2009年05月12日

予算削減が及ぼす影響~格差編~

第二回目の今回は「予算削減が及ぼす最大の影響は既にあるスポーツ産業界全体に見る格差を更に広げることではないか?」と思いました。

アメリカ体育会が直面する景気後退による予算削減の動きが体育会に所属する部活自体に影響することを前回取り上げました。この動きは中小大学だけではなくコネチカット大学、スタンフォード大学や、ワシントン大学といった名門校でも起きています。この背景には過去30年余りに渡って募金者・後援者の期待に応えるべく、NCAA Division Iで在る為に必要とされている部活の数、14を大きく超え増え続けたアメリカ体育会の歴史があります。

1981年から比べて180%近く増えた大学体育会に所属する選手生徒(412,768人-2008年時点)と160%も増えた部活の数(17,682チーム-2008年時点)、そしてタイトルIXの下、女子のチームが激増したのも過去30年余りの大きな変化です。しかしその変化はアメリカ体育会にとって財源確保の他に全米から連れてくる選手生徒への責任を増大させることにもなりました。予算削減のたびに部の廃部は議題に上がっても、選手生徒や、その両親、後援者や、スポンサー企業などからの反対を浴び、そのたびに廃案になってきました。

しかしそれを考慮しても尚、廃部を決めたメイン大学のAD(Athletic Director)ブレイク氏は、「もはや削ってなんとかなるものではない。これは断腸の思いである」と述べています。一回廃部に追い込まれたチームが再建を果たすことは過去の例から見ても少なく、数年に渡る選手育成や積み重ねが必要となるスポーツを廃部から再建することは、新しい部を設立するより難しいと言われます。過去に例を見ないと言われるほどの予算削減の動きで今年は全体の約1%に及ぶ約130チームが廃部に追い込まれると言われています。

しかしその半面、有名フットボールやバスケットボールチームといったお金になる部活を持つ大学やコンファレンスはスポンサーや放映権から億単位の収入を毎年得ています。強豪が集まるSEC(Southeastern Conference)はフットボールとバスケットボール関係でコンファレンスに所属する各大学に2007-2008年シーズンに5.3億円づつ分配しています。

削る所すら見つからず断腸の思いで廃部を決める大学体育会がある一方で、NFLからフットボールの総監督を資金に物を言わせて召集する体育会が存在する。「スポーツ=金」のアメリカスポーツ産業界にあって予算削減の本当の影響はこの格差がもたらすこの先の更なる格差ではないでしょうか。

posted by maxsgoodies |05:54 | アメリカスポーツ産業 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年03月28日

WBCアメリカvs日本の温度差 - 「がんばったね」では飯の食えない国

WBC優勝から少し経ちますが、未だ前回同様、今大会でも明らかになった、アメリカと日本との温度差関連の記事をよく見ます。この温度差の理由は専門家の先生方が、「大リーグがメインで」、「WBCで怪我をしたら大事なので」、とか「調整時期の違い」ともっともの話をしています。どれもこれも正論で素人の私にあえて言うことはこれっぽっちも無いのですが、例えばこんな自論はどうでしょうか?

アメリカは「がんばった」だけでは飯の食えない国だから

野球に限らず、今全米で活躍するトップアスリートと呼ばれる人は、全米大会常連の高校を出て、有名大学を出て(または中退して)今の地位にある人がほとんどです。ある意味そのたびに大きなふるいにかけられ、激しい競争に勝ち残ってきた人たちです。

その中には、スポーツが出来ることで飯を三食ありつける様になった人もいると思います。以前に取り上げましたが、格差社会の代名詞と言われるアメリカではスポーツを出来ることは一定以上の収入、しいては生活を得ることの出来る手段の一つです。それは何もプロに限ったことではありません。下は小学校からスポーツを出来る選手には経済的な補助(表ざたにならないものも含めて)が与えられることがよくあります。

つい最近、歯が痛いので歯医者に行ったフットボールの選手がいました。歯医者曰く、彼は生まれてから一回も歯医者に行ったことが無かったそうです。理由は簡単、アメリカでは国からは保健が出ないので(完全に貧困と認定されない限り)、自分で保健を払わなければいけません。その中でも歯医者への保健料はとても高くつきます。18年間たいして治療のなされていなかった彼の歯は見るも無様なことになっていたそうです。

