2009年12月26日

大学スポーツがオリンピック競技力向上に果たす役割~ビーチバレーボール編~

アメリカ大学スポーツを統括するNCAAがビーチバレーボールをその種目の一つに加えることをかなり慎重に協議している中で、それを強く後押しするUSOCがその見解を発表しました。

USOC常任理事であるステファニー(Stephanie Streeter) 氏は大学スポーツにビーチバレーボールを加えることで多くの高校生やクラブ選手に適した機会を与えることが出来き、同時に大学体育局の男女数のバランスを保つ為に大きな役割を果たすと述べています。

「アメリカ大学はオリンピックスポーツを救えるのか?」や「大学スポーツ低迷がもたらす国際競技力低迷」でも取り上げたように、アメリカ大学スポーツはオリンピック選手発達の過程においてか欠くことのできない役割を担っています。

それを示すかのように1994年に男女平等を基に大学スポーツに加えられた漕艇、水球、アイスホッケーやボーリングなどは、それ以後多くの大学でチームが設立され、国際競技力の向上に繋がっています。
近年におけるビーチバレーボール人口の増加は著しく、現在競技人口は全米で36万人以上、そのうち18歳以下の女性は4万6千人に上ります。アメリカバレーボール協会(USA Volleyball) は下は12歳から上は大学終了後に至るまでの包括的なビーチバレーボール育成プログラムを行なって、特にスポーツキャンプなどを通して高いパフォーマンスの育成と12歳から18歳までの選手が継続してできる環境を整える役割を担っています。それに伴い国際競技力での向上も目立ち、前回の北京オリンピックでは男女ともに金メダルを獲得しています。国際バレーボール連盟も年少者向けの国際トーナメントを開催し地球規模の競技人口の増加に貢献しています。

それと同時に、ビーチーバレーボールを大学スポーツに加えることはそれに従事する学生選手にとっても彼女らの将来の可能性を広げる事とステファニーは述べています。1983年に設立されたプロバレーボール選手協会(Association of Volleyball Professionals) には現在150人のプロ選手が所属しています。また同協会は18のイベントを主催し、NBCやFox Sports Net などのテレビ中継の契約を結んでいます。このような全米ネットのイベントを主催しているビーチバレーボールはオリンピック競技の中で数少ない成功例だといえると思います。

現在の経済低迷の真っ只中でスポーツを足す事自体難しい世の中で、しかも既に存在するバレーボールとのバランスなど問題が無いわけではありません。しかし、「女性が活躍できる環境を目指して~野球編~」でも取り上げたように、ある女の子は野球がやりたいのであって、ソフトボールがやりたいのではなかったのです。

それと同じように、ある女の子はビーチバーレーボールがやりたいと言った時に、その環境が無くてはその子はそこでビーチーバレーを辞めてしまうかもしれません。大学スポーツでビーチバレーボールが取り入れることは、そのような若い選手たちに新たなる可能性を与える物になるはずだとステファニーは述べています。

「USOC leader sees value in sand」NCAA Newより

posted by maxsgoodies |01:28 | アメリカ大学とオリンピックスポーツ | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加

2009年12月06日

アメリカ大学はオリンピックスポーツを救えるのか?~その壱~

大学スポーツ低迷がもたらす国際競技力低迷」でも触れましたが、アメリカオリンピックチームの成功はアメリカ大学スポーツチームの貢献無しではありえません。大学スポーツがオリンピックチームの土台になる形は1986年のアテネオリンピックには確立されていたと言われています。しかし、オリンピックがスポーツ産業界において最大規模のビジネスとなった今日においてそのモデルに変化が生じています。

スピード社から億単位の給料を貰うフィリップ選手は例外としても、アメリカ大学陸上競技界ではその動きが2004年のアテネオリンピック前後から活発化し、名門ミシガン大学に進学しながら一年目にプロへの転向をしたウェブ(Webb)選手(2500万円の5年契約でナイキと契約)など2004年だけで7人の全米トップクラスの(大学に所属する)オリンピック陸上選手が大学選手資格 (Eligibility) を放棄してプロへの転向を発表しました。

アーカンソー(Arkansas) 大学女子陸上競技チーム総監督のハーター氏はこの傾向には二つの原因があると当時インタビューで述べています。一つは2004年がオリンピックの年であり、オリンピックスポンサーが有能選手との契約に躍起になっていたこと。二つ目はアパレル関係の会社がマーケティングツールとして大学スポーツにターケットを当ててきたこと。「今までこんなことは無かった」とインタビューの中でため息を漏らしたそうです。この年アーカンソー大学陸上チームは全米屈指の選手である LaShaunte'a Moore 選手とVeronica Williams 選手をアディダスへのプロ転向によって失ってしまいました。

現在の大学レベルにおいて多くのオリンピックスポーツはいまだ「やるスポーツ」であって「見るスポーツ」になっていません。モーガン大学に幾つか在るオリンピックスポーツ(バレーボールや陸上競技)などに入場料無料だからこそ観客は入りますが、本音の所、入場料を払ってまで見たい人がどれくらいいるかは未知数ですし、現実としてそれらの収入がチームの支出を上回ることは無いと確信出来ます。

それ故にアメリカンフットボールやバスケットボールなどの収入を得るスポーツに比べ、収入が無く、チームによっては維持費が掛かるオリンピックスポーツは近年廃部の危機に直面しています。それに伴い、高校出でオリンピックを夢見る有力選手がベストのトレーニング環境を求めて大学よりもプロの道を選ぶことはやむを得ない事なのかもしれません。中には「大学の施設を使ってトレーニングが出来き、スポンサーが学費を全額払い、年数千万円の給料までもらえるのだからあえて大学チームに所属する必要が無い」と言う選手もいます。

Olympic Sports liaison Committee を立ち上げた USOC とNCAA はオリンピックスポーツチームの廃部には危機感を持っているそうですが、個人レベルでのプロ転向はあまり気にしていないそうです。それは、「スポーツは最終的にはビジネスであるから。」だそうです。

posted by maxsgoodies |05:02 | アメリカ大学とオリンピックスポーツ | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加