2009年08月21日

まだ2試合目

さてさて。


 プレミアは初週からミッドウィークといきなりハードスケジュール。3ヶ月も待たされたファンとしては願ってもない展開だけど。対するは昇格組のバーンリー。でも最初は「今日ヴィラ?」と思ってしまった。ヴィラ、ハマーズに次ぐえんじのユニフォーム。ただでさえややこしかったのに、もう。
 御大はこのミッドウィークで大冒険。開幕戦から6人もスタメンを入れ替えている。特に中盤なんか4人オールチェンジだ。いやいや、フレンドリーマッチじゃないんですぞ、とつっこみたくなるが、もちろんそんなこと御大は重々承知。長いリーグ戦、ギアの緩めどころと入れどころを把握しきってるからこその決断。カップ戦ならまだしも、リーグ戦でこんなこと出来るのは世界広しと言えど御大ぐらいなもんだろう。


 オシェイとブラウン、基本ブラウンは右SBだし、開幕戦ではオシェイがCBがやってたから、今回もオシェイがCBかなと思いきや、ブラウンがCBをしている。ほぼ同期でタイプも似ている生え抜きの2人だけれど、ここに御大の2人対する評価の違いが表れているようで面白い。オシェイとブラウン、もしどちらかに最後の砦を任せるとしたら・・・ブラウン!非常時とあらばGKまでこなす何でも屋オシェイだけれど、この点では信頼を勝ち取れていないようだ。まあユーティリティとか別の部分では大いに信頼されているわけだからこのままでもいいんだろうけど、いつの日か御大が何の憂いもなくオシェイをCB投入する日が来るのを楽しみにしていたりしていなかったり。


 開幕戦ではナニ、バレンシアとウイング然とした2人がサイドハーフを務めたけれど、この試合ではアンデルソン、パクチーと中に絞ってもプレーできる2人がサイドでプレー。センターハーフは過剰人員気味だし、アンデルソンはここでプレーすることが多くなるだろう。中央にも頻繁に顔を出すから、ガンガン上がるエブラとの相性もいいだろうし、高い位置から良いラストパスが何本も出ていたし、これは良いポジション変更。もともとユナイテッドに来た当初はロナウジーニョ2世との触れ込みだったし、本来はもっと攻撃的な選手なんだろう。そこに御大から献身的なプレーをたたき込まれ、チームプレーが十分出来るようになったところで、前にドン!アンデルソンの更なる覚醒もあるんじゃないの!と楽しみが一つ増えて嬉しい。
 パクチー、アンデルソンのサイドハーフコンビはナニ、バレンシアのそれと比べて、サイドに限らずいろんな場所に顔を出してきてくれるから攻撃が多様化して良いカンジ。ボール離れも早いし、慣れていることもあってボールの流れがスムーズ。ここにギグシーも加わって開幕戦に比べ怖さはました。うん、ユナイテッドってカンジがする。
 ただ、だからこそ、この中にベルビーが入ったフットボールを見てみたかった。周りを使うことも出来るけど、周りから使われることも得意な2人。開幕戦と比べ、パスの選択肢が豊富なピッチを眺め、ベルビーはきっと舌なめずりをしていたに違いない。なのにピッチに立っているのはパクチーとアンデルソンを使えない、「使われる」専門のオーウェン。それが悪いってことでもないんだけれど、存分に使ってもらえばいいんだけれど、それなら周りを使うのが得意なナニ、バレンシアのコンビにオーウェンを組ませ、パクチーとアンデルソンにはベルビーを持ってきてやれば、使い使われ面白いのに。
 またオーウェンを持ってきたから、ルーニーはやっぱり頻繁に中盤に下りてくる。みんなでもっとゴールに集中させてやりたいんだけど、それにはもうちょっと時間はかかりそう。


 後半からはバレンシアが登場。開幕戦と比べ若干闘う意志は見せてくれたものの、2人のDF突っ切ってドーン!ということもなかったし、まあまだまだ。ベルビーも続いて登場し、こちとら華麗なるトラップ&パスでチャンスを次々と生み出す。相手が引いた状態ではオーウェンよりも断然効果的。でもやっぱりゴールは遠いんだなぁ。こんなときテベ公がいれば・・・、なんて野暮なことはいいっこなし。
 ということで、2戦目にして不覚を御大。開幕はホント上手くいかないけど、まあ慣れっこなんで、そうくよくよもしない。
 今後ユナイテッドの成否を左右するのは選手の組み合わせになってくるんじゃないか、そんな気がした2戦目。スタメンを7人入れ替えてもクオリティーが落ちることのないユナイテッドは見事だけれど、タイプが様々なので相性の良い悪いはやっぱりある。特にFWとサイドハーフの選択は重要になってくるだろう。でもまあそこんところで御大を心配する必要なんてないわけで。本当に良い大将を持って幸せだ。

posted by myrowka |08:40 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年08月18日

今後のユナイテッド

さてさて。


 新シーズンが始まって開幕戦も無事終わり、一旦ここでユナイテッドの戦力を洗い直してみる。
 クリスティアーノが去って注目された移籍市場だったけれども、御大の動きは色んな意味でサプライズだった。大物が来るという大方の予想は外れ、これまで獲得したのはバレンシア、オーウェン、オベルタンの3人のみ。期待の若手、ベテラン、素材と補強は小さくまとめてきた。
 これは要するにクリスティアーノの代わりになる選手はいない、ということなんだろう。クリスティアーノが抜けて空いた大きな穴に、誰か一人これまたすんごいの1人入れて「ハイ、終わり!」と突貫工事で済ませるんじゃなく、チームの基本構造に手を加え、総合力でクリスティアーノのいた頃のチームを超える。もちろん簡単な仕事じゃなく、かなり厄介で難しい作業だけれど、御大のやけに静かな今夏市場の動きは逆にその覚悟ともとれる。だから大物が獲れなかったからといって、悲観することはないだろう。


 その新生ユナイテッドの目玉はやっぱりルーニーだ。ようやく希望通りストライカーのポジションでプレーできるようになった。サポートに回ることが多かったここ1,2シーズンの経験はもちろん無駄ではなく、ルーニーのプレーの幅を広げてくれたとは思うけど、理屈ではそう思っていても、やっぱり心のどこかに「点獲らせ!」という気持ちはあったんだろう。その想いは日に日に強くなって、昨シーズン末頃は御大にガツガツプレッシャーをかけるようにまでなった。
 だからといって御大もタダでストライカーをやらせはしない。「じゃあ25ゴールな」とさらっとトンデモハードルを課してきた。なんてサディスティック。クリスティアーノには賭けで負けて彼のサド心をくすぐった御大だが、一転ルーニーには上から厳しく。ここらへんのしたたかさ、もうたまりません。
 しかし実際そういうことだろう。ルーニーがクリスティアーノの分までゴールをとってしまえば、それでもう彼の穴は半分埋まったも同然だ。ルーニーがゴールとれれば強いし、とれなければ弱い。なんてシンプルな構図。ユナイテッドの成否が一人の男にかかっているというのもなんとも酷な話だけれど、それは裏を返せばルーニーはそれだけの男だということ。


 そのルーニー成功の鍵を大きく握るのは相棒のベルバトフ。この選手のユナイテッドでの立ち位置次第でユナイテッドの攻撃は大きく変わってくる。昨季のベルビー起用について御大は驚くべき発言をした。「起用位置を間違えた」。昨季は3トップの真ん中で使われることの多かったベルビー。1人でセンターフォワードやらせるよりも、2トップにして点取り屋役のルーニーの周りでプレーさせるのがベルビーをより活かせる、ということなのかな、と思って開幕戦を見てみたけれども、ぶっちゃけ昨季とポジションがどう変わったのかイマイチ分からない。中盤でボールの流れが停滞したとき、ボールを動かしに積極的に降りてくるのはベルビーじゃなくてルーニー。で、前に残るのがベルビーなんだけど、サボり屋のベルビーに動き出しは少なく、前線にべったり張りついてるだけ。これじゃ相手は崩せない。
ベルビーは点獲るのがあんま得意じゃないんだし、ゴールよりもラストパス出してる方が映えるんだし、これじゃ役割がまるで逆だ。このまま行けばルーニーはまた汚れ役になってしまう。しかも昨季までは汚れ役に徹してもクリスティアーノがキチンと決めてくれるから報われたけど、今季はそれがベルビーだから・・・。ゴールはルーニー、アシストはベルビー。この構図ハッキリさせとかないと、グダグダになってしまう。
自分は実はベルビーにはもうこれ以上ないほど期待している。昨季見せたしなやかで柔らかいボールさばき、絶妙なラストパス。ハッキリ言って惚れてしまった。だからこそ結局最後までなじみきれなかった昨季、あまり改善の見れなかった開幕戦にはガッカリしてる。使い方がかなり難しい選手だとは思う。ハマらなきゃ開幕戦みたいにただのさんぴんFWだけど、ガシッとハマれば手のつけられない選手になるだろう。どんな選手かつかみにくいけど、タイプ的には生まれた時代が時代なら10番、日本で言うところのファンタジスタを任されていた選手だったんじゃないのかな。だから昨季は起用位置を間違えたという御大の考え方もきっと正しい。もちろん時代は昔とは違うから、サボり屋のベルビーにももっと走ってもらわないといけないし、御大にも走らせてもらわないといけない。ベルビーの運動量が少しでも増え、ガッチリハマるポジションを見つけられたなら、それはもうポンポンポンポンルーニーにアシストが出て、止められないコンビになるだろう。だから頼むからハマれ、ベルビー。


そんなベルビーにルーニー以外の選択肢も与えてあげたいから、ウイングにも頑張ってもらいたい。開幕戦で先発したナニ、バレンシアは悪い意味でクラシックなウイングだった。サイドに張り付いてサイドで何かをしようとする。それもそれでいいんだけど、各ポジションの役割が多様化してる現代フットボールではもう少し工夫が欲しいのも事実だ。ただでさえユナイテッドではサイドバックがバカみたいに上がってくるんだから、中に絞ってサイドバックがあがるスペースを空けつつ、中央突破に参加するぐらいの器用さはせめて見せてほしい。だからナニは後半開始からギグシーに代えられたし、そう言う意味では今季パクチーがかなり重要な位置を占めてくるだろう。もちろんバレンシアの覚醒にも期待したいけれど。そこは御大の手腕を信じるしかないか


 忘れちゃいけない新7番のオーウェンさん。御大はオーウェンに並々ならぬ期待を寄せているとは思う。で、実際自分もオーウェンは十分活躍出来るとは思う。でもそれはクリスティアーノに匹敵する程かと問われればもちろんノー。やはり御大にその7番の真意を問えば、答えられないとは思うけど答えは「一時しのぎ」ってことになると思う。何より先発できないのがその証拠だ。7番はユナイテッドに新たな未来をもたらしてくれるような選手に与えなければいけない。そういう意味では既存の選手に与えるのは不適で、新しく来た若手陣の中にもそれにふさわしい選手はいなかったということだろう。とてつもないプレッシャーにもなるし、そういうのにも慣れ、一応新しく入ってきた選手ということでもあるし、消去法でオーウェンさんつけてはいただけないでしょうか、ということなんじゃないかな。
 実際かなり効果的でもあると思う。リーグ戦で優勝するには取りこぼしをしないことが一番重要。中小クラブを確実につぶすのがコツ。今回のバーミンガム戦のように、先制して前掛かりになった相手にとどめを刺すカウンター要員としてピッタリだろう。もちろん普通に起用してもある程度活躍してくれるだろうし。7番は置いといて、この補強自体は大正解だろう。


 攻撃陣の話にばかりなってしまいましたが。守備陣は地道に底上げされてる。エヴァが昨季から使えるようになったし、CB、SB両方出来るブラウンも復帰。エブラに頼り切っていた左SBもようやくファビオがものになったようだし、GKも今季はフォスターがちょくちょく使われることになるだろうし。やっぱり守備陣はある程度安心して見ていられるから嬉しい。


