2008年09月17日

一歩一歩

08/09 UEFACL GS GourC 第1節 バルサ vs スポルティングCP


 スタメンはGKバルデス。DFは右からアウベス、ピケ、マルケス、プジョル。プジョル左サイドバック起用にはアビダルを休ませる意図ももちろんあるだろうけど、ペップはもしかしたらプジョルをサイドバックとしても積極的に使っていきたいのかもしれない。ペップが選手だった頃、確かまだプジョルはサイドバックだった。中盤は底にケイタ、その前にシャビ、イニエスタ、3トップは右からメッシ、エトー、アンリとほぼベストメンバー。


 まずは初戦と言うことでそう力むことなく試合を眺めるのだが、うーん、バルサだ。これはバルサだ。シャビとイニエスタが中盤でボールを操りながら、ウイングのメッシーやアンリ等でサイドからチャンスを作り出す。デジャブというわけでもないんだけれど、ふとこれまでのバルサを見ているような、ライカールトがまだベンチにいるような錯覚を覚えてしまう。もちろんライカールトとペップの違いはあって、ペップはライカールトよりも指導や規律面でかなり厳しいらしく、目に見えにくいところで大きな変化は起きているのだろうが、カンプ・ノウで繰り広げられるフットボールには表面上現時点では両者のチームにさしたる違いはない。


 まだグループリーグということもあってスポルティングもそれほど勝ち気というわけでなく、あわよくば勝ち点1でも持って帰ろうかな程度のフットボール。厳しくプレッシングをかけるわけでなく、かといって強くカウンターを狙うわけでもなく、ゴールを与えにくくしてればまあいいかと守備を固めるだけ。だからバルサは思い通りにボールをつなげられる。
 アンリはペップの下順調にチームに溶け込めているようだ。昨シーズンよりも周りとの連携がスムーズ。プレーも若干思い切りが良くなった。ペップが左サイドで使い続けてくれてるのもいい。アンリの特性を理解している。
 メッシーは少しリズムが悪い。判断のスピードが遅く、パスを出せるとこで出さない。シュートを打てるところで打たない。マラドーナが言いたかったことはこういうことかな?と少し納得する。もちろんそれでも十分なほどチャンスは作り出すのだが、やっぱりバルサの10番には完璧を求めたい。
 メッシー関連で少し不安になったのがもう一点。アウベスとの連携。二人とも基本俺が俺がの選手なので、ポジショニングが被ったり、逆にいてほしいところにいなかったりと、連携がよくない。どちらかが空気を読んで引いたりあがったりということが少なく、故に右サイドがひどくもっさりとしている。そうか、2人が絡むとそういうことになるのか。よく考えてみると予想できたことなのかもしれないけど。うーん、アウベスはかなり高い買い物になっただけにここでこけたくない。ペップの手腕に期待したいところ。
 

 試合は押すバルサ、引くスポルティングという構図にふさわしい結果が訪れる。前半21分CKからマルケスが先制。ただ先制した喜びはあるものの、このゴールで試合開始直後から抱き続けてきた不安が消えたわけでもなかった。それは昨シーズンからたびたび抱き続けてきた不安。試合は支配できるものの、流れの中からゴールを決められない。
 チャンスを確実にものに出来る決定力が欲しいなぁ。それは至宝イニエスタやメッシーが唯一持ち合わせていない武器。ゆえに2人はクリスティアーノ・ロナウドに及ばない。この2人でゴール決められれば何の問題もなくなるのに。
 となるとゴールを決めるのはアンリやエトーの仕事。でも2人とも順調にコンディションを整えつつはあるものの、全盛期の決定力を発揮できるほどには至っていない。不安は的中し、流れの中からゴールが奪えないまま、時間は過ぎていく。
 後半に入ってもそれは同じ。ゲームは支配出来てるのにゴールが奪えず、相手にカウンターを許し、勝ち点3を得られないというバルサお決まりのパターン突入の気配が漂いだした。前半は引く一方だったスポルティングも今だ!と言わんばかりにカウンターの勢いを強め、同点弾を狙いに来る。もう嫌だよ、こんな展開見飽きたよ。


 そんなバルセロニスタを救ってくれたのは苦しみ続けたエトーだった。スポルティングの安易なクリアをシャビがカットし、エリア中央のエトーにクロス。そのエトーがディフェンダーに倒されてPKゲット。9番としての責務をキッチリ果たす。これをメッシーが決めて試合はほぼ決まりだ、と思いきやスポットに立つのはPKを獲得したエトー。ラシン戦ではメッシーがPKを蹴っていたので、ジーニョに代わり今後も10番がPKを蹴っていくのかと思っていたが。
 でもこの場面ではやはりエトーが蹴った方が良かっただろう。これはけじめだ。エトーのけじめ。数々の栄光を獲得し、そして挫折も味わったライカールト時代との、ジーニョやデコたちと過ごした幸せな時代との決別。背負う番号は同じでも。任せられる役割は同じでも、しかし中身は本質的に違う新しいチームでの新たなる一歩。そのPKをエトーは確実に決めた。
 ゴールを決めた後観客席に向かって走り、雄叫びを上げるエトー。拍手で応えるバルセロニスタ。その拍手はエトーがピッチから去る際にも送られた。もう仲直りは出来たかな。ベンチに座るエトーの満足げな顔から彼がこれまで縛られていたものから解放されたことが分かる。あまり心配はいらないのかもしれない。


