独断と偏見の相撲ランキング

お互いの精神状態が明暗を分けた。春場所千秋楽の歴史に残る大一番を分析する。

このエントリーをはてなブックマークに追加

優勝インタビューで嬉し涙を流す、稀勢の里関。

優勝決定戦で敗北し、土俵上で呆然と座り込む照ノ富士関。


明暗がくっきり分かれた春場所千秋楽は、手負いの稀勢の里関が照ノ富士関に2度土をつけ、

22年ぶりの新横綱での優勝という快挙を成し遂げた。

稀勢の里関は、13日目に負った怪我の影響でまともな相撲が取れない状態であったことから、 照ノ富士関が勝利するという予想が大勢を占めていた。

それだけに、稀勢の里関の優勝は大きく相撲ファンの心を揺さぶった。 本当に素晴らしい勝利だったと思う。

ただ、なぜ稀勢の里関が勝利し、照ノ富士関は敗れたのだろうか? 熱狂の千秋楽から一晩経った今、本割と優勝決定戦を振り返り何が勝敗を分けたのかを考えたいと思う。


まず、大前提として取り上げなくてはならないのは、 怪我を負い、万全の状態でないのは稀勢の里関だけでなく照ノ富士関も同様だったということだろう。

奇しくも、稀勢の里が負傷した13日目の鶴竜関との1番で、照ノ富士関も古傷の左膝の怪我を悪化させたとのことだ。

確かに、千秋楽の本割で右の突き落としを食らう際も、 決定戦で小手投げを受ける際も左足の踏ん張りが効いていないように見える。

左膝の状態は相当深刻な状態だったのだろう。

だからこそ、14日目の琴奨菊関との1番で変化を選んだと推察できる。

しかし、照ノ富士関が深刻な怪我を負っていたとしても、 稀勢の里関も左肩の怪我で生命線の左腕を満足に使えない状態であったはずだ。

怪我が勝負に大きく影響したと思うが、それが勝敗の決定的な要因になったのではないと私は考えている。

つまり、お互いのけがを背景にした、二人の精神状態が勝敗を分けたと考えている。


千秋楽の取組を迎える二人の心理状態を推察すると、 稀勢の里関は、千秋楽で自分がまともな相撲を取れないことを理解していたが 照ノ富士関も決して万全でない状況であることを知らなかったと考えられる。

そのため、まともに組み合っては勝てないと判断し奇襲作戦で勝利をもぎ取ることを考えたのだろう。

事実、本割で立ち合い不成立も含め2度変化を選び、 決定戦で本来行わないもろ手突きを立ち合いで行い、それが失敗するとすぐに右からの小手投げを打っている。 捨て身の積極性、言い換えれば開き直りと言ったらいいのだろうか。

逆に、照ノ富士関は自分の怪我が思わしくないことを理解していたが、 稀勢の里関が本来の相撲を満足に取れないことも知っていたのだ。

そのため、あくまで照ノ富士関の相撲は消極的とは言わないまでも、 相手が崩れるのを待つような流れに任せる内容になってしまったと感じられるのだ。

本割でのまさかの敗戦によって、 優勝決定戦では、立ち合いつっかけるなど心が乱れたように感じられた。 そして、相撲内容も、もろ差しになったものの有効な攻めを見せずに敗れてしまった。

もし、照ノ富士関が稀勢の里関以上にガツガツ攻め立てる相撲を見せていたら 勝敗は変わっていたのかもしれないが 結果は、開き直った稀勢の里関の勢いが、賢明な照ノ富士関の相撲を粉砕したということになるのだろう。


勝負は水ものだ。 再び同じ条件で戦えば、どちらが勝つかはわからない。

ただ、土壇場で開き直ることのできた稀勢の里の精神力こそ、横綱の地位に就くことができた心の強さであり、 あと少しのところで賜杯を逃した照ノ富士関が、さらに経験を積んで会得しなくてはいけないものなのかもしれない。

2ページ中1ページ目を表示中

記事カテゴリ:
2017年本場所
タグ:

【お知らせ】
Yahoo! JAPAN IDで記事にコメントできるようになりました

このブログの最近の記事記事一覧

この記事へのコメントコメント一覧

お互いの精神状態が明暗を分けた。春場所千秋楽の歴史に残る大一番を分析する。

「目に見えるつらさと目に見えないつらさがある」とだけ漏らした照ノ富士関、本当に立派な力士だったと思います。まだまだこれからの力士ですし、膝を治して優勝を重ねてほしいですね。

こんな記事も読みたい

横綱【カープ一筋40年の独り言】

NHKも予想できなかった稀勢の里の勝利【スポーツ よもやま話】

「稀跡の二番」。稀勢の里が、貴乃花を超えた日。【幕下相撲の知られざる世界】

ブロガープロフィール

profile-iconmomiji

気ままに、本場所開催中にランキングをつけさせていただきます。

【点数ルール】
勝ち点:勝ち星を挙げたら+3点。負けたら0点
技術点:上手い立ち合い、技等が見られたら+3点
敢闘点:勝ちたいという強い想いが相撲に出ていたら+3点
土俵態度:だめ押し等見苦しい行為があったらマイナス点をつけます。
特別点:4つの点数以外にも、ブログ主が「グッ」ときたら点数をつけます。
  • 昨日のページビュー:3067
  • 累計のページビュー:1169389

(07月23日現在)

ブログトップへ

このブログの記事ランキング

  1. 稀勢の里関には何が足りないのか?横綱に必要な心技体を数値化して考える
  2. 今から約4年後の大相撲界を予想する
  3. 優勝をかけるはずの千秋楽結びの一番は消化試合となり、「横綱稀勢の里」の正当性は失われた。
  4. 信じられない相撲内容で敗れた白鵬関。平成の大横綱に何が起こっているのか?2016年初場所14日目
  5. そこはかとなく漂う祭りの後感。そんな中稀勢の里関が見せたのは、初日に勝るとも劣らない最悪の相撲だった
  6. 白鵬関に大相撲を去って欲しいのか?恣意的な正代コールを行う観客に不快感を覚える~2016年夏場所4日目~
  7. 2016年春場所各力士を採点してみよう〜三役・横綱編〜
  8. 横綱昇進の条件の曖昧さをなくすためにも、準優勝の位置づけを明確化してほしい
  9. 横綱の意地は見せられなかった。しかし日馬富士関は理想の横綱に近づきつつある。
  10. 2016年春場所各力士を採点してみよう〜前頭上位編〜

月別アーカイブ

2017
07
03
01
2016
11
09
08
07
05
04
03
02
01
2015
12
11
10
09

このブログを検索

スポーツナビ+

アクセスランキング2017年07月23日更新

アクセスランキング一覧を見る

お知らせ

rss