2008年04月21日

myrowka的バルサイズム

 リーガ・エスパニョーラ07/08 第33節 バルサ vs エスパニョール


 バルサのフォーメーションはGKバルテス。DFはアビダルが何やら心を病んでるらしく休憩で、右からザンブロッタ、ミリート、プジョル、シウビーニョ。中盤はイニエスタを休ませ、トゥーレ、シャビ、グディのウェルバ戦と同じ逆三角。トップはメッシー、アンリを休ませエトーを先頭にボージャン、ジョバニのトリデンテと、週末ローヴァーズ戦をベストの布陣で臨んだユナイテッドとは対照的に、バルサは明らかにミッドウィークのユナイテッド戦に焦点を絞った。まだ可能性が消えたわけではないリーガや倒すべき相手エスパニョールとのダービーよりもチャンピオンズのタイトルを選ぶところに時代の流れを感じるが、まあそれもいいだろう。


 先週のウェルバ戦もそうだったが、グディが予想外の働きをしてくれて驚く。もちろんイニエスタのような突破やゲームメイクは望むべくもないが、パス回し中に急にアクセルを入れて少ないタッチパスで中央突破を果敢に狙ったりする攻撃が新鮮でいい。フォワードでの経験を活かしたプレーはイニエスタ、シャビ、デコといった良くも悪くもパサータイプ(厳密に言えばイニエスタは違うが)しかいないバルサが重用すべきオプションだろう。言い方を変えればライカールトがワンパターンなMFしか起用してこなかったってことになるわけだが。まあこうやって幅を広げた選手起用は今後ライカールトに望まれることだろう。万が一ライカールトがチームに残ればの話だけれど。
 だがしかし、グディが予想外の活躍をしたとしても、イニエスタがいないバルサは全然違う。パスが遅い。オフ・ザ・ボールの動きも少ない。パス回しからアタッキングへの切返しポイントもハッキリしない。だからスピード感がない。早い話バルサじゃない。
 自分はバルサはメッシーとイニエスタだと思っている。バルサが持つべきバルサイズムをこの2人は持っている。2人がいればバルサはバルサ足りうる。どちらかがいればバルサはバルサとしての体裁を何とか整えることは可能なのだが、やっぱり2人抜けるとダメだ。どうしてもバルサを見ているという感じがしない。それならそうとこのバルサは俺の知ってるバルサとは違う別のバルサだと踏ん切りつければ、まあこういう形もあるのだろう、とある意味納得して観戦出来る。案外2人がいなくてもボールはつながって一応なりともバルサっぽいフットボールが出来たりするもんだ。


 そんな明らかに良い意味ではないニュー・バルサの中にも光明はある。ボージャン。ボージャンはイニエスタ、メッシーの後を着実に追えている。ボージャンのプレーは見てて楽しい。何で見てて楽しいのか。答えは簡単。勝負をしてくれるからだ。
 「バルサとは何か?」と聞かれれば、自分は「ウイングだ」と答える。自分が知った頃のバルサはちょうどクライファート、リバウド、フィーゴのトリデンテ。フィーゴが右から、リバウドが左からサイドを切り裂きまくってた。そんなバルサに恋をした。だからバルサはウイングなのだ。
 なぜああもウイングに惹かれたのか。クライフを知って理解できた気がする。何の本で読んだか覚えていないが、クライフはウイングにフットボールが1番上手い選手を置いたらしい。ウイングがサイドで勝負を仕掛け、その勝負に勝ってようやくチャンスは生まれる。だからウイングは1番上手い奴じゃなければいけない、と。
 だからウイングは勝負を挑まなければいけない。その勝負に勝たなければいけない。華麗なるパス回しはそのためのお膳立てでしかない。バルサイズムとはそういうものだと自分は理解している。だからメッシーは挑む。イニエスタは挑む。ボージャンも挑む。分かっているからだ。ここで抜かなきゃ始まらないと。幸いボージャンには既にそのための技術は備わっているようだ(そもそも技術がないと挑むための自信は生まれないけれど)。だからボージャンのプレーは見てて楽しい、というか誇らしい。そして安堵する。この3人がいればバルサは安泰だ。ボージャンがいれば無理してロナウジーニョの抜けた穴を補強で埋める必要はないのかもしれない。
 