 ということで。まあ毎シーズン開幕直後チームの将来を心配するのがファンの常だからいいんだけど。こういう時、序盤取りこぼしても冬以降強いチームのファンってのは本当に幸せだと思う。ただ8月末からガナーズ、スパーズ、シティと曲者が続くから、その時までにはベルビー、バレンシア、ナニの誰かには何か掴んでもらってユナイテッドの攻撃少しでもぶ厚くしてほしいかな。

posted by myrowka |07:36 | Manchester United | コメント(4) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年08月17日

開幕戦はこんなもの

さてさて。


 リヴァプールの猛追を振り切って歓喜の3連覇から、はや三月。ようやくユナイテッド4連覇への挑戦がはじまるわけですが。
 新生ユナイテッドのフォーメーションは4-4-2。うん、やっぱりユナイテッドにこのフォーメーションは良く似合う。落ち着くね、ホント。だけどメンツを眺めて見ると大きな変化が。ルーニーとベルビーの2トップ、よし。スコールズとフレッチャーの2センター、よし。ナニとバレンシアのウイングコンビ、お~~。ユナイテッドも変わったんだなぁ。ここを見るとそれがよく分かる。
 まあでもここは素直に期待するところだろう。新ウイングコンビの力、見せてもらおうか!と思ったのだけれど。前半のユナイテッドを評するなら「平々凡々」。開幕戦だからか、まあみんなのんびりしてること。のんびりボールを持って、のんびりボールを運び、大した工夫もなく、ルーニーのグッドプレーから1点は取るもののチームとしてはちぐはぐ。
 動き出しが少なく、たまに動き出しをしても、味方がそれを感知できず無駄になり、じゃあもううごかねえよ!と結果動き出しがまた少なくなる負のスパイラル。本当に新しいチーム。また作り直しなんだな、と痛感させられる。
 作り直すのもいいけれど、目の前の試合には勝たなければいけない。ということで御大は後半開始直後からナニを下げて、ギグシー投入。するとさすがいぶし銀、欲しいプレーをちゃんと分かっていらっしゃる。プレースピードが速い。ナニ、バレンシアに渡ると淀んでいたボールの流れが、ギグシーを介すと急にスピーディーに。つられて周りも速くなる。動き出してもそこにパスを出してくれる。だから動く。うん、良い流れだ。


 ただその良い流れもバーミンガムを飲み込むほど大きなものにはなりきれない。ブレーキとなっているのはバレンシアだ。うーん、この選手はなんなんだろう。色々と不満はあるんだけど、ドリブルをしていて前にDFが表れると何の迷いもなしにパスを選ぶ、そのある意味いさぎよい消極性はホント不満通り越して頭来た。サイドバックのファビオの方がまだ勝負しかけてたじゃねえか。ボールを持っても判断遅いし、クロスは精度悪いし。全然良いところが見つからない。うーん、でもやっぱり御大が選んだキャラだから我慢しよう。
 一応今日は新7番オーウェンもお披露目。バーミンガムが前に出てきたので後ろにスペースが。なるほど。3連覇王者ということで、引かれることの多いユナイテッド。でもユナイテッドが先制点をとったなら、相手も前に出ざるを得なくなる。そこに旧ワンダーボーイを放り込まれたなら、そりゃ敵さんも厄介だわ。終了間際には新ワンダーボーイから美しい胸トラップパスをプレゼントとしていただくものの、見事外してみせて、ワンダーボーイ先輩として格を下げたわけだけど、まあそれに触れるのは野暮か。


 スコールズがかなり調子よくてなにより。寄せのセンスも抜群にいいし、シュートもバンバン撃たせてもらって、今季は御大にゴールとれと言われてるのかも。ここ数シーズンで一番良いシーズンになりそうな予感。
 フレッチャーももうすっかりベテランの風格かもしだしちゃって。キャプテンマークはほぼ同期のオシェイにとられちゃったけど、果てはスコールズ、ユナイテッドで骨をうずめるレジェンドになってくれることを願っています。
 右サイドバックはファビオ。昨シーズンは全然出場機会がなかったのに、いつの間にやら1軍スタメンで使えるほどものになってた。右ラファエル、左ファビオの双子コンビが見れる日もそう遠くはないだろう。ただ顔はそっくりなのだけれど、プレーは1年間トップチームで頑張ってたラファエルの方が上。ラファエルも決して守備が上手いとはいえないけれど、それ以上にファビオは雑。バーミンガムが相手だったからいいけれど、相手が相手なら1点2点ポポーンととられてもおかしくはなかった。


 ということで。開幕戦は1-0の勝利。エドさんもリオもビダもいない中完封勝利というのはまあ悪くない。今日は本当にフォスターが頑張ってくれた。少々判断が不安なところもあったけど、それは経験を積むことで改善されていくだろう。経験もないのにあんなに守れるなんてホントたいしたもんだ。
内容を鑑みると前途洋々というわけでもないんだけれど、まあそれも毎度のことと言えば毎度のことで。エドさんが帰ってきて、ベルバトフにエンジンが入り、バレンシアら新戦力もチームになれてきた冬のはじめぐらいにフルスロットルに入れれりゃ、そのままの勢いで4連覇。まあ今のところは青写真はこういうカンジにしておこう。だから冬まではルーニー1人に気張ってもらおうか。とんでもないものを押しつける形になるけれど、それに耐えれるからルーニーは好きだ。

posted by myrowka |00:52 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年07月10日

オベルタントリビア

 さてさて。


 我らがユナイテッドにオベルタンという若者がやって来た。とはいっても普通レベルのフットボールファンにゃあまり知られていない存在。フランス人でウイングで、ぐらいのことしかぶっちゃけ知らない。こんな時役にたつのが英紙ミラーの「~に関して知っておきたい10の事」。ユナイテッドの補強ターゲットのことを詳しく説明してくれる。ということで今日はその内容をちらっと覗いてみる。


1.1989年2月26日パリで生まれる。

2.アンリ2世と評され、主にトップとしてプレーするものの、中盤や武器のスピードを活かせるウイングでもプレーできる。

3.U-16世代から代表で活躍し、2009年5月31日シティ・オブ・マンチェスターで行われたU-21イングランドとの試合でゴールを決める。

4.2002年にパリFCのユースチームに入団し、1年後パリサンジェルマンに移る。その後2004年にかの有名なフランス国立の育成所クレールフォンテーヌに入り、現所属のボルドーに注目される。

5.プロ契約は2006-07シーズン。背番号は26で1年目は17試合とまずまずの出場機会を得る。

6.2008年マルセイユ戦でチームを救う値千金のゴールを決めて有名に。

7.2008-09シーズンはボルドーで出場機会に恵まれず、ロリアンにレンタル移籍。15試合に出場するものの、ゴールは1つと少なめ。

8.チェルシー、アーセナル、インテル、ミランの4チームもオベルタンに注目。

9.オベルタンの移籍はボルドーの監督ローラン・ブランもビックリ。「彼も驚いたろうけど、私もビックリだよ。ただユナイテッドでプレーできるなんて彼は本当に夢のようなチャンスを得たね。」

10.6月に行われたU-23の大会であるトゥーロン国際トーナメントでMVPに選ばれる。


 とまあこんな具合で。元記事に動画もあるのでそちらも参照されたし(特に下の方の動画)。動画見た感じではモデルチックなスリムな脚を活かし、ラテン的な見てるものを魅了する華麗な足技で1対1の対決を楽しむタイプという印象で、もうぶっちゃけて言えばクリスティアーノっぽいなあと。それはもうあからさまに入団当初の彼にカンジが似ている。やっぱり寂しいんだな、御大は。
 ただポテンシャルはスゴイとは分かっても、不安な点も少なからずあって。まず華奢そうな印象を受ける。プレミアの激しい当たりにあのドリブルが通用するか。クリスティアーノも真に適応するには2~3年かかったからなぁ。あとあんな細い脚じゃ怪我も心配。フィジカルの強化も優先事項となるだろう。となると良くも悪くも即戦力としてとった選手ではあるまい。
 300万ポンドという値段もそれを裏付ける。本当に将来を嘱望された選手ならこの5、6倍の値がついていてもおかしくないわけだ。よく考えりゃボルドーですらスタメンに定着出来なかったんだし、それには理由があるはず。「やったぜ!ニュー・ロナウド様の到来だ!ヒューヒュー!」と手放しに喜べる補強じゃないんだろう。
 ただそれはあくまでも目の前の未来に限った話で。何と言っても御大の目のつけた選手なワケだ。そりゃベリオンという前例がないわけではないけれども、ここ最近の御大の補強の当たりっぷりは半端ない。なが~い目で見てあげればきっと面白い選手に育ってくれるはず。急いじゃいけない。急いじゃいけない。
 
 
 オベルタンが大成する鍵は「芯の強さ」。これに尽きるだろう。クリスティアーノも当初は色々言われてた。人をバカにしたようなドリブル、しかもそれがプレミアでは通用しない、よくこける、独りよがり、チームプレーが出来ない、顔だけ、などなど。ただそんな批判にも全く折れず、自らを磨き続ける強さがあったからこそ、今のクリスティアーノがあるわけで。その点、別の記事ではロリアンで彼を指導していたクリスティアン・グルキュフ(あのグルキュフのお父さん)が「彼はまず精神的に強くならないといけないだろうね」と指摘していたのが気になるっちゃ気になる。
 良くも悪くも人をバカにしたようなドリブルで1対1を挑むのが好きっぽいんだから、キャラが強くないわけはない。ユナイテッドで成功するために最も大事なものをオベルタンは持っているのだ。あとはふらふら変わる周りの声に惑わされず、彼のように自らを貫き通せる強さがあるかどうか。とはいえあまり心配はしていない。何よりあの御大が目をつけたんだから。オベルタンに期待をするにこれ以上の理由はいらない。

posted by myrowka |07:52 | Manchester United | コメント(5) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年06月11日

湿っぽいのは苦手でね

さてさて。


 ユナイテッドの公式ページでユナイテッドがレアルのクリスティアーノ・ロナウドへの8000万ポンドのオファーを受け入れた、という記事が出た。移籍市場のニュースは入団発表が行われるまで信じちゃいけない、というのが鉄則だけど、公式ページでもあるし、前後の状況を鑑みても個人的には確定だと思っている。昨季ベルビーに約3075万ポンドもの巨額投資をしている時点で御大の頭に「然るべきオファーがあればクリ坊移籍もやむなし」シナリオは折り込み済みだったろう。なんせ昭和61年からユナイテッドの監督をしているお人。人の回し方を知らなきゃこんなに長い政権は築けない。
 個人的にはレアルにクリ坊に相応しいオファーが可能なのかどうかが唯一疑問だったが、8000万ポンドという申し分ない誠意をレアルは示した。レアルが破産してこの金踏み倒しやしないかと若干不審に思うが、まあここで悩んでたってどうなる問題でもない。
 御大として想定外だったのはクリ坊なき後の中心選手として獲ったベルビーを1年でチームになじませ切れなかったことだろう。ベルビーが予想以上に特殊な選手だった事でその作業はすごく困難なものになった。起用法や完全契約を結ばなかった事から当初はこれまた放出候補であったと思われるテベスに途中からかなり頼るようになった態度の変化からも、守備面ではともかく攻撃面では御大の計画が予定通り運ばなかったことが見て取れる。
 が、それも御大のこと、オフシーズンに軌道修正して蓋を開けてみれば立派なチームを作り上げてしまってるんだろう。8000万ポンド?テベス引き留めでもなんでも出来るさ。「ロナウドの不在を全く感じさせませんね」というリポーターの振りに意気揚々と応える御大の笑顔が今から目に浮かぶ。


