2008年03月22日

布陣話だけでは… 書評:「4-2-3-1」杉山茂樹

杉山茂樹氏の「4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する」(光文社新書)を購入。
結構多くの書店で平積みされてるところを見ると、人気あるんでしょうか。

読んでみると、さすが一流ライターだけあって資料例はハンパない。
ビエルサやヒディンクのインタビューから導き出される戦術論も面白い。
特にイルレタの「3バックに対する1トップ有効論」に関しては、
別の本でヒディンクが語っていた
「3バックに日本が2トップで来ると聞いて安心した。1トップだったらイヤだったよ」
と完全にかぶるところがあり、これが名将同士の戦術の一致かと驚く。

「EURO2004で優勝したギリシアや、03年CLでマドリーを破ったモナコ。
日本は「なぜ大物食いが成功したか」を研究すべきであって、
「ギリシアつまらない」と欧州目線で語るべきではない」

「日本の決定力不足の要因はポジションの固定観念にありFWは点取る人、DFは守備の人、ボランチは守備の人でトップ下は攻撃…
責任を特定ポジションに押し付けているようでは得点力不足の原因は見つからない。
FWが決められないという弱点を中盤が埋めるという発想ではいけないのか」

このあたりは大変身につまされるところですし、本人も啓蒙したい意識が強いのでしょう。

が。
日本代表はともかく、Jリーグに関する部分では微妙に疑問がわいてくる。
最初に書いてあるさまざまな布陣+解説で、トップバッターは中盤がフラットな4-4-2。
いわく、

「日本ではお目にかかれない布陣」

…?
中央にディビッドソン純マーカスや金澤、左右に久永と藤本主税を置いた
2005年大宮の布陣はダメですかそうですか。
三浦監督は大宮でも札幌でもこの布陣で巧みな守備を展開しています。
確かにアーセナルと比べればレベルの差は歴然ですが、言い方悪くね?

「3-4-1-2は98年セリエAのように守備的。
Jリーグはトルシエの悪影響で時代に取り残された3バックを次々採択した」

3バックでリーグ1位の84得点をたたき出した2006年フロンターレはどうなんでしょう。
だいたい1試合中で布陣が変わる部分は多いし
同じ3バックでも全チームがトルシエイズムやりたいわけじゃないだろうに。
日本の「3バック=3-4-1-2」的な発想にうんざりするお気持ちは分かりますが、
時折3バック、そして日本に対する妙な敵意を感じることがあります。


またシステム論の本なので仕方ないのですが、あまりに数字や足し引きを重視しすぎる。
「サッカーは布陣でするものだ!と叫びたくなる試合だった」
本文中の一節。こう言いたくなる試合は確かにあります。
が、杉山氏の「陣形至上主義」ばかりでは食傷気味になってくる。
戦術もさることながら、選手、応援、雰囲気、
そして時折生じるミス。これがサッカーの大きな要素のはず。
自分が最終的に思い出したのは、この言葉でした。

「無数にあるシステムそれ自体を語ることに、いったいどんな意味があるというのか。大切なことは、まずどういう選手がいるか把握すること。個性を生かすシステムでなければ意味がない。システムが人間の上に君臨することは許されないのだ。」
イヴィツァ・オシム

なお杉山氏は文中で応援や選手に関しても書いており、
完全軽視と言うわけではありません。
でも布陣に関する本である以上、必然的に戦術と布陣が大方を占めます。
そしてシステム論は勉強になるけど、それだけでは楽しいサッカー話になりようがない。
そんな当たり前のことを感じた1冊でした。
日常的にサッカーを見る人なら、あまり読まなくてもいい気がします。


さて、微妙に気になったのが海外選手の独特な発音表記。
上が一般的な、下が本書の選手名。

ウィーファルシ(UJFALUSI)
 →ユーファルジ
フェネホールオフヘッセリンク(Vennegoor Of HESSELINK)
 →フェネゴーオフヘッセリンク

このへんはいいです。ソルスキアかスールシャールかみたいなもんだし、
そりゃ欧州最長の苗字を何度も呼んでたらrの発音くらい省略したくなります。
でも、だ。

ソン・ジョングッ(SONG Chung-gug)
 →ソジョング
ファン・ソンホン(Hwang Sun-Hong)
 →ファンソンフォン
イ・ウンジェ(LEE WOON JAE)
 →イウォンジュ
ヴリーザス(VRYZAS)
 →ベリーザス
カニサレス(CANIZARES)
 →カンサレス

