2007年10月26日

レッズ、死闘を制す ~浦和×城南~

★ We are REDS!

 埼玉スタジアムのレッズ側ゴール裏席、席の前には備え付けのカップホルダーがある。普段は売店で買った飲み物をそこにいれておく。
 しかし、ここに細長く丸まった形で四角いシートが無造作に刺さっている時がある。この日もそうだった。
 私はその細長く丸まったシートを見るたびに、レッズサポーターのその日の試合に賭ける熱い想いがひしひしと伝わってくるのだ。

 独特の緊張感に包まれた埼玉スタジアム。赤い雄叫びがこだまする中、両チームの選手たちがピッチに入場してくる。
 次の瞬間、ゴール裏一面にサポーターの期待と祈りを込めたメッセージが大きく浮かび上がった。

 We are REDS!

 1枚の四角いシートを夜空に掲げるレッズサポーターたち。彼らひとりひとりの願いが集結し、そこに1つの赤い意思をゴール裏に浮かび上がらせた。


★ 骨折しても勝つ!

 アジアチャンピオンズリーグ(以下ACL)準決勝第2戦。浦和レッズと城南一和の決勝進出を懸けた戦いの火蓋が切って落とされた。

 この試合の前売り券の販売枚数は、平日開催の試合としては過去最高の数字を記録したと報じられ、それはまさにこの1戦の注目度の高さを伺わせた。
 そして、この日の入場者数は平日開催ながら51,651人に達した。報道によれば、当初、城南側は6,000人分のアウェイ席を要望したが、浦和側がこれを拒否し半分の3,000席分にとどめたとのこと。
 城南側もこれだけスタンドが赤で埋め尽くされた光景を目の当たりにすれば、「要望が却下されたこともやむなし」と、感じてもらえたのではなかろうか。
 浦和側としてみれば、「ほらね。城南さんの席ないでしょ」と鼻高々である。

 アウェイの第1戦を2-2のドローで終えたレッズは、この試合で勝利または0-0か1-1の引き分けならば勝ち抜けが決まる。
 レッズは勝ち抜けの条件として、精神的に相手より一歩有利な状況の中、この第2戦に臨むこととなった。
 しかし、試合前の会見で浦和のオジェック監督は、

 「アウェイで2点取っているからと考えること自体が大きなミス。我々が考えるべきことは過去の試合ではなく明日」

 と、油断は禁物と言わんばかりのコメントを残した。
 そんな監督の言葉を肝に銘じたかのように、レッズの選手たちは集中したプレーを見せる。

 前半21分には、千葉戦で鼻骨骨折の怪我を負ったワシントンが、待望の先制点を挙げた。
 フェイスガードをつけての出場となったワシントンは、「フェイスガードはまさにゾロだね」と、明るく語る一方で、「勝つためにまた骨折しなくてはいけないならするよ」と、自らの怪我もいとわず勝利に対する意欲を燃やしていた。
 そんな彼が鮮やかで豪快な先制点を奪ったのだから、サポーターの喜びも倍増である。

 このままレッズペースにもっていきたいところであったが、城南も敵地でしぶとく喰らいつく。
 特に3トップを形成するFWのチェ・ソングッ、イタマル、ナム・ギイルのアグレッシブなプレーに何回か危険な場面をつくられた。
 そして後半11分、レッズは城南のチェ・ソングッに手痛い同点弾を許してしまう。アウェイ側スタンドの城南サポーターは歓喜の雄叫び。そして重いため息が漏れるホーム側スタンド。
 しかし、スコアはまだ1-1。このまま失点さえしなければレッズの勝ち抜けが決まる。


★ やっぱり“勝負強い”レッズ

 「苦戦を強いられても持ち前の“勝負強さ”で勝利してきたレッズである。逆転されることなどないはず」と、半ば現実逃避にも似た感覚に襲われながら試合の行方を見守っていた私。
 そして後半24分、そんな願いも虚しく、無情にも電光掲示板には1-2という文字が冷たく表示された。
 イタマルの強烈なミドルシュートをキーパー都築が弾き、こぼれ球をキム・ドンヒョンが押し込んで城南が勝ち越しに成功した。

 試合前は優位な位置にいたはずのレッズであるが、その立場はあっけなく逆転された。このままでは城南の勝ち抜けが決まる。
 城南側スタンドの歓喜は爆発炎上。対照的に浦和のゴール裏はまるでお通夜。水を打ったように静まり返った。最悪のシナリオが頭をよぎる。試合前の有利な条件など、もはやどこかへ吹っ飛んだ。
 そして、試合前に監督が語っていた戒めの言葉を振り返り放心状態に陥る。「オジェック監督、あなたの仰ったとおりでした」と。

 もうなりふり構っていられない。ひたすら攻撃あるのみ。失点しちゃいけないが、それ以上にまずは同点ゴールが欲しいレッズ。
 そして、逆転弾を喫してから4分後、サッカーの神がレッズに微笑んだ。
 城南ゴール前に入ったボールを阿部が頭で折り返し、そのボールに反応した長谷部が相手ゴールに押し込み値千金の同点弾を叩き込んだ。
 試合はシーソーゲームの様相を呈してきたが、両者共に一進一退の攻防が続く。しかし、わずかながら城南が球際の力強さでレッズを上回っていたように感じられた。