 そんなボージャンとは対照的に目を覆いたくなるのがジョバニだ。ジョバニには前述の3人のような挑む気概を持ってない。それだけならまだしも、自分のビジョンも持っていないように思える。ウイングなのか、フォワードなのか、それすらハッキリしない。何をしていいか分からない。だから何も出来ない。エトーがブチ切れている。何で俺がガキの世話をせにゃならんのだ。信用がない。だからパスも来ない。そもそも下向きながらプレーしてんじゃねえよ。そこはプロとして顔の上げ方ぐらい覚えとけ。ひどい。これは重症だ。
 だが一番不安なのはこのジョバニを復活させるためのアイデア、支えれるだけの余裕が今のバルサにあるのかということ。ジョバニはまだ若い。こういう状況だからこそクラブが率先して道を指し示してやらなければいけないのだが、会長は白いハンカチをしまわせるのに必死、監督は自分の座を守るために必死。一体誰がジョバニを守ってやれるのだろう。ジョバニを狙ってくる悪いやつらも当然いる。悲しい別れ方だけは何とか避けなければいけない。クラブとして。人として。
 何も出来ないジョバニ、ジョバニの子守りにキレてプレーが雑なエトー。イニエスタもメッシーもいない。ボージャン、シャビ、グディの健闘だけでは限界があった。スコアレスドローのまま前半終了。味気ないカタルーニャ・ダービー。このままでは試合後どえらいことになる。ライカールトはそんなことも分からないほどのバカではなかった。


 後半開始からジョバニに代えてメッシー、グディに代えてイニエスタが入る。バルサイズムが注入されたバルサは本来の姿を見る見るうちに取り戻す。メッシーが開始直後に見せたシャビとの連携でエリア内に切り込んだプレー。あれが全てだ。DFが何人いようと関係ない。ウイングが勝負を挑み、そして勝つ。それでこそバルサだ。イニエスタの投入でボールの流れもスムーズかつスピーディーに。子守りから解放されたエトーも徐々に本来の姿を取り戻す。
 メッシーは本当に凄かった。復帰後数分しかプレーしてないはず。これだから天才は恐ろしい。メッシーは決して引かない。ボールをもらっても絶対に後ろを向かない。そのままパスは考えない。ボールをもらえば勝負を挑む。バルサのウイングであるという矜持がメッシーを戦わせているのだ。退かぬ。媚びぬ。省みぬ。メッシーのプレーはどこか聖帝を髣髴させるものがある。
 イニエスタも負けてはいない。イニエスタはそのポジションからパサーとしての役割に注目されがち。現にイニエスタが入ってからはボールの流れが明らかに変わった。だがしかし、イニエスタが特別な理由はウイングにもなれるとこ。イニエスタはパサーでありながら、機を見てはウイングのように勝負を仕掛け、そして勝てる。前座であるパス回しに参加しながら、本番であるアタッキングにも参加できたら、それ以上のことはない。まさにミスター・パーフェクト。




 この2人の活躍はあのボージャンの輝きまでも霞ませてしまうほど。やっぱり本物は一味違った。結局ゴールは奪えず、スコアレスドローという形でダービーは終えたが、不思議と悲壮感は薄かったりする。メッシーとイニエスタのおかげであのキラキラしたバルサの片鱗が垣間見れた。この2人がいればユナイテッド相手にも恥ずかしくないプレーが出来るという期待。メッシーが帰ってきてくれてホント良かった。
 リーガはまあほとんどなくなったと言っていいんだろう。っつっても自分はまだ希望を捨てたわけじゃない。そりゃ上にいるのがユナイテッドだったら諦めもつくが、お白さんだってんだからもったいない気がして。今季健闘しているラシン相手に、天敵バスク魂相手に2連敗しないなんて誰が断言できよう。対するバルサはメッシーが戻ってきた。うん、まだ希望を捨てるのはまだ早い。

posted by myrowka |01:54 | FC Barcelona | コメント(4) | トラックバック(0)
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myrowka的バルサイズム

