2009年02月24日
もうすぐWBC(World Baseball Classic)の第2回大会が開催される。
記念すべき第1回大会は16カ国が参加し日本の優勝で幕を閉じた。この第1回WBCはビジネス的、運営上的にはどうだったのだろう。
そもそもWBCは、オリンピックから野球競技が無くなる事態を受けて、考案されたと言われている。(オリンピック野球に選手派遣をしない主義のMLBが主催であるところが不自然だけど)
韓国と日本プロ野球機構は、アメリカのメジャーリーグが主導して世界大会を開催することに疑問があり、世界大会を主催する組織作りを提案していた。しかしMLBは利益配分率を改定し韓国から賛成票をとりつけた。日本は最後まで同意をせず、今後も大会運営について協議を継続することを前提に第1回大会参加に同意した。
なんというか、アメリカが半ば強引に開催した感じだった。
プロ野球選手会もWBCへの参加は反対だった。
その理由はオープン戦期間であることで選手の調整時期が早まること、WBC参加による故障の問題などだ。これらの問題も日本プロ野球機構が選手会の要望を出来るだけ取り入れる形で決着した。
2006年WBC終了直後にMLBコミッショナー(WBC主催者)のバド・セグリ氏へのインタビューが、当時のUSA Today(アメリカの全国紙)に掲載されたいたので、一部を紹介しよう。
試合の内容について
プレーの内容については満足しています。全く問題はなかった。ただ、次の開催までの間に色々なことを考え直す必要があるでしょう。フィールドに関する事も、スタンドに関する事も。
ビジネスとして
TVの視聴率も、観客動員も私たちの予想を超えるものでした。日本で開催した、韓国対中国の試合が最も観客動員が少なく3,925人。最も動員が多かった試合は決勝のキューバ対日本で、42,696人でした。TV視聴率も全試合の平均が1.8%でしたが、これも私たちの予想を超えるものでした。全ての試合はESPN2(ケーブル)での中継でしたので、視聴率を全国中継のスーパーボウルなどと比較すると、1.8%はとても少なく感じるでしょうが、ESPNも私たちも予想以上の人がWBCにチャンネルを合わせてくれたと、考えています。
MLBレギュラーシーズンについて
スプリング・トレーニングに悪影響が出る可能性も考えていたが、選手のインタビューを見ていると、私たちの予想に反して、いい影響があったという答えが多く、選手に負担は掛けなかったようだ。この点に関してはホッとしている。
と、バド・セグリコミッショナーは、「成功だった」という論調を崩さない。アメリカが敗退したのは誤算だっただろが、試合の内容は良かった。としかコメントしていない。
ビジネスとは関係無いが、運営上の課題として審判の「誤審」問題がある。2006年の大会では、32人の審判のうち22人がアメリカ人で、メジャー契約の審判は、スプリングトレーニング中でWBCに参加できず、マイナーリーグ契約の審判によって行われた。
2006年3月12日に行われた日本対アメリカ戦。
3-3の同点で迎えた8回表1アウト満塁の場面で、西岡剛の3塁から本塁へのタッチアップが捕球より早かったとし、2塁塁審はセーフとしたものの、アメリカの監督バック・マルティネス氏の抗議を受けて球審はアウトと判定を下し、ダブルプレーを宣告されチェンジとなった。その後、日本は9回裏にサヨナラ安打を許してしまい、3-4で敗れた。
試合後、さすがの王監督も「今まで私は日本で長年野球をやっていますけど見たことがありません。特に野球のスタートした国であるアメリカでそういうことがあってはいけない」とコメント。
アメリカのメディアもこの判定を誤審とした報道が圧倒的だった。
2006年3月16日に行われた、アメリカ対メキシコ戦。
3回裏メキシコの打者マリオ・バレンズエラがアメリカの先発ロジャー・クレメンスから放った打球はライトポールに当った(本塁打となる)ものの、日本戦で西岡にアウト判定をした同じ審判が、2塁打と判定した。
メキシコのフランシスコ・エストラダ監督らがポールの黄色い塗料が付着したボールを見せ抗議したものの、抗議は却下された。この試合メキシコが2-1でアメリカを下し、アメリカは第2ラウンド敗退となった。
この誤審を教訓に2009年大会では、ホームランの判定にビデオを判定を導入することが決まっている。
組合せとスケジュール
大会優勝候補とされる中南米・カリブ勢がアメリカと決勝まで当たらない。またアメリカは必ず中1日空けての試合で、しかもそれらは抽選等ではなく主催者の一存で決定されていた。