 エトーに代わって入ったのはトゥーレ・ヤヤ。アンリが中央に入って、イニエスタが左ウイングに回る。ここまでは予想できたが、その後の采配にサプライズ。アンリが脚を痛め、途中交代させられるのだが、アンリに代えペップが投入したのはボージャンではなく、ウイングのペドロ。んん!?どういうことだ?ボージャンじゃないの?ペドロってトップも出来るのか?と思いきや、メッシーが中央に入り、ペップまさかのゼロトップ。
 おー、ここで出るのかペップ色。やはりなんだかんだいってペップもペップでライカールト・バルサからの脱却を図っているのかもしれない。それを劇的に行うのではなく、徐々に徐々に行おうとしているところにペップの慎重さと冷静さが見て取れる。ペップはライカールトの鎖に縛られてはいない。だから早く縛りから抜け出そうという焦りもない。無理をせず、時間をかけてペップイズムを浸透させていけばいい。ラシン戦ではブスケッツ、この試合ではゼロトップ。うーん、したたか。
 地味にカンテラ純正トリデンテの完成でもある。これで底にブスケッツを置き、トップにボージャンか中盤ビクトル・バスケスを入れれば、中盤から上を全部カンテラでまかなうことも可能になる。てんで夢物語だが、監督はペップだし、絶対無いとも言い切れないだろう。。チャンピオンズは後半消化試合になる可能性高いし、一応この夢は捨てずに胸にとっておく。
 メッシーは別段サイドに特化した選手というわけでもないので、中央に配置されても何の問題もなくフィットする。というかこれまでの10番をサイドに置いたままのバルサの形は10番の可能性をある程度削ってしまうという意味でデメリットもあると思っていた。ロナウジーニョがマンネリ化してしまったのもここに少なからず原因があると思ってる。そういう意味でもメッシーに自由が与えられるこのシステムは重要だ。
 そしてこのシステムは流れの中からゴールを奪うという最高の結果をもたらす。右サイドでボールを持ったシャビが左サイドで開くイニエスタにロングパス、そのボールをもらったイニエスタがエリア内に走り込んだシャビにピタリと合わせ、シャビが試合を決める3点目。ユーロ準決勝ロシア戦の先制点と同じ構図にニヤリ。



 こうしてグループリーグ最大のライバルと目されるスポルティングをホームで確実につぶしたバルサ。残る相手はウクライナのシャフタール・ドネツク、スイスのバーゼルだし、決勝トーナメントに大きく近づいた1勝と言えるだろう。
 その勝利の原動力になったのが、マルケスにドンピシャのCKを蹴り、エトーのPKを誘うクロスを放ち、そして自ら3点目をゲットしたシャビ。この前の試合で王様シャビと書いたが、あながち言いすぎでもない気がしてきた。本当にどこまで大きくなってしまったんだろう、この人は。選手時代から目をかけてきたペップはさぞかし嬉しいだろうなぁ。そしてその選手を脂の乗り切った時期に指導出来る幸福をかみしめているに違いない。
 流れの中でゴールを奪えないという不安要素を抱えつつも、セットプレーから効果的に得点し、これまで辛抱して使い続けてきたエトーも結果を残し、試したい形も試せてと勝利以外でも非常に有意義な試合になった。試合前には全タイトルを狙っていくといったペップ。そのためにはまだ熟成度が足りていないことは否めないが、ある完成されたチームに向かって一歩一歩順調に歩んでいる姿は見ていて気持ちいい。いけるぞ、ペップ。

posted by myrowka |08:01 | FCB 08/09レビュー | コメント(2) | トラックバック(0)
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一歩一歩

ぺっプには、期待できそうですね
ライカールトよりは・・・・・・・
おっしゃるとおりシャビは、一皮、二皮むけましたね
彼を、みてると王様って、感じです。。。。。。
エトーも、調子でればいいんですが・・・・・期待大ですねー
気になるのは、アビダルとアンリの出来具合ですねーーー

posted by ひろ | 2008-09-17 15:01

一歩一歩

ペップなりに新しい形をもっていそうなのが安心しましたね。ライカールト路線を変に踏襲されてしまわないかが不安でしたから。
ホントシャビ変わりましたね。これまでずっと誰かの日陰で暮らしていた彼にとってユーロでのMVPは本当に嬉しかったんでしょう。そしてそれが自信につながり、彼のプレーレベルをさらに上に上げてくれたのなら、当分アラゴネスの方に足を向けて眠れないようです。
私はエトーはゼロからのスタートになったと思ってます。彼をこれまで守っていてくれていたライカールトがいなくなりましたからね。その新しいスタートを無事切れたのが何よりです。
アビダルとアンリは私はあまり心配してなかったりします。アンリにとっては新しい監督でのスタートというのが良いリセットになるのでは?と思ってます。
私が不安なのはアウベスですね。メッシと上手くやっていってくれればいいのですが。

posted by myrowka | 2008-09-18 08:18

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