2010年04月17日

選挙がロンドン五輪に与える影響

marketing-154078.jpg2012年に予定されているロンドンオリンピック。その6年後にはFIFAワールドカップの招致に乗り出しているロンドンだが、2008年暮れからの金融危機に派生した不景気で、経済的な支援が続かなくなってきた。

イギリスでは2000年から毎年£750m(ミリオンユーロ)(約930億円)を国家予算からスポーツに支援してきた。メダルが狙える競技を厳選し、エリート・アスリートに集中的に支援した結果、2000年のシドニー、2004年のアテネ2008年の北京で39もの金メダルを獲得して成功を収めてきた。

2000年から巨額の支援をスポーツに行ってきたイギリス政府は、ブレア政権の下で2012年の五輪招致へ向け、国内のスポーツ熱を高めるための効果も狙っていた。
2007年6月にイギリスの首相はブレア氏からブラウン氏へと変わっている。この2人は同じ政党なので、ブレア氏の政策を否定することは無く、スポーツに対する国家予算も削減される事は無かった。

しかし2010年にイギリス下院の任期が切れるため総選挙が行われる。ここで多くの議員が(特にブラウン氏と異なる政党の議員が)スポーツに対する巨額の政府援助を問題にする可能性が高い。現在のところ、どの政党のマニフェストにも、スポーツを活性化することによる国益の向上。といった言葉が綴られている。しかし英国は2008年暮れの金融危機以降、深刻な不景気に見舞われており、学校や病院への政府支援金が削減されている。そんな経済環境の中で、スポーツだけ過去最高の支援額が維持されるとは考えにくい。選挙で当選したいと思う政治家なら「スポーツ支援に使われている予算を、病院や学校に回す」と言うだろう。

すでに、選挙を前にしてイギリス財務省は、文化・メディア・スポーツ省に対して、2012年度£60m(約7億円)の削減を行うように通達している。

ブレア首相が国民の支持を集めていたこともあり3期連続で労働党が政権を担ってきた。しかしイラク戦争への積極参戦や、経済政策の成果が出ない事などが原因となり、労働党の支持率は下降している。この選挙で政権が交代する可能性も充分にある。
選挙の主な争点は経済政策になるだろう。財政赤字は危機的状況で、格差も拡大している。また移民も300万人を超え、英国民の仕事を奪っていると、国民間でフラストレーションが高まっている。

2012年のオリンピック開催は、不景気に見舞われる以前に計画されたものであり、ロンドン五輪委員会は70億ポンド(7兆円)と見積もられる予算を民活資金で集めると公言していた。
しかしこの不景気で、選手村の建設資金を請け負っていた世界最大のショッピングセンター施設のオーナーであるウェストフィールドやレンド・リース、そしてこれらに投資してきた欧米のヘッジファンドは不動産価格の下落の影響で、資金繰りが悪化し、軒並みオリンピック関連事業から撤退を余儀なくされた。

リーマン・ブラザースの破綻などで、金融危機の震源地アメリカのことばかりが報道されているが、イギリスはアメリカよりも深刻な不景気になっている。その最大の理由はイギリスの通貨「ポンド」はアメリカの「ドル」と異なり、国際基軸通貨では無いことだ。「ポンド」は日本の「円」と同じように国内でしか通用しない通貨だ。そのために中央銀行が通貨発行をし不良債権を処理する政策は大きな副作用を生む可能性があることだ。
2007年1ポンドは250円台だったが、2010年4月には140円台になってしまった。ドルは2007年110円から87円の間で推移しており、2010年4月現在92円前後と大きな違いは出ていない。

この深刻な不景気を乗り切るために、2012年のオリンピック開催は重要な役割を果す事になるだろう。また2018年のワールドカップ招致も国民感情を盛り上げ、消費行動を促進するのに役立つと予想される。スポーツがイギリスを元気にするのに、少しでも役立ってくれることを切に願うばかりだ。


  • 共通ジャンル:

posted by marketing |09:15 | コメント(0) | トラックバック(0)
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加