2007年08月30日

主将、山田暢久という男 ~神戸×浦和~

 Jリーグ第23節の神戸戦は、1-2というスコアでアウェイの浦和が勝利した。

 「前半の途中で寝ていたヤマが、後半は起きてくれたから何とかなった」
と、ポンテ選手は、試合後にキャプテンである山田暢久選手のこの日の出来について語った。

 さらに、山田選手より5歳年下の闘莉王選手はこのようにコメントした。

 「サイド攻撃の部分で、もっとヤマが起点にならないと中央の崩しはない。ヤマが触った時は絶対にチャンスになるんだ。もう少し理解して欲しい。もう300試合以上も出ているんだから」。

 思わず吹き出してしまいそうなほどに、チームメイトから浦和レッズ主将としての面子丸つぶれのコメントを受けた山田選手。2人のコメントを受けて、当の本人はこのように弁解している。

 「今日は苦しかった。蒸し暑かった。疲れもたまり、暑さもあって、それで動けなかったのかも。ミスが多かった。後半は(暑さに)慣れたのかも知れない。本当に息苦しかった」。 

 キャプテンらしい発言を期待していたのだが、何だかちょっと頼りないコメントだ。この日は26.9℃と気温は低めながらも湿度は80%。ピッチ上の不快指数はかなり高かったに違いないが、それは敵も味方も条件は同じである。


 一般的にキャプテンに必要な要素と言えば、統率力や威厳などの言葉が思い浮かぶ。しかし、2人のコメントを聞いていると、どうも山田選手にそれらの要素が備わっているようには伺えない。私の目には、彼がキャプテンとしてどこか物足りなく映ってしまうのだ。
 そのように感じるのは、主将でありミスターレッズとして浦和を牽引した福田正博のイメージが今でも強く残っているからかもしれない。

 そもそも、最初に山田選手をキャプテンに任命したのは、04年から浦和の指揮を任されたギド・ブッフバルト前監督である。
 「山田にキャプテンマークを巻いてもらい、彼自身とチームのレベルを上げてくれることに期待したのです」と当時の彼は語っていた。それについてチームメイトである平川選手は、「ヤマさん? 正直ちょっと頼りないなあ」と感じたという。

 ブッフバルトの思惑通り、彼がキャプテンマークを巻いた3年後にチームは日本の頂点に立った。オフト時代の遺産も少なからずあると思うが、それはチームが成長した証であった。
 しかし、ブッフバルトのもう一つの思惑である山田選手本人の成長はどうなのであろうか。

 主将任命から4年目の今シーズン、「未完の大器」と呼ばれた彼も今年で32歳。正直なところ、私個人的にはあまり変化を感じられないのだ。
 キャプテンとしての威厳と風格は4年前と同じままであり、それは冒頭の2人のコメントにも表れているだろう。また、多くのポジションをこなすあたりはプレーの幅が広がったと感じるが、プレーの質といえば4年前とあまり変化はないように感じられる。

 つまり、この点に関してはブッフバルトの思惑が外れたのだろうか。
 しかし、私は彼を見ていてこのように感じた。時が過ぎても不変であり続けることが、彼の長所であり最も大きな武器ではないだろうか。
 選手にとって年齢を重ねることによる肉体的衰えは避けられないが、何故か彼からはその衰えが感じられないのである。さらには今まで大きな怪我や病気もなく、常に安定したコンディションを保ちチームに貢献している(精神的なムラッ気はあるが…)。
 監督にしたらこれほど計算できる選手はいないし、それがJリーグ史上初となる最年少記録での通算350試合出場達成という記録にも表れているのだろう。

 彼は福田とはまた違ったタイプの主将かもしれない。キャプテンとしての威厳や風格よりも「常に不変であり続ける」、そんな彼の偉大さをチームメイトが理解しているからこそ、山田暢久は今現在もキャプテンとして走り続けているのかもしれない。

posted by 浦和.com |12:41 | Jリーグ | コメント(6) | トラックバック(0)
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