2011年05月27日

「愛国心」に向けられる懐疑論

アメリカ大学スポーツがマネーゲームに変わった理由の一つに、不景気でも高騰し続ける監督給料があります。つい先日もオクラホマ州立大学男子バスケットボールチームの総監督、Lon Kruger氏が7年間で約13億円の契約を大学側と終結した事がニュースになったばかりです。そんな中、バスケットボールチームの強豪が集まるBIG10コンファレンスのペンシルベニア州立大学(以後PSU)の総監督DeChellis氏が明らかに各下であるコンファレンス、Patriot Leagueに所属するNAVY(海軍士官大学学校)の総監督になるというニュースが全米を驚かせました。

その驚きの理由は一般的に常に上を目指すこの職業に有って、解雇されたわけでもなく敢て格下の、しかも年間7千万以上といわれる給料を減らしてまでNAVYに行く理由が分らなかったからです。Ed氏はインタビューで、「これが私がこの国に貢献できる方法だから。」と答えています。Ed氏の愛国心を疑うわけでは有りませんが、この前代未聞の出来事を説明するには、もう少し他の理由も有るのではないかと思いました。

考えられる理由の一つにEd氏とPSUとの不調和があることが考えられます。PSUといえばアメリカンフットボールで特に有名な大学。2大アメリカ大学スポーツの男子バスケットボールとは言えど体育局内での優先順位ではアメリカンフットボールが常に一番である事は否めない事でしょう。それを象徴するように、昨シーズン中にアーティストのBon Joviのコンサートのためにジムを追い出された事や、バスケットボールコンファレンスとも言われるBIG10に所属していながら、大学からのサポートが欠如している事に不満を漏らしていると記事にされたこともありました。Ed氏にとってはNAVYだからではなく、元々(PSUを)辞める機会を伺っていたのかもしれません。

もう一つの理由として考えられるのは、PSUではこれ以上のステップアップが望めないことがあるかもしれません。今年もコンファレンスでようやく5割をキープ。NCAA Championshipにかろうじて参加できたものも、テンプル大学(TEMPLE University)に僅差で敗れて一回戦で敗退してしまいました。このままチームが停滞を続けると、遅かれ早かれクビになり、そこから更に上の仕事を探すことは難しくなります。現状からの脱出策として敢て一歩下がった所で良い成績を残し、更に上に高くジャンプ(PSUよりも良い仕事を獲得)する方法を考えたのかもしれません。

本当の理由はともあれ、この一連の出来事が高騰し続ける監督給料の問題に一石投じた事は事実です。Ed氏がNAVYでどの様な手腕を見せるのか、今日NBA LA Lakersに就任したMike Brown氏同様目が離せません。

Board approves Lon Kruger's contract(ESPNより)
NAVY 体育局website 
PSU men’s basketball website: 
BIG 10 website: 
Ed DeChellis leaves Penn St. for Navy(ESPNより)

posted by maxsgoodies |11:04 | 雇用と解雇 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年03月20日

カウントダウン始まる

約2週間前の3月2日、大学体育局長・副局長と会議も終盤に差し掛かった頃、今年の11月に切れる自分の就労ビザの件で話がありました。In the best interest of the University(大学にとって最良の選択として), と前置きの後、大学体育局側は今年の6月30日に切れる自分の契約をビザの失効日まで延長しないと通知されました。以前ブログにも取り上げたかもしれませんが、モーガン大学は州立(日本の国立に相当)なので、相当へたな事をしない限り契約(一年契約)は通常毎年自動的に更新されます。それ故にこの通知にはかなり驚きましたが、その理由は自分にも容易に推測できました。

体育局側が契約を延長しない理由として、以下の二つが挙げられます。

  1. アメリカ大学は秋(8月)が入学の時期になります。つまりその前の6月から7月末までが人の移動が一年で最も活発な時期です。自分の契約をビザ失効日の11月まで伸ばすとこの時期を逃してしまい、優秀の人を取る機会を失ってしまいます。

