2008年12月26日
三角関係
さてさて。 期間限定ではあるけれどミラニスタはミラニスタ。ミランのことをよく知りよく学ぶためウディネーゼ戦を観戦することに。ということで。 08/09レガ・カルチョ・セリエA 第17節 ACミラン vs ウディネーゼ GKはアッビアティ。ディフェンスは右からアントニーニ、カラーゼ、マルディーニ、ファヴァッリ。中盤は右からセードルフ、ピルロ、ヤンクロフスキ。トップはパト、カカ、ジーニョ。 個人的にはファヴァッリがまだまだ現役していて驚く。ラツィオを追いかけていたのは2002年頃までだったか、その頃にはもう既に壮年に入りかかってたと思っていただけに。プレースタイルも年老いたからといって最終ラインにへばりついているわけでなく、隙あらばガンガン上がってサイドアタックに参加する。まだまだ現役バリバリだ。うーん、少し感慨深い。もしかしてパンカロも!?と思ったが、さすがにそれはなかったか。 今回ミランを見る上で気にしていたのはカカとジーニョの共存問題。カカがジーニョとのプレーに不満を持っていると発言したことに端を発した問題だが、確かにカカとジーニョはお互いなんだかやりにくそう。縦への速いボール回しから相手ゴールに攻め込みたいカカに対し、ジーニョはというとどうしても一度足下でボールを止めてじっくり攻めたがる。だからカカがボールを持つと前へ前への速い攻撃にジーニョはついていけず絡めないし、ジーニョがボール持つと一旦そこで流れが止まり、前へ前へのカカはリズムを崩されぐずぐずになってしまう。それでいてお互いどちらかに合わせようとはしないのだ。2人とも半ば意地になっているかのようだった。先のニュースリンクを見ていただければ分かるが、ガッリアーニ副会長も不満を漏らしたカカに「ミランはカカのチーム」とフォローしているし、カカはあれで結構難しい性格をしているのかもしれない。 カロリーナさんと結婚するまでお互い純潔を守り抜いたというカカと夜遊び大好きのジーニョ、そもそも性格からして真逆といってもいい2人。性格の不一致が必ずしもプレー相性の不一致につながるとは限らないのだが、それでもなんだかちぐはぐな2人を見ていると、そうした性格での違いが2人の融和を妨げているようなそんな印象を受けた。 この両極端のスーパースターに囲まれてプレーするのが18歳のパトくんだ。「おい、お前はどっちの味方なんだ」という2人のキツ~い視線に参っている、かどうかは定かではないが、この試合を見た限りではパトくんはカカの味方。若さを漲らせピッチを疾走するパトくんのスタイルはやはり動きながら攻撃したいカカに合うんだろう。ミランで最もゴールを予感させたのはパトとカカのコンビネーションによるカウンターだった。この日の2点目なんかはまさにそう。右サイドでディフェンダーを抜いたパト君はエリア内に猛烈に駆け込み、これまたエリア内に走り込んでいるカカにDF2人とGKの間を突くラブリーパスを通して見事ゴールを演出、やや遅れてやってきたジーニョの目の前でかくもお熱いラブラブぶりを見せつけてくれた。 パトくんは1点目の時もエリア内で上手くマークを外しファバッリのクロスを押し込んでみせたし、3点目の時もアントニーニの折り返しパスにすっと反応してすっとゴールを決めてみせたりと、想像以上にゴールを奪うのが「上手い」。個人的にはロビーニョのような足下でこねくり回す選手を予想していたが、これならロマーリオの方がタイプは近い。顔に似合わず「点取り屋」という言葉が似合うパトくんだ。ピッポから上手い具合に技術を盗んだかな。なんにせよエリア内での勝負に長けた選手がいるというのはベッカムにとっても朗報だろう。 ジーニョはというと左サイドでボールをキープしこまっしゃくれたテクニックで時折観客を「オー」とは言わせるものの、結局は安全なパスに逃げることが多く、また少々無理してキラーパスを狙っても、それはことごとく相手DFに止められていた。うーん、これはどこをどうみてもあのバルサでダメダメオーラを放っていた時のジーニョだ。バルセロニスタに神格視されていたころのジーニョはもっと果敢に自らエリア内に攻め込んでいたし、またそのボールも取られることはほとんどなかった。昔のような自信と勇気を取り戻さないとここミランでも厳しい戦いが待っているんだろうな、と思った今日この頃。 まあでもカルチョの世界には「ファンタジスタは89分間消えていても、たった一度だけ輝けばそれでいい」みたいな格言があると聞くし、ジーニョも時折ギアをいれてはゴールを予感させるプレーを見せていた。ここはバルサじゃないんだし、こういう生き方もミランではありなのかもしれない。 中盤ではやっぱりピルロが王様していた。長年働き続けてきた疲労から昨季は不調に陥っていたと聞くが、怪我での長期離脱が良い方向に働いたのか、中盤で上手い具合にボールを捌いては時折度肝抜くような超絶スルーパスでゴールを演出。