 それにしても今回も後腐れの残る別れだった。御大がシーズン中に「クリスティアーノはボールを簡単に失いすぎる」と批判すれば、クリ坊もCL決勝直後に「監督の戦術が悪かった」と公に御大バッシングをしたり。ベッカムの時といい、ルートの時といい、どうも御大は気持ちのいい別れというのが下手くそみたいだ。
 と、ここまで思って考えた。もしかしてこれはわざとじゃないのか。御大は別れが近い選手をわざと突き放してるんじゃないのか。自分が思いを寄せている選手が赤の他人に強奪される、もしくは自ら去っていく。それが嫌んなるほど悔しいから、それならばと、自分の方から離れてく。そんな小学生のように子供っぽい御大の愛憎を妄想して萌えた。


 クリ坊が去るとするとユナイテッドファン最大の関心は当然、背番号7の後継者。個人的にはルーニーにつけて欲しいが、ルーニーはもう既に10という偉大な背番号背負ってるし。マケダといった新星に渡すのか、それともこの夏獲る新戦力に渡すのか。ロッシを買い戻すって手もあるけど、やっぱり獲りたいのはウインガータイプの選手だよなぁ。
 現有戦力でいうなら自分は地味に4-3-1-2が見てみたい。もちろん1にはベルビーを置いて。サイドアタックはルーニーやベルビーがサイドに流れたり、エブラやラファエルの攻撃力があれば取り立てて問題はないだろう。ぶっちゃけて言えばベルビーに惚れてる自分の個人的願望以外のなにものでもないけれど。ベルビー活かすにはこれしかないっすよ、御大。


 最後は少し話がそれてしまったけれど。レアルにいくとクリ坊は想像以上の困難に襲われ、驚くだろう。中にいたら気づきにくいけど、ユナイテッドは意外と居心地がいいんだで。それはユナイテッドを去った他のスター選手達が証明してくれている。それにひきかえレアルなんて世界で最もうるさいクラブのひとつ。次々変わる監督や会長、それに伴って襲いかかるマスコミ。マドリードで過ごせば過ごすほどクリ坊は御大の厚い愛情を思い出すことになるだろう。
 でもそれも自ら選んだ道。弱音吐いてる暇なんて無い。ガンガン前向いて進むしかない。つってもクリ坊は強い子だから心配する必要もないのだけれど。御大にかわいがられてばかりもいられないもんね。心身共に一歩前へ。クリ坊の混じりっけない素直な気持ちだろう。大きくなったなぁ。もうクリ坊とは呼べないね。


 ということでアニモ、クリスティアーノ!ムチシマ・スエルテ!

posted by myrowka |20:46 | Manchester United | コメント(8) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年12月25日

BOY MEETS BECKHAM

※前ブログからの転載改


「あなたが一番好きな選手は誰ですか?」


 と聞かれれば、一体ここをご覧のみなさんは誰と答えるだろうか。自分はかなり悩む。ルーニーにメッシー、イニエスタ。渋いところを突くとフレッチェル、アルテタ、チャドウィックなんかもなんだかんだで記憶にずっと残ってる。そういや自分がフレッチェル好きなのはチャドウィックの顔となんか通ずるものがあるかもしれない。などなど、あまりにも魅力的な質問だけに、いろんな選択肢が浮かんでは消え、浮かんでは消えていくのだが、結局のところ自分はこう答えざるを得ないのである。

「デイビッド・ベッカム」だと。

 自分の部屋の一番目立つところにドカンと飾られているポスターがなによりの証拠だ。胸には大きなシャープのマーク。ユニフォームはあの時はまだアンブロ製だった。個人的に一番気に入ってるチャックのついたタイプの赤い悪魔のユニフォームに身を包んだブロンドの髪をなびかせハツラツとプレーをしていた頃のベッカムのポスターは自分の宝物である。
 ベッカムがユナイテッドを去り、ルーニーというベッカムに代わるスーパースターが現れても、自分の中ではベッカムを超えることはない。一生ないのだろう。それは別にルーニーがベッカムより劣っているとかそういうことではない。ベッカムが自分をかくも奥深いフットボールの世界へと引きずり込んだ張本人だからなのだ。


 1999年中学生の頃、自分はフットボールのことなんかまだ何にも分からないペーペーだった。夏休みの体育の宿題(なんでもいいからアマチュアの試合を実際に見に行きそのレポートを提出しろというもの)をずっとサボり続けていた自分は突如12月、体育教師に呼び出される。

「もう2学期も終わりだ。それなのにお前はこのままずっと宿題を出さないつもりなのか。許してほしければテレビでもいいからなにかの試合を見て、そのレポートを書け」

 その声に並々ならぬ怒りが込められていたのを敏感に察した自分は、命が惜しければなによりも優先してこの課題を成し遂げなければいけない、と理解した。
 さて、スポーツとはいっても日本で一番人気のある野球はとうにシーズンを終えている。何を見て書こうかと悩んでいたところ、「トヨタカップ」という大会があるというのを耳にした。なにやらフットボールでヨーロッパ一強いチームと南米一強いチームが戦う試合らしい。この時期になんと課題にピッタリな大会が行われるのだろう。まるで自分のために開催されるかのようだ。これを見ない手はない、ということで早々とテーマは決まる。試合を見てそのままその内容を書くというのもいいのだが、なにせ4ヶ月もサボり続けた課題だ。少しでもいい内容のものをと考え、試合前にやっていた明石家さんまさんが司会の特別番組を見ることにした。その番組ではいかにしてユナイテッドがヨーロッパチャンピオンまで昇りつめたのか、その過程を映像を交え詳しく放映していた。そこで自分は初めて世界のフットボールのレベルを目の当たりにする。


 当時は右からベッカム、キーン、スコールズ、ギグスの黄金の中盤に加え、前線にはアンディ・コールとヨークのいわゆるホットセットが並んでいた。ギグスの超絶ドリブルに、スコールズのミドルシュート等、数々のスーパープレーが飛び交う中、自分の目を一番引いたのはベッカムのアーリークロスだった。最初見たときは、もうなにがなんだか分からなかった。

 ボールというのはこんなにも早く飛ぶものなのか。ボールというのはこんなにも鋭く曲がるものなのか。ボールというのはこんなにも正確に蹴れるものなのか。
 
 なにもかもが自分の常識を超越していた。そんなとてつもないボールを放っているのが金髪をなびかせるハリウッド俳優顔負けのイケメンとなれば、フットボールを知らない人間でも夢中になるのは無理もない。肝心のトヨタカップではあまり目立った活躍が出来ず、逆に敵のアスプリージャのスピードに驚かされたがそんなことはどうでもよかった。ヨーロッパには自分の知らないとてつもない世界が広がっている。それを知った自分は加速度的にフットボールの世界に引き込まれていった。こうやって自分はこんなにもフットボールが好きになっていったのだ。




 それからいろんな選手を好きになった。それこそ数えあげればキリがない。でもベッカムが自分に初めてフットボールの面白さを教えてくれた選手である以上、先の質問に対する自分の答えは一つなのである。たとえユナイテッドを去って自分の大嫌いなチームへ行こうとも。

posted by myrowka |12:26 | Manchester United | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年08月22日

あのドキドキにさようなら

 少し急で少しショックで少しホッとするニュースがひらり。シルベストルがガナーズに移籍。今シーズンユナイテッドのユニを着たシルを見るとは思っていなかったが、かといってガナーズのユニを着たシルを見るとも思っていなかった。
 インテルからユナイテッドに移籍してきたのがなんと9年前。もうそんなにもなるのか。当初は左サイドでガンガン良いクロス放ってくれてた印象がある。ウィキペディアめくると、プレー機会が多くなり始めたのはアーウィンの後釜として使われだした頃とか。アーウィン!懐かしい!その後ユナイテッドがディフェンス・クライシスに陥りセンターバック起用されるも、元々センターバックでのプレーが好きだったそうで難なく順応し、ユナイテッドディフェンスを支えてくれた。
 ただ正直シルベストルはユナイテッドサポーターにとって良い思い出ばかりがある選手ではない。試合で時折見せるポカは時が経つにつれシルベストルの代名詞ともなり、シルがボールに関わる度にそれはもう肝を冷やす日々。特にビダがスタメンに定着し安定なプレーを見せるようになってからは、シルのポカがより強調されてしまい、次第にプレーする機会も減っていった。
 そして移籍を決めた今夏。ボルドーやらシティやら色々噂されるも、最終的にはガナーズに移籍先を決める。プレミアでの優勝を狙えるチームへの移籍。当然競争は厳しく、ポジションを確約されているわけではない。しかしそんな状況にあえて身を投げたシル。シルはまだ戦う男だった。


 この移籍には2つのサプライズがある。まず一つはユナイテッドからアーセナルの移籍であるということ。ユナイテッドからアーセナルへの移籍は遡ること34年前。スコールズやベッカム、ギグスを育てたことで知られるユナイテッドの元アシスタント・コーチのブライアン・キッドが選手時代に移籍したのが最後だった。尤もユナイテッドはその後低迷期を迎えるわけで、そういう意味では御大らの手によりユナイテッドが復活してからは初の例となる。時には御大の意地のため、時にはベンゲルの意地のために成立しなかったんだろう。ちなみにアーセナルからユナイテッドへの移籍も21年前の1987年にヴィヴ・アンダーソンという選手が移籍したのが最後。
 もう一つのサプライズはシルとの契約が2年契約だということ。ベンゲルは大のおじさん嫌いで例えそれまでチームに尽くしてくれた選手であろうとも30を過ぎると1年契約しか結ばないというある意味不義理なおじさんだった。そんな58歳のベンゲルおじさんが31歳のシルおじさん相手に2年契約。そこそこ本気だということなんだろう。
 そんなベンゲルはシルを獲得した理由に経験とユーティリティを挙げている。確かにある程度のクオリティは保証できてプレミアでの経験も豊富でセンターバックもサイドバックも出来る選手は他に探してもあまり見つかるまい。ある意味良いところに目をつけたのかもしれない。尤もシルベストルの国籍が違っていたなら話もまた別だっただろうけど。
 ちなみに新天地での背番号は「18」。以前はシガンがつけていたものらしい。あらまぁ。何やら示唆的な一致に見えるのは私だけかしら。




 でもなんだかんだ言ってユナイテッドの情報が持ち去られたというのが一番痛い気がする。そのユナイテッドの情報を欲しがったベンゲルにも今シーズンの並々ならぬ闘志が感じられた今回の移籍。まあでも御大がOKを出したんだ。勝算アリということだろう。ライバルのことはあまり考えずあくまでゴーイング・マイ・ウェイの精神で。


 来る来るとは知っていたがとうとうやって来たシルとの別れ。あのシルの守りのドキドキ感をもう味わえないという事実に一抹の寂しさと一杯の安心感と、そしてこれからそれを味わうことになるガナーズファンに対する一握りの同情を抱きながら、さようなら。


(情報源:Manchester Evening NewsWikipedia

posted by myrowka |00:24 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年08月21日

ブラジリアン・キャリックとブラジリアン・ネビルズ

さてさて。


 開幕戦にして急遽お披露目と相成りましたブラジル人三人衆のうちのポッセボンとラファエル。御大のコメントにちらほらと名前だけ出てきてたので存在だけは知ってたものの、どんな選手かは全く分からない。ということで今日はその3人にズームイン。


・ロドリゴ・ポッセボン(情報源:ユナイテッド公式HPWikipedia)

 開幕戦でいきなり心鷲づかみにされたスラッと背の高いイケメンモデル風オールラウンドなセンターハーフ。背はホントに高くて詳しい数字がどこにも載ってないんだけど190センチはありそう。プレーぶりはエレガントだそうで(これは開幕戦見て感じた)、パスでゲームを組み立てるのが得意だそうだ。そういう意味ではキャリックとスタイルが似ているのかもしれない。良い意味:悪い意味=3:7でポッセボンの方がファンタスティックっぽいけど。
 1989年2月13日生まれの19歳。ブラジルのインテルナシオナルでプレーしていたところをユナイテッドのブラジル担当スカウト、ジョン・カルバート・トゥールミンに目をつけられ、2008年1月31日に移籍金350万ポンド(推定、2008年8月21日のレートでは約7億1千万円)で移籍、移籍当初からトップチームの背番号34を与えられている。タダ同然の青田買いではなく一応それなりのお金払ってるから何よりだ。
 プレミアリーグと言えばユーロ圏外の国籍の選手のプレー条件が色々と厳しいことで知られるが、ポッセボンは父さんがイタリア人だからユーロパスポートがあるので、その問題は難なくクリア。なぜかは知らないけど英語も堪能なそうで、コミニュケーション面での問題も無い。その点ではダ・シルバ兄弟よりも順応は早いだろう。まあいくら順応できようとプレーで結果残せないと元も子もないけれど。


