2007年11月16日
世界へ向けて宣戦布告 ~浦和×セパハン~
★ 浦和+サッカー=エンターテイメント+α 「この街では、サッカーは単なるエンターテインメントではありません」 アジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)決勝の第2戦、試合前日の記者会見の場で浦和のオジェック監督はこのように述べた。 「社会的にも大きな意味を持っています。勝って素晴らしいものをさらにここで発展させ、それを他の地方やアジアへ広げていくことも重要だと思います」 まったくの同感である。確かに浦和の街にとってサッカーとは特別な存在である。決戦を前にして何やら熱いものが胸に込み上げる感覚を覚えた。 ちょっと古臭い言い方かもしれないが、彼は“浦和魂”をその心に刻んだ監督であると改めて実感させられ、思わずジーンときてしまったのである。 「いいこと言うね、オジェックさん。あんた最高だよ」(涙) ★ 夜空に輝く一番星 11/14(水)、奇しくもこの日は埼玉県民の日。そのおかげか最終決戦の舞台となった埼玉スタジアムには、59,000人以上もの観客が集まり、サポーターの祈りにも似た“一番星”がバックスタンドに輝いた。 ACL決勝の舞台へと続く茨の階段を駆け上がってきた両チーム。 日本とイランを代表するクラブは、広大なアジア大陸統一を成し遂げるべく、虎視眈々とその牙を研ぎ澄ましながら決戦の舞台へと降り立った。 日本代表のオシム監督とも親交のあるセパハンのルカ・ボナチッチ監督は次のようにコメントし、追い込まれた状況の中で勝利に対する意欲を燃やした。 「浦和が多少のアドバンテージは持っていると思うが、我々は観光で来たわけではないし、白旗は上げていません」 しかし、場内を埋め尽くした赤い祈りが、そんなセパハンの勝利に対する意欲に勝った。レッズが2-0のスコアでイランの雄セパハンを下し、トータルスコア3-1で見事ACL制覇を成し遂げた。 誇らしい話題はそれだけではない。大会初出場で初優勝、そしてグループリーグ通して無敗という大会記録を更新する偉業をやってのけた。 そして、前身のアジアクラブ選手権から数えて日本のクラブチームが優勝したのはこれで4チーム目(古河電工、読売クラブ、ジュビロ磐田、浦和レッズ)となるが、現行のACLになってからは、レッズが日本勢として初めての優勝クラブとなった。 さて、そんなメモリアルな1日を振り返ってみよう。 ★ 貼紙から熱いメッセージ 最寄り駅を降り、意気揚々とスタジアムへと歩を進める。 「チケット余ってない?」と怪しい人物に幾度となく声をかけられ、また少し歩くと「チケット譲って下さい」と書かれたメッセージボードを懇願するような瞳で掲げる人たちと遭遇した。 その人数の多いこと。駅周辺、駅からスタジアムまでの道中、そして場内、いたるところで彼らの姿を見かけることができた。 つまり、それだけこの試合の注目度が高いことを物語っていたと思うし、この試合に懸けるサポーターの意気込みは、スタジアムまでの道中で見かけたこんなメッセージからもうかがうことができた。スタジアムへ到着。陽は瞬く間に沈みライトアップされた埼玉スタジアムがより際立って大きく見えた。 ゴール裏スタンドの上方に設置されたオーロラビジョン。その裏の壁には、真っ直ぐに伸びた光が集結し、色とりどりのメッセージを浮かび上がらせて観衆の注目を集めていた。★ ア~レ~ヤマダ~♪ララ~ラ♪ララ~ララ~♪ 「重要なのは勝ったこと(中略)きょうは内容よりも結果」と、スタジアムで観戦したオシム監督は語った。 前半21分に永井、後半25分には阿部がゴールを決めて、レッズが優勝への階段を一歩一歩登ってゆく。 その後レッズは、自陣ゴールポストを叩くシュートに見舞われながらも最後まで集中を切らさずゴールを守りきった。 永井のシュートのこぼれ球に反応して待望の2点目を奪った阿部は、その場面を振り返り次のように語った。 