2010年08月31日

MLBレンジャーズが破産競売

marketing-186460.jpg2010年8月初旬にMLBのテキサス・レンジャーズ破産競売が行われた。この入札でレンジャーズのオーナーになったのは、ノーラン・ライアンとチェック・グリーンバーグ。レンジャーズにとって最も理想的な新オーナーの誕生と言える。

どうして8月の初旬なんてシーズンの真っ最中に、プロチームの破産競売なんてやるのだろう。不思議に思ったのはあなただけじゃない。僕もとっても不思議に思って、色々調べてみた。

テキサスレンジャーズの前オーナートム・ヒックスは、リーマンショックに端を発した金融危機によって$525M(約450億円)の負債を抱え込んだ。
トム・ヒックスは、ヒックス・スポーツ・グループという会社を経営しており、ダラス・スターズリバプールFCの50%の株式などを持っていた。当初は影響力の少ない、マイナーな競技チームを売却すると言っていたが、1月もしないうちに最も高額になる可能性があるテキサス・レンジャーズを売却すると宣言した。2009年12月には、スポーツを専門とする弁護士グリーンバーグとノーラン・ライアンの投資チームと独占的な売買交渉を始め2010年4月の開幕には新オーナー体勢になる予定だった。

ところが、ヒックスへお金を貸している債権者のひとりがテキサス・レンジャーズを売却する事に強く反対し、売却交渉はキャンセルされてしまったのだ。

このままでは健全なリーグ運営が危険にさらされるメジャーリーグコミッショナーは、破産競売申告をすれば、全ての責任がコミッショナーに移ることを伝え、ヒックスが合意。ヒックスは破産競売申告をして、全ての責任をリーグに移す事で、債権者からの反対も効力を失い、今回のオークションが実現した、というわけ。

なんというか、金融の人たちが使いそうな「裏技」ですね。
競売に掛ける責任者はMLBコミッショナー。だけどお金が入ってくるのは前オーナーのヒックス。ヒックスはMLBコミッショナーに助けを求めてしまえば、債権者が何を言おうと手出しできない。
結果的にファンにとっては、いい結果になったんだけど、球団の未来が決まらないままシーズンを戦ってきた選手たちは、ストレスになったんじゃないかな。

アメリカではプロチームのM&Aは珍しくない。
2年前もシカゴ・カブスの親会社 シカゴトリビューン(新聞社)の経営難で売却されている。

プロスポーツチームの値段は毎年上がるし、貴族制度の無いアメリカで、特権階級の代表的なものがスポーツチームのオーナーなのだ。

スターバックスのCEOハワード・シュルツもそのひとり。
一代で築き上げたスターバックス帝国だが、金融界有力者や、全米の社交界から見るとただの「成金坊や」でしかない。しかし4大スポーツのオーナーになると、そういった階層の人々の態度が変わる。同時に本業であるコーヒーショップの出店などで、多くの人から協力を得やすくなるのも事実だ。
ハワード・シュルツの場合2001年に2億ドルシアトル・スーパーソニック(NBA/現オクラホマ・サンダー)を購入し2006年に3億5000万ドルで売却した。
5年間NBAのチームを持っていただけで、1億5000万ドル儲かってしまったわけ。
1年当たり3000万ドル約25億円づつ値上がりした計算になる。それだけキャピタルゲインがあって、社会的地位も高くなるのなら、プロチームのオーナーになってみたくなるは当然だ。

勿論、プロスポーツチームのオーナーが、社交界に影響力があるのは、アメリカだけじゃない。スターバックスのCEOハワード・シュルツはあからさまだったけど、他にも「成金」のビジネスマンが階級社会の壁を乗り越えるために、スポーツを使う事はよくある。
そもそも、スポーツは貴族と実業家の「お見合い」として発展した時代もあるんだから仕方ない。それも含めてスポーツなんだ。

リーマンショック以降、親会社の経営危機でプロスポーツチームがM&Aされる例が多くなっている。日本だって「近鉄」は親会社の都合だったから、似たようなものかも知れない。
にも関わらず、値段が上がり続けているのがとっても気になる。
いつの日か値上がりが止まる時が必ず来る。混乱にならなければいいんだけど。


posted by marketing |21:40 | メジャーリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年08月17日

イチロー30位 選手収入ランキング

marketing-182206.gif毎年アメリカ経済誌Forbesが世界のスポーツ選手収入ランキングを発表している。この4月頃に2009年版が発表になっていた。このBLOGでの紹介が遅くなりました。

順位で見ると、タイガー・ウッズが飛び抜けている。ウッズの場合ゴルフの賞金よりもナイキと契約しているウッズモデルのライセンス収入が大きいようだ。ナイキのウッズモデルは2009年1年間で$638M売れた。その何パーセントかがウッズに入る仕組みだ。ゴルフの賞金は$30Mで、グッスライセンスの収入が圧倒的だと言えそうだ。2010年はスキャンダルがあったし、成績も下がり気味なので影響はありそうだ。

ベッカムが5位に入っているのが気になる読者もいるだろう。選手としてはピークを過ぎた感じのあるベッカム。W杯南アフリカ大会でもユニフォーム姿を見る事は無かった。メッシは26位。ロナウジーニョが32位なのを見ても、どうしてベッカム?と考えるだろう。ベッカムモデルの男性用下着と、男性用化粧品が売れているから、だそうだ。そういえばベッカムパンツが発売になっていた。あれが世界で売れているのだろう。

