2007年04月30日

行方不明のエース~鹿島vs浦和~

 前回、「カシマスタジアム」を訪れたのは06年8月19日。それは、第18節に行われた鹿島と浦和の試合であった。スタジアムから見渡せる風景は、前回訪れた時と何ら変らないままだった。快晴に恵まれたこの日は、鹿島灘の水面が日光を照らしてキラキラと輝き、威圧感すら感じる鹿島臨海工業地帯の工場群からは、大きく口を開けた巨大な煙突が、白煙を勢い良く吐き出していた。
 そんな変らない風景を眺めながら、私は06年の対戦を振り返った。スコアは、浦和が試合終了間際で同点に追いつき、なんとか2-2のドローという“綱渡りの試合内容”で終えたのだった。この鹿島とのアウェー戦、実は2年連続で2-2の引き分けで終わっているため、浦和としたら、今回こそはきっちりと勝ってその雪辱を果たしたいところだ。

 いつものように、両チームの先発メンバーが発表された。鹿島は柳沢が故障のため欠場。浦和にしてみたら、やっかいな選手が一人減って嬉しい限りである。しかし、その浦和のスタメンが発表された時、私は何か違和感を感じた。いるはずの選手がいない。それは、現在5得点を挙げ、柏の菅沼、広島の佐藤と並んで得点ランキング2位に位置する“ワシントン”である。スタメンどころかベンチにも見当たらない。何故?累積警告か? それとも怪我? …いや、どちらも違う。この原因は後に明らかになるのだが、この時の私には知る由もなかった。
 そんな浦和の不可解な先発メンバーが気にかかりながらも、試合開始のホイッスルが鳴り響いた。埼スタよりも傾斜のあるカシマスタジアムはとても見やすくて良い。2階席から浦和の布陣を俯瞰すると、今日の阿部は左サイドバックではなく、啓太とダブルボランチを組んだようだ。そして、長谷部は左サイドに位置し、伸二とポンテの2シャドーの前に永井の1トップといったところだろうか。
 今日の試合を見る限り、やはり阿部はボランチの方が、彼の持つ攻撃センスを発揮できるようだ。逆に、永井の1トップはあまり機能していないように感じる。もちろんワシントンと同じプレーを彼に期待するのは酷である。個人的には、彼のポジションは、スペースの少ないピッチ中央ではなく、彼の切れのあるドリブルが生かせるサイドにあるのではないかと思う。C・ロナウドのように…とまでは言わないが、彼の持つ“ドリブル”という武器を最大限に発揮できるようになれば、浦和の攻撃に厚みが増すことは間違いない。
 そして、ワシントンという得点源が不在という状況は、これからも十分起こりうることである。そこで、浦和は現在セリエA2位の“ローマ”の戦い方を参考にしてはどうだろうか。最初はスパレッティ監督も苦肉の策として採用した“4-5-1”というシステムだが、これが大当たりした。トッティの1トップ、もしくは“0トップ”とも表現されるシステムだが、主に中盤の選手の“ハイレベルのプレー”と“豊富な運動量”が生命線となるシステムであるだけに、前線は駒不足だが、中盤の人材には事欠かない浦和にとっては、参考になるのではないだろうか。

 さて、試合は両者決め手を欠いたまま前半終了。しかし、後半56分にポンテが値千金の先制点を挙げた。結局これが勝ち越し点となり、浦和が久々にカシマスタジアムで勝利を飾ることに成功した。シュート数はお互い譲らずに同数の15本。両チームあわせて30本のシュートを放ちながら1点に留まってしまったのは寂しい限りである。浦和はワシントン不在の影響があったのは否めないだろう。

 そのワシントンの欠場理由であるが、クラブ側のコメントによると、彼の「規律違反」が原因とされている。昨日までは、それ以上の情報は口外できないとされていた。しかし、今日になってその理由が明らかになったのだ。クラブHPにワシントン本人のコメントが掲載されているので詳細はそちらを参考にしてもらいたいが、簡単に説明すると、練習方法について監督との意見の相違があったようだ。また、ブラジルから移籍のオファーがあるという話題もあるようだが、本人は浦和でプレーすることを希望しているようである。
 このコメントを、額面通りに受け取ってよいかどうかは疑問だが、少なくともワシントンの激高しやすい性格が災いの元になっているような気がする。浦和は今までも自由奔放なブラジル人選手の去就問題に泣かされてきた経緯があるだけに、クラブ側も嫌なイメージが付きまとうのではないだろうか。
 今回の件でお騒がせしているワシントンであるが、自ら発したコメントの通り、今後も浦和でプレーしたいと思うのならば、次節の千葉戦は、それを証明してみせる絶好の機会である。私は、彼が自らのプレーで我々を納得させてくれることを期待している。

posted by 浦和.COM |23:02 | Jリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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