特に3点目のゴールを呼び込んだスルーパスは圧巻だった。うーん、やっぱりピルロのプレーは見ていてうなる。 ただそれならキャリックも負けてないんだけどなぁ、キャリックはなんでこうあんまり世間の評価がついてこないんだろう、と思っていたら「これだよ、これ」と言わんばかりに速くて美しいFKを蹴ってみせてくれた。惜しくもポストに嫌われるもののセードルフがつめて4点目につながるプレーとなった。FKのみがピルロとキャリックの評価の差を生み出しているわけではないと思うが、やっぱりピルロのこの武器は強い。これではジーニョもFK蹴らせてもらえないはずだし、ベッカムが蹴らせてもらえるかも怪しくなってきた。まあそこかしこからの圧力の結果アンチェロッティは「仲良く2人で蹴り分けてよ」と指示せざるを得なくなるとは思うのだが。 ミランの中盤のサイドの選手は多くの4-3-2-1、もしくは4-3-1-2のそれと同じく、ウイングやサイドハーフというよりもセンターハーフ的意味合いが大きい。サイド突破はサイドハーフのドリブルなどで単独で行うのではなく、サイドバックやパトやジーニョ等サイドに位置したアタッカーとのコンビネーションで行う。なのでサイドハーフはサイドアタックのキーマンというわけではなく、どちらかというとアタッキングの調整役と言った方が正しいだろう。そのためパス精度はもちろんパスを出す判断の速さ、またポジショニングが重要となってくる。となると自然ベッカムにも活躍の芽は出てくるわけで、アンチェロッティがベッカムを欲した理由もなんとなく分かった気がした。 ということで、あくまでこの試合を見てのみの感想となるが、ミランはそう言われているほど悪いチームではなかったし、ピルロの復帰、ベッカム加入などでこれから調子が上がっていくチームだろう、と感じた。ベッカムもなんだか普通にプレーできそうだし、個人的な事情ではあるが今季のインテルにはどうしても優勝してほしくなかったりする。せっかく仲良くなったよしみだし、狙うは頂点、スクデット目指して頑張っていきませう。
posted by myrowka |23:19 |
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Re:三角関係
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個人的にはやっぱりミランはカカのチームだとおもうんですけどね。
posted by asroma | 2008-12-27 00:38
三角関係
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私もそういうイメージは持ってましたけどね。あらためてそれを言わなければいけないほどガッリアーニは焦っていたということでしょう。
posted by myrowka | 2008-12-27 02:22
三角関係
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キャリックとピルロの違いは、美しさじゃないかなと。まあどちらもいい選手なんですがね。前者は恐ろしく正確で実用的なパスを出すし、後者はあり得ないようなパスを出すし。ただ唸るよね。ピルロのパスは、常に裏をとるために出してる感じ。どっちも好きだけどピルロの方が面白い。
posted by ピルオ | 2008-12-27 02:52
三角関係
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僕もパトはほんとにうまいな~と感じました。ドリブルもできてああいうプレーもできる、これからが楽しみです。メッシと並び称されるような選手になってもらいたい。あと2年くらいありますし。
あと僕はインテルあんま好きじゃないんでバロテッリをこのすきに引き離しちゃってもらいたい。
posted by peko | 2008-12-27 08:34
三角関係
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ピルオさん
個人的にはキャリックも十分美しいと思うんですが、じゃあどちらがより美しいと聞かれればやっぱりピルロの方を選んでしまいますね。スゴイキラーパスでゴールを演出してやろうという意気はピルロの方に強く感じるからでしょうか。キャリックも時折度肝級スルーパス通しますがおっしゃるとおりどちらかというと無理して狙うなら確実な方に行こうとする傾向がありますからね。それとは別にピルロのあの風になびく髪と彫りの深い渋い顔が両者の美しさの違いを作り出してると思ったり思わなかったりします。
Pekoさん
