2007年10月30日
2007年のワールドシリーズは、 レッドソックスの4連勝で幕を閉じた。正直言ってコロラド・ロッキーズがワールドシリーズまで来ると想像していた人は少ないだろう。
ロッキーズは2005年2006年と2年連続で地区最下位のチームだったからだ。
【ロッキーズ過去順位】
2001年 73勝 89敗 NL西地区最下位
2002年 73勝 89敗 NL西地区3位
2003年 74勝 88敗 NL西地区3位
2004年 68勝 94敗 NL西地区3位
2005年 67勝 95敗 NL西地区最下位
2006年 76勝 86敗 NL西地区最下位
2007年 90勝 73敗 NL西地2位(ワイルドカード)
2007年シーズン開幕時期にアメリカ経済誌ForbsがMLB30チームの、企業価値を算定している。それによると、REDSOX-868億円 対 ROCKIES-380億円となり2.3倍近い格差が存在する。
MLBにはレベニューシェアリングという、収入再分配制度がある。お金持ちのチームから貧乏チームへお金を再分配するものだが、2006年シーズンレッドソックスが6000万ドル支払い、コロラド・ロッキーズは1500万ドル受け取っている。簡単に言えば資金力が全然違うというわけだ。
資金力の違いは、ファンの数の違いが大きいだろう。
レッドソックスは、そのホームグランドのフェンウエイ・パークが388試合連続でチケットが売り切れになっていいて、平均3万8641人の観衆を毎試合集めている。レッドソックスは106年の歴史を誇っている。2004年シーズンにワールドシリーズに勝利するまでは、「バンビーノの呪い」が存在していると言われていた。ニューヨーク・ヤンキースと宿敵のライバルで、いいところまで行くと、いつもヤンキースに勝てずにシーズンを終える「負け犬」的な位置づけだった。レッドソックスファンは、その位置づけを楽しんでおり、ヤンキースに勝てないレッドソックスを楽しんでいたものだ。2004年春のスポーツ雑誌に「レッドソックスがヤンキースに勝ったら、ファンの楽しみはどうなるのか」といった特集が組まれ目標を達成できないマゾ的なファンの存在が有名だ。
2002年に現在のオーナーLucchino、Werner, Henryの3人がチームを買収(Forbs推定3億9800万ドル(約477億円))し、2004年よりGMに若いエプスタインを起用するなど改革を進めてきた。
一方ロッキーズは、2007年シーズン、ワールドシリーズに出場するほど強かったにも関わらず、スタジアムの客席数の57%しか入らなかった。ロッキーズはチームのオーナーのMonfortsにはファンを失望させるような言動が多く見受けられた。フリーエージェントの選手に高額を支払って獲得し、チーム生え抜きの選手を解雇するという補強を何度か行ったために、ファンはフロントへの不信感を募らせてスタジアムへ足を向けなくなった。最近はMonfortsもチームの若い選手を大切にするようになり、ファンがオーナーに失望する回数が減ってきた矢先のワールドシリーズ出場を果たした。
残念ながらロッキーズは4連敗で終わってしまったが、Forbsの評価が380億円からどこまで値上がりするのかが楽しみだ。
もしくはこのタイミングでロッキーズを現オーナーのMonfortsが売り飛ばす可能性もある。
過去にも、ワールドシリーズに出場したスグ後に売却されたチームが存在する。
2002年ワールドシリーズを制したアナハイムエンジェルズが2003年に売りに出された。1996年に1億4000万ドルで買って、2003年に1億8400万ドルでアリゾナの実業家に売り飛ばしている。
その差益は4000万ドル、大体50億円。
7年間チームを持って、強くして一番高いところで売り飛ばしている。
1997年のワールドシリーズを制した、フロリダ・マーリンズは1999年に日用品販売を手がける会社に1億5000万ドルで売られている。この時、マーリンズを買ったJohn Henryは、2002年にレッドソックスを買って、マーリンズを売り飛ばしている。
ウオールストリートでは、ワールドシリーズバイアウト(WSBO)とまで言われた。
企業再生ファンドが日常的に行う、業績のパッとしない企業を買って改革をし、企業価値を高め最終的に売り飛ばし利益を出すという手法があるが、それと全く同じことがスポーツチームに対しても行われているということだ。
金融対象にプロスポーツチームがなることで、リーグ全体に流れ込んでくる現金が増えれば、メリットもあるんじゃないかと思う。
ロッキーズの値段がどこまで上がるのか、オーナーが売りに出すのか。
スポーツビジネスを学んでいる身としては興味が尽きない。
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2007年10月20日
10月16日連邦セントルイス上訴裁判所は、ファンタージースポーツを運用する会社C.B.CとMLBの間で行われていた、裁判の判決を、MLB敗訴とした。
セントルイスに本社のあるC.B.Cは、2005年に選手の名前と成績のデータを使う事は、憲法修正第1条によって保護されていると主張し、MLBを起訴した。
