2007年07月17日

PRIDEファンによるHERO’Sの楽しみ方

HERO’sのコンセプトとは?

16日に開催された「HERO’S2007~ミドル級世界王者決定トーナメント開幕戦~」はPRIDE無き今、総合格闘技ファンとしてはやはり楽しみであり、サッカー代表戦の後、追いかけ再生で観戦した。

しかし、いつの頃から自分は贅沢になってしまったのか。
正直なところ、あまり対戦カードも事前に覚えていなかったし、実際見終わった後の感想としても、すぐに筆が進まない。
なぜこうなってしまうのか、自問自答してみたが、そもそもHERO’Sとは今もって何を目指しているイベントなのかハッキリと理解していない自分がいることに気が付く。

たとえば、メインイベントの田村VS金は何のために行う試合なのか。
彼らが戦う理由が何なのか、またなぜメインイベントなのかすらよく分からない。
試合前に紹介されたような、「K-1vsPRIDEの戦い」などというのは、取って付けもいいところだ。

その前の試合、マヌーフVSアッカ。
これがセミファイナルのカードなのだろうか。
その理由は何?

K-1のように分かりやすいKOシーンであまり格闘技に興味が無い層を巻き込むほど一般人を魅了する競技というわけでもないし、さりとてPRIDEのようにコアな格闘技ファンをうならせる試合にも思えない。

強いて楽しめというなら、「ミドル級世界王者決定トーナメント」に登場したビトー“シャオリン”ヒベイロ、アンドレ・ジダ、アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ各選手が登場するので、今後の彼らの活躍を期待しつつ、彼らの強さを再確認する、という気持ちにはなれそうだ。

しかしながら、やはり全体的な印象の薄さは否めない。
正直申し上げて、K-1ファイターがPRIDEに移籍してしまうことを阻止するために出来た”K-1ロマネクスの成れの果て”であり、かつ契約してしまった選手の試合をこなす目前の目的達成でいっぱいいっぱいだった、田村の参戦は桜庭が大晦日にPRIDEに出場し、田村と戦うためのバーター、なんていう舞台裏を憶測してしまいたくなる。


PRIDEにのめり込める理由

では、今や休火山となって久しい、PRIDEは何が良かったのか。
それはベースにある明確なコンセプトだ。
つまりは「誰が一番強いのか?」。

今となっては少々気恥ずかしいが、PRIDE1での高田延彦vsヒクソン・グレイシーは、プロレスファンだった筆者は、本当に両者のプライドをかけた大一番だと思って、手に汗握って観戦したものだ。
それはスポーツというよりは”果し合い”の雰囲気が満ちており、ヒクソンが放つ武道家のオーラはTV越しにも伝わってくる強烈なものだった。
そして、かつてひたすらその強さを追求する姿勢が受けて隆盛を誇ったUWFの中心選手であり、”プロレスラー最強”の幻想を身に纏う高田延彦があっさりと、しかもプロレスならギブアップを滅多に取れない腕ひしぎ逆十字固めでタップアウトするのを目撃することとなるのだ。

その後のPRIDEは言うまでも無く、ヒョードル、ミルコ、ノゲイラなど、最強を求める世界中の強豪が目指す最大、最高の舞台であり、懸けるものが大きい故のそこでの敗戦は、見るものの心に想像以上のインパクトを刻み付けることとなり、それがまた次なる戦いへの関心を呼び起こすこととなっていたのだ。

時には美濃輪やトンプソンのような最強とは言えないファイターもまた人気を集めたが、それでも彼らの目指す先にはGP、あるいはチャンピオンという確固たる目標があり、彼らの存在さえまた見るものを惹きつけることになっていたのであり、彼らユニークファイターだけでは決してPRIDEは成り立たなかっただろう。。


HERO’Sの楽しみ方

では、HERO’Sはいかにして楽しめることになるのか。
やはり、人々をひきつけるなら一本やKOを狙う姿勢が大事だ。
しかし、それよりも大切なのは、やはり「誰が一番強いのか?」という問いかけだろう。
このコンセプトを元に、7月16日のHERO’Sをもう一度楽しんでみることにする。