このあからさまにアメリカが決勝まで勝ちあがりやすいよう意図された組み合わせの結果、同一カードが準決勝までに最大で3戦行われるという奇妙な事態が発生した(日本対韓国がその例である)。
先発投手の投球制限もあり、大会運営そのものには数多くの問題が存在していた。
日本が優勝したこともあり、私たちにはあまり悪いイメージは無いが、メキシコや韓国ではマイナスイメージが強いようだ。
主催国のアメリカにもWBCを批判的に見ている傾向があり、2009年の大会でアメリカが優勝しないと国内の世論を見方に出来ないだろう。
スポーツの世界大会をスタートさせるのは大変だと思う。国内の理解を求めるためにも、MLBの威信にかけても、野球の世界発展のためにも、アメリカを優勝させたい気持ちはわかる。
でも、スポーツは予定調和の中で行われるものではないし、そうあってはいけないものだ。
2009年の大会は、公平で見ていて気持ちのいい大会が開催されるのを願うだけだ。
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2009年02月16日
プロ野球キャンプは後半戦に入り、2009年シーズン開幕に向けて、野球界も始動した。各球団の2009年シーズンのチケット概要も明らかになり、私たちスポーツマーケティングを専門としている者は各球団のチケット戦略を細かく確認する時期になった。
スポーツビジネス情報専門サイト スポーツ・ビジネス・オンラインで、ちょうどシーズンシートの特集をしていた。
ーーーー<スポーツ・ビジネス・オンラインより引用>ーーーー
ファンの観戦スタイルに合わせた豊富な年間シート
東北楽天は2008年シーズンに12球団で最も多い26種類の年間シートを販売。座席を一つに限定しない新しい年間シート「ゴールドパッケージ」、「シルバーパッケージ」を発売した。通常は一つの座席に限定されるところ、このパッケージは年間を通じて22種類の座席で試合を楽しむことができる。また、今シーズンは3種類の年間シートを対象に観戦できない試合分のチケットを球団が事前に引き取る「年間シート・Value+」を100席限定で販売。500円は球団の手数料となるが、購入者は引き取られた試合分の金額が翌年の年間シート購入時に割引される。引き取りの上限は25試合となっており、毎試合観戦に行けないが、年間シートの購入を検討しているファンにとっては最適なサービスといえる。
読売巨人軍は1塁側と3塁側にある「エキサイトシート」を計228席から440席に増設。価格も2,200,000円と2,100,000円の2種類から2,300,000円(1列目)、2,200,000円(2列目)、2,000,000円(3、4列目)の3種類に増やした。ペアシートとして販売するが、まずは前年度の購入者を対象に販売する。また、今シーズンから公式戦63試合のうち10試合を対象とした「10試合パック」(32,000円~)、平日限定で31試合を対象とした「ウィークデー・パック31」(139,500円)、土日祝日の30試合を対象とした「ウィークエンド・パック 30」(165,000円)など「シーズンシートパック」という新しい年間シートを販売する。他球団と比較すると全試合の年間シートは高額なため、リーズナブルなシーズンパックは個人にも購入しやすい価格だろう。
※スポーツ・ビジネス・オンライン編集部に許諾を得て引用しています。
MLBでは2007年からチケットの再販売が制度化されて30チーム全てで行われている。リセールは、シーズンシートを購入した人はもちろん、10GAMEパックなど複数チケット購入者や、前売り券を買ったが予定が合わなくなった場合など、色々なケースに対応している。
このリセールは、アメリカ大手のチケット販売代理店StubHubという会社がMLBから公認されて行っている。それまでは、イーベイなどのオークションサイトはもちろん、結構怪しげなサイトでも高値で売られていた。この制度が出来て、StubHub社以外はMLBチケットの再販売を行うと告訴される可能性が発生したというわけ。リーグが再販売市場を整備することで、悪いイメージではなく、安心して売買出来る環境を整えた。
主にシーズンチケットホルダーが対象で、ネット上でその処理が簡単に出来てしまう。シーズンチケットホルダーは、サイトにログインして、行けない日程を選択。最低価格と、落札希望価格を入れると、それだけで自動的にオークションが開催される。落札金額の10%をStubHubが手数料として徴収し、チケットホルダーに売上の90%が支払われる。
