2008年04月30日

複雑>期待

UEFAチャンピオンズリーグ07/08 準決勝 2ndレグ ユナイテッド vs バルサ


※この記事は個人の主観によってのみ書かれているのであしからず。


 ユナイテッドのフォーメーションはGKエドさん。DFラインはビダが膝蹴りの負傷から回復しきれず、右からハーグリーブス、ブラウン、リオ、エブラの並び。中盤はルーニーがこれまたチェルシー戦で負った負傷のため出られず、クリ坊が代わりにトップに入ったためナニが入り、右からナニ、スコールズ、キャリック、パクチー。トップはクリ坊とテベスだ。
 バルサはGKバルテス。DFは右からザンブ、プジョル、ミリート、アビダル。MFはヤヤ、デコ、シャビ。FWはエトー、メッシー、イニエスタ。つまりベスト。


 自分はフットボール界には大別して2種類のフットボールがあると思っている。勝利することを第一に考えた現実的なフットボールと、勝利と同時に観衆を楽しませることにも重点を置いた理想的なフットボール。
 フットボール界では現実的なフットボールを選択しているチームがほとんどだ。それは当たり前のこと。勝ってなんぼのこの世界。勝利より重視すべきものなぞあるはずがない。勝つことに精一杯。他のことには構ってられないという実情。
 だが世の中どこにでもはぐれものはいるもので。ただ勝つなんてつまんないじゃん。どうせなら美しく勝とうと、勝利と同時にスペクタクルを追い求める人たちがたまにいる。バルサであったり、ベンゲルであったり、かつてのクライフであったり。勝利するだけでも恐ろしく大変なこの世界。彼らは信念を貫くため、更なる重荷を自らに課しているのだ。自分はこういう人たちにとても感謝すると同時に尊敬する。
 ユナイテッドというチームは自分はこの両方を兼ね備えたクラブだと認識している。王者として、ただ勝つだけのフットボールからはとうに脱却している。ゲームを支配し、そして勝つ。それは第一。しかし時と場合によって相手に攻めさせ裏をつくという、狡猾さも持ちあわせている。理想と現実が上手く同居しているチーム。それがユナイテッドだ。


 ユナイテッドとバルサが対戦すると分かった時、自分は理想と理想の対決を期待した。ただでさえ理想的なフットボールを体現するチームが少ない現在、両者が対決する試合なんてそうはお目にかかれない。それがトーナメント戦ならなおのこと。
 しかし第1戦ではユナイテッドは現実を選んだ。勝利を確実に掴むため、スペクタクルは二の次に置き、まずは守りきるフットボールを選択したユナイテッド。眼前ではバルサが面白いようにボールをつなげ、面白いように攻撃の芽を摘んでいく。期待は大きく裏切られた。しかしそうは言っても、2ndレグも残っている。まだこれで終わったわけではない。ユナイテッドもやられっぱなしではあるまい。バルサがホームで見せた理想的なフットボールを2ndレグのホームで今度はユナイテッドが顕示してくれるだろう、とそう期待した。
 しかしその期待も裏切られた。


 序盤は両者様子見でお互いの頬を撫で合う展開。深いところまでは踏み込まず、まずは何かが起きるのを待っていた。そしてその何かは起きた。ザンブロッタがボールを奪うものの、安易なパス。これをスコールズがかっさらう。スコールズフリー。これまで幾度も決めてきたお得意のレンジ。右足を振りぬく。刺さった。刺さってしまった。
 面白い試合になるために、どうしても先取点はバルサに入って欲しかった。バルサが入れればユナイテッドは2ゴール決めなければいけない。ユナイテッドに現実を捨てさせるためにはバルサのゴールが絶対必要。しかし先取点はユナイテッドに入ってしまった。完全に相手を崩した素晴らしい攻撃からではなく、チェルシー戦同様相手のミスを上手くついて。
 今シーズンのユナイテッドを何度となく見ている今、今後の展開は手に取るように分かる。ただでさえユナイテッドは1点をやれない状況なのだ。ガチッと守ってクリ坊、ナニの高速カウンターで追加点を狙う、チェルシーやリバポーが得意とするあのフットボール。期待からは程遠いあのフットボール。