 ん~、良さそうな選手だけど惜しむらくはユナイテッドで今一番競争が激しいところにぶち込まれた選手であるということ。スコールズ、キャリック、アンデルソン、ハーグリーブスにフレッチ、オシェイ、ギグシー御仁もここでプレーできる。そんなところに19歳の若者がポーンと放り込まれて居場所を確保するにはそれこそワールドクラスの実力と精神力が必要だ。まあそれぐらいでないとユナイテッドの選手は務まらないんだけど。スコールズ、ギグシー御仁の引退が近いとは言え、まだ2年はやれるだろうし、あくまで長い目で見た補強ということだろう。


・ラファエル・ダ・シルバ(情報源:ユナイテッド公式HPWikipedia)

 アフロチックな髪型でいかにもブラジルっぽい攻撃的な右サイドバック。中盤でのプレーもこなせるそうだ。1990年7月9日生まれの18歳。リオデジャネイロ出身で身長は172センチ。下で紹介するファビオとは双子。
 前所属チームはフルミネンセ。2005年(当時ラファエル15歳)に香港で行われたユースの大会でプレーした際、元ユナイテッドのアカデミーのディレクター、レズ・カーショーにファビオと共に目をつけられる。
 ポッセボンと違いユーロパスポートを持たないダ・シルバ兄弟はプレミア特有の労働許可証云々のゴタゴタに巻き込まれる。紆余曲折ありイングランドでの労働許可が下りるまでに1年もかかったそうで。その間所属チームのフルミネンセはどうせ1年後には他のチームに行くんだろ、とプレーをさせてくれなかったらしい。すなわちユナイテッドに加入するまで公式戦から1年間も遠ざかってたことになる。怪我でもないのに。うーん、大人の世界はシビアで醜い。
 だがそのハンデも若さ故の勢いではねのける。ようやく労働許可の下りた8月いきなり親善試合のピーターボロ戦にフル出場し、そのプレーを見た御大に「これはいわゆる一つのセンセーション」と言わせる活躍を見せたそうだ。ユナイテッドでは21番を背負う。
 

・ファビオ・ダ・シルバ(情報源:ユナイテッド公式HP)

 ラファエルと双子なだけあってクリソツ。ポジションもラファエルと同じサイドバックだが、どちらが空気を読んだのか、ラファエルとは逆の左サイドでプレーするためポジションは重ならない。所属チームやユナイテッドにたどり着くまでの経緯はラファエルとほぼ同じなので割愛。ただ2007年に行われた17歳以下のワールドカップではキャプテンとしてプレーし、チームの得点王にもなっている(3点だけど)。ユナイテッドでは20番。



 ということで。ユナイテッドが故意に仕組んだことかどうかは知らないが(多分故意だろうけど)、ダ・シルバ兄弟はネビル兄弟と被るものがある。兄弟という点も一緒、ポジションも一緒、ただネビル兄弟はプレーサイドが同じだったけれど、ダ・シルバ兄弟は逆なので、右ラファエル、左ファビオと兄弟競演がしやすくなってるところなんかはよりドラマチックと言っていい。
 ここ数年のユナイテッドの重要補強ポイントとしてサイドバックがあったわけだけれど(特に左サイドはひどく、昨季エブラが怪我していたらと思うとゾッとする)、今シーズンはこのダ・シルバ兄弟がその答えの一つということになりそうだ。層が厚くないだけにポッセボンよりは出場機会は多くなるだろう。



 ユナイテッドがある程度の期待を抱いて獲得した3人のブラジル人。自分はやっぱりケイロスへの政権委譲計画の一端だったんじゃないかと思う。着々と進行しつつあったんじゃないかなぁ。だからホント御大にとってケイロスのポルトガル代表監督就任は青天の霹靂だったと思う。それでもこの選手達が才能のある選手達であるということに変わりはない。御大が上手く彼らを育ててくれることに期待しよう。

posted by myrowka |22:13 | Manchester United | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年06月05日

プシー・キャットはかく語りき

 先日サー・アレックス・ファーガソン(以下、御大)のインタビューを発見。自らのニックネームに対する感想からベッカム、後継者問題、外国人問題などなど、色んなことに答えてる。さっそくどんなものか見てみよう。


・自称プシーキャット

 御大のニックネームとして最も有名なのはヘアードライヤー。熱くなりやすい性格から名付けられたものだが、御大自身は気に入ってないご様子。そりゃ昔はそうだったが、今は歳も歳だしさすがに丸くなってるだろう、とのこと。その証拠に以前にBBCとの確執を紹介したが、時が経つにつれ態度も軟化しつつあるのだとか。

「BBCとの問題はあいつらが絶対に謝らないことだ。でももう2008年だ。そろそろ解決してもいいころだろう。ただ一言、自分たちが間違っていましたと謝ってくれればそれでいい。それだけで済むんだ。BBCといえども引かねばならない時もある。向こうが引けば私も許す。別に意地悪をしているわけじゃないんだ」

 許すとは言いつつも、結局事態は何ら改善してなかったり。しかもBBCへの怒りは社の態度だけにはとどまらない。

「以前BBCが誇るべき男リネカー(注:リネカーはBBCのフットボール番組『Match of the Day』の司会をしている)が、私のことを子供っぽいとか言ってたが、そういう自分はどうなんだろうな。何やら圧力をかけて自分に不利な記事を止めているそうじゃないか(注:リネカーは離婚後女性問題が絶えないそうで)。子供っぽいとはどういうことか、あいつ自身子供っぽいから十分分かっているだろう。だとしても私は私が子供っぽいとは思わない。BBCのインタビューを避け続けているのは意地悪じゃない。スタンスだ。リネカーと違って私の場合、悪いことをしたのは向こうなんだから」

 キレやすいことは認めつつもそれは昔のことで、しかもキレていい時はキレていいと開き直る御大。

「私に『正しい理由がある場合はキレても自分を責めることはない』と教えてくれたのはジョック・ステイン(注:元スコットランド代表監督で御大は彼のアシスタントコーチとして働いていた)だった。これまでキレたことは何度もあったが、7,8割正しい理由があったと思う。時に私の考えを理解させるため、時に選手に地に足をつけさせるため。でもそれは15年ほど前の話だ。今の私はもうプシーキャットだ。キレるには歳を取りすぎた」

 御大の有名ブチギレエピソード。

「コップを投げたことがあるだろうって?一度や二度の話だ。有名なのはゴードン・ストラカンに投げた時の話か。でもあれはあいつがルーマニア戦で私の話を聞いていなかったからだ。その時大きなティーアーンがあったから、それを思いっきり殴りつけたんだ。もうちょっと強く殴ってたら冗談じゃなく骨が折れてただろう(笑)その後トレイを思いっきり蹴ったらコップが飛んでったんだ。とは言っても最大の被害者はストラカンじゃなく、紅茶が背中にかかったアシスタントコーチのアーチー・ノックスだった」

 そんな御大が最もブチギレた人物とは。

「もちろん私にこんなニックネームをつけてくれたマーク・ヒューズだ(笑)」

 厳しい御大にしごかれて26年ぶりのリーグ優勝を果たし、その後もイングランドのトップとして君臨し続けるユナイテッド。秘訣はモチベーションの維持だとか。

「リーグ優勝をしたとき、封筒を見せながらこう言うんだ。『この中に3人の名前を書いておいた。その3人は来シーズン確実に足を引っ張ることになる』と。すると選手はお互いを見合って『俺じゃない!』って言うんだ。もちろん封筒の中には何も入ってないんだがね」



・後継者はやっぱりケイロス?

 ユナイテッドの次期監督としてよく名前が挙がるのがロイ・キーンなりマーク・ヒューズなりのOB。そりゃファンとしては昔オールド・トラッフォードでプレーした選手が監督としてユナイテッドの歴史を紡ぐ姿を見たいと思うのは当然のこと。しかし御大はOBにこだわっていないようで。

「そりゃロイ・キーンもマーク・ヒューズも候補の一人だが、ケイロスの存在を無視することは出来ないだろう。OBであることは絶対必要条件ではない。あのマット・バスビーだってシティの選手だっただろ?ケイロスは十分やってくれている。クラブへの貢献度は抜群だ。(後継者という点において)何の問題もないだろう。」

 御大は70歳までには辞めると公言しているが、実際ボビー・ロブソンのように70歳を超えてもバリバリ監督を務めた人はいる。

「監督としてやり続けようという熱が冷めたらもう無理だと思ってる。70を超えてその熱が保てるか、自信がないんだ。あと3年以上は無理だろう」

 情熱以外にも御大に引退を考えさせるファクターが。

「妻にはもう随分迷惑をかけ続けている。妻は実はフットボールに興味がないんだ。だから試合を見に来ることもない。妻は試合を文字多重放送(注:イギリスにはほぼ全ての番組に字幕つきというサービスがあるんだとか)で見るんだ。信じられるか?」

 最後に御大の監督論。

「ユナイテッドにとって最も重要な人物が監督だ。監督が変わるとクラブが急速に低迷することもあるだろう。主導権を選手に渡してはいけない。ファンに渡してもいけない。もちろん彼らはクラブにとって大切な存在ではあるけれど。誰かがクラブを引っ張っていかなければいけない。誰かが責任を負わなければいけない。それは監督なんだ。だから他の人間は監督を支えなければいけない」



・ベッカムのロングシュートを振り返る

 先日ベッカムがMLSで60m弾を決めたことで話題となった。ベッカムのロングシュートと聞いてユナイテッドファンが思い出すのは、96-97シーズンの開幕戦でハーフラインから決めたゴールだろう。当時はユナイテッドのユの字も知らなかった自分もこのゴールは知っている。御大ももちろん例に漏れないその一人。

「その10分前も同じようなことをしようとしたんだ。そのプレーを見てアシスタントコーチのブライアン・キッドに『次あんなことをしたら交代だ』と言ったんだ。あの試合の時ベッカムは少し興奮していたみたいだった。まあ開幕戦だったし、興奮しても仕方ないかもしれないが、それでも選手たるもの常に地に足をつけるよう努力しなければいけない。まあでもあのゴールは入った。キッドが私に向かって「交代させなけりゃいけませんよ!」って言ってきたのは今でも覚えてるよ」



・イングランドの王者たるプライド

 近年外国人が多いとやたら批判されるプレミアだが、御大はその流れに真っ向から対抗する数少ない貴重なお人。ルーニー、キャリック、スコールズ、ギャリー・ネビル、ブラウン、リオ、ハーグリーブスと7人のトップクラスのイングランド人を抱え、イギリスまで枠を広げればスコットランドのフレッチ、ウェールズのギグスと9人にまで膨れあがる。若手にもフォスター、イーグルスがいるし、ウェールズでギグシーの後継者と評されるカーディフのアーロン・ラムジーを積極的に狙いに行ってる。だが一人孤軍奮闘の状態では解決のしようもない。自然とカペッロに同情を寄せてしまう御大。

「代表にとって昨今の外国人問題は危険かだって?そりゃ危険だ。外国人選手が減れば自然と監督もイングランド人である必要が少なくなる。自国の監督にとっても重要な問題だ。これは批判ではないがアーセナルとチェルシーを例に取れば分かるだろう。アーセナルから選手を選ぼうとしても2人しかいない。チェルシーからはその倍の4人選べるが、それにしてもやはり外国人の割合が多いと言わざるを得ない。こんな状況下では代表監督も厳しい仕事となるだろう。かといって私はイングランドのアカデミー・システムが悪いとも思わない」