この公認業者を選定することで、悪徳業者も存在するイメージの悪いチケットリセールマーケットを撲滅し、クリーンで安心出来る環境を整えた事でリセールが簡単にしやすくなった。そしてもうひとつは、再販売を目的としてシーズンチケットを購入する人を特定し排除することが可能になった。サイト上でログインして再販売希望を出すわけだから、シーズンチケットホルダーがリセールばっかりしているとスグに球団にバレる。
このリセールシステムは、シーズンチケットを、売る時に大きな足かせとなっていた、「行けなくて無駄にするチケット」を解決したのだ。
楽天イーグルスの場合、リセールしても「現金」にはならない。
来年度シーズンチケットを購入する時に割り引かれる。リセールする時にオークション形式では無く、球団は再び定価で販売するので、シーズンチケットホルダーに「利益」が出る事は無い。楽天のなかなか日本的でいい制度だと思う。
posted by marketing |18:09 |
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2009年02月02日
2月1日タンパでSuper Bowlが開催された。アメリカ4大スポーツのひとつナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の優勝決定戦だ。4大スポーツの中でビジネス的に最も成功していると言われていて、その根拠のひとつとしてSuper Bowlの視聴率とTVコマーシャルの料金が挙げられることが多い。この金融危機にも関わらず2008年よりCM料金は値上げされ、30秒で3Millionドル(約2億7000万円)となった。自動車業界のCMは減少したものの、常連のコカコーラ、ペプシ、バドワイザーは相変わらず複数の広告枠を購入している。
アメリカでのスーパーボウルが開催される日には、友人や家族の家に集まって、ホームパーティーをしながら観戦するのが一般的だ。大型TVをレンタルする業者から借りてきて、宅配ピザとコーラーと、バドワイザー、そしてドリトスをつまみながら、大声で叫びながら試合を見る。
視聴率でいうと43%、TVをつけている人の65%がSuper Bowlにチャンネルを合わせている。冗談ではなく、街中に人が少なくなる。出場チームのホームタウンだけじゃなく、全米がそうなるから不思議だ。
ちなみに、2008年のSuper Bowlでは、出場チームのホームタウンに近いボストンで81%、ニューヨークで67%の人がTVでSuper Bowlを見たことが報告されている。とってもCrazyだけど、それだけ魅力があるコンテンツていうことだろう。僕はアメリカ信仰者でも、NFL崇拝者でも無いけど、Super Bowlから学べる事は沢山あるので毎年注目している。
2009年で43回目になるSuper BowlのCM料金が初めて1Millionを超えたのは29回目の1995年、サンフランシスコ49ersと、サンディエゴ・チャージャーズの対戦だった。ジョー・モンタナの後を継いだクオーターバック、スティーブ・ヤングとワイドレシーバー、ジェリー・ライスの活躍で26-49とサンフランシスコ・49ersが勝利した試合だ。
当時のアメリカ経済は、クリントン政権1期目で「ドットコムバブル」が始まった頃。「ドル高」政策を打ち出して、失業率も改善されアメリカ株式市場も元気になって言った頃。景気低迷期を抜け出した元気なアメリカの時代だった。消費意欲も旺盛で、失業率が下がった労働者階級はTV観戦を楽しむ余裕が出来、Super BowlでのCMは効果を発揮した。
視聴率と、視聴者数を見てみると、1996年の30回大会はトレンドを大きく上回る数字を出している。対戦チームが、ダラス・カウボーイズと、ピッツバーク・スティラーズで名門チームどうしの対決だった。視聴率46%はSuper Bowl史上最高で未だに更新されていない。対戦カードによるコンテンツ価値の変化を証明するデータだ。
1995年に1MillionだったCM料金は、アメリカの堅調な経済を背景に2009年には3Millionにまで上昇した。視聴者数117%成長に対して、金額は300%になった。サスガに高過ぎるんじゃないかという感じはする。2009年のSuper BowlではCM枠が売れ残ったという報道もある。来年は値下げになるのか、それともNFLのプライドに掛けて値上げを続けるのか。世界のスポーツ・マーケティングに影響を与えるだけに気になるところだ。