1.船木復活、ヒクソンとの対戦希望→「シニア王者決定戦」
  TVでは流れたのを見なかったが、「サプライズ」として船木誠勝選手の現役復帰、ヒクソン・グレイシーとの対戦希望の発表があった。
  しかし、これは残念ながらまだ2年早い。
  HERO’Sのように真の最強選手を集められないプロモーションにとっては、「誰が一番強いのか?」を表現するには制限付きの最強決定戦、とする方法がある。
  すなわち「40歳以上最強決定戦」又は「45歳以上最強決定戦」などとシニア王者を決めるものとするのだ。
  これならヒクソン・グレイシーの存在も生きてこよう。
  船木選手はまだ38歳。それまではもっと若くて粋のいい対戦相手がたくさんいる。
  できれば40歳になってから、にして戴きたい。


2.マヌーフVSベルナール・アッカ→芸能人最強格闘家決定戦への布石  

  アッカはこの試合で敗戦したが、結果として芸人格闘家としてのステータスはあげた。
  1項同様にHERO’Sならではの制限付き最強決定戦として、「芸能人最強格闘家決定戦」を開催する。
  参加選手はアッカ、ボビー・オロゴン、金子賢、押尾学、曙、など。
  特に、「俺はボブ・サップに勝てる」と発言したらしい押尾選手に期待。
  優勝者はサップと試合をさせてあげるとよい。


3.メインイベント 田村VS金→秋山成敗をするのは、誰だ。
  この戦いは、明らかにその先に秋山の復帰戦対戦相手、という意味合いが込められていたという見方はそれほど間違っていないだろう。。
  田村が自ら述べているように、”ヒール決定戦”とするのも面白い。
  試合前のVTRでは「俺こそが秋山を倒す」という決意を述べさせる。
  金選手には対秋山戦で止められるのが早かった、という思いもあるだろうから、たくさん悪態をついてもらう。
  そうして勝ち上がった選手が、ヒール中のヒール秋山と戦う。
  秋山を倒せば、昨年大晦日でのヌルヌル事件の成敗として、多くのファンが溜飲をさげるだろう。
  秋山が勝てば勝ったで、”ヒールとして最強”の王者が誕生する。
  だれが秋山を倒すのか、がひとつの命題になる。
 
そして、それ以外の試合は、純粋に競技として楽しみ、やがて復活するであろうPRIDE王者との統一戦を夢見るのである。


-追記-

HERO’Sを貶めるだけの文章、というお叱りのコメントを頂戴しました。不快な気持ちになられた方にはお詫びします。

味わった感動を人に伝えたくて言葉を書き連ねるときこそが最も充実しているのは間違いありません。HERO’Sにも、そんな気持ちにさせてくれることを心から期待します。

以下は2006年のPRIDE無差別級GP決勝戦で味わった感動を、PRIDE公式HPのBBSに書き込んだ際のものです。
こういった感動を味わいたいと願ってやみません。

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posted by 与田創 |16:40 | 総合格闘技 | コメント(23) | トラックバック(0)
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2007年07月16日

PRIDEは一体どこへ・・

高田延彦氏が公式サイトを立ち上げたらしい

なんとも寂しい「公式サイト」だ。
http://www.takadanobuhiko.com/
(※訂正
:記事掲載当初、高田氏公式サイトのモバイル用URLを記載しておりましたが、上記のとおり一般用URLに訂正いたしました。
読者ならびにご関係各位にお詫びいたします。)


その地味な飾り気無い体裁だけの問題ではなく、かつてPRIDE統括本部長であった彼のコメントとは思えない、弱気な内容だ。
実は誰かが作ったインチキなのではないか、と疑いたくなる。
いや、PRIDEを取り巻く現状を思うと、ウソであってほしい。