 一応念のために言っておくと、御大自身がプシーキャットと自称しているし、そもそもプシーキャットには単なるおとなしい人と言う意味があるので、もちろん御大もその意味で使ってます。
 御大とリネカーの仲がこんなに悪くなってるとは知らなかった。とは言っても自分はリネカーのことなんてほとんど知らないけど。なんか現役時代リネカーは御大の誘いを断ったこともあるとか。この騒動において最初にケンカを売ったのもリネカーの方だそうだし、やっぱりリネカーが悪いんじゃないかしら。何より相手が悪い。おそらくフットボール番組の司会やるリネカーとしては自分の番組のインタビューに全く答えてもらえないフラストレーションってのがあったんだろうけれど。御大はケンカするときはとことんだから、怪我をせずには済むはずもない。早速女性関係のことでチクリとやられた。
 キレっぽいのは昔のことと御大は言うが、ベッカムの靴騒動もあったし、スタムやらルートやらとのやりあいもあるし、自身はプシーキャットと言うものの、やっぱりまだまだヘアードライヤーじゃないのかなぁと個人的には思う。

 このインタビューで何より興味深かったのが後継者問題。これって暗にケイロス指名してない?自分はナニとアンデルソンの獲得が政権委譲の布石だったと予想している。ヒューズはあろうことかシティ行っちゃったし、今現在ケイロス以上に御大のやり方知り尽くしてる人物がいないってのも事実。ただケイロスで大丈夫かという不安も実はあって。年齢も55とそこそこの高齢だし、レアルでの手腕も疑問の残るものだったし、そもそもトップレベルでの監督経験も経験が少ない。
 でも経験面での不安は御大のやり方をずっとそばで見てきたことで解決されるかもしれないし、レアルでは滑ったが、勝手知ったるユナイテッドで指揮するのでは事情も違ってくるだろうとも思う。するとすれば御大直々の指名になるだろうし、御大引退後もその影響力を行使出来るという意味ではやっぱりケイロスなのかなぁと思う。
 御大の監督論も正座して拝読。ユナイテッドで最も重要な存在は監督。御大だから言える言葉。こんなことを堂々と言えるビッグクラブは世界中探してもユナイテッドぐらいじゃなかろうか。あるクラブではそれは会長だし、あるクラブではそれはソシオ、あるクラブではそれはサポーター。それぞれがごちゃごちゃごにょごにょとピッチ上の出来事に文句を言い、口を出し、物事をややこしくするというのはフットボール界において常。だが、絶対監督政のユナイテッドではそんなことはあり得ない。その分責任は全部俺が背負うという覚悟。泣きたくなるぐらいかっこいい。「主導権を選手に渡してはいけない。ファンに渡してもいけない」。極東にある某クラブは見習うべし。

 最後のは良い意味では自負、悪い意味では両チーム、というより両者に対する嫌味だろうなぁ。お前らイングランド人だけでここまで出来るか?っていうかイングランド人使わないで俺に負けてるってどういうことだ?って。実際その通りだと思う。すげぇ。外国人が増えると自国に悪影響とは言うが、これほどまで選手抱えててカペッロは不満も何もないだろうと思う。世界最高クラスの選手層だとは思うけどなぁ。となるとやっぱり問題は監督の方じゃないかしら。マクラーレンはなかった。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |21:06 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月27日

スコールズという男

さてさて。


 ここ最近ユナイテッドの記事が続いていますが。何もバルサに飽きてきたわけじゃあない。イングランドのニュースサイトとスペインのニュースサイトを行ったり来たりしていると、両国のスポーツ報道の違いに色々と気がつくが、大きな違いの一つとして、オフシーズン時の移籍市場の記事の量が挙げられるだろう。別にイングランドのニュースサイトが移籍の話題を取り上げないというわけではないが、それにしてもスペインのニュースサイトの移籍関連の記事の膨大さには閉口する。やれケイタだの、やれカヌーテだの、やれベンゼマだの、やれアデバヨールだの、やれシルバだの。別に加入する選手の話ばかりでない。アンリは去らないだの、いややっぱり去るだの、エトーがトッテナム行くだのミラン行くだの、ザンブロッタも一緒だだの、ジーニョは見捨てられただの、もううんざり。いちいち相手にしてちゃキリないし、そもそもおもしろくもなんともない。というわけで、バルサのニュースはこんなのばっかりなので、取り上げようにも取り上げるべくものがないわけだ。それなら数日前に見つけたスコールズに関する記事でも引っ張り出そう。ということで、今日はスコールズの話。




・シャイボーイ

 U,N,Gで御大がスコールズのシャイな性格について語っているが、スコールズのシャイさ加減はそんじょそこらにあるもんではなく、かなりの筋金入り。クラブ側からどうしてもと言われない限りインタビューは一切受けないし、フットボール以外のことで公の場に出てくることも滅多にない。だがそうは言っても稀有な例はある。2003年の8月オールド・トラッフォードで行われた全国ぜんそくキャンペーン(National Asthma Campaign)にはスーツ姿で、なんと奥さんのクレアさんと一緒に現れている。ちなみにクレアさんとの2ショット写真はこちら。もう少し清楚な感じをイメージしていただけに意外・・・。それ以上に奥さんと違ってカメラ目線出来ないスコールズがかわいすぎる。とまあそんなことは置いといて。そのキャンペーンでのスコールズの姿をファギー・ベイブスをユースで育てた名コーチ、エリック・ハリソンが語っている。

「私の妻と同じくスコールズもぜんそくを煩っていてね。それでこのキャンペーンに参加してもらったんだが、誘ったときは断られると思ってたよ。なんせあの性格だからね。でもすんなりOKをくれた。その時奥さんと一緒に来てはどうだと言ったんだ。このキャンペーンに力を貸すこと自体は問題ないようだったが、やっぱり人が大勢いる場所は苦手なようだね(笑)。スコールズは会場に来たとき『なんで僕はここにいなきゃいけないんだい?別にみんなの前で挨拶をするわけでもないし』って言ってきたんだ。それで私は『君が今日の主役だよ』と言ったんたが、『まさか!なんで僕が!』って驚いてたね。『ただいくつかの質問に答えればいいだけだよ』って何とか説得して納得してもらった。スコールズはよくやってくれたよ。彼らのおかげで2万2千ポンドの寄付金が集まった。会の後も彼は私に何も文句を言ってこなかったよ」

 意図的かどうかはともかく、ぜんそくの人たちを救うためと断るに断り切れない頼みでスコールズを表舞台に引きずり出したエリック・ハリソン、グッドジョブ。スコールズのシャイさ加減といいひとっぷりが出たナイスなエピソード。

 スコールズのシャイ度をあらわすもう一つのエピソード。それはナイキとのシューズ契約。スコールズは契約の中に「キャンペーンなどで公の場に出る義務は負わない」という条項を盛り込ませているそうだ。それに対しナイキ側は「契約が結べるだけで十分だ。といっても世界中でもこんな条件申し出てくるのは彼ぐらいだろうけどね(笑)。でもそれでいいじゃないか」と半分感心半分呆れ顔。



・移籍先はオールダム?

 スコールズの出身はマンチェスターの隣のサルフォード。小さい頃好きだったクラブはユナイテッドでもシティでもなく、家の近くにあったオールダムというクラブだったという。スコールズをユナイテッドに推薦したマイク・コフィーは当時の彼をこう語る。

「スコールズのヒーローはオールダム・アスレティックのストライカーだったフランキー・バンだった。スコールズは熱狂的なオールダムファンでね。スコールズがユナイテッドを辞めたあとオールダムでプレーしてても私は何も驚かないよ」
「スコールズはフットボールバカでね。正直言って勉強はあまり出来なかった(笑)。私は彼が小学1年生のチームにいる頃から注目していた。当時から社交的な性格じゃなかったが、ボールとチームメイトを与えてやると豹変するんだ」

 その後スコールズはオールダムのジュニア・チームに加入。そこにはネビル兄弟やバットもいたそうな。そこで先のエリック・ハリソンのアシスタントをしていたブライアン・キッドにコフィーがスコールズ達を推薦。すぐにオッケーが出たそうだが、スコールズはオールダムを出るのを渋ったらしく、数日間説得してなんとかユナイテッドに入ってもらったらしい。こうして晴れてユナイテッドのユースチームにやってきたスコールズ。その時の印象を再びエリック・ハリソンが語る。

「彼は本当に小さかった。ベッカムも当時は彼と同じぐらい小さかったが、でもスコールズは昔と身長がほぼ変わってない。でも身長なんてスコールズにとって何の問題でもないんだ。体も強くなかったが、頭が良かったし、足も速かった。他のクリエイティビティーあふれる選手のように彼はパスも出来、ゴールも奪えるが、彼が特別だったのは空中戦やロングシュートでもゴール出来た点だ。土曜日に試合があったんだが、当時のチームはドリームチームと呼ばれていた。観客はそのプレーに酔いしれていた。その中でも一番の人気はスコールズだった。あのダンカン・エドワーズらを見てきた目の肥えたファンに認められてたんだからね。ファーガソンももうその頃には目をつけていただろう」



 お恥ずかしながらスコールズがユナイテッドに来る前のチームでネビル兄弟やバットとチームメイトだったのは初耳。よくよく考えてみると当時のオールダムってのはとんでもないチームだ。こういう話は夢があって素敵。まあでもこのオールダムのメンツをはじめユナイテッドのユースチームにこれだけ才能のあふれる選手達が集まるってのは何十年に一度という奇跡の話なんだろう。今後またユースチーム・フィーバーが来るなんてことがあるんだろうか。でも当時と違ってユナイテッドはすっかり買うチームになっちゃったから。難しいんだろうなぁ。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |00:31 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月22日

全ては神の御心のまま

UEFAチャンピオンズリーグ07/08 決勝 ユナイテッド vs チェルシー


 ユナイテッドの布陣はGKエドさん。DFラインは右からブラウン、リオ、ビダ、エブラといつも通り盤石。中盤はこれまでチャンピオンズで重用してきたパクチーを外し、ハーグリーブスを右サイドハーフ起用。ということで右からハーグリーブス、キャリック、スコールズ、クリ坊、前線はルーニーとテベ公の4-4-2という些か珍しい布陣。献身度ではほぼ同じのパクチーとハーグリーブス。御大は後者を選んだ。守備的ポジションの経験度での決断ととっておこう。これによりスタメン11人中6人がイングランド人という英国の匂いただようメンバー。これがプレミアリーグの王者です。


 ユナイテッド対チェルシー。蘇るはあのスタンフォード・ブリッジで味わった何とも言えない敗北感。やむを得ない事情はあったものの「これぞ王者だ!」とその力を顕示すること能わず、チェルシーのその力強さに飲み込まれただけだった。王者たるものあんな情けないフットボール二度とやっちゃいけない。それだけが不安だった。だが。その不安は開始数分で吹き飛ぶ。スコールズ、キャリックとご自慢のセンターハーフコンビで小気味よくボールを回し、エブラとクリ坊が左サイドを疾走し、中央ではルーニーとテベ公が素早い判断と少ないタッチでチャンスメークする。これだよ、これ。これがユナイテッドのフットボールだよ。これが王者のフットボールだよ。縁起は悪いがこのフットボールでなら負けても後悔はない。対するチェルシーはカウンターで浮き球のボールを多用しDFの裏をついてくる。そうさ、リアクション・フットボールなんてチェルシーにやらせておけばいい。