  1. もう一つの理由として引継ぎの重要性が挙げられます。自分も今年で5年以上モーガン大学体育局で仕事をして、それなりに重要な仕事を任されています。そのポジションが大学スポーツが最も活発な11月に空くと体育局の運営に大きな影響を与えます。後任が決まっていても、州大学では書類作業に時間がかかります。自分が辞めてから新しい人が認可されるまでに早くて一ヶ月、予算削減などで引っかかると次の年まで認可されないこともあります。そうならないように早めに手を打って置きたいと言う理由もあります。

どちらの理由もとても説得力があり理にかなっていて、自分が逆の立場であればおそらく同じ決断をしたと思うので理解は出来るのです。自分が驚いた一番の理由は、自分はビザの失効日の話を去年からしていたので、この決定を3ヶ月前の今月通知してきたことです。

それでも自分をここまで成長させてくれたモーガン大学とその体育局にとってベストの選択であると思うので、自分の後に続く人への引継ぎを済ませ、その先の自分の人生を考えて行きたいと思います。 6月30日までカウントダウンの始まりです。

posted by maxsgoodies |12:00 | 雇用と解雇 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2011年02月07日

チームを「作り上げる」時間が与えられない職

モーガン大学で以前アメリカンフットボールチームの副監督をしていたリー氏。2009年に同じコンファレンスのNorth Carolina A&T の総監督の職を取りました。近年よく聞かれる「作り上げるチーム」にもってこいのリー氏の活躍をモーガン大学の誰もが期待していましたが、就任から2年目の今シーズン終了と同時に彼はクビになってしまいました。

1.5軍チームでのスタート
リー氏の初年度となる2009-2010年度シーズンはNCAAからの罰則による奨学金削減という所から始まりました。前監督時代の2005年度から2009年度に掛けてのアメリカンフットボール学生選手の成績がNCAAが定める基準以下ということで、NCAAは2009-2010年度の6.3人分の奨学金のカットと練習時間の削減を言い渡しました。つまりリー氏は、「作り上げる」その原動力(奨学金)を初めから失ってしまった事になります。

数年続く影響
前回の投稿、「大学学生選手契約書-National letter of Intent」でも取り上げましたが、小大学にとって奨学金数の削減が何よりも痛い罰則です。作り上げるチームには毎年新しいタレントを足していくプロセス必要ですが、罰則の為にそれが出来ませんでした。就任一年目は現存学生選手で4-6敗と何とか乗り切ったものの、その多くの学生選手が卒業した今年は極端な戦力ダウンに見回れ、終わって見れば1勝10敗と言う悲惨な結果になってしまった。

短期に求められる結果
罰則が前監督の責任でも、現監督には常に結果が求められます。おそらく大学全体でも一位二位の高給職であるアメリカンフットボール総監督リー氏には、「作り上げる」時間が与えられませんでした。歴史的惨敗とも言われるシーズンのあと彼は解任されました。選手を常に理解しようと努力し、選手を常に伸ばすことにコーチングの意味を見出していた彼にその時間が与えられなかった事がとても残念でなりません。

参考文献:
NCAA penalizes N.C. A&T football program for poor academic progress(NCAA.Orgより)
Teams Subject to Penalties 2009-10 By Institution

posted by maxsgoodies |11:38 | 雇用と解雇 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年06月23日

「ネットワーク」作りと「コネ」作りの違い

NATAのシンポジウムのためにフィラデルフィアに来ています。スポーツ医学関係の研究発表のためにいらした日本の大学の先生、同大学学生さんや、日本でアスレティックトレーナーとして仕事をなさっている方や、アメリカの大学で勉強されている学生さんなど、昨日は初日から多くの人と出会うことが出来ました。

今朝ふと初めてこのようなシンポジウムに参加した学生の頃を思い出しました。そのころはとても派手な(そのころはクリエイティブだと思ったのですが)名刺を片手に会う日と会う人に名刺を配っていたような気がします。