ヒディンクコリアを絶賛しときながら、GKウォンジュって誰。
さすがに韓国人の発音が気の毒になってきます。
カニサレスの例を見ると、字が汚くて編集の人が間違えた可能性も浮上しますが
まあサッカーは正しい発音でするもんじゃないから、これまたどうでもいい話です。

posted by モトヒロ |05:07 | サッカー書籍 | コメント(9) | トラックバック(0)
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2008年03月17日

某スポーツ紙いわく、エンゲルスの後釜は…

風邪引いて1週間、オジェック監督解任を布団の中で寝込みながら聞きました。
もー、今年のカゼは性質悪くないですかね。

さて、なんでもエンゲルス新監督は暫定監督だとか。
とある新聞によると、正当な候補に挙がっているのは


ラモス瑠偉


( ゚д゚)ポカーン



ソース:東京スポーツ



納得しました。
ネッシーご出産(写真つき)記事をぶち上げた東スポでしたか。
そりゃラモスを浦和監督にするくらい朝飯前だ。
2ちゃんねる浦和スレでも
「ラムシ甲斐(※)がアップを始めたようです レッズ本スレ」
とかの扱いで、本当にどうでもいいネタ扱いです。まあそりゃそうだ。

(※)ウイニングイレブンにおけるラモスの偽名

それはどうでもいいとして、部外者から見てもこれは果断だと思います。
昨シーズン末からオジェック采配に関して色々言われてましたけど、
クラブW杯3位になったせいでその辺は不問になっちゃいましたしね。
ワシントンの移籍・ポンテの離脱は確定事項だったのに、采配でフォローもしきれなかったし。

監督エンゲルスの采配は全く見たことのない新参者ですが、
例年スロースターターのレッズ。持ち直す余裕は十分ありそうです。
昨年のクルピやカトQ、ちょっと前のシャムスカの例もあることですしね。
まあ「持ち直す」のハードルがえらく高めになってますが…。
若手起用のついでに、そのうち近藤徹志や林勇介を起用してくれないかな。


追記:
件の東スポですが、なんでもラモスに突撃インタビューを試みたそうで
web上に記事が上がってたら読もうと思ってたんですが、
公式サイトから記事を閲覧することはできないようです。
飛ばし記事に金払うのももったいないので結局記事は読めず。
まあ、好き好んで人生の時間と100円玉を無駄にしなくてもいいか。

posted by モトヒロ |23:55 | Jリーグ | コメント(6) | トラックバック(0)
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2008年03月10日

当たらなければどうということは…? 川崎×東京V生観戦

本日の等々力競技場はさわやかな晴天と、強風に恵まれました。
昨日から体感気温下がりすぎだよ。カゼぶり返すよ。ボールもイレギュラーするよ。

-始球式と、選手たちの関係-

観客、超大入り。1時間前に行列って何だよ。
川崎市民であるルー大柴(背番号0048=オオシバ)の始球式にちなんで
入り口ではカレールー「フットボールーカレー」が配られ、
始球式でボールをねじ込んだら「ゴールーゥ!!!」と実況がかかり、
なぜかスタジアムの片隅でルーマニア展(欧州の国です。念のため)というよく分かんないイベントも。
何でもルーつけりゃいいってもんじゃないだろうに。面白いけど。

さてこの2チーム、「元川崎ダービー」という微妙な試合名でくくられており
川崎にフッキしたエイリアンばかりがやたらとクローズアップされてますが
吉原、森、フランシスマール、飯尾など両チームを行き来した選手、
福西・土肥のように「多摩川クラシコ」→「元川崎」とダービーをハシゴしてる選手など
選手同士の関係は案外多いようです。

さて、まずアウェイ側の東京ヴェルディ。
FWレアンドロの1トップですが、実質チビ(飯尾)と廣山の3トップっぽいです。
元々J1でも戦える戦力が揃ってたので基本はそのまま、着実に補強を進めた感じ。
キーパーはヴェルディひとすじ高木義成に代わって新加入の土肥。
んー、なんつー贅沢なチョイス。そしてなんという全身ピンク。
ピンク色は桜大好き、愛犬の名前「さくら」な義成の専用カラーでよくね?

