2007年11月23日

ロッソ熊本昇格の光と影

JFLからJ2への昇格が確実視されている「ロッソ熊本」だが、J2昇格にあたって解決する必要のある問題が、ここに来ていくつも表面化してきた。

資本金の増額
11月20日Jリーグの鬼武健二チェアマンは20日、理事会後の会見で、加盟申請しているJFL・ロッソ熊本には3億円程度の増資を求めていることを明かした。

 ロッソ熊本の運営組織である、株式会社アスリートクラブ熊本の資本金は現在7,750万円。それに3億円を増資させて4億円程度にする要求をJリーグがしたのだ。

 この要求はとても難いんんじゃないだろうか。現在7,750万円の資本金を株式会社として投資している主要株主の、持ち株比率が下がることが予想される。
 もし現在の株主から3億円が調達出来たとしても、株主間の発言力バランスが変わる。(株をいっぱい持っている人はそれだけ投票出来る票数が多い)そうなると、今まで手に手をとって、Jリーグ昇格を目指してきた色々な協力者達に、なんだかビミューな関係が出来る。
もし、今までの株主と全然関係ない人が、ドンと3億円を積んだら、ロッソを買い取る事だっけできちゃう。
Jリーグの要求で、そんなことになったら、みんな悲しむだろうな。

 Jリーグが要求する3億円の増資は「Jリーグ準加盟クラブ資格要件」には明記されていない。法人として要求されている資格は、

*********************************************************************
● 日本法に基づき設立された公益法人、特定非営利活動法人、または発行済株式総数の過半数を
日本国籍を有するものが保有する株式会社であること。
●  上記の法人は、サッカークラブの運営を主たる業務としなくてはならない。
● クラブの経営状態が適正であること。
● 常勤役員1名以上、常勤スタッフ2名以上。
- 財務管理体制が確立されていること。
*********************************************************************
の4点で、資本金額については書かれていない。
ロッソ側では予想していた事ではあると思うが、それにしてもなかなか無茶な要求だ。


ユニフォームスポンサー「白岳」の変更
Jリーグが「青少年への影響を総合的に考え、胸スポンサー継続は難しい」と表明した。酒類メーカーであることがネックだそうだ。
Jリーグには、チームが胸スポンサーを募る場合、「自粛カテゴリー」を外すという申し合わせがある。業種リストは非公開だが、風俗関係、たばこ、遊技場、美容形成、冠婚葬祭業などが、それに該当するそうだ。

 酒類メーカーが全部ダメかというと、そうでも無いようだ。1997年にはベルディ川崎が<MOLT'S>のロゴを胸に付けていたし、サッカー日本代表には<KIRIN>がスポンサードしている。「青少年への影響を総合的に考え」た時に、ビールはOKで、焼酎はNGということなのだろうか。

私見だがビールの方が青少年には身近で手を伸ばしやすいのではないか。僕もそうだが、未成年の「お酒デビュー」はビールなんじゃないだろうか。焼酎がお酒のデファクトスタンダードな地域もあるので、なんとも言えないが、「お酒デビュー」で「白岳」を選ぶとは思えない。

きっと一緒にJリーグ昇格を目指して、チームを支援してきた「白岳」にとっては、冷や水を浴びせかけられたような気分だろう。

asahi.comによると「白岳」は継続支援を希望している。

久保田一博・営業企画部兼広報部長は「胸のスポンサーは無理かもしれないが、支援を打ち切る気持ちはない。形は変わるかもしれないが、これまでと同じレベルの支援を続けたい」という。「『熊本にJリーグを』『子どもたちに夢と感動を』というロッソの理念に共感しているからこそ、支援したいんです」とも話した。

株主にしても、スポンサーにしてもJリーグデビューする前には、キレイにしなくてはならないのだろうか。地域リーグで支援してくれた人の気持ちを置き去りにして、全国の舞台に立つことが、本当にいいことなのだろうか。
メジャーデビューするまえに、身辺整理を強要されるアイドル歌手みたいだ。

posted by marketing |08:15 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年11月02日