しかし、現在一緒に仕事をさせていただいていく方々との出会いを振り返って見ると、やはり一度は一緒に仕事をしたり、時間をすごした方が殆どです。このようなシンポジウムで「ネットワーク」を作る事はとても大切ですが、それは「コネクション=コネ」作りではないと最近になってやっと感じます。

昨夜は日本人の方々と食事をご一緒させていただき、その中で日本でアスレティックトレーナーとして活躍している方がいらっしゃいました。その方はアメリカ大学卒業と同時に日本のチームの監督からヘッドハンティングされたそうです。しかしそれも、その監督が彼を単に知っていただけではなく、以前共に仕事をしたことがあり、監督は彼の才能とプロフェッショナルリズムを高く評価していたための結果でした。

「どのように監督などに自分をアピール出来るか?」、自分にその答えは分りません。唯一つ信じているのは常に一生懸命仕事に向かっている姿勢は周りの人に必ず伝わると思っています。実力の伴わない「コネ」で仕事についても、仕事が出来なければその人にとっても、推薦した人にとっても良い結果にはならないのではないでしょうか。綺麗ごとである事は重々承知の上ですが、フィラデルフィアの雲一つ無い空を見ながら、今朝こんなことを思いました。

posted by maxsgoodies |20:39 | 雇用と解雇 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年06月19日

転職の薦め

今週の水曜日(6月16日)のお昼時間、自分の携帯にいつもお世話になっているS大学のA監督が電話を掛けてきました。こちらが、「おしさしぶりです。」と切り出す前に彼は突然言いました、「うちの大学のヘッドトレーナーのポジションに興味は無いか?」予想もしていない内容に自分の頭は95%混乱状態で、残りの5%で出た言葉が、”What?”でした。

どの業界でも似たような物だとは思いますが、雇い主が雇用に関しての公募を行なう時、Entry Levelと呼ばれる経験を必要としないポジション以外は、多くの場合雇う側が既に最終候補を決めている場合が多くあります。今回の場合でもS大学は今日の時点でこのポジションの公募を行なっていません。必要書類などなんだかんだで公募するまでに数週間掛かる場合もありますが、その間水面下では人選が行なわれいることが一般的です。

この監督、A氏がいるS大学はNCAA DIVISION I-AA(アメリカンフットボール有り)。DIVISION レベルはモーガン大学と同じですが、資金面ではかなりの差があります。設備投資にも熱心で、つい数年前にバスケットボールジムを改装、フールタイムのマーケティングスタッフなどもおり、S大学を訪れた時はモーガン大学の一つ上のレベルと云う印象を受けました。

A氏に話を伺ってみると、以前ヘッドトレーナーをしていた人がつい二日前の月曜日に突然カリフォルニアに転職すると大学体育局長に伝えたそうです。この時期は就職・転職が一番盛んに行なわれる時期なので、このように突然仕事を転職する人は多いのですが、それにしても体育局側は寝耳に水状態だったようです。ヘッドトレーナーは当然アメリカンフットボールと働くのをメインとしているので、八月のシーズン開始まで時間が無く、大学側も焦っている感じを受けました。

自分も実際このヘッドトレーナーを良く知っていて、実は一週間前に合ってもいますが、その時はそのような話は一切していませんでした。元々彼はカリフォルニア出身なので家族などのことを考えると、望む場所で仕事が見つかってよかったと思います。

それはとにかく、A氏から直接お電話を頂いたので、とりあえず話を聞いてレジュメは送りましたが、自分は妻も子供もいる身なので仕事場が変わるとなれば、考えなければいけない事は山済みです。しかし、まだ仕事を正式にオファーされた訳ではないのでとりあえず考えるのを辞めました(心配していると限りが無いので)。とにかくも自分のやるべき事はやったので、後は結果待ちと言うところでしょうか。望む事が望むタイミングで起こる事は殆どありません、とりあえず全力を尽くして天命を待ちましょう。

posted by maxsgoodies |09:04 | 雇用と解雇 | コメント(0) | トラックバック(0)
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