2008年12月25日

BOY MEETS BECKHAM

※前ブログからの転載改


「あなたが一番好きな選手は誰ですか?」


 と聞かれれば、一体ここをご覧のみなさんは誰と答えるだろうか。自分はかなり悩む。ルーニーにメッシー、イニエスタ。渋いところを突くとフレッチェル、アルテタ、チャドウィックなんかもなんだかんだで記憶にずっと残ってる。そういや自分がフレッチェル好きなのはチャドウィックの顔となんか通ずるものがあるかもしれない。などなど、あまりにも魅力的な質問だけに、いろんな選択肢が浮かんでは消え、浮かんでは消えていくのだが、結局のところ自分はこう答えざるを得ないのである。

「デイビッド・ベッカム」だと。

 自分の部屋の一番目立つところにドカンと飾られているポスターがなによりの証拠だ。胸には大きなシャープのマーク。ユニフォームはあの時はまだアンブロ製だった。個人的に一番気に入ってるチャックのついたタイプの赤い悪魔のユニフォームに身を包んだブロンドの髪をなびかせハツラツとプレーをしていた頃のベッカムのポスターは自分の宝物である。
 ベッカムがユナイテッドを去り、ルーニーというベッカムに代わるスーパースターが現れても、自分の中ではベッカムを超えることはない。一生ないのだろう。それは別にルーニーがベッカムより劣っているとかそういうことではない。ベッカムが自分をかくも奥深いフットボールの世界へと引きずり込んだ張本人だからなのだ。


 1999年中学生の頃、自分はフットボールのことなんかまだ何にも分からないペーペーだった。夏休みの体育の宿題(なんでもいいからアマチュアの試合を実際に見に行きそのレポートを提出しろというもの)をずっとサボり続けていた自分は突如12月、体育教師に呼び出される。

「もう2学期も終わりだ。それなのにお前はこのままずっと宿題を出さないつもりなのか。許してほしければテレビでもいいからなにかの試合を見て、そのレポートを書け」

 その声に並々ならぬ怒りが込められていたのを敏感に察した自分は、命が惜しければなによりも優先してこの課題を成し遂げなければいけない、と理解した。
 さて、スポーツとはいっても日本で一番人気のある野球はとうにシーズンを終えている。何を見て書こうかと悩んでいたところ、「トヨタカップ」という大会があるというのを耳にした。なにやらフットボールでヨーロッパ一強いチームと南米一強いチームが戦う試合らしい。この時期になんと課題にピッタリな大会が行われるのだろう。まるで自分のために開催されるかのようだ。これを見ない手はない、ということで早々とテーマは決まる。試合を見てそのままその内容を書くというのもいいのだが、なにせ4ヶ月もサボり続けた課題だ。少しでもいい内容のものをと考え、試合前にやっていた明石家さんまさんが司会の特別番組を見ることにした。その番組ではいかにしてユナイテッドがヨーロッパチャンピオンまで昇りつめたのか、その過程を映像を交え詳しく放映していた。そこで自分は初めて世界のフットボールのレベルを目の当たりにする。


 当時は右からベッカム、キーン、スコールズ、ギグスの黄金の中盤に加え、前線にはアンディ・コールとヨークのいわゆるホットセットが並んでいた。ギグスの超絶ドリブルに、スコールズのミドルシュート等、数々のスーパープレーが飛び交う中、自分の目を一番引いたのはベッカムのアーリークロスだった。最初見たときは、もうなにがなんだか分からなかった。

 ボールというのはこんなにも早く飛ぶものなのか。ボールというのはこんなにも鋭く曲がるものなのか。ボールというのはこんなにも正確に蹴れるものなのか。
 
 なにもかもが自分の常識を超越していた。そんなとてつもないボールを放っているのが金髪をなびかせるハリウッド俳優顔負けのイケメンとなれば、フットボールを知らない人間でも夢中になるのは無理もない。肝心のトヨタカップではあまり目立った活躍が出来ず、逆に敵のアスプリージャのスピードに驚かされたがそんなことはどうでもよかった。ヨーロッパには自分の知らないとてつもない世界が広がっている。それを知った自分は加速度的にフットボールの世界に引き込まれていった。こうやって自分はこんなにもフットボールが好きになっていったのだ。




 それからいろんな選手を好きになった。それこそ数えあげればキリがない。でもベッカムが自分に初めてフットボールの面白さを教えてくれた選手である以上、先の質問に対する自分の答えは一つなのである。たとえユナイテッドを去って自分の大嫌いなチームへ行こうとも。

posted by myrowka |12:26 | マンチェスター・ユナイテッド | コメント(0) | トラックバック(0)
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