パトくん上手いですよね。あれであまりゴール狙ってガツガツしてなくあくまでサラッと決めてみせるところに大物ぶりを感じます。メッシやクリスティアーノ・ロナウドと違って観客沸かせるプレーでオー!ってカンジではなく、どちらかというとアグエロみたく着実にゴール重ねていくタイプのようなので、世間の評価という点でメッシに追いつくのは難しいと思いますが、しかしこのまま順調に成長を続ければフットボール界での名声はそれぐらいまで高まっていても不思議じゃありませんね。本当にブラジルからは次々と面白い人材が出てくるものです。
バロテッリはUEFAの定めるクラブ内育成選手枠を埋めれるという非常にインテルにとって大きなメリットを持った選手なんで、ここがネックとなってバロテッリはインテルからは少々のことでは離れられないような気がしますね。
posted by myrowka | 2008-12-27 10:02
三角関係
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初めてコメントします。
カカは、スペースを与えてこそ活きるプレーヤーだと考えています。なので、ジーニョが左サイドにべったりの状態だと、カカは右サイド半分しか使えない。更に前向いてドリブル出来ればいいえれど、今のミランにポストプレーが出来る選手があまりいないため、FWからのバックパスでカカのドリブルが活きる場面が少なくなっているのではないかと思います。ジーニョの守備のサボり具合を見ていると、決定機によく絡んでいるとはいえ、デメリットの方が多い気もします。。
キャリックとピルロに関しては、おそらく代表での活躍度合じゃないですかねぇ。守備的と言われるイタリア代表の中で攻撃のリズムを司るというのが、余計に注目させるのだと思います。あとは、マンUはアタッカー陣のキャラが濃く、ドリブルに目が行きがちになるからだとか。CWCでも何度もいいパス供給してましたけど、全く持って触れられていませんでしたので。。
そして、是非この3ヶ月間でミランに染まることを期待していますw
posted by dk | 2008-12-27 18:17
三角関係
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ユーベ戦のミランは6、7点取られていてもおかしくなかったですけど、たった1週間でそんなに良くなるとも思えませんね。(カカが復帰したとはいえ)
ウディネはインテルに負けてからどうしようもない状態がずっと続いてますし、今の彼らに圧勝したところでミラン復活とは言えないと思います。
年明け初戦のローマ戦で本当の力を計れる・・・と言いたい所ですが、トッティがいないローマはキツイだろうなと。
posted by ジダン | 2008-12-27 19:55
三角関係
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dkさん
はじめまして。
カカはスペース見つけ前へ動きながら守備を崩したいカンジでしたね。そういう見方でみれば前への速いアタッキングも「ジーニョが帰ってきてスペース埋める前に早く攻撃済ませとこう」という思惑の結果のように見えなくもありません(笑)仰るとおりジーニョ起用には今のところデメリットの方が多いように思いますね。それがゆえの先のカカ発言でもあるのでしょう。かといってアンチェロッティには未来のビジョンがあるかといえばそうとも思えず、どうやらなにやら第三者の指示でジーニョを起用しているように見えたり見えなかったり・・・。どうなっていくんでしょうかね。
キャリックの件はなるほどと思いました。確かにアズーリのピルロが与えるインパクトは小さくないですね。ユーロでファンタジスタ不在でトニが決定機外しまくる中一人でアズーリ引っ張ってた姿は今でも頭に強く残ってます。対するキャリックはランパード、ジェラードという2大巨頭がいるので試合に出ることすらままなりませんからね。またユナイテッドのアタッカーの濃さで相対的に目立たないというのもクラブワールドカップでキャリックのナイスパスに拍手を送っても周りはシーン、ということがよくあったので身に染みています。ピルロとキャリックの件はdkさんの説明で普通に納得できましたね。ありがとうございます。
この3ヶ月間ミランが何を見せ、何を教えてくれるのか、自分も実は楽しみにしていたりします。気づけば上から下までロッソネロになっていた、なんてことになれば素敵ですね。
ジダンさん
ユーヴェ戦は見てないので何とも言えないんですが、アタッキングの要が戻ったミランはなかなかに強力でしたよ。もっとも仰るとおり1試合だけで判断出来るというものでもないので、ローマ戦をはじめとしたこれからの戦い次第ということなんでしょう。
posted by myrowka | 2008-12-27 20:21
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