そんな彼にとって大学から提供される奨学金とその他の特典はまさにようやく手に入れた人並みの生活その物だったのです。遠征のたびに支給される一日2500円の食費を切り詰め、シリアル食品を大量に買い、「これで今週何とかしのげる」と言っていました。そんな彼にWBCの事を聞いたときに彼は言いました、「俺も契約しているチームでのシーズンを最優先させる、金メダルではおなかいっぱいにならない」と。

posted by maxsgoodies |00:50 | アメリカスポーツ産業 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2009年01月17日

Once In Your Life Time「一生に一度の」

「この機会を逃したくない」と言う言葉をインタビューで聞いた事が無いでしょうか?我が大学からも何人かが今年のNFLのトライアウトに向けて日々トレーニングに励んでいます。

昨日名門フットボール大学であるUSCのQB、シャンチェズ(Sanchez)選手がNFLのドラフト入りをすると発表しました。彼はUSCで三年目になる選手ですが、試合経験は今年の一年だけで、他の2年間は控えでした。まだ実績が浅い彼に対し名将として知られる総監督、キャロル(Carroll)氏は猛反対、会見会場は異様な雰囲気の中で行われました。

キャロル氏の仰る通り、確かにもっと経験をつめば、彼の技術や経験値は向上するでしょう、しかし、シャンチェズ選手が今年を選んだ理由は、対抗馬が特に少ない今年にドラフト入りすることで、巨額な契約をとることができる「一生に一度の」チャンスだと思ったからだと専門家の意見も一致しています。詳しくはこちらから。

それとは対照的にうちのようにNCAA Division I-AAの小大学に所属するガイトン(Gyton)選手にはシャンチェズ選手のような、保障された将来も、わざわざ大学まで来るテレビカメラもありません。しかし今年のシーズン中の活躍により、コンファレンス最優秀選手賞を取り、来年のNFLトライアウトへの参加も決まっています。大学を中退して、この「一生に一度の」チャンスに掛けています。彼にとっては経験云々よりも、注目を浴びた今年しかないのです。彼のいる状況はNFLに進むためには待つと言う選択肢が無い所なのです。

チャンスというのはいつでも訪れるものではなく、それが本当の「一生に一度の」であったか、単なる思い違いであったかは後になって分かることで、その時には分かりません。しかしそれが訪れた時にそのチャンスを分析し様々な側面から見て最上の物であるかを決められるシャンチェズ選手のような人は全米でも20人といないでしょう。他の多くの選手はそれが「一生に一度の」チャンスと強く信じて突き進むしかありません。

NFLのドラフトやトライアウトに参加することは、大学体育会から抜けることが必要です。つまりは、将来の大学スポーツを放棄して、この「一生に一度に」掛けなければいけません。NFLに入れるのは星の数ほどいる中のほんの一握りです。去年もうちの大学を中退して、トライアウトを受けた選手が十名ほどいましたが、結局契約までこぎつけたのは一人だけでした。選考を落ちた多くの選手は、大学から受ける奨学金無しで大学に戻れるほど裕福な状況はありません。結局大学中退でこの不景気の真っ只中に仕事を探さなくてはいけなくなるでしょう。

ガイトン選手が以前こんなことを自分に言いました。「このチャンスは誰にでもあるものではない。」確かにその通りですが、それを「一生に一度の」と思ったがために大学中退で外に放り出された人たちにとっては、そのチャンスが無かったほうが幸福だったのではないかと思うことがあります。

posted by maxsgoodies |23:16 | アメリカスポーツ産業 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2008年12月06日

インターンシップVSアルバイト

アメリカのスポーツ産業ではUnpaid internship(無報酬のインターンシップ)が一般的に受け入れられていて、大学在学中にインターンシップを始め、卒業と同時にインターンから正社員に昇格または、他の企業に正社員として入社というパターンが一般的です。学歴も然る事ながら経験がものをいう世界なので、高校からインターンを始めていることも珍しくありません。

マーケティング部門も来学期に向けて新しいインターンかアルバイトを募集したいのですが、インターンシップとアルバイトを比べたときにインターンシップの場合それに見合う経験をさせることが必要になってきます。うちの体育会の場合、まだまだやれることが限られていますので、一般のスポーツマーケティング企業に比べると規模も小さく、地道な作業(Internal vs. External marketing)が多いので履歴書に載せたときにその生徒にとってベストの経験をつませることが出来るかどうかが一番大事になってきます。

その点アルバイトの場合、給料を払っているので、たとえば一日中コピーでもそれも給料分なので問題はありません。その点も含めてじっくり考えてみようと思います。

posted by maxsgoodies |02:25 | アメリカスポーツ産業 | コメント(0) | トラックバック(0)
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