一方の川崎フロンターレ。
去年からおなじみ、中盤の森が引いた「3バック+1」。
で、問題はここから前。
MF憲剛、谷口、山岸。FWフッキ、ジュニーニョ、鄭大世。

全員、年間10ゴール以上決めた経験あり。(カップ戦含め)

特に3トップは昨年合計16+28+37=81ゴール狂ってる。(((( ;゚Д゚)))


-始まってみると…-

DFラインは川崎山脈(箕輪いないけど)。前線は川崎キャノン、いやコロニーレーザー。
こんな陣容だから、誰でもフロンタ圧勝をイメージしますね。
案の定、とりあえず放り込めば誰かが身体能力で突破をかまします。
ジュニはえー。テセつえー。フッキありえねー。
特にフッキ。
「いくらフッキでも人の子、J2と違って苦戦するだろ」とか思ってましたが、すみません。
人間じゃなくて超人かプレデターだったのを忘れてました。
なんでバウル土屋や那須を背負ったまま平気でドリブルキープできるんだよ。
フリーキックまで巧いなんて、神様は不平等だ。

が。
なまじ彼らがすごすぎる分、低い位置から放り込んでFWに直接当てる展開が多い。
ここ数年は少し引いた位置にマルクスなりマギヌンなりがいて散らしてましたが、
今は3人も前線に張りっぱなしなので中盤が省略されがちに。
川崎式速攻がただの放り込みになっててちと残念。
ま、それでも成り立つからスゴイんですけどね。

と言ってもヴェルディもやられ放題だったわけではなく、
カウンターから2度ゴールネットを揺らしている。(ファウルとオフサイド判定)
廣山の鋭いミドル、福西の殺人オーラなどもあり決して一方的にはならない。

とはいえシュート数で圧倒してたのは川崎。
「3トップ誰が最初に決めるかな?」観客席がそんな話で盛り上がってる間に、
井川だったかのフィードからするりと飛び出したのは茶髪ロン毛のヤツ。
ゴール前で巧みにボールを扱うと左足で器用にねじ込む。
喜ぶ前に一瞬
( ゚д゚) ゚д゚) ゚д゚) ゚д゚) ゚д゚)ポカーン
となった観客一同。

…森勇介!?
昨季までゴール決めたことなかった暴れん坊サイド職人。
「ゴール決まらない」を持ちネタにしてた男が開幕ゴールとはめでたい。
関係ないけど浦和に入団した林勇介(盛岡作陽)って、
名前に木が一本足りない以外は森に似てませんかね。顔もプレイも。


-熱く燃えた緑のハート-

後半になると川崎3トップが加熱。
まさに雨あられと言った感じのシュート弾幕になります。
森とフッキの問題児ホットライン、山岸の駆け上がりもじわじわと効いてくる。
でもテセがチャンスを外したり、ジュニが狙ってもピンクの土肥ちゃんがセーブしたり、
フッキが鬼キープしてもバウルが粘ったりでネットを揺らせません。
昨年ガンプラを販売してた等々力スタジアムですが、
ガンダムの名台詞「当たらなければどうということはない!」が耳に痛いかも。

そこで先に動いたのはヴェルディ。飯尾OUTで河野IN。緑ユース中堅から新世代へ。

…小さッ!!

飯尾一慶(168cm)のあだ名は「チビ」ですが、河野広貴はもっと小さい(165cm)。
しかしコイツがやばかった。
いきなり快速左足から森をぶっこ抜きクロス。
終了間際もフェイントからドリブルで切り込み鋭いクロス。

「チビOUTチビIN」とか適当に言っててすみませんでした。

自分は相馬崇人を左サイドアタッカーの基準としてアホみたいに崇拝してますが
ビビッと来る新生レフティドリブラーは久しぶりです。
本当にヴェルディユースは質が高い。

それでもこのまま終わるかと思いきや、ロスタイムに平本のゴリゴリ直線ドリブルを
フロンタ守備陣が止めきれずに倒してしまって、ヴェルディPKゲット。
ディエゴがきっちり決めて1-1のドローでした。
生え抜き2人を含めてよく頑張った。
フロンターレ相手にここまで踏ん張ってドローに持ち込んだのは誇れるでしょう。
河野くんにも今後期待したいと思います。