NASCARビジネス大学で授業

20071102-00.jpgNASCARのドライバーは大スター扱いであり、サーキットは超満員、TVでは高視聴率、スポンサー料金も高額で、ドライバーも高年俸を誇るという「ビジネス的にも成功」を絵に描いたようなモータースポーツだ。トム・クルーズが主演した映画「デイズ・オブ・サンダー」や「カーズ」などの舞台になっている。

NASCARは「ナスカ」、または「ナスカー」と読む。NASCARとは「National Association for Stock Car Auto Racing」の頭文字をとったもので、市販車をベースにした「ストックカーレース」のこと。NASCARの歴史は非常に古いが、現在のような NASCARとなって整備されたのが1948年のことのようだ。アメリカでは元々ストックカーの人気が高く、現在でも年間2,000レース開催されていると言われるほどなので、その頂点である「ネクステルカップ」は絶大な人気を誇っている。平均1戦あたり10万人以上の観客を動員し、巨大なサーキットは満員。年間観客動員数は軽く1000万人を超え、テレビ視聴率はNFL に次ぐ。

NASCARはアメリカ独自のレースで、日本やヨーロッパのレースとは大きく異なっている。その主な理由は、サーキットがアメリカンスタイルの楕円型をしたオーバルコースを走る点である。1周0.5mileマイル(約0.8km)のショートオーバルから、2.5mile(約4km)のスーパースピードウェイのコースをひたすら超高速で走る。観客席からは全てのコースが見渡す事が出来るので、バトルを見逃す事が無いのだ。

ビジネス的にも大成功したNASCARに関する授業が、2004年からヴァージニア連邦大学のビジネスコース(MBA)で行われている。
Michael W. Pitts教授と、Jon Ackley教授によるもので、定員の20席は毎年人気が高く選考を必要とする程だという。
授業の内容を紹介すると、NASCARのトップカテゴリーのレース「ネクステルカップ」を10シーズンスポンサードするのに、ネクステル社は7億5000万ドル(約900億円)を支払っている。この金額の妥当性を、観客動員数や、TV放映地域数(160カ国)TV視聴率、ファンのロイヤリティーの高さ、「ネクステルカップ」という大会名称の露出回数などから計算する。
また、NASCARにはアメリカを代表する優良企業がスポンサードをしている理由についても考察がなされている。NFLやMLBと比較しても、スポンサー数も多く、Fortune500社に選ばれた企業の比率も高い。よく考えてみれば、TV中継で映し出されるレーシングカーには、大きくスポンサーのロゴが書かれており、放送時間中のほとんどが広告を見ていると言ってもいいくらいだ。優勝争いをするマシンはTVに映し出される時間も長く、広告効果も高くなる。サッカーのユニフォームにスポンサー名が入っている事に否定的なアメリカ人も、レーシングカーになると話しが違うらしい。スポンサーのロゴもデザインの一部と受け取っているのだろう。
NASCARのレーシングカーの模型にも、当然スポンサーのロゴが入っており、模型における広告効果の有無についても研究しているそうだ。
Michael W. Pitts教授は、NASCARの次はプロレスのWWEのビジネスを研究して授業をしていこうと考えているらしい。

日本でもスポーツビジネス関係の講義が大学で人気を呼んでいるが、ここまで徹底したコースは少ない。アメリカはスポーツビジネスが盛んだが、その方面への就職希望者を対象としたものではなく、ビジネスコースの一部として、事例研究対象として、NASCARのモデルから一般企業への応用を前提とした授業が行われているところが、アメリカらしい。

先週、一橋大学の「スポーツビジネス論」というコースで講義をさせていただく機会をいただき、「マイナーリーグのマネージメント」についてお話をした。250名を越す学生の皆さんには概ね好評だったが、ヴァージニア連邦大学の様に一般企業への応用可能性を示唆した内容まで踏み込む事は出来なかった。機会があったらリッチモンドにある、Virginia Commonwealth Universityに見学に行ってみたいものだ。


posted by marketing |13:04 | その他のスポーツ | コメント(0) | トラックバック(1)
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