同年、地区判事のMary Ann Medler氏がくだした判決は、MLBの主張する選手のパブリシティー権は、州法と合衆国憲法のどこにも記載されておらず、法的な根拠が見つからない。合衆国憲法修正第1条が適用されるのが一般的とのべた。
この後、論争は上訴裁判所に持ち込まれたが、地区判事の判決は覆る事なく、今回のMLB敗訴の判決に至った。
上訴裁判所の判決内容によると、アメリカ連邦法修正第1条によると、情報は誰でも自由に使う事が出来るものであり、排他的であってはならない。としており、今回の訴訟でもこれが適用される。ファンタジースポーツはビジネスに使用されていおり、報道としての使用とは異なるので、その収益分配を選手及びリーグが受ける権利があると主張していたが、プロスポーツの成績は公共性が高く、公示のものであり選手やリーグに所有権が存在するものではない。とした。
こういった権利を統括しているMLBAM(Major League Baseball Advanced Media)のスポークスマンMatthew Gould氏は、マスコミに対してノーコメントを貫いた。
2005年シーズンMLBはファンタジーベースボールで、選手の名前、写真、成績データを扱うために、MLBPA(Major League Baseball Players Association)から5000万ドルで購入し、MLBは同ライセンスを、CBS社のSportsLine.comとウォルトディズニー社のESPNなどの会社へ、1社あたり200万ドルで販売していた。
ファンタジースポーツの中でも、ベースボールは特に人気が高く、1940万人が楽しんでいると、ファンタジースポーツトレード協会は2007年8月に発表していた。
日本でも、プロ野球選手肖像権問題が法定で審議されており、2006年8月15日に東京地裁は、選手側の訴えを棄却している。選手側はこの判決を不服とし控訴し、現在も審議中だ。
MLB裁判との違いを確認しておこう。
【MLB】
選手の名前と成績データ使用に関してタダで使う事が出来るという判決
【日本プロ野球】
ゲームソフトや野球カードに使用する選手の「写真」と「名前」を販売すし利益を得るのがチームとリーグだけで、選手の許可も利益分配も無いのは不当と、選手が訴えている。
これは、スゴイ判決が出たんじゃないかな。
ねえHSさん。
日本の場合にはこのへんの事情はとっても複雑。
ファンタジーベースボールを運営するのに、アメリカ同様にリーグに選手パブリシティー権使用料金を支払っている。
アメリカ合衆国憲法による判決なので、即日本に適用されることは少ないけど、大きな影響があるに違いない。
1997年に判決の出たモトローラ-NBA事件の判決で、スポーツの試合をネットなどを使い文字で実況中継するのは合法。とされた。
ラジオやテレビには放映権料があるのに、ネットにも設定しないと、テレビやラジオに不公平なんだけど、この判決の結果が存在するので、日本では裁判になっていない。Yahoo!もスポナビも、自由に速報を行っていいという暗黙の了解が出来た。
さてさて、この判決。
日本のビジネスにどんな影響があるか楽しみだ。
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2007年10月13日
岩村選手が入団し、私たち日本人にも馴染の出来た、タンパベイ・デビルレイズ。このチームがなかなか素晴らしいプロモーションをやっている。
▼本文参照 http://www.sportsbusiness-online.com/
<Sports Business Online>
フロリダ西海岸地区で家具店を運営する「KANES」という企業が、デビルレイズの本拠地トロピカーナ・フィールド(Tropicana Field)のバックスクリーン横に巨大広告を出している。その巨大な「KANES」のロゴの下には10個の「K」の文字。これは「KANES」の「K」と三振の「K」をかけたもので、デビルレイズの投手が三振を取るたびに「K」がひとつずつ点灯する仕掛けとなっている。
デビルレイズの試合で奪三振が10を越すと、家具屋の「KANES」から、ピザチェーン店Papa John'sのチーズピザが観客にプレゼントされるというのだ。
ピザはスタジアムにいてもらえるわけじゃなくて、試合当日のチケットの半券を家具屋の「KANES」に持っていくと、Papa John'sのチーズプレーンピザの無料券に引き換えてくれるってわけだ。
観客としては「ふぅ~ん」といった感じだが、ここまで読んでこのプロモーションの凄さに気がついたら、マーケッターとしての素養が高いってことになる。
なにかピンときただろうか。
「KANES」のメリット
看板を出すだけでなく、スタジアムに来ている観客の印象に残るような広告宣伝をしたい。口コミに乗るような仕掛けをしたかった。でも家具をプレゼントするのは、高額だ。
そこで安価なピザにした、「KANES」の店頭に来ないとピザ券と引き換えてもらえないので、店頭に観客を誘導出来る。
「Papa John's」のメリット
