2006年11月23日

メジャーのドラフト会議

6月中旬に、メジャー30チームのGMを電話回線で繋いで2日間掛けてMLBのドラフトは行われる。
MLBがドラフト制度を導入したのは、アメリカ4大スポーツでも最も最近の1965年のことだった。その後度重なる選手会との労使交渉によって、ドラフト制度は見直されて現在の形に進化してきた。

指名順位は、前年の順位下位からの完全ウエーバー制だ。くじ引きも、逆指名も無ければ、希望入団枠も無い。ガチンコで行われる。順位下位からの完全ウエーバー制だが、特例がある。
FA権を行使して移籍した場合に、ドラフトの上位指名権を譲らなくてはならないのだ。

2001年ジェイソン・ジアンビは、オークランド・アスレチックスからFA権を使ってNYヤンキースに7年間で1億2000万ドルの契約で移籍をした。
日本プロ野球の場合は、ヤンキースがアスレチックスに、補償金として年俸の1.2倍を支払わなくてはならないが、メジャーでは「ドラフト指名権」を渡すことになっている。
メジャーは各チームの戦力均衡を尊重しているので、お金よりも選手使命権を譲ることで、優秀な新人を確保して戦力ダウンを出来るだけ少なくするように考えられているわけだ。
ジアンビを放出したアスレチックスは、2002年のドラフト1順目でヤンキースの分とアスレチックスの分2名を指名することが出来た。
アスレチックスのGM「ビリー・ビーン」はこの手法がとっても得意だ。
マネーボールを読まれた方はご存知だと思うが。

メジャーのドラフトは50順まで行われる。これも日本と大きく異なるところだろう。
メジャー球団は、その支配下にあるマイナーの選手も、このドラフトで獲得する必要があるのだ。マイナーは階層がAAAからルーキーまで厳密には6階層ある。各マイナーからランクアップしたり引退したり、戦力外通告を行った選手を全て確保するためには50人くらい必要なのだろう。

もうひとつ面白いのは、各チームは2分以内に指名選手名を言うこと。とされている。3分かかってもペナルティーは無いが、1500人という大勢の指名をスムーズに終わらせるのには、とっととやらないと2日では足りないというわけだ。目的の選手が、直前のチームに指名されてしまったので、監督やスカウトが話し合っている姿が日本では見受けられるが、そんな悠長な事は許されないのだ。

一番僕が驚いたのは、スカウトスタッフは30チーム共同で持っているということだ。つまりアスレチックス専門のスカウトというのは、いたとしても1人か2人。でドラフト指名する選手の情報は、共同チームから提供されるものを基本に考えるケースが多い。
リーグとして優秀な人材を発掘して、戦力均衡を保ったまま発展してゆこう。という考えがそのまま現れていると思う。1974年に30チームが資金を出しあってスカウト部門は発足したが、1985年「ピーター・ユベロス」がコミッショナーの時に、MLB機構の一部門としたことでより公平性が高まった。ここには50人近くの常勤スタッフがいて、ドラフトの対象になる全米、カナダ、プエルトリコに在住している選手を対象に調査・発掘が行われる。FAやトレード、ポスティングなどでの補強を行う場合には、チーム専属のスカウトが選手を評価している。だからMLB行きを狙っている日本人選手の評価には、チーム別のスカウトが訪れているわけだ。

お金があるチームが有利な、名前ばかりのドラフトとは根本的に違ったシステムがメジャーにはある。
スタジアムをいっぱいにするために、勿論チームマネジメントや、顧客に対するマーケティングも大事だが、メジャーの様な、牽引力のあるリーグマネージメントもとても重要になってくる。ドラフトは、そのほんの一例に過ぎない。

posted by marketing |07:53 | メジャーリーグ | コメント(1) | トラックバック(1)
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