2010年01月30日

Jリーグ経営難4 ヴィッセル神戸

ヴィッセル神戸を経営難と言うのは、いささか失礼かもしれない。だが2008年度まで4年連続赤字で、9億1800万円の累損を積み上げてしまっている。
みなさんもご存知の通り、楽天の持ち株会社クリムゾングループが株主なので、破綻するなどの危険性は低いと見られている。とは言え、赤字が続いてること自体がとても心配だ。

ヴィッセル神戸は、川崎製鉄サッカー部を倉敷から神戸へ誘致し、ダイエーがメインスポンサーとなって1995年に株式会社神戸オレンジサッカークラブが誕生したのが始まりだった。
クラブがスタートした1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生し、50%を出資していたダイエーが撤退。6月にはダイエーグループの所有していた株を全て無償でヴィッセルへ譲渡し、実質的に神戸市が運営の責務を負った市民クラブへと姿を変える。
2002年の日韓ワールドカップを開催した神戸ウイングスタジアム。これを一部改修し席数も8000席減少させ3万2000席にダウンサイジングし現実的な運用を行っていった。
2003年には累積赤字が42億円、借入れが21億7500万円にまで膨らみ民事再生法の適用を申請し、経営が破綻。神戸市はクラブに15億2000万円の貸付を行っていたがその殆どが回収できなかった。(日経新聞2003/12/13)
2004年1月15日に営業譲渡先を決める入札が行われ2月1日に新会社を設立。クリムゾンフットボールクラブとなり、債務も一掃し新しい会社として再スタートを切った。この年楽天は、事業買収を積極的に行った。現在では事業の柱となった、DLJ証券や、旅の窓などを次々に買収、事業を拡大させていった年だった。

2006年にヴィッセルはJ2へ降格。これを契機にスポンサー企業が続々とヴィッセルから離れていった。川崎重工はユニフォームの背中に社名ロゴを入れるスポンサーを継続したまま、1億2000万円からほぼ半減させ、震災後からずっとクラブを支援していたノーリツグループも、J2降格と楽天が株主になり経営が安定したこと、震災から10年が経過し地元振興のための役割を終えたとして、数千万年のスポンサーを降りた。(日経新聞2006/03/03)

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2008年のクラブ別経営情報(J.LEAGUE公式サイト)を見比べてみよう。
ヴィッセルは、営業収入でJ1の18チーム中17位でワースト2。営業利益で最下位だ。どうしてこんなに売上も少なく、赤字も大きいのだろう。

入場料収入が少ないと仮説を立てて計算してみたのだが、そうでもなかった。
下記表をみていただくと解る。入場料収入は18チーム中16位だが、営業収入に占める割合は19.3%とJリーグの平均と大きな開きはない。
広告収入はJリーグ平均が43.1%に対して35.8%と低めの数値になった。順位でも下位に位置している。とは言え、経営の根幹を揺るがすほどの事ではなさそうだ。

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問題なのは、選手人件費だ。J1で闘い続けるのならば、現在の年間13億は必要だろう。J1平均が16億5600万円なのを見ても解る。営業収入に対する比率では67.6%と最も高く、どの球団よりも多くの比率を選手人件費に使っていることになる。結論づけるなら、選手人件費を使い過ぎているわけではなく、営業収入の総額がJ1で闘うには少ない。ということだ。 営業収入のJ1平均は34億5000万円で、営業収入が30億円を下回っているクラブの多くは赤字になっている。2008年の20億の1.5倍の売上を獲得する必要がある。年間30億円あれば、選手人権比率も40%台まで下がるし、利益も出す事も出来る。キャッシュフローが安定したら、補強に使える資金も出来るハズだ。 関係者の皆さんは、今さら僕のような者に言われなくても、そんなこと解っているだろう。その上で努力されていることに違いない。 ヴィッセルのサポーターに出来る事は、観戦に行く時に誰かを誘うこと。いつも2人で行っていたなら3人で行こう。そして3人目にスタジアムでの体験を楽しいと思わせるために、がんばることだ。ヴィッセルが勝利するかどうかは、サポーターにはどうにも出来ない。選手も監督もスタッフも必死になってやっているのを信じるだけだ。勝敗に関わらず「楽しい」と思わせられる環境作りは、サポーターが行うのが最も効率がいい。試合に勝てなくても「楽しかった、また来たい」と思わせることで来場者数が増え、チーム全体の売り上げが伸びてゆくハズだ。 サポーターとしては、試合の勝敗も応援するけど、経営も応援するために、ヴィッセルサポーターを1人でも多く増やすために、誰かを誘ってスタジアムに行くこと。 そしてサポーター自身も、1ランク高いチケットを買って観戦することだ。あなたの1試合1000円の積み重ねが、チームの経営を良くし、ひいては強いチーム作りに繋がって行くのだ。 marketing-139633.gif


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2010年01月09日

箱根駅伝 高視聴率と大学経営

2010年の箱根駅伝東洋大学の2連覇で幕を閉じた。視聴率も2009年を上回り平均で27%台だった。朝7時50分から6時間後の午後2時までの平均視聴率で27%もあるのだからスゴイ。