posted by marketing |13:10 |
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2009年02月01日
1月30日31日の2日間で、日本スポーツマネージメント学会が開催された。学会の1プログラムに「eスポーツ」に関するシンポジウムがあった。これがなかなか刺激的で、とっても面白かった。
この学会はスポーツマネージメントに関する研究者が、研究成果を発表したり、情報交換をする場で、Jリーグのレプリカユニフォーム着用率から、フットネスクラブの経営に関することまで色々ある。
その学会のシンポジウムで「eスポーツ」に関するものが行われた。
eスポーツは、オンライン対戦型のゲーム、「カウンターストライク」や「Quake 4」「FIFA 06」「Project Gotham Racing 3」といった、サッカーなどのスポーツゲームもあれば、対戦ゲームもあるので、仮想上のスポーツをやって楽しむのではなく、ゲームをスポーツ的に楽しむ行為全般を指す。
「ゲームをスポーツ的に楽しむって?」
チームでゲームの技術や瞬発力を磨いて、大会に出場して優勝を狙う、ゲームの楽しみ方を指す。とにかく凄い練習を積んで、指先の動きや、動体視力、また戦略的な面でもゲームの世界観を充分に理解して、卓越した競技能力を見につけて、競技として勝利することを目的とするものだ。
これが韓国や、欧州ではスゴイことになっている。
韓国では大会が頻繁に開催され、その模様は衛星TVで放送されている。優勝賞金も1000万円単位の大会もあり、競技能力が高く優勝争いをするゲーマーは、年間で1億円以上の賞金収入がある人もいる。若くてイケメンのゲーマーの場合、ファンもついており、まるで日本の「石川遼くん」を見ているような雰囲気だ。
TV中継されているってことは、見ていても面白いってこと。会場には大型のスクリーンがあって、そこにゲーム画面が映し出されている。選手はパソコンの前に座ってゲームをしているだけだけど、普通じゃ考えられない俊敏なキー操作や表情も大きく映し出される。実況と解説が加えられて、本当にスポーツを観ているみたいな感じで放送されている。
ゲーム業界が仕掛けた様で、娯楽としてのゲームから、競技としてのゲームに発展させたようだ。確かにスポーツにも、娯楽として楽しむゴルフと、世界レベルで競技をするゴルフとは種類が違う。これと同じ構造をゲームに取り入れたもので、スポンサーをつけて大きな大会を行う事で、どんどん発展してきた。ワールドカップやWorld Cyber Game(WCG)という大会があり、WCG2007年度大会は世界74ヶ国、約150万人の参加者の中から約600人の選手が開催地のシアトルに集まった。
それくらい盛り上がっていて、もしかするとオリンピックの種目に加わる可能性もあるくらい、世界では盛り上がっているそうだ。
韓国では国策として、このeスポーツに取り組んでいて、ナショナルチームに選出されると、兵役を免除される。韓国は1997年の通貨危機によるダメージから立ち直るためにブロードバンド化をすすめ、街中にネットカフェが誕生した。ネットカフェのキラーコンテンツとして成長したネット対戦ゲーム文化は、独特でeスポーツにまで継承された。韓国ではeスポーツ選手のアイドル化現象も存在し、競技人口も市場も巨大化している。
ゲーム大国である日本が、この潮流に乗り遅れているのは問題だ。日本ではオリンピック競技化の可能性もあると考えて、JOCの傘下として協会の設立準備に入っている。
予想以上に観戦していても楽しい。選手に人気があるのはTV露出が高いからだと思われる。選手関連のグッズも発売されており、その市場規模は無視出来ない。サッカークラブのようなプロチームも出来始め、その将来性には期待がかかる。
eスポーツをスポーツと呼べるかどうかも含めて、様々な疑問や議論はありそうだ。僕個人としてはとても面白いと思うし、今からでも選手になって年俸1億円プレイヤーを目指すことだって不可能じゃない。機会があったら大会を見に行ってみてください。きっと驚くこと請け合いです。
posted by marketing |10:45 |
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