地元で元気なピザチェーンだが、MLBのスタジアムに広告を出すほどではない、でも今回のような企画では、「Papa John's」の名前を多くの人に知ってもらえる機会が出来る。
ピザ券は、宅配で使う事は出来なくて、やはり店頭にピザを買いに行かないといけない。そこでより「Papa John's」のことを強く印象づける事が出来る。
ピザ券は、プレーンチーズなので、店頭に行くとなんだか淋しくなってトッピングをオーダーする可能性が高い。つまりタダ券から売上が作れる。
「デビルレズ」のメリット
何と言っても、チームの成績に応じたファンサービスだ。
スポーツ興行で提供するコンテンツは試合だ。
でも試合は、負ける事もある、半分近くは負け試合だろう。その時に来てもらった観客に何か少しでも楽しみを残せるかも知れない。
奪三振10個で、観客全員がピザのタダ券を入手できるなら、MLBの球場ではきっと盛り上がるに違いない。
ピザは一人で食べるものではないので、デビルレイズの試合でピザを貰った事が、ピザを食べるときに話題に上がるだろう。ここでも口コミも期待出来る。
そんなわけで関係する3者、ファンまで含めると4者に うれしいプロモーションなのだ。なかなかよく出来ている。
今回のネタは、スポーツビジネスオンラインのご好意により、転載一部編集しました。
僕自身も勉強するために、定期的にチャックをしている優秀なサイトです。
http://www.sportsbusiness-online.com/
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2007年10月05日
10月2日、巨人がヤクルトをサヨナラで破って5年ぶり31度目のリーグ優勝を決めた。しかしこの試合、地上波では放送されないという、なんともプロ野球ファンにとって悲しい事態となった。
原監督が東京ドームで胴上げをされていた時、日本テレビでは「踊る!さんま御殿!」を放送中。番組を中断して中継に切り替えるなどの処置もなく、そのままバラエティー番組の放送が続行された。
日本テレビの編成は、「特別番組が多い時期に加え、試合日程が先月決まったことなどから、地上波での対応は難しいと判断した」
と言っているが、災害時や立てこもり事件など、社会的に見て重要かつ視聴者ニーズの高い場合には、番組を中断して中継することはよくある。優勝が決まった直後の午後9時12分、ニュース速報で巨人優勝を伝え、同14分からは画面左下の小画面で優勝が決まる瞬間の様子と、胴上げシーンを流した。メインが面は「踊る!さんま御殿!」のまま。
特番終了後の9時32分から、10分間「速報! 5年ぶり巨人セ・リーグ優勝」で試合のハイライトと胴上げシーンが放送された。視聴率は13.8%
2000年に巨人が優勝を決めた試合は、日本テレビが放送し21.9%を稼いでいる。2000年は、王ダイエーが既にリーグ優勝を決めており、ON日本シリーズ対決を待ちわびる世論のあと押しがあったとは言え、まだまだプロ野球は顕在だった。「視聴率10%を切る可能性がある番組に差し替えにくい」と日テレの編成はコメントしていることから、巨人戦のTV中継価値が数年で暴落してしまったことを証明する出来事だった。
古い話だが、1988年10月19日、川崎球場で行われた、日本プロ野球のロッテオリオンズ(以下「ロッテ」)対近鉄バファローズ第25・26回戦(ダブルヘッダー)のリーグ優勝がかかった試合でテレビ朝日は、第2試合の様子を、番組の途中に挿入しつつ、編成を維持していたが、視聴者から「番組より野球が観たい」という電話が殺到したため、編成の独断で9時から全国中継に変更。
10時から当時人気番組だったニュースステーションの冒頭では、キャスターの久米宏が「今日はお伝えしなければならないニュースが、山ほどあるのですが、このまま野球中継を続けます」と告げ、試合終了まで中継を強行。この試合で近鉄が破れたために、リーグ優勝は西武に決定したため、「胴上げ試合」にはならなかった。
この試合の視聴率は関東地区30.9%、関西地区46.7%を獲得した。
今回の日本テレビの措置は、スポーツ業界に大きな波紋を拡げそうだ。
地上波で中継した25、26日の中日戦(東京ドーム)の視聴率は9.4%、10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことも影響したのだろう。
プロ野球チームの収入におけるテレビ放映権の占める割合は大きく、「胴上げ試合」すら地上波中継が行われないとなると、各球団の台所事情はさらに厳しくなることが予想される。
巨人と同じ読売グループの日本テレビが、「胴上げ試合」が「踊る!さんま御殿!」に劣ると判断したことは、他のTV局にも大きな刺激となる。来期から野球全体の放映権料金が値下がりすることは容易く想像できる。
こうなったら、テレビ東京に頑張ってもらって、プロ野球中継を地上波に残して欲しいものだ。
posted by marketing |07:55 |
プロ野球 |
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