 ユナイテッドはどうやらサイドでの突破からクロスを入れてくる作戦のようだ。テリー、カルバーリョという中央の分厚い壁をぶち破るより、その方が効果的だと見たか。確かにクロスでなら2人を飛ばして攻撃出来る。サイドにいるのは小兵アシュリーと空中戦が得意というわけでもないエッシェン。上背があるわけではないユナイテッドのオフェンス陣でもこれならば張り合える。そしてこのクロス大作戦は早くに実を結んだ。前半25分にブラウンがあげたクロス。クリ坊を抑え込むことを任されたはずのエッシェンがなぜかクリ坊を見失っている。今シーズンのクリ坊にあれほどの余裕を与えたのなら決めるのは容易いことだ。決めるべき舞台で決めるべき人が決める。今シーズンのユナイテッドを象徴するかのようなゴールだった。
 クリ坊にとってもこのゴールは喉から手が出るほど欲しかったゴール。後に紹介することになると思うが、先日行われたインタビューでクリ坊は自らが大舞台で弱いと言われてることを結構気にしていた。加えチェルシーはクリ坊がプレミアリーグの中で唯一ゴールを決めたことのない相手。クリ坊に欠けていた唯一のもの。それは大舞台でチェルシーを相手に決めるゴール。そう、まさにこの試合でのゴールだ。だからこそ何が何でも決めなければならなかった。それを決めた。凄まじい。恐ろしいほど凄まじい。これでもう誰に何を言わせることもない。クリ坊が正真正銘のホンモノになった瞬間だった。


 しかしこのゴールで再び不安が訪れる。バルサ戦のようにこのリードを機にイタリアユナイテッドに移行してしまうんじゃないだろうか。だがそれも杞憂に終わった。1点リードした後もボールを支配し、試合の主導権を握る。そうだ、それでいい。
 クリ坊のゴールから8分後、ユナイテッドご自慢のとんでもトリオがとんでも高速カウンターでチェルシーゴールに襲いかかる。自陣からドリブルで持ち上がったルーニーが前線を駆けるクリ坊に見事すぎるロングフィード。これをクリ坊がキープし、この日絶好のカモとなっていたエッシェンの隙を突き、中央に折り返し。テベ公がそこへ走り込むが、なぜかテリーはマーク付くのに遅れている。虚を突いたどフリーでのシュート。でもなぁ。これを止めちゃうのがチェフって男なんだよなぁ。こぼれ球に詰めたキャリックのミドルシュートも右腕一本で止めてみせる。チェルシーの堅守の神髄を味あわされた。
 前半終了間際のペナルティエリアギリギリからのバラックのシュートも外れ、1-0でハーフタイムと思いきや。あんだねぇ、こういうことが。まあ仕方ない。1-0での勝利も癪だと思ってたところだ。これから2点目、3点目と取って胸張って勝利してやろうか、と悔し紛れの言葉を吐きつつ前半終了。


 後半に入ってもユナイテッドがボールをキープし、チェルシーがカウンターを狙うという大まかな構図は変わらない。もちろん両者とも守備が堅いからそう決定的なチャンスも生まれない。でも徐々に増していくチェルシーの勢いをユナイテッド側は気づきつつあった。試合も3分の2を終わろうとしているのに、チェルシーのプレスはここに来て厳しさを増す。全くタチが悪いセヨ。ユナイテッドはボールを持つも思うようにキープ出来ない。チェルシーはボールを奪うやいなやカウンターを仕掛け、着実にシュートかコーナーキックで終わらせる。気づけば時間の大半はユナイテッドの自陣で過ぎていた。やばいぞやばいぞ。この感覚は覚えがある。これは後半に恐ろしいほどの勝負強さを見せたあの強いときのチェルシーだ。今シーズンは逆にユナイテッドが後半に強く、チェルシーは弱いと言われていたし、実際そうだったが、でもこの日はなんだか趣が違う。チェルシーが逆転弾を決めようと雪崩のようにユナイテッドに襲いかかってくる。なんだよこれ!やだよ!この流れ!
 と思いきや。ユナイテッドにこの日一度目の僥倖が。ロシアの寒さにやられたかリオが足をつる。これにより試合は一時中断。チェルシー押せ押せの流れがここで途切れた。一旦落ち着きたかったユナイテッドにとっては思いがけないインターバル。
 水を差されたチェルシーだったが、それでも取り戻した勢いは緩まない。勝負所ってもんを知ってんなぁ。うん、強いよチェルシーは。そんな77分、ユナイテッドにとって2度目の僥倖。ペナルティエリア付近でボールを持ったドログバが地が沈まんばかりに軸足ふんばり助走なしのキャノンシュート。ユナイテッドサポーターの顔から血がさっーと引いたがボールは幸運にもゴールポストに。にゃー。もう心臓に悪いったらありゃしない。


 気づけば時間は85分。ここまで両者とも交代選手はいない。それだけどちらも完成したフットボールをしているということだ。しかしユナイテッドにはしなければいけないことがある。流れを変えるためにもここで一つ変化が欲しいところだった。スコールズに代わってギグシー登場。キャリックじゃなくてスコールズ?と思ったが、どうやらスコールズの鼻は骨折していたらしい。ハーフタイムには意識が朦朧として痛み止めの薬を飲まなければいけないほどだったとか。後半変わらずユナイテッドのゲームをコントロールしていたと思っていたのに、裏ではそんな戦いがあったとは。スコールズもまた凄まじい男だ。
 しかしギグス投入後も目立ったチャンスはなく後半終了。延長戦突入。


 延長戦に突入するとさすがにチェルシーの選手達にも体力が残っていなかったか勢いは弱まり、再び均衡状態に。ユナイテッドがチャンスを作れば、チェルシーが作り返す一進一退の攻防。延長前半1分ハーグリーブスの強いパスをギグシーがやわらかトラップワンタッチパスで俺たちをしびれさす。そのパスを狭いところでかろうじて受けたテベ公はルーニーにパスするものの、折り返しがチェルシーの壁に阻まれる。ルーちゃんはあそこで強引にシュートに持ってくぐらいのアグレッシブさを持ってもいいのに。周りを生かすのもいいけど、だからこそ今強引に行けば敵の虚を突き効果倍増って寸法よ。
 お次はチェルシーのターン。そしてユナイテッド3度目の僥倖。アシュリーに左サイドを破られ、折り返しのパスをバラックがランパードにナイスパス。そのランパードが仰天ルーレットでマークを交わしシュートを放つもまたポスト!ユナイテッド・サポーターの心臓が止まったのはこの試合で2度目。チェルシーのパンチはピッチ外で多大な被害を巻き起こしています。
 その後クリ坊がサイドを突破してクロスを入れれば、ジョー・コールがドリブルで中央を切り裂き、エッシェンが右サイドを猪突猛進力尽くで突き抜ければ、今度はエブラが同じような形でチェルシーの左サイドをぶち抜いていく。エリア内に進入したエブラ。しかしエブラはエッシェンより落ち着いていた。中にいるフリーのギグシーへ絶妙なパス。ギグシー見事にインパクト。ボールは確実に枠内。入った!決まった!決まらない!テリーーー!!!ウィガン戦を彷彿とさせるスーパーサブ・ギグシーのストライク。ユナイテッドの魂たるギグシー渾身のストライク。それを挫いたテリーの頭。ど根性ど頭。ウウェイ。こんな根性見せられたら外れても仕方ないと諦めざるを得ないじゃないか。その後も抜ければ一点もののカルーの突破をビダが負けじと体で止めてみせる。ウウェイウウェイ、見てるこっちまでもうおかしくなってきた。あつい。あつすぎる。


 延長後半はこの熱さが良からぬ方向に。テベ公がなにやらチェルシーを挑発。堪えるほどの理性もすり減らしていたと言うことだろう。まずはバラックが悪ノリして事態を悪化。その横でビダとテリーがなにやらいざこざ。試合前に汚いやつだとビダに挑発を受けていたドログバ。またお前かとつっかかる。かけた手を振り払われると思わずビンタ。あーあー。それだけはやっちゃいかん、と端からは軽く言えるけど。まあでもドログバの中にも爆発させざるをえなかったものがあったんだろう。でもルールの中で生きるものとして報いは受けなければいけない。一発退場。それにしても退場する際ビダに詰めかかるドログバはチンピラにしか見えんかったなぁ。
 高まっていた熱狂もこれで水を差されて一気に消沈。決着はPKでつけましょうやと暗黙の了解があったかのごとく延長後半も終了。PK戦に突入。


 まず何かが起きたのはユナイテッドだった。あれほどゴールを決め、あれほどユナイテッドを引っ張ってきたクリ坊が完璧にチェフにコースを読まれ、まさかの失敗。ここで出るのか、クリの若さが。その後は貫禄を見せつけるかのようにランパードがゲット。その後もハーグリーブス、アシュリー、ナニがコースを読まれつつも着々とゴールを決めてゆく。クリ坊以外外したものはいぬまま、チェルシーは5人目のキッカー、ジョン・テリー。
 正直な話、ないと思ってた。もうないと思ってた。2度あることは3度ある。が。4度あるほど世の中甘くもないだろう。しかし。ここでくるのか、4度目が。テリー、足を滑らせ失敗。ユナイテッドが4度僥倖に救われた。もうここで自分は腰が砕けた。だってそりゃ絶望するものあの状況じゃ。もうその後はギャーギャー騒いでた記憶しかない。アンデルソンが決めれば絶叫して飛び上がり、カルーが決めればまだあるまだあると落ち着くはずもないのに無理に自分を落ち着かせ、ギグシーが決めりゃ、もうギグシーの渋さに小便もらしかけ、アネルカが外したときは「あ、やっぱりか」とは思うものの、嬉しさが圧倒的に上回り倒れ込んだ。
 勝った。勝った。本当に勝った。信じられない。この一言が自分の気持ちを説明しうる。本当に勝ったのか?本当に勝ったのか。本当に勝ったんだ。うん、マジで勝ったんだ。勝った!勝った!勝った!
 



 試合後倉敷さんが宮内さんに投げかけた質問が自分の頭の中にずっと残っていた。「ユナイテッドの勝因はなんでしょうか」。ユナイテッドの勝因。ユナイテッドの勝因。ユナイテッドの勝因。
 ユナイテッドの敗因ならすぐに答えられただろう。あそこでPKを外すという甘さを見せたクリ坊。テリーが決めていたなら、ユナイテッドの敗因はそれだった。クリ坊が外してユナイテッドは負けパターンに突入した。あのままなら普通に負けていた。テリーが決めてそれで負けだった。でもテリーは外した。外れた。で、ユナイテッドが勝った。
 だから勝因と聞かれて自分の中で答えはすぐには出てこなかった。なぜユナイテッドは勝ったんだろう。なぜチェルシーは負けたのだろう。気になってもう一度試合を一から見直してみた。再び試合を見てみて一つの感想を抱いた。「チェルシーが負けるよう運命づけられているような試合だな」。もちろん結果論ではあるけれども。これまでチェルシーを引っ張ってきた大黒柱のドログバ、ランパード、テリーの3人。そのドログバとランパードのシュートはポストをたたき、テリーはPKを外した(そういやユナイテッドの勝利が決まった後の倉敷さんの「テリーが決めれば優勝というシーンで外すというのも慚愧に堪えない」ってどういうことだろう)。この人たちが決めれないなら勝てなくても仕方ない。そういう人たちがミスをしている。ではなぜ彼らはそういう運命をたどらなければいけなかったのだろうか。自分なりの答えはあるけど、それを書くとまた面倒なことになりそうだから自粛しておく。一応ヒントらしきものを置いておくと「始まりは3年前」、そして「贖罪」だ。でもあれですよ、ホント観念的で独善的な結論ですよ。


 チェルシーはユナイテッドに勝るとも劣らない。それはこの試合で証明されたと思う。でもプレミアリーグではユナイテッドが優勝し、チャンピオンズリーグもユナイテッドが頂いた。両者を分けたのは本当にわずかの差。それは何だったのか。御大は試合後に「運命が私達に味方した」という。ミュンヘンの悲劇から50年目。ユナイテッドは勝つべき運命にあったのかもしれんね。先の倉敷さんの質問に対する答えらしきものはこれぐらいしか浮かんでこない。またユナイテッドが勝つべき運命にあったのなら、チェルシーは負けるべき運命にあったという思いも強くなる。テリー、ランパード、ドログバが外したってのはそれだけ象徴的な事実に見える。でもこのフットボール至高の舞台の一つで味わった絶望で贖罪はなされたと考えたい。そうじゃなきゃかわいそすぎるよ。