 予感は見事に的中した。ただでさえバルサはエスパニョール戦、1stレグのユナイテッド戦、デポル戦とゴールを決めれていない。それを今季のユナイテッドから奪えだと?無茶な話だ。メッシーが果敢に突破を挑む。その姿勢自身は特筆すべき素晴らしいものだが、いかんせん周りの選手と連動しておらず、それゆえ独りよがりのプレーとして終わってしまう。今後の課題だな。その他にもデコのミドルなどそれらしいチャンスはちらほらするが、しかし完璧にユナイテッドを崩すまでにはいかない。ユナイテッドは完全にどっしりと自陣に構え、1点もやらせない算段だ。バルセロニスタならすぐに察する。これは数え切れないほど見てきている負けパターンだ。ただそれでも「フットボールには何が起こるか分からない」という使い古された真理を信じ続けたのだが、この試合では結局何も起きぬまま。万に一つの可能性をもねじ伏せるユナイテッドの「強さ」の前にバルサは散った。

 
 そう、罪なのはバルサの「弱さ」。それは分かってる。だから悔しい。現実の前に理想が負けた。この試合は理想より現実が強いと、そう示しているのだ。だから悔しい。めちゃくそ悔しい。だが、ここで引いちゃいかんのだ。3年前バルサは今回と同じように徹底的リアリズム・チェルシーの前に敗れた。しかし翌シーズンの対決では1年かけて成長し、そのリアリズムを倒している。やられたらやり返せばいいのだ。時間をかけて。借りは必ず返す。UEFA、来シーズンの組み合わせでもちょこちょこっと頼みますよ。


 一方ユナイテッドの決勝進出に関しては複雑な思い。どうせなら理想サイドのユナイテッドで勝ち進んでほしかった。理想的なフットボールは誰にだって出来る代物ではない。選ばれた人にのみ許されるフットボールなのだから、その力を擁しながら発揮しないのをすごくもったいなく思う。でも現場の人達はそんなこと言ってらんないんだろうね。勝たなきゃ意味はない。そんなことは十分理解しているんだけど。今思えばスパレッティは恐ろしく見事にユナイテッドを表現してた。「ユナイテッドは私がみたことのないくらい最もイタリアらしいクラブである」。当時は半分冗談、半分負け惜しみと取っていたが、実はそうではなかった。
 決勝はチェルシーかリバポー。現実的フットボールを代表する2チームだ。ユナイテッドも決勝では現実的なフットボールを選んでくるだろう。どちらが来ても点を与えないフットボールの戦いになるはずだ。ちぇっ。

posted by myrowka |15:53 | Manchester United | コメント(6) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
複雑>期待

個人的には面白い試合だったけどなあ。たしかに
マンUは守備的だったけど、前線でパスをつなごうと
しても、バルサ相手に繋げなかったという技術的な
問題もあるんだよ。とにかくバルサのインターセプト
は素晴らしく、いつもなら繋がるはずのパスが
繋がらなかった。クリロナもマークがきつくて、
いつものように動けない、、


ただ マンUはリオをはじめとする守備力に加え、
バルサにはない精神力(テベス、
パク、スコールズはそれを体現していた)と
冷静な戦況理解力があり、それらが彼らは
勝利に導いたと思っている。

俺が言いたいのは、守備的、現実的な戦術を
とったから、マンUが勝ったいうのは 分析と
しては いささか早計すぎるんじゃないか、
ということだ。カンプノウ1STは誰がみても
守備的(というか押し込まれていた)だったが、
ホームでは 違うバイブを感じた。

人生かけて戦っていたテベス、スコールズ
パクには リスペクト!