 90分戦ってスコアは2-2。試合はそのまま延長戦へと突入、オジェック監督は選手交替で試合に変化をつけようとするが、結局ここでも勝敗は決まらず、試合の行方はPK戦にゆだねられた。
 それにしても、城南の持つコリアンパワーとでもいうのだろうか、敵地でもひるむことなく戦い、最後の最後まで全力で走る彼らの底力には恐れ入った。

 監督が選択したキッカーとその順番は、ポンテ→ワシントン→阿部→永井→平川。この選択について監督は、

 「最初の3名はレッズの中で確実にPKを決められる選手。永井と平川はシュートテクニックが素晴らしい」

 と、キッカーの選択理由について語った。
 先行はレッズ。レッズサポーターが陣取るホーム側で城南との最後の戦いが始まった。
 監督が自信を持って送り出した選手たちは、落ち着いて淡々とPKを成功させていく。憎いくらい冷静だったように見えた。
 それに対して城南の2人目のキッカー、チェ・ソングクのゴール中央に蹴ったボールは、都築の好セーブによって阻まれた。このセーブについて都築は、「動かなかったのが結果的によかった」と試合後に語っている。
 そして5人目のキッカー、平川が冷静に決めた瞬間、レッズのACL決勝進出が決定した。

 「90分終わる前にすでに足はつっていた。(PKの場面は)都築さんが止めてくれたので気持ちに余裕があった」

 と、平川は決勝進出を決めたPKの場面を振り返った。


★ 疲労感と充実感

 しかし、勝ったとはいえ1戦目を振り返りトータルで考えると、210分戦って両者決着がつかない接戦となった。
 両者共に国内リーグで首位を走るクラブ同士の対決であり、そこにはACLの決勝進出という目的の他にも、国のプライドを背負って戦ったことが今回の好勝負を生んだ要因となったのではないだろうか。

 平川や阿部は足がつって満身創痍の状態でPKを蹴り、闘莉王と山田も試合中の怪我で途中交代を余儀なくされている。
 ただでさえ厳しいスケジュールの中、選手たちはこの死闘をよくぞ乗り越えてくれた。選手の皆さんには本当にお疲れ様と言いたい。
 そしてサポーターの皆さん、特に平日で仕事が忙しいにもかかわらず、スタジアムまで駆けつけて応援したレッズサポの皆さん、本当にお疲れ様でした。
 私個人的には、今シーズンのレッズの試合で1番の疲労感(特にメンタル面で)を味わったと同時に、それ以上の充実感も得ることができた試合だったと思う。

 しかし、最終目標はあくまでもアジア王者。ここで満足している訳ではもちろんない。本当の勝利はもうすぐだ。

(本文中敬称略)



posted by 浦和.com |03:04 | AFCチャンピオンズリーグ | コメント(5) | トラックバック(1)
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浦和レッズVSセパハン 【虎のスポーツ】

ACLの決勝の相手はセパハン。 川崎フロンターレを破ったチームですね。 イランのチームのイメージはテクニックがありパワーもある、しかしサイド攻撃に弱しというイメージがあります。 そうなら平川選手に頑張ってもらわないといけませんね。 後DF陣がアウェー..

2007-10-26 04:34 | 続きを読む
この記事に対するコメント一覧
レッズ、死闘を制す!

はじめまして。

当日は南側のゴール近くから観戦していました。
We are REDS、すごかったです。

PK戦の前に、南側からも大旗が北側のゴール裏に走っていきましたが、みんなが「頑張れよ」と声をかけていました。

それにしても、城南、強かったですね。
セカンドボールなんか全然拾えなくて、ヤキモキしてみていました。
何年か前までだったら、ずるずる失点してたと思います。

なにはともあれ、次は決勝戦。
まずはチケット取らないと。。。

posted by にょろ | 2007-10-26 11:46

レッズ、死闘を制す!

>第1戦を2-2のスコアレスドローで終えた

(笑)

posted by a | 2007-10-26 12:15

レッズ、死闘を制す!

aさん

ご指摘感謝です。

posted by 浦和.com | 2007-10-26 12:35

レッズ、死闘を制す!

ゴール裏のコアサポーターではないけれど、私も埼スタで観戦しました。席はアウェー席に近いSA席です。

>対照的に浦和のゴール裏はまるでお通夜。水を打ったように静まり返った。

とありますが、私の印象は違います。逆転ゴールを入れられた直後、右側で歓喜する城南サポをボーゼンとして見ていると、間髪入れずにゴール裏に陣取るレッズのウルトラサポから強烈なレッズコールが聞こえてきて、「まだ行ける!」って気になりました。

すばらしいサポーターだとあらためて思いました。

あの場にいられたことは一生忘れないでしょう!


posted by レッズサポA | 2007-10-26 14:17

レッズ、死闘を制す!

ギドに見せたい・・・アジアチャンピオンになる瞬間。リーグ戦中で難しけど、ギドに見せたい。

posted by TK | 2007-10-26 23:03

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