2007年01月11日
セルティックを分析せよ!!
「中村俊輔」が自らのステップアップの場として“スコットランド”の地を選択しなければ、私はこの“爽やかな白地に緑のストライプ模様"のチームをTVで観戦することも無かっただろう。
彼には「セルティック」という歴史ある名門チームを知る機会を与えてくれたことに感謝しているし、世界で活躍する日本人として、私は純粋に彼を応援している。
しかし!セルティックといえば、“ACミラン”の当面の対戦相手だ。そうである、チャンピオンズリーグ(以下CL)の決勝トーナメント1回戦で、この“爽やか縞々チーム”と当たるのである。いくら「中村」を応援しているとは言っても、“我等がミラン”の対戦相手となれば話しは別だ。この試合に限って言えば、私にとって彼は“やっかいな敵”の何者でもないのである。
当然どんなチームなのか気になるので、私は誰に頼まれた訳ではないが「セルティックを分析せねばならぬ!」という使命感に駆られて今この記事を書いている次第である。
あるサッカー評論家の方は、決勝トーナメント1回戦で大番狂わせが起こるとしたら、この「ACミランvsセルティック」ではないか?という発言をしている。もちろんミランが1回戦で姿を消すという予想だ。そんな不吉な予想をされては、全世界のミラニスタは黙っていられない。確かに現在のミランは様々な原因により、調子を落としていることは明らかである。そこで「果たしてどうなのよ?」という疑問を自分なりに明らかにしたいと思う。
スコットランド国内リーグ戦の最近3試合からセルティックというチームを分析してみよう。“分析”というと、いかにも専門的な感じだが・・・何処にでもいる“サッカー小僧”の独断と偏見による見解ですのであしからず。
まずはセルティックの基本情報からまとめてみよう。
指揮官はゴードン・ストラカン監督。現役時代はスコットランド代表として50キャップを重ねた人物である。05/06シーズンよりセルティックの指揮を執る。基本システムは4-4-2を採用している。
現在の国内リーグの成績は、第23節終了時点で17勝5分1敗の勝ち点56。2位のレンジャースに17ポイント差をつけて首位を独走している。また、CLグループステージの戦績は3勝3敗の勝ち点9。マンUに次いで2位という成績で本戦突破を決めた。
初めに第21節。ダンディー・ユナイテッドをセルティック・パークに迎えての一戦。結果は2-2のドロー。セルティックが後半78分と80分に立て続けに2得点し、何とか同点に持ち込んだという試合展開だった。
全体的な印象としては、やはりお国柄なのか技術や戦術よりも“フィジカル”を前面に押し出して戦う印象を受けた。また、個人的に印象に残った選手はCB「オデイ」、MF「グラベセン」、左サイド「ライオダン」、右サイド「中村」の4人。「オデイ」は19歳の若い選手だが、途中出場ながら落ち着いたプレーと安定したビルドアップのできる選手という印象を受けた。そして「ライオダン」の特長は豊富な運動量。とにかく走る。守備では目立たなかったが、攻撃参加した時の彼には要注意だろう。「グラベセン」はよくご存知の方も多いだろう。以前はレアル・マドリーに所属しており、闘志を前面に出して戦うプレースタイルが特徴だ。“チームの心臓”の役割を担い、攻守両面で献身的なプレーをする選手だ。最後に「中村」はチームNo.1の技術と創造性を備えた選手である。2点目の鮮やかなループシュート(もはや芸術です)がそれを証明しているし、彼については今さら多くを語る必要もないだろう。
第22節はマザーウェル戦。敵地に乗り込んでの試合結果は1-1でまたしてもドロー。後半ロスタイムにディフェンスのミスからの失点が原因で、勝てる試合を落とした試合だった。
前節もそうだったが、このチームの守備は安定しているとは言い難いようだ。時々気が抜けたかのように簡単に失点する場面が目立つ。この試合もポーランド代表GKである「ボルツ」の活躍がなければ負け試合だったであろう。
そして、この試合でも「中村」が攻撃の中心になっており、彼に対するチームメイトからの信頼が厚いことを再確認した試合であった。
最後に第23節はキルマーノック戦。この試合では新加入選手がスタメンに名を連ねた。スコットランド代表のベテランCB「プレスリー」選手。彼は前所属クラブでCL予備予選に出場していたため、セルティックの選手として今後のCLの試合には出場できないそうだ。よって、分析の対象外である。