バルサは強かった。ただマンUにあって、
バルサにはないのは 『背骨』だ。

テリーの表現を借用、、

posted by K | 2008-04-30 17:27

複雑>期待

1legは完全に守備しにいったが
今日のホームの試合はそうじゃなかった、多分1legのまま行ってたらマンUは負けてたと思う。
1legと違ってDFラインも高かった、何よりSBのエブラの攻撃姿勢が半端なかった、メッシに裏突かれることを恐れずに上がった。

テベスやパクのプレスで苦し紛れのパスしか出せなかったバルサ、メッシからの攻撃とデコのミドルぐらいしかチャンスを見出せなかったバルサ、


あと・・・イニエスタとデコのプレイに手こずってたのにイニエスタを代えたライカールトの謎采配


相手が引いたから負けた、とか言い訳にもならないと思う

posted by SIT | 2008-04-30 17:37

複雑>期待

K さん

間違いしてきありがとうございます。修正しておきます。
面白い試合だったと思いますよ。ただ私の期待とは違っていたという、ホント一個人の感想です。


SIT さん

1stレグほど引っ込んではいませんでしたが(特に前半)、ボールの支配権を相手に譲り、奪えば速攻というアクションvsリアクションという構図は1stレグと一緒でした。

posted by myrowka | 2008-04-30 18:03

複雑>期待

バルサ相手にポゼッションサッカーに挑む美学はいりますかね?
アーセナルだと面白いかもしれないけど、今はその中心であるセスクもパフォーマンスは落ちてます。
結局は結果です。勝ったものがベストです。
バルサは2年前がベストでした。
今年はユナイテッドがベストでしょう。恐らく。
相手がどこであろうと。

posted by G | 2008-04-30 18:33

複雑>期待

もともとユナイテッドはポゼッション気にしませんよ。
ボールを持ったら最短でゴールを目指すチームです。
プレミアの下位チームとの試合では相手が引いて守ることが多いので、結果的にポゼッションが高くなることはありますが。

むしろバルセロナはポゼッションを高めるというより、持たされている感が強かった気がします。
ユナイテッドが上手く守ったのもありますが、バルセロナが攻め手にかけていたと感じました。

posted by 通りすがり | 2008-04-30 18:55

複雑>期待

G さん

普通に考えれば要りません。攻めるだけ攻めさせといてカウンターで仕留めるのが手っ取り早く確実なバルサ撃退法でしょう。でもそこで挑むようなチームがあってもいいと思うんです。というかそんなチームを見てみたかった。しかしそんなことが出来るチームは数えるほどしかありません。でもユナイテッドはそんな貴重なチームの一つ足りうる。そういう意味で期待していました。冒頭にあるとおりこの感想はホント個人的主観なんです。

本文よく読んでもらえれば分かると思いますが、私も勝たなきゃ意味がないということは分かっています。美しく勝とうとしているチームを個人的に応援している、とそういうことです。だから悔しいんです。

ユナイテッドはベストだと私も思いますが、先のチェルシー戦のようなこともありますしね。イタリアユナイテッドが初めて敗れた試合でしたが、やはりあそこまで引きすぎると上手くはいかないことを示してくれたと思います。バルサとの2戦でも崩してからのゴールはありませんでしたし、守りながらも誇るべきオフェンス陣が輝けるような戦い方をしてほしいですね。


通りすがり さん

相手に応じて臨機応変に変化するチームだと考えてますから別に引いたことに意外性を感じたわけではありません。でもバルサ相手にポゼッションサッカーで対抗出来る少ないチームだと考えていたので、どうなるだろうと期待してましたが、普通にリアクションサッカーで来ましたね。個人的にボール持つチームと持たせるチームでは持つチームに勝ってほしいので、つまりは個人的な主観というわけです。

バルサはゴールを取る術を忘れてしまっているというカンジですね。ゴールになだれ込む際の攻撃がぶつ切りで、連携がまだまだなんだと思います。こればかりは個人技ではどうしようもなりませんからね。

posted by myrowka | 2008-04-30 19:14

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