2009年のスポーツ中継の視聴率を参考までに確認しておこう。
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箱根駅伝がどの程度多くの人に見られているかを伺い知る事が出来る。
しかし箱根駅伝の凄いところはそれだけじゃない。他のTV局が同じ時間帯でマジメに制作費をかけた番組をぶつけて来ていないんだ。何ていうか試合放棄というか、敗ける試合に労力を使わないと言うか。完全に力を抜いている。
2010年の1月2日、箱根駅伝の放送は7時50分から14時まで、そのあと高校サッカーを続けて放送して16時位まで日本テレビが、高視聴率を稼ぐ可能性が高かった。
この時間帯、フジテレビドラマBOSSの再放送を9時55分から16時10分で放送し、16時25分から「さんまのまんま新春特番」を放送。明らかに、16時までを死に枠として編成している。
TBSは、9時30分からバラエティーの「ウンナン極限ネタバトル」の再放送。12時から14時までは、「東京フレンドパーク」の再放送と、こちらも勝負を避けてコストも掛けずに、箱根駅伝が終わるのを待っていた感じだ。

marketing-134872.jpgお正月の箱根駅伝がどうしてこんなに視聴率が高いのか。
それは色々説があるけど、2日のこの時間帯に家族が集まってお節料理と、お雑煮をつついいている。可能性が高く、そのシチュエーションで最もクレームが出ないのが箱根駅伝だから、という説が有力だ。
具体的には、駅伝中継はドラマやバラエティーみたいに、誰かがTVに集中してしまって、久しぶりに集まった家族のだんらんを阻害する可能性が低いこと。そして出演している人物に、好き嫌いが存在しないこと(有名では無い大学生だから)、若者が必死に走っている姿はリアリティーがあり虚構ではないから。などが主な理由だと言われている。

あとは、構成の素晴らしさもある。都内から、風の強い海沿いのコースそして、山登りコース。復路はシード争いと、制限時間によってタスキを渡せずに悔し涙を流す選手の姿など。とにかく編成がよく出来ていて、ドラマ性を維持させる仕掛けが完成されている。

こういったお正月のTVを代表する箱根駅伝。これに何度も出場することで、少子化により学生募集が厳しくなってきた大学が、大学名を有名にしブランド力を高めようと次々と挑戦してきている。

順天堂大学のスポーツ健康科学部の試算によると箱根駅伝優勝の広告効果は58億4688万円。往路だけで校名は74回アナウンサーが連呼し、テロップで63回表示された。TV中継以外のスポーツ新聞やニュースなどの効果を含めると100億円を超える。と計算されている。

18歳人口は1992年をピークに減少し、4年生の大学の4割は定員割れを起し、淘汰されることなると試算されている。
そんな環境下で生き残るために、大学名のブランド力向上は何にも変え難い重要な要素となる。箱根駅伝は前述の通り家族での視聴が多く、高校生の子供を持つ親、親戚などが、進学先を考えている子供と一緒に観る機会が少なくない。箱根駅伝での活躍はまたとない生徒募集広告の役割を果しているのだ。
大学の本分である研究や勉学、または入試時の偏差値などは、短期間で改善させるのは容易では無い。だがスポーツは偏差値などに比較すると短期間で結果を出す事が可能なのだ。
城西大学は2001年に創部し3年目に箱根駅伝初出場、以降6年連続で出場を果し、その知名度を向上させることに成功している。
箱根駅伝に限らず、スポーツで成果を上げて、大学のブランド力を向上させる。そういった戦略を取る大学も少なくない。

一方でブランド力は充分にある大学も、新興大学に遅れを取るわけにもいかないのだ。
早稲田大学は1990年代後半にスポーツ振興協議会を発足させスポーツ強化を促進した。
「世界に通用する大学は研究・教育だけでなく、スポーツにおいても輝いている。ハーバード大学は、五輪において52名のメダリストが輩出している」とスポーツを強化する理由を説明した。
わかりやすいのが入試改革だった。従来の特別選抜入試は50人枠で「内申点の平均3.5以上」など出願条件が厳しく、学力試験も行われていた。変更後のスポーツ推薦入試はテストを無くし、運動部長が推薦する選手を書類審査と面接だけで入学させるこを可能にした。その結果2007年は約80人が入学。これとは別にトップアスリート入試でも7人が合格した。
野球、ラグビー、陸上の看板競技には1千万円超の強化費を拠出し。それまでボランティア同然だった指導者に「客員准教授」など大学のポストを用意、専任で指導する体制を整え、報酬も出すように体勢を変化させた。
ただ入試体勢を緩和させただけでは、最高学府としての尊厳が保てない。そこで推薦入学者が2年続けて取得単位が20未満だと、その学生が所属する部の翌年の推薦入学枠を減らすという規則も存在する。運動ばかりやっていることは許さない。成績低迷者は部全体で面倒をみてゆく仕組みだ。

早稲田にここまでやられると、ブランド力の劣る大学は、エスカレートするしか無くなる。スポーツ選手として能力のある学生は、学力など問題視しなくなってしまう。
学力に目をつぶりスポーツ推薦枠で入学した学生は、学費免除など「特待生」であることも少なくない。熾烈な受験をくぐり抜けてきた一般学生に比較すると、完全にスポイルされてしまっているのだ。
彼らは、大学の授業について行く事が難しい。授業態度も悪く一般学生を阻害することもある。
だが、彼らのミッションである「スポーツで活躍する事」が遂行されていると、授業態度や成績には目をつぶるしか無くなっているのが現状だ。

大学生スポーツ選手はアマチュアなのに、アマチュアリズムが希薄化してしまっている気がしてならない。大学スポーツはこの先どこに行ってしまうんだろう。


posted by marketing |21:36 | その他のスポーツ | コメント(1) | トラックバック(0)
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