2007年12月19日
ミッチェル・レポートって?
12月17日にジョージ・J・ミッシェル氏がMLB選手の運動能力向上剤(ステロイド、ヒト成長ホルモンなど)について400ページを超える報告書を提出。このレポートには現役選手を含む80名以上の薬物使用選手名が記載されていることや、薬物使用の現状を詳細に記述していることから、大きな話題を呼んでいる。 ■報告書に記載された主な選手名 ロジャー・クレメンス バリー・ボンズ ケビン・ブラウン ベニート・サンティアゴ トロイ・グラウス ラファエル・パルメイロ ゲイリー・シェフィールド ホセ・カンセコ ジェイソン・ジアンビー ミゲル・テハダ デービッド・ジャスティス エリック・ガニエ ウォーリー・ジョイナー モー・ボーン ジェフ・ウィリアムス(阪神) アレックス・カブレラ(元西武) アダム・リグス(ヤクルト) 全選手リスト ミッチェル・レポート-WEB版-英語 ミッチェル・レポート-PDF版-英語 このレポートで選手の実名を公表したことで、薬物使用がより身近に感じられたのか、各界からの反応も大きい。ブッシュ大統領は、 「名前が挙がった選手について、結論を急ぐべきではない。しかし、ステロイドによって野球が汚されてしまったということは結論付けられる」 とコメントしたと報道されている。 このレポート発表当日に、MLBコミッショナー、バド・セグリ氏が記者会見。 「報告書は実施要請であり、現役選手で名簿に名前が挙がった選手に対して何らかの対処もしていく。選手への規律やその他の案件は今後の状況に応じて検討していく」 と語り報告書に記載されている選手への規律や、その他の案件は今後の状況に応じて検討していくと述べた。 報道では色々書かれているので、MLBにあまり詳しくない方に、用語や人物、背景などを解説しよう。 【ミッチェル・レポート】 コミッショナーが2006年3月30日ジョージ・J・ミッシェル氏(元上院議員、検察官)に依頼して、MLB選手の薬物調査を報告したもの。 薬物使用選手を特定する「犯人探し」が目的ではなく、MLBの内部で起きている事実を明白にすること。選手への面接による調査の多くは、選手側に断られ実現しなかった。 報告書は監督やゼネラルマネージャー(GM)、元選手、フィジカルトレーナーなどからの証言に頼るしかなかった。 そんな周辺情報だけで80人以上の選手名を公表出来たのは、元ニューヨーク・メッツ(New York Mets)の球団職員だった、カーク・ラドムスキーの存在が大きい。 ラドムスキーは2007年4月に選手にステロイドなどを販売していたことで有罪判決を受けていた。アメリカ司法省との司法取引(ステロイドを販売した選手リストを提出することで刑期を短くしてもらう)を行い、選手のサインの入った領収書など多くの物的証拠を入手した。 会見の席上でミッチェル氏は「MLBでは10年以上前から法律や競技規定に違反したステロイドや、筋肉増強剤が公然と使用されていた」と惨状を報告した。 同時に、 「この問題は、ごく少数の選手とかごく少数のチームだけが関わった孤立したものではない。過去20年以上に渡り、野球に携わるすべての人々が関連している。コミッショナー、球団関係者、選手会、選手──すべての人たちがステロイド時代にある程度の責任を負っている。球界全体が、問題が表面化した際にその深刻さを理解せず、早期に取り組もうとしなかった」と、レポートの中で証拠として列挙した選手を「犯人扱い」することよりも球界全体の問題として解決すべきだとも訴えている。 【MLBの薬物使用規制】 2002年以前 薬物使用規制なし 2003年 薬物検査開始(検査実施の24時間前に本人への告知あり) 2004年 罰則適用開始 2005年 罰則の厳格化 1度目の違反で50試合出場停止、2度目100試合、3度目追放 ミッチェル・レポート(英語、PDF) 400ページを越す報告書を読んでみると、日米における報道がいかに記者の解釈によるものかがわかる。報告書はどちらかというと事務的に、淡々と記述されており、調査によってわかった事実(と思われる)が書かれている。興味のある方は是非読んで欲しい。 今年日本でも起きた「西武裏金事件」では、関係者の実名を公表しなかったが、このレポートでは実名を公表した。この点についての議論もあるようだが、そこにフォーカスを合わせるより、このレポートの真意を理解して論じるべきではないだろうか。
posted by marketing |19:20 |
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近鉄花園ラグビー場に
日本の学生スポーツはビジネス化されていないものがほとんど、斉藤君の加入でTV中継も観客動員も急激に増えた「六大学野球」や、正月に開催される「箱根駅伝」などはあるけど、どれもビジネスとしての収益性を重視したものじゃない。
アメリカの大学フットボールは、ビジネスとしての成功も要求される。ほとんどの試合がTV中継されて、各大学はその名誉をかけて勝つために高額な監督を雇う。ノーベル賞受賞した教授よりも、フットボール監督の方が高給なんてことも当たり前におきている。
大学は他のプロリーグ同様に、TV放映権、チケット売上、グッズ販売などで収益を確保して、その資金を練習場や監督コーチの人件費に投資している。報道によると大学は儲かるどころか、赤字まで出してフットボールに力を入れているそうだ。
ユタ大学の例では、
11月の試合1試合でおよそ200万ドルの売上があったそうだ。ユタ大学のフッットボール場Rice-Eccles Stadiumは4万5000人を収容(大学の競技場でこんなに大きいのにも驚くけど1部リーグの大学はみんなこんなもん)から6万5000人収容のLa Vell Edwards Stadiumに移転。このチケット売上だけで120万ドルあった。
シーズンチケットは2007-08シーズンすでに3万7000枚が売り切れになっている。2006-07シーズンより7000枚増やしたのにも関わらず完売になった。それだけじゃなくて、学生向けのシーズンチケットもある。これはフットボールに限らず、ユタ大学の公式戦ならどんな試合でも見られるチケットで、一般のシーズンチケットよりもいい席で、しかも安く見られる。この学生パスが5万3000枚も売られている。大学のスポーツは、フットボール以外に、バスケットボール、野球、アイスホッケー、サッカー、ラクロス、バレーボールなんかが盛んで、どの競技も観戦するためにはチケットを買わないといけない仕組みになっている。つまり学生パスと、フットボールのシーズンチケットだけでスタジアムは満員になってしまうってワケ。
そこで大学側は、一般席を値上げした。サイドラインを33ドルから50ドルへといった具合に。それでもチケットはすぐに売り切れてしまって、地元ファンから苦情が相次いだらしい。
チケットだけじゃなくて、スタジアムで売っているチームロゴの入った防止や毛布(真冬の観戦には欠かせない)。スタジアム付近の駐車場を利用したい場合にはチームへの寄付が必要だし、スタジアムにある広告看板や、ハーフタイムショウを提供する広告主など、プロとの違いを見つけるのが大変なくらい本格的なビジネスになっている。
それがいいか悪いかという議論を、日本の大学関係者はしたがるかも知れない。アマチュアリズムを振りかざしてばかりいないで、スポーツ競技を発展させて、もっと身近にプロスポーツが見られる環境と、プロスポーツ選手として生計を立てられる環境づくりも大事なんじゃないかな。


