2007年08月27日

世界陸上男子100M、10秒の贅沢を堪能!

男子100M、予想通り両雄が激突!

世界陸上大阪大会二日目の26日、陸上の花形、男子100M決勝が行われた。
大会前の注目は、世界記録保持者のアサファ・パウエル(ジャマイカ)とタイソン・ゲイ(米国)の激突という構図。
特にゲイは今季絶好調。パウエルが今季9秒90が最高だったのに対し、ゲイは6月に9秒84をマーク。それ以外に追い風参考で9秒76、9秒79を記録していた。
そして、戦前の大方の予想通り、この二人が決勝に進出。
決勝ではタイソン・ゲイが9秒85で優勝した。


朝原が盛り上げた序盤戦

始まったばかりでまだ会場全体がウォームアップ中の感があった世界陸上を一気に盛り上げたのが、日本の誇るベテラン・朝原宣治(大阪ガス)だった。
初戦、タイソン・ゲイと同組だった朝原は、スタートに成功!
低い姿勢で最初の数歩をダッシュ。
弾けるように飛び出すとそのままスムーズに走り、最後は流す走り。
タイソン・ゲイらの追い上げを余裕で交わし、10秒14の1着で2回戦に進出した。
これがあまりにいいスタートだったため、全力で走る決勝で再現したらどうなっただろう・・。
初戦を1位で通過した朝原は端のレーンだったため、他のコースが見えなくて一生懸命走った、とコメント。
しかし、2回戦以降はやや硬さがでたか、隣のレーンが見えたのが影響したか、初戦ほどのスタートとはいかずやや体を起こすのが早かったように見えた。
結果タイムを落とし、残念ながら準決勝で敗退してしまう。


ドラマが詰まった10秒間

毎回感じることだが、100Mは他の競技同様に色々なドラマが詰まっているものだ。
それを10秒で一気に解き放つのだから、贅沢だ。

決勝の舞台の主役は、アサファ・パウエルとタイソン・ゲイ。
9秒77を三回も記録した世界記録保持者でありながら、まだオリンピック、世界陸上ではメダルに縁が無いパウエル。
一方のタイソン・ゲイも新鋭。
タイソン・ゲイのコーチは昨年横領、窃盗などの容疑で収監されているが、もうひとりのコーチ、ジョン・ドラモンドは4年前のパリ大会でフライング失格となり、その抗議により陸上を追放されてしまった名選手。
今回も織田裕二さんをメインキャスターに起用したTBSの中継が、こういった背景をまとめた”煽りVTR”で大会を盛り上げる。

思えば、かつての世界記録保持者、モーリス・グリーンが100Mを制したとき、その科学的トレーニング方法が紹介された。
それは100Mを一瞬の競技としてではなく、ある程度の長丁場として3つのフェーズに分け、それぞれ体の傾きをスムーズに変えることにより用いる筋肉を変えて疲労を分散させ、スタミナをキープして勝つ、というものだ。
100M後半で加速するように見える選手は、加速しているのではなく、失速を極力少なくしているのだ。
かつてTVの特集で視聴した記憶が正しければ、当時彼らのチームでは、身長も180センチ未満をベストとしていた。
しかしながら、タイソン・ゲイは183センチ。アサファ・パウエルは190センチ。
これでいて当時のグリーンの記録、9秒79を上回る記録が出ているのだから、身長の理論は当てはまらなかったようだ。

決勝を上記3つのフェーズで見るならば、スタートに成功したのはアサファ・パウエル。
セカンドフェーズの20~40Mまではパウエルがゲイをややリードしていた。
しかし、最も長いラストのスプリントフェースで一気にゲイが逆転し、9秒85で見事に金メダルを獲得した。
パウエルの失速は明らかで、3位に転落。
今シーズンのベストを見ても、パウエルは好調ではなかったのだろう。
ガトリンがドーピングで戦線離脱しても、100M王者は星条旗の下に誕生したのだった。

しかし、来年もオリンピックが開催される。
25歳の新王者ゲイ、敗れたもののまだ24歳のパウエル。
この二人を軸に、どんな物語が紡がれるのだろうか。
もしかしたら、まだ見ぬ英雄がいるのかもしれない。
10秒の贅沢は北京へと受け継がれた。

posted by 与田創 |01:38 | その他スポーツ | コメント(1) | トラックバック(3)
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この記事に対するコメント一覧
すばらしい戦い

朝原は本人も言ってたように疲労で体が意図する動きに追いついていない感じでした。ただ一昨日の予選の走りはすばらしかった。リレーであの走りが出来れば、本人の目標であるメダルもあるかもしれません。
パウエルはゲイに抜かれて明らかに動きが硬くなりました。気合が空回りというかたちで最後は力を抜きました。アスリートとして最後、あきらめてほしくなかった。2位なら狙えたはず。そういう粘りを見たかったですね。
まあゲイはあっぱれでしょう。後半の加速は200も走れる選手ならではでしょうね。
それにしても昨日の10秒は本当に贅沢でしたね。0・001秒を争う戦い。2人共まだ若いのだからこれからもこのような戦いを見せて欲しいです。もちろん日本の塚原も含めて、ですね。

posted by D-DATT | 2007-08-27 12:02

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