2008年06月27日
「不意の終わり」 準決勝 ドイツ vs トルコ
とうとう準決勝。31試合あったはずのユーロも残る3戦。とは言っても別に早いとは思わず。今回のユーロは特にドラマティックな試合が多く身が濃かったからもうこの時点で結構お腹パンパンだったりする。このテンションを決勝まで維持できるかが心配なほど。そんな中これまで3度奇跡を起こしてきたトルコが決して堅くはないドイツに挑んだこの試合。うーん、やっぱり今回のユーロには何かがあるなぁ。 序盤はまずドイツが情けない。ポルトガル戦と同じく自分の方から何かをしでかそうという気はなく、少人数省エネルギーで攻撃を仕掛けようとするドイツ。なんてネガティブ。なんてパッシブ。フットボールは見られるスポーツなんだから、そんな頼りない姿勢見せられる側の気持ちにもなってよ。 一方トルコは対照的に率先して何かを起こしてやろうという気が感じられるから気持ちいい。主力選手を多く欠くのだが、それを感じさせない力強さにほれぼれする。左サイドのウール・ボラルなんてまさにそう。ドリブルで勝負しかけられて決定力もあるアルダの離脱はとりわけ痛いと感じたけど、ボラルがその穴を全く感じさせないほどのファイトっぷり。スピードもあるし、勝負挑む気概もあるし、なにより「やってやろう!俺やってやろう!」ってにじみ出る闘志が好きだ。控えにもこれほどの選手がいるたぁ今後ヨーロッパで再びトルコフィーバーが巻き起こるのは必然か。フェネルバフチェがベスト8になったのはただのフラックではなかったんだと今初めて知った。 一方右サイドのカズムもボラルに負けじとやってやる気満々なわけだが、こちらはそのやる気が裏目に出てプレーがひどくエゴイスティックで空回り。闘志以上に若さゆえのしょっぱさがにじみ出ている。一昔前のクリスティアーノ・ロナウドを見ているようで、こっちまで痛くなってくる。彼はその後一皮むけたが、カズムはどうか。でもこのしょっぱさがカズムの良さでもありそうだし、一皮むけて欲しいのかむけて欲しくないのか微妙な気持ち。 このやったる気満々のサイドアタッカーに加え、今日はトップ下に入ったアルティントップも単なるパス回しにとどまらず工夫こらして攻撃仕切ってるし、アイハン、アウレリオ等もこれでもか!というほど走り回る。序盤から余裕たっぷり様子見かますドイツ様の鼻を明かそうと、主力抜けてもトルコは元気。 そんなトルコのエネルギーが試合を動かした。前半22分トルコの選手があげたクロスをカズムがファンタスティック低空オーバーヘッドループシュート。このミラクルシュートがレーマンの頭上を越えゴールに向かうが無念ポスト直撃。しかし詰めてるウール・ボラル。レーマンの真正面に蹴ってしまうもののボールはあたふたレーマンの股下抜けてゴール。うわぁ、ここで出るのか、レーマンのちょんぼ。ということでトルコ先制。でも当然のゴールだったと思う。序盤消極的に出たドイツと積極的にゴール狙いにいったトルコ。これでドイツにゴールが入ったらウソだ。 このゴールでようやくスイッチを入れるドイツ。そりゃ曲がりなりにもベスト4にまで上がってきたチームだ。やろうと思えば出来ないことはない。ただ惜しむらくはなぜそれが最初から出来ないのか。まあドイツが本気を出し始めて加速度増して試合がスピーディーになり面白くなってきた。 そしてサクッとゴール決めてみせるからドイツは凄いなぁって思わせる。端的に言えば抜け目がない。ポルトガル相手にはセットプレーでの弱さ、トルコ相手にはマークの緩さ、的確に相手の弱点を突き効率的にゴールを奪う。強い!というより強か!って印象。うーん、これがタイトルが取れる国と取れない国の違いなのか。 ということでポドルスキーのクロスにシュバインシュタイガーが詰めてゴール。ポルトガル戦と同じ形で先制点。自分よりポドルスキーに近い位置にいたクローゼには目もくれず、ポドルスキーがクロスを送りたいところへまっしぐらに突っ込みサッとゴールを奪う姿に少し感動を覚えた。同い年の2人。20歳ぐらいの頃から代表でコンビを組み、2年前からは同じチームでプレーするこの2人。なんかちょっと萌えてしまった。来シーズンバイエルンが見たくなった。どこか放映を。 ここから試合は均衡状態に。トルコはエリア内に入り込んだバラックをドフリーにするなど相も変わらずのディフェンスだ。これでベスト4まで来れるんだから本当にフットボールって分からない。だが後半開始直後ぐらいから序盤情けなかったドイツに変わり今度はトルコが情けなくなる。目に見えて運動量が落ちる選手達。ウォィ、ウォィ、ウォィ。そりゃあれだけの死闘を繰り広げてきたんだからもうヘトヘトなのは分かるけど、でもトルコが走らなくて一体どうやって勝てるというのさ・・・。気がつけばドイツがラインをハーフラインまで上げている。 するとやっぱりやられた後半34分。