「何であそこにいたのか分かんないんですけどね」。 まさに内容よりも結果。それを象徴するかのようなコメントである。 そして、この試合でキャプテンの腕章を巻きチームを牽引したのは鈴木啓太。 今までキャプテンとしてチームを引っ張ってきた山田暢久は、残念ながら右ふくらはぎの怪我が癒えず、ピッチの外から試合の様子を見守ることとなった。さぞかし無念だったことだろう。 そんな山田に対して啓太は、「ヤマ(山田)がここまで引っ張ってくれた」と、今までキャプテンとして不動の右サイドを務め挙げた山田の功績を称えた。 さらに彼は、啓太から優勝トロフィーを掲げるよう促されると、「やだやだ、お前やれ」と、恥ずかしがるシャイな一面ものぞかせた。 そして促されるまま、サポーターのコールに合わせて山田がトロフィーを天高く掲げた。 思わずグッときた。この光景を待ち望んでいた。 彼のこの姿を見たいがために、今までACLを戦うレッズを応援してきたといっても過言ではなかったのだとこの時ようやく気が付いた。 山田を称えるそのチャントが、いつも以上に胸に染み渡った。 ★ 世界へ向けて宣戦布告 さて、ACL優勝と同時に世界への扉が開け放たれたレッズ。 少し気は早いが、12/7に開幕するFIFAクラブワールドカップジャパン2007(以下クラブW杯)の出場権を得たレッズの初戦は、12/10に豊田スタジアムで行なわれる準々決勝となる。 対戦相手は、ACL準優勝のセパハンとオセアニア王者のワイタケレ・ユナイテッドとの間で行なわれる試合の勝者となる。 さらに気は早くなるが、この試合に勝利すると欧州王者であるACミランとの対戦が待っている。それについてオジェック監督は次のように語った。 「クラブW杯でミランと戦うこと、これは日本のサッカー界にとって非常に重要なことだ」 ここで監督の言う“重要なこと”の指し示す意味とは一体何なのか? それはこの戦いが“親善試合ではない”ということに尽きるのではないだろうか。 これまで、日本のみならずアジアのクラブチームの世界的地位は低いと言わざるを得なかった。 そのため、アジアのクラブが世界的な名門と対戦するには、金銭で彼らを招待するという立場でなければ実現しなかったことが多い。 しかし例え実現したところで、親善試合で彼らが全力を尽くすことは少なかった。それは真剣勝負とは程遠いエンターテイメントの意味合いを多く含んでいた。 真剣勝負の中で得た経験こそチームにとって大きな財産となり、真剣勝負の中で得た評価こそ世界へ向けたアピールになると考えた時、果たしてこの親善試合というエンターテイメントが、どれだけチームにとってプラスになるのか私は疑問であった。 しかし、このクラブW杯に出場する各大陸王者たちは、招待されて来日する訳ではない。世界一の称号を手にするためにはるばる遠い国からやって来るのだ。 つまり、レッズは世界と対等の立場で戦うことのできる数少ないチャンスを得たということになる。 この大会で彼らがどのような試合をして世界にその存在をアピールするのか、そこが重要だ。 仮にミラン相手に善戦したとなれば、レッズだけでなく、日本サッカー界全体の世界的評価につながるはずだ。 もしかしたら完膚なきまで叩きのめされるかもしれない。例えそうなったとしても、真剣勝負の中で得た経験は後に財産になるはずだ。 どっちに転んだとしても怖いものはない。全力でぶつかって砕けるなら砕ければいい。 こんなフレーズも今となっては決して大袈裟ではないだろう。 『世界へ向けて宣戦布告』。 同時にレッズサポーターもその存在を世界へアピールする大きなチャンス。 チームとサポーター、みんなで一緒に世界へ挑戦状を叩きつけろ。 (本文中敬称略)
posted by 浦和.com |21:14 |
AFCチャンピオンズリーグ |
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