大恥かくの覚悟で言いますが、わたしはこのCL準決勝、バルサじゃないかと思ってます。
どうにもユナイテッド安泰!てなムードが気になるんですよねえ。
ユナイテッドが強いサッカーをやってるのは重々承知してるのですが、優勝候補最右翼なんて肩書きはコケるためにあるような予感がするんですよ。

イニエスタは…彼はどのビッグクラブの監督も欲しいんじゃないですかね?
会長やファンではなく監督が。
チームの戦力として考えるとメッシよりも価値は高い。
わたしはそう思うんですよね。
中盤も前線も自由自在、しかけられる、パスは出せる、オフ・ザ・ボールの動きもよし。
それでいてチームのパーソナリティを崩さない…。
監督からしたら完璧な選手ですよね。

…ちなみにわたしはバルセロニスタではありません。
クラウディオ・ロペスにホレた男であります。

posted by 由比彰紀 | 2008-04-21 17:19

myrowka的バルサイズム

私もユナイテッド有利とはあまり考えてなくて、どっちが勝ってもおかしくないと思っています。メッシーが復帰したことで何が起きるか全く分からなくなりました。本命がサラリと負けるなんてざらですし、かといって2シーズン前のバルサのようにトントンと本命が勝ち上がる展開もありますし。

私はイニエスタほど器用な選手を知りません。ゲームメイクもアタッキングも守備もどれもが最高クラスですからね。ユーティリティ面でいうと確かにメッシーよりも価値は高くなるでしょう。

ピオホファンでしたか。私がフットボールにはまったのも丁度その頃でした。メンディエタのパスとピオホのスピードを活かしたクーペルの高速カウンターは魅力的でしたね。守備的ながらも客を惹きつける力があったと思います。それだけにメンディエタがバルサに加入した時は期待と失望を味わいました。キリといいファリノスといい当時活躍した選手、監督の名は聞かなくなりましたねぇ。時代の流れを感じます。

posted by myrowka | 2008-04-21 20:24

myrowka的バルサイズム

昨日のユナイテッド戦を見ていて、ふとこのブログのこと思いだいました。

バルサのバルサたるもの、バルサ魂をもってるのはイニエスタ、メッシ、ボージャン、(バルデス)。とにかく勝負する、ボールを持ったら前に行くことを抜くことを考える。そういった、バルサイズムの継承者+バルサイズムを体現できる移籍加入者、デコ、エトー、ミリート、(ちょっと前までのロナウジーニョ)、+仕事人、ザンブロッタ、前のジュリ。でバルサが構成されてると思いました。

ボールを持ったら観客全てが、自分をみてると思え。いけるところまで行け。という漫画シュートの久保さんの言葉がぴったりとあてはまる。掛川高校の完成系はバルサだったのでは!

posted by monster | 2008-04-25 00:44

myrowka的バルサイズム

ユナイテッド戦では私の思うバルサイズムが思いっきり体現されていました。バルサイズムを持った2人がバルサの本質である(と私が考える)ウイングでプレーしたことで、バルサらしさが100%発揮できたと思いました。もちろん彼らだけでバルサイズムを実現することは出来ず、デコ、シャビを中心に彼らを支えてくれた選手の働きも見事でした。monsterさんが作ってくれたリストに私が付け足すならば、バルサイズムを体現できる移籍加入者にちょっと前のマルケス、エジミウソンを入れますね。全盛期バルサにおける彼らの中盤の底での守備&展開力は今のバルサに欠けているかなと思います。あとはエトーの得点力さえあれば、完全復活だと思うんですが。バルサイズムが存分に発揮されようとも、中央に一本ドンと柱がすわってなければ強敵相手に勝利は掴めないようですね。

私はジャンプっ子でシュートを見たことはないんですが、私の考えるバルサイズムと通じるものを感じますね。ウイングは華。バックパスなんてつまらないことをしてはいけません。

posted by myrowka | 2008-04-25 02:21

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