2007年06月28日

アメリカズカップはMONEYじゃない

6月27日 スペイン バレンシア
世界最高のヨットレース「アメリカズカップ」は第4レースまで終わって、アリンギ(SUI)2-2 エミレーツ・ニュージーランド(ETNZ艇)と同点。海の無い国スイスか、セーリングの盛んなニージーランドが、今後のレースが注目される。


アメリカズカップは、チームと呼ばれずにシンジケートと呼ばれる。全員が同じ既成のヨットで競技を行うオリンピックと異なり、決められた規定(フォーミュラー)の中で各シンジケートがヨットを設計し作り上げる。
この過程で気の遠くなるような計算と資金が必要とされるのだ。勿論スタッフやクルー(乗組員)も優秀な人材を集めるので必然的に費用がかかることになる。日本円で最低100億円、BMWオラクルレーシング(USA)は200億とも250億とも言われている。この資金はスポンサーから捻出するのがほとんどだ。

資金を集めて、いいスタッフを集めるのが会長の仕事だ。自己資金を投入する会長もいるが、スポンサーに100%依存している会長もいる。いずれにしても会長はスポンサーからシンジケートに関して全権委任を受けて運営を行っていく。ミッションは「優勝」。スポンサーはビジネス上、宣伝効果を期待しているので、上位に進めばそれだけマスコミ露出が多くなる。優勝すれば世界中のニュースで流れることになり、100億円以上のスポンサー料は充分モトがとれるのだ。

スポンサーと会長の関係は、株主と社長の関係に似ている。

挑戦艇のETNZ艇は、潤沢な資金力でここまで勝ち上がってきたチームではない。比較的小さな予算規模(地元記者推定140億円)だが、経験豊富な人材を集めると同時に、「和」を重視してきた。
会長のダルトン氏は、ニュージーランド政府から32億円の援助を受け、残りは世界中を飛び回ってかき集めた。命名権はアラブ首長国連邦に本社を置くエミレーツ航空に売却した。
ダルトン会長は裏表の無い人で、資金集めに苦労している話を含め、あらゆる情報をスタッフ全員に開示し、情報の透明性を維持しているそうだ。そして全てのスタッフと気さくに何でも話が出来る環境を作り、昼はスタッフと一緒にランチボックスを食べるという。リムジンで乗りつける会長が多い中で希有な存在のようだ。

前哨戦のルイ・ヴィトンカップ(LV杯)では、資金力にモノを言わせたBMWオラクルレーシングがセミファイナルで敗退。
ルナロッサ・チャレンジ(ITA)(プラダ会長デルテリ氏が会長を務める)と対戦成績1-4で迎えた第6戦直前にBMWオラクルのヨットの操縦をするスキッパーが突然降板したと伝えられている。
想像でしかないが、大金を使ってヨットを設計し、優秀な乗組員を確保したけど、敗戦が確実になったレース前に、敗戦責任者探しでも始まったのではないだろうか。

そしてこのルナロッサとの対戦で勝ち上がってきたのがETNZ艇だ。

経験豊富で優秀な人材を集め、資金力に依存したチームを打ち負かして、アメリカズカップへの挑戦権を手に入れたETNZ艇。人材の力と「和」は資金力をも凌駕すことを証明してくれることに期待したい。
この調子で銀杯を手に入れて欲しいものだ。

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2007年06月13日

プレミアリーグ成功の理由

1991-92年シーズン、プレミアリーグ全体の売上は1億7000万ユーロ(約272億円)だった。
それが2005-06シーズンには、マンチェスター・ユナイテッドだけで1億6800万ユーロ(約269億円)の売上を上げるほどになり、リーグ全体では20億ユーロ(約3240億円)と、12倍近い成長を遂げている。

ちなみにJリーグの2005年度総売り上げは555億円とその経済規模は1/6以下。1993年Jリーグ元年は、276億円(10チーム)現在J1が18チームあることを計算すると、その伸び率は10%程度だ。プレミアリーグの成長率がいかに凄いかがわかるだろう。