まあ、PRIDEのブランドが残ることはイタリア系アメリカ人オーナーのコメントにあったが、統括本部長の職が保障されるかどうかの言明はなかったのだから、公平に見てこのBlogがすなわちPRIDEの窮状とイコールであるとの結論は、やや早計かもしれないが。
}


去年の熱気・活気


去年、王者エメリヤーエンコ・ヒョードルの欠場にもかかわらず、PRIDE無差別級GPには最高の活気、熱気があった。
無冠の帝王と呼ばれたミルコ・クロコップが、見事な左ハイキックでミドル級の絶対王者だったヴァンダレイ・シウバを切り裂き、ジョシュ・バーネットは同じ準決勝で寝技の達人・アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラに膝十字を極めかけた。決勝ではミルコが鬼の形相でジョシュを下し、涙の栄冠に輝いた。
前年のミドル級GPではヴァンダレイをアローナが制し、そのアローナをマウリシオ・ショーグンが仕留めた。
同じ頃王者にあったUFCのシルビアやチャック・リデルなど、PRIDEファイターに比肩すべくも無い、そう思えたものだ。

それが今やどうだろう。
春先の驚くようなUFCのPRIDE買収報道。
それを否定する榊原代表。
しかし、六本木にファンを集めて披露された結論は、UFCのオーナーでもある、ロレンツォ・フェティータによるPRIDE買収だった。
そのときはUFCとPRIDEの対抗戦を高らかに謳いあげていたが、その後流れてくるニュースはほとんどがPRIDEファイターのUFCへの流出だ。

昨今のダナ・ホワイトUFC代表の発言を見ると、アメリカのコミッションが認める階級、ルールに統一せざるを得ないという。
それはすなわち、UFCに合わせる、ということだ。
UFCも以前コミッションの指定する階級、ルールに合わせたので、これ自体は「UFCに合わせる」のではなく、「コミッションに合わせる」ことなのかもしれないが、PRIDE無差別級王者のミルコ・クロコップが新鋭ナパオンのヒジうちに対処できず、惨敗したのは記憶に新しい。
こうなってくると、急に「PRIDE」が放っていた輝き、世界最強の称号が色褪せて見えてくるから不思議だ。


焦り、苛立ちを通り越して

そんな日本人ファンの焦りにも関わらず、PRIDEの公式HPはなんら音沙汰が無い。
毎月発売される格闘技雑誌の紹介と、PRIDEの選手供給源だった協力団体
の宣伝、そしていまだにくすぶり続ける根強いファンの残り火だけがその内容となっている。
去年の今頃は熱い議論が、時には馬鹿馬鹿しいまでの罵り合いが繰り広げられていたBBSも、更新されているものは少ない。

こういう状況が続けば、さすがにファンとしてもどうでもよくなってくる。
別に格闘技はPRIDEだけじゃない。
それを構成する選手と、イベントスタッフが移行しさえすれば、舞台はなんでもいいのではないか、思えてくる。
現にニッポンには「HERO’S」があるし、世界にはUFCもあればボードッグファイトもある。
井上康生や朝青龍や清原和博が格闘技転向するなら「HERO’S」の舞台で足りる。
そもそもPRIDEはリングスを潰してのしあがった一介のプロモーションに過ぎない。
因果応報、同じ目に遭っているだけだ。
かつてマイク・タイソンが世界を席巻したのだってアメリカの出来事だし、サッカーのCLが行われるのはヨーロッパなのだ。
別に日本じゃなくたって格闘技は観られるのだ。

・・・とはいえ、やっぱりPRIDEの空気、テーマソング、煽りVTR、本部長の挨拶、そして、日本から発した格闘技文化そのものであること・・・に慣れている者にとって、同じ舞台を用意してくれるのは、なんともいえない心地よさがあるだろう。
もうPRIDEファンの心にくすぶる火はあとわずかだ。
もう一度点火できるように、なんとか少しでも動きをみせてくれないものか。

posted by 与田創 |03:39 | 総合格闘技 | コメント(14) | トラックバック(2)
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