さて、結果は2-0でセルティックの勝利。今までロングボールを前線に放り込むイメージだったが、この試合では中盤の細かいパスワークで攻撃へと展開する場面が何回か見受けられた。キャプテンの「レノン」、「ヤロシク」、「中村」らの中盤の連携は侮れないようだ。また、前2試合で目立たなかった両SB「ネイラー」と「テルファー」が中盤の組み立てや攻撃に積極的に絡んできたのも印象的だった。そして、後半から途中出場のオランダ代表FW「フェネホール・オブ・ヘッセリンク」とアイルランド代表「マクギーティー」には要注意だ。短い出場時間ではあったが、彼らがピッチに入ってからチームの勢いが良くなった気がした。両者とも試合の流れを変えることができる選手ではないだろうか。
さあ、この3試合からセルティックの特徴を長所と短所に分けて以下の5点にまとめたので順番に解説していこう。また、ミランが勝利するためにはどうしたらよいのか?その点についても併せて考えてみよう。
1.「中村」を中心とした中盤(主に右サイド)の連携からの攻撃。
2.「ライオダン」または「マクギーティー」の左サイドからの攻撃。
3.セットプレイからの攻撃。
4.DF陣の不安定な守備。
5.FWの決定力不足。
初めに、1と3についてはいずれも「中村」が攻撃の中心となる。まずミランは相手の長所を消す対応をしなければならない。その対応の1つが「中村」のマークだ。ポジション的にマッチアップするのは左サイドの「ヤンクロフスキ」または「セードルフ」。特に「ヤンクロフスキ」は、前線への攻め上がりを控え「中村」のマークに専念すべきだろう。しかし、彼の場合守備が本職の選手ではないのでいささか不安が残る。「マルディーニ」または「カラーゼ」を中村のマークにつけても良いかもしれない。とにかく、彼に自由にボールを持たせてはいけないし、彼を抑えるだけで失点の危険性は格段に低くなるはずだ。
セットプレイからの攻撃は「中村」がキッカーの場合は失点の可能性が高くなるので要注意だ。なるべくゴール前でファウルをしないことを心掛けるしかないだろう。
次に2については「ライオダン」または「マクギーティー」というスピードのあるドリブラーが、主に左サイドを縦に突破しようと仕掛けてくる。
私が警戒するのは、彼らを起点としたカウンター攻撃だ。「ガットゥーゾ」または「カフー」が彼らにドリブルするスペースを与えないことが重要だろう。
次に4だが、前述の3試合を見た限り、セルティックのディフェンスは集中力が途中で途切れる傾向があるようだ。例えばゴール前に蹴り込まれるセンタリングへの対応だが、良い時は人に対してしっかりマークするが、集中が切れた時は人よりもボールを見てしまう傾向にある。よく“ボールウォッチャー”という言葉が使われるが正にそれだ。
また22節の失点からも分かるように、前線からのプレッシャーにはあまり強くない印象がある。ミランの前線の選手は、積極的に相手DFへプレスを仕掛ける価値はあると思う。そこで、相手のミスを誘えれば“ラッキー”というものだ。
最後に5のFWの決定力不足について解説しよう。FWの「ミラー」、「ズラウスキ」、「ビーティ」は、3試合を見た限り前線で果敢に体を張ったプレーをするが“失点する怖さ”は感じなかった。むしろ危険な匂いがする選手は「フェネホール・オブ・ヘッセリンク」。89分消えていても残り1分で決定的な仕事をするような、“得点の嗅覚”を備えた選手ではないかと思う。ミランDF陣は彼を自由にさせてはいけない。
ここまで私の勝手な解釈で話を進めてきたが、皆さんはどのようにお考えだろうか?前述したセルティックの特徴を踏まえて考慮した結果、私は8割の確率でミランが勝利する可能性が高いと考えている。セルティックのもつ武器はミランの守備力があれば十分に押さえることが可能だ。では残りの2割は何か。
その内の1割は、唯一ミランの守備力を以ってしても防げないものがある。もちろん「中村」のフリーキックだ。こればかりは運を天に任せるしかない。
そして残り1割は、ミランFW陣の決定力不足を懸念したものだ。今シーズンのミランがリーグで低迷している原因の一つがこの問題だ。考えられる試合展開としては、セルティック・パークの第1戦を「中村」のフリーキックからの得点で“1-0”。そしてサン・シーロの第2戦は、守備的な戦術で第1戦目の1点を守りきろうとするセルティック。そしてミランの決定力不足が災いして0-0のスコアレスドロー。あまり考えたくはないが、こういう展開もないとは言い切れないだろう。
まあ、あれこれと考え出したらきりがないし、どんな結末が待っていてもおかしくはない。なぜなら、これは「サッカー」なのだから。
posted by 浦和ドットコム |20:21 |
UEFAチャンピオンズリーグ |
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