 最後はなんか運命論になってしまったけれど。それほど両者に差と呼べる差はなかった。本当におもしろい試合だった。ユナイテッドのみんなもチェルシーのみんなも本当にありがとう。そしてユナイテッドのみんな優勝おめでとう。そしてありがとう。こんなに誇らしいことはありません。12月、日本で待ってます。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |19:37 | Manchester United | コメント(2) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月13日

長い間

プレミアリーグ07/08 第35週 ウィガン vs ユナイテッド


 ユナイテッドの布陣はGKエドさん。DFラインは右からブラウン、リオ、ビダ、エブラと最強。中盤はギグシーが外れて、右からクリ坊、キャリック、スコールズ、パクチー。ギグシーを外してきたのが意外だったが、御大的にも情をとるか、実を取るかかなり難しい判断だったろう。FWはルーニーとテベ公。まあここで手を抜いても意味はなし。当然全力でぶつかっていく。


 勝てば優勝。引き分ければ追い抜かれると思って間違いない。こんな展開はトレブル以来9ぶり。すなわちユナイテッドの選手のほとんどが味わったことのない未知の境地。一番恐れるべきは失点だが、かといって点を入れないと勝つことも出来ない。相手が攻めてきてくれればお得意のイタリアモードで高速カウンターを炸裂させることも出来るのだけれど、ウィガンにそんなことを望むべくもない。攻めるべきか、守るべきか。どっちつかずのユナイテッド。思い切りのいい攻撃が出来ない。崩しの場面でミスが目立つ。それも当然といえば当然。今日は100%勝たなければいけない。どんなことがあっても何があっても絶対に。いつもの試合とは訳が違うのだ。そんなユナイテッドの緊張が画面を通してからでもヒシヒシと伝わる。スタジアムもやけに静かだ。この90分の間に何が起きるのか、それをただただ見守っていた。


 そんなユナイテッドの相手がウィガンだったのは幸運だったと個人的には思う。ウィガンは明らかにユナイテッドを「リスペクト」していた。ユナイテッドにとってこの試合がどれだけ重要な意味を持つかを、ウィガンの選手、そして監督がよくよく理解していてくれてたと個人的には思う。これがもしマグパイズやアストン・ヴィラなどだと話が違っていただろう。ウィガンの監督スティーブ・ブルース。1980年代後期から1990年代中期にかけ王者ユナイテッドを復活させ、現在の王者たるユナイテッドの基盤を築いた男の一人。こんな時に歴史が物を言うのだ。チェルシーにはないユナイテッドの強み。
 そんなブルース率いるウィガンの選手がエリア内でルーニーを倒しPK獲得。出来た話じゃないか。それでもまだ終わったわけじゃない。これを決めて初めて1点。蹴るのはもちろん記録がかかったクリ坊その人。ユナイテッドファンの頭によぎるカンプ・ノウのあの悪夢。ここJJBスタジアムでも恐ろしいほどのブーイングがクリ坊に向かって飛んでくる。だがしかし。「カンプ・ノウはこんなもんじゃなかったぜ」と言わんばかり、右隅へドン。決まった。マジで決まった。ホントに決まった。ユナイテッド待ちに待った先制点。崩れ落ちた人も少なくなかっただろう。かくいう私もその一人。もうこういう時は声が出ないね。
 それにしてもクリ坊は本当にすごい男だ。ここで決めるとは本当に伊達じゃない。すごい。本当にすごい。すごいとしか言い様がない。すごい。クリ坊は本当にすごい。この試合ではただただクリ坊のすごさを痛感した。


 ユナイテッドが恵まれたのは対戦相手だけではなかった。この日の主審、スティーブ・バネット。彼もまたユナイテッドをリスペクトしていた男の一人だと個人的には思う。35分のウィガンのカウンターを止めたスコールズのファウル。誰もが2枚目のイエローカードを覚悟したはずだ。あそこでイエローカードを出さなかった理由。それは個人個人が勝手に考えればいい話だと思う。俺は素直にバネットさんにありがとうと言いたい。あそこでスコールズが抜けていたらきっと違った結末が待っていたに違いない。それがユナイテッドにとってポジティブなものか、ネガティブなものかは別として。
 一応バネット氏という審判を理解するための判断材料として2つの事実を置いておこう。1つめはあのニュー・ウェンブリーで行われた2006-07シーズンのFAカップ決勝、ユナイテッド対チェルシー戦で笛を吹いているという事実。その試合での1シーン。ルーニーのクロスに飛び込んだギグシーのシュートをチェフがゴールラインギリギリのところでキャッチしている。これをバネット氏はノーゴールとした。その後ドログバがゴールを決め、チェルシーがFAカップで優勝している。2つめの事実は今シーズンの3月23日に行われたユナイテッド対リバポー戦で笛を吹いたという事実。ここでピンと来た人は素晴らしい。そう、33分にマスチェラーノに2枚目のイエローカードを提示し、退場させたのはこのバネット氏なのだ。
 こういうことを考え出すとキリがないが、ハッキリしているのはバネット氏はユナイテッドの優勝がかかったこの大事な試合を、決して自らの力でドラマティックなものにしようとはせず、終始ユナイテッドに対し敬意を払った態度で試合をコントロールし、ユナイテッドの栄冠に華を添えてくれたということ。


 先制点をとれたことで最初の壁を越えれたユナイテッドだったが、それでもまだ試合終了までには60分ほどあった。一番怖いのは失点という事実に変わりはない。決して無理はせず、背が高い選手がいるわけでもないのに、サイドからのクロス中心で攻める展開が続く。しかし後半に入り、時間が進むにつれボールをキープ出来なくなっていった。スコールズ、キャリックの支配力が薄れつつある。クリ坊もサイドに張りっぱなしで違いを見せることが出来ない。ユナイテッドのラインも下がっていたし、何より前にスペースがないとやっぱりクリ坊はキツイか。バルサ戦、チェルシー戦と同じクリ坊だ。
 ここいらがカードの切り時と御大が動く。イエローカードのせいで守備面で腰が引け気味だったスコールズに変え、ハーグリーブスを投入。そして運動量のパクチーを下げ、ここでギグシー投入だ。偉大なるレジェンド、チャールトンの記録に並ぶ758試合出場。そういうご祝儀的な面が強い采配だと個人的には思っていたのだが。もしかすると御大はこの後起きるあのドラマも予期していたのだろうか。


 フットボールでは何が起こるか分からない。んなもん誰だって分かってる。だから大事なのは2点目だった。1点リードなんて何の足しにもなんなかった。2点目!2点目!!2点目がほしい!!!
 と思ってたら入った!!!最初は何が起きたか分からなくてとまどう。ギグシー、ゴール前でなぜかどフリー。持った。蹴った。入った。入った。入った!!!ギグシーも最初ちょっと何か分かってなかったんじゃないかな。お?入ったよな?入ったよな?入ったーーー!!!って感じでスピードを上げるギグシー。おちゃめなんだから。
 もうね。こういうシーンに分析を入れるのは自分は野暮だと思う。感覚感覚。もう反射に近いプレーだったと思う。それに加えるなら神様がくれたプレゼントとでも付け足しときゃいいんじゃないかな。優勝をほぼ確実にするゴールを決めたのがクラブ記録となる758試合出場を果たし、この優勝を持って18冠と優勝最多記録を更新する張本人だなんてそんな出来すぎた話、こういう言葉でしか説明できないじゃない。
 なぜあそこでギグシーをフリーにしてしまったのか。その理由をウィガンの選手に問いただしても無意味だろう。なぜかあそこでフリーになって、ルーニーがナイスパスして、ギグシーがナイスシュートをしたのだ。それで十分じゃないか。


 JJBスタジアムに響き渡るユナイテッドのチャント。もう決まりだ。もう決まった。もう優勝だ。もうユナイテッドの優勝だ。そして鳴り響く試合終了の笛。長かった。本当に長かった。本当に長かった長かった長かった90分、1シーズンが終わった。ユナイテッド17回目の優勝。2連覇。そうだ。そうなんだ。リバポーの、アーセナルの、チェルシーの上に立ち、ユナイテッドがプレミアの王者になった。なんと、なんと誇らしい。
 スタンフォードブリッジで完敗したときは正直どうかと思ったけど。うん、やっぱりユナイテッドが王者だよ。なんかこの試合を見てそう思った。チェルシーもチェルシーでボルトンに追いつかれてちゃいかん。勝ち点が同じということを拠り所にするべきだった。それだけでプライドは保てたと思う。勝ち点同じだし、普通に倒してるしって。あそこで入れられてたら正真正銘ユナイテッドが王者ですよ。




 あー、長かった。ホント長かった。それが今の率直な感想。でも良かった。長かったからこそ感動も一入というもので。この誇りを胸にまた1年間戦える。それが何より嬉しい。王者にしか味わえない特権だ。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |00:30 | Manchester United | コメント(3) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月12日

感謝の正拳突き100万回

やった!!!

ありがとう!!!

すんげえありがとう!!!

濃かった1シーズン本当にありがとう!!!

俺ユナイテッドファンで良かった!!!

本当にありがとう!!!



おめでとう、ファギー!!!

おめでとう、ギグシー!!!

おめでとう、クリスティアーノ!!!

おめでとう、みんな!!!

おめでとう、俺たち!!!



本当にありがとう!!!

本当におめでとう!!!




冷静にレビューを書ける気が毛頭しないので、それは後ほど。

今はこのただ単に俺の今の気持ちを書き殴った文章だけで。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |00:59 | Manchester United | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年05月04日

曲者足らざる曲者

プレミアリーグ07/08 第34週 ユナイテッド vs ハマーズ


 ユナイテッドの布陣はGKエドさん。DFが右からビダが大事を取ってお休みして、右からハーグリーブス、ブラウン、リオ、エブラ。中盤は右からナニ、キャリック、ハーグリーブス、パクチー。トップがビダと同様大事を取ってクリ坊とテベス。今シーズンも残り3試合。怪我人を除いては一切手抜きなしだ。


 スタンフォード・ブリッジでの敗戦のショックをオールド・トラッフォードで決めた9年ぶりのチャンピオンズ決勝進出で振り払って気分一新、プレミア優勝に向け残り2戦ぶっ放すユナイテッド。しかしその相手がハマーズとは。優勝争いとは面白くなるように出来てるんだろう。ユナイテッドとしては実に顔をしかめたくなる相手。自慢じゃないが、ここ2シーズンプレミアで勝ったことがない。何が嫌って、ユナイテッドが好調な時でも、ハマーズ戦ではなぜかころっと躓いてしまうのだ。不調な時にたまたまハマーズにぶつかっているわけじゃない。どんなチームも調子が良い時になぜかしらこけるということはままあることで、不思議なことにここ2シーズンに限って言えば、ユナイテッドがこける時は決まってハマーズという、まあ早い話がすんごい嫌な相手なわけだ。そんなどうしようもなく嫌な感じを抱いて迎えたこの1戦。
 なのにまあホントフットボールとはよく分からないもので。ハマーズ戦過去3試合で1点しか入ってないゴールが開始2分で入るんだから。ここ3試合イタリアモードだったため、見せ場がほとんどなかったクリ坊が、その鬱憤を晴らすがごとく初っ端からメガトンパンチ。チェルシーと違って前にスペースがあるし、バルサと違ってプレスが弱い。ニールをさくっとかわせば、前には引くことしか知らないDFが一人だけ。んなもんで抑えられるタマじゃない。メチャクソ欲しかったゴールがこうも簡単に入るとは、少し拍子抜けではあるが、もらえるもんはもらっとこう。


