み合わせを楽にしてもらったし。だからこそそういう手助けなしで、W杯で勝利をするということは本当に大切なことだった。そういう意味ではドイツでの1分2敗は非常に重い結果だったと言える。やはり日本はW杯では勝てないのか、そういうイメージがついてしまった。この時点でアウェーでの結果は1分5敗。これが南アで1分8敗、2分7敗にでもなってみようもんなら、本当に日本は世界で勝てない国ということになってしまう。そんなレッテルを背負って4年間生きるのは苦しい。また4年後も大きな重荷となって日本にのしかかるだろう。そんなのやだ。もっと前に進みたい。そのために必要な大きな大きな1勝。いや、本当に勝てて良かった。
 試合内容については書けない。冷静な頭で試合を見ることなんて出来やしなかった。ギャーギャーワーワー騒いでただけ。人って本当に嬉しいとプラトーンのポーズとってしまうというのは個人的に大きな発見だった。
 いや、よかった。本当に良かった。何度でも言おう。本当におめでとう。本当にありがとう。

posted by myrowka |03:14 | 岡田JAPAN | コメント(2) | トラックバック(0)
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