2007年10月05日

価値あるドロー ~城南×浦和~

★ パブリックビューイングで参戦

 まるでセリエAの風景だ。直感的にそう感じた。
 
 埼玉スタジアムのオーロラビジョンに映し出された城南市炭川総合運動場のアウェー側スタンド。そこは、紅い光りと白い煙で覆いつくされていた。
 発炎筒を掲げる浦和レッズ12番目の戦士たちの姿が、白煙の合間から韓国の夜空に紅く照らし出されている。
 その映像を見た場内のレッズサポーターから、期待と祈りにも似た歓声が上がった。
 敵地へと乗り込んだ彼らの姿は、まるでこのスタジアムに集ったレッズサポーターたちの想いを代弁してくれているかのようであった。


★ 敵地で価値あるドロー

 10/3(水)アジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)準決勝1stleg。城南一和との1戦は、浦和がホーム&アウェーの初戦で韓国に乗り込み、2-2のスコアで引き分ける結果となった。

 Kリーグの試合では通常2,000人程度しか集まらないとされるが、この日の観客動員数はおよそ13,000人に達したと報道されている。
 そんな中において、敵地へと乗り込んだレッズサポーターの数はおよそ1,000人。
 つまり、12,000人対1,000人の応援対決となった訳だが、普段聞き慣れた赤い声は、スタジアムのスピーカーを通して私の耳にもよく聞こえてきた。
 敵地のど真ん中で堂々と発せられるその声を聞き、勇気づけられたサポーターも多かったのではないだろうか。

 しかし、そんなサポーターの期待を裏切るようにして、試合開始早々の11分、浦和は城南のモタに先制点を許してしまう。
 堅守が自慢のレッズであるが、皮肉にもその守りを司る守備陣のミスから生まれた失点だった。
 そして、モタは憎らしいほど落ち着いて決めて見せた。前に出るキーパー都築のポジションを確認後、キーパーをかわすフワッと浮かせたボールを蹴り、そのボールはゆっくりとゴールネットに吸い込まれていった。

 その瞬間、埼玉スタジアムの場内は水を打ったように静まり返った。無言のままがっくりとうなだれる赤いユニフォームをまとったサポーターたち。そして、城南1点リードのまま前半が終了した。
 上のステージに行けば行くほど、こういうミスが即失点につながることを思い知らされた場面だった。

 ハーフタイムに入り、選手たちがピッチを後にする。サポーターたちも、それぞれに小休止をとりに席を立つが、その足取りは重い。先制されたこともそうだが、主審のホームよりのジャッジにも納得いかない様子であった。

 そして、後半開始の笛が鳴り響く。
 試合が動いたのは53分、ポンテからのセンタリングが、ゴール前のワシントンの頭上を越えて、フリーで待ち構える田中達也の頭へと落ちてきた。
 その小柄な体を生かした機敏なドリブルからのシュートを得点パターンとする彼が、もっと言ってしまえば、身長167センチの決して大柄とは言えない彼が、まさかヘディングで得点するとは想像もしていなかった。

 これでついに1-1の同点に追いついたレッズ。試合はここから両者の激しいぶつかり合いとなる。
 城南の容赦ないタックルがレッズの選手を襲う。苦痛に顔を歪める田中達也の姿が痛々しかった。
 しかし、その荒々しさが仇となった城南は、ペナルティエリア内でワシントンを倒し、決められれば逆転されるPKを与えてしまう。
 このPKをポンテがしっかり決めてレッズが逆転に成功した。これでスコアは1-2。

 この時、時計の針は試合開始から66分が経過していた。
 残り約24分程度、城南が同点に追いつくだけの時間は十分に残されていた。
 ここでオジェック監督は、試合中に負傷した坪井にかえて堀之内をピッチに送り、守備を意識した采配をみせた。

 そして迎えた81分、城南がミドルシュートを放った場面、雨の影響もあったのかもしれないが、都築がボールを前方に弾き、そこを詰めていたキム・ドヒョンに押し込まれて再び同点に追いつかれてしまった。
 この2失点目に関して堀之内は、

 「自分が入ってから失点してしまったことは悔しい。この借りは返したい」

 と、ホームでの雪辱を誓うコメントを述べた。
 そして、そのまま試合終了のホイッスル。浦和は、アウェーで2-2という結果を得るにとどまった。

 パブリックビューイングに参戦したサポーターたちは、勝てなかったことに不満な表情を浮かべながら「次だ、次!」と声を張り上げるが、とりあえずはほっとした様子でスタジアムを後にしたようだ。

 勝てるチャンスがあっただけに悔しさも残るところであるが、アウェーで2-2の引き分けならば悪くはない結果だ。ホームで0-0もしくは1-1の引き分け以上ならば、レッズの勝ち抜けが決まる。


★ やっぱりACLで勝ちたい

 決勝進出をかけた運命の第2戦は、10/24(水)にホームの埼玉スタジアムで行なわれる。
 しかしその前に、10/7(日)にJリーグ第28節の大分戦を駒場競技場で行ない、10/20(土)には29節の千葉戦を敵地のフクアリで控えている。
 さらには10/17(水)、日本代表が昨年のアフリカネーションズカップの覇者であるエジプトと対戦する「AFCアジア/アフリカチャレンジカップ2007」が大阪長居スタジアムで行なわれる。
 つまり、日本代表でも欠かせない存在である鈴木啓太選手や闘莉王選手などは、17日から24日までの一週間で、JリーグとACLと日本代表の3つを戦うことになるかもしれないのだ。

 最近では、Jリーグの“主力温存”がいろいろと世間を騒がせているが、浦和もそろそろ先を見据えて主力選手を休ませることが必要ではないだろうか。少なくとも私はサポーターを“裏切った”なんて思わないよ。

 オジェック監督は、今までスタメンに大きな変更を施すことなく厳しい日程をこなしてきたが、彼はこれから訪れるこの1週間をどのように捉えているのだろうか。

 私個人としては、レッズには代表やJリーグよりもACLを最優先させてもらいたいと考えている。
 オシム監督が浦和の選手を召集するかどうかは現段階では分からないが、今まで厳しい日程をこなしながらACLの準決勝まで勝ち進んできたのに、「選手の疲労が原因で決勝へ行けませんでした」では泣くに泣けないではないか。

 浦和のベンチには、手ぐすね引いて出番を待ち構えている選手がいるのだ。
 そろそろ彼らの背中を押して、ピッチに送り出してやってもよいのではないだろうか…、ねぇ、オジェックさん?

(本文中敬称略)

posted by 浦和.com |00:15 | AFCチャンピオンズリーグ | コメント(5) | トラックバック(1)
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