ラームが何事も無く上げたクロスを普通にクローゼに競り勝たれドイツ勝ち越し。覇気のないDFを前に危機感を覚えたリュシュトゥが飛び出すものの少し届かなかった。 まあでもよくよく考えればこの試合はここでようやく始まったと言っていいのかも知れない。みんな誰もトルコが勝ち越して逃げ切る展開なんて期待しちゃいなかった。3度あるこた4度ある。見せてよ、あの奇跡をもう一度。そして期待にお応えしようと再び動き出すトルコ。蘇る運動量。湧き出るアイデア。迸る勝負魂。うんうん、やっぱりトルコにゃ崖っぷちがよく似合う。 そんなトルコが7分後に同点に追いついてもさして驚きはなかった。トルコの逆転劇は偶然じゃなく必然だということはクロアチア戦で痛いほど良く学んだもの。後半41分サブリが右サイドライン際でボールをもらった場面。時間も少ない。ボールは大切にしたい。普通の選手なら無理矢理クロス放つか、DFに当ててスローインをもらう。でもサブリは「それじゃぁ生ぬるい」とここで戦う。リスクを背負って勝負を挑む。普通のプレーで終わらない、一つひねって敵の裏突き、チャンスを作る。この姿勢こそテリム・トルコ。あぁ、かっこいい。今後追いかけなきゃな。そのサブリのクロスにセミフが詰めてゴール。この劇的同点弾にもとりわけ喜んでる様子でもないセミフ。まだまだ 同点。これからもっとおいしいゴールが待っている。喜びを爆発させるのはその時だ。俺たちはミラクル・トルコ。その自信があふれていた。 ミラクル・トルコの凄さを肌で感じたドイツ。戸惑いながらも試合を進めるしかない。もうドイツに余裕は無かったはずだ。このトルコの勢いに飲まれないよう踏ん張るのに精一杯だったはず。だが残り時間も少ないところボールを回していると、トルコにも隙が生まれた。元々隙がないどころか、そこかしこに隙があるトルコ。冷静に攻めれば崩せるところはあったはず。トルコの弱みはマークの緩さ。ラームは落ち着いてその隙を突いた。中央のヒツルスベルガーにボールを捌くと一心不乱にエリア内に切り込む。するとやはりトルコのマークはやってこない。気づいたのすらヒツルスベルガーがボールを返す一瞬前だ。トルコ時すでに遅し。ラームはヒツルスベルガーの強いパスを右死でキレイにトラップ。その後ラームはリュシュトゥの横を突き、まさかのドイツ勝ち越し。 でもこれでもまだ不思議とドイツの勝利を確信できない。トルコがロス・タイムにゴールを入れるところはもう2度も見た。土壇場で勝利をつかむところをもう3度見た。なんでこの試合でそれが起きないと言える。なんでこの試合だけそれが起きない。起きるでしょ。起きるんじゃないの?と漠然とだがかすかにトルコの逆転劇が見える。するとロスタイム残り30秒の時点でおあつらえ向きに30mからのフリーキック。何やら直接狙ってくる様子。キッカーは誰?アルティントップ?分かんない!あ!誰か蹴った!外れた!普通に外れた。惜しくも何ともない。終わった。普通に終わった。何というあっけない幕切れ。振るだけ振っといてあんなオチ。これもまた意外性のテリリズムってことか!?うわー、すんげえ釈然としない。 ということで、なんとも不完全燃焼なフリーキックと共にこうしてミラクル・トルコの冒険はあっけなく終わった。 せめてゴール前の群衆内に放り込んでいてくれれば残りの選手も全部ぶつけれたのに。とまあ過ぎたことを悔やんでも仕方ないか。 これまではトルコと消化試合を除いて先制したチームが負けることは無かった。その法則に当てはまらず先制されても逆転勝ちしてきたのがトルコだったのだけれど、その逆法則とでもいうべき現象はこの試合でも発生。先制されれば勝つけど、先制したら負ける。トルコは最後までアブノーマルだった。 トルコが期待を持たせるのは若いチームだという点。カズムカズムやアルダを始めこれから伸びる選手がたくさん。 個人が熟成すればこのチームはホントとんでもないことになる。攻撃面では特に問題ないというかこれ以上いじって欲しくない。あとはディフェンス面をしっかり修正すればワールドカップでも普通に優勝狙えたりすると半分冗談半分本気で思う今日この頃。 一方ドイツは過去2大会で1勝も出来なかったにも関わらず、今大会は決勝進出。ある意味意外な活躍と言えるかもしれない。少し前まではドイツと言えば他の強豪国と比べタレントが小粒で物足りない印象だったのに、ポドルスキ、シュバインシュタイガーを始め地味に地道に地力をつけてきた。その努力が実を結ぶかもしれないのが自国W杯から2年後というのも歯がゆいところではあるが。行っちゃうのかなぁ、このまま。行きそうな気がするなぁ。
posted by myrowka |00:45 |
ユーロ08 |
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