 最近右サイドバックが板についてきたハーグリーブス。サイドバックでプレーした際はイタリアモードの場合が多く、あまり上がる機会を与えてもらえなかったのだが、ノーマルモードでは普通に攻撃参加してくる。するとハーグリーブスのクロスが活きる。そういやハーグリーブス普通にクロス上手いんだ。早いのや山なりの、ファーからニアまでクロスのタイプもスピードも思いのままで、正確性もあると来たらクロス好きの自分としては胸をときめかせざるを得ない。綺麗なクロスはゴールに繋がらなくても、見ているだけで幸せな気分になれる。
 そんな幸福感に浸っていると一本のクロスがハマーズDFの頭を超えて普通にクリ坊の前へ渡り、そのままゴール。うわ、何これ。あっけなく勝利をほぼ確実にする2点目ゲット。試合前あれだけ不安だったから、そのあっけなさもより際立つ。何だったんだよ、ここ2シーズンのハマーズ戦は。
 その数分後テベスが30m付近からプレスの合間を縫って右足一閃、スーパーゴールで3点目。笑うしかないハマーズファン。わざわざロンドンから足を運んだ人もいるだろう。笑うしかないのはこちらも同じ。こうも上手く事が運んで良いものか。2点差なら「まだ何が起こってもおかしくない」っつうモチベーションの保ち方も一応出来るが、さすがに3点入ってしまえばもうお終いだ。優勝のためには絶対に勝たなければいけない試合、しかも相手は曲者ハマーズとどう転んでも面白くなりそうな試合は、ものの26分で終了です。
 

 かと思いきや。やっぱりフットボールって何が起こるかわからない。テベスのスーパーゴラッソのわずか2分後、サモラがあげたなんてことないクロスをブラウンがぼんやりクリア、それをリオがぼんやり追いかけ、アシュトンがスーパースペシャルバイシクルシュート。今シーズンベストゴールの一つにも数えられそうなテベスを超えるウルトラゴールでハマーズまさかの追い上げ。一度気持ちが緩んだユナイテッドはさすがにキュッと引き締める。
 しかしピンチは終わらない。前半36分アシュトンに負けじとオーバーヘッドをかましてやろうとしたナニが失敗して倒れこむ。そのナニにつまづいたニール。他意があったかどうかは分からないが、ナニはあったと思ったんだろう。オーバーヘッドならぬヘッドバットを決めて、オールド・トラッフォード中の呆れた視線を浴びながらピッチを去った。
 ハマーズの思わぬ追い上げを喰らったユナイテッドが試合半分以上を残し10人の闘いを強いられる。まあでもタイトルがかかった残り3試合、集中力を持続するためにも、前半早い時間帯で試合をほぼ終わらせるよりも、こうした気の抜けない状況にいた方が良いのかも、と無理やりプラス思考。
 当然のごとく残り少ない前半を嵩に懸かって攻めたてるハマーズ。急遽イタリアモードに移行するユナイテッド。イタリアモードに必要不可欠なダイナモ、パクチーかテベスを失わなかったのが不幸中の幸いとでも言うべきか。普通に守りきり前半は終了。


 後半ハマーズが逆転狙って攻勢をかけてくる。かと思いきや。特に人をかけるわけでなし、一人少ないユナイテッドにボール回しを譲り、何事もなかったかのように残り時間を潰してくる。何だ?ゴールが欲しくはないのか?勝ち点が欲しくはないのか?数的優位に立ち、勝ち点を得るためにはどうしてもゴールが必要。得失点差が重要な争いをしているわけでもない。なのに「追いつこう」「いてこましてやろう」という気概が微塵も感じられない。おいおいどうした。そんなんでフットボールやってて楽しいか?
 そんなハマーズの無気力を放ったらかしておくほどユナイテッドは優しくない。中盤に空いた恐ろしいほど広大なスペースでボールを持ったキャリックはそのまま上がり、特にプレスをかけられることもないままミドルシュート。ボーっとしてるからニールもそのシュートを足に当ててコース変えちゃうんだよ。ということでユナイテッドがさらっと4点目。今度こそ本当に試合が終わった。




 優勝に向けた大事な1戦をこうも軽々勝利したユナイテッド。まあこんなあっけない展開もそれはそれでいいんだろう。そうだよそうだよ。敵地でライバル相手にあんな敗戦を喫しても、残り2戦勝てばそれでいいんだよ。チェルシーがホームで完璧に王者を倒しても優勝できないのはこれまで怠慢してたからなんだよ、と何とか気持ちの整理をつける。
 お次はアウェーでウィガン戦。過去5戦5勝。ウィガンも降格争いをほぼ抜けているため、窮鼠というわけでもない。本当ならホームで優勝したかったが、前述のようにそれは自業自得か。チェルシーがマグパイズに負けるようなことがあろうものなら、事実上ユナイテッドの優勝は決まるんだけれど、FAはお固く、シーズンも終わりに近い週は優勝争いしているチームは同じ日、同じ時間帯に試合を開始するぐらいの気遣いを見せてくれればいいものなのに、チェルシー戦は月曜日。まあここで何を言っても栓は無し。マグパイズにはバット、スミスと仄かにユナイテッドの香り。オーウェンもリバポーっ子なら仇を己の力で取ってやれ。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |01:06 | Manchester United | コメント(4) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2008年04月30日

複雑>期待

UEFAチャンピオンズリーグ07/08 準決勝 2ndレグ ユナイテッド vs バルサ


※この記事は個人の主観によってのみ書かれているのであしからず。


 ユナイテッドのフォーメーションはGKエドさん。DFラインはビダが膝蹴りの負傷から回復しきれず、右からハーグリーブス、ブラウン、リオ、エブラの並び。中盤はルーニーがこれまたチェルシー戦で負った負傷のため出られず、クリ坊が代わりにトップに入ったためナニが入り、右からナニ、スコールズ、キャリック、パクチー。トップはクリ坊とテベスだ。
 バルサはGKバルテス。DFは右からザンブ、プジョル、ミリート、アビダル。MFはヤヤ、デコ、シャビ。FWはエトー、メッシー、イニエスタ。つまりベスト。


 自分はフットボール界には大別して2種類のフットボールがあると思っている。勝利することを第一に考えた現実的なフットボールと、勝利と同時に観衆を楽しませることにも重点を置いた理想的なフットボール。
 フットボール界では現実的なフットボールを選択しているチームがほとんどだ。それは当たり前のこと。勝ってなんぼのこの世界。勝利より重視すべきものなぞあるはずがない。勝つことに精一杯。他のことには構ってられないという実情。
 だが世の中どこにでもはぐれものはいるもので。ただ勝つなんてつまんないじゃん。どうせなら美しく勝とうと、勝利と同時にスペクタクルを追い求める人たちがたまにいる。バルサであったり、ベンゲルであったり、かつてのクライフであったり。勝利するだけでも恐ろしく大変なこの世界。彼らは信念を貫くため、更なる重荷を自らに課しているのだ。自分はこういう人たちにとても感謝すると同時に尊敬する。
 ユナイテッドというチームは自分はこの両方を兼ね備えたクラブだと認識している。王者として、ただ勝つだけのフットボールからはとうに脱却している。ゲームを支配し、そして勝つ。それは第一。しかし時と場合によって相手に攻めさせ裏をつくという、狡猾さも持ちあわせている。理想と現実が上手く同居しているチーム。それがユナイテッドだ。


 ユナイテッドとバルサが対戦すると分かった時、自分は理想と理想の対決を期待した。ただでさえ理想的なフットボールを体現するチームが少ない現在、両者が対決する試合なんてそうはお目にかかれない。それがトーナメント戦ならなおのこと。
 しかし第1戦ではユナイテッドは現実を選んだ。勝利を確実に掴むため、スペクタクルは二の次に置き、まずは守りきるフットボールを選択したユナイテッド。眼前ではバルサが面白いようにボールをつなげ、面白いように攻撃の芽を摘んでいく。期待は大きく裏切られた。しかしそうは言っても、2ndレグも残っている。まだこれで終わったわけではない。ユナイテッドもやられっぱなしではあるまい。バルサがホームで見せた理想的なフットボールを2ndレグのホームで今度はユナイテッドが顕示してくれるだろう、とそう期待した。
 しかしその期待も裏切られた。


 序盤は両者様子見でお互いの頬を撫で合う展開。深いところまでは踏み込まず、まずは何かが起きるのを待っていた。そしてその何かは起きた。ザンブロッタがボールを奪うものの、安易なパス。これをスコールズがかっさらう。スコールズフリー。これまで幾度も決めてきたお得意のレンジ。右足を振りぬく。刺さった。刺さってしまった。
 面白い試合になるために、どうしても先取点はバルサに入って欲しかった。バルサが入れればユナイテッドは2ゴール決めなければいけない。ユナイテッドに現実を捨てさせるためにはバルサのゴールが絶対必要。しかし先取点はユナイテッドに入ってしまった。完全に相手を崩した素晴らしい攻撃からではなく、チェルシー戦同様相手のミスを上手くついて。
 今シーズンのユナイテッドを何度となく見ている今、今後の展開は手に取るように分かる。ただでさえユナイテッドは1点をやれない状況なのだ。ガチッと守ってクリ坊、ナニの高速カウンターで追加点を狙う、チェルシーやリバポーが得意とするあのフットボール。期待からは程遠いあのフットボール。


 予感は見事に的中した。ただでさえバルサはエスパニョール戦、1stレグのユナイテッド戦、デポル戦とゴールを決めれていない。それを今季のユナイテッドから奪えだと?無茶な話だ。メッシーが果敢に突破を挑む。その姿勢自身は特筆すべき素晴らしいものだが、いかんせん周りの選手と連動しておらず、それゆえ独りよがりのプレーとして終わってしまう。今後の課題だな。その他にもデコのミドルなどそれらしいチャンスはちらほらするが、しかし完璧にユナイテッドを崩すまでにはいかない。ユナイテッドは完全にどっしりと自陣に構え、1点もやらせない算段だ。バルセロニスタならすぐに察する。これは数え切れないほど見てきている負けパターンだ。ただそれでも「フットボールには何が起こるか分からない」という使い古された真理を信じ続けたのだが、この試合では結局何も起きぬまま。万に一つの可能性をもねじ伏せるユナイテッドの「強さ」の前にバルサは散った。

 
 そう、罪なのはバルサの「弱さ」。それは分かってる。だから悔しい。現実の前に理想が負けた。この試合は理想より現実が強いと、そう示しているのだ。だから悔しい。めちゃくそ悔しい。だが、ここで引いちゃいかんのだ。3年前バルサは今回と同じように徹底的リアリズム・チェルシーの前に敗れた。しかし翌シーズンの対決では1年かけて成長し、そのリアリズムを倒している。やられたらやり返せばいいのだ。時間をかけて。借りは必ず返す。UEFA、来シーズンの組み合わせでもちょこちょこっと頼みますよ。


 一方ユナイテッドの決勝進出に関しては複雑な思い。どうせなら理想サイドのユナイテッドで勝ち進んでほしかった。理想的なフットボールは誰にだって出来る代物ではない。選ばれた人にのみ許されるフットボールなのだから、その力を擁しながら発揮しないのをすごくもったいなく思う。でも現場の人達はそんなこと言ってらんないんだろうね。勝たなきゃ意味はない。そんなことは十分理解しているんだけど。今思えばスパレッティは恐ろしく見事にユナイテッドを表現してた。「ユナイテッドは私がみたことのないくらい最もイタリアらしいクラブである」。当時は半分冗談、半分負け惜しみと取っていたが、実はそうではなかった。
 決勝はチェルシーかリバポー。現実的フットボールを代表する2チームだ。ユナイテッドも決勝では現実的なフットボールを選んでくるだろう。どちらが来ても点を与えないフットボールの戦いになるはずだ。ちぇっ。

  • 共通ジャンル:

posted by myrowka |15:53 | Manchester United | コメント(6) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加