しかしフロンターレの攻撃陣はハンパない。
3トップに加えて、後半に投入された黒津、さらに我那覇まで余ってるときた。
この過剰とも言える戦力をどう生かすか。関塚さんの手腕に注目。

posted by モトヒロ |03:00 | Jリーグ | コメント(3) | トラックバック(2)
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2008年03月08日

祭り開幕~ボールは踊れども決まらず 湘南×仙台

風邪で寝込んだり色々あって、間がずいぶん空いてしまいました。
その間もご訪問くださった方々ありがとうございます。

さて、待ちに待ったJリーグ16年目スタートです。
自チームの補強と放出に一喜一憂し、他チームの放出に喜び、補強に戦々恐々とし、
それもすべては3月8~9日の開幕のために。
(初戦お休みのアビスパ福岡は、来週の開幕に向けた敵情視察のために)
というわけで記念すべきJ2第一試合、湘南×仙台@平塚競技場へ行ってきました。
開始時間13:00。G大阪×千葉と並んで、文字通りJリーグ2008シーズン最初の試合です。
オフ時にしょっぱい事件を起こしただけに、試合で誠意を見せてほしいところ。

仙台サポ多っ!!

平塚競技場はふだんゴール裏が閉鎖されているのですが、強はアウェイゴール裏を開放。
どうやら仙台サポーターが多すぎるのでアウェイ席だけでは対応できなかったようです。
一方、湘南ゴール裏はいつもどおり立ち入り禁止。ホームなのに…

そういうこともあって
「かつてのような強いベルマーレを、再びJ1で!」
という社長の挨拶に切実なものを感じる。
実際、補強の本気度は相当高い。
斉藤俊秀、阿部吉朗、石原直樹、加藤望といった日本人に加えて
CBにジャーン、MFにアジエル、FWにリンコンという困った破壊力の縦ラインが揃う。
「日本人力で昇格を狙う」という手倉森監督(仙台)の発言がギャグに聞こえてきます。
(梁勇基が朝鮮籍じゃないかというツッコミは置いといて、日本語が通じるという意味で)

昨シーズン合計28ゴールのロペスと萬代に代わって入るオプションは

A.今まで1シーズン5ゴール以下の中原、関口、佐藤由起彦
B.トップでノーゴールの田中康平、西山、飛騨
C.06年シーズン30試合3ゴールの平瀬

勝てっこない。
仙台びいきの視点で見てもこれは厳しすぎます。

が、試合が始まってみると彼らの不在を感じさせない球回しが展開される。
中島、関口のドリブルやリャンの気の効いたパスから仙台がかなりの決定機を作る。
シュートも結構ぶっ放す。
しかし掠めるボールは多いのに、ゴール枠に突き刺さるボールがない。

で、主導権も握ってボールも盛大に回して、あとはゴールだけって時に
コーナーキックからジャーン大将に押し込まれて痛恨の失点。
審判がロスタイム5分も取ってくれましたが、及びませんでした。

内容がいいだけに惜しい。しかし結果が伴わなければ昇格できません。
まだ初戦なのでどうこう言う気はありませんが、決定打なしに勝てるかどうか。


昨季4ヶ月以上ゴールに嫌われた中島、惜しいシュート2本は惜しくも枠の外。
ドリブル、スピード、シュートセンスは抜群なんです。
しかし呪われている。

萬代に代わってポスト役が期待された長身FW・中原ですが
どうも1回好プレーして2回凡ミスという感じで球が落ち着かない。
リャンのコーナーをニアに駆け寄って、自分の体でクリアした時には
こっちとしても気が抜けてしまいましたよもう。
まあ萬代もブレイク前はダメ出しの嵐だったので、確変を期待してます。

中原に代わって入った平瀬ですが、伊達に30試合出場だけあって
球のさばき方やキープ、クロス精度に安定感が見られました。
バタつく中原や、慌てがちの日本人軍団において「タメ」を作れる存在は貴重です。
が、いざクロスを上げるとき、なぜかゴール前にいるのはCBの岡山。
平瀬を探すと、クロスを上げてるのが当の本人だったりします。流れすぎじゃね?
中央にどっしり構えてくれる決定力の高いFWが1人いれば違うんでしょうか。

まあ、こうやって1週ごとに一喜一憂できる幸せなシーズンがまた到来しました。
ここから1月まで楽しんでいきましょう。

posted by モトヒロ |21:04 | Jリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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