フィールド以外の商売での売上を除外すると、コービー・ブライアントが最高額の年俸を取っている事になるのかも知れない。

年俸の高額契約記録を持っているのは、NYヤンキースのアレックス・ロドリゲスだ。10年間で$275M(約235億円)と、天文学的数字の契約をしている。
記録と言えば、欧州サッカー界にある「移籍金」最高額の記録は、クリスティアーノ・ロナウドが持っている$132Mで、マンチェスター・ユナイテッドに、レアル・マドリードが支払った。本人は25歳で$35.8Mで13位の高額所得者だ。

日本人は唯一イチローが健闘し30位に登場している。
2007年に5年間で$90Mの契約をしている。それ以外の収入も含めた金額が年間$26Mということになるみたいだ。

さてさて、個人別の年収は見ていただければ解ると思う。
今回はこの上位50選手を競技別に集計してみた。
競技別収入シェアのグラフは、50人の年収合計のうち何パーセントがバスケ関係選手か、というグラフ。27%のシェアを持っているバスケはそれだけ選手数も多いのだが、競技別シェアという指標としては間違っていない。

競技別平均収入は、1人当たりの収入ということだ。ゴルフとボクシングは2-3人と該当者が少なく高額のためデータとしての信憑性は低いが、選手入入に格差があることは読み取れる。サッカーから野球までは$30M周辺に集まっている。どうやらこの辺が一流選手と呼ばれる収入の目安になりそうだ。アメリカ4大スポーツより欧州サッカーの平均が僅かだが高い。これはスポーツビジネスの潮流が変わってきたことを物語っているのかも知れない。戦力均衡で合理主義のアメリカモデルと、BIG4など、大型グラブと地域クラブが経済的にも市場規模的にも格差を抱えたまま、同じリーグで戦う。どちらが勝つか解らないからスポーツには価値がある。というアメリカ的な思想は、万能的な正解とは言えないのかも知れない。

最後に、年齢と年俸の分布グラフを付けて、最小二乗法で3次元近似値グラフを書き加えてみた。どうやらトップアスリートの収入のピークは37歳前後。ちょうどイチローの年齢だ。37歳というと日本ではピークを過ぎた選手が多いが、世界ではそんなことは無いみたいだ。本当に一流になるということは、そういうことなのかも知れない。
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2010年08月11日

松山市のスポーツ戦略

marketing-180744.jpg2010年7月31日から8月4日まで、愛媛県松山市で全日本女子硬式野球選手権大会が開催された。今年は全国から27チームが参加し、予選リーグと決勝トーナメントあわせて35試合が行われた。
松山市は、ここ数年女子野球のメッカとなるよう、様々な努力を行っている。
全国大会は2010年で6度目。主要スポンサーは、伊予銀行とJALだ。
2008年には、女子野球ワールドカップを開催し、世界中の女子野球選手を松山にあつめて大会を行った。

どうして女子野球なのか
松山市の今治北高校が日本で初めて女子野球チームを作った。
松山出身の正岡子規は日本に野球を普及させるために、野球用語を作った。
そして日本でただひとつ、女性の名前を冠したスタジアム「マドンナスタジアム」があるから。
そんな理由で、松山は女子野球のメッカを目指して、毎年全国大会を開催している。女子野球はメジャーな大会ではないので、今のところ松山だけが、女子野球を応援していることもあって、選手や関係者の間でも、徐々に「マドンナスタジアム」が聖地。という意識が芽生え始めている。
松山はなかなかいい所に目をつけたものだ。
野球そのものはポピュラーで、特別な施設が必要では無い。
野球場は女子野球以外にも活用法が多い。
しかし女子野球はまだまだマイナーで聖地とし定まった場所が無かったのだ。


そもそも松山市は、このところ観光による地域活性化に真剣に取り組んでいる。NHKで放送されたドラマ「坂上の雲」が、松山を舞台にしたもので、司馬遼太郎による長篇歴史小説が原作になっている。
このドラマの効果を狙って
坂上の雲の街 松山
というキャッチフレーズを使っている。
原付のナンバープレートを雲形にしたり、博物館を作ったり、それはもうよく考えられ様々な政策が行われている。

この観光による活性化の中にスポーツも含まれており、女子硬式野球大会も松山市を挙げて積極的に取り組んでいる大会だ。
松山市には、スポーツ大会・合宿助成制度があり、1000人以上が参加する大会には100万円。100人以上の合宿には10万円の助成金を松山市が支払ってくれる。
どんどん松山で大会や合宿をやってもらおうという考えだ。

今回の女子公式野球大会の経済効果をざっくり試算してみよう。

参加チームは27チーム。選手、スタッフ、父兄などを入れると総勢で1000人に及ぶ。大会期間は7/31から8/4まで5日間。
宿泊と飲食だけで、4000万円程度、松山までの移動交通費が1500万円。参加選手やスタッフが個人で使う金額は5日間で1人1万円としても1000万円。合計で6500万円になる。

数年に一度開催される世界的なスポーツイベントを招致して数千億円単位の経済効果を狙うのもいいが、毎年行われる数千万円単位の大会をしっかり獲得し、少しづつ積み上げてゆくのも、賢い戦略だ。経済効果の金額は少ないがリスクも少ない。

小規模だからこそ、聖地として地域が競技を支援してゆくことも出来る。小規模だからこそ、大会主催者や競技者とのコミュニケーションも活発に行える。

地方都市がスポーツを素材に、活気づけて行くひとつのモデルが松山にはある。


posted by marketing |13:03 | スポーツビジネス | コメント(0) | トラックバック(0)
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