プレミアリーグ発足前
イングランドのサッカーは荒廃してた。サポーターはフーリガン化していたし、労働者階級のローカールなスポーツとして、経済合理性などほとんど考えられていなかった。
1985年5月29日、UEFAチャンピオンズカップ決勝のリヴァプール vs ユヴェントス戦で、サポーターが暴徒化し死傷者が出る事件が発生(ヘイゼルの悲劇)。イングランドのクラブは、欧州サッカー連盟(以下UEFA)が主催する大会への出場を(無期限、後に5年間。当事者のリヴァプールは7年間に変更される)禁じられた。
スタジアムも老朽化が進んでおり、1989年には立ち見席の混雑が原因でリバプールファンが96人も圧死する事件が発生。サッカーは危険なものだという印象がイングランド中に強く植え付けられた(ヒルズボロの悲劇)。
これを期に、イングランド政府も重い腰を上げ税金を使ってスタジアムの立ち見席を全て椅子席に変更することを決定した。


プレミアリーグ発足
1992年、フットボールリーグから離脱した10チームがFAプレミアリーグを発足。この背景には「BスカイB」というTV局の存在があった。
ヨーロッパには、スカイスポーツとユーロスポーツという2つのスポーツ専門衛星放送があった。1989年ルパード・マードック氏が率いる「BスカイB」が開局。先行していた2つの放送局を追い越すために、プレミア・リーグをイングランド・リーグの独占放送権を手に入れた。

「BスカイB」は92年から96年までの5年間で、766億円という巨額の放映権料を提示。
プレミアリーグ入りを検討していた10チームには、この放映権料の均等分配が約束されていた。1986年にTV放映権料の分配をチームが求め、スーパーリーグを立ち上げると交渉をしていただけに、この放映権料分配は、プレミア発足の引金になったとされている。

スタジアムは税金で椅子席に修繕され、TV放映権料で潤沢な資金が手に入ったクラブは、フーリガンの排斥や、スター選手の獲得やチーム力の更なる向上に資金を投入。安全で魅力的な選手のいるプレミアリーグは、サッカー好きの人々に大きな支持を勝ち取っていく。
「BスカイB」も最初の1年間で加入者を150万世帯から500万世帯へと大幅に伸ばし、プレミアリーグ発足のキッカケになった巨額の放映権投資は、大成功と評価された。1997年から2000年までの4年間の放映権料は3,360億円へと4倍以上に高騰。こうしてクラブの資金と、コンテンツとしての魅力は、好循環を生み出していく。

外国人オーナー
2003年7月、ロシアの石油王ロマン・アブラモビッチチェルシー2億1800万ドル(約2300億円)で買収。経営難にあえいでいたクラブの約160億円と言われた負債を全額返済し、その後もスター選手を次々に獲得していった。現在ではモウリーニョの監督就任後は、彼の意向に沿った堅実路線での補強を行っている。ただ、総資産額3兆円にも上ると噂されるアブラモヴィッチの財力を背景にした資金力は欧州随一で、提示する移籍額は相対的にも桁違いである。例え他クラブが移籍交渉を進めていても、チェルシーが介入した時点で資金力の差から獲得を断念するケースもしばしばあるようだ。
2005年5月にはマンチェスター・ユナイテッドの発行株式75%をアメリカ人マルコム・グレイザーが買収し、2006年7月にはポーツマスをフランス人のアレクサンドル・ガイダマクが買収。その後も、アストン・ヴィラ、リバプールなどが次々と外国人オーナーに変わってった。

彼らの存在は、プレミアリーグの経済的成功をもう一段推し進めたと言っていいだろう。アブラモビッチをはじめとする、世界的な金持ちはその資金力を使って、選手補強やスタジアムの改装に潤沢な資金を投入した。しかしそれだけではなかった。
彼らの多くは、ビジネスマンとして成功していたのだ。1980年代イングランドサッカークラブのオーナーは、クラブの収益性や売上を重視する傾向には無かった。どちらかといえば、自分自身のステイタスとしてサッカークラブを所有し、悦に入っていたのだ。
それに比べて新興オーナーたちは、今まで自分自身の分野で成功したビジネス手法を惜しげもなく投入した。彼らにとってはスポーツも投資だったのだ。チームを買ったのだから、しっかりと投資金額を回収し利益を出す。そういった意識が強かったのだ。マーケティングやマーチャンダイジンに力を入れ、世界的な視角に立った経営戦略を描いた。
オーナー達が本業で成功したように、サッカービジネスでも成功しようと楽しんでいたように見える。

こうして段階的に、巨額の資金が流入し、荒廃していたイングランドサッカーは、世界を代表する成功事例になったのだ。
ただし、巨額の資金が流入すれば、元気になるとほど、簡単なものではない。1992年には放映権料という資金だけだった。利益の出ているクラブが株式上場で市場から資金を調達。2003からの外国人オーナーは資金と経営手法の両方をプレミアリーグに運んできてくれたのだ。






posted by marketing |21:18 | サッカー | コメント(3) | トラックバック(0)
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2007年06月10日

欧州サッカー市場、9%、126億ユーロ拡大

2006-07の欧州サッカー市場は9%成長で126億ユーロの増収になった。とDeloitteが報告した。
中でも目立って成長があったのが、プレミアリーグで収益20億ユーロで利益は2億ユーロ、ヨーロッパ全体のサッカー市場126億ユーロの15%以上を占めている。
2位はセリアAで収益14億ユーロ、
3位-ドイツ  12億、
4位-スペイン 12億、
5位-フランス 9億
と続き、上位5つのリーグでヨーロッパ全体の53%に達する。
1995-96シーズンは、セリエAプレミアリーグの違いはほとんど無く、収益は両リーグとも4億~5億だった。それが11年で大きく成長もしたが、同時に格差も開いた。この差は今後ますます拡大することが予想されている。

2007-08シーズン、プレミアリーグは放映権の契約更新などで、収益を25億ユーロまで伸ばすことが解っている一方で、セリエAは10億ユーロまで落ち込むと考えられている。平均の観客動員数も20,000人を割り込んむほど落ち込んでいる。
オランダのエールディビジの収益は3億3500万ユーロで、イギリスの2部リーグより小さいが利益はしっかりと確保している。

この数年、プレミアリーグの経済的成功は、あちこちで話題にされている。かつては世界で最も成功したスポーツはNFLだと言われていたが、2006-07シーズンの結果を見ると、プレミアリーグだと言わざるを得ない。NFLは32チームだが、プレミアは20チーム。TVの視聴対象国内人口の違いもあり、指標的にはプレミアリーグが収益性が高くなった。
とDeloitteは伝えている。

今の時代に9%の成長率はすごい。成長理由をさがしてみたら、TV放映権が一番大きいみたいだ。イギリス国内での放映権料がいままで6億8000万ドルだったものが2007-08からは11億ドルに跳ね上がった。国外向けも勿論高額で、200カ国に及ぶ地域をカバーする放送局が年間12億3000万ドルで契約をしている。
TVの放映権料だけで、総額23億3000万ドル。
日本円にすると、2796億円 プレミアリーグは20チームだから平均で139億円の放映権収入が見込まれている。いやはやなんとも凄い金額だ。
ただアメリカのスポーツリーグと違ってヨーロッパサッカーには、チームの経済格差を是正しようなんて考えは無い。金持ちチームと貧乏チームがあって仕方ない。と考えているのだろう。
だからこの139億円が均等分配されるわけではない。人気があって放送される機会の多いチームは多く、そうでないチームは少なくなる。

どうしてこんなに、プレミアリーグが急成長をしたのか。
次回は、調べられる範囲でお伝えします。

posted by marketing |07:17 | コメント(15) | トラックバック(0)
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